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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024093101
(43)【公開日】2024-07-09
(54)【発明の名称】飲食品組成物
(51)【国際特許分類】
   A23L 2/00 20060101AFI20240702BHJP
   A23L 2/38 20210101ALI20240702BHJP
   A23L 2/02 20060101ALI20240702BHJP
   A23L 2/52 20060101ALI20240702BHJP
   A23L 5/00 20160101ALI20240702BHJP
   A23G 1/56 20060101ALI20240702BHJP
   A23F 5/24 20060101ALI20240702BHJP
   A23F 3/16 20060101ALI20240702BHJP
   A23C 9/127 20060101ALI20240702BHJP
   A23G 3/36 20060101ALI20240702BHJP
   A23G 9/36 20060101ALI20240702BHJP
   C12G 3/04 20190101ALI20240702BHJP
   A23C 9/156 20060101ALI20240702BHJP
【FI】
A23L2/00 B
A23L2/38 G
A23L2/02 B
A23L2/52 101
A23L5/00 J
A23G1/56
A23F5/24
A23F3/16
A23C9/127
A23G3/36
A23G9/36
C12G3/04
A23C9/156
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022209258
(22)【出願日】2022-12-27
(71)【出願人】
【識別番号】596126465
【氏名又は名称】アサヒ飲料株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087398
【弁理士】
【氏名又は名称】水野 勝文
(74)【代理人】
【識別番号】100128783
【弁理士】
【氏名又は名称】井出 真
(74)【代理人】
【識別番号】100128473
【弁理士】
【氏名又は名称】須澤 洋
(74)【代理人】
【識別番号】100160886
【弁理士】
【氏名又は名称】久松 洋輔
(72)【発明者】
【氏名】春成 亜紀子
(72)【発明者】
【氏名】森 満高
(72)【発明者】
【氏名】松浦 啓一
【テーマコード(参考)】
4B001
4B014
4B027
4B035
4B115
4B117
【Fターム(参考)】
4B001AC30
4B001EC01
4B014GB05
4B014GB06
4B014GB07
4B014GB08
4B014GB09
4B014GB18
4B014GB19
4B014GB21
4B014GB22
4B014GP27
4B027FB13
4B027FB24
4B027FK19
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4B035LE03
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4B117LL03
4B117LP05
4B117LP14
4B117LP17
(57)【要約】
【課題】 酢酸菌を含み、香味が改善された飲食品組成物を提供する。
【解決手段】 酢酸菌と、酵母とを含む、飲食品組成物。
【選択図】 なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
酢酸菌と、酵母とを含む、飲食品組成物。
【請求項2】
香りおよび/または風味を有する飲食品素材をさらに含む、請求項1に記載の飲食品組成物。
【請求項3】
酢酸菌の菌数が1×10~1×10個/mlあるいは個/gであり、酵母の菌数が1×10~1×10個/mlあるいは個/gである、請求項1または2に記載の飲食品組成物。
【請求項4】
