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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024093095
(43)【公開日】2024-07-09
(54)【発明の名称】電気自動車の充電装置
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/02 20160101AFI20240702BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20240702BHJP
   B60L 53/67 20190101ALI20240702BHJP
   B60L 53/53 20190101ALI20240702BHJP
【FI】
H02J7/02 G
H02J7/00 P
B60L53/67
B60L53/53
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022209246
(22)【出願日】2022-12-27
(71)【出願人】
【識別番号】591036457
【氏名又は名称】三菱電機エンジニアリング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110423
【弁理士】
【氏名又は名称】曾我 道治
(74)【代理人】
【識別番号】100111648
【弁理士】
【氏名又は名称】梶並 順
(74)【代理人】
【識別番号】100147566
【弁理士】
【氏名又は名称】上田 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100161171
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 潤一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100188514
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 隆裕
(72)【発明者】
【氏名】氏家 正道
【テーマコード(参考)】
5G503
5H125
【Fターム(参考)】
5G503AA01
5G503AA04
5G503BA02
5G503BB01
5G503CA08
5G503FA06
5H125AA01
5H125AC23
5H125AC24
5H125BE02
5H125DD02
5H125EE30
5H125FF14
(57)【要約】
【課題】複数台の電気自動車を容易に充電できる電気自動車の充電装置を提供する。
【解決手段】電気自動車の充電装置は、商用電力が供給される普通充電系統10と、商用電力により充電される急速充電用バッテリー22を有し、普通充電系統10から分岐して設けられた急速充電系統20と、普通充電用コネクタ及び急速充電用コネクタをそれぞれ有する複数の充電ユニット30a、30bと、複数の充電ユニット30a、30bのそれぞれに対応して設けられた普通充電用開閉器と、複数の充電ユニット30a、30bのそれぞれに対応して設けられた急速充電用開閉器と、普通充電用開閉器及び急速充電用開閉器を制御する制御部40と、を備え、制御部40は、普通充電系統10による電気自動車の普通充電と、急速充電系統20による電気自動車の急速充電と、を複数の充電ユニット30a、30bのそれぞれにおいて切り替えて実行するように構成されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
商用電力が供給される普通充電系統と、
前記商用電力により充電される急速充電用バッテリーを有し、前記普通充電系統から分岐して設けられた急速充電系統と、
前記普通充電系統と電気自動車とを接続する普通充電用コネクタ、及び前記急速充電系統と前記電気自動車とを接続する急速充電用コネクタをそれぞれ有する複数の充電ユニットと、
前記複数の充電ユニットのそれぞれに対応して設けられ、前記普通充電系統と前記普通充電用コネクタとの接続を開閉する普通充電用開閉器と、
前記複数の充電ユニットのそれぞれに対応して設けられ、前記急速充電系統と前記急速充電用コネクタとの接続を開閉する急速充電用開閉器と、
前記普通充電用開閉器及び前記急速充電用開閉器を制御する制御部と、
を備え、
前記制御部は、前記複数の充電ユニットのそれぞれに対応する前記普通充電用開閉器及び前記急速充電用開閉器を制御することにより、前記普通充電系統による前記電気自動車の普通充電と、前記急速充電系統による前記電気自動車の急速充電と、を前記複数の充電ユニットのそれぞれにおいて切り替えて実行するように構成されている電気自動車の充電装置。
【請求項2】
前記急速充電系統には、前記商用電力以外の電力が供給される補助電源系統が接続されている請求項1に記載の電気自動車の充電装置。
【請求項3】
前記制御部は、
前記複数の充電ユニットのうちの第1充電ユニットによる第1電気自動車の充電と、前記複数の充電ユニットのうちの第2充電ユニットによる第2電気自動車の充電と、が同時に開始される場合、
前記第1充電ユニットによる前記第1電気自動車の急速充電と、前記第2充電ユニットによる前記第2電気自動車の急速充電と、を順次実行し、
その後、前記第1充電ユニットによる前記第1電気自動車の普通充電と、前記第2充電ユニットによる前記第2電気自動車の普通充電と、を一定時間毎に交互に実行するように構成されている請求項1に記載の電気自動車の充電装置。
【請求項4】
前記制御部は、
前記複数の充電ユニットのうちの第1充電ユニットによる第1電気自動車の充電と、前記複数の充電ユニットのうちの第2充電ユニットによる第2電気自動車の充電と、が同時に開始され、かつ、前記第1充電ユニットによる前記第1電気自動車の充電が前記第2充電ユニットによる前記第2電気自動車の充電よりも優先される場合、
前記第1充電ユニットによる前記第1電気自動車の急速充電と、前記第2充電ユニットによる前記第2電気自動車の急速充電と、を順次実行し、
その後、前記第1充電ユニットによる前記第1電気自動車の普通充電を前記第1電気自動車が満充電になるまで実行し、
その後、前記第2充電ユニットによる前記第2電気自動車の普通充電を実行するように構成されている請求項1に記載の電気自動車の充電装置。
【請求項5】
前記制御部は、
前記第1充電ユニットによる前記第1電気自動車の急速充電の実行中に、前記第2充電ユニットによる前記第2電気自動車の普通充電を並行して実行し、
前記第2充電ユニットによる前記第2電気自動車の急速充電の実行中に、前記第1充電ユニットによる前記第1電気自動車の普通充電を並行して実行するように構成されている請求項3又は請求項4に記載の電気自動車の充電装置。
【請求項6】
前記制御部は、
前記複数の充電ユニットのうちの第1充電ユニットによる第1電気自動車の普通充電の実行中に、前記複数の充電ユニットのうちの第2充電ユニットによる第2電気自動車の充電が開始される場合、
