(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024093076
(43)【公開日】2024-07-09
(54)【発明の名称】コンバイン
(51)【国際特許分類】
A01D 69/00 20060101AFI20240702BHJP
A01D 69/10 20060101ALI20240702BHJP
【FI】
A01D69/00 303C
A01D69/10
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022209215
(22)【出願日】2022-12-27
(71)【出願人】
【識別番号】000000125
【氏名又は名称】井関農機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100089934
【弁理士】
【氏名又は名称】新関 淳一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100092945
【弁理士】
【氏名又は名称】新関 千秋
(72)【発明者】
【氏名】奥村 和哉
(72)【発明者】
【氏名】五島 一実
(72)【発明者】
【氏名】板山 真
【テーマコード(参考)】
2B076
【Fターム(参考)】
2B076AA03
2B076BA05
2B076DA02
2B076DA05
2B076DB06
2B076DB09
2B076DC02
2B076DD01
2B076EA08
2B076EB05
2B076EC19
2B076EC23
2B076ED18
(57)【要約】
【課題】従来、刈取装置への伝動は変速操作レバーが前進側に操作されていると継続されるものであるので、作業者が車外に降りる際に変速操作レバーを中立位置に戻し忘れると、刈取装置が動作したままになり、詰まり解消作業の安全性が確保されないという課題がある。
【解決手段】圃場に植生する作物を刈り取り搬送する刈取装置4と、刈取装置4の左側後方に作物を引き継いで脱穀する脱穀装置3とを備えるコンバインにおいて、走行装置2と刈取装置4に駆動力を伝動する無段変速装置15による走行伝動の伝動と遮断を切り替える停車部材21を設け、停車部材21が伝動状態か遮断状態に操作されると、無段変速装置15を停止させ、停車部材21が伝動状態と遮断状態の間では、無段変速装置15から走行装置2への伝動経路を遮断しつつ、刈取装置4への伝動を行う制御構成としたことを特徴とするコンバインとしたものである。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
圃場に植生する作物を刈り取り搬送する刈取装置(4)と、刈取装置(4)の左側後方に作物を引き継いで脱穀する脱穀装置(3)とを備えるコンバインにおいて、走行装置(2)と刈取装置(4)に駆動力を伝動する無段変速装置(15)による走行伝動の伝動と遮断を切り替える停車部材(21)を設け、停車部材(21)が伝動状態か遮断状態に操作されると、無段変速装置(15)を停止させ、停車部材(21)が伝動状態と遮断状態の間では、無段変速装置(15)から走行装置(2)への伝動経路を遮断しつつ、刈取装置(4)への伝動を行う制御構成としたことを特徴とするコンバイン。
【請求項2】
停車部材(21)の姿勢から、伝動状態か、伝動状態と遮断状態の間かを検出する姿勢検出部材(27)を設け、停車部材(21)が遮断状態であるかどうかを検出する、遮断検出部材(28)を設けたことを特徴とする請求項1に記載のコンバイン。
【請求項3】
無段変速装置(15)は、変速操作レバー(16)の操作により出力が増減するメカ式無段変速装置(15)から刈取装置(4)への伝動経路に、刈取クラッチ(29)を設けると共に、刈取クラッチ(29)の入切を切り替える電動モータ(30)を配置し、停車部材(21)を遮断位置に操作してロックすると、電動モータ(30)により刈取クラッチ(29)を切状態とし、停車部材(21)のロック状態を解除したときは、解除操作から一定時間が経過するまで電動モータ(30)の作動を規制することを特徴とする請求項1に記載のコンバイン。
【請求項4】
変速操作レバー(16)の操作を検出する変速操作検出部材(33)を設け、変速操作検出部材(33)が、変速操作レバー(16)が中立位置以外を検出しているときは、停車部材(21)のロック状態を解除しても電動モータ(30)が作動しないことを特徴とする請求項3に記載のコンバイン。
【請求項5】
変速操作レバー(16)の操作を検出する変速操作検出部材(33)を設け、無段変速装置(15)は、変速操作検出部材(33)の検出量に合わせてソレノイド(34)が作動することにより、出力が増減する電子式無段変速装置(15)とし、停車部材(21)を遮断位置に操作してロックすると、前進側ソレノイド(34)への出力を停止させ、電子式無段変速装置(15)の出力を「0」にする構成とし、停車部材(21)のロック状態を解除したときは、解除操作から一定時間が経過するまで前進側ソレノイド(34)への出力を規制することを特徴とする請求項1に記載のコンバイン。
【請求項6】
変速操作レバー(16)が中立位置に位置していないと中立検出部材(35)が検出しているときは、停車部材(21)のロック状態を解除してもソレノイド(34)への出力が行われないことを特徴とする請求項5に記載のコンバイン。
【請求項7】
停車部材(21)を遮断状態とした際、刈取装置(4)が作動中であるときは、所定時間の経過後に刈取装置(4)への伝動の遮断処理を行うことを特徴とする請求項3から6のいずれか1項に記載のコンバイン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンバインに係るものである。
【背景技術】
【0002】
従来、先行特許文献1に記載のコンバインは、刈取装置で圃場に植生する穀稈を刈り取って引き起こし、搬送経路に沿って脱穀装置に穀稈を送り込み、脱穀装置で穀粒を分離した後、貯留タンクに穀粒を貯留するものである。
コンバインの刈取作業において、圃場端の間際に植生する穀稈を収穫するときは、圃場端付近でブレーキペダルを踏み込んで駐車ブレーキの作動、及びサイドクラッチの遮断を行い、走行装置への伝動を遮断する。この状態で変速操作レバーを前進側に操作すると、刈取装置には駆動力が伝動される構造であるので、刈取装置に接している穀稈は刈り取られ、引起こされて脱穀装置へと搬送されることになり、この一連の畦際の刈取作業は、ブレーキペダルを踏み込んで行う掻込制御と呼ばれている。
