(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024093091
(43)【公開日】2024-07-09
(54)【発明の名称】組成物
(51)【国際特許分類】
A23L 33/10 20160101AFI20240702BHJP
A23L 29/281 20160101ALI20240702BHJP
A23L 33/18 20160101ALI20240702BHJP
A61P 1/02 20060101ALI20240702BHJP
A61K 9/68 20060101ALI20240702BHJP
A61K 47/42 20170101ALI20240702BHJP
A61K 47/26 20060101ALI20240702BHJP
A61K 47/46 20060101ALI20240702BHJP
A61K 47/36 20060101ALI20240702BHJP
【FI】
A23L33/10
A23L29/281
A23L33/18
A61P1/02
A61K9/68
A61K47/42
A61K47/26
A61K47/46
A61K47/36
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022209240
(22)【出願日】2022-12-27
(71)【出願人】
【識別番号】000106324
【氏名又は名称】サンスター株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】松尾 平三
(72)【発明者】
【氏名】小林 惠津子
(72)【発明者】
【氏名】吉田 美香子
【テーマコード(参考)】
4B018
4B041
4C076
【Fターム(参考)】
4B018LB01
4B018LE06
4B018MD09
4B018MD20
4B018MD32
4B018MD47
4B018ME14
4B018MF04
4B018MF05
4B018MF08
4B041LC03
4B041LC05
4B041LD01
4B041LE10
4B041LK07
4B041LK12
4B041LK16
4B041LK17
4B041LK33
4B041LP01
4B041LP13
4B041LP16
4C076AA69
4C076BB01
4C076DD38
4C076EE30
4C076EE38
4C076EE42
4C076EE43
4C076EE58
4C076FF52
(57)【要約】
【課題】使用者のストレスを緩和しながら、咀嚼筋に効率的に負荷を与えることができる組成物を提供する。
【解決手段】本発明の組成物10は、咀嚼破断方向Xの上方に向かって先細形状を有する立体構造として半球状の凸状部材11が、咀嚼破断方向Xに対し垂直な平面方向において、複数連結された構造を有しており、該連結された部分において、凹領域14が形成されている。組成物10は、凹領域14及び凸状部材11の頭頂部Qを含む凸領域15により、咀嚼破断方向Xに対し垂直な平面方向に対して、咀嚼破断方向における破断荷重が異なる領域が3か所以上形成されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
咀嚼破断方向に対し垂直な平面方向において、前記咀嚼破断方向における破断荷重が異なる領域が3か所以上形成されている組成物。
【請求項2】
前記破断荷重が異なる領域における最小破断荷重と最大破断荷重との比は、1:1.1~2である請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記破断荷重が異なる領域は、厚みの異なる凹領域と凸領域とを含み、前記凸領域は2か所以上形成されている請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
前記咀嚼破断方向の少なくともいずれか一方に向かって先細形状を有する立体構造が、前記咀嚼破断方向に対し垂直な平面方向において、複数連結された構造を有しており、該連結された部分において、前記凹領域が形成されている請求項3に記載の組成物。
【請求項5】
前記凹領域における厚みと、前記凸領域における厚みの比は、1:1.1~4である請求項3又は4に記載の組成物。
【請求項6】
口腔機能の向上又は維持のために用いられる請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
前記組成物は、グミ組成物である請求項1又は6に記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば口腔機能の向上又は維持のために用いられる組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
咀嚼とは、嚥下に適した性状に調整するために食物をかみ砕き、唾液と混ぜ合わせる栄養摂取行動の一部である。食物を小さな食片に粉砕することで、消化酵素が作用する表面積が増加するため、食物をよく咀嚼することは消化吸収を助ける。
【0003】
近年、加齢とともに咀嚼機能が低下し、摂取可能な食品が減少することで栄養不足を招き、それが筋力の低下、ひいては全身の運動機能の低下につながるおそれがあるとされている。また、若年層においても、近年の柔らかい食べ物への嗜好により、健全な成育への影響が問題視されている。そのため、咀嚼機能を維持、又は向上させることの重要性が認識され始めている。例えば、非特許文献1には、さきいか、たくあんを噛むことのできる咀嚼能力を有した高齢者は、そうでない高齢者と比べて健康余命が有意に長いことが示されている。また、咀嚼能力の維持又は向上は多様な食品の摂取、ひいては多様な栄養の摂取に繋がり健康余命の延伸に寄与することが示唆されている。