前記第1充電ユニットによる前記第1電気自動車の普通充電を継続しながら前記第2充電ユニットによる前記第2電気自動車の急速充電を実行し、
その後、前記第1充電ユニットによる前記第1電気自動車の普通充電と、前記第2充電ユニットによる前記第2電気自動車の普通充電と、を一定時間毎に交互に実行するように構成されている請求項1又は請求項2に記載の電気自動車の充電装置。
【請求項7】
前記制御部は、
前記複数の充電ユニットのうちの第1充電ユニットによる第1電気自動車の普通充電の実行中に、前記複数の充電ユニットのうちの第2充電ユニットによる第2電気自動車の充電が開始され、かつ前記第2充電ユニットによる前記第2電気自動車の充電が前記第1充電ユニットによる前記第1電気自動車の充電よりも優先される場合、
前記第1充電ユニットによる前記第1電気自動車の普通充電を継続しながら前記第2充電ユニットによる前記第2電気自動車の急速充電を実行し、
その後、前記第1充電ユニットによる前記第1電気自動車の普通充電を一旦停止し、前記第2充電ユニットによる前記第2電気自動車の普通充電を前記第2電気自動車が満充電になるまで実行し、
その後、前記第1充電ユニットによる前記第1電気自動車の普通充電を実行するように構成されている請求項1又は請求項2に記載の電気自動車の充電装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電気自動車の充電装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、給電コントローラを備えた給電システムが記載されている。この給電コントローラは、切替回路を制御するように構成されている。切替回路は、電力供給線を複数の充電器のうちの1つに接続させる電気回路である。給電コントローラは、記憶部及び制御部を有している。記憶部は、複数の車両のそれぞれに関連付けられた優先度の情報を記憶している。制御部は、複数の車両が複数の充電器に同時に接続されているときに、最も高い優先度が割り当てられた1つの車両が接続している1つの充電器に対して優先的に電力供給線を接続されるよう切替回路を制御する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011-036096号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の給電システムは、普通充電及び急速充電のいずれか一方の充電方式に適用され得る。普通充電の場合、1台の電気自動車(EV:Electric Vehicle)を満充電にするのに8~10時間程度の時間を要する。契約電力の制限によっては、複数台のEVへの同時給電はできない。したがって、一般家庭の契約電力によって複数台のEVを満充電にするためには、長時間が必要になってしまう。
【0005】
一方、急速充電の場合、充電時間が大幅に短縮される。急速充電器が大容量のバッテリーを内蔵していれば、複数台のEVに同時に給電することもできる。ただし、急速充電では、車載バッテリーの劣化防止のため、車載バッテリー容量の80%程度までしか充電できない場合がある。
【0006】
このため、複数台のEVをより短時間で満充電にするためには、急速充電と普通充電とを併用する必要がある。しかしながら、急速充電と普通充電とを併用して複数台のEVを充電する場合、急速充電用のケーブル及び普通充電用のケーブルを人手によって繋ぎ替える必要がある。したがって、複数台のEVを充電するためには煩雑な作業を要するという課題があった。
【0007】
本開示は、上述のような課題を解決するためになされたものであり、複数台の電気自動車を容易に充電できる電気自動車の充電装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示に係る電気自動車の充電装置は、商用電力が供給される普通充電系統と、前記商用電力により充電される急速充電用バッテリーを有し、前記普通充電系統から分岐して設けられた急速充電系統と、前記普通充電系統と電気自動車とを接続する普通充電用コネクタ、及び前記急速充電系統と前記電気自動車とを接続する急速充電用コネクタをそれぞれ有する複数の充電ユニットと、前記複数の充電ユニットのそれぞれに対応して設けられ、前記普通充電系統と前記普通充電用コネクタとの接続を開閉する普通充電用開閉器と、前記複数の充電ユニットのそれぞれに対応して設けられ、前記急速充電系統と前記急速充電用コネクタとの接続を開閉する急速充電用開閉器と、前記普通充電用開閉器及び前記急速充電用開閉器を制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記複数の充電ユニットのそれぞれに対応する前記普通充電用開閉器及び前記急速充電用開閉器を制御することにより、前記普通充電系統による前記電気自動車の普通充電と、前記急速充電系統による前記電気自動車の急速充電と、を前記複数の充電ユニットのそれぞれにおいて切り替えて実行するように構成されている。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、複数台の電気自動車を容易に充電することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施の形態1に係る電気自動車の充電装置の概略構成を示す回路図である。
図2】実施の形態1に係る電気自動車の充電装置における操作パネルの構成の例を示す図である。
図3】実施の形態1に係る電気自動車の充電装置における充電パターン1を示すグラフである。
図4】実施の形態1に係る電気自動車の充電装置における充電パターン2を示すグラフである。
図5】実施の形態1に係る電気自動車の充電装置における充電パターン3を示すグラフである。
図6】実施の形態1に係る電気自動車の充電装置における充電パターン4を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
実施の形態1.
実施の形態1に係る電気自動車の充電装置について説明する。図1は、本実施の形態に係る電気自動車の充電装置の概略構成を示す回路図である。本実施の形態の充電装置では、AC100V又はAC200Vの商用電源、すなわち、小容量低圧受電である一般家庭電源を用いて、複数台のEVが充電される。
【0012】
図1に示すように、充電装置は、普通充電系統10、急速充電系統20、複数の充電ユニット30a、30b、複数の普通充電用開閉器MCL1、MCL2、複数の急速充電用開閉器MCH1、MCH2、及び制御部40を有している。図1では2つの充電ユニット30a、30bが示されているが、充電ユニットの数は3つ以上であってもよい。普通充電用開閉器及び急速充電用開閉器のそれぞれは、充電ユニット毎に設けられている。
【0013】
普通充電系統10は、外部から供給される商用電力によりEVの普通充電を行う充電系統である。普通充電系統10は、商用電源から商用電力が供給される商用電源入力部11を有している。商用電源入力部11は、普通充電系統10の電力の流れにおいて上流端に位置している。普通充電系統10には、分岐部12が設けられている。分岐部12では、普通充電系統10から急速充電系統20が分岐している。普通充電系統10の電力の流れにおいて分岐部12よりも下流側は、充電ユニット30a、30bの数と同数のサブ普通充電系統10a、10bに分岐している。