上記掻込制御により、圃場端付近の穀稈を収穫する際、コンバインの前端部を畦や壁に接触させて破損させることが防止されると共に、容易に圃場端付近の作物を収穫できるので、刈り残しが減少し、手作業で穀稈を刈り取る作業が不要になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記公知例の構成では、刈取装置への伝動は変速操作レバーが前進側に操作されていると継続されるものであるので、作業者が車外に降りる際に変速操作レバーを中立位置に戻し忘れると、刈取装置が動作したままになる。
このとき、穀稈の詰まりで動作が止まったように見えていると、変速操作レバーを中立位置に戻し忘れて作業者が詰まりを解消しに機外に移動することが多いが、刈取装置を上昇させて下方から詰まりの解消作業を行うと、刈刃やスターホイル等の回転駆動部に接触するおそれがあり、詰まり解消作業の安全性が確保されないという課題がある。
上記の問題の発生を防止するには、その場で刈取装置が刈り取った穀稈を脱穀装置まで移動させる掻き込み制御を、作業者が操縦部に搭乗していないと行えないよう制限をかけることが望ましいが、作業者が搭乗していることを検出する部材を追加する必要があり、構成が複雑化する問題がある。
本願は、穀稈の詰まり等によりコンバインの操縦部から降りたときの作業者の安全性を向上させようとしたものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1の発明では、圃場に植生する作物を刈り取り搬送する刈取装置4と、刈取装置4の左側後方に作物を引き継いで脱穀する脱穀装置3とを備えるコンバインにおいて、走行装置2と刈取装置4に駆動力を伝動する無段変速装置15による走行伝動の伝動と遮断を切り替える停車部材21を設け、停車部材21が伝動状態か遮断状態に操作されると、無段変速装置15を停止させ、停車部材21が伝動状態と遮断状態の間では、無段変速装置15から走行装置2への伝動経路を遮断しつつ、刈取装置4への伝動を行う制御構成としたことを特徴とするコンバインとしたものである。
請求項2の発明では、停車部材21の姿勢から、伝動状態か、伝動状態と遮断状態の間かを検出する姿勢検出部材27を設け、停車部材21が遮断状態であるかどうかを検出する、遮断検出部材28を設けたことを特徴とする請求項1に記載のコンバインとしたものである。
請求項3の発明では、無段変速装置15は、変速操作レバー16の操作により出力が増減するメカ式無段変速装置15から刈取装置4への伝動経路に、刈取クラッチ29を設けると共に、刈取クラッチ29の入切を切り替える電動モータ30を配置し、停車部材21を遮断位置に操作してロックすると、電動モータ30により刈取クラッチ29を切状態とし、停車部材21のロック状態を解除したときは、解除操作から一定時間が経過するまで電動モータ30の作動を規制することを特徴とする請求項1に記載のコンバインとしたものである。
請求項4の発明では、変速操作レバー16の操作を検出する変速操作検出部材33を設け、変速操作検出部材33が、変速操作レバー16が中立位置以外を検出しているときは、停車部材21のロック状態を解除しても電動モータ30が作動しないことを特徴とする請求項3に記載のコンバインとしたものである。
請求項5の発明では、変速操作レバー16の操作を検出する変速操作検出部材33を設け、無段変速装置15は、変速操作検出部材33の検出量に合わせてソレノイド34が作動することにより、出力が増減する電子式無段変速装置15とし、停車部材21を遮断位置に操作してロックすると、前進側ソレノイド34への出力を停止させ、電子式無段変速装置15の出力を「0」にする構成とし、停車部材21のロック状態を解除したときは、解除操作から一定時間が経過するまで前進側ソレノイド34への出力を規制することを特徴とする請求項1に記載のコンバインとしたものである。
請求項6の発明では、変速操作レバー16が中立位置に位置していないと中立検出部材35が検出しているときは、停車部材21のロック状態を解除してもソレノイド34への出力が行われないことを特徴とする請求項5に記載のコンバインとしたものである。
請求項7の発明では、停車部材21を遮断状態とした際、刈取装置4が作動中であるときは、所定時間の経過後に刈取装置4への伝動の遮断処理を行うことを特徴とする請求項3から6のいずれか1項に記載のコンバインとしたものである。
【発明の効果】
【0006】
請求項1の発明では、停車部材21を作業者が操作していない、あるいは停車部材21をロックした状態では、無段変速装置15が停止することにより、その場に停車して穀稈を掻き込み搬送して脱穀装置3に移動させる作業を規制でき、これにより、刈取装置4が駆動したまま作業者が機体から降りるという状況の発生を防止でき、降車時の安全性が確保される。
停車部材21を作業者が伝動状態と遮断状態の間に操作しているときには無段変速装置15が動作すると共に、走行装置2への伝動が遮断されることにより、圃場端など、その場に停車して穀稈を掻き込ませ、脱穀装置3に搬送する作業を能率よく行うことができる。
請求項2の発明では、停車部材21が操作されていないときは、姿勢検出部材27が固定の角度(例:0度)を検出するので、無段変速装置15が誤って動作可能になることが防止される。
作業者が停車部材21を操作する際、速度調節で操作量を変更したり、身体の無意識の動作で僅かに停車部材21の操作量が変動したりすることがあるが、姿勢検出部材27が停車部材21の操作角度(踏み込み量)を検出することで、作業者が停車部材21の操作状態の検知精度を向上させ、停車部材21の操作状態の判断を容易にできる。
停車部材21を遮断位置まで操作し、遮断検出部材28で停車部材21自体の移動を規制することで遮断状態と判断することにより、作業者が機外に降りた際に遮断状態が解除されて刈取装置4が駆動することを防止でき、作業の安全性が確保される。
請求項3の発明では、電動モータ30で刈取クラッチ29の入切を切り替える構成により、変速操作レバー16の操作によりメカ式無段変速装置15が出力状態になっていても刈取装置4への伝動を遮断できるので、停車部材21で走行を停止させると同時に刈取装置4も停止させられ、降車時の安全性が向上する。