【0004】
従来より、特許文献1に開示されるように、咀嚼力を向上又は維持させるための弾性組成物が知られている。かかる弾性組成物は、所定の形状及び大きさを有し、所定の破断荷重等の構成を有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】日補綴会誌 Ann Jpn Prosthodont Soc 4:380-387,2012
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、咀嚼力の維持又は改善のために、非常に硬いものを咀嚼させたり、ガムのようなものを用いて長時間咀嚼させる等の方法では、使用者にとって負担が大きく継続することが困難であった。使用者のストレスを緩和しながら、咀嚼筋に効率的に負荷を与えることができる組成物が望まれていた。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、所定の構造を有する組成物が使用者のストレスを緩和しながら、咀嚼筋に効率的に負荷を与えることができることを見出したことに基づく発明である。
上記課題を解決する各態様を記載する。
【0009】
態様1の組成物は、咀嚼破断方向に対し垂直な平面方向において、前記咀嚼破断方向における破断荷重が異なる領域が3か所以上形成されていることを特徴とする。
態様2は、態様1に記載の組成物において、前記破断荷重が異なる領域における最小破断荷重と最大破断荷重との比は、1:1.1~2である。
【0010】
態様3は、態様1又は2に記載の組成物において、前記破断荷重が異なる領域は、厚みの異なる凹領域と凸領域とを含み、前記凸領域は2か所以上形成されている。
態様4は、態様3に記載の組成物において、前記咀嚼破断方向の少なくともいずれか一方に向かって先細形状を有する立体構造が、前記咀嚼破断方向に対し垂直な平面方向において、複数連結された構造を有しており、該連結された部分において、前記凹領域が形成されている。
【0011】
態様5は、態様3又は4に記載の組成物において、前記凹領域における厚みと、前記凸領域における厚みの比は、1:1.1~4である。
態様6は、態様1~5のいずれか一態様に記載の組成物において、口腔機能の向上又は維持のために用いられる。
【0012】
態様7は、態様1~6のいずれか一態様に記載の組成物において、前記組成物は、グミ組成物である。
【発明の効果】
【0013】
本発明の組成物によれば、使用者のストレスを緩和しながら、咀嚼筋に効率的に負荷を与えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本実施形態の組成物の(a)平面図、(b)正面図、(c)(a)の1-1断面図である。
【
図2】別例の組成物の(a)平面図及び(b)正面図である。
【
図3】別例の組成物の(a)平面図及び(b)正面図である。
【
図4】別例の組成物の(a)平面図及び(b)正面図である。
【
図5】別例の組成物の(a)平面図及び(b)正面図である。
【
図6】実施例1~3のグミ組成物の(a)平面図及び(b)正面図である。
【
図7】実施例4~6のグミ組成物の(a)平面図及び(b)正面図である。
【
図8】実施例7,8のグミ組成物の(a)平面図及び(b)正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の組成物を具体化した一実施形態を説明する。
<組成物>
図1(a),(b),(c)に示されるように、本実施形態の組成物10は、半球状の凸状部材11が先細形状の球面が上方、円形の平面状の底面を下方に向けた状態で複数が一部重複する形で水平方向に連結した構造を有する。組成物10の底面12は、凸状部材11の円形底面が同一平面上で一部重複する形で連接した構成を有する。組成物10の上面13は、半球状の球面が連接した複数のコブ状構造を有する。凸状部材11が3つ以上連結される場合、その配列方法は特に限定されず、例えば直線状、カーブ状、円弧状、環状、千鳥状、縦横並列状等であってもよい。組成物10を構成する凸状部材11の数は、適宜設定することができる。組成物10を一口サイズとし、凸状部材11を環状に配置する場合、例えば3個以上10個以下が挙げられる。
【0016】
図1(b)に示されるように、組成物10は、上下方向が咀嚼破断方向Xとなる。組成物10は、基本的に口に含まれて歯で咀嚼される際、上下方向が維持された状態で、上下の歯間に収められることを想定する。組成物10は、咀嚼破断方向Xに対し垂直な平面方向において厚みの異なる領域として凹領域14と凸領域15とを含んで構成される。
図1(a)及び(c)に示されるように、凹領域14は、隣り合う2つの凸状部材11の連結領域を示し、該連結領域の中で最も厚みのある頂点部Pを含む円弧状に形成されている。凸領域15は、凸状部材11の頭頂部Qを含む頭頂領域であり、凹領域14を含まない部分を示す。凸領域15は、組成物10中において、凹領域14を挟んで離間して2か所以上形成されている。
【0017】
(組成物の大きさ)
