(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024093072
(43)【公開日】2024-07-09
(54)【発明の名称】ボールペン及びボールペンレフィル
(51)【国際特許分類】
C09D 11/18 20060101AFI20240702BHJP
B43K 7/00 20060101ALI20240702BHJP
B43K 7/02 20060101ALI20240702BHJP
【FI】
C09D11/18
B43K7/00
B43K7/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022209211
(22)【出願日】2022-12-27
(71)【出願人】
【識別番号】303022891
【氏名又は名称】株式会社パイロットコーポレーション
(72)【発明者】
【氏名】山村 知之
【テーマコード(参考)】
2C350
4J039
【Fターム(参考)】
2C350GA03
2C350KC01
4J039BA04
4J039BA32
4J039BC07
4J039BC12
4J039BC20
4J039BE01
4J039CA06
4J039CA11
4J039EA21
4J039EA48
4J039GA27
(57)【要約】
【課題】 光輝性顔料とカーボンブラックを含む着色顔料を用いたインキを、小径ボールを用いた外装に内蔵したとしても、光輝性顔料の沈降・凝集や、ボール座の過度の摩耗によって筆記性が損なわれることを抑制できる水性インキ組成物を内蔵したボールペンとボールペンレフィルを提供する。
【解決手段】 カーボンブラックと、有機顔料と、光輝性顔料と、マイクロカプセル粒子と、剪断減粘性付与剤と、水とを含有するインキ組成物を内蔵し、カーボンブラックの含有率が0.1~2.0質量%、有機顔料の含有率が2~10質量%、光輝性顔料の含有率が0.1~2.0質量%、マイクロカプセル粒子の含有率が、光輝性顔料の含有率に対して1.5倍以上10倍以下であり、直径0.4mm未満のボールを先端部に配したボールペンチップを備えたボールペン、ボールペンレフィル。
【選択図】 なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
カーボンブラックと、有機顔料と、光輝性顔料と、マイクロカプセル粒子と、剪断減粘性付与剤と、水とを含有するインキ組成物を内蔵するボールペンであって、
前記インキ組成物全質量を基準として、前記カーボンブラックの含有率が0.1~2.0質量%であり、前記有機顔料の含有率が2~10質量%であり、前記光輝性顔料の含有率が0.1~2.0質量%であり、前記マイクロカプセル粒子の含有率が、前記光輝性顔料の含有率に対して1.5倍以上10倍以下であり、
直径0.4mm未満のボールを先端部に配したボールペンチップを備えたボールペン。
【請求項2】
カーボンブラックと、有機顔料と、光輝性顔料と、マイクロカプセル粒子と、剪断減粘性付与剤と、水とを含有するインキ組成物を内蔵するボールペンレフィルであって、
前記インキ組成物全質量を基準として、前記カーボンブラックの含有率が0.1~2.0質量%であり、前記有機顔料の含有率が2~10質量%であり、前記光輝性顔料の含有率が0.1~2.0質量%であり、前記マイクロカプセル粒子の含有率が、前記光輝性顔料の含有率に対して1.5倍以上10倍以下であり、
直径0.4mm未満のボールを先端部に配したボールペンチップを備えたボールペンレフィル。
【請求項3】
前記マイクロカプセル粒子が、表面に窪みを有する球体である請求項1又は2に記載のボールペン及びボールペンレフィル。
【請求項4】
前記マイクロカプセル粒子が、常温常圧下で液体または固体である親油性化合物を内包している請求項1乃至3のいずれかに記載のボールペン及びボールペンレフィル。
【請求項5】
前記親油性化合物が、芳香族炭化水素類、エステル類、ケトン類、高級アルコール類およびエーテル類からなる群から選択される一種以上である、請求項4に記載のボールペン及びボールペンレフィル。
【請求項6】
前記ボールペンチップが、先端部がストレート状の円筒体であり、かつ、先端部の後方が、外径及び内径が拡径する形状である金属製パイプの、先端近傍の内面に、複数の内方突出部が外面からの押圧変形により設けられ、前記内方突出部の相互間に、中心部から径方向外方に放射状に延びるインキ流出間隙が形成されたボール抱持室が設けられ、そのボール抱持室に超硬合金ボールが抱持されてなる請求項1又は2に記載のボールペン及びボールペンレフィル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はボールペンとボールペンレフィルに関する。更には、インキ吐出やボール座摩耗に不利な小径ボールを用いた際にも、優れた筆記性能を長期にわたって維持できるボールペンとボールペンレフィルに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、板状(鱗片状)の金属粉またはパール顔料等である光輝性顔料を用いた水性インキ組成物が盛んに提案されている。このインキは明るく、華やかな金属光沢調の筆跡が得られる一方、カーボンブラック等の黒色顔料と有機顔料とを着色材に用いつつ、光輝性顔料の添加量を抑えることで、濃暗色で仄かな光沢を帯びた、落ち着き感のある筆跡を形成させることも可能である。
【0003】
前記光輝性顔料を用いたボールペンインキにおいては、光輝性顔料がインキ中で沈降、凝集してインキ吐出性が低下し、筆記不能になること又は筆跡に掠れが生じることがあるため、光輝性顔料の分散安定性を高める検討が行われている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1には、金属粉顔料と着色材と天然多糖類及びセルロース誘導体とを含有するインキと、それを内蔵したボールペンが記載されている。このインキは、天然多糖類、セルロース誘導体からなる剪断減粘性付与剤によって、静置時には高粘度を維持させつつ、筆記時には高速回転するボールからの剪断力によって速やかに低粘度化させることにより、静置状態における光輝性顔料及び/又は着色顔料の沈降、凝集抑制と、良好なインキ吐出性との両立が図られたインキである。
【0006】
しかしながら、前記従来技術のインキによる光輝性顔料の沈降、凝集抑制効果は十分ではなく、保管条件によっては沈降等が生じることがあることがわかった。また、カーボンブラックをインキの着色材に用いたボールペンは、筆記に伴いボール座が過度に摩耗し、インキ吐出の不安定化が生じることがあることがわかった。しかし、前記特許文献にはインキの着色材にカーボンブラックを適用したときにボール座の過度の摩耗を抑制することについて記載も示唆もないことから、前記インキには、筆記性を損なわず、仄かな光沢を帯びた、濃暗色の筆跡を安定して形成させる思想はない。
【0007】
特に、直径が0.4mm未満の小径ボールを用いたボールペンに適用した場合には、筆記時のインキ吐出量が大きく減少することから、前述の沈降や摩耗に伴う筆記不良が生じやすくなるものであった。
