(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024093106
(43)【公開日】2024-07-09
(54)【発明の名称】L型横引シャッター装置
(51)【国際特許分類】
E06B 9/02 20060101AFI20240702BHJP
E05D 3/02 20060101ALI20240702BHJP
E05D 15/06 20060101ALI20240702BHJP
【FI】
E06B9/02 E
E05D3/02
E05D15/06 104
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022209266
(22)【出願日】2022-12-27
(71)【出願人】
【識別番号】514112732
【氏名又は名称】株式会社横引SR
(74)【代理人】
【識別番号】100080447
【弁理士】
【氏名又は名称】太田 恵一
(72)【発明者】
【氏名】市川 慎太郎
【テーマコード(参考)】
2E030
2E034
【Fターム(参考)】
2E030AB04
2E030BB03
2E030CA01
2E030CB01
2E030CC01
2E034AA01
2E034BA02
2E034BD01
2E034EA04
(57)【要約】
【課題】全閉の際に、途中部分がほぼ直角状となる角部を有するL型状態を示し、スペースを有効に利用することができる、L型横引シャッター装置を提供する。
【解決手段】 ガイドレールと組み合うローラを下端側に設けた、横引移動可能なパネルを複数個有し、該パネル同士を、直列状とL型状に連結可能なヒンジで連結したものである。該ヒンジは、コ字型部材41と回転部材42との組み合わせからなり、コ字型部材41が、背面取付面413の上下端部に、水平張出片411を有すると共に、該水平張出片411の横方向の長さが隣接するパネルの側部のパネルフレーム31まで伸びて延長部片412を形成している。回転部材42は、外装体421と、外装体421の内部に組み合わせる中心軸体422とで構成される。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガイドレールと組み合うローラを下端側に設けた、横引移動可能な矩形体を複数個有し、
該矩形体同士を、直列状とL型状に連結可能なヒンジで連結したことを特徴とする、L型横引シャッター装置。
【請求項2】
前記ヒンジが、コ字型部材と回転部材との組み合わせからなり、
該コ字型部材が、垂直状の背面取付面の上下端部に、水平張出片を有すると共に、該水平張出片の横方向の長さが隣接する矩形体の側部まで伸びて延長部片を形成しており、
該回転部材が、外装体と、外装体の内部に組み合わせる中心軸体とからなることを特徴とする、請求項1に記載のL型横引シャッター装置。
【請求項3】
前記ヒンジが、コ字型部材と回転部材との組み合わせからなり、
該コ字型部材が、垂直状の背面取付面の上下端部に、水平張出片を有すると共に、該水平張出片の横方向の長さが隣接する矩形体の側部まで伸びて延長部片を形成しており、
該回転部材が、矩形体の側部に取付可能な平面部分を有する外装体と、外装体の内部に組み合わせる中心軸体とからなり、
延長部片に設けた中心軸体の取付孔に、回転部材の中心軸体を組み合わせ、
前記水平張出片と延長部片との境界部分に、切欠部が形成され、延長部片の奥行が水平張出片の奥行より小さく形成されていることを特徴とする、請求項1に記載のL型横引シャッター装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、L型横引シャッター装置に関し、詳細には、水平方向に移動するシャッターを全閉にした際に、途中部分がほぼ直角状となる角部を有する、L型横引シャッター装置に関する。
【背景技術】
【0002】
途中部分に湾曲部を有する横引シャッター装置として、特許文献1に記載の折畳み式横引きシャッター装置が知られている。
【0003】
該特許文献1に記載の横引シャッター装置は、湾曲部を有する上レールに沿ってスムーズに移動することが出来るものであり、複数枚のパネルが主継手と従継手を介して折畳み出来るように連結され、そして主継手の上端には上レールを走行する吊車が取着され、上レールの湾曲部の内側ガイド片を削除していると共に、湾曲部の内側両端にはガイド部材を取付け、さらに主継手の下端には床面に圧接可能なロックツマミを取付けたものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載のシャッター装置は、湾曲部を有するものであるが、全閉の際に、途中部分がほぼ直角状となる角部を有するL型状態を示すものではない。