組成物10全体の水平方向における幅は、組成物10を口に含んだ際、上下方向が維持された状態で、上下の歯間に収めることができる幅であれば特に限定されない。水平方向における幅の下限は、好ましくは3mm以上、より好ましくは4mm以上、さらに好ましくは5mm以上である。水平方向における幅の上限は、好ましくは35mm以下、より好ましくは32mm以下、さらに好ましくは30mm以下である。
【0018】
組成物10全体の水平方向における長さは、歯又は手で適宜ちぎることができるため、特に限定されない。例えば一口サイズとする場合、水平方向における長さの下限は、好ましくは3mm以上、より好ましくは4mm以上、さらに好ましくは5mm以上である。水平方向における長さの上限、好ましくは50mm以下、より好ましくは45mm以下、さらに好ましくは40mm以下である。
【0019】
組成物10を構成する凸状部材11の最大の厚み、つまり咀嚼破断方向Xにおける最大高さ(L1)は、特に限定されない。最大高さ(L1)の下限は、好ましくは2mm以上、より好ましくは3mm以上、さらに好ましくは4mm以上である。最大高さ(L1)の上限は、好ましくは15mm以下、より好ましくは12mm以下、さらに好ましくは10mm以下である。かかる範囲に規定されることにより、上下の歯間での咀嚼が容易となる。
【0020】
凸状部材11の水平方向における幅は、組成物10を口に含んだ際、上下方向が維持された状態で、上下の歯間に収めることができる幅であれば特に限定されない。凸状部材11の水平方向における幅の下限は、好ましくは3mm以上、より好ましくは4mm以上、さらに好ましくは5mm以上である。凸状部材11の水平方向における幅の上限は、好ましくは35mm以下、より好ましくは32mm以下、さらに好ましくは30mm以下である。
【0021】
組成物10の重さは、特に限定されない。一口サイズとする場合は、使用者のストレスを緩和しながら、咀嚼筋に効率的に負荷を与えることができる重さの範囲に規定される。組成物10の重さの下限は、好ましくは1g以上、より好ましくは1.5g以上、さらに好ましくは2g以上である。組成物10の重さが1g以上の場合、咀嚼筋により効率的に負荷を与えることができる。組成物10の重さの上限は、好ましくは6g以下、より好ましくは5g以下、さらに好ましくは4g以下である。組成物10の重さが6g以下の場合、使用者のストレスを緩和しながら、咀嚼筋に効率的に負荷を与えることができる。
【0022】
隣り合う2つの凸状部材11において、頭頂部Qの間の水平方向における距離(L2)は、特に限定されない。頭頂部Qの間の距離(L2)の下限は、好ましくは3mm以上、より好ましくは4mm以上、さらに好ましくは5mm以上である。頭頂部Qの間の距離(L2)の上限は、好ましくは20mm以下、より好ましくは15mm以下、さらに好ましくは12mm以下である。かかる範囲に規定することにより、心地よい食感を付与できる。
【0023】
(破断荷重)
組成物10は、咀嚼破断方向Xに対し垂直な平面方向において、咀嚼破断方向Xにおける破断荷重が異なる領域が少なくとも3か所以上、好ましくは5か所以上、より好ましくは7か所以上形成されている。咀嚼破断方向Xにおける破断荷重が異なる領域の数の上限は、特に限定されないが、好ましくは20か所以下、好ましくは18か所以下、さらに好ましくは16か所以下である。かかる範囲に規定することにより、使用者のストレスを緩和しながら、咀嚼筋に効率的に負荷を与えることができる。組成物10は、咀嚼破断方向Xにおいて厚みが異なる凹領域14と該凹領域14を挟んで離間して形成される複数の凸領域15とにより、咀嚼破断方向Xにおいて厚みが異なる領域が3か所以上形成されている。
【0024】
なお、離間して形成される複数の凸領域15の破断荷重の値は、同一であっても異なっていてもよい。本実施形態において、離間して形成される複数の凸領域15は、異なる破断荷重を有する領域としてカウントされる。凸状部材11が3つ以上連結される場合、連結領域である凹領域14は2か所以上形成される。その場合、離間して形成される複数の凹領域14の破断荷重の値は、同一であっても異なっていてもよい。本実施形態において、離間して形成される複数の凹領域14は、異なる破断荷重を有する領域としてカウントされる。破断荷重の測定は、プランジャー:幅30mm、角度60°のくさび型、圧縮速度:1mm/秒、圧縮距離:100%、サンプル温度:20℃環境下で一晩静置し順化させた条件で破断荷重(N)が測定されることにより求められる。凹領域14における破断荷重の測定は、
図1(a)(b)(c)に示される隣り合う2つの凸状部材11の連結領域に沿って、該連結領域の中で最も厚みのある頂点部Pを含み、咀嚼破断方向Xにおける垂直断面の面積が最も小さい箇所で測定される。凸領域15における破断荷重の測定は、凸状部材11の最も厚みのある頭頂部Qを含み、前記連結領域を含まず、咀嚼破断方向Xにおける垂直断面の面積が最も小さい箇所で測定される。
【0025】
破断荷重が異なる領域における最小破断荷重となる凹領域14と最大破断荷重となる凸領域15において、凹領域14における破断荷重と、凸領域15の破断荷重との比は、好ましくは1:1.1以上2以下、より好ましくは1:1.15以上1.7以下、さらに好ましくは1:1.16以上1.5以下である。かかる範囲に規定することにより、使用者のストレスを緩和しながら、咀嚼筋により効率的に負荷を与えることができる。なお、凹領域14が複数存在し、それらの領域の破断荷重が異なる場合は、最小の破断荷重が用いられる。また、凸領域15が複数存在し、それらの領域の破断荷重が異なる場合は、最大の破断荷重が用いられる。