【0014】
急速充電系統20は、EVの急速充電を行う充電系統である。急速充電系統20には、普通充電系統10を介して、商用電源からの電力が供給される。急速充電系統20は、急速充電器21を有している。急速充電器21は、急速充電用バッテリー22を内蔵している。
【0015】
急速充電用バッテリー22は、商用電源から急速充電系統20に供給される電力により充電される。急速充電用バッテリー22は、例えば、上記電力による10時間程度の充電で満充電となる容量を有している。急速充電用バッテリー22の充電は、昼間又は指定された時刻に行われる。電気自動車の充電が夜間に行われる場合、急速充電用バッテリー22の充電が昼間に行われれば、商用電力の消費が時間的に分散されるため、契約電力の大容量化を抑制することができる。
【0016】
急速充電系統20は、急速充電用バッテリー22に蓄えられた電力によりEVの急速充電を行う。急速充電系統20の電力の流れにおいて急速充電器21よりも下流側は、充電ユニット30a、30bの数と同数のサブ急速充電系統20a、20bに分岐している。
【0017】
充電ユニット30a、30bのそれぞれは、1台のEVの車載バッテリーを充電するのに用いられる。例えば、充電ユニット30a、30bの数が2つである場合、充電装置は、2台のEVを並行して充電することができる。本実施の形態では、充電ユニット30aのことを「1号機」という場合があり、充電ユニット30bのことを「2号機」という場合がある。また、本実施の形態では、充電ユニット30aを用いて充電されるEVを「EV1」という場合があり、充電ユニット30bを用いて充電されるEVを「EV2」という場合がある。
【0018】
充電ユニット30aは、普通充電用コネクタ31a及び急速充電用コネクタ32aを有している。普通充電用コネクタ31aは、サブ普通充電系統10aと、EV1の普通充電ポートと、を接続するコネクタである。普通充電用コネクタ31aは、普通充電系統10の電力の流れにおいて、サブ普通充電系統10aの下流端に設けられている。急速充電用コネクタ32aは、サブ急速充電系統20aと、EV1の急速充電ポートと、を接続するコネクタである。急速充電用コネクタ32aは、急速充電系統20の電力の流れにおいて、サブ急速充電系統20aの下流端に設けられている。
【0019】
同様に、充電ユニット30bは、普通充電用コネクタ31b及び急速充電用コネクタ32bを有している。普通充電用コネクタ31bは、サブ普通充電系統10bと、EV2の普通充電ポートと、を接続するコネクタである。普通充電用コネクタ31bは、普通充電系統10の電力の流れにおいて、サブ普通充電系統10bの下流端に設けられている。急速充電用コネクタ32bは、サブ急速充電系統20bと、EV2の急速充電ポートと、を接続するコネクタである。急速充電用コネクタ32bは、急速充電系統20の電力の流れにおいてサブ急速充電系統20bの下流端に設けられている。
【0020】
普通充電用開閉器MCL1及び急速充電用開閉器MCH1の組は、充電ユニット30aに対応して設けられている。普通充電用開閉器MCL1は、サブ普通充電系統10aに設けられている。普通充電用開閉器MCL1は、普通充電系統10と普通充電用コネクタ31aとの接続を開閉するように構成されている。急速充電用開閉器MCH1は、サブ急速充電系統20aに設けられている。急速充電用開閉器MCH1は、急速充電系統20と急速充電用コネクタ32aとの接続を開閉するように構成されている。
【0021】
普通充電用開閉器MCL1及び急速充電用開閉器MCH1は、制御部40により制御される。普通充電用開閉器MCL1及び急速充電用開閉器MCH1の組は、普通充電用開閉器MCL1及び急速充電用開閉器MCH1の両方が開である第1状態と、普通充電用開閉器MCL1のみが閉となる第2状態と、急速充電用開閉器MCH1のみが閉となる第3状態と、のいずれかをとり得る。普通充電用開閉器MCL1及び急速充電用開閉器MCH1が制御されることにより、充電ユニット30aを用いたEV1の充電が普通充電であるか急速充電であるかが切り替えられる。
【0022】
普通充電用開閉器MCL2及び急速充電用開閉器MCH2の組は、充電ユニット30bに対応して設けられている。普通充電用開閉器MCL2は、サブ普通充電系統10bに設けられている。普通充電用開閉器MCL2は、普通充電系統10と普通充電用コネクタ31bとの接続を開閉するように構成されている。急速充電用開閉器MCH2は、サブ急速充電系統20bに設けられている。急速充電用開閉器MCH2は、急速充電系統20と急速充電用コネクタ32bとの接続を開閉するように構成されている。
【0023】
普通充電用開閉器MCL2及び急速充電用開閉器MCH2は、制御部40により制御される。普通充電用開閉器MCL2及び急速充電用開閉器MCH2の組は、普通充電用開閉器MCL2及び急速充電用開閉器MCH2の両方が開である第1状態と、普通充電用開閉器MCL2のみが閉となる第2状態と、急速充電用開閉器MCH2のみが閉となる第3状態と、のいずれかをとり得る。普通充電用開閉器MCL2及び急速充電用開閉器MCH2が制御されることにより、充電ユニット30bを用いたEV2の充電が普通充電であるか急速充電であるかが切り替えられる。
【0024】
普通充電は商用電力を用いて行われるのに対し、急速充電は、急速充電用バッテリー22に蓄えられた電力を用いて行われる。このため、充電ユニット30a及び充電ユニット30bの一方を用いた普通充電と、充電ユニット30a及び充電ユニット30bの他方を用いた急速充電とは、契約電力の超過を抑えつつ同時に実行することができる。また、充電ユニット30aを用いた急速充電と、充電ユニット30bを用いた急速充電と、を同時に実行しないようにすることにより、急速充電用バッテリー22の大容量化を回避することができるため、充電装置の製造コストを抑えることができる。
【0025】
制御部40は、普通充電用開閉器MCL1、MCL2、急速充電用開閉器MCH1、MCH2を含む充電装置の全体を制御するように構成されている。これらの制御は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等を備えたマイクロコンピュータによって実現してもよいし、ワイヤードのシーケンスロジックによって実現してもよい。制御部40は、充電装置のスケジュール制御を実行するためのタイムスイッチ41を有している。
【0026】
急速充電系統20の接続部23には、商用電力以外の電力が供給される補助電源系統50が接続されている。接続部23は、急速充電系統20の電力の流れにおいて、分岐部12よりも下流側でかつ急速充電器21よりも上流側に位置している。補助電源系統50は、補助電源入力部51を有している。補助電源入力部51には、補助電源設備から電力が供給される。補助電源設備としては、非常用発電機、太陽光発電機などがある。補助電源入力部51は、補助電源系統50の電力の流れにおいて上流端に位置している。接続部23は、補助電源系統50の電力の流れにおいて下流端に位置している。
