IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社アイエイアイの特許一覧

<>
  • 特開-アクチュエーター及びサポート部材 図1
  • 特開-アクチュエーター及びサポート部材 図2
  • 特開-アクチュエーター及びサポート部材 図3
  • 特開-アクチュエーター及びサポート部材 図4
  • 特開-アクチュエーター及びサポート部材 図5
  • 特開-アクチュエーター及びサポート部材 図6
  • 特開-アクチュエーター及びサポート部材 図7
  • 特開-アクチュエーター及びサポート部材 図8
  • 特開-アクチュエーター及びサポート部材 図9
  • 特開-アクチュエーター及びサポート部材 図10
  • 特開-アクチュエーター及びサポート部材 図11
  • 特開-アクチュエーター及びサポート部材 図12
  • 特開-アクチュエーター及びサポート部材 図13
  • 特開-アクチュエーター及びサポート部材 図14
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024093099
(43)【公開日】2024-07-09
(54)【発明の名称】アクチュエーター及びサポート部材
(51)【国際特許分類】
   F16H 25/22 20060101AFI20240702BHJP
   F16H 25/20 20060101ALI20240702BHJP
   F16H 25/24 20060101ALI20240702BHJP
【FI】
F16H25/22 K
F16H25/20 F
F16H25/24 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022209251
(22)【出願日】2022-12-27
(71)【出願人】
【識別番号】391008515
【氏名又は名称】株式会社アイエイアイ
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100132883
【弁理士】
【氏名又は名称】森川 泰司
(74)【代理人】
【識別番号】100147924
【弁理士】
【氏名又は名称】美恵 英樹
(74)【代理人】
【識別番号】100165489
【弁理士】
【氏名又は名称】榊原 靖
(72)【発明者】
【氏名】望月 佑真
【テーマコード(参考)】
3J062
【Fターム(参考)】
3J062AB01
3J062AB22
3J062AC07
3J062BA12
3J062CD04
3J062CD12
3J062CD22
3J062CD36
(57)【要約】
【課題】装置の大型化を抑制しつつ、構造を簡素にすることができるアクチュエーター及びサポート部材を提供する。
【解決手段】アクチュエーター1は、ボールねじスプライン軸21と、移動部材40と、ガイド部材31と、サポート部材60とを備える。サポート部材60は、サポートブラケット60aと、サポートブラケット60aに支持され、ボールねじスプライン軸21のスプライン溝21dと係合し、ボールねじスプライン軸21と一体に回転されるスプラインナットSN1と、スプラインナットSN1と一体に回転される第1歯車61と、第1歯車61と噛合される第2歯車62と、第2歯車62と一体に回転される第3歯車63と、第3歯車63と噛合される第4歯車64と、第4歯車64と一体に回転され、サポートブラケット60aに支持され、ボールねじスプライン軸21のボールねじ溝21cと係合されるサポートナットSN2とを有する。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
両端が回転可能に支持されると共に、ボールねじ溝とスプライン溝とが形成されているボールねじスプライン軸と、
前記ボールねじスプライン軸の回転によりボールねじナットと共に移動される移動部材と、
前記移動部材を移動自在に支持するガイド部材と、
前記ボールねじスプライン軸の軸端と前記移動部材との間で前記ボールねじスプライン軸を支持すると共に、前記ガイド部材に移動自在に支持されるサポート部材と、を備え、
前記サポート部材は、
サポートブラケットと、
前記サポートブラケットにスプラインナット用軸受を介して支持され、前記ボールねじスプライン軸の前記スプライン溝と係合し、前記ボールねじスプライン軸と一体に回転されるスプラインナットと、
前記スプラインナットと一体に回転される第1歯車と、
前記第1歯車と噛合される第2歯車と、
前記第2歯車と一体に回転される第3歯車と、
前記第3歯車と噛合される第4歯車と、
前記第4歯車と一体に回転され、ボールねじナット用軸受を介して前記サポートブラケットに支持され、前記ボールねじスプライン軸の前記ボールねじ溝と係合されるサポートナットと、を有する、アクチュエーター。
【請求項2】
前記サポートナットは、滑りねじを有し、
前記滑りねじは、前記ボールねじ溝と噛合される、請求項1に記載のアクチュエーター。
【請求項3】