【0008】
本発明は、光輝性顔料とカーボンブラックを含む着色顔料を用いたインキを、小径ボールを用いた外装に内蔵したとしても、光輝性顔料の沈降、凝集、及びカーボンブラックの適用やインキ吐出量に伴うボール座の過度の摩耗によって筆記性が損なわれることを抑制できる水性インキ組成物を内蔵したボールペン及びボールペンレフィルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、カーボンブラックと、有機顔料と、光輝性顔料と、マイクロカプセル粒子と、剪断減粘性付与剤と、水とを含有するインキ組成物を内蔵するボールペンであって、
前記インキ組成物全質量を基準として、前記カーボンブラックの含有率が0.1~2.0質量%であり、前記有機顔料の含有率が2~10質量%であり、前記光輝性顔料の含有率が0.1~2.0質量%であり、前記マイクロカプセル粒子の含有率が、前記光輝性顔料の含有率に対して1.5倍以上10倍以下であり、
直径0.4mm未満のボールを先端部に配したボールペンチップを備えたボールペンを要件とする。
更に、カーボンブラックと、有機顔料と、光輝性顔料と、マイクロカプセル粒子と、剪断減粘性付与剤と、水とを含有するインキ組成物を内蔵するボールペンレフィルであって、
前記インキ組成物全質量を基準として、前記カーボンブラックの含有率が0.1~2.0質量%であり、前記有機顔料の含有率が2~10質量%であり、前記光輝性顔料の含有率が0.1~2.0質量%であり、前記マイクロカプセル粒子の含有率が、前記光輝性顔料の含有率に対して1.5倍以上10倍以下であり、
直径0.4mm未満のボールを先端部に配したボールペンチップを備えたボールペンレフィルを要件とする。
更に、前記マイクロカプセル粒子が、表面に窪みを有する球体であること、前記マイクロカプセル粒子が、常温常圧下で液体または固体である親油性化合物を内包していること、前記親油性化合物が、芳香族炭化水素類、エステル類、ケトン類、高級アルコール類およびエーテル類からなる群から選択される一種以上であることを要件とする。
更には、前記ボールペンチップが、先端部がストレート状の円筒体であり、かつ、先端部の後方が、外径及び内径が拡径する形状である金属製パイプの、先端近傍の内面に、複数の内方突出部が外面からの押圧変形により設けられ、前記内方突出部の相互間に、中心部から径方向外方に放射状に延びるインキ流出間隙が形成されたボール抱持室が設けられ、そのボール抱持室に超硬合金ボールが抱持されてなる請求項1又は2に記載のボールペン及びボールペンレフィルを要件とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明により、光輝性顔料とカーボンブラックを含む着色顔料を用いたインキを、小径ボールを用いた外装に内蔵したとしても、光輝性顔料の沈降、凝集、及びカーボンブラックの適用やインキ吐出量に伴うボール座の過度の摩耗によって筆記性が損なわれることを抑制できる水性インキ組成物を内蔵したボールペンとボールペンレフィルとなる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。尚、本明細書において、配合を示す「部」、「%」、「比」などは特に断らない限り質量基準である。
また、本明細書において濃暗色とは、明度、彩度が共に低い有彩色を指す。
【0012】
本発明の実施形態による水性インキ組成物(以下、場合により、「インキ組成物」または「組成物」と表すことがある。)は、光輝性顔料と、着色顔料となるカーボンブラックと有機顔料と、マイクロカプセル粒子と、剪断減粘性付与剤と、水とを含有し、カーボンブラック及び光輝性顔料の含有量と、マイクロカプセル粒子と光輝性顔料との含有量比を特定範囲内とすることを特徴とする。以下、本発明の実施形態による水性インキ組成物を構成する各成分について説明する。
【0013】
(光輝性顔料)
光輝性顔料としては、筆跡状態で光を反射させる光輝性を発揮する顔料であれば良く、例えば形状は板状であり得、特に透明性を有する基材を金属酸化物又は金属で被覆してなる顔料、アルミニウム粉等の金属顔料を挙げることができる。
【0014】
透明性を有する基材を金属酸化物で被覆してなる顔料としては、例えば、天然雲母、KMg3(AlSi3O10)F2等の合成雲母、偏平ガラス(ガラスフレーク)、シリカフレーク、薄片状酸化アルミニウムから選ばれる材料を基材とし、前記基材を金属酸化物で被覆したもの等を挙げることができる。また前述の基材を被覆する金属酸化物としては、例えば、チタン、ジルコニウム、クロム、バナジウム、鉄等の酸化物を挙げることができ、好適には酸化チタンを主成分とする金属酸化物である。
また、基材の表面を被覆する金属酸化物の被覆率、被膜の厚さによって、金色、銀色又は黄、赤、青又は緑色を帯びた金属光沢を呈する。尚、酸化チタン等の金属酸化物層の上に酸化鉄、非熱変色性染顔料を更に被覆したものであってもよい。
【0015】
前記透明性を有する基材を金属酸化物で被覆してなる顔料は、パール顔料とも呼ばれ、その具体例としては以下が挙げられる。
市販品としては例えば、イリオジン100(銀色)、同111(銀色)、同151(銀色)、同153(銀色)、同201(金色)、同217(赤銅色)、同289(青色)、同302(金色)、同504(ワインレッド色)、同530(銅色)(以上、メルクジャパン(株)製)、アルティミカSB-100(銀色)(以上、トピー工業株式会社製)等がある。更に、コレステリック液晶型光輝性顔料と称されるHELICONE HCS、同HCXS(以上、ワッカーケミー社製)等が挙げられる。
【0016】
透明性を有する基材を金属で被覆してなる顔料は、例えば、フレーク状ガラスに無電解メッキ法またはスパッタリング法などにより金属をコーティングさせることで得られる。その例としては、フレーク状ガラスが銀で被覆されたもの、フレーク状ガラスが金で被覆されたもの、フレーク状ガラスがニッケル・クロム・モリブデンで被覆されたもの、フレーク状ガラスが真鍮で被覆されたもの、フレーク状ガラスが銀合金で被覆されたもの、フレーク状ガラスがチタンで被覆されたものなどが挙げられる。
【0017】
アルミニウム粉顔料として、例えば、アルミニウム片を高級脂肪酸またはミネラルスピリットなどの石油系溶剤とともにボールミルで粉砕、研磨したものが使用され得る。このようなアルミニウム粉顔料は、非常に薄い鱗片上のアルミニウム微粒子であり、ペーストにして使用され得る。市販されているアルミニウム粉顔料としては、アルミペーストWXM0630、同EMERAL EMR-D5660H、同EMERAL EMR-D6390、同WJC-U75C(以上、東洋アルミニウム株式会社製)等が挙げられる。
また、真空蒸着によって得られた薄膜状のアルミニウムを細かく粉砕したものであってもよく、市販品としては、METALURE W-52012IL、UltravarioAquaPG-24001(以上、ECKART社製)、エルジーneoSilver#500(銀色)、同Gold#500(金色)(以上、尾池工業株式会社製)等がある。