酢酸菌および酵母のうち少なくともいずれか一方が生菌である、請求項1または2に記載の飲食品組成物。
【請求項5】
酢酸菌および酵母のうち少なくともいずれか一方が死菌である、請求項1または2に記載の飲食品組成物。
【請求項6】
前記飲食品素材として、果汁、野菜汁、茶、コーヒー、乳、穀物、豆・ナッツ類、糖、酸味料、高甘味度甘味料、食物繊維、脂肪酸、アミノ酸、ペプチド、ビタミン、ミネラル、ポリフェノール、カフェイン、色素、乳化剤、食物繊維、品質安定化剤、増粘剤、炭酸ガス、香料、アルコール類、フェノール類、エステル類、アルデヒド類、ケトン類、エーテル類、カルボン酸類、ラクトン類、フラノン類、およびフラン化合物からなる群から選ばれる1種または2種以上をさらに含有する請求項2に記載の飲食品組成物。
【請求項7】
前記飲食品組成物が清涼飲料、炭酸飲料、果汁飲料、野菜飲料、茶飲料、コーヒー飲料、乳飲料、発酵飲料、ヨーグルト、ココア飲料、スポーツ飲料、栄養補助飲料、アルコール飲料、ノンアルコールテイスト飲料、ゼリー飲料、凍結飲料、飴、氷菓、錠菓、またはサプリメントである、請求項1または2に記載の飲食品組成物。
【請求項8】
前記飲食品組成物が発酵飲食品である、請求項1または2に記載の飲食品組成物。
【請求項9】
前記飲食品組成物が酢酸を0.1~100000ppm含有する、請求項1または2に記載の飲食品組成物。
【請求項10】
請求項8に記載の飲食品組成物の製造方法であって、
酢酸菌および/または酵母による発酵工程を有し、当該発酵工程中の発酵温度が10~45℃であり、発酵時間が5~120時間である、前記製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は飲食品組成物に関し、特に酢酸菌を含有する飲食品組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、乳酸菌、ビフィズス菌、プロピオン酸菌、グルコン酸菌、酪酸菌、枯草菌、納豆菌、麹菌、酵母等の菌体を含有する発酵食品が好まれている。例えば、乳酸菌は、ヨーグルトやチーズ等に含まれており、乳酸菌が腸内環境改善等の健康改善・増進に役立つことが知られている。最近では、乳酸菌を含む塩麹や酒粕等を他の食品に混ぜることで、健康改善のみならず、うまみ成分や発酵香の付与によって食品の美味しさを改良することも行われている。
一方、酢酸菌は食酢の製造に使用されていることは周知であるが(例えば特許文献1)、酢酸菌体自体を用いた食品は上記菌体に比べて少なく、十分に活用されているとは言えない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-96563号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、酢酸菌を含み、香味が改善した飲食品組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者は健康増進などの観点から酢酸菌を含む飲食品組成物を着想した。ただ、該飲食品組成物においては酢酸菌が産生する酢酸などの影響で香味(香り、およびおいしさ)が不良と感じられることがあった。鋭意研究の結果、本発明者は酵母を共に含有させることで、酢酸菌を含む飲食品組成物の香味を改善できることを見出し、本発明を完成させた。
本発明の要旨は以下のとおりである。
【0006】
[1]
酢酸菌と、酵母とを含む、飲食品組成物。
[2]
香りおよび/または風味を有する飲食品素材をさらに含む、[1]に記載の飲食品組成物。
[3]
酢酸菌の菌数が10~1×10個/mlあるいは個/gであり、酵母の菌数が1×10~1×10個/mlあるいは個/gである、[1]または[2]に記載の飲食品組成物。
[4]
酢酸菌および酵母のうち少なくともいずれか一方が生菌である、[1]または[2]に記載の飲食品組成物。
[5]
酢酸菌および酵母のうち少なくともいずれか一方が死菌である、[1]または[2]に記載の飲食品組成物。
[6]
前記飲食品素材として、果汁、野菜汁、茶、コーヒー、乳、穀物、豆・ナッツ類、糖、酸味料、高甘味度甘味料、食物繊維、脂肪酸、アミノ酸、ペプチド、ビタミン、ミネラル、ポリフェノール、カフェイン、色素、乳化剤、食物繊維、品質安定化剤、増粘剤、炭酸ガス、香料、アルコール類、フェノール類、エステル類、アルデヒド類、ケトン類、エーテル類、カルボン酸類、ラクトン類、フラノン類、およびフラン化合物からなる群から選ばれる1種または2種以上をさらに含有する[2]または[2]に従属する[3]から[5]のいずれか一つに記載の飲食品組成物。