前記サポート部材の移動方向に垂直な両方の側部に設けられ、前記ガイド部材に対する前記サポート部材の移動を円滑化させる移動支持部材を備え、
前記両方の側部のうちの一方側の側部に設けられた前記移動支持部材は、前記ガイド部材に対する前記サポート部材の位置を調整可能に前記サポートブラケットに取り付けられ、
前記両方の側部のうちの他方側の側部に設けられた前記移動支持部材は、前記サポートブラケットに位置決めされた状態で固定され、
前記第2歯車及び前記第3歯車は、前記サポートブラケットの前記一方側以外の位置に設置されている、請求項1に記載のアクチュエーター。
【請求項4】
前記スプラインナット及び前記第1歯車は、一体に成型されている部品である、請求項1に記載のアクチュエーター。
【請求項5】
前記第2歯車と前記第3歯車は、一体に成型されている部品である、請求項1に記載のアクチュエーター。
【請求項6】
前記第4歯車と前記サポートナットは、一体に成型されている部品である、請求項1に記載のアクチュエーター。
【請求項7】
前記サポート部材が、複数個設置されている、請求項1から6のいずれか一項に記載のアクチュエーター。
【請求項8】
両端が回転可能に支持されると共に、ボールねじ溝とスプライン溝とが形成されているボールねじスプライン軸と、
前記ボールねじスプライン軸の回転によりボールねじナットと共に移動される移動部材と、
前記移動部材を移動自在に支持するガイド部材と、
前記ボールねじスプライン軸の軸端と前記移動部材との間で前記ボールねじスプライン軸を支持すると共に、前記ガイド部材に移動自在に支持されるサポート部材と、を備えるアクチュエーターに用いられるサポート部材であって、
サポートブラケットと、
前記サポートブラケットにスプラインナット用軸受を介して支持され、前記ボールねじスプライン軸の前記スプライン溝と係合し、前記ボールねじスプライン軸と一体に回転されるスプラインナットと、
前記スプラインナットと一体に回転される第1歯車と、
前記第1歯車と噛合される第2歯車と、
前記第2歯車と一体に回転される第3歯車と、
前記第3歯車と噛合される第4歯車と、
前記第4歯車と一体に回転され、ボールねじナット用軸受を介して前記サポートブラケットに支持され、前記ボールねじスプライン軸の前記ボールねじ溝と係合されるサポートナットと、を有する、サポート部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アクチュエーター及びサポート部材に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、軸受装置(サポート部材)を被搬送体より遅い速度で移動させる装置が開示されている。特許文献1に開示の装置では、軸受装置(サポート部材)は、送りねじの回転から得た動力を歯車列を介して送りねじの軸方向と直交する方向へ変換させることで移動可能に設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開昭63-163059号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示のものにおいて、軸受装置(サポート部材)を移動させるための動力が送りねじの軸方向と直交するように変換されているので、歯車列の軸方向を変更する必要があり、装置が大型化するおそれがあると共に、機構が複雑化するおそれがある。
【0005】
本発明は、上述の事情の下になされたもので、装置の大型化を抑制しつつ、構造を簡素にすることができるアクチュエーター及びサポート部材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述の目的を達成するために、本発明の第1の観点に係るアクチュエーターは、
両端が回転可能に支持されると共に、ボールねじ溝とスプライン溝とが形成されているボールねじスプライン軸と、
前記ボールねじスプライン軸の回転によりボールねじナットと共に移動される移動部材と、
前記移動部材を移動自在に支持するガイド部材と、
前記ボールねじスプライン軸の軸端と前記移動部材との間で前記ボールねじスプライン軸を支持すると共に、前記ガイド部材に移動自在に支持されるサポート部材と、を備え、
前記サポート部材は、
サポートブラケットと、
前記サポートブラケットにスプラインナット用軸受を介して支持され、前記ボールねじスプライン軸の前記スプライン溝と係合し、前記ボールねじスプライン軸と一体に回転されるスプラインナットと、
前記スプラインナットと一体に回転される第1歯車と、
前記第1歯車と噛合される第2歯車と、
前記第2歯車と一体に回転される第3歯車と、
前記第3歯車と噛合される第4歯車と、
前記第4歯車と一体に回転され、ボールねじナット用軸受を介して前記サポートブラケットに支持され、前記ボールねじスプライン軸の前記ボールねじ溝と係合されるサポートナットと、を有する。
【0007】
前記サポートナットは、滑りねじを有し、
前記滑りねじは、前記ボールねじ溝と噛合されていてもよい。