光輝性顔料は一種以上を選択してインキ中に配合される。
【0018】
光輝性顔料の含有率は、インキ組成物全質量を基準として0.1~2.0質量%の範囲で適用される。好ましい含有率は0.2~2.0質量%であり、より好ましくは0.5~2.0質量%である。このような含有量により、後述するカーボンブラックと有機顔料との併用で、濃暗色で仄かな光沢を帯びた、落ち着き感のある筆跡とすることができる。
【0019】
本発明で使用される光輝性顔料において、特に粒子径の制限はないが、使用するボールペンにおいて筆記できなかったり、筆記中に該顔料が吐出溝(インキ流出孔)を閉塞させるなどして、筆記できなくなる虞のない粒子径が選択される。粒子径が小さ過ぎると筆跡状態での光沢が得られ難く、大き過ぎると筆跡が金属光沢調の強い光沢を帯びたり、インキ吐出の阻害、及び/又は座摩耗を促進する傾向が強くなるため、特に好ましい平均粒子径としては、5~25μmの範囲が好ましく、また、反射率を高めるために、光輝性顔料は板状であることが好ましく、そのアスペクト比(平均粒子径/平均厚み)としては、1超であることが好ましく、5以上であることがより好ましく、10以上であることが更に好ましい。一方で光輝性顔料の分散性を考慮すると、アスペクト比は200以下であることが好ましく、100以下であることがより好ましい。
尚、光輝性顔料の平均粒子径は体積基準の平均粒子径(メジアン径)であり、例えば、堀場製作所製レーザー式粒度分布測定機LA-300(体積基準)を用いて測定することができる。
【0020】
(着色顔料)
インキ組成物の着色顔料には、カーボンブラックと有機顔料が併用される。カーボンブラックと有機顔料はいずれも一種としてもよく、二種以上としてもよい。
カーボンブラックとしては市販のものが適用でき、具体的に、三菱カーボンブラック#10B、同#20B、同#14、同#25、同#30、同#33、同#40、同#44、同#45、同#45L、同#50、同#55、同#95、同#260、同#900、同#1000、同#2200B、同#2300、同#2350、同#2400B、同#2650、同#2700、同#4000B、同CF9、同MA8、同MA11、同MA77、同MA100、同MA220、同MA230、同MA600及びMCF88(以上、三菱化学株式会社製)、モナーク120、モナーク700、モナーク800、モナーク880、モナーク1000、モナーク1100、モナーク1300、モナーク1400、モーガルL、リーガル99R、リーガル250R、リーガル300R、リーガル330R、リーガル400R、リーガル500及びリーガル660R(以上、キャボットコーポレーション社製、米国)、プリンテックスA、プリンテックスG、プリンテックスU、プリンテックスV、プリンテックス55、プリンテックス140U、プリンテックス140V、プリンテックス35、プリンテックス40、プリンテックス45、プリンテックス85、ナインペックス35、スペシャルブラック4、スペシャルブラック4A、スペシャルブラック5、スペシャルブラック6、スペシャルブラック100、スペシャルブラック250、スペシャルブラック350、スペシャルブラック550、カラーブラックFW1、カラーブラックFW2、カラーブラックFW2V、カラーブラックFW18、カラーブラックFW
200、カラーブラックS150、カラーブラックS160及びカラーブラックS170(以上、デグサジャパン株式会社製)、ラーベン5000ウルトラII、ラーベン2500ウルトラ、ラーベン1250、ラーベン760ウルトラ(以上、コロンビヤン・カーボン日本株式会社製)を例示できる。
前記したカーボンブラックとしては、分散剤により水系溶媒に分散させたカーボンブラック分散体も適用できる。
【0021】
カーボンブラックの含有率は、インキ組成物全質量を基準として0.1~2.0質量%に調整される。これによりボール座の過度の摩耗を抑制できるため、インキ吐出性を損なうことがない。濃暗色の筆跡を形成させつつボール座の摩耗を抑制することを考慮すれば、カーボンブラックの含有率を0.1~2.0質量%とすることが好ましく、0.2~1.5質量%とすることがより好ましく、0.3~1.2質量%とすることが更に好ましい。
【0022】
有機顔料としては従来公知のものが適用でき、アゾ系顔料、インジゴ系顔料、フタロシアニン系顔料、キナクリドン系顔料、チオインジゴ系顔料、スレン系顔料、ペリノン系顔料、ペリレン系顔料、フタロン系顔料、ジオキサン系顔料、イソインドリノン系顔料、金属錯体系顔料、メチン・アゾメチン系顔料、ジケトピロロピロール系顔料等が挙げられる。このような有機顔料には、カーボンブラックと同様に、水系溶媒に有機顔料を分散させてなる有機顔料分散体も適用可能であり、例えば、C.I.Pigment Blue 15:3B〔品名:S.S.Blue GLL、顔料分22%、山陽色素株式会社製〕、C.I. Pigment Red 146〔品名:S.S.Pink FBL、顔料分21.5%、山陽色素株式会社製〕、C.I.Pigment Yellow 81〔品名:TC Yellow FG、顔料分約30%、大日精化工業株式会社製〕、C.I.PigmentRed220/166〔品名:TC Red FG、顔料分約35%、大日精化工業株式会社製〕等を挙げることができる。
本発明の実施形態において、フタロシアニン骨格またはジオキサジン骨格を有する有機顔料を含み得る。該顔料は着色力及び耐光性が強く、非常に優れた顔料であるものの、本発明者らの検討の結果、インキ中で分離し易いことがわかった。更に、本発明者らは、後述するポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテルを含むことにより、該顔料を含んでいても、該顔料の分離を十分に抑制することができ、良好なインキ安定性等を得られることを見出した。
フタロシアニン骨格を有する有機顔料としては、Pigment Blue 15、同15:1、同15:2、同15:3、同15:4、同15:6、同16、同17:1、Pigment Green 7、同36、同58等が挙げられる。
ジオキサジン骨格を有する有機顔料としては、Pigment Violet 23、同37等が挙げられる。
【0023】
有機顔料の含有率は、カーボンブラックとの併用で筆跡の色調を濃暗色に調整するため、インキ組成物全質量を基準として2~10質量%の範囲とすることが好ましい。より好ましい含有率は3~8質量%であり、更に好ましくは4~6質量%である。
【0024】
筆跡の色調を濃暗色に調整することをより考慮すれば、インキ組成物全質量を基準として、有機顔料の含有率は、カーボンブラックの含有率に対して、等倍以上15倍以下とすることが好ましく、等倍以上13倍以下とすることがより好ましく、1.5倍以上12倍以下とすることが更に好ましい。
【0025】
