(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024093117
(43)【公開日】2024-07-09
(54)【発明の名称】シート積載装置及びシート積載装置を備えた画像形成システム
(51)【国際特許分類】
B65H 29/22 20060101AFI20240702BHJP
B65H 31/02 20060101ALI20240702BHJP
B65H 7/02 20060101ALI20240702BHJP
B41J 11/70 20060101ALI20240702BHJP
G03G 15/00 20060101ALI20240702BHJP
【FI】
B65H29/22 Z
B65H31/02
B65H7/02
B41J11/70
G03G15/00 460
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022209289
(22)【出願日】2022-12-27
(71)【出願人】
【識別番号】000208743
【氏名又は名称】キヤノンファインテックニスカ株式会社
(72)【発明者】
【氏名】芦澤 克久
【テーマコード(参考)】
2C058
2H072
3F048
3F049
3F054
【Fターム(参考)】
2C058AE02
2C058AF51
2C058LA26
2C058LA27
2H072AB09
2H072CA01
2H072FB01
2H072GA00
3F048AA01
3F048AB01
3F048BA30
3F048CA01
3F048EB29
3F048EB40
3F049AA01
3F049AA02
3F049DA12
3F049EA10
3F049LA01
3F049LB01
3F054AA01
3F054AC01
3F054BA01
3F054BB01
3F054CA03
3F054DA01
3F054DA11
(57)【要約】
【課題】 積載されたシートが歪曲した状態でシートを排出する際、この歪曲した部分と引き続き排出されるシートの先端が干渉してしまうことによって生じる、排出シートの座屈や既積載シートの押し出しなどの積載不良の発生を防止する。
【解決手段】 ミシン目シートが積載トレイに多数枚積載されたと判断した場合は、シートを排出する際の排出速度を上げることで、排出シートの先端部を浮き上がらせると共に、排出シートの先端部が既積載シートの歪曲部分に接することなく通過できるようにシートを排出することにより、ミシン目シートが積載トレイに多数枚積載されている場合であっても、排出シートの座屈や既積載シートの押し出しなどの積載不良を防止する。
【選択図】
図13(b)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートを搬入する搬入口と、
前記搬入口から搬入されるシートを所定の搬送方向へ搬送する搬送手段と、
前記搬送手段により搬送されたシートを前記搬送手段から排出する排出手段と、
前記排出手段により排出されたシートを積載する積載手段と、
前記積載手段にミシン目が施されているミシン目シートが積載されている枚数を認識する枚数認識手段と、
前記排出手段を制御する制御手段と、を備え、
前記制御手段は、前記枚数認識手段により基準枚数以上のミシン目シートが前記積載手段に積載されていると認識された場合、前記枚数認識手段により基準枚数未満のミシン目シートが前記積載手段に積載されていると認識された場合よりも前記排出手段によるシーの排出速度を上げる、シート積載装置。
【請求項2】
前記積載手段に積載される前記ミシン目シートの平均坪量を認識する坪量認識手段と、を更に備え、
前記枚数認識手段は、前記坪量認識手段により認識される前記ミシン目シートの平均坪量が所定値未満の場合、前記坪量認識手段により認識される前記ミシン目シートの平均坪量が所定値以上の場合の前記基準枚数よりも少ない前記基準枚数で、前記基準枚数以上の前記ミシン目シートが前記積載手段に積載されているか、前記基準枚数未満のミシン目シートが前記積載手段に積載されているかを認識する、請求項1に記載のシート積載装置。
【請求項3】
シート上に画像を形成し、画像形成されたシートを排出する画像形成装置と、
前記画像形成装置からの指示に基づき前記画像形成装置から排出されるシートの内、所定のシートにミシン目をつけるミシン目装置と、
前記画像形成装置から排出されたシートを積載する請求項1又は2に記載のシート積載装置と、
を備えた画像形成システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送されるシートにミシン目を形成する処理を施したシートを積載するシート積載装置及びそれを用いた画像形成システム(画像形成装置)に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、画像形成装置から排出されてきたシートにミシン目を穿孔するシート処理装置が知られている(特許文献1)。該特許文献1記載のシート処理装置は、シート処理装置でミシン目を形成したシートを下流側に搬送し、シート積載装置(フィニッシャ)に搬送する。そして従来フィニッシャにはシートを積載するための積載トレイ(特許文献2)を備えることがよく知られており、特許文献1においても、この積載トレイにミシン目を形成したシートが積載される。
【0003】