[7]
前記飲食品組成物が清涼飲料、炭酸飲料、果汁飲料、野菜飲料、茶飲料、コーヒー飲料、乳飲料、発酵飲料、ヨーグルト、ココア飲料、スポーツ飲料、栄養補助飲料、アルコール飲料、ノンアルコールテイスト飲料、ゼリー飲料、凍結飲料、飴、氷菓、錠菓、またはサプリメントである、[1]から[6]のいずれか一つに記載の飲食品組成物。
[8]
前記飲食品組成物が発酵飲食品である、[1]から[6]のいずれか一つに記載の飲食品組成物。
[9]
前記飲食品組成物が酢酸を0.1~100000ppm含有する、[1]から[8]のいずれか一つに記載の飲食品組成物。
[10]
[8]に記載の飲食品組成物の製造方法であって、
酢酸菌および/または酵母による発酵工程を有し、当該発酵工程中の発酵温度が10~45℃であり、発酵時間が5~120時間である、前記製造方法。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、酢酸菌を含み、香味が改善した飲食品組成物を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の1つの実施形態について、詳細に説明する。
本実施形態は酢酸菌と、酵母とを含む、飲食品組成物に関する。
【0009】
含有される酢酸菌は特に限定されず、例えば、グルコンアセトバクター(Gluconacetobacter)属、アセトバクター(Acetobacter)属、グルコノバクター(Gluconobacter)属等を挙げることができる。
グルコンアセトバクター属酢酸菌としては、例えば、グルコンアセトバクター・ディアゾトロフィカス(gluconacetobacter diazotrophicus)、グルコンアセトバクター・アゾトカプタンス(gluconacetobacter azotocaptans)、グルコンアセトバクター・スウィングシ(Gluconacetobacter swingsii)、グルコンアセトバクター・キシリヌス(Gluconacetobacter xylinus)、グルコンアセトバクター・ユーロペウス(Gluconacetobacter europaeus)、グルコンアセトバクター・マルタセティ(Gluconacetobacter maltaceti)、グルコンアセトバクター・コンブチャ(Gluconacetobacter kombuchae)、グルコンアセトバクター・ハンゼニイ(Gluconacetobacter hansenii)、グルコンアセトバクター・リックウェフェシエンス(Gluconacetobacter liquefaciens)等を挙げることができる。
アセトバクター属酢酸菌としては、例えば、アセトバクター・ポリサッカロゲネス(Acetobacter polysaccharogenes)、アセトバクター・ザイリナム(Acetobacter xylinum)、アセトバクター・アセチ(Acetobacter aceti)、アセトバクター・マルロム(Acetobacter malorum)、アセトバクター・セレビシエ(Acetobacter cerevisiae)、アセトバクター・パスツリアヌス(Acetobacter pasteurianus)等を挙げることができる。
グルコノバクター属酢酸菌としては、例えば、グルコノバクター・タイランディカス(Gluconobacter thailandicus)、グルコノバクター・オキシダンス(Gluconobacter oxydans)、グルコノバクター・スファエリカス(Gluconobacter sphaericus)、グルコノバクター・セリヌス(Gluconobacter cerinus)、グルコノバクター・フラテウリ(Gluconobacter frateurii)、グルコノバクター・アサイ(Gluconobacter asaii)、グルコノバクター・ネフェリ(Gluconobacter nephelii)等を挙げることができる。