【0027】
補助電源系統50には、補助電源入力用開閉器MCG1が設けられている。補助電源入力用開閉器MCG1は、制御部40により制御される。補助電源入力用開閉器MCG1は、例えば、商用電源の停電時に閉となり、急速充電用バッテリー22の充電終了時又は商用電源の復電時に開となる。これにより、急速充電用バッテリー22は、商用電源の停電時においても、補助電源設備から供給される電力により充電される。
【0028】
急速充電系統20の電力の流れにおいて分岐部12よりも下流側でかつ接続部23よりも上流側には、バッテリー用開閉器MCR1が設けられている。バッテリー用開閉器MCR1は、制御部40により制御される。バッテリー用開閉器MCR1は、急速充電用バッテリー22が充電される際には閉になる。ただし、充電ユニット30a、30bのいずれかにおいて普通充電が行われている期間には、バッテリー用開閉器MCR1は開になる。これにより、EVの普通充電と、急速充電用バッテリー22の充電と、が同時に行われるのが回避されるため、商用電源における契約電力の超過を防止できる。
【0029】
制御部40は、操作パネルを有している。図2は、本実施の形態に係る充電装置における操作パネルの構成の例を示す図である。図2には、充電ユニット30a、30bの数が2つである場合の操作パネル60の例が示されている。操作パネル60は、EVを充電する際にユーザーにより操作される。
【0030】
図2に示すように、操作パネル60は、優先号機選択スイッチ61、1号機スタートボタン62、1号機動作表示灯63、2号機スタートボタン64、2号機動作表示灯65、急速充電用バッテリー制御切替スイッチ66、及び急速充電用バッテリー充電表示灯67を有している。
【0031】
優先号機選択スイッチ61は、どの充電ユニットによるEVの充電が優先されるかをユーザーが選択するためのスイッチである。ユーザーの操作により優先号機選択スイッチ61が「1号機」に設定されると、充電ユニット30aが優先充電モードになり、EV1の充電が優先される。ユーザーの操作により優先号機選択スイッチ61が「2号機」に設定されると、充電ユニット30bが優先充電モードになり、EV2の充電が優先される。ある充電ユニットが優先充電モードになると、後述する充電パターン2又は充電パターン4のように、当該充電ユニットによる充電が他の充電ユニットによる充電よりも優先して実行される。
【0032】
ユーザーの操作により優先号機選択スイッチ61が「均等」に設定されると、後述する充電パターン1又は充電パターン3のように、充電ユニット30aによるEV1の充電と、充電ユニット30bによるEV2の充電とが概ね均等に行われる。
【0033】
1号機スタートボタン62は、充電ユニット30aによるEV1の充電を開始するためのボタンである。1号機スタートボタン62がユーザーにより押されると、充電ユニット30aによるEV1の充電が開始される。充電ユニット30aによるEV1の充電中には、1号機動作表示灯63が点灯する。
【0034】
2号機スタートボタン64は、充電ユニット30bによるEV2の充電を開始するためのボタンである。2号機スタートボタン64がユーザーにより押されると、充電ユニット30bによるEV2の充電が開始される。充電ユニット30bによるEV2の充電中には、2号機動作表示灯65が点灯する。
【0035】
急速充電用バッテリー制御切替スイッチ66は、急速充電用バッテリー22の充電制御を切り替えるためのスイッチである。ユーザーの操作により急速充電用バッテリー制御切替スイッチ66が「自動」に設定されると、タイムスイッチ41の時刻設定に基づき、急速充電用バッテリー22の充電が行われる。急速充電用バッテリー22の充電中には、急速充電用バッテリー充電表示灯67が点灯する。
【0036】
ユーザーの操作により急速充電用バッテリー制御切替スイッチ66が「入」に設定されると、タイムスイッチ41の時刻設定に関わらず、急速充電用バッテリー22の充電が行われる。契約電力の超過を防止するため、急速充電用バッテリー22の充電中には、制御部40の制御により、少なくとも各充電ユニット30a、30bによる普通充電が実行不可になる。急速充電用バッテリー22の充電中には、各充電ユニット30a、30bによる急速充電も実行不可になるようにしてもよい。
【0037】
ユーザーの操作により急速充電用バッテリー制御切替スイッチ66が「切」に設定されると、タイムスイッチ41の時刻設定に関わらず、急速充電用バッテリー22の充電が行われない。これにより、各充電ユニット30a、30bによる普通充電及び急速充電が実行可能な状態になる。
【0038】
次に、本実施の形態の充電装置において制御部40の制御により実行される充電パターンについて、具体例を挙げて説明する。以下の具体例では、充電装置によって並行して充電されるEVの台数を2台とする。各EVの車載バッテリーは、同じ容量を有している。各EVは、普通充電ポート及び急速充電ポートを有している。
【0039】
急速充電用バッテリー22は、1台のEVを0%から80%まで充電可能な容量を有している。急速充電用バッテリー22は、商用電力により10時間程度で100%まで充電される。
【0040】
急速充電では、1台のEVが1時間で0%から80%まで充電されるが、80%を超える充電はできない。普通充電では、1台のEVが10時間で0%から100%まで充電される。すなわち、各EVを100%まで充電するのは、普通充電によってのみ可能である。充電開始時のEV1及びEV2の充電量は、いずれも0%であるものとする。
【0041】
また、以下の具体例では、EV1の充電が開始される際、EV1の普通充電ポート及び急速充電ポートには、普通充電用コネクタ31a及び急速充電用コネクタ32aがそれぞれ接続されている。EV2の充電が開始される際、EV2の普通充電ポート及び急速充電ポートには、普通充電用コネクタ31b及び急速充電用コネクタ32bがそれぞれ接続されている。EV1及びEV2のそれぞれにおいて、普通充電が行われるか急速充電が行われるかは、ユーザーによりコネクタが繋ぎ替えられなくても、充電装置の制御部40によって選択される。
【0042】
図3は、本実施の形態に係る電気自動車の充電装置における充電パターン1を示すグラフである。充電パターン1は、EV1及びEV2の充電が同時に開始され、EV1及びEV2の充電が概ね均等に進行する充電パターンである。急速充電用バッテリー22に蓄えられている電力は、最初にEV1及びEV2に均等に分配される。
【0043】
図3の横軸は、充電開始からの経過時間を表している。図3の縦軸は、各開閉器の状態、EV1の充電量(%)、EV2の充電量(%)、及び充電装置への入力を表している。図3において、各開閉器の状態は、閉状態すなわちオン状態と、開状態すなわちオフ状態と、のいずれかで表されている。図3において、EV1及びEV2のそれぞれの充電量の時間変化は、太線又は細線によって表されている。充電量が増加している期間、すなわち充電が行われている期間における充電量の時間変化は、太線によって表されている。充電量が増加していない期間、すなわち充電が行われていない期間における充電量の時間変化は、細線によって表されている。
