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特開2024-93075蓄電池ユニット、蓄電池システム、制御装置、及び異常検出方法
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  • 特開-蓄電池ユニット、蓄電池システム、制御装置、及び異常検出方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024093075
(43)【公開日】2024-07-09
(54)【発明の名称】蓄電池ユニット、蓄電池システム、制御装置、及び異常検出方法
(51)【国際特許分類】
   G01R 31/382 20190101AFI20240702BHJP
   G01R 31/385 20190101ALI20240702BHJP
   H01M 10/48 20060101ALI20240702BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20240702BHJP
【FI】
G01R31/382
G01R31/385
H01M10/48 P
H02J7/00 Y
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022209214
(22)【出願日】2022-12-27
(71)【出願人】
【識別番号】000002174
【氏名又は名称】積水化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100152272
【弁理士】
【氏名又は名称】川越 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100147267
【弁理士】
【氏名又は名称】大槻 真紀子
(74)【代理人】
【識別番号】100188592
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 洋
(72)【発明者】
【氏名】竹井 英俊
(72)【発明者】
【氏名】上野 敬章
(72)【発明者】
【氏名】植杉 淳司
【テーマコード(参考)】
2G216
5G503
5H030
【Fターム(参考)】
2G216BB15
2G216BB16
5G503AA01
5G503BA02
5G503BB01
5G503EA08
5H030AA06
5H030AS20
5H030FF42
5H030FF43
5H030FF44
(57)【要約】
【課題】内蔵のセンサの異常を検出する。
【解決手段】蓄電池ユニットは、充放電可能な電池セルと、前記電池セルを流れる電流を検出する電流センサと、前記電池セルの電圧を検出する電圧センサと、前記電流センサが予め定めらえた特定の電流値を検出した状態において、前記電圧センサが検出した第1電圧値と、当該状態を継続したまま規定時間経過した際に、前記電圧センサが検出した第2電圧値との変化量に基づいて、前記電流センサ又は前記電圧センサの異常を検出する異常検出処理部とを備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
充放電可能な電池セルと、
前記電池セルを流れる電流を検出する電流センサと、
前記電池セルの電圧を検出する電圧センサと、
前記電流センサが予め定めらえた特定の電流値を検出した状態において、前記電圧センサが検出した第1電圧値と、当該状態を継続したまま規定時間経過した際に、前記電圧センサが検出した第2電圧値との変化量に基づいて、前記電流センサ又は前記電圧センサの異常を検出する異常検出処理部と
を備えることを特徴とする蓄電池ユニット。
【請求項2】
前記状態は、前記特定の電流値として、一定の電流値以上が流れている状態であり、
前記異常検出処理部は、前記特定の電流値として、前記一定の電流値以上が流れている状態において、前記第1電圧値から前記第2電圧値への前記変化量が、規定電圧以下である場合に、前記電流センサ又は前記電圧センサに異常が発生していると判定する
ことを特徴とする請求項1に記載の蓄電池ユニット。
【請求項3】
前記異常検出処理部は、
前記特定の電流値として、前記一定の電流値以上が、電池セルに流れ込んでいる状態において、前記第1電圧値から前記第2電圧値への電圧上昇が、前記規定電圧を超える場合に、前記電流センサ及び前記電圧センサが正常であると判定し、
前記第1電圧値から前記第2電圧値への電圧上昇が、前記規定電圧以下である場合に、前記電流センサ又は前記電圧センサに異常が発生していると判定する
ことを特徴とする請求項2に記載の蓄電池ユニット。
【請求項4】
前記異常検出処理部は、
前記特定の電流値として、前記一定の電流値以上が、電池セルから出力される状態において、前記第1電圧値から前記第2電圧値への電圧低下が、前記規定電圧を超える場合に、前記電流センサ及び前記電圧センサが正常であると判定し、
前記第1電圧値から前記第2電圧値への電圧低下が、前記規定電圧以下である場合に、前記電流センサ又は前記電圧センサに異常が発生していると判定する
ことを特徴とする請求項2に記載の蓄電池ユニット。
【請求項5】
前記状態は、前記特定の電流値として、一定の電流値以下の電流が流れている状態であり、
前記異常検出処理部は、
前記特定の電流値として、一定の電流値以下の電流が流れている状態において、前記第1電圧値から前記第2電圧値への前記変化量が、規定電圧以上である場合に、前記電流センサ又は前記電圧センサに異常が発生していると判定し、
前記第1電圧値から前記第2電圧値への前記変化量が、前記規定電圧未満である場合に、前記電流センサ及び前記電圧センサが正常であると判定する
ことを特徴とする請求項1に記載の蓄電池ユニット。
【請求項6】
前記第1電圧値及び前記第2電圧値を記憶する検出情報記憶部を備え、
前記異常検出処理部は、前記検出情報記憶部が記憶する前記第1電圧値と前記第2電圧値との前記変化量に基づいて、前記電流センサ又は前記電圧センサの異常を検出する
ことを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の蓄電池ユニット。