本実施形態の飲食品組成物は例えばこれらのうち1種または2種以上の酢酸菌を含有するようにしてもよい。
【0010】
含有される酵母も特に限定されず、適宜選択することができる。酵母として、例えば、パン酵母、ビール酵母、ワイン酵母、清酒酵母、醤油酵母、トルラ酵母などが挙げられる。また、酵母の属としては、サッカロマイセス(Saccharomyces)属、シゾサッカロマイセス(Schizosaccharomyces)属、キャンディダ(Candida)属などに分類される菌を挙げることができる。
サッカロマイセス属酵母としては、例えば、サッカロマイセス・バヤヌス(Saccharomyces bayanus)、サッカロマイセス・ブラウディ(Saccharomyces boulardii)、サッカロマイセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)、サッカロマイセス・チェバリエリ(Saccharomyces chevalieri)、サッカロマイセス・フロレンチヌス(Saccharomyces florentinus)、サッカロマイセス ・パラドキサス(Saccharomyces paradoxus)、サッカロマイセス・パストリアヌス(Saccharomyces pastorianus)、サッカロマイセス・ウバルム(Saccharomyces uvarum)等をあげることができる。
シゾサッカロマイセス属酵母としては、例えば、シゾサッカロマイセス・ジャポニカス(Schizosaccharomyces japonicus)、シゾサッカロマイセス・オクトスポラス(Schizosaccharomyces octosporus)、シゾサッカロマイセス・ポンベ(Schizosaccharomyces pombe)等をあげることができる。
キャンディダ属酵母としては、例えば、キャンディダ・エチェルシー(Candida etchellsii)、キャンディダ・バーサチリス(Candida versatilis)、キャンディダ・ステッラータ(Candida stellata)等をあげることができる。
【0011】
本実施形態の飲食品組成物において、含有する酢酸菌の菌数、酵母の菌数は特に限定されないが、香味をより改善することができるため、酢酸菌の菌数が10~1×10個/mlあるいは個/gであり、酵母の菌数が1×10~1×10個/mlあるいは個/gであることが好ましい。
なお、酢酸菌の菌数が10~1×10個/mlあるいは個/gであり、酵母の菌数が1×10~1×10個/mlあるいは個/gである場合、飲食品組成物は例えば飲料のような液体等の飲食品を意味し、溶液のほか、分散液などの固形分を含有するものや、ゲル状等の半固形状のものも含まれる概念である。
また、酢酸菌の菌数が10~1×10個/gであり、酵母の菌数が1×10~1×10個/gである飲食品は固体の飲食品を意味する。
【0012】
また、本実施形態の飲食品組成物において特に限定されないが、消費者の健康志向に沿う観点から酢酸菌、酵母のうち少なくともいずれかは生菌であることが好ましい。一方、製造の安定化、流通中の品質保持の観点から、酢酸菌、酵母のうち少なくともいずれかは死菌であることが好ましい。
【0013】
また、本実施形態の飲食品組成物は、本発明の目的を達成できる範囲で他の微生物を含んでいてもよく、特に限定されない。他の微生物は、例えば、ラクトバチルス(Lactobacillus)属やラクトコッカス(Lactococcus)属等の乳酸菌、ビフィドバクテリウム(Bifidobacterium)属等のビフィズス菌、プロピオ二バクテリウム(Propionibacterium)属等のプロピオン酸菌、グルコン酸菌、酪酸菌、枯草菌、納豆菌、麹菌等が挙げられる。なお、他の微生物を含むことにより、飲食品組成物のさらなる香味改善や健康増進機能の付加などが期待できる。