【0044】
図3に示すように、充電パターン1では、まず、急速充電用開閉器MCH1及び普通充電用開閉器MCL2がオン状態となる。普通充電用開閉器MCL1及び急速充電用開閉器MCH2は、オフ状態に維持される。これにより、充電ユニット30aによるEV1の急速充電と、充電ユニット30bによるEV2の普通充電と、が同時に開始される。
【0045】
充電開始から0.5時間後、EV1の充電量は、0.5時間の急速充電により約0%から約40%に増加している。EV2の充電量は、0.5時間の普通充電により約0%から約5%に増加している。
【0046】
充電開始から0.5時間後には、急速充電用開閉器MCH1及び普通充電用開閉器MCL2がオン状態からオフ状態に切り替えられ、普通充電用開閉器MCL1及び急速充電用開閉器MCH2がオフ状態からオン状態に切り替えられる。これにより、充電ユニット30aによるEV1の充電が急速充電から普通充電に切り替えられ、充電ユニット30bによるEV2の充電が普通充電から急速充電に切り替えられる。
【0047】
充電開始から1時間後、EV1の充電量は、0.5時間の普通充電により約40%から約45%に増加している。EV2の充電量は、0.5時間の急速充電により約5%から約45%に増加している。これにより、急速充電用バッテリー22の電力は、EV1及びEV2のそれぞれに対して約40%ずつ分配される。
【0048】
充電開始から1時間後には、普通充電用開閉器MCL1及び急速充電用開閉器MCH2がオン状態からオフ状態に切り替えられ、普通充電用開閉器MCL2がオフ状態からオン状態に切り替えられる。急速充電用開閉器MCH1は、オフ状態に維持される。これにより、充電ユニット30aによるEV1の充電が一旦停止し、充電ユニット30bによるEV2の充電が急速充電から普通充電に切り替えられる。
【0049】
充電開始から1.5時間後、EV2の充電量は、0.5時間の普通充電により約45%から約50%に増加している。EV1の充電量は、約45%のままである。
【0050】
充電開始から1.5時間後には、普通充電用開閉器MCL2がオン状態からオフ状態に切り替えられ、普通充電用開閉器MCL1がオフ状態からオン状態に切り替えられる。急速充電用開閉器MCH1及び急速充電用開閉器MCH2は、オフ状態に維持される。これにより、充電ユニット30bによるEV2の充電が一旦停止し、充電ユニット30aによるEV1の普通充電が再開される。
【0051】
その後、充電ユニット30aによるEV1の普通充電と、充電ユニット30bによるEV2の普通充電と、が0.5時間毎に交互に繰り返される。これにより、EV1及びEV2の充電は、概ね均等に進行する。充電開始から11.5時間後には、EV2の充電量が約100%に達する。充電開始から12時間後には、EV1の充電量が約100%に達し、EV1及びEV2の充電が完了する。
【0052】
このように、充電パターン1では、EV1及びEV2の急速充電が順次行われることにより、急速充電用バッテリー22に蓄えられている電力は、最初にEV1及びEV2に均等に分配される。その後、EV1の普通充電とEV2の普通充電とが交互に行われる。全体の充電時間を短縮するため、EV1の急速充電中にはEV2の普通充電が行われ、EV2の急速充電中にはEV1の普通充電が行われる。
【0053】
なお、実際の急速充電では、充電装置において充電速度が制御されるため、充電時間と充電量とは正比例しない。このため、EV1及びEV2の急速充電のうち先に行われる方の急速充電は、急速充電用バッテリー22に蓄えられている電力の半分程度がEV1に充電されると推定される時間だけ行われる。これにより、急速充電用バッテリー22の電力がEV1及びEV2に概ね均等に分配される。
【0054】
図4は、本実施の形態に係る電気自動車の充電装置における充電パターン2を示すグラフである。図4の横軸及び縦軸は、図3と同様である。充電パターン2は、EV1及びEV2の充電が同時に開始され、EV1の充電がEV2の充電よりも優先される充電パターンである。急速充電用バッテリー22に蓄えられている電力は、最初にEV1及びEV2に均等に分配される。その後、EV1の普通充電が行われ、EV1の充電が完了した後にEV2の普通充電が行われる。
【0055】
図4に示すように、充電パターン2では、まず、急速充電用開閉器MCH1及び普通充電用開閉器MCL2がオン状態となる。普通充電用開閉器MCL1及び急速充電用開閉器MCH2は、オフ状態に維持される。これにより、充電ユニット30aによるEV1の急速充電と、充電ユニット30bによるEV2の普通充電と、が同時に開始される。
【0056】
充電開始から0.5時間後、EV1の充電量は、0.5時間の急速充電により約0%から約40%に増加している。EV2の充電量は、0.5時間の普通充電により約0%から約5%に増加している。
【0057】
充電開始から0.5時間後には、急速充電用開閉器MCH1及び普通充電用開閉器MCL2がオン状態からオフ状態に切り替えられ、普通充電用開閉器MCL1及び急速充電用開閉器MCH2がオフ状態からオン状態に切り替えられる。これにより、充電ユニット30aによるEV1の充電が急速充電から普通充電に切り替えられ、充電ユニット30bによるEV2の充電が普通充電から急速充電に切り替えられる。
【0058】
充電開始から1時間後、EV1の充電量は、0.5時間の普通充電により約40%から約45%に増加している。EV2の充電量は、0.5時間の急速充電により約5%から約45%に増加している。これにより、急速充電用バッテリー22の電力は、EV1及びEV2のそれぞれに対して約40%ずつ分配される。
【0059】
充電開始から1時間後には、急速充電用開閉器MCH2がオン状態からオフ状態に切り替えられる。普通充電用開閉器MCL1は、オン状態に維持される。急速充電用開閉器MCH1及び普通充電用開閉器MCL2は、オフ状態に維持される。これにより、充電ユニット30aによるEV1の普通充電が継続し、充電ユニット30bによるEV2の充電は一旦停止する。
【0060】
EV1の充電はEV2の充電よりも優先されるため、充電ユニット30aによるEV1の普通充電は、EV1の充電量が約100%に達するまで継続される。充電開始から6.5時間後、EV1の充電量は約100%に達する。
【0061】
充電開始から6.5時間後には、普通充電用開閉器MCL1がオン状態からオフ状態に切り替えられ、普通充電用開閉器MCL2がオフ状態からオン状態に切り替えられる。これにより、充電ユニット30aによるEV1の普通充電が終了し、充電ユニット30bによるEV2の普通充電が再開される。
【0062】
充電ユニット30bによるEV2の普通充電は、EV2の充電量が約100%に達するまで継続される。充電開始から12時間後には、EV2の充電量が約100%に達し、充電ユニット30bによるEV2の普通充電が終了する。