一方で、従来、これらの積載トレイにシートを排出する際、シートの排出速度はシートのサイズに関わらず一定としていた。そのため、シートのサイズによっては積載トレイへの積載性に問題が生じていた。例えば、排出されたシートのサイズが大きい場合、シートの排出速度が遅すぎてシートの先端部が積載トレイ(又は、積載トレイに積載されたシート(以下、「既積載シート」という))との摩擦により曲がる場合があった。
【0004】
また、コート紙の場合、光沢をつけるための表面処理の種類によっては粘着力が高くなるため、シートの種類(表面性など)によっては積載トレイへの積載性に問題が生じていた。例えば、シートを積載トレイに排出した際、このシートの先端部と積載トレイ(又は、既積載シート)とが貼りつき、この貼りついた部分が搬送されずに静止し、その後、シートの後端部のみが搬送されることで、排出されたシートが座屈してしまう場合があった。
【0005】
そこで、このような問題の対策として、積載トレイへのシートの排出速度を可変とし、例えば、大きいサイズのシートの場合は、小さいサイズのシートよりもシートの排出速度を速くすることで、その先端部が積載トレイ(又は、既積載シート)との摩擦により曲がることがないように、シートサイズに応じてシートの排出速度を変更するようにしたものがある(特許文献3)。
【0006】
また、例えば、コート紙の場合は、一般のPPC用紙よりもシートの排出速度を速くすることで、シートの先端部を浮き上がらせると共に、先端部が垂れ下がる前に排出するように、シートの種類(表面性など)に応じてシートの排出速度を変更するようにしたものがある(特許文献4)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2019-206420号公報
【特許文献2】特許第5825914号公報
【特許文献3】特開平6-64815号公報
【特許文献4】特許第5213728号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
シートにミシン目を形成するには、微細な穿孔穴をシート搬送方向と直交する方向に複数形成するが、打ち抜き処理(所謂パンチ処理)とは異なり穿孔穴をあけた部分を切り抜く処理ではないため、ミシン目を形成した周囲にバリやカエリなどの凸部が生じる。
【0009】
上述のバリやカエリが発生したシート(以下、「ミシン目シート」という)をフィニッシャの積載トレイに多数枚積載していくと、凸部が生じた部分が盛り上がることで積載されたシートが歪曲する。そして、このように既積載シートが歪曲した状態で、従来技術におけるシートサイズやシートの種類(表面性など)により変更した排出速度でシートを排出しても、この歪曲した部分(以下、「既積載シートの歪曲部分」という)と引き続き積載トレイに排出されるシート(以下、「排出シート」という)の先端が干渉してしまうため、排出シートの座屈や既積載シートの押し出しなどの積載不良が発生するという課題があった。
【0010】
本発明は、ミシン目シートを積載するシート積載装置において、上述した課題を解決することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、上記課題を解決するために、シートを搬入する搬入口と、前記搬入口から搬入されるシートを所定の搬送方向へ搬送する搬送手段と、前記搬送手段により搬送されたシートを前記搬送手段から排出する排出手段と、前記排出手段により排出されたシートを積載する積載手段と、前記積載手段にミシン目が施されているミシン目シートが積載されている枚数を認識する枚数認識手段と、前記排出手段を制御する制御手段と、を備え、前記制御手段は、前記枚数認識手段により基準枚数以上のミシン目シートが前記積載手段に積載されていると認識された場合、前記枚数認識手段により基準枚数未満のミシン目シートが前記積載手段に積載されていると認識された場合よりも前記排出手段によるシートの排出速度を上げるシート積載装置を提供する。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、ミシン目シートが積載トレイに多数枚積載されたと判断した場合は、シートの排出速度を上げることで、排出シートの先端部を浮き上がらせると共に、排出シートの先端部が既積載シートの歪曲部分に接することなく通過できるようにシートを排出することにより、ミシン目シートが積載トレイに多数枚積載されている場合であっても、排出シートの座屈や既積載シートの押し出しなどの積載不良を防止することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明に係るシート積載装置を備えたシート処理装置及び画像形成装置の構成を示す断面図である。
【
図2】本発明に係るシート積載装置を備えたシート処理装置及び画像形成装置の制御系の構成を説明するブロック図である。
【
図4】シート処理装置の制御系の構成を示すブロック図である。
【
図5】シート処理ユニットを搬送方向下流側からみた側面図である。
【
図6】加工処理(ミシン目)が施されたシートの斜視図である。
【
図8】フィニッシャの制御系の構成を示すブロック図である。
【
図9】ミシン目の種類及び位置を設定する画面を示す図である。
【
図10】フィニッシャの積載トレイに多数のシートを積載した際の既積載シートの状態を示す断面図である。
【
図11】積載トレイに排出されたシートの状態を示す断面図である。
【
図12】シート排出機構の構成を説明する図である。
【
図13(a)】フィニッシャの印刷処理の流れを示すフローチャートである。
【
図13(b)】フィニッシャの印刷処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面に沿って本発明の実施の形態について説明する。