【0006】
そのため、湾曲部によって形成される角部分は、湾曲する曲率の影響を受け、スペースを有効に利用することができない。
【0007】
したがって、本発明の解決しようとする課題は、全閉の際に、途中部分がほぼ直角状となる角部を有するL型状態を示し、スペースを有効に利用することができる、L型横引シャッター装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の課題を解決するための手段は、下記のとおりである。
【0009】
第1に、
ガイドレールと組み合うローラを下端側に設けた、横引移動可能な矩形体を複数個有し、
該矩形体同士を、直列状とL型状に連結可能なヒンジで連結したことを特徴とする、L型横引シャッター装置。
ここで、複数個の矩形体とは、横引のシャッター装置を構成する、複数のパネルのことをいう。
直列状に連結可能とは、隣接する2枚の矩形体が、直線状で連結可能であることをいう。
L型状に連結可能とは、隣接する2枚の矩形体が、直角状で連結可能であることをいう。
L型横引シャター装置は、途中1箇所の角部を有するものに限定されず、2箇所以上の角部を有していても良い。
【0010】
第2に、
前記ヒンジが、コ字型部材と回転部材との組み合わせからなり、
該コ字型部材が、垂直状の背面取付面の上下端部に、水平張出片を有すると共に、該水平張出片の横方向の長さが隣接する矩形体の側部まで伸びて延長部片を形成しており、
該回転部材が、矩形体の側部に取付可能な平面部分を有する外装体と、外装体の内部に組み合わせる中心軸体とからなり、
延長部片に設けた中心軸体の取付孔に、回転部材の中心軸体を組み合わせたことを特徴とする、前記第1に記載のL型横引シャッター装置。
【0011】
第3に、
前記ヒンジが、コ字型部材と回転部材との組み合わせからなり、
該コ字型部材が、垂直状の背面取付面の上下端部に、水平張出片を有すると共に、該水平張出片の横方向の長さが隣接する矩形体の側部まで伸びて延長部片を形成しており、
該回転部材が、矩形体の側部に取付可能な平面部分を有する外装体と、外装体の内部に組み合わせる中心軸体とからなり、
延長部片に設けた中心軸体の取付孔に、回転部材の中心軸体を組み合わせ、
前記水平張出片と延長部片との境界部分に、切欠部が形成され、延長部片の奥行が水平張出片の奥行より小さく形成されていることを特徴とする、前記第1に記載のL型横引シャッター装置。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、以下の効果を奏することができる。
【0013】
横引シャッターを構成するパネルである矩形体について、隣接する2枚の矩形体同士を、直列状とL型状に連結可能なヒンジで連結したので、全閉の際に、途中部分が直角を保つことによる角部を有し、スペースを有効に利用することができる。
加えて、全閉の際に、途中部分が直角を保つことで、L型状態を安定して保つことができる。
また、大きなパネルであっても、直列状とL型状に連結可能なヒンジで連結しているので、ガイドレールの湾曲部をスムーズに移動することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明のL型横引シャッター装置の概略図で、説明のために抽出した4枚の矩形体の直列状態を示しており、(a)は平面図、(b)は正面図である。
【
図2】
図1に示す本発明のL型横引シャッター装置の概略図で、全閉のL型状態を示しており、(a)は平面図、(b)は正面図である。
【
図3】本発明のL型横引シャッター装置のヒンジについて、直列状に連結している状態を示し、(a)は横断面、(b)は側面図、(c)は正面図、(d)は斜視図である。
【
図4】本発明のL型横引シャッター装置のヒンジについて、L型状に連結している状態を示し、(a)は横断面、(b)は側面図、(c)は正面図、(d)は斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明を実施するための形態を、図面を参照しつつ具体的に説明する。
ここで、添付図面において同一の部材には同一符号を付しており、また重複した説明は省略されている。
なお、ここでの説明は本発明が実施される一形態であることから、本発明は当該形態に限定されるものではない。
【実施例0016】
本実施例のL型横引シャッター装置は、
