(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024093096
(43)【公開日】2024-07-09
(54)【発明の名称】金属管曲げ型
(51)【国際特許分類】
B21D 7/025 20060101AFI20240702BHJP
【FI】
B21D7/025 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022209248
(22)【出願日】2022-12-27
(71)【出願人】
【識別番号】592064796
【氏名又は名称】株式会社リード
(74)【代理人】
【識別番号】100067736
【弁理士】
【氏名又は名称】小池 晃
(74)【代理人】
【識別番号】100192212
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 貴明
(74)【代理人】
【識別番号】100200001
【弁理士】
【氏名又は名称】北原 明彦
(72)【発明者】
【氏名】末武 博信
(72)【発明者】
【氏名】清水 良夫
(72)【発明者】
【氏名】米原 裕尊
(72)【発明者】
【氏名】木下 純
【テーマコード(参考)】
4E063
【Fターム(参考)】
4E063AA04
4E063BC06
4E063CA02
4E063DA05
4E063MA02
(57)【要約】
【課題】 加工対象の金属管の曲げ半径や金属管の形状など変更に容易に対応することができる金属管曲げ型を提供する。
【解決手段】 一対の円形状鋼板1A,1Bと該一対の円形状鋼板1A,1B間に配され複数の円形状鋼板2A,・・・,2Nを積層して厚み方向に貫通する複数のボルト締結軸5により一体化してなり、積層された上記複数の円形状鋼板2A,・・・,2Nの周面が加工対象の金属管が押圧される受面として機能する受部6と、上記一対の円形状鋼板1A,1Bの対向面が加工対象の金属管50の押圧による扁平を防止する扁平防止面として機能する扁平防止部とを有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属管を曲げ加工する曲げ装置に用いる金属管曲げ型であって、
一対の円形状鋼板と該一対の円形状鋼板間に配され複数の円形状鋼板を積層して厚み方向に貫通する複数の締結軸により一体化してなり、
積層された上記複数の円形状鋼板の周面が加工対象の金属管が押圧される受面として機能する受部と、
上記一対の円形状鋼板の対向面が上記加工対象の金属管の押圧による扁平を防止する扁平面として機能する扁平防止部と
を有することを特徴とする金属管曲げ型。
【請求項2】
断面が矩形状の金属管の曲げ加工用の金属管曲げ型であって、
上記加工対象の金属管の断面形状に対応する矩形状の金属管受溝を有し、
上記金属管受溝は、上記一対の円形状鋼板よりも小径で、互いに等しい直径を有する上記複数の円形状鋼板の周面が上記断面が矩形状の金属管が押圧される受面として機能する上記受部と、上記一対の円形状鋼板による上記加工対象の金属管の押圧による扁平を防止する扁平防止面として機能する上記扁平防止部の外向きフランジ部とからなることを特徴とする請求項1に記載の金属管曲げ型。
【請求項3】
断面が円形状の金属管の曲げ加工用の金属管曲げ型であって、
上記複数の円形状鋼板は、中央に位置される円形状鋼板ほど小径とされ、上記複数の円形状鋼板の周面が上記受面として機能する上記受部に上記加工対象の金属管の断面形状に対応する断面が円形状の金属管受溝を有することを特徴とする請求項1に記載の金属管曲げ型。
【請求項4】