【0063】
このように、充電パターン2では、EV1及びEV2の急速充電が順次行われることにより、急速充電用バッテリー22に蓄えられている電力は、最初にEV1及びEV2に均等に分配される。その後、EV1の普通充電が行われ、EV1の充電が完了した後に、EV2の普通充電が行われる。全体の充電時間を短縮するため、EV1の急速充電中にはEV2の普通充電が行われ、EV2の急速充電中にはEV1の普通充電が行われる。
【0064】
図5は、本実施の形態に係る電気自動車の充電装置における充電パターン3を示すグラフである。図5の横軸及び縦軸は、図3と同様である。充電パターン3は、EV1の充電開始よりも後にEV2の充電が開始される充電パターンである。
【0065】
図5に示すように、充電パターン3では、まず、急速充電用開閉器MCH1がオン状態となる。普通充電用開閉器MCL1、急速充電用開閉器MCH2及び普通充電用開閉器MCL2は、オフ状態に維持される。これにより、充電ユニット30aによるEV1の急速充電が開始される。
【0066】
充電開始から0.5時間後、EV1の充電量は、約0%から約40%に増加している。充電開始から0.5時間後には、急速充電用開閉器MCH1がオン状態からオフ状態に切り替えられ、普通充電用開閉器MCL1がオフ状態からオン状態に切り替えられる。これにより、充電ユニット30aによるEV1の充電が急速充電から普通充電に切り替えられる。
【0067】
充電パターン3では、急速充電用バッテリー22に蓄えられている電力の半分は、後に充電が開始されるEV2のために残される。このため、EV1の充電は、0.5時間の急速充電の後に普通充電に切り替えられる。EV2の充電が不要であることが明らかな場合などには、EV1の急速充電を継続し、急速充電用バッテリー22の全ての電力をEV1に供給するようにしてもよい。
【0068】
充電開始から1.5時間後、EV2の充電が開始されたものとする。このとき、急速充電用開閉器MCH2は、オフ状態からオン状態に切り替えられる。これにより、充電ユニット30bによるEV2の急速充電が開始される。普通充電用開閉器MCL1は、オン状態に維持されている。これにより、充電ユニット30aによるEV1の普通充電は、そのまま継続される。
【0069】
充電開始から2時間後、EV1の充電量は、0.5時間の急速充電及び1.5時間の普通充電により、約55%に増加している。EV2の充電量は、0.5時間の急速充電により、約0%から約40%に増加している。
【0070】
充電開始から2時間後には、普通充電用開閉器MCL1及び急速充電用開閉器MCH2がオン状態からオフ状態に切り替えられ、普通充電用開閉器MCL2がオフ状態からオン状態に切り替えられる。これにより、充電ユニット30aによるEV1の普通充電が一旦停止し、充電ユニット30bによるEV2の充電が急速充電から普通充電に切り替えられる。
【0071】
その後、充電ユニット30aによるEV1の普通充電と、充電ユニット30bによるEV2の普通充電と、が0.5時間毎に交互に繰り返される。
【0072】
充電開始から11時間後には、EV1の充電量が約100%に達する。EV1の充電量が約100%に達した後には、EV2の普通充電が連続して行われる。充電開始から12.5時間後には、EV2の充電量が約100%に達する。これにより、EV1及びEV2の充電が完了する。
【0073】
このように、充電パターン3では、EV1の急速充電が一定時間行われ、その後にEV1の普通充電が行われる。EV1の普通充電中にEV2の充電が開始された場合、EV1の普通充電を継続しながらEV2の急速充電が一定時間行われる。EV2の急速充電が終了すると、EV1及びEV2の普通充電が一定時間毎に交互に行われる。EV1の充電量が100%に達し、EV1の充電が完了すると、EV2の普通充電が連続して行われる。
【0074】
図6は、本実施の形態に係る電気自動車の充電装置における充電パターン4を示すグラフである。図6の横軸及び縦軸は、図3と同様である。充電パターン4は、EV1の充電開始よりも後にEV2の充電が開始され、EV2の充電がEV1の充電よりも優先される充電パターンである。
【0075】
図6に示すように、充電パターン4では、まず、急速充電用開閉器MCH1がオン状態となる。普通充電用開閉器MCL1、急速充電用開閉器MCH2及び普通充電用開閉器MCL2は、オフ状態に維持される。これにより、充電ユニット30aによるEV1の急速充電が開始される。
【0076】
充電開始から0.5時間後、EV1の充電量は、約0%から約40%に増加している。充電開始から0.5時間後には、急速充電用開閉器MCH1がオン状態からオフ状態に切り替えられ、普通充電用開閉器MCL1がオフ状態からオン状態に切り替えられる。これにより、充電ユニット30aによるEV1の充電が急速充電から普通充電に切り替えられる。
【0077】
充電パターン4では、急速充電用バッテリー22に蓄えられている電力の半分は、後に充電が開始されるEV2のために残される。このため、EV1の充電は、0.5時間の急速充電の後に普通充電に切り替えられる。EV2の充電が不要であることが明らかな場合などには、EV1の急速充電を継続し、急速充電用バッテリー22の全ての電力をEV1に供給するようにしてもよい。
【0078】
充電開始から1.5時間後、EV1の普通充電中にEV2の充電が開始されたものとする。このとき、急速充電用開閉器MCH2は、オフ状態からオン状態に切り替えられる。これにより、充電ユニット30bによるEV2の急速充電が開始される。普通充電用開閉器MCL1は、オン状態に維持されている。これにより、充電ユニット30aによるEV1の普通充電は、そのまま継続される。
【0079】
充電開始から2時間後、EV1の充電量は、0.5時間の急速充電及び1.5時間の普通充電により、約55%に増加している。EV2の充電量は、0.5時間の急速充電により、約0%から約40%に増加している。
【0080】
充電開始から2時間後には、普通充電用開閉器MCL1及び急速充電用開閉器MCH2がオン状態からオフ状態に切り替えられ、普通充電用開閉器MCL2がオフ状態からオン状態に切り替えられる。これにより、充電ユニット30aによるEV1の普通充電が一旦停止し、充電ユニット30bによるEV2の充電が急速充電から普通充電に切り替えられる。
【0081】
EV2の充電はEV1の充電よりも優先されるため、充電ユニット30bによるEV2の普通充電は、EV2の充電量が約100%に達するまで継続される。充電開始から8時間後、EV2の充電量は約100%に達し、EV2の充電が完了する。
【0082】
充電開始から8時間後には、普通充電用開閉器MCL2がオン状態からオフ状態に切り替えられ、普通充電用開閉器MCL1がオフ状態からオン状態に切り替えられる。これにより、充電ユニット30bによるEV2の普通充電が終了し、充電ユニット30aによるEV1の普通充電が再開される。
【0083】
充電ユニット30aによるEV1の普通充電は、EV1の充電量が約100%に達するまで継続される。充電開始から12.5時間後には、EV1の充電量が約100%に達し、EV1の充電が完了する。