停車部材21をロック状態から解除したとき、解除操作後一定時間経過は電動モータ30が作動せず、刈取装置4に駆動力が伝動されるまでの猶予ができるので、ロック解除操作と同時に刈取装置4が動き出すことが防止される。
請求項4の発明では、変速操作レバー16が中立位置に操作され、出力が前後進のいずれにも「0」となる状態でなければ電動モータ30が作動せず、刈取クラッチ29が伝動状態にならないので、作業者が意図しないタイミングで刈取装置4が動き出すことを防止できる。
これにより、驚いた作業者が誤操作を行うことを防止できるので、掻き込み作業による穀稈の収穫を能率よく行うことができる。
請求項5の発明では、ソレノイド34への出力を入切する構成により、停車部材21を操作した際に変速操作レバー16の操作位置にかかわらず刈取装置4への伝動を遮断できるので、停車部材21で走行を停止させると同時に刈取装置4も停止させられるので、降車時の安全性を向上させることができる。
停車部材21をロック状態から解除したとき、解除操作後一定時間経過するまではソレノイド34への出力が行われず、刈取装置4に駆動力が伝動されるまでに時間的猶予ができるので、ロック解除操作と同時に刈取装置4が動き出すことが防止される。
請求項6の発明では、変速操作レバー16を一旦中立位置に操作しなければ、ソレノイド34への出力が行われず、刈取装置4に駆動力が伝動されないので、作業者の意図しないタイミングで刈取装置4が動き出すことを防止できる。
これにより、驚いた作業者が誤操作を行うことを防止できるので、掻き込み作業による穀稈の収穫を能率よく行うことができる。
請求項7の発明では、刈取装置4の作動中に停車部材21を遮断状態にしても、所定時間は伝動状態が維持されることにより、圃場端の間際まで穀稈を収穫できるので、手作業で穀稈を刈る必要が無くなり、作業者の労量が軽減される。
また、脱穀装置3へ穀稈を搬送し終えてから刈取装置4を停止させることができるので、搬送途中で穀稈が落下することを防止でき、落下した穀稈を拾い集める作業が不要になる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図4】停車部材(駐車ブレーキペダル)部分の側面図。
【0008】
本発明の一実施形態を図面により説明すると、1はコンバインの機体フレーム、2は機体フレーム1の下方の走行装置、3は機体フレーム1の上方の一側に設けた脱穀装置、4は刈取装置、5は脱穀装置4の側方に設けたグレンタンク、6は操縦部である。
操縦部6には作業者の立つフロア10および作業者の着座する運転席11および運転席11の前側に設けたスイッチやレバー類を有する前側操作パネル12と側部操作パネル13を設けている。
エンジンの回転を無段変速装置(HST)15により無段階に変速して走行装置2に伝達して、機体を走行させ、走行装置2に伝達する無段変速装置15の変速回転を刈取装置4に伝達して、刈取装置4の作業速度を走行速度に同調(同期)させて刈取作業を行う。
走行装置2の走行速度の変速操作は、操縦部6に設けた変速操作レバー(主変速レバー)16により無段変速装置15を作動させて変速する。
【0009】
また、通常の走行装置2の走行方向の方向操作は、操縦部6に設けたパワステレバー17により行う。パワステレバー17を左右方向の何れかに傾倒操作すると、例えば、ミッションケース18の左右サイドクラッチ19を切りにして機体の走行方向を変更させる(
図3)。また、さらに、パワステレバー17を傾倒操作すると、ミッションケース18の左右のブレーキ20を作動させて機体を旋回させる。
なお、パワステレバー17を前方向に傾倒操作すると、刈取上下シリンダ14を縮小させて刈取装置4を下降させ、パワステレバー17を後方向に傾倒操作すると、刈取上下シリンダ14を伸張させて刈取装置4を上昇させる。
ミッションケース18のブレーキ20は操縦部6のパワステレバー17による操作の他に、操縦部6のフロア10に設けた停車部材(駐車ペダル・ブレーキペダル・掻込ペダル)21の操作により作動する構成とする。
停車部材21は、ブレーキアーム22の先端にペダル部23を設け、ブレーキアーム22の基部を取付軸24によりフロワ10側に回動自在に取付ける(
図4)。
【0010】
停車部材21は踏み込むと、ブレーキ20を作動させて機体走行中に左右の車軸26に伝達する回転に制動を付与して機体を停止させる。
また、コンバインの刈取作業において、圃場端の畦際に植生する穀稈を収穫するときは、圃場端付近で停車部材21(ブレーキペダル)を踏み込むと、ミッションケース18の左右のサイドクラッチ19を遮断し、左右のブレーキ20を作動させて駐車ブレーキとしての作動を行い、走行装置2への伝動を遮断する。この状態で変速操作レバー16を前進側に操作すると、刈取装置4には駆動力が伝動される構造であるので、刈取装置4に接している穀稈は刈り取られ、引き起こされて脱穀装置3へと搬送されることになり、この一連の動作を所謂掻込制御と称している。
そのため、圃場端付近の穀稈を収穫する際、コンバインの前端部を畦や壁に接触させて破損させることが防止されると共に、容易に圃場端付近の作物を収穫できるので、刈り残しが減少し、手作業で穀稈を刈り取る作業が不要になる。
【0011】
一方、上記構成では、刈取装置4への伝動は変速操作レバー16が前進側に操作されていると継続されるので、停車部材21をロック状態にまで踏み込んで、駐車ブレーキ作動状態としつつ、作業者が車外に降りる際に変速操作レバー16を中立位置に戻し忘れると、刈取装置4が動作継続状態のままになる。
このとき、刈取装置4が一見穀稈の詰まりで動作が止まったように見えているとしても、変速操作レバー16を中立位置に戻し忘れた状態で、作業者が詰まりを解消しに機外に移動することがあるが、この状態で、刈取装置4を上昇させて下方から詰まりの解消作業をすると、刈刃やスターホイル等の回転駆動部に接触するおそれがあり、詰まり解消作業の安全性が確保されない。
そこで、本発明では、圃場に植生する作物を刈り取り搬送する刈取装置4と、刈取装置4の左側後方に作物を引き継いで脱穀する脱穀装置3とを備えるコンバインにおいて、少なくとも、走行装置2と刈取装置4に駆動力を伝動する無段変速装置(HST)15による走行伝動の伝動と遮断を切り替える停車部材(駐車ペダル・ブレーキペダル・掻込ペダル)21を設け、停車部材21が伝動状態か遮断状態の何れかに操作されると、無段変速装置15を停止させ、停車部材21が伝動状態と遮断状態の間では、無段変速装置15から走行装置2への伝動経路を遮断しつつ、刈取装置4への伝動を行う制御構成としている。