【請求項7】
前記電池セルと外部との接続を遮断する遮断スイッチを備え、
前記異常検出処理部は、前記電流センサ又は前記電圧センサの異常を検出した場合に、前記遮断スイッチにより、前記外部との接続を遮断する
ことを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の蓄電池ユニット。
【請求項8】
蓄電池ユニットと、
前記蓄電池ユニットに接続され、前記蓄電池ユニットの充放電を制御する充放電器と
を備え、
前記蓄電池ユニットは、
充放電可能な電池セルと、
前記電池セルを流れる電流を検出する電流センサと、
前記電池セルの電圧を検出する電圧センサと、
前記電流センサが予め定めらえた特定の電流値を検出した状態において、前記電圧センサが検出した第1電圧値と、当該状態を継続したまま規定時間経過した際に、前記電圧センサが検出した第2電圧値との変化量に基づいて、前記電流センサ又は前記電圧センサの異常を検出する異常検出処理部と
を備えることを特徴とする蓄電池システム。
【請求項9】
充放電可能な電池セルと、前記電池セルを流れる電流を検出する電流センサと、
前記電池セルの電圧を検出する電圧センサとを備える蓄電池ユニットを制御する制御装置であって、
前記電流センサが予め定めらえた特定の電流値を検出した状態において、前記電圧センサが検出した第1電圧値と、当該状態を継続したまま規定時間経過した際に、前記電圧センサが検出した第2電圧値との変化量に基づいて、前記電流センサ又は前記電圧センサの異常を検出する異常検出処理部を備える
ことを特徴とする制御装置。
【請求項10】
充放電可能な電池セルと、前記電池セルを流れる電流を検出する電流センサと、
前記電池セルの電圧を検出する電圧センサとを備える蓄電池ユニットを制御する異常検出方法であって、
異常検出処理部が、前記電流センサが予め定めらえた特定の電流値を検出した状態において、前記電圧センサが検出した第1電圧値と、当該状態を継続したまま規定時間経過した際に、前記電圧センサが検出した第2電圧値との変化量に基づいて、前記電流センサ又は前記電圧センサの異常を検出する異常検出処理ステップを含む
ことを特徴とする異常検出方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蓄電池ユニット、蓄電池システム、制御装置、及び異常検出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、複数の電池セルを接続した蓄電池ユニットが知られている(例えば、特許文献1を参照)。特許文献1の蓄電池ユニットでは、セルバランス回路の異常を検出している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007-85847号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、蓄電池ユニットには、例えば、充電制御のために、内部に、電流センサ及び電圧センサを備えるものが一般的である。しかしながら、上述のような従来技術では、例えば、電流センサ及び電圧センサなどの内蔵のセンサに自己診断機能がない場合に、内蔵のセンサの異常を検出することは困難であった。
【0005】
本発明は、上記問題を解決すべくなされたもので、その目的は、内蔵のセンサの異常を検出することができる蓄電池ユニット、蓄電池システム、制御装置、及び異常検出方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記問題を解決するために、本発明の一態様は、充放電可能な電池セルと、前記電池セルを流れる電流を検出する電流センサと、前記電池セルの電圧を検出する電圧センサと、前記電流センサが予め定めらえた特定の電流値を検出した状態において、前記電圧センサが検出した第1電圧値と、当該状態を継続したまま規定時間経過した際に、前記電圧センサが検出した第2電圧値との変化量に基づいて、前記電流センサ又は前記電圧センサの異常を検出する異常検出処理部とを備えることを特徴とする蓄電池ユニットである。
【0007】
また、本発明の一態様は、上記の蓄電池ユニットにおいて、前記状態は、前記特定の電流値として、一定の電流値以上が流れている状態であり、前記異常検出処理部は、前記特定の電流値として、前記一定の電流値以上が流れている状態において、前記第1電圧値から前記第2電圧値への前記変化量が、規定電圧以下である場合に、前記電流センサ又は前記電圧センサに異常が発生していると判定することを特徴とする。
【0008】
また、本発明の一態様は、上記の蓄電池ユニットにおいて、前記異常検出処理部は、前記特定の電流値として、前記一定の電流値以上が、電池セルに流れ込んでいる状態において、前記第1電圧値から前記第2電圧値への電圧上昇が、前記規定電圧を超える場合に、前記電流センサ及び前記電圧センサが正常であると判定し、前記第1電圧値から前記第2電圧値への電圧上昇が、前記規定電圧以下である場合に、前記電流センサ又は前記電圧センサに異常が発生していると判定することを特徴とする。
【0009】
また、本発明の一態様は、上記の蓄電池ユニットにおいて、前記異常検出処理部は、前記特定の電流値として、前記一定の電流値以上が、電池セルから出力される状態において、前記第1電圧値から前記第2電圧値への電圧低下が、前記規定電圧を超える場合に、前記電流センサ及び前記電圧センサが正常であると判定し、前記第1電圧値から前記第2電圧値への電圧低下が、前記規定電圧以下である場合に、前記電流センサ又は前記電圧センサに異常が発生していると判定することを特徴とする。
【0010】
また、本発明の一態様は、上記の蓄電池ユニットにおいて、前記状態は、前記特定の電流値として、一定の電流値以下の電流が流れている状態であり、前記異常検出処理部は、前記特定の電流値として、一定の電流値以下の電流が流れている状態において、前記第1電圧値から前記第2電圧値への前記変化量が、規定電圧以上である場合に、前記電流センサ又は前記電圧センサに異常が発生していると判定し、前記第1電圧値から前記第2電圧値への前記変化量が、前記規定電圧未満である場合に、前記電流センサ及び前記電圧センサが正常であると判定することを特徴とする。