【0008】
前記サポート部材の移動方向に垂直な両方の側部に設けられ、前記ガイド部材に対する前記サポート部材の移動を円滑化させる移動支持部材を備え、
前記両方の側部のうちの一方側の側部に設けられた前記移動支持部材は、前記ガイド部材に対する前記サポート部材の位置を調整可能に前記サポートブラケットに取り付けられ、
前記両方の側部のうちの他方側の側部に設けられた前記移動支持部材は、前記サポートブラケットに位置決めされた状態で固定され、
前記第2歯車及び前記第3歯車は、前記サポートブラケットの前記一方側以外の位置に設置されていてもよい。
【0009】
前記スプラインナット及び前記第1歯車は、一体に成型されている部品であってもよい。
【0010】
前記第2歯車と前記第3歯車は、一体に成型されている部品であってもよい。
【0011】
前記第4歯車と前記サポートナットは、一体に成型されている部品であってもよい。
【0012】
前記サポート部材が、複数個設置されていてもよい。
【0013】
本発明の第2の観点に係るサポート部材は、
両端が回転可能に支持されると共に、ボールねじ溝とスプライン溝とが形成されているボールねじスプライン軸と、
前記ボールねじスプライン軸の回転によりボールねじナットと共に移動される移動部材と、
前記移動部材を移動自在に支持するガイド部材と、
前記ボールねじスプライン軸の軸端と前記移動部材との間で前記ボールねじスプライン軸を支持すると共に、前記ガイド部材に移動自在に支持されるサポート部材と、を備えるアクチュエーターに用いられるサポート部材であって、
サポートブラケットと、
前記サポートブラケットにスプラインナット用軸受を介して支持され、前記ボールねじスプライン軸の前記スプライン溝と係合し、前記ボールねじスプライン軸と一体に回転されるスプラインナットと、
前記スプラインナットと一体に回転される第1歯車と、
前記第1歯車と噛合される第2歯車と、
前記第2歯車と一体に回転される第3歯車と、
前記第3歯車と噛合される第4歯車と、
前記第4歯車と一体に回転され、ボールねじナット用軸受を介して前記サポートブラケットに支持され、前記ボールねじスプライン軸の前記ボールねじ溝と係合されるサポートナットと、を有する。
【発明の効果】
【0014】
本発明においては、装置の大型化を抑制しつつ、構造を簡素にすることができるアクチュエーター及びサポート部材を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の実施の形態に係るアクチュエーターの斜視図である。
図2】実施の形態に係るアクチュエーターの分解斜視図(その1)である。
図3】実施の形態に係るアクチュエーターの正面図である。
図4図3のA-A断面図である。
図5】実施の形態に係るアクチュエーターの分解斜視図(その2)である。
図6】実施の形態に係るアクチュエーターハウジング、移動部材、及びサポート部材の斜視図である。
図7】実施の形態に係るサポート部材及びガイド部材の斜視図(その1)である。
図8】実施の形態に係るサポート部材の分解斜視図である。
図9】実施の形態に係るサポート部材及びボールねじの斜視図である。
図10】実施の形態に係るサポート部材及びボールねじの分解斜視図である。
図11】実施の形態に係るサポート部材及びボールねじの一部を断面にした斜視図である。
図12】実施の形態に係るサポート部材及びガイド部材の斜視図(その2)である。
図13】実施の形態に係るアクチュエーターの動作を説明するための断面図である。
図14】実施の形態に係るサポート部材及びボールねじの動作を説明するための分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態に係るアクチュエーター1について説明する。なお、図中のY軸方向は、図1及び図2に示すように、スライドカバー43を有するスライドテーブルTが進退する第1方向D1に平行な方向であり、X軸方向及びZ軸方向は、第1方向D1に直交する方向である。また、図中のXY平面は、アクチュエーター1が設置される面に平行な水平面である。
【0017】
アクチュエーター1は、スライドテーブルTが移動するスライダータイプのアクチュエーターであり、スライドテーブルTの移動距離(Y軸方向の長さ)が比較的長いアクチュエーターである。アクチュエーター1は、図3及び図4に示すように、スライドテーブルTに加え、モーター10と、ボールねじ20と、アクチュエーターハウジング30と、移動部材40と、サポート部材60、60-2とを備える。
【0018】
モーター10は、出力軸10a(回転軸)と、モーター本体11と、それらを覆うモーターカバーとを有する。モーター10は、アクチュエーターハウジング30から着脱可能な一つのユニットとして構成されている。
【0019】