【0012】
この場合、停車部材21をロックした状態が「遮断状態」であり、この状態まで踏み込むと、掻き込み制御ができなくなるように規制する。
一方、「伝動状態」では、作業者が停車部材21を踏んでいるものの、十分に踏み込んでいない状態を意味し、十分な力は入れず、停車部材21を一定の踏み込み量で留めているような状態を意味する。
すなわち、停車部材21を踏み操作されていない状態では無段変速装置15の回転が伝動状態となり、走行装置2および刈取装置4は駆動伝達状態を継続し(以下、伝動状態という)、停車部材21を最大限踏み込んでロックをかけた状態では無段変速装置15の駆動回転が走行装置2に伝達されずに遮断された遮断状態(以下、遮断状態という)となり、無段変速装置15を停止させ、停車部材21が伝動状態と遮断状態の間の踏み操作されている状態では、無段変速装置15から走行装置2への伝動経路であるミッションケース18のチサイドクラッチ19を「切」にして走行装置2への伝動を遮断しつつ、刈取装置4への伝動を行う構成とする。
【0013】
この場合、停車部材21が伝動状態と遮断状態の間の踏み操作されている状態とは、伝動状態にある停車部材21をある程度の力を掛けて踏み込み、且つロックのかからない状態を維持している状態で(例えば、MT車の半クラッチ操作のような状態)、走行装置2への伝動経路にあるサイドクラッチ19が切れて走行装置2には伝動されず、刈取装置4にのみ伝動が行われ、その場から移動せず刈取装置4を作動させることができ、これにより、圃場端等で穀稈の刈取が一時中断される際、脱穀装置3まで穀稈を確実に搬送しておき、次の作業開始位置に到達するまでに刈取装置4から穀稈が脱落することを防止する。
一方、停車部材21を最大限踏み込むと、駐車(ロック)状態となり無段変速装置15が停止し、刈取装置4も停止し(遮断状態)、この状態では、作業者が意図的に停車部材21を踏んで支点越えさせないと解除させない。
これにより、作業者が機体から降りるべく停車部材21をしっかりと踏み込んで駐車状態とすると、走行装置2に加えて刈取装置4も駆動停止となって、作業者が安全に降車できる。
【0014】
そのため、停車部材21を作業者が操作していない、あるいは停車部材21をロックした状態では、無段変速装置15が停止することにより、その場に停車して穀稈を掻き込み搬送して脱穀装置3に移動させる作業を規制できる。
この場合、停車部材21が作業者により操作されていないときとは、例えば、停車部材21に作業者の足が接触していないと、後述するスプリング57の付勢力によりブレーキアーム22が上方回動し、この回動によりポテンショメータ27は非操作位置(≒0度)を検出し、これにより、作業者が停車部材21を踏んで操作していないと判定し、変速操作レバー16を中立位置から前後方向に操作しても、その操作結果を無段変速装置15に反映させない構成とし、したがって、無段変速装置15は停止する。
これにより、刈取装置4が駆動したまま作業者が機体から降りるという状況の発生を防止でき、降車時の安全性が確保される。
停車部材21を作業者が伝動状態か遮断状態に操作しているときには無段変速装置15が動作すると共に、走行装置2への伝動が遮断されることにより、圃場端など、その場に停車して穀稈を掻き込ませ、脱穀装置3に搬送する作業を能率よく行うことができる。
【0015】
換言すると、停車部材21が伝動状態から遮断状態に操作されると、無段変速装置15を停止させて刈取装置4を停止させる構成としたので、仮に、主変速レバー16の中立位置への戻し忘れがあっても、刈取装置4は作動せず、降車時の安全性が確保される。
停車部材21を作業者が操作しているとき(踏み込んだとき)には無段変速装置15が動作すると共に、走行装置2への伝動が遮断されることにより、圃場端など、その場に停車して穀稈を掻き込ませ、脱穀装置3に搬送する作業を能率よく行うことができる。
停車部材21の姿勢(角度)から、伝動状態か、伝動状態と遮断状態の間かを検出する姿勢検出部材(ポテンショメータ)27を設け、停車部材21が遮断状態であるかどうかを検出する、遮断検出部材(始動牽制スイッチ、ペダルロック爪、または座席横等のロックレバー)28を設けた構成とする。
停車部材21が操作されていないときは、姿勢検出部材27が固定の角度(例:0度)を検出するので、無段変速装置15が誤って動作可能になることが防止される。
【0016】
作業者が停車部材21を操作する際、速度調節で操作量を変更したり、身体の無意識の動作で僅かに停車部材21の操作量が変動したりするので、姿勢検出部材27が停車部材21の操作角度(踏み込み量)を検出することで、作業者が停車部材21を操作しているかどうかを判断しやすくなる。
停車部材21を遮断位置まで操作し、遮断検出部材28で停車部材21自体の移動を規制することで遮断状態と判断することにより、作業者が機外に降りた際に遮断状態が解除されて刈取装置4が駆動することを防止でき、作業の安全性が確保される。
また、姿勢検出部材27だけでは、停車部材21の操作量が大きく、23がロック位置に到達するかどうか微妙な踏み込み位置を誤検知してしまうことがあって、無段変速装置15を停止させ、刈取装置4に出力しない状態になるおそれがあるが、遮断検知部材28を併用することにより、姿勢検出部材27の検出角度が規定値以上であり、且つ確実に停車部材21の操作がロックされた状態になったとき、刈取装置4への伝動が遮断されるので、刈り取った穀稈の脱穀装置3への搬送を終えてから、安全に機外に作業者が降車できる。
【0017】
すなわち、停車部材21の操作量の誤検知による無段変速装置15の誤停止を、姿勢検出部材27と遮断検知部材28との併用により、確実に刈取装置4への伝動を遮断し、刈り取った穀稈の脱穀装置3への搬送を終えてから、安全に機外に作業者が降車できるようにする。
