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  • 特開-本人確認システム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024093087
(43)【公開日】2024-07-09
(54)【発明の名称】本人確認システム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 20/40 20120101AFI20240702BHJP
【FI】
G06Q20/40
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022209232
(22)【出願日】2022-12-27
(71)【出願人】
【識別番号】399097306
【氏名又は名称】株式会社広島銀行
(74)【代理人】
【識別番号】100132964
【弁理士】
【氏名又は名称】信末 孝之
(72)【発明者】
【氏名】山根 洋
(72)【発明者】
【氏名】住田 大樹
【テーマコード(参考)】
5L020
5L055
【Fターム(参考)】
5L020AA73
5L055AA73
(57)【要約】
【課題】複数のダイレクトチャネルからのログイン時の本人確認を、重複することなく行うことの可能な本人確認システムを提供する。
【解決手段】複数のダイレクトチャネル1,2,3からのログイン時の本人確認を、eKYCを利用した本人確認手段20により行うための本人確認システム10であって、本人確認が必要か否かの本人確認状況を記憶する本人確認状況記憶手段11と、ダイレクトチャネル1,2,3からのログイン時に本人確認状況記憶手段11に記憶された本人確認状況を取得し、確認必要の場合にのみ本人確認手段20に誘導する制御手段12と、を有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のダイレクトチャネルからのログイン時の本人確認を、eKYCを利用した本人確認手段により行うための本人確認システムであって、
本人確認が必要か否かの本人確認状況を記憶する本人確認状況記憶手段と、
前記ダイレクトチャネルからのログイン時に前記本人確認状況記憶手段に記憶された本人確認状況を取得し、確認必要の場合にのみ前記本人確認手段に誘導する制御手段と、
を有することを特徴とする本人確認システム。
【請求項2】
前記制御手段が、前記本人確認手段への誘導後に前記本人確認状況を手続中に更新することを特徴とする請求項1に記載の本人確認システム。
【請求項3】
前記本人確認手段による本人確認結果に基づき本人確認情報を作成する本人確認情報作成手段と、
前記作成された本人確認情報を記憶する本人確認情報記憶手段と、
を有し、
前記制御手段が、前記記憶された本人確認情報に基づき前記本人確認状況を確認済に更新することを特徴とする請求項2に記載の本人確認システム。
【請求項4】
前記制御手段が、前記本人確認状況が手続中のまま所定期間が経過すると確認必要に更新することを特徴とする請求項3に記載の本人確認システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、本人確認システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、金融機関等が顧客と取引を行うときには、顧客の身元を確認する本人確認が求められている。本人確認に対する要請は徐々に厳しくなっており、近年では、例えばマネーロンダリング格付(マネロン格付)を導入し、リスクに応じて長期的に顧客情報を確認する継続的顧客管理への対応が求められている。そのため、本人確認業務が増大する傾向にあり、さらなる効率化が求められている。
【0003】
こうした本人確認業務について、例えば特許文献1には、本人確認を要する特定取引に対して、受付窓口等と業務処理端末等との間での本人確認業務のセキュアな引継処理を可能とする取引制御支援方法に関する発明が記載されており、本人確認業務を効率化するようになっている。
【0004】
また、オンライン上で本人確認を完結するための技術として、eKYC(electronic Know Your Customer)が提供されており、例えば特許文献2には、決済サービスにおける本人認証を、eKYCを利用して行う情報処理方法に関する発明が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2022-92691号公報
【特許文献2】特開2021-108204号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、近年の金融機関等における取引は、窓口経由ではなく銀行システムに外部から直接アクセスする、いわゆるダイレクトチャネルを経由したものが中心になっている。ダイレクトチャネルは、一つの金融機関等においても、インターネットバンキングやスマートフォンの専用アプリを利用した様々な形態のものが提供されている。そして、こうしたダイレクトチャネルからのログイン時の本人確認については、上述のeKYCを利用することができる。
【0007】