【0011】
また、本発明の一態様は、上記の蓄電池ユニットにおいて、前記第1電圧値及び前記第2電圧値を記憶する検出情報記憶部を備え、前記異常検出処理部は、前記検出情報記憶部が記憶する前記第1電圧値と前記第2電圧値との前記変化量に基づいて、前記電流センサ又は前記電圧センサの異常を検出することを特徴とする。
【0012】
また、本発明の一態様は、上記の蓄電池ユニットにおいて、前記電池セルと外部との接続を遮断する遮断スイッチを備え、前記異常検出処理部は、前記電流センサ又は前記電圧センサの異常を検出した場合に、前記遮断スイッチにより、前記外部との接続を遮断することを特徴とする。
【0013】
また、本発明の一態様は、蓄電池ユニットと、前記蓄電池ユニットに接続され、前記蓄電池ユニットの充放電を制御する充放電器とを備え、前記蓄電池ユニットは、充放電可能な電池セルと、前記電池セルを流れる電流を検出する電流センサと、前記電池セルの電圧を検出する電圧センサと、前記電流センサが予め定めらえた特定の電流値を検出した状態において、前記電圧センサが検出した第1電圧値と、当該状態を継続したまま規定時間経過した際に、前記電圧センサが検出した第2電圧値との変化量に基づいて、前記電流センサ又は前記電圧センサの異常を検出する異常検出処理部とを備えることを特徴とする蓄電池システムである。
【0014】
また、本発明の一態様は、充放電可能な電池セルと、前記電池セルを流れる電流を検出する電流センサと、前記電池セルの電圧を検出する電圧センサとを備える蓄電池ユニットを制御する制御装置であって、前記電流センサが予め定めらえた特定の電流値を検出した状態において、前記電圧センサが検出した第1電圧値と、当該状態を継続したまま規定時間経過した際に、前記電圧センサが検出した第2電圧値との変化量に基づいて、前記電流センサ又は前記電圧センサの異常を検出する異常検出処理部を備えることを特徴とする制御装置である。
【0015】
また、本発明の一態様は、充放電可能な電池セルと、前記電池セルを流れる電流を検出する電流センサと、前記電池セルの電圧を検出する電圧センサとを備える蓄電池ユニットを制御する異常検出方法であって、異常検出処理部が、前記電流センサが予め定めらえた特定の電流値を検出した状態において、前記電圧センサが検出した第1電圧値と、当該状態を継続したまま規定時間経過した際に、前記電圧センサが検出した第2電圧値との変化量に基づいて、前記電流センサ又は前記電圧センサの異常を検出する異常検出処理ステップを含むことを特徴とする異常検出方法である。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、内蔵のセンサの異常を検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本実施形態による蓄電池システムの一例を示すブロック図である。
図2】本実施形態による蓄電池システムの充電時の異常検出処理の一例を示すフローチャートである。
図3】本実施形態による蓄電池システムの放電時の異常検出処理の一例を示すフローチャートである。
図4】本実施形態による蓄電池システムの待機時の異常検出処理の一例を示すフローチャートである。
図5】本実施形態による蓄電池システムの変形例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態による蓄電池ユニット、蓄電池システム、制御装置、及び異常検出方法について、図面を参照して説明する。
【0019】
図1は、本実施形態による蓄電池システム100の一例を示すブロック図である。
図1に示すように、蓄電池システム100は、蓄電池ユニット1と、充放電器2とを備える。
【0020】
充放電器2は、例えば、パワーコンディショナなどであり、蓄電池ユニット1に接続され、蓄電池ユニット1の充放電を制御する。また、充放電器2は、例えば、CAN(Controller Area Network)通信を用いて、蓄電池ユニット1との間でデータ通信可能である。
【0021】
蓄電池ユニット1は、充放電器2と接続され、直流電力の充放電が可能である。蓄電池ユニット1は、制御装置10と、電池モジュール30とを備えている。
【0022】
電池モジュール30は、例えば、蓄電池を搭載したモジュール、又は基板であり、電源線L1及び電源線L2により、制御装置10を介して、上述した充放電器2と接続される。電池モジュール30は、電池セル11と、電流センサ12と、電圧センサ13とを備える。
【0023】
電源線L1は、蓄電池ユニット1の正極電源線(+電極の電源線)である。また、電源線L2は、蓄電池ユニット1の負極電源線(-電極の電源線)である。
【0024】
電池セル11は、電源線L1と、電源線L2とにより、制御装置10を介して、充放電器2と接続される。電池セル11は、例えば、リチウム電池、鉛蓄電池などの蓄電池であり、充放電器2により直流電力を充放電可能である。なお、電池セル11は、複数の電池セルが接続されたモジュールであってもよいし、単体の蓄電池などであってもよい。
【0025】
電流センサ12は、例えば、電流計、ホール素子、シャント抵抗などであり、電池セル11を流れる電流を検出する。電流センサ12は、例えば、電源線L1の配線上に配置されている。電流センサ12は、検出した電流値を、制御装置10に出力する。
【0026】
電圧センサ13は、例えば、電圧計、AFE(アナログ・フロント・エンド)などの計測IC(Integrated Circuit)、ADC(Analog to Digital Converter)、等であり、電池セル11の電圧を検出する。電圧センサ13は、電池セル11と並列に、電源線L1と電源線L2との間に接続されている。電圧センサ13は、検出した電圧値を、制御装置10に出力する。
【0027】
制御装置10は、例えば、コントロールボックス、コントロール基板などであり、蓄電池ユニット1を制御する。制御装置10は、遮断スイッチ14と、検出情報記憶部15と、制御部16とを備える。
【0028】