無段変速装置15は、変速操作レバー16の操作により出力が増減するメカ式無段変速装置15から刈取装置4への伝動経路に、刈取クラッチ29を設けると共に、刈取クラッチ29の入切を切り替える電動モータ30を配置し、停車部材21を遮断位置に操作してロックすると、電動モータ30により刈取クラッチ29を切状態とし、停車部材21のロック状態を解除したときは、解除操作から一定時間が経過するまで電動モータ(刈取クラッチ)30の作動を規制する。
電動モータ30で刈取クラッチ29の入切を切り替える構成により、変速操作レバー16の操作によりメカ式無段変速装置15が出力状態になっていても刈取装置4への伝動を遮断できるので、停車部材21で走行を停止させると同時に刈取装置4も停止させられるので、降車時の安全性が向上する。
【0018】
停車部材21をロック状態から解除したとき、解除操作後一定時間経過するまでは電動モータ30が作動せず、刈取装置4に駆動力が伝動されるまでの猶予ができるので、ロック解除操作と同時に刈取装置4が動き出すことが防止される。
この場合、メカ式無段変速装置15とは、変速操作レバー16の操作をワイヤーやロッド等により無段変速装置15に伝達して作動させるものをいう。
変速操作レバー16の操作を検出する変速操作検出部材(レバーポテンショメータ)33を設け(
図5)、変速操作検出部材33が、変速操作レバー16が中立位置以外を検出しているときは、停車部材21のロック状態を解除しても電動モータ30が作動しない構成とする。
変速操作レバー16が中立位置に操作され、出力が前後進のいずれにも「0」となる状態でなければ電動モータ30が作動せず、刈取クラッチ29が伝動状態にならないので、作業者が意図しないタイミングで刈取装置4が動き出すことを防止できる。
これにより、驚いた作業者が誤操作を行うことを防止できるので、掻き込み作業による穀稈の収穫を能率よく行うことができる。
【0019】
変速操作レバー16の操作を検出する変速操作検出部材(レバーポテンショメータ)33を設け、無段変速装置15は、変速操作検出部材33の検出量に合わせてソレノイド34が作動することにより、出力が増減する電子式無段変速装置15とし、停車部材21を遮断位置に操作してロックすると、前進側ソレノイド34への出力を停止させ、電子式無段変速装置15の出力を「0」にする構成とし、停車部材21のロック状態を解除したときは、解除操作から一定時間(例:0.5秒)が経過するまで前進側ソレノイド34への出力を規制する構成とする(
図7)。
この場合、電子式無段変速装置15とは、変速操作レバー16の操作位置を変速操作検出部材33により検出し、変速操作検出部材33の検出結果によりソレノイド34に出力し、ソレノイド34が無段変速装置15に主変速レバー(変速操作レバー)16の操作を伝達して作動させるものをいう。
ソレノイド34への出力を入切する構成により、停車部材21を操作した際に変速操作レバー16の操作位置にかかわらず刈取装置4への伝動を遮断できるので、停車部材21で走行を停止させると同時に刈取装置4も停止させられるので、降車時の安全性が向上する。
【0020】
停車部材21をロック状態から解除したとき、解除操作後一定時間経過はソレノイド34への出力が行われず、刈取装置4に駆動力が伝動されるまでの猶予ができるので、ロック解除操作と同時に刈取装置4が動き出すことが防止される。
変速操作レバー16が中立位置にないと中立検出部材35が検出しているときは、停車部材21のロック状態を解除してもソレノイド34への出力を行わない構成とする。
変速操作レバー16を一旦中立位置に操作しなければ、ソレノイド34への出力が行われず、刈取装置4に駆動力が伝動されないので、作業者が意図しないタイミングで刈取装置4が動き出すことを防止できる。
これにより、驚いた作業者が誤操作を行うことを防止できるので、掻き込み作業による穀稈の収穫を能率よく行うことができる。
停車部材21を遮断状態とした際、刈取装置4が作動中であるときは、所定時間(例:5秒)の経過後に刈取装置4への伝動の遮断処理を行う。
刈取装置4の作動中に停車部材21を遮断状態にしても、所定時間は伝動状態が維持されることにより、圃場端の間際まで穀稈を収穫できるので、手作業で穀稈を刈る必要が無くなり、作業者の労量が軽減される。
【0021】
また、脱穀装置3へ穀稈を搬送し終えてから刈取装置4を停止させることができるので、搬送途中で穀稈が落下することを防止でき、落下した穀稈を拾い集める作業が不要になる。
走行装置2に、エンジンの回転を伝達するミッションケース18に、無段変速装置15を設け、無段変速装置15からミッションケース18の入力軸18Aに無段階に変速したエンジンの駆動回転を入力し、走行装置2の車軸18Bに伝達して走行させる構成とし、ミッションケース18の入力軸18Aから車軸26の間の伝動経路中に、刈取装置4に無段変速装置15の変速回転を出力する刈取出力軸36を設け、無段変速装置15とミッションケース18を介して刈取装置4に走行速度に同調させた刈取作業回転を伝達する構成とし、操縦部6に設けた停車部材(駐車ブレーキペダル)21を踏み込んでいる時のみ、機体の走行を停止させ、刈取装置4および脱穀装置3を駆動させて、圃場の穀稈(畦際穀稈)を刈取脱穀するようにし、この刈取装置4および脱穀装置3を駆動させる掻込制御を実行させる構成とし、停車部材21がロックされている状態では掻込制御は作動させない構成とする。
【0022】
すなわち、停車部材21をロック状態としたときは作業者が機体から降車し得るので、走行装置2にも刈取装置4にも伝動しないよう、無段変速装置15が停止して出力「0」にする。
また、停車部材21を、ロック状態にはならず、且つ明らかに踏み込み操作されていると見なせる角度に回動操作しているときは、作業者が操縦部6に搭乗しているので、無段変速装置15は出力を維持し、刈取装置4から脱穀装置3に搬送途中である穀稈を移動させる。
この操作は、圃場端等に到達して次工程の開始位置に移動する必要があるときに、刈取装置4の搬送経路に残っている穀稈を脱穀装置3まで搬送しておくことで、移動時に穀稈の搬送姿勢が乱れたり、圃場に落下したりすることを防止するために行うものである。
したがって、安定した穀稈の刈取収穫作業が可能になる。
また、作業者が停車部材21を、ロック状態及び非操作状態のいずれにもならない力で意図的に踏み込み操作しているときにのみ掻込制御を実行できるので、安全性を向上させることができる。
【0023】
そのため、停車部材21を足で踏んでいる時のみ掻込制御を駆動(実行)でき、安全性を向上させられる。