モーター本体11は、例えば、ローター、ステーター、エンコーダー等を有している。モーター本体11には、電源から図示しないアクチェータケーブルを経由して電力が供給される。アクチェーターケーブルは、モーター本体11に外部からの電力供給や制御信号の入出力等を行う。モーター本体11に電力が供給されることによって、モーター本体11のローターが回転する。このローターの回転運動は、出力軸10aに出力される。これにより、出力軸10aは回転する。出力軸10aには、カップリング10bが取り付けられている。なお、本実施の形態においては、モーター本体11のローターの回転運動は、出力軸10aに出力されるが、これに限られない。モーター本体11のローターの回転運動は、減速器によって所定の減速比で減速されてから、出力軸10aに出力されてもよい。
【0020】
ボールねじ20は、ボールねじスプライン軸21と、ボールねじナット22と、カップリング23とを有する。
【0021】
ボールねじスプライン軸21は、両端が回転可能に支持され、ボールねじナット22との螺合に基づいて、ボールねじナット22を直線運動させる。ボールねじスプライン軸21は、ボールねじスプライン軸本体と、ボールねじスプライン軸本体の径よりも小径となるように形成された小径部21a、21bとを有する。
【0022】
ボールねじスプライン軸本体は、その外周面が螺旋状のボールねじ溝21cが形成されているボールねじ面として構成されている。ボールねじ溝21cには、ボールねじ用転動体が転動する。また、ボールねじスプライン軸本体の外周面には、ボールねじ溝21cに加えて、スプライン溝21dが形成されている。
【0023】
ボールねじナット22は、ボールねじスプライン軸21のボールねじスプライン軸本体の外周に配置されている。ボールねじナット22は、ボールねじスプライン軸21に複数のボールねじ用転動体を介して嵌め込まれる。このボールねじ用転動体が転動することにより、ボールねじスプライン軸21の回転運動が、ボールねじナット22の直線運動に円滑に変換される。また、ボールねじナット22は、移動部材40に対して+Y側から取り付けられて、ボルト等により固定されている。
【0024】
カップリング23は、小径部21bに取り付けられている。このカップリング23は、モーター10の出力軸10aに取り付けられているカップリング10bに接続され、回転するカップリング10bと共に回転する。このカップリング23が、カップリング10bと共に回転するように接続されることにより、小径部21bに出力軸10aの回転運動が伝達され、この結果、ボールねじスプライン軸21は、出力軸10aと共に回転する。
【0025】
アクチュエーターハウジング30は、図5に示すように、ボールねじ20と移動部材40の一部とを収容すると共に、モーター10が固定されている。アクチュエーターハウジング30は、ガイド部材31と、シート32と、フロントブラケット33と、リアブラケット34とを有する。
【0026】
ガイド部材31は、底部分31aと一対の側壁部分31R、31Lと有することで、アクチュエーター1の内部の各構成部品を保護する。また、ガイド部材31は、剛性を有する複数のリニアガイド用転動体を介して、移動部材40を+Y方向及び-Y方向の双方向にスライド移動自在に支持するベースである。ガイド部材31は、例えば、アルミニウム等の金属を押出成形することによって形成されている。ガイド部材31の一対の側壁部分の互いに対向する内面には、Y軸方向に延びる一対の線状の凹部が形成されている。この凹部のそれぞれには、転動体用ガイドレール31bが嵌め込まれている。転動体用ガイドレール31bは、例えば、ガイド部材31の素材であるアルミニウムよりも硬い金属から形成されている。転動体用ガイドレール31bには、Y軸方向に延びる一対の線状の溝31cが形成されている。この転動体用ガイドレール31bの溝31cをリニアガイド用転動体が転動することにより、移動部材40は、第1方向D1(Y軸方向)に円滑に往復運動をする。
【0027】
シート32は、Y軸方向を長手方向とする略矩形のステンレスシートである。シート32の-Y側の端部は、フロントブラケット33に固定されている。シート32の+Y側の端部は、リアブラケット34に固定されている。シート32は、ガイド部材31と共に、アクチュエーター1の内部の各構成部品を保護する。
【0028】
フロントブラケット33は、ガイド部材31の先端側(-Y側)に固定されることで、アクチュエーターハウジング30の-Y側の先端部分を構成する。フロントブラケット33は、例えば、アルミダイガストである本体部と、本体部に被せられると共に樹脂成形により形成されている加飾カバーと、本体部の内部に形成されているベアリング収容空間に配置されるベアリングとを有する。当該ベアリングは、例えば、ボールベアリングである。このベアリングによって、フロントブラケット33は、ボールねじスプライン軸21の小径部21aを回転可能に支持する。
【0029】
リアブラケット34は、ガイド部材31の基端側(+Y側)に固定されている。リアブラケット34は、例えば、アルミダイガストである本体部とベアリングとを有する。本体部の内部には、図4に示すように、ボールねじスプライン軸21を挿入するための貫通孔がY軸方向に貫通して形成されている。貫通孔の内部には、ベアリングが配置されている。ベアリングは、例えば、ボールベアリングである。このベアリングによって、リアブラケット34は、ボールねじスプライン軸21の小径部21bを回転可能に支持する。