しかしながら、現状では複数のダイレクトチャネルにおける本人確認は独立して行われており、同一の顧客であってもアクセスするチャネルが異なる場合には、別々に本人確認を行わなければならない。例えば、インターネットバンキング取引で本人確認が完了している顧客であっても、スマートフォンの専用アプリから別の取引を行う場合には、改めて本人確認が必要になる。こうした本人確認業務の重複は、顧客、金融機関等の両者にとって煩雑である。
【0008】
本発明は、上記従来の課題を解決するものであり、複数のダイレクトチャネルからのログイン時の本人確認を、重複することなく行うことの可能な本人確認システムを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、本発明の本人確認システムは、複数のダイレクトチャネルからのログイン時の本人確認を、eKYCを利用した本人確認手段により行うための本人確認システムであって、本人確認が必要か否かの本人確認状況を記憶する本人確認状況記憶手段と、前記ダイレクトチャネルからのログイン時に前記本人確認状況記憶手段に記憶された本人確認状況を取得し、確認必要の場合にのみ前記本人確認手段に誘導する制御手段と、を有することを特徴とする。
【0010】
また好ましくは、前記制御手段が、前記本人確認手段への誘導後に前記本人確認状況を手続中に更新することを特徴とする。
【0011】
また好ましくは、前記本人確認手段による本人確認結果に基づき本人確認情報を作成する本人確認情報作成手段と、前記作成された本人確認情報を記憶する本人確認情報記憶手段と、を有し、前記制御手段が、前記記憶された本人確認情報に基づき前記本人確認状況を確認済に更新することを特徴とする。
【0012】
また好ましくは、前記制御手段が、前記本人確認状況が手続中のまま所定期間が経過すると確認必要に更新することを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明の本人確認システムは、複数のダイレクトチャネルからのログイン時の本人確認を、eKYCを利用した本人確認手段により行うための本人確認システムであり、本人確認が必要か否かの本人確認状況を記憶する本人確認状況記憶手段と、制御手段とを有している。そして、制御手段が、ダイレクトチャネルからのログイン時に本人確認状況記憶手段に記憶された本人確認状況を取得し、確認必要の場合にのみ本人確認手段に誘導するようになっているので、本人確認状況が確認必要でない場合には本人確認手段による本人確認は行われず、本人確認処理が重複することがない。
【0014】
また、制御手段が、本人確認手段への誘導後に本人確認状況を手続中に更新することにより、次にログインがあった場合に本人確認手段に誘導することはない。
【0015】
また、本人確認手段による本人確認結果に基づき本人確認情報を作成する本人確認情報作成手段と、作成された本人確認情報を記憶する本人確認情報記憶手段と、を有し、制御手段が、記憶された本人確認情報に基づき本人確認状況を確認済に更新することにより、次にログインがあった場合に本人確認手段に誘導することはない。
【0016】
また、制御手段が、本人確認状況が手続中のまま所定期間が経過すると確認必要に更新することにより、本人確認が完了しないまま次にログインがあった場合に本人確認手段に誘導することができる。
【0017】
このように、本発明によれば、複数のダイレクトチャネルからのログイン時の本人確認を、重複することなく行うことの可能な本人確認システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の実施形態に係る本人確認システムの構成図である。
図2】本人確認状況のデータ項目である。
図3】本人確認情報のデータ項目である。
図4】本人確認システムのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
次に、図1乃至図4を参照して、本発明の実施形態に係る本人確認システムについて説明する。図1は、本実施形態に係る本人確認システム10の構成図である。本人確認システム10は、複数のダイレクトチャネルからのログイン時の本人確認を行うためのものである。
【0020】
本人確認は、eKYC(electronic Know Your Customer)を利用した本人確認手段20により行われる。なお、図1では本人確認手段20を本人確認システム10(破線の範囲)から除外しているが、本人確認手段20を本人確認システム10に含めてもよい。
【0021】
複数のダイレクトチャネルとしては、図1に示すように、パソコン1を利用したインターネットバンキング、スマートフォン2を利用した専用アプリによる取引、eKYC対応のATMによる取引等が挙げられるが、eKYCを利用した本人確認手段が利用できるデバイスを使用したチャネルであれば特に限定されない。複数のダイレクトチャネルは、ネットワーク4を介して、本人確認システム10及び本人確認手段20に接続できるようになっている。
【0022】
本人確認システム10は、本人確認状況記憶手段11、制御手段12、本人確認情報作成手段13及び本人確認情報記憶手段14を有している。
【0023】
本人確認状況記憶手段11は、顧客ごとに現時点で本人確認が必要か否かの本人確認状況を記憶するものである。図2に示すように、本人確認状況5は、「顧客番号」に対応付けられた「本人確認状況」のデータ項目を有している。「本人確認状況」は、「確認必要」、「手続中」、「確認済」の3つのステータスのうちいずれかを示すようになっている。
【0024】