上記一対の円形状鋼板の外周部に延設された把持型取付部を有することを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の金属管曲げ型。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アルミニウム、銅、鉄、ステンレス等の金属製のパイプやチューブ等の金属管を曲げ加工する曲げ装置に用いる金属管曲げ型に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば方形断面や円形断面の中空形材である金属管をそのまま曲げると、外向き湾曲面(曲げ半径が大きくなるほうの面)が延伸され、内向き湾曲面(曲げ半径が小さいほうの面)が圧縮されて側面が撓み、湾曲部における中空部が偏平に変形して、外向き湾曲面またはその近傍の側面に亀裂を生じたり、内向き湾曲面またはその近傍の側面にシワが寄ったり、極端な場合には湾曲部で折れてしまうなどの問題が生じるので、金属管を曲げ加工には、金属管曲げ型が用いられている。
【0003】
従来、金属管曲げ型は、加工対象の金属管の毎に設計された形状に鋳造や鍛造などにより成形された重量のある金属塊で構成されたものが提供されており、金属管を曲げ加工(ベンディング)する工場では、多数の金属管曲げ型をストックしておき、加工対象の金属管の曲げ半径や金属管の形状などが変わる毎に、適正な外周面形状を有する金属管曲げ型に取り替えて金属管の曲げ加工を行うようにしている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
また、金属管曲げ型を用いて金属管を曲げ加工(ベンディング)する方法としては、回転する曲げ型に金属管を固定し、クランプダイといった固定器具で金属管を曲げていくドロー・ベンディング(回転引き曲げ加工)、固定した曲げ型と、プレッシャダイを押さえ合わせて金属管を曲げるコンプレッション・ベンディング(圧縮曲げ加工)、金属管の両側を支持した状態で、曲げたい箇所に曲げ型を押し付けて成形するプレス・ベンディング(プレス曲げ加工)、3つのロールに金属管を配置し、徐々にロールに圧力を加えていくことで曲げ加工を行うロール・ベンディング(3本ロール曲げ加工)、固定式の方に金属管を添え、逆方向に強く引っ張ることで曲げるストレッチ・ベンディング(引張り曲げ加工)等がある。いずれの方法を採用した場合であっても、金属管を曲げ加工する曲げ装置では、曲げ加工する金属管の曲げ半径や金属管の形状などに対応した適正な外周面形状を有する金属管曲げ型が用いられている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開昭49-32859号公報
【特許文献2】特開2017-94374号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述の如く、アルミニウム、銅、鉄、ステンレス等の金属製のパイプやチューブ等、金属管を曲げ加工(ベンディング)する工場では、加工対象の金属管の曲げ半径や金属管の形状など変更に対応できるように、多数の金属管曲げ型をストックしておく必要があり、また、加工対象の金属管の曲げ半径や金属管の形状などが変わる毎に、適正な外周面形状を有する金属管曲げ型に取り替えて金属管の曲げ加工を行う必要があった。
【0007】
従来、加工対象の金属管毎に設計された形状に鋳造や鍛造などにより成形された重量のある金属塊で構成された金属管曲げ型の交換作業に多大な手間と時間を要していた。
【0008】
上述の如き従来の実情に鑑み、本発明の目的は、加工対象の金属管の曲げ半径や金属管の形状など変更に容易に対応することができる金属管曲げ型を提供することにある。
【0009】
本発明の他の目的、本発明によって得られる具体的な利点は、以下に説明される実施の形態の説明から一層明らかにされる。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明では、アルミニウム、銅、鉄、ステンレス等の金属製のパイプやチューブ等の金属管曲げ型を円形状鋼板による積層構造とすることにより、加工対象の金属管の曲げ半径や金属管の形状など変更に容易に対応可能にした。
【0011】