【0026】
凹領域14における破断荷重の下限は、凸領域15の破断荷重に応じて適宜設定されるが、好ましくは50N以上、より好ましくは60N以上、さらに好ましくは90N以上である。凹領域14における破断荷重の上限は、凸領域15の破断荷重に応じて適宜設定されるが、好ましくは250N以下、より好ましくは220N以下、さらに好ましくは200N以下である。
【0027】
凸領域15における破断荷重の下限は、凹領域14の破断荷重に応じて適宜設定されるが、好ましくは110N以上、より好ましくは120N以上、さらに好ましくは130以上である。凸領域15における破断荷重の上限は、凹領域14の破断荷重に応じて適宜設定されるが、好ましくは350N以下、より好ましくは300N以下、さらに好ましくは250N以下である。
【0028】
破断荷重をかかる範囲に規定することにより、使用者のストレスを緩和しながら、咀嚼筋により効率的に負荷を与えることができる。破断荷重は、後述するゼラチン、増粘多糖類等の配合成分の含有量を調節したり、凹領域14又は凸領域15の厚みを調節することにより調整できる。
【0029】
(凹領域及び凸領域)
凹領域14及び凸領域15において、
図1(b)(c)に示される凹領域14における厚みと、凸領域15における厚みとの比は、好ましくは1:1.1以上4以下、より好ましくは1:1.2以上3.7以下、さらに好ましくは1.3以上3.5以下である。かかる範囲に規定することにより、使用者のストレスを緩和しながら、咀嚼筋により効率的に負荷を与えることができる。なお、凹領域14の厚みは、最も厚みのある頂点部Pの厚み(L3)が測定される。凹領域14が複数存在し、厚みが異なる場合は、最小の厚みが用いられる。凸領域15の厚みは、最も厚みのある頭頂部Qの厚み(L1)が測定される。凸領域15が複数存在し、厚みが異なる場合は、最大の厚みが用いられる。
【0030】
凹領域14における厚み(L3)の下限は、凸領域15の厚み(L1)に応じて適宜設定されるが、好ましくは1mm以上、より好ましくは1.2mm以上、さらに好ましくは1.4mm以上である。凹領域14における厚み(L3)の上限は、凸領域15の厚み(L1)に応じて適宜設定されるが、好ましくは10mm以下、より好ましくは9mm以下、さらに好ましくは8mm以下である。
【0031】
凸領域15における厚み(L1)の下限は、凹領域14の厚み(L3)に応じて適宜設定されるが、好ましくは2mm以上、より好ましくは3mm以上、さらに好ましくは4mm以上である。凸領域15における厚み(L1)の上限は、凹領域14の厚み(L3)に応じて適宜設定されるが、好ましくは15mm以下、より好ましくは12mm以下、さらに好ましくは10mm以下である。
【0032】
図1(a)(c)に示される凹領域14の水平方向における幅(L4)は、特に限定されない。幅(L4)の下限は、好ましくは2mm以上、より好ましくは3mm以上、さらに好ましくは4mm以上である。幅(L4)の上限は、好ましくは14mm以下、より好ましくは13mm以下、さらに好ましくは12mm以下である。かかる範囲に規定されることにより心地よい食感を付与できる。
【0033】
組成物10中における凹領域14及び凸領域15の数は、咀嚼破断方向Xにおける破断荷重が異なる領域が3か所以上形成できれば、特に限定されない。凸領域15の数の下限は、好ましくは2か所以上、より好ましくは3か所以上、さらに好ましくは4か所以上である。凸領域15の数の上限は、好ましくは15か所以下、より好ましくは14か所以下、さらに好ましくは13か所以下である。凹領域14の数の下限は、好ましくは1か所以上、より好ましくは2か所以上、さらに好ましくは3か所以上である。凹領域14の数の上限は、好ましくは15か所以下、より好ましくは14か所以下、さらに好ましくは13か所以下である。かかる範囲に規定することにより、使用者のストレスを緩和しながら、咀嚼筋に効率的に負荷を与えることができる。
【0034】
組成物10を一口サイズとし、凸状部材11を環状に配置する場合、凹領域14及び凸領域15の数の下限は、それぞれ好ましくは4か所以上、より好ましくは5か所以上、さらに好ましくは6か所以上である。凹領域14及び凸領域15の数の上限は、それぞれ好ましくは10か所以下、より好ましくは9か所以下、さらに好ましくは8か所以下である。かかる範囲に規定することにより、食べやすく、且つ使用者のストレスを緩和しながら、咀嚼筋に効率的に負荷を与えることができる。
【0035】
(圧縮荷重)
組成物10全体の圧縮荷重は、特に限定されない。組成物10が一口サイズの場合、組成物10全体の圧縮荷重の下限は、好ましくは10000g以上、より好ましくは15000g以上、さらに好ましくは20000g以上である。組成物10全体の圧縮荷重の下限が10000g以上の場合、咀嚼筋により効率的に負荷を与えることができる。かかる組成物10全体の圧縮荷重の上限は、好ましくは45000g以下、より好ましくは40000g以下、さらに好ましくは35000g以下である。組成物10全体の圧縮荷重の上限が45000g以下の場合、使用者のストレスをより緩和しながら、咀嚼筋により効率的に負荷を与えることができる。なお、圧縮荷重は、プランジャー:P75(大円盤)、圧縮速度:1mm/秒、圧縮距離:60%押し込み、サンプル温度:20℃環境下で一晩静置し順化させた条件で荷重(g)を測定することにより求められる。圧縮荷重は、後述するゼラチン、増粘多糖類等の配合成分の含有量を調節したり、組成物10の厚み又は大きさを調節することにより調整できる。