また、停車部材21の「踏込」を、掻込制御の実行要件としているので、従来作動構成のコンバインにもそのまま対応が可能となる。
刈取装置4を走行用HST37にて駆動する構成において、駐車ブレーキペダル(停車部材21)38を踏み込んでいる時のみ、掻込制御を作動(実行)させる構成とし、駐車ブレーキペダル38がロックされていない状態では掻込制御は作動させない構成とし、駐車ブレーキペダル38のロック位置か否かの判定は、ペダル作動角度を検知する姿勢検出部材27をポジションセンサ39により構成した構成とする。
そのため、駐車ブレーキペダル38をロックし、主変速レバー(変速操作レバー16)40を前進側に倒した状態で、刈取装置4を駆動している状態のまま機体から降りるのを防止する。
【0024】
そのため、駐車ブレーキペダル(停車部材21)38を足で踏んでいる時のみ掻込制御を駆動(実行)でき、安全性向上させられる。
刈取装置4を走行用HST37にて駆動する構成において、駐車ブレーキペダル38を踏み込んでいる時のみ、掻込制御を作動させる構成とし、駐車ブレーキペダル38がロックされていない状態で掻込制御を作動させない構成とし、駐車ブレーキペダル38のロック位置の判定は、駐車ブレーキペダル38に設けられている始動牽制用スイッチ41と兼用する構成とする。
すなわち、始動牽制用スイッチ41は、停車部材21を駐車(ロック)位置まで踏み込み操作した際に作動するものであり(
図4)、具体的には、停車部材21が駐車位置に無いときにエンジンを入操作できてしまうと、変速操作レバー16の操作位置などによって機体が前進、または後進を開始してしまうので、エンジン始動時に停車部材21が駐車位置に操作されていなければ、エンジンに始動信号を伝達させない構成としている。
【0025】
そのため、駐車ブレーキペダル38を足で踏んでいる時のみ掻込制御を駆動(実行)でき、安全性向上させられる。
ここで「始動牽制用スイッチ41と兼用する構成」とは、始動牽制用スイッチ41をポテンショメータ27等の複数の数値情報を取得できる部材とし、駐車位置に操作されていることと、駐車位置と非操作位置の範囲内に操作されていることを判断でき、前者の場合はエンジン始動の牽制を解除し、後者の場合は掻込制御を実行する。
なお、始動牽制用スイッチ41は、ペダル部23を十分に踏み込んだ際、駐車状態であることを検出する検知スイッチを兼用し、駐車状態では、基本的に走行や刈取を行なわないので、無段変速装置15の出力の増減操作や、クラッチの入操作等を無視し、一方、駐車状態で且つ変速操作レバー16が中立位置にあるときのみ、エンジン等のキーオンを受け付ける構成とし、エンジン始動時に急発進する、あるいはHST出力が高出力域まで上がろうとすることで、エンジン回転数の上昇に余分な負荷がかかることを防止できる。
【0026】
刈取装置4を走行用HST37にて駆動する構成において、駐車ブレーキペダル38を踏み込んでいる時のみ、掻込制御を作動させる構成とし、駐車ブレーキペダル38がロックされている状態では掻込制御を作動させない構成とし、駐車ブレーキペダル38がロックされていない状態で、且つ踏み込み操作が検出されているときのみ掻込制御を作動させる構成とし、駐車ブレーキペダル38のロック位置の判定は、駐車ブレーキペダル38に設けられたロック爪42が固定されるプレート(フロワ10)43側に設ける構成とする。
駐車ブレーキペダル38がロックされている状態では、踏み込んでもポテンショメータ27が検出する角度の変化が略生じないので、踏み込みの有無を検出できない。さらには、駐車ブレーキペダル38を踏み込んで駐車状態にするときは、おおよそ作業者が機体から降りるときであるので、掻込制御が停止することで、降車時に刈取装置4が動作せず、安全な降車が可能になる。
【0027】
一方、駐車ブレーキペダル38が非ロック状態であるときには、作業者が略同じ力で踏み込みを継続していても、微細な無意識の身体の動きからポテンショメータ27がある程度の角度変化を検出するので、搭乗中の作業者が踏み込んでいるかどうかを判定できる。したがって、作業者が操縦部6に搭乗している状態、即ち刈取装置4の駆動部から離間した状態で掻込制御を実行できるので、作業の安全性が確保される。
そのため、駐車ブレーキペダル38を足で踏んでいる時のみ掻込制御を駆動(実行)でき、安全性向上させられる。
停車部材21の構成は、任意であるが、一例示すと、ペダル部23には、ペダル部23の踏み込み荷重を調節する荷重変化装置51を設け、荷重変化装置51はペダル部23の側方に設けたボス52の下部側に調節バネ53を配置し、ボス52と調節バネ53に保持シャフト54を挿通し、保持シャフト54の上端部に割りピン55等で抜け止め処理し、保持シャフト54によりペダル部23を所定高さ位置に保持させる構成とする。
【0028】
停車部材21は、ペダル部23を駐車位置まで踏み込むと駐車ロック状態とし、ペダル部23を再度踏み込むことで駐車ロック状態を解除する構成とし、ペダル部23を再度踏み込んだときに、スプリング57の弾力により停車部材21が上方回動して、支点越えを行わせる。
56は停車部材21の操作を、ミッションケース18内のブレーキ20に伝達する伝達部材である。
刈取装置4を走行用HST37にて駆動する構成において、駐車ブレーキペダル38を踏み込んでいる時のみ、掻込制御を作動させる構成とし、駐車ブレーキペダル38がロックされている状態では掻込制御は作動させない構成とし、駐車ブレーキペダル38のロック位置の判定は、ロックレバー45を別途設け、ロックレバー45側にスイッチ46を設ける構成とする(
図2、6)。
【0029】
図6のように、ロックレバー45は機体左右方向に操作可能であり、下端部に設けるロック爪42(
図2)にロックピン45aを引っ掛けることで駐車ブレーキペダル38を駐車状態にし、このとき、ロック爪42の下端部の円弧面がスイッチ46を押し込むことで、駐車状態が認識される。
そのため、ロックレバー45を左右一側方向に操作し、ロック爪42の上方の凹部にロックピン45aを接触させることで、ロック爪42がスイッチ46に接触した状態になると共に、ロックレバー45を左右他側方向に操作してロックピン45aをロック爪42から退避させない限り駐車ブレーキペダル38の駐車状態が維持されるので、駐車ブレーキペダル38の駐車状態と解除状態はロックレバー45の意図的な操作が無ければ切り替わらないので、作業者が機体から降りた際に掻込制御が作動することが防止され、作業の安全性が向上する。