ラクトバチルス属乳酸菌としては、例えば、ラクトバチルス・アミロボラス(Lactobacillus amylovorus)、ラクトバチルス・ガセリ(L. gasseri)、ラクトバチルス・アシドフィルス(L. acidophilus)、ラクトバチルス・ブレビス(L. brevis)、ラクトバチルス・カゼイ(L. casei)、ラクトバチルス・デルブリュッキイ(L. delbrueckii subsp. Delbrueckii)、ラクトバチルス・ファーメンタム(L. fermentum)、ラクトバチルス・ヘルベティカス(L. helveticus)、ラクトバチルス・ケフィア(L. kefiri)、ラクトバチルス・パラカゼイ(L. paracasei)、ラクトバチルス・プランタラム(L. plantarum)、ラクトバチルス・ブルガリカス(L. delbrueckii subsp. Bulgaricus)、ラクトバチルス・ラムノーサス(L. rhamnosus)、ラクトバチルス・サリバリウス(L. salivarius)、ラクトバチルス・ジョンソニー(L. johnsonii)、ラクトバチルス・クリスパタス(L. crispatus)、ラクトバチルス・ガリナルム(L. gallinarum)等を挙げることができる。具体的な菌株としては、例えば、ラクトバチルス・アシドフィルス L-92株(受託番号:FERM BP-4981)、ラクトバチルス・ヘルベティカス CM4株(受託番号:FERM BP-6060)、ラクトバチルス・ガセリ CP2305株(受託番号:FERM BP-11331)、ラクトバチルス・アミロボラス CP1563株(受託番号:FERM BP-11255)である。
ビフィズス菌として、例えば、ビフィドバクテリウム・アドレセンティス(Bifidobacterium adolescentis)、ビフィドバクテリウム・ブレーベ(Bifidobacterium breve)等を挙げることができる。
枯草菌として、例えば、バチルス・サブチルス(Bacillus subtilis)等を挙げることができる。具体的な菌株としては、例えば、バチルス・サブチルス C-3102株(受託番号:FERM BP-1096)である。
【0014】
また、本実施形態の飲食品組成物は、本発明の目的を達成できる範囲で他の成分も含んでいてもよく、特に限定されない。他の成分はそのもの(例えば野菜や果物などの植物体、乳、穀物などそのもの)のほか、抽出されたエキスであってもよく、また、発酵処理がされたものでもよい。
飲食品素材として、例えば、果汁、野菜汁、茶、コーヒー、乳、穀物、豆・ナッツ類、糖、酸味料、高甘味度甘味料、食物繊維、脂肪酸、アミノ酸、ペプチド、ビタミン、ミネラル、ポリフェノール、カフェイン、色素、乳化剤、食物繊維、品質安定化剤、増粘剤、炭酸ガス、香料、アルコール類、フェノール類、エステル類、アルデヒド類、ケトン類、エーテル類、カルボン酸類、ラクトン類、フラノン類、フラン化合物等を挙げることができる。
【0015】
果汁とは、果実を破砕して搾汁又は裏ごし等をし、必要に応じて皮、種子等を除去した液体成分をいう。
果汁が由来する果物については、例えば、柑橘類、バラ科植物の果物、ブドウ、パイナップル、グァバ、バナナ、マンゴー、アセロラ、ライチ、パパイヤ、パッションフルーツ、ブルーベリー、キウイフルーツ、メロンなどが挙げられる。柑橘類としてはオレンジ、うんしゅうみかん、グレープフルーツ、レモン、ライム、柚子、いよかん、なつみかん、はっさく、ポンカン、シークワーサー、かぼす等が例示できる。また、バラ科植物の果物としてはアンズ、イチゴ、ウメ、サクランボ、スモモ、西洋ナシ、日本梨、ビワ、モモ、リンゴ、プルーン、ラズベリーなどが例示できる。
野菜汁とは、果汁同様に野菜を破砕して搾汁又は裏ごし等をし、必要に応じて皮、種子等を除去した液体成分をいう。
野菜汁が由来する野菜については、例えば、ニンジン、タマネギ、ブロッコリー、カブ大根、キャベツ、芽キャベツ、芽キャベツの葉、セロリ、ホウレンソウ、ピーマン、アスパラガス、大麦若葉、春菊、白菜、カラシ菜、サラダ菜、小松菜、チンゲン菜、明日葉、甘藷、馬鈴薯、トマト、モロヘイヤ、パプリカ、クレソン、パセリ、セロリ、三つ葉、レタス、ラディッシュ、ケール、メキャベツの葉、紫蘇、茄子、大根、インゲン、カボチャ、牛蒡、ネギ、生姜、大蒜、ニラ、高菜、カリフラワー、トウモロコシ、さやえんどう、オクラ、かぶ、きゅうり、コールラビ、ウリ、ズッキーニ、へちま、もやし、各種スプラウト類等が挙げられる。
例えばこれらのうち1種または2種以上の果物の果汁や野菜の野菜汁が選択されて本実施形態の飲食品組成物に含有されるようにしてもよい。