【0036】
<原料>
本実施形態の組成物10の形態として、弾性を有し、所定の破断荷重を有する組成物であれば、特に限定されない。本実施形態の組成物10は、好ましくは固形状又はゲル状の食品組成物、より好ましくはグミ組成物又はゼリー状組成物、さらに好ましくはグミ組成物として適用される。以下に本実施形態の組成物10を固形状又はゲル状の食品組成物として適用した場合の原料を示す。
【0037】
本実施形態の組成物10の原料は、特に限定されず、公知の原料が適宜採用される。本実施形態の組成物10は、例えば主成分としてゼラチンの他、その他成分が配合される。
(ゼラチン)
ゼラチンは、コラーゲンを加熱して分解することで得られる。組成物10が含有するゼラチンは、特に限定されないが、たとえば、牛、豚、鶏、魚類等の皮、骨等から抽出したコラーゲンを分解したものを使用することができる。コラーゲンからゼラチンを得る方法は、公知の方法を適宜採用することができる。ゼラチンは、市販のゼラチンを用いてもよい。ゼラチンは、一種類を単独で含有していてもよいし、二種類以上を組み合わせて含有していてもよい。
【0038】
ゼラチンのブルーム値(ゼリー強度)は、特に限定されないが、たとえば、100以上400以下である。ブルーム値の下限値は、120であることが好ましく、より好ましくは240である。ブルーム値の上限値は、350であることが好ましく、より好ましくは270である。当該範囲の上限値又は下限値は、たとえば120、130、140、150、160、170、180、190、200、210、220、230、240、250、260、270、280、290、300、310、320、330、340又は350であってもよい。
【0039】
なお、ゼラチンのブルーム値とはゼラチンのゼリー強度を示す数値であり、例えば、「にかわ及びゼラチン」JISK6503(2001)に定められた試験方法で測定することができる。具体的には、テクスチャーアナライザー又はレオメータを測定に用いる。専用のゼリーカップに流し込んだ6.67%ゼラチン溶液を、10℃で17時間冷却することで測定用のゼリーを調製する。径12.7mmのプランジャーを用いて、プランジャーの先端とゼリーカップのゼリー表面との間隔を調整した後、測定を開始する。測定条件は、侵入速度1mm/s、侵入距離4mmに設定する。こうして測定した応力数値(g)をゼリー強度とする。
【0040】
組成物10中における水分の質量を除いた固形分当たりのゼラチンの含有量は、特に限定されないが、例えば、3質量%以上20質量%以下である。以下では、組成物10における固形分当たりの含有量について「質量%」を「%」に省略して表記する。上記含有量の下限値は、8%であることが好ましく、より好ましくは14%である。上記含有量の上限値は、18%であることが好ましく、より好ましくは16%である。当該範囲の上限値又は下限値は、たとえば8、9、10、11、12、13、14、15、16、17又は18%であってもよい。
【0041】
ゼラチンは、組成物10の硬さに寄与する成分である。
ゼラチンの含有量が少ないほど、組成物10の破断荷重が低くなりやすい。ゼラチンの含有量が多いほど、組成物10の破断荷重が高くなりやすい。また、ゼラチンのゼリー強度が小さいほど、組成物10の破断荷重が低くなりやすい。ゼラチンのゼリー強度が大きいほど、組成物10の破断荷重が高くなりやすい。ゼラチンのブルーム値が、120以上350以下であると、組成物10の破断荷重を上記数値範囲にすることが容易になる。
【0042】
(その他成分)
その他成分としては、組成物10の形態に応じて適宜公知の成分が適用される。その他成分としては、例えば酸味料、糖アルコール、増粘多糖類、糖質、糖類、高甘味度甘味料、香料、着色料、果汁、食物繊維、酸化防止剤、乳化剤、加工澱粉、でんぷん、pH調整剤、油脂、タンパク質、コラーゲンペプチド、植物エキス類、機能性成分、安定剤等が挙げられる。これら各成分は、食品組成物において配合される公知のものを使用することができる。これらの成分は、それぞれ一種を単独で使用してもよく、二種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0043】
酸味料の具体例としては、例えば酢酸、クエン酸、グルコン酸、コハク酸、乳酸、リンゴ酸、フィチン酸、アジピン酸、酒石酸、フマル酸、氷酢酸、グルコノデルタラクトン等の有機酸又はそれらの塩、リン酸等の無機酸又はそれらの塩等が挙げられる。
【0044】
糖アルコールの具体例としては、例えばエリトリトール、マンニトール、ソルビトール、キシリトール等の単糖の糖アルコール、マルチトール、ラクチトール等の二糖の糖アルコール、シクリトール等の三糖以上の糖アルコール、還元水飴等の糖アルコールの混合物等が挙げられる。
【0045】
食物繊維の具体例としては、例えばポリデキストロース、難消化性グルカン、難消化性デキストリン、イヌリン、又はこれらの還元物等の水溶性食物繊維等が挙げられる。
増粘多糖類の具体例としては、例えばペクチン、カラギーナン、グルコマンナン、アラビアガム、キサンタンガム、カラヤガム、ウェランガム、グアーガム、タマリンドガム、キトサン、ローカストビーンガム、セルロース、サイリウムシードガム、アルギン酸又はその塩類の他、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース等のセルロース誘導体等が挙げられる。