制御手段12は、本人確認システム10全体の制御を行うものである。詳細については後述する。
【0025】
本人確認情報作成手段13は、本人確認手段20による本人確認結果に基づき本人確認情報を作成する。図3に示すように、本人確認情報6は、顧客番号に対応付けられた「取引時確認情報」、「取引時確認記録」の各データ項目を有している。本人確認手段20から送信される本人確認結果には、受付日時、氏名、住所、生年月日、顔写真、本人確認書類が含まれており、確認者が内容を照合して承認すると、受付日時、氏名、住所、生年月日、顔写真、本人確認書類、確認者、承認日時を含む「取引時確認情報」が作成される。また、取引時確認情報を法定書類として記録した「取引時確認記録」が作成され、イメージデータとして記憶される。
【0026】
本人確認情報記憶手段14は、本人確認情報作成手段13により作成された本人確認情報6を記憶するものである。
【0027】
次に、図4のフローチャートを参照して、本人確認システム10による本人確認方法について説明する。
【0028】
顧客がダイレクトチャネル(例えばパソコン1を利用したインターネットバンキング)からログインすると(ステップS101)、本人確認システム10の制御手段12は、本人確認状況記憶手段11に記憶された本人確認状況5を取得する(ステップS102)。
【0029】
制御部12は、取得した本人確認状況5が本人確認必要(ステータス=「確認必要」)の場合(ステップS103Yes)にのみ、顧客を本人確認手段20に誘導する。取得した本人確認状況が本人確認必要以外(ステータス=「手続中」又は「確認済」)の場合(ステップS103No)、顧客を本人確認手段20に誘導することなく、そのまま当初の取引が継続される。また、顧客を本人確認手段20に誘導した後に、制御手段12は本人確認状況5を「手続中」に更新する(ステップS104)。
【0030】
本人確認手段20に誘導されると、顧客の取引画面は本人確認手段20の画面(eKYC)に切り替わる。本人確認手段20は、顧客から送信された撮影画像及び本人確認書類に基づき本人確認を行う(ステップS105)。
【0031】
本人確認手段20による本人確認が完了すると、顧客の取引画面は切り替わり、当初の取引が継続される。本人確認手段20による本人確認結果は、本人確認情報作成手段13に送信される。本人確認情報作成手段13は、送信された本人確認結果に基づき、本人確認情報6を作成する(ステップS106)。作成された本人確認情報6は、本人確認情報記憶手段14に記憶される(ステップS107)。
【0032】
制御手段12は、記憶された本人確認情報6に基づき、本人確認状況5を「確認済」に更新する(ステップS108)。以上により、本人確認システム10による本人確認方法が完了する。
【0033】
なお、本人確認手段20に誘導された顧客が本人確認を完了しないまま取引を終了することも考えられる。その場合、本人確認状況5が「手続中」のままになってしまう。これに対しては、本人確認状況5が「手続中」のまま所定期間が経過すると、制御手段12が本人確認状況5を「確認必要」に更新することにより対応することができる。
【0034】
本実施形態に係る本人確認システム10は、複数のダイレクトチャネル1,2,3からのログイン時の本人確認を、eKYCを利用した本人確認手段20により行うための本人確認システムであり、本人確認が必要か否かの本人確認状況5を記憶する本人確認状況記憶手段11と、制御手段12とを有している。そして、制御手段12が、ダイレクトチャネル1,2,3からのログイン時に本人確認状況記憶手段11に記憶された本人確認状況5を取得し、確認必要の場合にのみ本人確認手段20に誘導するようになっているので、本人確認状況5が確認必要でない場合には本人確認手段20による本人確認は行われず、本人確認処理が重複することがない。
【0035】
また、制御手段12が、本人確認手段20への誘導後に本人確認状況5を手続中に更新することにより、次にログインがあった場合に本人確認手段20に誘導することはない。
【0036】
また、本人確認手段20による本人確認結果に基づき本人確認情報6を作成する本人確認情報作成手段13と、作成された本人確認情報6を記憶する本人確認情報記憶手段14と、を有し、制御手段12が、記憶された本人確認情報6に基づき本人確認状況5を確認済に更新することにより、次にログインがあった場合に本人確認手段20に誘導することはない。
【0037】
また、制御手段12が、本人確認状況が手続中のまま所定期間が経過すると確認必要に更新することにより、本人確認が完了しないまま次にログインがあった場合に本人確認手段に誘導することができる。
【0038】
このように、本実施形態に係る本人確認システム10は、複数のダイレクトチャネルからのログイン時の本人確認を、重複することなく行うことが可能である。
【0039】
以上、本実施形態に係る本人確認システムについて説明したが、本発明は上述した実施の形態に限定されるわけではなく、その他種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0040】
1 パソコン
2 スマートフォン
3 ATM
4 ネットワーク
5 本人確認状況
6 本人確認情報
10 本人確認システム
11 本人確認状況記憶手段
12 制御手段
13 本人確認情報作成手段
14 本人確認情報記憶手段
20 本人確認手段
図1
図2
図3
図4