また、果汁や野菜汁は、搾汁処理や抽出処理により得られるものをそのまま飲食品組成物中に添加してもよいほか、例えば濃縮、還元、発酵、凍結乾燥といった処理を経て飲食品組成物中に添加されたものであってもよい。
【0016】
コーヒーは、粉砕した焙煎コーヒー豆を水や温水を用いて抽出した溶液(コーヒー抽出液)や、コーヒー抽出液を濃縮したコーヒーエキス、コーヒー抽出液を乾燥させたインスタントコーヒー等であってもよい。
【0017】
乳は、動物由来と植物由来(豆乳等)のいずれであってもよく、特に限定されない。動物由来の乳としては、例えば、牛乳、山羊乳、羊乳および馬乳等が挙げられるが、牛乳が好ましい。乳の形態としては、例えば、生乳、全脂乳、脱脂乳、乳清、乳たんぱく濃縮物、バターミルク粉、無糖練乳、脱脂加糖練乳、全脂加糖練乳、生クリーム、発酵乳が挙げられる。また、粉乳や濃縮乳から還元した乳であってもよい。また、2種以上の異なる形態の乳が本実施形態の飲食品組成物に含まれるようにしてもよい。
【0018】
茶とは、植物の葉茎、植物の種子、花等の植物由来の原料または発酵物などのその加工物を意味する。例えば、カメリア属の葉やビワの葉、桑の葉、ドクダミの葉、杜仲葉、根(例えば、ニンジン、サツマイモ、ゴボウ、タンポポの根など)、ミカンの皮、ジャスミン花等が挙げられる。
カメリア属の葉については、その発酵条件の違いによって、発酵茶(紅茶)、半発酵茶(ウーロン茶等)、不発酵茶(緑茶等)、後発酵茶(プアール茶等)に分けられ、例えばこれらのうち1種または2種以上が含有されるようにしてもよい。
穀物としては、例えば、大麦、発芽大麦、小麦等の麦類、玄米、発芽玄米等の米類、ハトムギ、トウモロコシ、芋、あわ、そば、キビ等などが挙げられる。
豆・ナッツ類としては、例えば、大豆、小豆、黒豆、アーモンド、ピーナッツ、カシューナッツ、ピスタチオ、栗、クルミ、ヘーゼルナッツ、マカダミアナッツ、マツノミ等が挙げられる。
【0019】
高甘味度甘味料としては、例えば、アスパルテーム、アセスルファムカリウム、キシリトール、グリチルリチン酸二ナトリウム、サッカリン、サッカリンカルシウム、サッカリンナトリウム、スクラロース、ネオテーム、アラビノース、カンゾウ抽出物、キシロース、ステビア、タウマチン、ラカンカ抽出物、ラムノース、リボース等が挙げられる。
また、飲食品組成物に含まれる高甘味度甘味料の含有量は、0.0001g/L~1g/Lであってもよい。
【0020】
アミノ酸としては、例えば、アスパラギン酸、トレオニン、セリン、グルタミン酸、グルタミン、グリシン、アラニン、バリン、システイン、メチオニン、イソロイシン、ロイシン、チロシン、フェニルアラニン、ヒスチジン、リシン、トリプトファン、アルギニン、プロリン、アスパラギン等を挙げることができ、例えばこれらのうち1種または2種以上が含有されるようにしてもよい。
また、飲食品組成物に含まれるアミノ酸の含有量は、0.01mg/100ml~5000mg/100mlであってもよい。
【0021】
ミネラルとしては、例えば、カルシウム、マグネシウム、ナトリウム、カリウム、鉄、亜鉛等が挙げられる。また、飲食品組成物に含まれるミネラル量は、例えば、カルシウムの含有量は、0.01mg/100ml~2500mg/100ml、ナトリウムの含有量は、0.01mg/100ml~8000mg/100mlであってもよい。
【0022】
品質安定化剤、増粘剤としては、例えば、大豆多糖類、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ジェランガム、カラギーナン、タマリンドガム、アラビアガム、キサンタンガム、グァーガム、HMペクチン、ローカストビーンガム、ネイティブジェランガム等を挙げることができる。
また、飲食品組成物に含まれる品質安定化剤、増粘剤の含有量は、0.001~1%であってもよい。
【0023】
本実施形態の飲食品組成物の具体的な態様は特に限定されず、当業者が適宜設定できる。
本実施形態の飲食品組成物の調製方法については特に限定されず、例えば、酢酸菌、酵母、および必要に応じて含有されるその他の成分とを混合する工程を含む調製方法により得ることができる。
飲食品組成物の具体例として、例えば、清涼飲料、炭酸飲料、果汁飲料、野菜飲料、茶飲料、コーヒー飲料、乳飲料、発酵飲料、ヨーグルト、ココア飲料、スポーツ飲料、栄養補助飲料、アルコール飲料、ノンアルコールテイスト飲料、ゼリー飲料、凍結飲料、飴、氷菓、錠菓、サプリメントなどを挙げることができる。