すなわち、本発明は、金属管を曲げ加工する曲げ装置に用いる金属管曲げ型であって、一対の円形状鋼板と該一対の円形状鋼板間に配され複数の円形状鋼板を積層して厚み方向に貫通する複数の締結軸により一体化してなり、積層された上記複数の円形状鋼板の周面が加工対象の金属管が押圧される受面として機能する受部と、上記一対の円形状鋼板の対向面が上記加工対象の金属管の押圧による扁平を防止する扁平防止面として機能する扁平防止部とを有することを特徴とする。
【0012】
本発明に係る金属管曲げ型は、断面が矩形状の金属管の曲げ加工用の金属管曲げ型であって、上記加工対象の金属管の断面形状に対応する矩形状の金属管受溝を有し、上記金属管受溝は、上記一対の円形状鋼板よりも小径で、互いに等しい直径を有する上記複数の円形状鋼板の周面が上記断面が矩形状の金属管が押圧される受面として機能する上記受部と、上記一対の円形状鋼板による上記加工対象の金属管の押圧による扁平を防止する扁平防止面として機能する上記扁平防止部の外向きフランジ部とからなるものとすることができる。
【0013】
また、本発明に係る金属管曲げ型は、断面が円形状の金属管の曲げ加工用の金属管曲げ型であって、上記複数の円形状鋼板は、中央に位置される円形状鋼板ほど小径とされ、上記複数の円形状鋼板の周面が上記受面として機能する上記受部に上記加工対象の金属管の断面形状に対応する断面が円形状の金属管受溝を有するものとすることができる。
【0014】
さらに、本発明に係る金属管曲げ型は、上記一対の円形状鋼板の外周部に延設された把持型取付部を有するものとすることができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明では、従来、重量のある金属塊で構成された金属管曲げ型を円形状鋼板による積層構造にしたので、受部の受面として周面が機能する複数の円形状鋼板の直径や積層枚数を変更することにより、加工対象の金属管の曲げ半径や金属管の形状などの変更に容易に対応することができる。
【0016】
すなわち、重量のある金属管曲げ型であっても、積層構造の金属管曲げ型を分解して、円形状鋼板を交換して積層構造を再構築することにより、適正な外周面形状を有する金属管曲げ型に簡単に交換することができ、各種形状の金属管を効率よく曲げ加工(ベンディング)することができる。
【0017】
したがって、本発明によれば、アルミニウム、銅、鉄、ステンレス等の金属製のパイプやチューブ等の加工対象の金属管の曲げ半径や金属管の形状など変更に容易に対応可能な金属管曲げ型を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】
図1の(A)は、本発明を適用した断面が方形上の金属管を曲げ加工する曲げ装置の要部縦断面図であり、
図1の(B)は、上記曲げ装置の回転軸に装着されている金属管曲げ型の外観斜視図である。
【
図3】
図3の(A)は、金属管が装着された金属管曲げ型を少し回転させた状態を示す上記曲げ装置の平面図であり、
図3の(B)は、上記金属管曲げ型を略180°回転させた状態を示す上記曲げ装置の平面図である。
【
図4】
図4は、上記曲げ装置に設けられた押圧型の外観斜視図である。
【
図5】
図5の(A)は、本発明を適用した断面が円形状の金属管を曲げ加工する曲げ装置の平面図であり、
図5の(B)は、上記曲げ装置の要部縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、本発明は、以下の例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、任意に変更可能であることは言うまでもない。
【0020】
図1の(A)は、本発明を適用した金属管を曲げ加工する曲げ装置100の要部縦断面図であり、(B)は、上記曲げ装置100の回転軸110に装着されている金属管曲げ型10の外観斜視図である。
【0021】
この曲げ装置100は、断面が方形状の角形金属管50の曲げ加工を行うもので、上記角形金属管50の方形断面に対応する凹条に形成された金属管受溝8を有する金属管曲げ型10が回転軸110に装着されている。
【0022】