【0030】
移動部材40は、ボールねじスプライン軸21の回転により、ボールねじナット22と共に、+Y方向及び-Y方向の双方向(第1方向D1)にスライド移動する部材である。移動部材40には、Y軸方向に貫通する貫通孔40aが形成されている。この貫通孔40aには、ボールねじスプライン軸21が挿通されると共に、ボールねじナット22が+Y側から挿入されて固定されている。移動部材40は、図2に示すように、一対のワーク取付け部41を有する。
【0031】
ワーク取付け部41は、図1及び図2に示すように、アクチュエーターハウジング30から外部に突出して形成されている。ワーク取付け部41には、ねじ穴が形成されている。このねじ穴に、ねじやボルト等の留め具が捻じ込まれることで、ワーク取付け部41は、図示しないワークを取り付けることが可能に構成されている。
【0032】
サポート部材60は、図4に示すように、移動部材40とフロントブラケット33との間に配置されている。また、サポート部材60は、ガイド部材31に移動自在に支持されることで、+Y方向及び-Y方向の双方向(第1方向D1)のいずれかに移動可能に配置されている。サポート部材60は、図6に示すように、移動部材40と共に、ボールねじスプライン軸21がガイド部材31に支持される支点となっており、支点間の距離を短くすることで、ボールねじスプライン軸21の撓みを抑制する。ひいては、サポート部材60は、ボールねじスプライン軸21の回転速度の高速化を図るために設けられている。特に、本発明の実施の形態に係るアクチュエーター1のように、ボールねじスプライン軸21のY軸方向の長さが長いものの場合には必要性の高い部材である。なお、図4に示すように、サポート部材60と移動部材40(詳しくは、ボールねじナット22)との支点間距離L3は、ボールねじスプライン軸21の先端と移動部材40(ボールねじナット22)との支点間距離L1のおよそ1/2であることが望ましい(L3≒L1/2)。ただし、これに限られず、アクチュエーター1の用途や設置環境に応じて、支点間距離L3を適宜変更してもよい。サポート部材60は、図7及び図8に示すように、サポートブラケット60aと、スプラインナットSN1と、スプラインナット用軸受SN1aと、第1歯車61と、第2歯車62と、第3歯車63と、第4歯車64と、サポートナットSN2と、ボールねじナット用軸受SN2aと、アジャストプレート71と、移動支持部材72-1、72-2、72-3とを有する。
【0033】
サポートブラケット60aは、サポート部材60の第1歯車61~第4歯車64などの構成部品の全体又は一部を収容して保護する。サポートブラケット60aは、本実施の形態においては、2つのケース60a-1、60a-2から構成されている。しかしながら、これに限られない。サポートブラケット60aは、3つ以上の部品から構成されていてもよい。
【0034】
スプラインナットSN1は、図8に示すように、サポートブラケット60aの内部にスプラインナット用軸受SN1aを介して支持されている。このスプラインナットSN1は、Y軸方向に貫通する円孔が設けられていると共に、その孔軸がボールねじスプライン軸21の回転軸A1と一致する円筒形状に形成されている。スプラインナットSN1には、その円孔の内面において、スプライン溝21dに係合する係合部SN1bが形成されている。この係合部SN1bにより、スプラインナットSN1は、ボールねじスプライン軸21のスプライン溝21dと係合し、Y軸回りに回転するボールねじスプライン軸21と一体に回転される。
【0035】
第1歯車61は、スプラインナットSN1と一体に回転される平歯車である。第1歯車61は、ボールねじスプライン軸21の回転軸A1と同一の回転軸回りに回転するように設けられている。本実施の形態では、第1歯車61は、スプラインナットSN1に対して一体に成型されている部品である。しかしながら、これに限られない。第1歯車61及びスプラインナットSN1は、別々に成型されて、互いに固着されている部品であってもよい。ただし、第1歯車61は、スプラインナットSN1に対して確実に一体に回転できる観点からは、スプラインナットSN1に対して一体に成型されている部品である方が好ましい。第1歯車61は、スプラインナットSN1と共に、ねじやボルトの留め具によって、ケース60a-1の内部に収容されつつスプラインナット用軸受SN1aを介して固定されている。
【0036】
第2歯車62は、図9及び図10に示すように、第1歯車61と噛合される平歯車である。第2歯車62は、ボールねじスプライン軸21の回転軸A1と平行な回転軸A2回りに回転するように設けられている。
【0037】