また、筆跡の色調を濃暗色としつつ、筆跡に仄かな光沢を帯びさせることをより考慮すれば、カーボンブラックの含有率(X)と有機顔料の含有率(Y)と光輝性顔料の含有率(A)との関係は、0.1≦[(X)+(A)]/(Y)≦1を満たすことが好ましく、0.2≦[(X)+(A)]/(Y)≦0.9を満たすことがより好ましく、0.25≦[(X)+(A)]/(Y)≦0.85が更に好ましい。
【0026】
本発明の実施形態において、光輝性顔料と着色顔料(カーボンブラックと有機顔料)との質量比は1:1~1:10であることが好ましく、1:3~1:10であることがより好ましい。これにより、より良好なインキ吐出性および筆記感を得ることができる。
【0027】
(マイクロカプセル粒子)
マイクロカプセル粒子(以下単に「MC粒子」と称することがある)は、光輝性顔料同士の吸着、及び/又は着色顔料同士の吸着を抑制する作用があり、顔料が凝集することを効果的に抑制できる。
【0028】
マイクロカプセル粒子は、従来公知のマイクロカプセル化法により壁膜形成物質からなる殻体に必要に応じて内包物を内包させることで得られるものであり、壁膜形成物質としては、例えば、ゼラチン、シェラック、アラビアガム、ロジン、ロジンエステル、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、パラフィン、トリステアリン、ポリビニルアルコール、ポリエチレン、ポリプロピレン、アクリル系樹脂、ビニル系樹脂、ポリイソブテン、ポリウレタン、ポリブタジエン、ポリエステル、ポリアミド、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、シリコーン樹脂、ポリスチレン、メラミン樹脂等を単独又は混合して使用することができる。
前記マイクロカプセル化法としては、例えば、界面重合法、界面重縮合法、insitu重合法、コアセルベーション法、液中硬化被覆法、水溶液からの相分離法、有機溶媒からの相分離法、融解分散冷却法、気中懸濁被覆法、スプレードライニング法等を挙げることができ、適宜選択することができる。
【0029】
マイクロカプセル粒子は内包物を有していても良い。
内包物としては常温常圧下で液体または固体である物質が挙げられ、その一例として親油性化合物が挙げられる。親油性化合物は、例えば、芳香族炭化水素類、エステル類、ケトン類、高級アルコール類およびエーテル類からなる群から選択されるいずれか一種以上であり、その具体例としては、例えば、特開2012-77260号公報段落[0026]~[0035]に記載の物質が挙げられる。更に、前記親油性化合物としては、例えば、特開2021-31679号公報段落[0036]~[0037]に記載の電子供与性呈色性有機化合物((イ)成分)、同公報[0038]~[0050]及び特開2020-196857号公報段落[0058]に記載の電子受容性化合物((ロ)成分)、特開2021-31679号公報段落[0051]~[0070]に記載のアルコール類、エステル類、ケトン類、エーテル類、アミド類等の物質((ハ)成分)、前記(イ)成分、(ロ)成分及び(ハ)成分からなる熱変色性組成物も例示できる。更には、特開2021-31679号公報段落[0073]に記載の光変色性材料及び同公報段落[0074]~[0075]に記載の光変色性組成物も親油性化合物として適用できる。
更に、比重が1.0以下の親油性化合物を用いることで、MC粒子の比重を小さくしてインキ組成物の媒体との比重差を小さく調整することが容易に行い得るため、MC粒子がインキ中でより分散状態を維持し易いものとなる。
尚、本明細書では、常温常圧とは20℃、1.01325×105Paを指す。
【0030】
マイクロカプセル粒子は、平均粒子径が0.2~5μm、好ましくは0.5~3μmの範囲となるようにマイクロカプセル化され得る。平均粒子径を0.2μm以上とすることにより、少量で光輝性顔料の凝集を効果的に抑制することができる。また、平均粒子径を5μm以下とすることで、MC粒子の吐出性の低下を抑制することができる。尚、マイクロカプセルの平均粒子径としては、等体積球相当の粒子の平均粒子径(メジアン径)を用いる。その最適測定としては直接的測定法にてキャリブレーションを行ったレーザー回折/散乱式粒子径分布測定装置である堀場製作所製のレーザー回折式粒度分布測定装置LA-300を用いて測定できる。キャリブレーションに用いる直接的測定法としては、
(i)顕微鏡で撮影した画像から個々の粒子の面積(2次元)を計測して相当径を測定する、画像解析法、または、
(ii)コールターカウンターを用いて検出器の微小な穴(アパチャー)に定電流を流し、その穴を粒子が通過する際に生じるインピーダンスの変化から相当径を測定する、コールター法(電気的検知帯法)
などが挙げられ、レーザー測定法のキャリブレーションはこれらによって得られた値を元に行なう。
画像解析法による平均粒子径の測定は、例えば、マウンテック社製の画像解析式粒度分布測定ソフトウェア「マックビュー」を用いて粒子の領域を判定し、粒子の領域の面積から投影面積円相当径(Heywood径)を算出し、その値による等体積球相当の粒子の平均粒子径として測定することができる。
コールター法による平均粒子径の測定は、全ての粒子、あるいは、大部分の粒子の粒子径が0.2μmを超える場合に適用可能であり、例えば、ベックマン・コールター社製の粒度分布測定装置「Multisizer 4e」を用いて測定することができる。
【0031】
マイクロカプセル粒子の外観形状としては、真球、略真球、楕円体などの球体であれば、特に限定されるものではないが、表面(球面)に窪みを有する球体であることが好ましい。
直径0.4mm未満の小径ボールを先端部に配したボールペンチップにおいては、インキ吐出口(流出孔)が極めて狭いため、粒子径の大きな材料を添加したインキにおいては、筆記時のインキ吐出が妨げられ、十分な吐出量が得られなくなることで、筆跡掠れや潤滑性の低下に伴う座摩耗を生じたり、目詰まりによって筆記不能となる傾向がある。
そこでマイクロカプセル粒子を、表面(球面)に窪みを有する球体とすることで、粒子径が大きくなった場合であっても、筆記時に吐出口から流出する際、空気が少し抜けた軟式テニスボールのように、窪みが球面を移動したり、窪み部分の形状が変化することによって容易に球体の形状を変えることが可能となるため、真球のマイクロカプセルに比べて流動性を妨げることなく、安定的な吐出性能が維持できるものとなる。
そのため、直径0.4mm未満のボールを有するボールペンやボールペンレフィルへの適用において、より有用なインキ組成物が構成できるものとなる。
【0032】
インキ組成物中のマイクロカプセル粒子の含有率は、光輝性顔料の含有率に対して、質量基準で1.5倍以上、10倍以下で適用される。マイクロカプセル粒子の含有率を前記した範囲内で適用すると、光輝性顔料の沈降、凝集を抑制しつつ、インキ吐出性及び筆記感を良好とすることができる。
マイクロカプセル粒子の含有率が光輝性顔料の含有率に対して1.5倍未満の場合、光輝性顔料の沈降、凝集を抑制する効果が不十分であり、マイクロカプセル粒子の含有率が10倍を超えると、インキ吐出性が低下して筆跡に掠れが生じ易くなる。マイクロカプセル顔料の好ましい含有率は、光輝性顔料に対して2倍以上8倍以下であり、より好ましくは2.5倍以上6倍以下であり、更に好ましくは3倍以上5倍以下である。