遮断スイッチ14は、例えば、リレースイッチなどであり、電源線L1に接続されている。遮断スイッチ14は、制御部16の制御により、電池セル11と外部(例えば、充放電器2)との接続を遮断する。遮断スイッチ14は、通常の状態では、接続状態(オン状態)に制御され、例えば、電流センサ12、又は電流センサ12の異常が発生した場合に、非導通状態(オフ状態、遮断状態)に制御される。
【0029】
検出情報記憶部15は、電流センサ12及び電圧センサ13の検出値を記憶する記憶部である。検出情報記憶部15は、例えば、検出時刻と、電流センサ12の検出電流値と、電圧センサ13の検出電圧値とを対応付けて記憶する。検出情報記憶部15は、制御部16によって定期的に検出情報(検出履歴情報)を記憶される。また、検出情報記憶部15に記憶されている検出情報は、制御部16による異常検出処理に使用される。
【0030】
制御部16は、例えば、CPU(Central Processing Unit)を含むプロセッサであり、蓄電池ユニット1(制御装置10及び電池モジュール30)を統括的に制御する。制御部16は、異常検出処理部161を備える。
【0031】
異常検出処理部161は、電流センサ12が予め定めらえた特定の電流値を検出した状態において、電圧センサ13が検出した第1電圧値と、当該状態を継続したまま規定時間経過した際に、電圧センサ13が検出した第2電圧値との変化量に基づいて、電流センサ12又は電圧センサ13の異常を検出する。
【0032】
異常検出処理部161は、電圧センサ13が検出した第1電圧値及び第2電圧値と、電流センサ12が検出した電流値とを、検出情報記憶部15に記憶させる。また、異常検出処理部161は、異常検出処理の際に、検出情報記憶部15が記憶する第1電圧値と第2電圧値とを取得し、第1電圧値と第2電圧値との変化量に基づいて、電流センサ12又は電圧センサ13の異常を検出する。
【0033】
例えば、電流センサ12が予め定めらえた特定の電流値を検出した状態とは、電池セル11を充放電しているときのように、特定の電流値として、一定の電流値以上が流れている状態である。異常検出処理部161は、特定の電流値として、一定の電流値以上が流れている状態において、第1電圧値から第2電圧値への変化量が、規定電圧以下である場合に、電流センサ12又は電圧センサ13に異常が発生していると判定する。
【0034】
具体的に、異常検出処理部161は、特定の電流値として、例えば、一定の電流値以上(電流値I1以上)が、電池セル11に流れ込んでいる状態(電池セル11を充電している状態)において、第1電圧値(検出電圧値V1)から第2電圧値(検出電圧値V2)への電圧上昇が、規定電圧Vth1を超える場合に、電流センサ12及び電圧センサ13が正常であると判定する。
【0035】
また、異常検出処理部161は、電池セル11に流れ込んでいる状態(電池セル11を充電している状態)において、第1電圧値(検出電圧値V1)から第2電圧値(検出電圧値V2)への電圧上昇が、規定電圧Vth1以下である場合に、電流センサ12又は電圧センサ13に異常が発生していると判定する。
【0036】
ここで、規定電圧Vth1は、電池セル11の充電特性に基づいて、検出電圧値V1において、電流値I1が、規定時間(規定期間TR2)継続して充電された場合に推定される電池セル11の電圧の上昇値の最小値により設定される。また、第1電圧値(検出電圧値V1)から第2電圧値(検出電圧値V2)への電圧上昇は、検出電圧値V2と検出電圧値V1の差分(検出電圧値V2-検出電圧値V1)である。
【0037】
また、異常検出処理部161は、例えば、特定の電流値として、一定の電流値以上(電流値I2以上)が、電池セル11から出力される状態(電池セル11を放電している状態)において、第1電圧値(検出電圧値V3)から第2電圧値(検出電圧値V4)への電圧低下(電圧降下)が、規定電圧Vth2を超える場合に、電流センサ12及び電圧センサ13が正常であると判定する。
【0038】
また、異常検出処理部161は、電池セル11から出力される状態(電池セル11を放電している状態)において、第1電圧値(検出電圧値V3)から第2電圧値(検出電圧値V4)への電圧低下が、規定電圧Vth2以下である場合に、電流センサ12又は電圧センサ13に異常が発生していると判定する。
【0039】
ここで、規定電圧Vth2は、電池セル11の放電特性に基づいて、検出電圧値V3において、電流値I2が、規定時間(規定期間TR4)継続して放電された場合に推定される電池セル11の電圧の低下値の最小値により設定される。また、第1電圧値(検出電圧値V3)から第2電圧値(検出電圧値V4)への電圧低下は、検出電圧値V3と検出電圧値V4の差分(検出電圧値V4-検出電圧値V3)である。
【0040】
また、例えば、電流センサ12が予め定めらえた特定の電流値を検出した状態とは、電池セル11が使用されていないとき(充放電していないとき)のように、特定の電流値として、一定の電流値I3以下(例えば、0A)の電流が流れている状態である。異常検出処理部161は、特定の電流値として、一定の電流値I3以下(例えば、0A)の電流が流れている状態において、第1電圧値(検出電圧値V5)から第2電圧値(検出電圧値V6)への変化量が、規定電圧Vth3以上である場合に、電流センサ12又は電圧センサ13に異常が発生していると判定する。また、異常検出処理部161は、第1電圧値(検出電圧値V5)から第2電圧値(検出電圧値V6)への変化量が、規定電圧Vth3未満である場合に、電流センサ12及び電圧センサ13が正常であると判定する。
【0041】
ここで、規定電圧Vth3は、電池セル11の充放電特性に基づいて、検出電圧値V5において、電流値I3が、規定時間(規定期間TR4)継続して充放電された場合に推定される電池セル11の電圧の変化量の最小値により設定される。また、第1電圧値(検出電圧値V5)から第2電圧値(検出電圧値V6)への変化量は、検出電圧値V6と検出電圧値V5の差分の絶対値(|検出電圧値V6-検出電圧値V5|)である。
【0042】
なお、異常検出処理部161は、電流センサ12又は電圧センサ13に異常が発生していることを検出した場合に、異常対策処理を実行する。異常検出処理部161は、異常対策処理として、例えば、充放電器2に、電流センサ12又は電圧センサ13の異常を通知するとともに、遮断スイッチ14により、電池モジュール30の外部(例えば、充放電器2)との接続を遮断する。