上記金属管曲げ型10は、一対の円形状鋼板1A,1Bと該一対の円形状鋼板1A,1B間に配され上記一対の円形状鋼板1A,1Bよりも小径の複数の円形状鋼板2A,・・・,2Nを積層して厚み方向に貫通する複数のボルト締結軸5により一体化してなり、積層された上記複数の円形状鋼板2A,・・・,2Nの周面が加工対象の金属管50が押圧される受面として機能する受部と、上記一対の円形状鋼板1A,1Bの対向面が上記加工対象の金属管50の押圧による扁平を防止する扁平防止面として機能する扁平防止部とを有する。上記一対の円形状鋼板1A,1Bには、上記加工対象の角形金属管50の押圧による扁平を防止することのできる強度を有するように、上記複数の円形状鋼板2A,・・・,2Nよりも厚肉の肉厚の鋼板が使用される。なお、上記一対の円形状鋼板1A,1Bは、それぞれ複数枚の円形状鋼板を用いて強度を確保するようにしてもよい。
【0023】
この金属管曲げ型10は、上記一対の円形状鋼板1A,1Bよりも小径で、互いに等しい直径を有する上記複数の鋼板2A,・・・,2Nの周面が上記角形金属管50が押圧される受面として機能する受部6と、上記一対の円形状鋼板1A,1Bによる上記加工対象の角形金属管50の押圧による扁平を防止する扁平防止面として機能する上記扁平防止部の外向きフランジ部7A,7Bとからなる上記加工対象の角形金属管50の断面形状に対応する断面が矩形形状の金属管受溝8を有するものとなっている。
【0024】
上記複数の鋼板の周面鋼板2A,・・・,2Nの周面を金属管受溝8の受部6の受面として機能させるようにした金属管曲げ型10において、上記複数の円形状鋼板2A,・・・,2Nの積層枚数は、上記加工対象の角形金属管50の断面形状の幅に応じて決定され、また、上記複数の円形状鋼板2A,・・・,2Nの直径は、上記加工対象の角形金属管50の曲げ半径に対応させたものとされる。
【0025】
また、この金属管曲げ型10は、上記金属管曲げ型10の金属管受溝8に挿入された上記加工対象の角形金属管50を上記金属管曲げ型10に固定する把持型20を取り付けるための把持型取付部21A,21Bが上記一対の円形状鋼板1A,1Bに設けられている。
【0026】
上記把持型20は、上記複数の鋼板22A,・・・,22Nが積層され、厚み方向に貫通する2本のボルト締結軸25により、上記把持型取付部21A,21Bに取り付けられる。
【0027】
ここで、
図2は、上記曲げ装置100の平面図である。
【0028】
すなわち、この金属管曲げ型10は、
図2に示すように、上記金属管曲げ型10の金属管受溝8に挿入された上記加工対象の角形金属管50を挿入した状態で、上記把持型取付部21A,21Bに把持型20をボルト締結軸25により取り付け固定することにより、上記加工対象の角形金属管50が取り付け固定されるようになっている。
【0029】
そして、
図3の(A)は、角形金属管50が装着された金属管曲げ型10を少し回転させた状態を示す上記曲げ装置100の平面図であり、
図3の(B)は、上記金属管曲げ型10を略180°回転させた状態を示す上記曲げ装置100の平面図である。
【0030】
すなわち、この曲げ装置100は、
図3の(A),(B)に示すように、回転軸110に装着された上記金属管曲げ型10を回転駆動することにより、上記加工対象の角形金属管50が上記金属管曲げ型10に取り付け固定された状態で、引っ張りながら上記金属管曲げ型10の金属管受溝8に沿って巻き付けて、曲げ時の上記加工対象の角形金属管50の反力を圧力型30で受け、上記金属管受溝8の受部6に上記加工対象の角形金属管50を押しつけて目的の曲率の円弧状に曲げる曲げ加工を行うようになっている。
【0031】
この曲げ装置100において、角形金属管50の曲げ加工を行う際に、上記金属管受溝8の受部6に押しつけられることにより、加工対象の角形金属管50が扁平する方向に作用する力が生じるが、上記金属管曲げ型10の金属管受溝8を形成している一対の外向きフランジ部7A,7Bを備えているので、上記一対の外向きフランジ部7A,7Bにおいて、上記複数の鋼板2A,・・・,2Nよりも大径の上記一対の円形状鋼板1A,1Bの対向面が扁平防止面として機能し、上記加工対象の角形金属管50の押圧による扁平を防止して、確実に断面が方形状の角形金属管50の曲げ加工を行うことができる。