図1、
図2に示すように、接地面に敷設したガイドレール1に接触することで組み合う回転自在なローラ2を下端側に設けた、横引移動可能な矩形体であるパネルを4個有するものである。
前記ガイドレール1は、途中で湾曲した折り曲げ部分を有するものである。
【0017】
4個のパネルは、本実施例の説明用に抽出したものであり、先頭から順に、第1パネル3A,第2パネル3B,第3パネル3C,第4パネル3Dによって構成されている。
本実施例では、第1パネル3Aから第3パネル3Cまでは、同一の幅を有し、第4パネル3Dの幅は大きく形成されているが、全てを同じ幅で形成することもできるし、それぞれを異なる幅で形成することもできる。
なお、本発明のL型横引シャッター装置を実際に設置する場合には、矩形体を構成するパネルの数や大きさは設置場所に応じて自由に決めることができる。
【0018】
該パネルは、四辺に配置されたパネルフレーム31と、該パネルフレーム31内部に位置するパネル本体32とからなる。
隣接するパネル同士は、上下2箇所で、直列状とL型状に連結可能なヒンジ4によって、連結されている。
【0019】
図1中の(b)、
図2中の(b)に示す符号5は、各パネルの下端に各々取り付けられたラックを示し、符号6はラック5と組み合うピニオンを示している。
該ピニオン6は、図示は省略するモータにより、時計周り及び反時計回りの両方向に回転可能なものである。
該モータの回転運動が移動手段になって、各パネルが移動する。
なお、パネルの移動は、手動で行うこともできる。
【0020】
直列状とL型状に連結可能なヒンジ4は、
図3中の(d)、
図4中の(d)に示すように、コ字型部材41と回転部材42との組み合わせによるものである。
該コ字型部材41は、垂直状の背面取付面413の上下端部に、水平張出片411を各々有すると共に、該水平張出片411の横方向の長さが、隣接するパネルの側部のパネルフレーム31まで連続して伸びて延長部片412を形成している。
【0021】
ここで、水平張出片411と延長部片412とは、一体となって形成されているが、境界部分に形成された切欠部43により、延長部片412の奥行が小さく形成され、
図3中の(a)に示すように、後述する取付板424の厚みを吸収できるように構成されている。
該延長部片412には、
図3中の(d)に示すように、後述する中心軸体422を挿入するための取付孔412aが設けられている。
【0022】
回転部材42は、
図3中の(c)に示すように、パネルの側部であるパネルフレーム31に、取付板424を介して取付可能な平面部分421aによる取付面を有する外装体421と、該外装体421の内部に組み合わせる中心軸体422とを有している。
該外装体421は、
図3中の(b)に示すように、平面部分421aの両側に、曲面部分421bを有している。
【0023】
図3中の(c)に示すように、中心軸体422の上下は、ボルト423の締め付けによって、延長部片412に固定されている。
すなわち、
図3中の(d)に示すように、コ字型部材41の上下の延長部片412に設けた中心軸体422の取付孔412aに、回転部材42の中心軸体422が組み合わせられている。
【0024】
コ字型部材41は、
図3中の(b)に示すように、背面取付面413の四隅付近に形成された孔(図示は省略)を利用する4本の取付ネジ414によって、パネルフレーム31に直接取り付けられている。
回転部材42は、
図3中の(b)に示すように、取付板424の四隅付近に形成された4個の孔(図示は省略)を利用する4本の取付ネジ425によって、パネルフレーム31に取り付けられている。
ここで、
図3中の(c)に示すように、取付板424には、外装体421の平面部分421aが、接着や溶接等によって固定されている。
【0025】
次に、上記したL型横引シャッター装置の作用について説明する。
【0026】
全開から全閉に動作する際には、
図1に示すように、ピニオン6が回転することでラック5の位置が移動し、端部から順に、第1パネル3A,第2パネル3B,第3パネル3C,第4パネル3Dが、直列状になって進む。
ガイドレール1が湾曲した部分を通過する際には、ローラ2が回転すると共に、回転部材42の中心軸体422が回転することで、湾曲に対応する。
【0027】
全閉の際は、
図2に示すとおり、第3パネル3Cと第4パネル3Dとの連結部分が、90°折れ曲がった状態となる。
この際、ヒンジ4は、
図4に示すとおり、隣接するパネルのパネルフレーム31同士が、L型状となり、角部が形成され、安定した状態が保たれる。