【0043】
また、異常検出処理部161は、電流センサ12又は電圧センサ13の異常を検出した場合に、例えば、蓄電池ユニット1が搭載するLED(発光ダイオード)などを、点灯する、点滅させる、点灯色を変更(例えば、赤色点灯)などを実行してもよい。また、異常検出処理部161は、充放電器2に信号で異常を伝達してもよい。
【0044】
次に、図面を参照して、本実施形態による蓄電池システム100の動作について説明する。
まず、図2を参照して、電池セル11に充電している場合の異常検出処理について説明する。
【0045】
図2は、本実施形態による蓄電池システム100の充電時の異常検出処理の一例を示すフローチャートである。
図2に示すように、蓄電池システム100の蓄電池ユニット1は、まず、電池セル11に流れ込む電流が規定期間TR1継続して、電流値I1以上であるか否かを判定する(ステップS101)。蓄電池ユニット1の異常検出処理部161は、電流センサ12が検出した電流値を取得し、規定期間TR1継続して、充電電流が電流値I1以上(一定の電流値以上)であるか否かを判定する。異常検出処理部161は、規定期間TR1継続して、充電電流が電流値I1以上である場合(ステップS101:YES)に、処理をステップS102に進める。また、異常検出処理部161は、規定期間TR1継続して、充電電流が電流値I1以上でない場合(ステップS101:NO)に、処理をステップS101に戻す。
【0046】
ステップS102において、異常検出処理部161は、電圧センサ13の検出電圧値V1を取得し、検出情報記憶部15に記憶させる。異常検出処理部161は、例えば、検出時刻と、電流センサ12の検出電流値と、電圧センサ13の検出電圧値V1とを対応付けて、検出情報記憶部15に記憶させる。
【0047】
次に、異常検出処理部161は、電流値I1以上の電流が流れる状態が規定期間TR2経過したか否かを判定する(ステップS103)。異常検出処理部161は、電流値I1以上の電流が流れる状態が規定期間TR2経過した場合(ステップS103:YES)に、処理をステップS104に進める。また、異常検出処理部161は、電流値I1以上の電流が流れる状態が規定期間TR2経過していない場合(ステップS103:NO)に、処理をステップS103に戻す。
【0048】
ステップS104において、異常検出処理部161は、電圧センサ13の検出電圧値V2を取得し、検出情報記憶部15に記憶させる。異常検出処理部161は、例えば、検出時刻と、電流センサ12の検出電流値と、電圧センサ13の検出電圧値V2とを対応付けて、検出情報記憶部15に記憶させる。
【0049】
次に、異常検出処理部161は、検出電圧値V1から検出電圧値V2への電圧上昇が、規定電圧Vth1以下であるか否かを判定する(ステップS105)。異常検出処理部161は、検出情報記憶部15から検出電圧値V1及び検出電圧値V2を取得し、電圧上昇が、規定電圧Vth1以下であるか否かとして、検出電圧値V1と検出電圧値V2との差分(検出電圧値V2-検出電圧値V1)が、規定電圧Vth1以下であるか否かを判定する。異常検出処理部161は、電圧上昇が、規定電圧Vth1以下である場合(ステップS105:YES)に、処理をステップS107に進める。また、異常検出処理部161は、電圧上昇が、規定電圧Vth1を超える場合(ステップS105:NO)に、処理をステップS106に進める。
【0050】
ステップS106において、異常検出処理部161は、電流センサ12及び電圧センサ13が正常であると判定する。ステップS106の処理後に、異常検出処理部161は、処理をステップS101に戻す。
【0051】
また、ステップS107において、異常検出処理部161は、電流センサ12又は電圧センサ13に異常が発生していると判定し、異常対策処理を実行する。異常検出処理部161は、異常対策処理として、例えば、充放電器2に、電流センサ12又は電圧センサ13の異常を通知するとともに、遮断スイッチ14により、電池モジュール30の外部(例えば、充放電器2)との接続を遮断する。ステップS107の処理後に、異常検出処理部161は、異常検出処理を終了する。
【0052】
次に、図3を参照して、電池セル11が放電している場合の異常検出処理について説明する。
図3は、本実施形態による蓄電池システム100の放電時の異常検出処理の一例を示すフローチャートである。
【0053】
図3に示すように、蓄電池システム100の蓄電池ユニット1は、まず、電池セル11から流れ出す電流が規定期間TR3継続して、電流値I2以上であるか否かを判定する(ステップS201)。蓄電池ユニット1の異常検出処理部161は、電流センサ12が検出した電流値を取得し、規定期間TR3継続して、充電電流が電流値I2以上(一定の電流値以上)であるか否かを判定する。異常検出処理部161は、規定期間TR3継続して、充電電流が電流値I2以上である場合(ステップS201:YES)に、処理をステップS202に進める。また、異常検出処理部161は、規定期間TR3継続して、充電電流が電流値I2以上でない場合(ステップS201:NO)に、処理をステップS201に戻す。
【0054】
ステップS202において、異常検出処理部161は、電圧センサ13の検出電圧値V3を取得し、検出情報記憶部15に記憶させる。異常検出処理部161は、例えば、検出時刻と、電流センサ12の検出電流値と、電圧センサ13の検出電圧値V3とを対応付けて、検出情報記憶部15に記憶させる。
【0055】
次に、異常検出処理部161は、電流値I2以上の電流が流れる状態が規定期間TR4経過したか否かを判定する(ステップS203)。異常検出処理部161は、電流値I2以上の電流が流れる状態が規定期間TR4経過した場合(ステップS203:YES)に、処理をステップS204に進める。また、異常検出処理部161は、電流値I2以上の電流が流れる状態が規定期間TR4経過していない場合(ステップS203:NO)に、処理をステップS203に戻す。
【0056】