【0084】
このように、充電パターン4では、EV2の充電がEV1の充電よりも優先される場合において、EV1の普通充電中にEV2の充電が開始されたときには、EV1の普通充電を継続しながらEV2の急速充電が行われる。EV2の急速充電が終了すると、EV1の普通充電を一旦停止してEV2の普通充電が行われる。EV2の充電量が約100%に達し、EV2の充電が完了すると、EV1の普通充電が再開される。
【0085】
以上説明したように、本実施の形態に係る電気自動車の充電装置は、普通充電系統10と、急速充電系統20と、複数の充電ユニット30a、30bと、普通充電用開閉器MCL1、MCL2と、急速充電用開閉器MCH1、MCH2と、制御部40と、を備えている。普通充電系統10には、商用電力が供給される。急速充電系統20は、商用電力により充電される急速充電用バッテリー22を有している。急速充電系統20は、普通充電系統10から分岐して設けられている。充電ユニット30aは、普通充電系統10と電気自動車とを接続する普通充電用コネクタ31aと、急速充電系統20と電気自動車とを接続する急速充電用コネクタ32aと、を有している。充電ユニット30bは、普通充電系統10と電気自動車とを接続する普通充電用コネクタ31bと、急速充電系統20と電気自動車とを接続する急速充電用コネクタ32bと、を有している。
【0086】
普通充電用開閉器MCL1は、充電ユニット30aに対応して設けられている。普通充電用開閉器MCL1は、普通充電系統10と普通充電用コネクタ31aとの接続を開閉する。普通充電用開閉器MCL2は、充電ユニット30bに対応して設けられている。普通充電用開閉器MCL2は、普通充電系統10と普通充電用コネクタ31bとの接続を開閉する。
【0087】
急速充電用開閉器MCH1は、充電ユニット30aに対応して設けられている。急速充電用開閉器MCH1は、急速充電系統20と急速充電用コネクタ32aとの接続を開閉する。急速充電用開閉器MCH2は、充電ユニット30bに対応して設けられている。急速充電用開閉器MCH2は、急速充電系統20と急速充電用コネクタ32bとの接続を開閉する。
【0088】
制御部40は、普通充電用開閉器MCL1、MCL2及び急速充電用開閉器MCH1、MCH2を制御するように構成されている。制御部40は、複数の充電ユニット30a、30bのそれぞれに対応する普通充電用開閉器及び急速充電用開閉器を制御することにより、普通充電系統10による電気自動車の普通充電と、急速充電系統20による電気自動車の急速充電と、を複数の充電ユニット30a、30bのそれぞれにおいて切り替えて実行するように構成されている。
【0089】
この構成によれば、複数台の電気自動車の充電を行う際、どの電気自動車にどの充電方式で充電が行われるかは、ユーザーによりコネクタが繋ぎ替えられなくても、制御部40によって切り替えることができる。したがって、複数台の電気自動車を容易にかつ短時間で充電することができる。
【0090】
また、普通充電と急速充電とを組み合わせて各電気自動車が充電されるため、一般家庭電源を用いた場合であっても、複数台の電気自動車をより短時間で満充電にすることができる。
【0091】
本実施の形態に係る電気自動車の充電装置において、急速充電系統20には、商用電力以外の電力が供給される補助電源系統50が接続されている。
【0092】
この構成によれば、災害時等に商用電力が停電していても、補助電源系統50の電力を用いて急速充電用バッテリー22を充電することができる。
【0093】
本実施の形態に係る電気自動車の充電装置において、制御部40は、複数の充電ユニット30a、30bのうちの充電ユニット30aによるEV1の充電と、複数の充電ユニット30a、30bのうちの充電ユニット30bによるEV2の充電と、が同時に開始される場合、充電ユニット30aによるEV1の急速充電と、充電ユニット30bによるEV2の急速充電と、を順次実行するように構成されている。制御部40は、その後、充電ユニット30aによるEV1の普通充電と、充電ユニット30bによるEV2の普通充電と、を一定時間毎に交互に実行するように構成されている。
【0094】
ここで、充電ユニット30aは、第1充電ユニットの一例である。充電ユニット30bは、第2充電ユニットの一例である。EV1は、第1電気自動車の一例である。EV2は、第2電気自動車の一例である。
【0095】
この構成によれば、EV1及びEV2をより短時間で概ね均等に充電できるとともに、EV1及びEV2のそれぞれを普通充電により満充電にすることができる。
【0096】
本実施の形態に係る電気自動車の充電装置において、制御部40は、複数の充電ユニット30a、30bのうちの充電ユニット30aによるEV1の充電と、複数の充電ユニット30a、30bのうちの充電ユニット30bによるEV2の充電と、が同時に開始され、かつ、充電ユニット30aによるEV1の充電が充電ユニット30bによるEV2の充電よりも優先される場合、充電ユニット30aによるEV1の急速充電と、充電ユニット30bによるEV2の急速充電と、を順次実行するように構成されている。制御部40は、その後、充電ユニット30aによるEV1の普通充電をEV1が満充電になるまで実行するように構成されている。制御部40は、その後、充電ユニット30bによるEV2の普通充電を実行するように構成されている。
【0097】
この構成によれば、充電ユニット30bによるEV2の充電をより早く完了させることができる。
【0098】
本実施の形態に係る電気自動車の充電装置において、制御部40は、充電ユニット30aによるEV1の急速充電の実行中に、充電ユニット30bによるEV2の普通充電を並行して実行するように構成されている。また、制御部40は、充電ユニット30bによるEV2の急速充電の実行中に、充電ユニット30aによるEV1の普通充電を並行して実行するように構成されている。
【0099】
この構成によれば、充電ユニット30a及び充電ユニット30bの一方による急速充電と、充電ユニット30a及び充電ユニット30bの他方による普通充電と、を同時に実行できるため、全体の充電時間を短縮することができる。
【0100】
本実施の形態に係る電気自動車の充電装置において、制御部40は、複数の充電ユニット30a、30bのうちの充電ユニット30aによるEV1の普通充電の実行中に、複数の充電ユニット30a、30bのうちの充電ユニット30bによるEV2の充電が開始される場合、充電ユニット30aによるEV1の普通充電を継続しながら充電ユニット30bによるEV2の急速充電を実行するように構成されている。制御部40は、その後、充電ユニット30aによるEV1の普通充電と、充電ユニット30bによるEV2の普通充電と、を一定時間毎に交互に実行するように構成されている。
【0101】
この構成によれば、充電ユニット30aによるEV1の普通充電と、充電ユニット30bによるEV2の急速充電と、を同時に実行できるため、全体の充電時間を短縮することができる。
【0102】