第3歯車63は、第2歯車62と一体に回転される平歯車である。第3歯車63は、第2歯車62と同様に、回転軸A2回りに回転するように設けられている。本実施の形態では、第3歯車63は、第2歯車62に対して一体に成型されている部品である。しかしながら、これに限られない。第3歯車63及び第2歯車62は、別々に成型されて、互いに固着されている部品であってもよい。ただし、第3歯車63は、第2歯車62に対して確実に一体に回転できる観点からは、第2歯車62に対して一体に成型されている部品である方が好ましい。本実施の形態では、第3歯車63は、図11及び図12に示すように、第2歯車62と共に、サポートブラケット60aの+X側以外の位置であるサポートブラケット60aの-X側の側部60Lに形成されている貫通孔60Laに嵌め込まれつつ設置されている。また、第3歯車63及び第2歯車62は、ケース60a-1から一部が露出した設置状態で固定されている。
【0038】
第4歯車64は、図9及び図10に示すように、第3歯車63と噛合される平歯車である。第4歯車64は、第1歯車61の回転軸と同一の回転軸回りに回転するように設けられている。
【0039】
サポートナットSN2は、図8に示すように、サポートブラケット60aの内部にボールねじナット用軸受SN2aを介して支持されている。このサポートナットSN2は、図9及び図10に示すように、Y軸方向に貫通する円孔が設けられていると共に、その孔軸がボールねじスプライン軸21の回転軸A1と一致する円筒形状に形成されている。サポートナットSN2は、滑りねじSN2bを有し、ボールねじ溝21cと噛合される。滑りねじSN2bは、サポートナットSN2の円孔の内面に形成されている。この滑りねじSN2bにより、サポートナットSN2は、ボールねじスプライン軸21のボールねじ溝21cと係合し、回転軸A1回りに回転するボールねじスプライン軸21の回転に伴って、+Y方向及び-Y方向の双方向(第1方向D1)に回転しながらスライド移動する。結果として、サポート部材60が、ボールねじスプライン軸21の回転に伴って、+Y方向及び-Y方向の双方向(第1方向D1)にスライド移動する。
【0040】
このように構成されているサポート部材60は、第1歯車61~第4歯車64における減速比を調整することにより、サポートナットSN2が、スプラインナットSN1の回転速度の1/2の回転速度で回転するように形成されている。
【0041】
アジャストプレート71は、図8に示すように、3つの移動支持部材72-1、72-2、72-3のうちの2つの移動支持部材72-1、72-2を回転可能に支持する。アジャストプレート71には、2つのねじ孔が形成されている。この2つのねじ孔に、ボルト、ねじなどの2本の留め具が捻じ込まれることにより、アジャストプレート71は、2つの移動支持部材72-1、72-2と共に、サポートブラケット60aのケース60a-2の+X側の端部に取り付けられる。また、移動支持部材72-1、72-2は、ガイド部材31に対するサポート部材60の位置を調整可能に設けられている。具体的には、サポートブラケット60aに対するアジャストプレート71のX軸方向における位置を調整することで、サポートブラケット60aに対する移動支持部材72-1、72-2のX軸方向と同一の方向である第2方向D2における位置を調整することができる。これにより、ガイド部材31に対して移動支持部材72-1、72-2、72-3を適切な押圧力で、側壁部分31L、31Rの転動体用ガイドレール31bに転動可能に設置することができると共に、サポートナットSN2の軸心とボールねじスプライン軸21の軸心とを適切な状態にすることができる。
【0042】
移動支持部材72-1、72-2、72-3は、図11及び図12に示すように、ガイド部材31に対するサポート部材60のY軸方向の移動を円滑化させるために用いられる。移動支持部材72-1、72-2、72-3は、軸心部分と、この軸心部分に巻き付けられているように設けられている円環状の樹脂部分とを有する。移動支持部材72-1、72-2、72-3は、本実施の形態では、3つ設けられている。しかしながら、これに限られない。移動支持部材72-1、72-2、72-3は、サポート部材60の+X側及び-X側に1つづつ又は2つづつ設けられていてもよいし、+X側及び-X側合わせて4つ以上設けられていてもよい。移動支持部材72-1、72-2、72-3は、サポート部材60の移動方向(第1方向D1)におけるサポートブラケット60aの垂直な両方の側部60R、60Lに設けられることで、ガイド部材31の+X側及び-X側の転動体用ガイドレール31bに転動可能に設置される。
【0043】
このように構成されている移動支持部材72-1、72-2、72-3は、ガイド部材31に対するサポート部材60の位置を調整可能に設けられている。具体的には、サポートブラケット60aに対するアジャストプレート71のX軸方向における位置を調整することで、サポートブラケット60aに対する移動支持部材72-1、72-2のX軸方向と同一の方向である第2方向D2における位置を調整することができる。移動支持部材72-1、72-2の位置の調整により、サポート部材60は、移動支持部材72-3を適切な押圧力で、側壁部分31Lの転動体用ガイドレール31bに転動可能に設置することができると共に、サポートナットSN2の軸心とボールねじスプライン軸21の軸心とを適切な状態にすることができる。