ステップS204において、異常検出処理部161は、電圧センサ13の検出電圧値V4を取得し、検出情報記憶部15に記憶させる。異常検出処理部161は、例えば、検出時刻と、電流センサ12の検出電流値と、電圧センサ13の検出電圧値V4とを対応付けて、検出情報記憶部15に記憶させる。
【0057】
次に、異常検出処理部161は、検出電圧値V3から検出電圧値V4への電圧低下が、規定電圧Vth2以下であるか否かを判定する(ステップS205)。異常検出処理部161は、検出情報記憶部15から検出電圧値V3及び検出電圧値V4を取得し、電圧低下が、規定電圧Vth2以下であるか否かとして、検出電圧値V3と検出電圧値V4との差分(検出電圧値V3-検出電圧値V4)が、規定電圧Vth2以下であるか否かを判定する。異常検出処理部161は、電圧低下が、規定電圧Vth2以下である場合(ステップS205:YES)に、処理をステップS207に進める。また、異常検出処理部161は、電圧低下が、規定電圧Vth2を超える場合(ステップS205:NO)に、処理をステップS206に進める。
【0058】
ステップS206において、異常検出処理部161は、電流センサ12及び電圧センサ13が正常であると判定する。ステップS206の処理後に、異常検出処理部161は、処理をステップS201に戻す。
【0059】
また、ステップS207において、異常検出処理部161は、電流センサ12又は電圧センサ13に異常が発生していると判定し、異常対策処理を実行する。異常検出処理部161は、異常対策処理として、例えば、充放電器2に、電流センサ12又は電圧センサ13の異常を通知するとともに、遮断スイッチ14により、電池モジュール30の外部(例えば、充放電器2)との接続を遮断する。ステップS207の処理後に、異常検出処理部161は、異常検出処理を終了する。
【0060】
次に、図4を参照して、電池セル11が充放電していない場合の異常検出処理について説明する。
図4は、本実施形態による蓄電池システム100の待機時の異常検出処理の一例を示すフローチャートである。
【0061】
図4に示すように、蓄電池システム100の蓄電池ユニット1は、まず、電池セル11から流れ出す電流が規定期間TR5継続して、電流値I3以下であるか否かを判定する(ステップS301)。蓄電池ユニット1の異常検出処理部161は、電流センサ12が検出した電流値を取得し、規定期間TR5継続して、充電電流が電流値I3以下(例えば、0A)であるか否かを判定する。異常検出処理部161は、規定期間TR5継続して、充電電流が電流値I3以下(例えば、0A)である場合(ステップS301:YES)に、処理をステップS302に進める。また、異常検出処理部161は、規定期間TR5継続して、充電電流が電流値I3以下(例えば、0A)でない場合(ステップS301:NO)に、処理をステップS301に戻す。
【0062】
ステップS302において、異常検出処理部161は、電圧センサ13の検出電圧値V5を取得し、検出情報記憶部15に記憶させる。異常検出処理部161は、例えば、検出時刻と、電流センサ12の検出電流値と、電圧センサ13の検出電圧値V5とを対応付けて、検出情報記憶部15に記憶させる。
【0063】
次に、異常検出処理部161は、電流値I3以下(例えば、0A)の電流が流れる状態が規定期間TR6経過したか否かを判定する(ステップS303)。異常検出処理部161は、電流値I3以下(例えば、0A)の電流が流れる状態が規定期間TR6経過した場合(ステップS303:YES)に、処理をステップS304に進める。また、異常検出処理部161は、電流値I3以下(例えば、0A)の電流が流れる状態が規定期間TR5経過していない場合(ステップS303:NO)に、処理をステップS303に戻す。
【0064】
ステップS304において、異常検出処理部161は、電圧センサ13の検出電圧値V6を取得し、検出情報記憶部15に記憶させる。異常検出処理部161は、例えば、検出時刻と、電流センサ12の検出電流値と、電圧センサ13の検出電圧値V6とを対応付けて、検出情報記憶部15に記憶させる。
【0065】
次に、異常検出処理部161は、検出電圧値V5から検出電圧値V6への電圧低下が、規定電圧Vth2以下であるか否かを判定する(ステップS305)。異常検出処理部161は、検出情報記憶部15から検出電圧値V3及び検出電圧値V4を取得し、電圧変化が、規定電圧Vth3以上であるか否かとして、検出電圧値V5と検出電圧値V6との電圧変化(|検出電圧値V6-検出電圧値V5|)が、規定電圧Vth3以上であるか否かを判定する。異常検出処理部161は、電圧変化が、規定電圧Vth3以上である場合(ステップS305:YES)に、処理をステップS307に進める。また、異常検出処理部161は、電圧変化が、規定電圧Vth3未満である場合(ステップS305:NO)に、処理をステップS306に進める。
【0066】
ステップS306において、異常検出処理部161は、電流センサ12及び電圧センサ13が正常であると判定する。ステップS306の処理後に、異常検出処理部161は、処理をステップS301に戻す。
【0067】
また、ステップS307において、異常検出処理部161は、電流センサ12又は電圧センサ13に異常が発生していると判定し、異常対策処理を実行する。異常検出処理部161は、異常対策処理として、例えば、充放電器2に、電流センサ12又は電圧センサ13の異常を通知するとともに、遮断スイッチ14により、電池モジュール30の外部(例えば、充放電器2)との接続を遮断する。ステップS307の処理後に、異常検出処理部161は、異常検出処理を終了する。
【0068】
以上説明したように、本実施形態による蓄電池ユニット1は、充放電可能な電池セル11と、電流センサ12と、電圧センサ13と、異常検出処理部161とを備える。電流センサ12は、電池セル11を流れる電流を検出する。電圧センサ13は、電池セル11の電圧(出力電圧)を検出する。異常検出処理部161は、電流センサ12が予め定めらえた特定の電流値を検出した状態において、電圧センサ13が検出した第1電圧値と、当該状態を継続したまま規定時間経過した際に、電圧センサ13が検出した第2電圧値との変化量に基づいて、電流センサ12又は電圧センサ13の異常を検出する。
【0069】