【0033】
(剪断減粘性付与剤)
剪断減粘性付与剤としては、水に可溶乃至分散性の物質が効果的であり、キサンタンガム、ウェランガム、ゼータシーガム、ダイユータンガム、マクロホモプシスガム、構成単糖がグルコースとガラクトースの有機酸修飾ヘテロ多糖体であるサクシノグリカン(平均分子量約100乃至800万)、グアーガム、ローカストビーンガム及びその誘導体、アルギン酸アルキルエステル類、メタクリル酸のアルキルエステルを主成分とする分子量10万~15万の重合体、グルコマンナン、カラゲニン等の海藻より抽出されるゲル化能を有する炭水化物、ポリN-ビニル-カルボン酸アミド架橋物、ベンジリデンソルビトール及びベンジリデンキシリトール又はこれらの誘導体、架橋性アクリル酸重合体、無機質微粒子、HLB値が8~12のノニオン系界面活性剤、ジアルキルスルホコハク酸の金属塩及びアミン塩等を例示できる。
更には、インキ組成物中にN-アルキル-2-ピロリドンとアニオン系界面活性剤を併用して添加してもよい。
前記した中でも、キサンタンガム及びサクシノグリカンは高い剪断減粘性が得られ、静置時における顔料及びマイクロカプセル粒子の沈降、凝集抑制と筆記時の良好なインキ吐出性を両立させ易いことから、好ましく用いられる。
【0034】
剪断減粘性付与剤の含有率は、インキ組成全質量を基準として0.1~0.5質量%とすることが好ましく、0.2~0.5質量%とすることがより好ましく、0.25~0.45質量%とすることが更に好ましい。含有率をこのような範囲内にすると、静置時における顔料及びマイクロカプセル粒子の沈降、凝集を抑制でき、筆記時の良好なインキ吐出性を確保でき、また、筆跡滲みを抑制し易い。
【0035】
本発明の実施形態に係るインキ組成物は、剪断減粘性付与剤を適用しつつ、光輝性顔料、カーボンブラック、有機顔料、マイクロカプセル粒子、及び水を含有し、カーボンブラック、有機顔料及び光輝性顔料の含有量と、マイクロカプセル粒子と光輝性顔料との含有量比とを所定範囲に調整することにより、光輝性顔料の沈降、凝集、及びカーボンブラックの適用に伴うボール座の過度の摩耗によって筆記性が損なわれることを抑制できる。更に、濃暗色で仄かな光沢を帯びた、落ち着き感のある筆跡が安定して得ることも可能となる。
尚、本発明に適用される水性インキ組成物は、インキ組成物全質量を基準とする、光輝性顔料の含有率(A)と、カーボンブラックの含有率(X)と、有機顔料の含有率(Y)と、マイクロカプセル粒子の含有率(B)との総和を5質量%以上20質量%以下とすることが好ましい。含有率の総和を前記した範囲とすることで、落ち着き感のある筆跡を形成可能としつつ、インキ組成物の耐ドライアップ性を良好とし、インキ組成物を内蔵するボールペンやボールペンレフィルが、ペン先が露出した状態で保管された場合であっても、ペン先の乾燥によって再筆記不能になることを抑制できる。
【0036】
インキ組成物には、必要に応じて、水性媒体に溶解可能な染料、蛍光顔料、酸化チタン、酸化亜鉛等の金属酸化物顔料、顔料分散剤、水溶性有機溶剤、潤滑剤、pH調整剤、防錆剤、防腐剤或いは防黴剤、湿潤剤、消泡剤、気泡抑制剤、浸透剤、デキストリン等を適用できる。
【0037】
前記染料としては、酸性染料、塩基性染料、直接染料等を使用することができ、酸性染料としては、ニューコクシン(C.I.16255)、タートラジン(C.I.19140)、アシッドブルーブラック10B(C.I.20470)、ギニアグリーン(C.I.42085)、ブリリアントブルーFCF(C.I.42090)、アシッドバイオレット6B(C.I.42640)、ソルブルブルー(C.I.42755)、ナフタレングリーン(C.I.44025)、エオシン(C.I.45380)、フロキシン(C.I.45410)、エリスロシン(C.I.45430)、ニグロシン(C.I.50420)、アシッドフラビン(C.I.56205)等が用いられる。
塩基性染料としては、クリソイジン(C.I.11270)、メチルバイオレットFN(C.I.42535)、クリスタルバイオレット(C.I.42555)、マラカイトグリーン(C.I.42000)、ビクトリアブルーFB(C.I.44045)、ローダミンB(C.I.45170)、アクリジンオレンジNS(C.I.46005)、メチレンブルーB(C.I.52015)等が用いられる。
直接染料としては、コンゴーレッド(C.I.22120)、ダイレクトスカイブルー5B(C.I.24400)、バイオレットBB(C.I.27905)、ダイレクトディープブラックEX(C.I.30235)、カヤラスブラックGコンク(C.I.35225)、ダイレクトファストブラックG(C.I.35255)、フタロシアニンブルー(C.I.74180)等が用いられる。
【0038】
蛍光顔料としては、各種蛍光性染料を樹脂マトリックス中に固溶体化した合成樹脂微細粒子状の蛍光顔料が使用できる。
【0039】
顔料分散剤としては、水溶性樹脂、水溶性ポリマーの他、界面活性剤等が適用できる。
本発明の実施形態に係るインキ組成物は、マイクロカプセル粒子等に加え、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテルという特定の界面活性剤を含むことが好ましい。これにより、剪断減粘性効果を低減させることなく、着色顔料の分離を抑制しやすくなる。ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテルの少なくとも一部は、着色顔料(有機顔料及びカーボンブラック)の表面に存在し得る。
ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテルは、一般的に下記式(1)で表され得る。
H-O-(C2H4O)m(C3H6O)n-R1 ・・・ (1)
上記式(1)中、R1は脂肪族炭化水素基であって炭素数は4から24であり得、mはエチレンオキシド平均付加モル数であって3から45の数であり得、nはプロピレンオキシド平均付加モル数であって1から33の数であり得る。
ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテルの市販品の例として、三洋化成工業(株)製ニューポール50HBシリーズ、(株)ADEKA製アデカノールBPEシリーズ、日光ケミカルズ(株)製NIKKOLPBCシリーズ、日本エマルジョン(株)製EMALEX DAPEシリーズの他、青木油脂工業(株)製として、ブラウノンDCシリーズ、同SRPシリーズ、ファインサーフNDBシリーズが挙げられる。
本発明の実施形態に係るボールペン用インキ組成物に含まれるポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテルは一種としてもよく、二種以上としてもよい。
【0040】
ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテルのHLB値は10以上15未満であることが好ましい。これにより、より良好なインキ吐出性を得ることができる。尚、HLB値は、分散剤等の疎水性と親水性のバランスを表す数値であり、一般に、数値が大きい程親水性であり、小さい程疎水性であることを示す。本発明の実施形態において、HLB値はグリフィン法で求めるものとし、具体的には、下記式(2)のように求められる。
HLB値=20×(親水部の式量の総和)/(分子量) ・・・ (2)
ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテルの含有率は、インキ組成物全質量を基準として、0.1質量%以上4.0質量%未満であることが好ましい。より好ましくは0.5質量%以上4.0質量%未満であり、0.5質量%以上3.5質量%以下が更に好ましい。これにより、より良好な筆記感を得ることができる。
【0041】
水溶性有機溶剤としては従来汎用のものを用いることができ、例えば、エタノール、プロパノール、ブタノール、グリセリン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、チオジエチレングリコール、ヘキシレングリコール、1,3-ブタンジオール、ネオプレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、2-ピロリドン、N-メチル-2-ピロリドン等が挙げられる。
前記水溶性有機溶剤は、インキ組成物全質量を基準として、例えば1~40質量%、好ましくは5~30質量%で適用され、一種又は二種以上を用いることができる。
【0042】
潤滑剤としては、リン酸エステル系界面活性剤、金属石鹸、ポリアルキレングリコール脂肪酸エステル、エチレンオキサイド付加型カチオン活性剤、N-アシルアミノ酸系界面活性剤、ジカルボン酸型界面活性剤、β-アラニン型界面活性剤、2,5-ジメルカプト-1,3,4-チアジアゾール及びその塩又はオリゴマー、3-アミノ-5-メルカプト-1,2,4-トリアゾール、チオカルバミン酸塩、ジメチルジチオカルバミン酸塩、α-リポ酸、N-アシル-L-グルタミン酸とL-リジンとの縮合物及びその塩等が挙げられ、リン酸エステル系界面活性剤が好ましく適用できる。
【0043】
pH調整剤には、従来公知の酸性物質、塩基性物質が適用でき、酸性物質としては例えば、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、炭酸、ホウ酸、乳酸、クエン酸、酒石酸、リンゴ酸等が挙げられ、塩基性物質としては例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の強アルカリ、或いはアンモニア、炭酸ナトリウム、リン酸水素ナトリウム、リン酸水素カリウム等の弱アルカリが挙げられる。また、塩基性物質としてはモノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルカノールアミン類も適用可能である。前記した塩基性物質はリン酸エステル系界面活性剤の中和剤としても適用できる。
【0044】
防錆剤としてはベンゾトリアゾール及びその誘導体、トリルトリアゾール、ジシクロヘキシルアンモニウムナイトライト、ジイソプロピルアンモニウムナイトライト、チオ硫酸ナトリウム、サポニン、またはジアルキルチオ尿素等が挙げられ、防腐剤或いは防黴剤としては石炭酸、2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オン、1,2-ベンズイソチアゾリン-3-オン、2-n-オクチル-4-イソチアゾリン-3-オン、2-メチル-4,5-トリメチレン-4-イソチアゾリン-3オン、N-(n-ブチル)-1,2-ベンズイソチアゾリン-3-オン、2-ピリジンチオール-1-オキシドナトリウム、3-ヨード-2-プロピニルブチルカルバマート、ベンゾトリアゾール及びフェノール、安息香酸ナトリウム、デヒドロ酢酸ナトリウム、ソルビン酸カリウム、パラオキシ安息香酸プロピル、2,3,5,6-テトラクロロ-4-(メチルスルフォニル)ピリジン等が挙げられ、湿潤剤としては尿素、ソルビット、マンニット、ショ糖、ぶどう糖、還元デンプン加水分解物、ピロリン酸ナトリウム等が挙げられる。
【0045】
更に、気泡吸収剤としては、例えばアスコルビン酸類、エリソルビン酸類、α-トコフェロール、カテキン類、合成ポリフェノール、コウジ酸、アルキルヒドロキシルアミン、オキシム誘導体、α-グルコシルルチン、α-リポ酸、ホスホン酸塩、ホスフィン酸塩、亜硫酸塩、スルホキシル酸塩、亜ジチオン酸塩、チオ硫酸塩、二酸化チオ尿素等を例示できる。
【0046】
デキストリンとしては8糖以上の澱粉糖化物及び/又はその還元物を含む糖混合物であることが好ましい。そして、この糖混合物は、8糖以上の澱粉糖化物等を30質量%以上含むことが好ましく、50質量%以上含むことがより好ましく、70質量%以上含むことが特に好ましい。このようなデキストリンは、皮膜形成性に優れるため、ペン先からの水分蒸発を抑えてペン先のドライアップを抑制する効果が大きいので好ましい。
【0047】
インキ組成物には、この他、N-ビニル-2-ピロリドンのオリゴマー、N-ビニル-2-ピペリドンのオリゴマー、N-ビニル-ε-カプロラクタムのオリゴマー、N-ビニル-2-ピロリドン、N-シクロヘキシル-2-ピロリドン、ε-カプロラクタム等の増粘抑制剤を添加することで、出没式形態での機能を高めることもできる。また、耐乾燥性を妨げない範疇でアルキッド樹脂、アクリル樹脂、スチレンマレイン酸共重合物、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、デキストリン等の水溶性樹脂を一種又は二種以上添加することもできる。更には、紙面への固着性及び粘性を付与するために水溶性樹脂を添加することもできる。前記水溶性樹脂としては、アルキッド樹脂、スチレンマレイン酸共重合物、セルロース誘導体、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、デキストリン等が挙げられる。
【0048】
インキ組成物は、せん断速度3.84sec-1で測定される粘度が600~2000mPa・sであり、かつ、せん断速度384sec-1で測定される粘度が20~100mPa・sであることが好ましい。インキ組成物のより好ましい粘度は、せん断速度3.84sec-1で測定される粘度が1000~1600mPa・sであり、せん断速度384sec-1で測定される粘度が30~60mPa・sである。
インキ組成物の粘度が前記範囲であると、静置状態におけるボールペンチップからのインキ漏れ、及び顔料の沈降、凝集等が十分に抑制されるとともに、筆記時のボールペンチップからのインキ吐出性が良好となり、鮮明な筆跡を形成し易い。
インキ組成物の粘度は、光輝性顔料、カーボンブラック、有機顔料、マイクロカプセル粒子及び剪断減粘性付与剤の含有量等のインキ組成を適宜調整することで、所望の範囲に調整することができる。