【0044】
サポート部材60-2は、図4に示すように、移動部材40とリアブラケット34との間に配置されている。サポート部材60-2は、サポート部材60と同等の形状、構造のものであり、サポート部材60と同様に、+Y方向及び-Y方向の双方向(第1方向D1)のいずれかに移動可能に配置されている。サポート部材60-2は、移動部材40及びサポート部材60と共に、ボールねじスプライン軸21がガイド部材31に支持される支点となっており、支点間の距離を短くすることで、ボールねじスプライン軸21の撓みを抑制する。ひいては、サポート部材60-2は、ボールねじスプライン軸21の回転速度の高速化を図るために設けられている。特に、本発明の実施の形態1に係るアクチュエーター1のように、ボールねじスプライン軸21のY軸方向の長さが長いものの場合には必要性の高い部材である。なお、サポート部材60-2と移動部材40(詳しくは、ボールねじナット22)との支点間距離L4は、ボールねじスプライン軸21の基端と移動部材40(詳しくは、ボールねじナット22)との支点間距離L2のおよそ1/2であることが望ましい(L4≒L2/2)。ただし、これに限られず、アクチュエーター1の用途や設置環境に応じて、支点間距離L4を適宜変更してもよい。サポート部材60-2は、図7及び図8に示すように、サポート部材60と同様に、サポートブラケット60aと、スプラインナットSN1と、スプラインナット用軸受SN1aと、第1歯車61と、第2歯車62と、第3歯車63と、第4歯車64と、サポートナットSN2と、ボールねじナット用軸受SN2aと、アジャストプレート71と、移動支持部材72-1、72-2、72-3とを有する。
【0045】
上述のように構成されたアクチュエーター1の動作について、図を参照しつつ説明する。
【0046】
先ず、図13に示すように、モーター10のモーター本体11に電源が供給されることによって、出力軸10aが、矢印A3に示すように、ボールねじスプライン軸21と共に回転する。ボールねじスプライン軸21が回転すると、移動部材40は、矢印A3-2に示すように、第1方向D1(Y軸方向)に移動する。
【0047】
ボールねじスプライン軸21が回転すると、スプラインナットSN1の係合部SN1bがボールねじスプライン軸21のスプライン溝21dと係合しているため、スプラインナットSN1は、図14の矢印A4に示すように、ボールねじスプライン軸21と一体に回転される。
【0048】
スプラインナットSN1が回転すると、第1歯車61はスプラインナットSN1に対して一体に成型されているため、第1歯車61が、矢印A5に示すように、スプラインナットSN1と一体に回転される。
【0049】
第1歯車61が回転すると、第1歯車61と噛合されている第2歯車62も、矢印A6に示すように回転する。
【0050】
第2歯車62が回転すると、第2歯車62に対して一体に成型されている第3歯車63も、矢印A7に示すように回転する。
【0051】
第3歯車63が回転すると、第3歯車63と噛合されている第4歯車64も、矢印A8に示すように回転する。
【0052】
第4歯車64が回転すると、サポートナットSN2は第4歯車64に対して一体に成型されているため、サポートナットSN2が、矢印A9に示すように、第4歯車64と一体に回転される。なお、本実施の形態においては、サポートナットSN2は、スプラインナットSN1の回転速度の1/2の回転速度で回転するように(「サポートナットSN2の回転速度」≒1/2×「スプラインナットSN1の回転速度」)、第1歯車61~第4歯車64は、それらの減速比が設定されつつ形成されている。
【0053】
サポートナットSN2が有する滑りねじSN2bが、ボールねじスプライン軸21のボールねじ溝21cと噛合されている。この結果、図13の矢印A10に示すように、サポートナットSN2の回転により、サポート部材60は、移動部材40と同じ方向、且つ、移動部材40の移動速度のおよそ1/2の移動速度で移動する。サポート部材60の移動速度が移動部材40の移動速度のおよそ1/2であるため、サポート部材60と移動部材40との支点間距離L3が、ボールねじスプライン軸21の先端と移動部材40との支点間距離L1のおよそ1/2であることが維持される。同様に、サポート部材60-2も、矢印A11に示すように、移動部材40と同じ方向、且つ、移動部材40の移動速度のおよそ1/2の移動速度で移動する。サポート部材60-2の移動速度が移動部材40の移動速度のおよそ1/2であるため、サポート部材60-2と移動部材40との支点間距離L4が、ボールねじスプライン軸21の基端と移動部材40との支点間距離L2のおよそ1/2であることが維持される。
【0054】