本実施の形態に係る電気自動車の充電装置において、制御部40は、複数の充電ユニット30a、30bのうちの充電ユニット30aによるEV1の普通充電の実行中に、複数の充電ユニット30a、30bのうちの充電ユニット30bによるEV2の充電が開始され、かつ充電ユニット30bによるEV2の充電が充電ユニット30aによるEV1の充電よりも優先される場合、充電ユニット30aによるEV1の普通充電を継続しながら充電ユニット30bによるEV2の急速充電を実行するように構成されている。制御部40は、その後、充電ユニット30aによるEV1の普通充電を一旦停止し、充電ユニット30bによるEV2の普通充電をEV2が満充電になるまで実行するように構成されている。制御部40は、その後、充電ユニット30aによるEV1の普通充電を実行するように構成されている。
【0103】
この構成によれば、充電ユニット30bによるEV2の充電をより早く完了させることができる。また、充電ユニット30aによるEV1の普通充電と、充電ユニット30bによるEV2の急速充電と、を同時に実行できるため、全体の充電時間を短縮することができる。
【0104】
以上、好ましい実施の形態等について詳説したが、上述した実施の形態等に制限されることはなく、特許請求の範囲に記載された範囲を逸脱することなく、上述した実施の形態等に種々の変形及び置換を加えることができる。
【0105】
以下、本開示の諸態様を付記としてまとめて記載する。
(付記1)
商用電力が供給される普通充電系統と、
前記商用電力により充電される急速充電用バッテリーを有し、前記普通充電系統から分岐して設けられた急速充電系統と、
前記普通充電系統と電気自動車とを接続する普通充電用コネクタ、及び前記急速充電系統と前記電気自動車とを接続する急速充電用コネクタをそれぞれ有する複数の充電ユニットと、
前記複数の充電ユニットのそれぞれに対応して設けられ、前記普通充電系統と前記普通充電用コネクタとの接続を開閉する普通充電用開閉器と、
前記複数の充電ユニットのそれぞれに対応して設けられ、前記急速充電系統と前記急速充電用コネクタとの接続を開閉する急速充電用開閉器と、
前記普通充電用開閉器及び前記急速充電用開閉器を制御する制御部と、
を備え、
前記制御部は、前記複数の充電ユニットのそれぞれに対応する前記普通充電用開閉器及び前記急速充電用開閉器を制御することにより、前記普通充電系統による前記電気自動車の普通充電と、前記急速充電系統による前記電気自動車の急速充電と、を前記複数の充電ユニットのそれぞれにおいて切り替えて実行するように構成されている電気自動車の充電装置。
(付記2)
前記急速充電系統には、前記商用電力以外の電力が供給される補助電源系統が接続されている付記1に記載の電気自動車の充電装置。
(付記3)
前記制御部は、
前記複数の充電ユニットのうちの第1充電ユニットによる第1電気自動車の充電と、前記複数の充電ユニットのうちの第2充電ユニットによる第2電気自動車の充電と、が同時に開始される場合、
前記第1充電ユニットによる前記第1電気自動車の急速充電と、前記第2充電ユニットによる前記第2電気自動車の急速充電と、を順次実行し、
その後、前記第1充電ユニットによる前記第1電気自動車の普通充電と、前記第2充電ユニットによる前記第2電気自動車の普通充電と、を一定時間毎に交互に実行するように構成されている付記1又は付記2に記載の電気自動車の充電装置。
(付記4)
前記制御部は、
前記複数の充電ユニットのうちの第1充電ユニットによる第1電気自動車の充電と、前記複数の充電ユニットのうちの第2充電ユニットによる第2電気自動車の充電と、が同時に開始され、かつ、前記第1充電ユニットによる前記第1電気自動車の充電が前記第2充電ユニットによる前記第2電気自動車の充電よりも優先される場合、
前記第1充電ユニットによる前記第1電気自動車の急速充電と、前記第2充電ユニットによる前記第2電気自動車の急速充電と、を順次実行し、
その後、前記第1充電ユニットによる前記第1電気自動車の普通充電を前記第1電気自動車が満充電になるまで実行し、
その後、前記第2充電ユニットによる前記第2電気自動車の普通充電を実行するように構成されている付記1又は付記2に記載の電気自動車の充電装置。
(付記5)
前記制御部は、
前記第1充電ユニットによる前記第1電気自動車の急速充電の実行中に、前記第2充電ユニットによる前記第2電気自動車の普通充電を並行して実行し、
前記第2充電ユニットによる前記第2電気自動車の急速充電の実行中に、前記第1充電ユニットによる前記第1電気自動車の普通充電を並行して実行するように構成されている付記3又は付記4に記載の電気自動車の充電装置。
(付記6)
前記制御部は、
前記複数の充電ユニットのうちの第1充電ユニットによる第1電気自動車の普通充電の実行中に、前記複数の充電ユニットのうちの第2充電ユニットによる第2電気自動車の充電が開始される場合、
前記第1充電ユニットによる前記第1電気自動車の普通充電を継続しながら前記第2充電ユニットによる前記第2電気自動車の急速充電を実行し、
その後、前記第1充電ユニットによる前記第1電気自動車の普通充電と、前記第2充電ユニットによる前記第2電気自動車の普通充電と、を一定時間毎に交互に実行するように構成されている付記1又は付記2に記載の電気自動車の充電装置。
(付記7)
前記制御部は、
前記複数の充電ユニットのうちの第1充電ユニットによる第1電気自動車の普通充電の実行中に、前記複数の充電ユニットのうちの第2充電ユニットによる第2電気自動車の充電が開始され、かつ前記第2充電ユニットによる前記第2電気自動車の充電が前記第1充電ユニットによる前記第1電気自動車の充電よりも優先される場合、
前記第1充電ユニットによる前記第1電気自動車の普通充電を継続しながら前記第2充電ユニットによる前記第2電気自動車の急速充電を実行し、
その後、前記第1充電ユニットによる前記第1電気自動車の普通充電を一旦停止し、前記第2充電ユニットによる前記第2電気自動車の普通充電を前記第2電気自動車が満充電になるまで実行し、
その後、前記第1充電ユニットによる前記第1電気自動車の普通充電を実行するように構成されている付記1又は付記2に記載の電気自動車の充電装置。
【符号の説明】
【0106】
10 普通充電系統、10a、10b サブ普通充電系統、11 商用電源入力部、12 分岐部、20 急速充電系統、20a、20b サブ急速充電系統、21 急速充電器、22 急速充電用バッテリー、23 接続部、30a、30b 充電ユニット、31a、31b 普通充電用コネクタ、32a、32b 急速充電用コネクタ、40 制御部、41 タイムスイッチ、50 補助電源系統、51 補助電源入力部、60 操作パネル、61 優先号機選択スイッチ、62 1号機スタートボタン、63 1号機動作表示灯、64 2号機スタートボタン、65 2号機動作表示灯、66 急速充電用バッテリー制御切替スイッチ、67 急速充電用バッテリー充電表示灯、MCG1 補助電源入力用開閉器、MCH1、MCH2 急速充電用開閉器、MCL1、MCL2 普通充電用開閉器、MCR1 バッテリー用開閉器。
図1
図2
図3
図4
図5
図6