これにより、本実施形態による蓄電池ユニット1は、充放電器2の異常検出処理でなく単体で、電流センサ12又は電圧センサ13の異常を検出することができる。本実施形態による蓄電池ユニット1は、例えば、電流センサ12及び電圧センサ13などの内蔵のセンサに自己診断機能がない場合であっても、内蔵のセンサの異常を、簡易な構成により適切に検出することができる。
【0070】
また、本実施形態では、電流センサ12が予め定めらえた特定の電流値を検出した状態は、特定の電流値として、一定の電流値以上が流れている状態である。異常検出処理部161は、特定の電流値として、一定の電流値以上が流れている状態において、第1電圧値から第2電圧値への変化量が、規定電圧以下である場合に、電流センサ12又は電圧センサ13に異常が発生していると判定する。
【0071】
これにより、本実施形態による蓄電池ユニット1は、例えば、電池セル11の充放電状態などの一定の電流値以上が流れている状態において、第1電圧値から第2電圧値への変化量によって、内蔵のセンサの異常を、適切且つ簡単に検出することができる。
【0072】
また、本実施形態では、異常検出処理部161は、特定の電流値として、一定の電流値以上(電流値I1以上)が、電池セル11に流れ込んでいる状態(充電している状態)において、第1電圧値(検出電圧値V1)から第2電圧値(検出電圧値V2)への電圧上昇が、規定電圧Vth1を超える場合に、電流センサ12及び電圧センサ13が正常であると判定する。また、異常検出処理部161は、第1電圧値(検出電圧値V1)から第2電圧値(検出電圧値V2)への電圧上昇が、規定電圧以下(規定電圧Vth1以下)である場合に、電流センサ12又は電圧センサ13に異常が発生していると判定する。
【0073】
これにより、本実施形態による蓄電池ユニット1は、充電している状態において、内蔵のセンサの異常を、適切且つ簡単に検出することができる。
【0074】
また、本実施形態では、異常検出処理部161は、特定の電流値として、一定の電流値以上(電流値I2以上)が、電池セル11から出力される状態(放電している状態)において、第1電圧値(検出電圧値V3)から第2電圧値(検出電圧値V4)への電圧低下が、規定電圧Vth2を超える場合に、電流センサ12及び電圧センサ13が正常であると判定する。また、異常検出処理部161は、第1電圧値(検出電圧値V3)から第2電圧値(検出電圧値V4)への電圧低下が、規定電圧以下(規定電圧Vth2以下)である場合に、電流センサ12又は電圧センサ13に異常が発生していると判定する。
【0075】
これにより、本実施形態による蓄電池ユニット1は、放電している状態において、内蔵のセンサの異常を、適切且つ簡単に検出することができる。
【0076】
また、本実施形態では、電流センサ12が予め定めらえた特定の電流値を検出した状態は、特定の電流値として、一定の電流値以下(例えば、0A)の電流が流れている状態である。異常検出処理部161は、特定の電流値として、一定の電流値以下(例えば、0A)の電流が流れている状態において、第1電圧値(検出電圧値V5)から第2電圧値(検出電圧値V6)への変化量が、規定電圧以上(規定電圧Vth3以上)である場合に、電流センサ12又は電圧センサ13に異常が発生していると判定する。また、異常検出処理部161は、第1電圧値(検出電圧値V5)から第2電圧値(検出電圧値V6)への変化量が、規定電圧未満(規定電圧Vth3未満)である場合に、電流センサ12及び電圧センサ13が正常であると判定する。
【0077】
これにより、本実施形態による蓄電池ユニット1は、電流が流れていない(微小電流が流れている)状態において、内蔵のセンサの異常を、適切且つ簡単に検出することができる。
【0078】
また、本実施形態による蓄電池ユニット1は、第1電圧値及び第2電圧値を記憶する検出情報記憶部15を備える。異常検出処理部161は、検出情報記憶部15が記憶する第1電圧値と第2電圧値との変化量に基づいて、電流センサ12又は電圧センサ13の異常を検出する。
【0079】
これにより、本実施形態による蓄電池ユニット1は、検出情報記憶部15を用いることで、内蔵のセンサの異常を、より適切に検出することができる。また、例えば、検出情報記憶部15を、フラッシュメモリ等の書き換え可能な不揮発性メモリで構成することで、内蔵のセンサの異常発生時の状態を確認することができ、異常の要因の分析に役立つ。
【0080】
また、本実施形態による蓄電池ユニット1は、電池セル11と外部(充放電器2)との接続を遮断する遮断スイッチ14を備える。異常検出処理部161は、電流センサ12又は電圧センサ13の異常を検出した場合に、遮断スイッチ14により、外部(充放電器2)との接続を遮断する。
【0081】
これにより、本実施形態による蓄電池ユニット1は、内蔵のセンサに異常が発生した場合に、適切、且つ安全に、システムから切り離し、蓄電池ユニット1の動作を停止させることができる。
【0082】
また、本実施形態による蓄電池システム100は、蓄電池ユニットと、蓄電池ユニットに接続され、蓄電池ユニット1の充放電を制御する充放電器2とを備える。蓄電池ユニット1は、充放電可能な電池セル11と、電流センサ12と、電圧センサ13と、異常検出処理部161とを備える。電流センサ12は、電池セル11を流れる電流を検出する。電圧センサ13は、電池セル11の電圧を検出する。異常検出処理部161は、電流センサ12が予め定めらえた特定の電流値を検出した状態において、電圧センサ13が検出した第1電圧値と、当該状態を継続したまま規定時間経過した際に、電圧センサ13が検出した第2電圧値との変化量に基づいて、電流センサ12又は電圧センサ13の異常を検出する。
【0083】
これにより、本実施形態による蓄電池システム100は、上述した蓄電池ユニット1と同様の効果を奏し、内蔵のセンサの異常を、簡易な構成により適切に検出することができる。
【0084】
また、本実施形態による制御装置10は、充放電可能な電池セル11と、上述した電流センサ12と、電圧センサ13とを備える蓄電池ユニット1を制御する制御装置であって、異常検出処理部161を備える。異常検出処理部161は、電流センサ12が予め定めらえた特定の電流値を検出した状態において、電圧センサ13が検出した第1電圧値と、当該状態を継続したまま規定時間経過した際に、電圧センサ13が検出した第2電圧値との変化量に基づいて、電流センサ12又は電圧センサ13の異常を検出する。