尚、粘度の測定は、インキ組成物が20℃の状態において行い、測定機にはティーエイインスツルメント社製のレオメーター「Discovery HR-2」を用いることができる。
【0049】
(ボールペン及びボールペンレフィル)
ボールペンとしては、例えば、軸筒内に、インキ組成物を充填したインキ収容管を有し、インキ収容管はボールを先端部に装着したボールペンチップに連通しており、更にインキ収容管に収容されるインキ組成物の端面には逆流防止用の液栓が密接している構造を例示できる。
筆記先端部となるボールペンチップは、例えば、金属を切削加工して内部にボール受け座とインキ導出部を形成したもの、金属製パイプの先端近傍の内面に複数の内方突出部を外面からの押圧変形により設け、前記内方突出部の相互間に、中心部から径方向外方に放射状に延びるインキ流出間隙を形成したもの等を適用でき、特に押圧変形によるチップは、ボール後端との接触面積が比較的小であり、低筆記圧でのスムーズな筆記感を与えることができる。
前記金属製パイプは、一例として、先端部がストレート状の円筒体(直管状の円筒体)であり、かつ、先端部の後方が外径及び内径が拡径する形状である構成が挙げられる。パイプの形状は、全体がストレート状の円筒体から成る構成であっても良い。
【0050】
前記ボールペンチップに抱持されるボールは、超硬合金、ステンレス鋼、ルビー、セラミック等の外径0.1mm以上であり、0.4mm未満のものが用いられ、好ましくは0.18~0.38mm、より好ましくは0.28~0.38mmのボールが有効である。
0.4mm未満のボールを用いる場合、インキ吐出量を増やす目的、及び/又は光輝性顔料やマイクロカプセル粒子を安定吐出する目的で、チップのクリアランスを大きくする必要があるため、チップに残存するインキは水分が蒸発し易くなる。そのため、本発明の実施形態のインキがより有効に作用するものとなる。
尚、前記ボールペンチップには、チップ内にボールの後端を前方に弾発する弾発部材を配して、非筆記時にはチップ先端の内縁にボールを押圧させて密接状態とし、筆記時には筆圧によりボールを後退させてインキを流出可能に構成することもでき、不使用時のインキ漏れを抑制できる。
前記弾発部材は、金属細線のスプリング、前記スプリングの一端にストレート部(ロッド部)を備えたもの、線状プラスチック加工体等を例示でき、5~40gの弾発力により、押圧可能に構成して適用される。
【0051】
インキ組成物を収容するインキ収容管は、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ナイロン等の熱可塑性樹脂からなる成形体、金属製管状体が用いられる。インキ収容管にはチップを直接連結する他、接続部材(チップホルダー)を介して前記インキ収容管とチップを連結してもよい。
【0052】
ボールペンは、インキ収容管をボールペンレフィルの形態として、ボールペンレフィルを樹脂製、金属製等の軸筒内に収容するものでもよいし、先端部にボールペンチップを装着した軸筒自体をインキ収容体として、軸筒内に直接インキを充填したものでもよい。
【0053】
インキ収容管をボールペンレフィルの形態とする場合、ボールペンレフィルはインキ組成物を収容するインキ収容管と、インキ収容管に直接又は接続部材を介して装着され、ボールを回転自在に抱持するボールペンチップとを備えて構成される。更に、インキ収容管後端(チップが装着されていない端部)に尾栓を設けることも可能である。
【0054】
また、インキ組成物を出没式ボールペンに適用する場合、出没式ボールペンの構造、形状は特に限定されるものではなく、ボールペンレフィルに設けられた筆記先端部が外気に晒された状態で軸筒内に収納されており、出没機構の作動によって軸筒開口部から筆記先端部が突出する構造であれば全て用いることができる。出没機構の操作方法としては、例えば、ノック式、回転式、スライド式等が挙げられる。
ノック式としては、軸筒後端部又は軸筒側面にノック部を有し、ノック部の押圧により、筆記先端部を軸筒前端開口部から出没させる構成、或いは、軸筒に設けたクリップ部を押圧することにより、筆記先端部を軸筒前端開口部から出没させる構成を例示できる。 回転式としては、軸筒後部に回転部を有し、回転部を回すことにより筆記先端部を軸筒前端開口部から出没させる構成を例示できる。
スライド式としては、軸筒側面にスライド部を有し、スライド操作することにより筆記先端部を軸筒前端開口部から出没させる構成、或いは、軸筒に設けたクリップ部をスライドさせることにより、筆記先端部を軸筒前端開口部から出没させる構成を例示できる。 尚、出没式ボールペンは、軸筒内に複数のボールペンレフィルを収容してなり、出没機構の作動によっていずれかのボールペンレフィルの筆記先端部が軸筒前端開口部から出没する複合タイプの出没式ボールペンであってもよい。
【0055】
インキ収容管に収容されるインキ組成物の後端には、インキ逆流防止体が充填される。インキ逆流防止体は不揮発性液体又は難揮発性液体からなり得る。具体的には、ワセリン、スピンドル油、ヒマシ油、オリーブ油、精製鉱油、流動パラフィン、ポリブテン、α-オレフィン、α-オレフィンのオリゴマーまたはコオリゴマー、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル、アミノ変性シリコーンオイル、ポリエーテル変性シリコーンオイル、脂肪酸変性シリコーンオイル等が挙げられ、一種単独で又は二種以上を併用することもできる。不揮発性液体及び難揮発性液体の少なくとも一方は、増粘剤を添加して好適な粘度まで増粘させることが好ましい。
増粘剤としては表面を疎水処理したシリカ、表面をメチル化処理した微粒子シリカ、珪酸アルミニウム、膨潤性雲母、疎水処理を施したベントナイト、モンモリロナイトなどの粘土系増粘剤、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸亜鉛等の脂肪酸金属石鹸、トリベンジリデンソルビトール、脂肪酸アマイド、アマイド変性ポリエチレンワックス、水添ひまし油、脂肪酸デキストリン等のデキストリン系化合物、セルロース系化合物等を挙げることができる。
更に、液状のインキ逆流防止体と、固体のインキ逆流防止体を併用することもできる。
【0056】
ボールペンの形態は前述したものに限らず、相異なる形態のチップを装着させたり、相異なる色のインキ組成物を導出させるチップを装着させた両頭式筆記具であってもよい。
【0057】
更に、前記ボールペンとともに、摩擦熱によって筆跡を消色又は変色させるための摩擦部材を用いることができる。
前記摩擦部材としては、弾性感に富み、摩擦時に適度な摩擦を生じて摩擦熱を発生させることのできるエラストマー、プラスチック発泡体等の弾性体が好適である。尚、消しゴムを使用して筆跡を摩擦することもできるが、摩擦時に消しカスが発生するため、前述の摩擦部材が好適に用いられる。