【0032】
ここで、
図4は、上記曲げ装置100に設けられた圧力型30の外観斜視図である。
【0033】
圧力型30は、基台31と、この基台31に立設された互いに平行な一対の支持板32A,32Bと、上記加工対象の角形金属管50の断面形状の幅に応じた長さの複数のローラー軸33からなり、一対の支持板32A,32Bは、複数のローラー軸33の両端を回転自在に支持している状態で複数のボルト締結軸34により一体化されている。
【0034】
この圧力型30は、上記複数のローラー軸33が回転しながら曲げ時の上記加工対象の金属管50の反力を受け、上記金属管曲げ型10に取り付け固定された上記加工対象の角形金属管50を上記金属管曲げ型10の金属管受溝8に押しつけるようになっている。
【0035】
ここで、この圧力型30は、上記加工対象の角形金属管50が断面形状の幅が異なるなるものに変更される場合は、分解して上記一対の支持板32A,32Bの一方を移動させ、上記複数のローラー軸33を適正な長さのものに交換して再度組み立てることにより使用することができるようになっている。
【0036】
なお、上記曲げ装置100は、断面が方形状の角形金属管50の曲げ加工を行うものであるが、その回転軸110に装着されている上記加工対象の角形金属管50の方形断面に対応する凹条に形成された金属管受溝8を有する金属管曲げ型10により、断面が矩形状の角形金属管50の曲げ加工を行うこともできることは言うまでもなく、加工対象の金属管の断面が円形状である場合には、上記加工対象の金属管の断面形状に対応する断面が円形状の金属管受溝を有する金属管曲げ型を回転軸に装着することにより、断面が円形状の金属管の曲げ加工を行うこともできる。
【0037】
図5の(A)は、本発明を適用した断面が円形状の金属管50’を曲げ加工する曲げ装置100’の平面図であり、
図5の(B)は、上記曲げ装置100’の要部縦断面図である。この曲げ装置100’において、上記曲げ装置100と同一の構成要素については、図中に「’」を付した同一符号にて示す。
【0038】
この曲げ装置100’は、断面が円形状の金属管50’の曲げ加工を行うもので、上記加工対象の金属管50’の円形断面に対応する凹条に形成された金属管受溝8’を有する金属管曲げ型10’が回転軸110’に装着されている。
【0039】
上記金属管曲げ型10’は、一対の円形状鋼板1A’,1B’と該一対の円形状鋼板1A’,1B’間に配され複数の円形状鋼板2A’,・・・,2N’を積層して厚み方向に貫通する複数のボルト締結軸5’により一体化してなり、積層された上記複数の円形状鋼板2A’,・・・,2N’の周面が加工対象の金属管50’が押圧される受面として機能する受部と、上記一対の円形状鋼板1A’,1B’の対向面が上記加工対象の金属管50’の押圧による扁平を防止する扁平防止面として機能する扁平防止部とを有する。上記一対の円形状鋼板1A’,1B’には、上記加工対象の金属管50’の押圧による扁平を防止することのできる強度を有するように、上記複数の円形状鋼板2A’,・・・,2N’よりも厚肉の肉厚の鋼板が使用される。なお、上記一対の円形状鋼板1A’,1B’は、それぞれ複数枚の円形状鋼板を用いて強度を確保するようにしてもよい。
【0040】
上記複数の円形状鋼板2A’,・・・,2N’は、中央に位置される円形状鋼板ほど小径とされ、上記複数の円形状鋼板2A’,・・・,2N’の周面が上記受面として機能する上記受部に上記加工対象の金属管50’の断面形状に対応する断面が円形状の金属管受溝8’を有するものとなっている。
【0041】
上記複数の鋼板の周面鋼板2A’,・・・,2N’の周面を金属管受溝8’の受部6’の受面として機能させるようにした金属管曲げ型10’において、上記複数の円形状鋼板2A’,・・・,2N’の積層枚数は、上記加工対象の金属管50’の径に応じて決定され、また、上記複数の円形状鋼板2A’,・・・,2N’の直径は、上記加工対象の金属管50’の曲げ半径に対応させたものとされる。