【0085】
これにより、本実施形態による制御装置10は、上述した蓄電池ユニット1と同様の効果を奏し、内蔵のセンサの異常を、簡易な構成により適切に検出することができる。
【0086】
また、本実施形態による異常検出方法は、充放電可能な電池セル11と、電池セル11を流れる電流を検出する電流センサ12と、電池セル11の電圧を検出する電圧センサ13とを備える蓄電池ユニット1を制御する異常検出方法であって、異常検出処理ステップを含む。異常検出処理ステップにおいて、異常検出処理部161が、電流センサ12が予め定めらえた特定の電流値を検出した状態において、電圧センサ13が検出した第1電圧値と、当該状態を継続したまま規定時間経過した際に、電圧センサ13が検出した第2電圧値との変化量に基づいて、電流センサ12又は電圧センサ13の異常を検出する。
【0087】
これにより、本実施形態による異常検出方法は、上述した蓄電池ユニット1及び制御装置10と同様の効果を奏し、内蔵のセンサの異常を、簡易な構成により適切に検出することができる。
【0088】
なお、本発明は、上記の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で変更可能である。
例えば、上記の実施形態において、電池モジュール30が、電流センサ12を備える例を説明したが、図5に示すように、制御装置10が、電流センサ12を備えてもよい。
図5は、本実施形態による変形例の蓄電池システム100aを示すブロック図である。
【0089】
図5に示しように、本変形例の蓄電池システム100aは、蓄電池ユニット1aと、充放電器2とを備え、蓄電池ユニット1aは、制御装置10aと、電池モジュール30aとを備える。本変形例では、電池モジュール30aが、電流センサ12を備えない代わりに、制御装置10aが、電流センサ12を備えている。
また、図示を省略するが、上記の実施形態において、電流センサ12及び遮断スイッチ14を、電源線L2(負極電源線)に配置するようにしてもよい。また、制御装置10が、電圧センサ13を備えてもよい。
【0090】
また、上記の実施形態において、異常検出処理の際に、第1電圧値及び第2電圧値を、特定の電流値を検出した状態で検出する例を説明したが、これに限定されるものではない。電圧センサ13は、電池セル11に流れる電流が、0Aのときに、第1電圧値及び第2電圧値を検出するようにしてもよい。
【0091】
また、上記の実施形態において、規定期間TR1、規定期間TR3、及び規定期間TR5は、同一の期間であってもよいし、異なる期間を用いてもよい。また、規定期間TR2、規定期間TR4、及び規定期間TR6は、同一の期間であってもよいし、異なる期間を用いてもよい。
【0092】
なお、上述した蓄電池システム100が備える各構成は、内部に、コンピュータシステムを有している。そして、上述した蓄電池システム100が備える各構成の機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより上述した蓄電池システム100が備える各構成における処理を行ってもよい。ここで、「記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行する」とは、コンピュータシステムにプログラムをインストールすることを含む。ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。
【0093】
また、「コンピュータシステム」は、インターネットやWAN、LAN、専用回線等の通信回線を含むネットワークを介して接続された複数のコンピュータ装置を含んでもよい。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD-ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。このように、プログラムを記憶した記録媒体は、CD-ROM等の非一過性の記録媒体であってもよい。
【0094】
また、記録媒体には、当該プログラムを配信するために配信サーバからアクセス可能な内部又は外部に設けられた記録媒体も含まれる。なお、プログラムを複数に分割し、それぞれ異なるタイミングでダウンロードした後に蓄電池システム100が備える各構成で合体される構成や、分割されたプログラムのそれぞれを配信する配信サーバが異なっていてもよい。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、ネットワークを介してプログラムが送信された場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリ(RAM)のように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。また、上記プログラムは、上述した機能の一部を実現するためのものであってもよい。さらに、上述した機能をコンピュータシステムに既に記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であってもよい。
【0095】
また、上述した機能の一部又は全部を、LSI(Large Scale Integration)等の集積回路として実現してもよい。上述した各機能は個別にプロセッサ化してもよいし、一部、又は全部を集積してプロセッサ化してもよい。また、集積回路化の手法はLSIに限らず専用回路、又は汎用プロセッサで実現してもよい。また、半導体技術の進歩によりLSIに代替する集積回路化の技術が出現した場合、当該技術による集積回路を用いてもよい。
【符号の説明】
【0096】
1、1a 蓄電池ユニット
2 充放電器
10、10a 制御装置
11 電池セル
12 電流センサ
13 電圧センサ
14 遮断スイッチ
15 検出情報記憶部
16 制御部
30、30a 電池モジュール
100、100a 蓄電池システム
161 異常検出処理部
図1
図2
図3
図4
図5