【0046】
機能性成分の具体例としては、例えばビタミン類、ミネラル類、アミノ酸類等が挙げられる。
<組成物の製造方法>
本実施形態の組成物10の製造方法は、特に限定されず、組成物10の形態に応じて公知の方法を適宜採用できる。本実施形態の組成物10が固形状又はゲル状の食品組成物として適用される場合、例えば、上述した原料及び水等の溶媒を混合した溶液を、所定の型に充填することで組成物が成型される。型の具体例としては、コーンスターチを用いたスターチモールド、シリコンモールド等が挙げられる。型に流し込んだ溶液の含有する水分量が所望の値になるまで乾燥させることでゲル化した組成物10を得ることができる。組成物10の水分量は、特に限定されないが、たとえば10質量%以上40質量%以下である。以下では、本実施形態の組成物10がグミ組成物の場合、ゲル化させる前の溶液のことをグミ液という。
【0047】
型から取り出した組成物10の表面にはコーティングを施してもよい。コーティングとしては、糖衣、光沢剤等によるものが挙げられる。こうしたコーティングの質量は固形分の質量に含まないものとする。
【0048】
<用途>
本実施形態の組成物10の適用形態は、特に限定されないが、口腔機能の向上又は維持を目的とした食品に好ましく適用することができる。より具体的には、咀嚼機能の維持又は向上、咀嚼力の維持又は向上、咀嚼筋の維持又は向上、咬筋の維持又は向上、咬合圧の維持又は向上、嚥下機能の維持又は向上、舌機能の維持又は向上、オーラルフレイルの予防、オーラルフレイルの解消、咀嚼訓練、咀嚼トレーニング、唾液分泌促進、口腔乾燥予防、口腔乾燥改善等に対して、本開示の組成物10を好適に用いることができる。
【0049】
食品の用途としては、特に限定されず、いわゆる一般食品、健康食品、機能性食品、栄養補助食品、サプリメント、病者用食品、特定用途食品、保健機能食品、栄養機能食品、特定保健用食品、機能性表示食品等として適用できる。食品において用途の表示を付す場合、各種法律、施行規則、ガイドライン等によって定められた表示が挙げられる。食品において用途の表示には、包装、容器等のパッケージへの表示の他、パンフレット等の広告媒体への表示も含まれる。
【0050】
本実施形態の組成物10の用途の表示内容を付す場合、口腔機能の向上又は維持の表示の他、中核症状及び周辺症状の改善又は予防の表示、また、これらの改善又は予防を示唆する表示も含まれる。
【0051】
<作用及び効果>
本実施形態の作用について説明する。
組成物10は、咀嚼破断方向Xに対し垂直な平面方向に対して、咀嚼破断方向Xにおける破断荷重が異なる領域が3か所以上形成した。それにより、扁平な組成物に比べて、咀嚼筋に効率よく負荷を与えることができ、かつ破断荷重の差により心地よい食感を有し、使用者のストレスを緩和しながら使用意向を向上できる。
【0052】
本実施形態の効果について説明する。
(1)本実施形態の組成物10の構成により、使用者のストレスを緩和しながら、咀嚼筋に効率的に負荷を与えることができる。特に、組成物10において、破断荷重が異なる領域における最小破断荷重と最大破断荷重との比が1:1.1~2に規定されることにより、使用者のストレスを緩和しながら、咀嚼筋により効率的に負荷を与えることができる。
【0053】
(2)組成物10の破断荷重が異なる領域は、咀嚼破断方向Xにおける厚みの異なる凹領域14と凸領域15とにより形成され、凸領域15は少なくとも2か所以上有するように構成した。したがって、破断荷重が異なる領域は、咀嚼破断方向Xにおける厚みを調整することにより容易に形成できる。
【0054】
(3)組成物10は、半球状の凸状部材11が先細形状の球面が上方、円形の平面状の底面を下方に向けた状態で複数が一部重複する形で水平方向に連結した構造を有する。凸領域15は、凸状部材11の頭頂部Qを含む領域を示し、凹領域14は、隣り合う2つの凸状部材11の連結領域を示す。そのため、咀嚼破断方向Xにおける厚みの異なる領域を容易に設計及び成形できる。
【0055】
(4)組成物10において、凹領域14における厚みと、凸領域15における厚みの比が、1:1.1~4の場合、使用者のストレスを緩和しながら、咀嚼筋により効率的に負荷を与えることができる。
【0056】
(5)組成物10が弾性を有するグミ組成物、ゼリー状組成物等の固形状又はゲル状の食品組成物として適用される場合、容易に製造できるのみならず、容易に摂取することができる。そのため、日常生活において口腔機能の向上又は維持を容易に図ることができる。
【0057】
なお、上記実施形態は以下のように変更して実施できる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施できる。
・上記実施形態の組成物10は、凸状部材11として先細形状の球面が上方、円形の平面状の底面を下方に向けた状態で複数が一部重複する形で水平方向に連結した構造を有するように構成した。しかしながら、組成物10を形成する凸状部材11は、咀嚼破断方向Xの少なくともいずれか一方に向かって先細形状を有する立体構造であればよい。つまり、先細形状を有する立体構造として、水平断面の面積が、咀嚼破断方向Xの少なくともいずれか一方に向かうに連れて、小さくなる形状であればよい。凸状部材11として、半球形状以外に、例えばテーパ面を有する円錐、多角錐であってもよい。かかる構成においても、連結部分において凹領域と、頭頂部に凸領域が形成されるため、咀嚼破断方向Xにおける破断荷重が異なる領域を3か所以上形成できる。