前記摩擦部材の材質としては、シリコーン樹脂やSEBS樹脂(スチレンエチレンブチレンスチレンブロック共重合体)、SBS樹脂(スチレンブタジエンスチレン共重合体)等のスチレン系熱可塑性エラストマー、ポリエステル系樹脂、ポリプロピレン樹脂とスチレン系熱可塑性エラストマーの混合物、ポリプロピレン樹脂とポリプロピレン系熱可塑性エラストマーの混合物等が用いられる。
前記摩擦部材はボールペンと別体の任意形状の部材(摩擦体)とを組み合わせて筆記具セットを得ることもできるが、ボールペン外装に摩擦部材を固着させることにより、携帯性に優れた形態となる。
キャップ式ボールペンの場合、摩擦部材を設ける箇所は特に限定されるものではないが、例えば、キャップ自体を摩擦部材により形成したり、軸筒自体を摩擦部材により形成したり、クリップを設ける場合はクリップ自体を摩擦部材により形成したり、キャップ先端部(頂部)或いは軸筒後端部(筆記先端部を設けていない部分)に摩擦部材を設けることができる。
出没式ボールペンの場合、摩擦部材を設ける箇所は特に限定されるものではないが、例えば、軸筒自体を摩擦部材により形成したり、クリップを設ける場合はクリップ自体を摩擦部材により形成したり、軸筒開口部近傍、軸筒後端部(筆記先端部を設けていない部分)或いはノック部に摩擦部材を設けることができる。
【実施例0058】
以下に実施例を説明するが、本発明の実施形態はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0059】
表1に実施例のボールペン用水性インキの組成を示し、表2に比較例のボールペン用水性インキの組成を示す。尚、表中の組成の数値は質量部を示す。
光輝性顔料の平均粒子径は、透過型電子顕微鏡又は走査型電子顕微鏡で撮影し、画像解析式粒度分布測定ソフトウェア(マックビュー、マウンテック社製)で200個以上の粒子の直径を測定し、その算術平均値を算出することによって得られた値である。
また、マイクロカプセル顔料の平均粒子径には、体積基準による平均粒子径(メジアン径)を用いるが、その粒子径測定にあたっては、画像解析式粒度分布測定ソフトウェア(マックビュー、マウンテック社製)、コールター法(電気的検知帯法)粒子径測定装置、レーザー回折/散乱式粒子径分布測定装置(装置名:LA-960V2、株式会社堀場製作所製)等が使用できる。尚、レーザー回折/散乱式粒子径分布測定装置を用いる場合は、標準試料やコールター法(電気的検知帯法)などの他の測定装置によりキャリブレーションを行った測定装置にて測定を行う。前記測定機によって、得られる数値に差が生じる場合は、前記画像解析式粒度分布測定ソフトウェアを用いて得られた数値を優先する。
本実施例においては、コールター法(電気的検知帯法)によりキャリブレーションを行った前記レーザー回折式粒度分布測定装置(装置名:LA-960V2、株式会社堀場製作所製)用いて体積基準による平均粒子径(メジアン径)および粒子径を測定した。
【0060】
【0061】
【0062】
表中の原料の内容について注番号に沿って説明する。
(1)アルミニウム粉顔料、東洋アルミニウム(株)製、商品名:アルミニウムペーストEMERAL EMR-D5660H(平均粒子径:9μm、有効成分:60質量%)
(2)界面重合法を用いてステアリン酸ステアリルを内包したマイクロカプセル粒子(平均粒子径:2μm、壁膜形成物質:ウレタン樹脂からなる、球面に窪みを有する球体)
(3)insitu重合法を用いてステアリン酸ステアリルを内包したマイクロカプセル粒子(平均粒子径:2μm、壁膜形成物質:メラミン樹脂からなる、球面に窪みを有する球体)
(4)insitu重合法を用いてステアリン酸ステアリルを内包したマイクロカプセル粒子(平均粒子径:2μm、壁膜形成物質:メラミン樹脂とホルマリン樹脂からなる、略真球状の球体)
(5)アシッドブルー90
(6)ブロック共重合体40質量%水溶液(商品名:DISPER BYK-190、BYK社製)
(7)ポリオキシエチレンアリールエーテルリン酸エステル(商品名:プライサーフAL、第一工業製薬株式会社製)
(8)サクシノグリカン(商品名:レオザン、三晶株式会社製)
(9)商品名:サンデック#100(8糖以上の澱粉糖化物を含む糖混合物、三和澱粉工業株式会社製)
【0063】
インキの調製
水に剪断減粘性付与剤以外の成分を添加して、20℃で、ディスパーにて2000rpm、1時間攪拌した後、剪断減粘性付与剤としてサクシノグリカンを加えて更に1時間攪拌することで各インキ組成物を調製した。
【0064】
インキ逆流防止体の調製
基油としてポリブテン98.5部中に、増粘剤として脂肪酸アマイド1.5部を添加した後、3本ロールにて混練してインキ逆流防止体を得た。
【0065】
ボールペンレフィルaの作製
先端部がストレート状の円筒体であり、かつ、先端部の後方が、外径及び内径が拡径する形状である金属製パイプの、先端近傍の内面に、複数の内方突出部が外面からの押圧変形により設けられ、前記内方突出部の相互間に、中心部から径方向外方に放射状に延びるインキ流出間隙が形成されたボール抱持室が設けられ、そのボール抱持室に直径0.3mmの超硬合金ボールが抱持されてなるステンレススチール製ボールペンチップが、樹脂製ホルダーを介して一端に嵌着されたインキ収容管に、上記インキ組成物を0.8g充填し、インキ組成物の後端に上記インキ逆流防止体を配設した後、後端に尾栓を嵌着させて遠心処理を施すことでボールペンレフィルaを得た。
【0066】
ボールペンレフィルbの作製
ステンレス鋼線材をドリル等で切削加工して、ボール抱持室と、インキ流通孔とインキ流通溝とを設け、前記ボール抱持室に直径0.3mmの超硬合金ボールを載置し、チップ先端部を内側にかしめることで得られるステンレススチール製ボールペンチップが、樹脂製ホルダーを介して一端に嵌着されたインキ収容管に、上記インキ組成物を0.8g充填し、インキ組成物の後端に上記インキ逆流防止体を配設した後、遠心処理を施すことでボールペンレフィルbを得た。
【0067】
ボールペンaの作製
上記ボールペンレフィルaを、市販のボールペン外装〔商品名:フリクションポイントノック、(株)パイロットコーポレーション製〕に組み込み、試料ボールペンaを作製した。
【0068】
ボールペンbの作製
上記ボールペンレフィルbを、市販のボールペン外装〔商品名:フリクションボールノック、(株)パイロットコーポレーション製〕に組み込み、試料ボールペンbを作製した。
【0069】
前記試料ボールペンを用いて以下の評価を行った。
尚、筆記用の試験紙には、商品名:コピーペーパースタンダードタイプIIスーパー高白色、販売元:(株)カウネットを用いた。
【0070】
色調評価及び光輝性評価
上記ボールペンaにて試験紙に10mm角の正方形を塗りつぶし、筆跡の色調及び光輝性を目視で観察した。
【0071】
筆記性評価
上記ボールペンa,bにて、試験紙に4m/分の速度で螺旋状の円を筆記し、筆跡を目視で確認した。評価基準はA及びBを合格とした。
A:筆跡が掠れることなくインキを消費しきるまで筆記ができる。
B:わずかに筆跡掠れが生じるが、インキを消費し切るまで筆記することができる。
C:筆跡のカスレが顕著に発生し、インキを消費し切る前に筆記不能となった。
前記各評価の結果は表1及び表2に示した。