【0030】
また、ロックレバー45を操作しない限り、駐車ブレーキペダル38を踏み込んでも駐車状態に切り替わることを防止できるので、操縦部6に搭乗した作業者は駐車ブレーキペダル38を強く踏んでも掻込制御が中断されないので、旋回走行前等に刈取装置4から穀稈を脱穀装置3に移すことができ、旋回等の移動時に穀稈が圃場に落下することを防止できる。
そのため、駐車ブレーキペダル38を足で踏んでいる時のみ掻込制御を駆動(実行)でき、安全性向上させられる。
上記実施形態の何れかのうち、前記走行用HST37がメカ式無段変速装置15を使用している機体においては、刈取クラッチ29の入切用の電動モータ30を切側に作動させ、刈取装置4の駆動を停止させる。
【0031】
そのため、メカ式無段変速装置15である走行用HST37を備える機体においては、エンジンから刈取装置4への伝動は別系統であり、走行用HST37の出力を「0」にしても刈取装置4はエンジンが動作する限り作動し続ける。
したがって、駐車ブレーキペダル38を駐車状態に操作したことをスイッチ46が検出すると、電動モータ30を作動させて刈取クラッチ29を切状態にすることで、作業者が車外に移動する際に刈取装置4にエンジンの駆動力が伝わって作動することが無いので、移動の安全性が確保される。
それゆえ、駐車ブレーキペダル38を足で踏んでいる時のみ掻込制御を駆動(実行)でき、安全性向上させられる。
上記実施形態の何れかのうち、前記走行用HST37がメカ式無段変速装置15を使用している機体においては、刈取クラッチ29の電動モータ30を切側に作動させ、刈取装置4の駆動を停止させ、駐車ブレーキペダル38がロック位置から解除された場合、再度刈取クラッチ29の電動モータ30を入側に動作させる構成とする。
【0032】
そのため、駐車ブレーキペダル38の操作により、刈取装置4への刈取クラッチ29の入切を容易に切り替えられると共に、作業者が機外に移動する際にエンジンを停止させる必要がなく、エンジンの再始動に時間を取られることが無く、作業時間の短縮が図られる。
上記実施形態の何れかのうち、前記走行用HST37がメカ式無段変速装置15を使用している機体においては、刈取クラッチ29の電動モータ30を切側に作動させ、刈取装置4の駆動を停止させ、刈取停止後、駐車ブレーキペダル38がロック位置から解除されたら、規定時間(例:0.5S)経ってから再度刈取装置4を駆動させる構成とする。
そのため、駐車ブレーキペダル38の解除と同時には電動モータ30が作動せず、一定時間をおいてから電動モータ30が作動して刈取クラッチ29を入状態にすることにより、後述の報知装置の作動後に刈取装置4が作動するので、作業者が急な刈取装置4の作動に慌てて誤操作することがなく、作業能率の低下が防止される。
【0033】
上記実施形態の何れかのうち、前記走行用HST37がメカ式無段変速装置15を使用している機体においては、刈取クラッチ29の電動モータ30を切側に作動させ、刈取装置4の駆動を停止させ、刈取停止後、駐車ブレーキペダル38がロック位置から解除されたら、規定時間(例:0.5S)経ってから再度刈取装置4を駆動させる構成とし、刈取停止後、駐車ブレーキペダル38がロック位置から解除されたら、規定時間(例:0.5S)経ってから再度刈取装置4を駆動させる構成とし、再度刈取駆動時はブザー47にて駆動を知らせる構成とする。
そのため、再度刈取駆動時をブザー47の鳴動で報知するので、一層、安全性を向上させられる。
上記実施形態の何れかのうち、前記走行用HST37がメカ式無段変速装置15を使用している機体においては、刈取クラッチ29の伝動モータ30を切側に作動させ、刈取装置4の駆動を停止させる。
【0034】
この場合、停車部材21を遮断位置に操作してロックすると、電動モータ30により刈取クラッチ29を切状態とし、停車部材21のロック状態を解除したときは、解除操作から一定時間が経過するまで電動モータ(刈取クラッチ)30の作動を規制する。
そのため、作業者が主変速レバー40を中立位置に戻さないと電動モータ30が刈取クラッチ29を入にせず、刈取作業が再開できないが、作業者が意図的に主変速レバー40を操作することで電動モータ30の規制が解除されるので、刈取装置4の作動も予期したものとなり、予期せぬ動作による誤操作の誘発が防止される。
上記実施形態の何れかのうち、電子式無段変速装置15を使用している機体においては、前進側ソレノイド34への出力を停止させ、刈取装置4の駆動を停止させる。
この場合、駐車ブレーキペダル38が駐車状態に操作されてスイッチ46が入ると、前進側ソレノイド34への出力の停止させる。
【0035】
そのため、駐車ブレーキペダル38を駐車状態にすると、走行装置2と刈取装置4への伝動が速やかに遮断されることにより、掻込制御の終了時や機外に作業者が降りるときに機体が移動することや、刈取装置4が動くことが無いので、作業者の安全性が確保される。
上記実施形態の何れかのうち、電子式無段変速装置15を使用している機体においては、前進側ソレノイド34への出力を停止させ、刈取装置4の駆動を停止させる構成とし、駐車ブレーキペダル38がロック位置から解除された場合、再度前進側ソレノイド34へ出力し、刈取装置4を駆動させる。
そのため、掻込制御を行ったあと、旋回走行等に速やかに移行できるので、作業能率が向上する。
【0036】
上記実施形態の何れかのうち、電子式無段変速装置15を使用している機体においては、前進側ソレノイド34への出力を停止させ、刈取装置4の駆動を停止させる構成とし、駐車ブレーキペダル38がロック位置から解除された場合、規定時間(例:0.5S)経ってから再度前進側ソレノイド34へ出力し、刈取装置4を駆動させる。
そのため、駐車ブレーキペダル38を駐車状態から解除した後、一定時間経過するまでは走行装置2や刈取装置4に駆動力が伝わらないことにより、急な作動に作業者が驚いて誤操作が誘発されることが防止される。
上記実施形態の何れかのうち、電子式無段変速装置15を使用している機体においては、前進側ソレノイド34への出力を停止させ、刈取装置4の駆動を停止させる構成とし、駐車ブレーキペダル38がロック位置から解除された場合、規定時間(例:0.5S)経ってから再度前進側ソレノイド34へ出力し、刈取装置4を駆動させ、再度刈取駆動時はブザー47にて駆動を知らせる構成とする。