以上、説明したように、本実施の形態に係るアクチュエーター1では、図9及び図10に示すように、第1歯車61~第4歯車64が回転する軸方向は、ボールねじスプライン軸21の軸方向と同一の方向である。このため、本実施の形態に係るアクチュエーター1は、例えば、第1歯車61~第4歯車64が回転する軸方向が、ボールねじスプライン軸21の軸方向と同一の方向ではない場合と比べて、アクチュエーター1の大型化を抑制することができると共に、構造を簡素にすることができる。これにより、本実施の形態では、装置の大型化を抑制しつつ、構造を簡素にすることができるアクチュエーター1及びサポート部材60を提供することができる。
【0055】
また、本実施の形態では、第1歯車61~第4歯車64の歯車列の軸方向を変更する必要がなく、歯車列を配置しやすいアクチュエーター1及びサポート部材60を提供することができる。
【0056】
また、本実施の形態では、第1歯車61~第4歯車64を隣接させて配置できるので、アクチュエーター1の小型化を実現することができる。
【0057】
また、本実施の形態に係るアクチュエーター1は、第1歯車61~第4歯車64の歯車列の減速比を変更することで、サポート部材60の移動速度を任意に変更できる。
【0058】
また、本実施の形態では、第3歯車63は、図11及び図12に示すように、第2歯車62と共に、サポートブラケット60aの+X側以外の位置であるサポートブラケット60aの-X側の側部60Lに形成されている貫通孔60Laに嵌め込まれつつ設置されている。したがって、第2歯車62及び第3歯車63は、サポートブラケット60aの+X側以外の位置に設置されている。このため、アジャストプレート71が配置されているサポートブラケット60aの+X側以外の位置に第2歯車62及び第3歯車63を設置することで、アジャストプレート71が配置されている側は、移動支持部材72-1、72-2の調整機構構造を有することができる。これにより、サポート部材60では、移動支持部材72-1、72-2の位置調整の作業をしやすくすることができる。また、第2歯車62及び第3歯車63の軸方向における設置空間を多く確保することができる。
【0059】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は上記実施の形態によって限定されるものではない。
【0060】
例えば、本実施の形態に係るアクチュエーター1は、図2に示すように、フロントブラケット33と移動部材40との間と移動部材40とリアブラケット34との間に1つずつサポート部材60、60-2を備える。しかしながら、これに限られない。アクチュエーター1は、フロントブラケット33と移動部材40との間と移動部材40とリアブラケット34との間に2つずつ以上のサポート部材60、60-2を備えてもよい。サポート部材60、60-2の数を増やすことにより、アクチュエーター1においては、さらに長尺化を実現することができる。
【0061】
また、本実施の形態1に係るアクチュエーター1では、図8に示すように、サポートナットSN2は、滑りねじSN2bを有する。しかしながら、これに限られない。サポートナットSN2は、ボールねじスプライン軸21のボールねじ溝21cと係合される構造や、ボールねじ溝21cと噛合される構造を有するのであれば、滑りねじSN2bを有さなくてもよい。
【0062】
本発明は、本発明の広義の精神と範囲を逸脱することなく、様々な実施の形態及び変形が可能とされるものである。上述した実施の形態は、本発明を説明するためのものであり、本発明の範囲を限定するものではない。
【符号の説明】
【0063】
1:アクチュエーター
10:モーター
10a:出力軸
10b:カップリング
11:モーター本体
20:ボールねじ
21:ボールねじスプライン軸
21a,21b:小径部
21c:ボールねじ溝
21d:スプライン溝
22:ボールねじナット
23:カップリング
30:アクチュエーターハウジング
31:ガイド部材
31R,31L:側壁部分
31a:底部分
31b:転動体用ガイドレール
31c:溝
32:シート
33:フロントブラケット
34:リアブラケット
40:移動部材
40a:貫通孔
41:ワーク取付け部
43:スライドカバー
60,60-2:サポート部材
60R,60L:側部
60La:貫通孔
60a:サポートブラケット
60a-1,60a-2:ケース
61:第1歯車
62:第2歯車
63:第3歯車
64:第4歯車
71:アジャストプレート
72-1,72-2,72-3:移動支持部材
SN1:スプラインナット
SN1a:スプラインナット用軸受
SN1b:係合部
SN2:サポートナット
SN2a:ボールねじナット用軸受
SN2b:滑りねじ
T:スライドテーブル
A1,A2:回転軸
A3,A3-2,A4,A5,A6,A7,A8,A9,A10,A11:矢印
D1:第1方向
D2:第2方向
L1,L2,L3,L4:支点間距離
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14