【0042】
また、この金属管曲げ型10’は、上記金属管曲げ型10’の金属管受溝8’に挿入された上記加工対象の金属管50’を上記金属管曲げ型10’に固定する把持型20’を取り付けるための把持型取付部21A’,21B’が上記一対の円形状鋼板1A’,1B’に設けられている。
【0043】
上記把持型20’は、上記複数の鋼板22A’,・・・,22N’が積層され、厚み方向に貫通する複数本のボルト締結軸25’により、上記把持型取付部21A’,21B’に取り付けられる。
【0044】
すなわち、この金属管曲げ型10’は、上記金属管曲げ型10’の金属管受溝8’に挿入された上記加工対象の金属管50’を挿入した状態で、上記把持型取付部21A’,21B’に把持型20’をボルト締結軸25’により取り付け固定することにより、上記加工対象の金属管50’が取り付け固定されるようになっている。
【0045】
そして、この曲げ装置100’は、回転軸110’に装着された上記金属管曲げ型10’を回転駆動することにより、上記加工対象の金属管50’が上記金属管曲げ型10’に取り付け固定された状態で、引っ張りながら上記金属管曲げ型10の金属管受溝8に沿って巻き付けて、曲げ時の上記加工対象の金属管50’の反力を圧力型30’で受け、上記金属管受溝8’の受部6’に上記加工対象の金属管50’を押しつけて目的の曲率の円弧状に曲げる曲げ加工を行うようになっている。
【0046】
この曲げ装置100’において、円形断面の金属管50’の曲げ加工を行う際に、上記金属管受溝8’の受部6’に押しつけられることにより、上記加工対象の金属管50’が扁平する方向に作用する力が生じるが、上記金属管曲げ型10’の金属管受溝8’が形成されている上記複数の鋼板2A’,・・・,2N’は上記一対の円形状鋼板1A’,1B’の対向面間に配置され積層されているので、上記一対の円形状鋼板1A’,1B’の対向面が扁平防止面として機能し、上記加工対象の金属管50’の押圧による扁平を防止して、確実に円形断面の金属管50’の曲げ加工を行うことができる。
【0047】
ここで、上記曲げ装置100,100’は、金属管50、50’が把持型20,20’により固定された金属管曲げ型10,10’を回転させることにより、金属管50、50’を曲げていくドロー・ベンディング(回転引き曲げ加工)を行うものであるが、本発明は、ドロー・ベンディング用の金属管曲げ型に限定されるものでなく、金属管曲げ型と把持型とで加工対象の金属管を挟持した後に、曲げ型の周方向に沿って把持型を移動させつつ金属管曲げ型を回転させることで金属管の曲げ加工を行うロータリードロー・ベンディング(回転引き曲げ加工)、金属管曲げ型を固定し、圧力型を移動させることにより、加工対象の金属管を金属管曲げ型に押しつけて曲げていくプレス・ベンディング(プレス曲げ加工)やコンプレッション・ベンディング(圧縮曲げ加工)、複数の金属管曲げ型を回転させて徐々に加工対象の金属管に圧力を加えていくことで曲げ加工を行うロール・ベンディング(回転曲げ加工)等の各種方法を採用した曲げ装置に備えられる金属管曲げ型に適用することができる。
【0048】
なお、加工対象の金属管を把持型により金属管曲げ型に固定しないロータリードロー・ベンディングやプレス・ベンディング,ロール・ベンディング用の金属管曲げ型の場合には、把持型取付部を上記一対の円形状鋼板の外周部に延設しておく必要はない。
【符号の説明】
【0049】
1A,1B,1A’,1B’ 一対の円形状鋼板、2A,・・・,2N,2A’,・・・,2N’ 複数の円形状鋼板、5,34,5’,34’ 複数のボルト締結軸、6,6’ 受部、7A,7B,7A’,7B’ フランジ部、8,8’ 金属管受溝、10,20’ 金属管曲げ型、20,20’ 把持型、21A,21B,21A’,21B’ 把持型取付部、2A,・・・,22N,22A’,・・・,22N’ 複数の鋼板、30,30’ 圧力型、31 基台、32A,32B 支持板、33 複数のローラー軸、50 加工対象の金属管、100,100’ 曲げ装置、110,110’ 回転軸