【0058】
・また、先細形状を有する立体構造は、頭頂部に平面部が形成されてもよい。
図2(a)及び(b)に示されるように、組成物16を構成する凸状部材17は、
図1に示される半球状の部材の頭頂部Qに平面部18が形成された半球台形状である。組成物16は、凸状部材17が複数連結した構造を有する。かかる構成においても、連結部分において凹領域19と、平面部18に凸領域20が形成されるため、咀嚼破断方向Xにおける破断荷重が異なる領域が3か所以上形成できる。組成物16を構成する凸状部材17は、半球台形状以外に、頭頂部に平面部を有し、テーパ面を有する円錐台形状、多角錐台形状等であってもよい。
【0059】
・また、先細形状を有する立体構造は、球面、テーパ面を有しない構造であってもよい。
図3(a)及び(b)に示されるように、組成物21を構成する凸状部材22は、垂直面22aと水平面22bとにより階段状に上方に向かって縮径する先細形状を有する凸状部材である。組成物21は、凸状部材22が複数連結した構造を有する。かかる構成においても、連結部分において凹領域23と、頭頂部Qに凸領域24が形成されるため、咀嚼破断方向Xにおける破断荷重が異なる領域が3か所以上形成できる。
【0060】
・また、凸状部材11は、咀嚼破断方向Xの下方に向かって先細形状を有する立体構造を有してもよい。
組成物10は、例えば
図1に示される凸状部材11を上下逆向きにして、先細形状の球面が下方、円形の平面状の底面を上方に向けた状態で複数連結した構造を有してもよい。かかる構成においても、咀嚼破断方向Xにおける破断荷重が異なる領域が3か所以上形成でき、摂取により使用者のストレスを緩和しながら、咀嚼筋に効率的に負荷を与えることができる。
【0061】
・また、凸状部材11は、咀嚼破断方向Xの上方及び下方の両方に向かって先細形状を有する立体構造を有してもよい。
図4(a)及び(b)に示されるように、組成物25は、
図1(a)及び(b)に示される組成物10が、底面12同士対向するように2枚を上下に張り合わせた構造を有する。かかる構成においても、連結部分において凹領域26と、頭頂部Qに凸領域27が形成されるため、咀嚼破断方向Xにおける破断荷重が異なる領域が3か所以上形成できる。なお、組成物28は、どちらを上下にして口に含んでもよい。
【0062】
・また、凸状部材11は、柱構造であって咀嚼破断方向Xに対して柱構造の軸線が垂直になるように、横向きにした構成であってもよい。
図5(a)及び(b)に示されるように、組成物28は、咀嚼破断方向Xに対して軸線が垂直になるように、複数の円柱29を平行に並べて連結された構造を有する。かかる構成においても、連結部分において凹領域30と、頭頂部に凸領域31が形成されるため、咀嚼破断方向Xにおける破断荷重が異なる領域が3か所以上形成できる。なお、組成物28は、どちらを上下にして口に含んでもよい。
【0063】
組成物28を構成する柱構造は、
図5に示される円柱以外に、半円柱、三角柱等の多角柱等であってもよい。
・組成物10は、咀嚼破断方向Xにおける破断荷重が異なる領域が3か所以上有すれば、咀嚼破断方向Xに対し垂直な平面方向において、厚みが同じであってもよい。かかる構成においても、使用者のストレスを緩和しながら、咀嚼筋に効率的に負荷を与えることができる。
【0064】
・組成物10は、食品用途に限定されない。例えば、医薬品、医薬部外品としても使用することができる。
・本開示の組成物10の適用対象としては、ヒトが好ましく、その他の哺乳動物、例えばイヌ、ネコ、マウス、ラット、ヒツジ、ウマ、ウシ、サル等に適用してもよい。本開示の組成物10の適用対象となるヒトとしては、例えば、口腔機能が低下している、又はその疑いがあるヒト;咀嚼力が低下している、又はその疑いがあるヒト;咬筋が低下している、又はその疑いがあるヒト;咬合圧が低下している、又はその疑いがあるヒト;嚥下機能が低下している、又はその疑いがあるヒト;舌機能が低下している、又はその疑いがあるヒト;オーラルフレイルである、又はその疑いのあるヒト;唾液分泌が低下している、又はその疑いがあるヒト;口腔が乾燥している、又はその疑いがあるヒト;咀嚼筋が低下している、又はその疑いがあるヒト等に適用されることが好ましい。また、各種口腔機能の維持を目的とした健常者等に適用してもよい。
【実施例0065】
次に、実施例を挙げて前記実施形態を更に具体的に説明する。尚、本発明は、実施例欄記載の構成に限定されるものではない。
<組成物の調製>
各実施例及び比較例の組成物の調製し、破断荷重、圧縮荷重、及び官能評価について試験した。
【0066】
各実施例及び比較例は、下記表1に示される処方例1の原料を使用し、組成物として所定形状のグミ組成物を成形した。表1中に数値は、グミ組成物中の固形分当たりの含有量(質量%)を示す。
【0067】
【表1】
(比較例1)
まず、水にコラーゲンペプチドを溶解させた後、ゼラチンを添加し、70℃湯浴にて完全溶解した。
【0068】
次に、糖アルコールとしてマルチトール、及び還元水飴と、食物繊維としてポリデキストロース、増粘多糖類としてペクチンを計量し、Brix75~85になるように加熱濃縮を行い濃縮糖液を得た。
【0069】