【0037】
そのため、再度刈取駆動時をブザー47の鳴動で報知するので、一層、安全性を向上させられる。
上記実施形態の何れかのうち、電子式無段変速装置15を使用している機体においては、前進側ソレノイド34への出力を停止させ、刈取装置4の駆動を停止させる構成とし、駐車ブレーキペダル38がロック位置から解除された場合、主変速レバー40が一度中立位置まで戻るまで、前進側ソレノイド34へ出力は行わない構成とする。
そのため、作業者が主変速レバー40を中立位置に戻さないと前進側ソレノイド34への出力が行われないことにより、作業者が意図的に主変速レバー40を操作することで前進側ソレノイド34の規制が解除されるので、刈取装置4の作動も予期したものとなり、予期せぬ動作による誤操作の誘発が防止される。
上記実施形態の何れかにおいて、駐車ブレーキペダル38がロックされた状態においても、規定時間は刈取装置4を駆動させる構成とする。
【0038】
そのため、駐車ブレーキペダル38を駐車状態に切り替えても、刈取装置4への伝動が規定時間継続されることにより、掻込制御により脱穀装置3に搬送される穀稈が中途半端な位置に留まり、旋回走行等の途中で圃場に落下することを防止できる。これにより、落下した穀稈を拾い集める作業が不要となる。
それゆえ、駐車ブレーキペダル38がロックされてから所定時間経過後に刈取装置4を駆動させる。例えば、前記所定時間は5秒間程度とする。
上記実施形態の何れかにおいて、駐車ブレーキペダル38がロックされた状態においても、規定時間は刈取装置4を駆動させる構成とし、刈取停止後、駐車ブレーキペダル38がロック位置から解除されたら、再度刈取装置4を駆動させる構成とする。
上記実施形態の何れかにおいて、駐車ブレーキペダル38がロックされた状態においても、規定時間は刈取装置4を駆動させる構成とし、所定時間経過後、刈取装置4を停止させ、刈取停止後、駐車ブレーキペダル38がロック位置から解除されたら、所定時間経過後に再度刈取装置4を駆動させる構成とする。
【0039】
そのため、駐車ブレーキペダル38の駐車状態を解除操作したとき、所定時間経過するまでは刈取装置4の作動を規制することにより、駐車ブレーキペダル38の操作と同時に刈取装置4が動作することで、作業者が誤操作を行い作業能率や精度を低下させることが防止される。
上記実施形態の何れかにおいて、駐車ブレーキペダル38がロックされた状態においても、規定時間は刈取装置4を駆動させる構成とし、所定時間経過後に停止させ、刈取停止後、駐車ブレーキペダル38がロック位置から解除されたら、所定時間経過後再度刈取装置4を駆動させ、再度刈取駆動時はブザー47にて再駆動を報知する。
上記実施形態の何れかにおいて、駐車ブレーキペダル38がロックされた状態においても、規定時間は刈取装置4を駆動させる構成とし、その後停止させ、刈取停止後、再度駐車ブレーキペダル38を踏みなおすまで、掻込制御には移行しない構成とする。
【0040】
そのため、駐車ブレーキペダル38を駐車状態にした後、再度掻込制御を行う必要があるときは、作業者は、駐車状態を解除した後に駐車ブレーキペダル38を踏むと掻込制御を行えるので、移動中に穀稈が落下することを防止できる。
上記実施形態の何れかにおいて、駐車ブレーキペダル38がロックされた状態においても、規定時間は刈取装置4を駆動させ、所定時間後停止させ、刈取停止後、主変速レバー40が一旦中立位置まで戻るまで、前進側ソレノイド34へ出力は行わない。
そのため、作業者が主変速レバー40を中立位置に戻さないと前進側ソレノイド34への出力が行われないことにより、作業者が意図的に主変速レバー40を操作することで前進側ソレノイド34の規制が解除されるので、刈取装置4の作動も予期したものとなり、予期せぬ動作による誤操作の誘発が防止される。
【0041】
上記実施形態の何れかのうち、操縦部6に設けたモニタ50の画面のタッチ操作で刈取整備モードに移行した場合、駐車ブレーキペダル38のロックの条件を無効とする。
そのため、メンテナンス設定中は駐車ブレーキペダル38を駐車状態にしていても、作業者は駐車ブレーキペダル38を踏み操作して掻込制御の挙動を行わせることができるので、刈取装置4の各部を空動作させることで、メンテナンスの必要な箇所の洗い出しが容易になる。
上記実施形態の何れかのうち、電子式無段変速装置15の場合において、操縦部6に設けたモニタ50の画面のタッチ操作で刈取整備モードに移行した場合、駐車ブレーキペダル38のロックの条件を無効とし、刈取整備モード中は、前進側ソレノイド34への出力を規定値まで抑える構成とする。
そのため、メンテナンス設定中は前進側ソレノイド34の出力に制限をかけることにより、万一走行装置に伝動しても高速で走り出すことが防止されるので、作業の安全性が確保される。
【0042】
また、刈取装置4が掻込制御により動作する速度も抑えられるので、メンテナンスが必要な箇所の目視確認が容易に行える。
上記実施形態の何れかのうち、電子式無段変速装置15の場合において、操縦部6に設けたモニタ50の画面のタッチ操作で刈取整備モードに移行した場合、駐車ブレーキペダル38のロックの条件を無効とし、刈取整備モード終了時は、駐車ブレーキペダル38のロックの条件を有効にする。
そのため、メンテナンス終了後には設定を元に戻ることにより、掻込制御等の作業を行う際に異なる挙動をすることを防止できるので、操作の煩雑化が防止される。
【符号の説明】
【0043】
1…機体フレーム、2…走行装置、3…脱穀装置、4…刈取装置、5…グレンタンク、6…操縦部、10…フロア、15…無段変速装置、16…変速操作レバー、17…パワステレバー、18…ミッションケース、18A…入力軸、18B…車軸、19…サイドクラッチ、20…ブレーキ、21…停車部材、23…ペダル部、26…車軸、27…姿勢検出部材、28…遮断検出部材、29…刈取クラッチ、30…電動モータ、31…制御部、33…変速操作検出部材、34…ソレノイド、35…中立検出部材、36…刈取出力軸、37…走行用HST、38…駐車ブレーキペダル、40…主変速レバー、41…始動牽制用スイッチ、42…ロック爪、43…プレート、45…ロックレバー、46…スイッチ、47…ブザー、50…モニタ、51…荷重変化装置、52…ボス、53…調節バネ、54…保持シャフト、55…割りピン。