本実施形態の飲食品組成物は酢酸を含有してもよく、良好な香味を担保する観点から酢酸を0.1~100000ppm含有することが好ましい。なお、酢酸は後述の発酵によるものでも、食品添加物に由来するものであってもよい。
【0024】
本実施形態の飲食品組成物が飲料である場合、該飲料は希釈などを行わずそのまま飲用する飲料であってもよいし、飲む際に希釈する飲料であってもよい。希釈倍率は特に限定されないが2~50倍(容量)とすることができる。
また、本実施形態の飲食品組成物は、冷やして販売される飲食品(コールド販売される飲食品)でも加温して販売される飲食品(ホット販売される飲食品)でもよい。冷却または加温する具体的な態様は特に限定されず、例えば本実施形態の飲食品組成物が収容されている容器を外部から冷却または加温するなどすればよい。
また、本実施形態の飲食品組成物が飲料である場合、糖度(Bx)は0.1~70°、酸度は0.01~5%クエン酸、pHは3.0~7.5、甘味度は1~70とすることができる。また、炭酸飲料である場合、そのガスボリュームは0.1~5.0Volとすることができる。また、乳を含有する飲料である場合、無脂乳固形分量(SNF)は0.1~20%とすることができる。また、果汁及び/又は野菜汁を含有する飲料である場合、果汁野菜汁率は0.1~100%とすることができ、1~50%であることが好ましい。
【0025】
本実施形態の飲食品組成物は、加熱され、容器に詰められた状態の容器詰め飲食品組成物としてもよい。
容器は、ガラス、紙、プラスチック(ポリエチレンテレフタレート等)、アルミ、およびスチール等の単体もしくはこれらの複合材料又は積層材料からなる密封容器が挙げられる。また、容器の種類は、特に限定されるものではないが、たとえば、ペットボトル、アルミ缶、スチール缶、紙パック、チルドカップ、瓶等が挙げられる。
【0026】
また、本実施形態の飲食品組成物は発酵飲食品であってもよい。本明細書において発酵飲食品とは、酢酸菌および/または酵母による発酵工程を経て製造される飲食品をいう。
発酵工程については特に限定されず、例えば、発酵工程中の発酵温度10~45℃、発酵時間5~120時間とすることができる。また、発酵工程は静置または攪拌しながら行うようにしてもよい。
【0027】
以上、本実施形態によれば、酢酸菌および酵母を含み、香味が改善した飲食品組成物を提供することができる。
【実施例0028】
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されない。
【0029】
[実施例1(炭酸飲料)]
酢酸菌(アセトバクター・アセチ(Acetobacter aceti)、菌数:1×10個/ml)、酵母(サッカロマイセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)、菌数:2×10個/ml)、果糖ブドウ糖液糖、オレンジ果汁(果汁率10%となるように)、クエン酸、アスコルビン酸、クエン酸三ナトリウム、カロチン色素、香料をイオン交換水に混合溶解した。得られた混合液に炭酸ガスを圧入した後、ペットボトルに充填してから加熱殺菌し、実施例1の酢酸菌含有飲料を得た。
得られた炭酸飲料は、香味に優れ摂取しにくさの改善とともに優れた保存安定性を期待することができる。
【0030】
[実施例2(発酵果汁飲料)]
リンゴ果汁に、酢酸菌(アセトバクター・アセチ(Acetobacter aceti)、菌数:1×10個/ml)と、酵母(サッカロマイセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)、菌数:2×10個/ml)を含む混合スターターを接種して、30℃、30時間発酵を行い、発酵果汁を得た。
得られた発酵果汁と、ショ糖、クエン酸、クエン酸三ナトリウム、香料をイオン交換水に混合溶解した。得られた混合液を加熱殺菌した後、ペットボトルに充填し、実施例2の酢酸菌含有飲料を得た。
得られた発酵果汁飲料は、ソフトな発酵臭を有し、口当たり良く香味に優れ、摂取しにくさの改善とともに優れた保存安定性を期待することができる。