得られた濃縮糖液を100℃以下まで冷却した後、前記のように調製したゼラチン溶液を添加し、酸味料、香料、高甘味度甘味料を加え、70℃湯浴にて完全溶解した。最終的に得られたグミ液のBrix値は70~75であった。
【0070】
グミ液は、所定の型のシリコンモールドに流し込み、24~72時間乾燥させ、水分活性値が0.6~0.8の比較例1のグミ組成物を得た。
型から取り出した比較例1のグミ組成物は、直径24mm、高さ5mm、全体の体積約1810mm3の扁平円柱状のグミ組成物である。比較例1のグミ組成物のその他のパラメータを表2に示す。
【0071】
(実施例1~3)
実施例1~3は、形状以外、比較例1と同様の方法により製造した。
実施例1~3は、
図6(a)及び(b)に示されるように半球状の凸状部材11を6個環状に等間隔に連接した形状のグミ組成物32を採用した。
図6に示される凸領域15の高さ(L1)、隣接する凸状部材11の頭頂部P間の距離(L2)、凹領域14の高さ(L3)、凹領域14の幅(L4)、及びその他のパラメータの値は、表2に示す通りである。
【0072】
(実施例4~6)
実施例4~6は、形状以外、比較例1と同様の方法により製造した。
実施例4~6は、
図7(a)及び(b)に示されるように半球状の凸状部材11を7個環状に等間隔に連接した形状のグミ組成物33を採用した。
図7に示される凸領域15の高さ(L1)、隣接する凸状部材11の頭頂部P間の距離(L2)、凹領域14の高さ(L3)、凹領域14の幅(L4)、及びその他のパラメータの値は、表2に示す通りである。
【0073】
(実施例7,8)
実施例7,8は、形状以外、比較例1と同様の方法により製造した。
実施例7,8は、
図8(a)及び(b)に示されるように半球状の凸状部材11を8個環状に等間隔に連接した形状のグミ組成物34を採用した。
図8に示される凸領域15の高さ(L1)、隣接する凸状部材11の頭頂部P間の距離(L2)、凹領域14の高さ(L3)、凹領域14の幅(L4)、及びその他のパラメータの値は、表2に示す通りである。
【0074】
【表2】
<試験例1:破断荷重の測定>
各実施例及び比較例のグミ組成物を用いて、破断荷重として咬筋の活動量及び破断荷重の物性について評価した。
【0075】
(1)咬筋の活動量の測定
筋電計(サンスター社製)を使用した。筋電計を咬筋部へ装着し、各例のグミ組成物を摂取した際の咬筋の筋活動電位を測定した。そして、グミ組成物を摂取した時の咀嚼に要した総筋活動量を算出した(n=3の平均値)。また、各例において、グミ組成物の質量(g)当たりの平均総筋活動量を算出した。結果を表3に示す。
【0076】
【表3】
表3に示されるように、各実施例は、比較例1に対して、グミ組成物の質量当たりの総筋活動量が高いことが確認された。各実施例の形状により、咀嚼筋へ効率的に負荷を与えることができる。
【0077】
(2)破断荷重の測定
下記に示される破断荷重の測定条件で、各実施例及び比較例のグミ組成物の破断荷重(N)を測定した。破断荷重は、各実施例のグミ組成物の凸領域15と凹領域14において測定した(n=3)。
図6~8に示されるように、凹領域14における破断荷重の測定は、凸状部材11の連結領域に沿って、該連結領域の中で最も厚みのある頂点部Pを含むM1部分で測定した。凸領域15における破断荷重の測定は、凸状部材11の最も厚みのある頭頂部Qを含むM2部分で測定した。得られた測定結果より、凹領域14の破断荷重に対する凸領域15の破断荷重比(凸領域/凹領域の破断荷重比)を求めた。結果を表4に示す。
【0078】
測定器:テクスチャーアナライザEZ-SX(島津製作所社製)
プランジャー:くさび型(幅30mm、角度60°)
圧縮速度:1mm/秒
圧縮距離:100%
サンプル温度:20℃環境下で一晩静置し順化させた。
【0079】
【表4】
表4に示されるように、グミ組成物中に異なる破断荷重を有する各実施例のグミ組成物は、咀嚼筋へ効率よく負荷を掛けることができる。
【0080】
<試験例2:圧縮荷重の測定>
下記に示される圧縮荷重の測定条件で、各実施例及び比較例のグミ組成物の圧縮荷重を測定した(n=3の平均値)。結果を表5に示す。
【0081】
測定器:TA.XT(英弘精機社製)
プランジャー:P75(大円盤)
圧縮速度:1mm/秒
圧縮距離:60%押し込み
サンプル温度:20℃環境下で一晩静置し順化させた。
【0082】
【表5】
表5に示されるように、各実施例は、比較例1に対して、圧縮荷重が低い数値を示し、物理的強度が比較例1よりも弱いことが示唆された。各実施例のグミ組成物は、比較例1のグミ組成物に対して、使用者のストレスを緩和できる。
【0083】
<試験例3:官能評価>
各実施例及び比較例1のグミ組成物を用いて、パネラーが下記の基準で食感の心地よさについて官能評価を行った。食感の心地よさの定義として、咀嚼時に感じた噛み心地の良さ、気持ちよさを基準とした。
【0084】
評価方法:0~5点の6段階におけるVAS法
評価基準:2点以下の場合を心地よくない、3点以上4点未満の場合を心地よい、4点以上をより心地よいとして評価される。平均点を求めた(n=5)。結果を表6に示す。
【0085】
【表6】
表6に示されるように、各実施例は、比較例1に対して、食感の心地よさが高いことが確認された。1形状中に異なる破断荷重を有するグミ組成物は、喫食者にストレス及び負荷を軽減できることが確認された。
【0086】
次に、上記実施形態及び別例から把握できる技術的思想について、以下に追記する。
(a)組成物全体の圧縮荷重は、45000g以下である前記組成物。