【実施例0015】
画像形成装置1は、
図1に示すように、画像形成装置本体600と、該画像形成装置本体側面に隣接配置されたシート処理装置200と、更に該シート処理装置200の画像形成装置本体600と反対側面に隣接配置されたフィニッシャ100とを有する。
【0016】
画像形成装置本体600は、原稿給送装置650及び操作部601を有しており、原稿給送装置650により給送された原稿が読取られ、感光ドラム914a~914dに画像が形成される。なお、ユーザが画像形成装置本体600に対して各種入力や設定を行うために操作部601に臨む位置を画像形成装置1の正面手前側(以下、「手前側」という)といい、装置背面側を奥側という。
【0017】
画像形成装置本体600内のシートカセット909a、909bから供給されたシートは、像担持体となる感光ドラム914a~914d等によってイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの4色のトナー画像が転写される。感光ドラム914a~914dはそれぞれシートにトナー画像を形成する画像形成手段となる画像形成部を構成する。そして、定着装置904に搬送されてトナー画像が定着され、片面の画像形成モードであれば、そのまま、排出ローラ907から画像形成装置本体600の外に排出される。両面の画像形成モードであれば、シートは定着装置904から反転ローラ905に受け渡される。そして、シートの搬送方向の後端が反転フラッパ3を越えると反転ローラ905を逆回転させる。これによりシート搬送方向とは逆方向となる両面搬送ローラ906a~906fの方向へシートを搬送する。
【0018】
そして、再度、シートの裏面側にイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの感光ドラム914a~914d等によって、4色のトナー画像が転写される。両面にトナー画像が転写されたシートは再度、定着装置904に搬送されてトナー画像が定着された後、排出ローラ907により画像形成装置本体600の外に排出される。
【0019】
シート処理装置200は、画像形成装置本体600の排出ローラ907から排出されたシートをフィニッシャ100に向けて搬送すると共に、該搬送途中にて後述するミシン目形成処理をシートに施す。フィニッシャ100は、シート処理装置200から排出されたシートを受入れ、下積載トレイ750(又は、上積載トレイ751)に排出するが、ユーザの設定に基づき、ステイプル処理や束揃え等の後処理を施した後、下積載トレイ750に排出することもできる。
【0020】
画像形成装置本体600から排出されるシートは、オンラインに接続されたシート処理装置200、フィニッシャ100で処理することができる。尚、画像形成装置本体600は、シート処理装置200を排出口9に接続しないで、単独でも使用できる。画像形成装置本体600は、シート処理装置200、フィニッシャ100をシート排出装置として一体に組み込んでもよい。また、画像形成装置本体600は、上述したカラー画像形成を行う画像形成装置本体に限らず、白黒の画像形成装置本体でもよい。
【0021】
図2は画像形成装置1を制御する制御部4の構成を示すブロック図である。
図2において、CPU(Central Processing Unit;中央演算装置)回路部630は、CPU629、ROM(Read Only Memory;リードオンリメモリ)631、RAM(Random-access Memory;ランダムアクセスメモリ)655を有している。CPU回路部630は、原稿給送装置制御部632、イメージリーダ制御部633、画像信号制御部634、プリンタ制御部635、フィニッシャ制御部636、シート処理制御部638、外部インターフェイス637を制御している。CPU回路部630は、ROM631に格納されているプログラム及び操作部601の設定に従って制御する。原稿給送装置制御部632は、原稿給送装置650を制御する。イメージリーダ制御部633は、イメージリーダ5を制御する。
【0022】
プリンタ制御部635は、画像形成装置本体600を制御する。シート処理制御部638は、
図3に示すシート搬送手段となる搬送ローラ211により搬送されたシートに所定の加工処理を行なうシート処理手段となるシート処理装置200を制御する。
【0023】
フィニッシャ制御部636は、フィニッシャ100を制御する。本実施形態において、シート処理制御部638はシート処理装置200に搭載し、フィニッシャ制御部636はフィニッシャ100に搭載した構成について説明する。
【0024】
本発明はこれに限定されるものではなく、シート処理制御部638やフィニッシャ制御部636はCPU回路部630と一体的に画像形成装置本体600に設け、画像形成装置本体600側からシート処理装置200、フィニッシャ100を制御するようにしても良い。
【0025】
RAM655は、制御データを一時的に保持する領域や、制御に伴う演算の作業領域として用いられる。外部インターフェイス637は、パーソナルコンピュータ(PC)620からのインターフェイスであり、プリントデータを画像に展開して画像信号制御部634へ出力する。イメージリーダ制御部633から画像信号制御部634へはイメージセンサ5aで読み取られた画像が出力される。そして、画像信号制御部634からプリンタ制御部635へ出力された画像は像露光手段となるレーザスキャナ10を制御する図示しない露光制御部へ入力される。
【0026】
シート処理制御部638は、シート処理装置200に搭載され、画像形成装置1のCPU回路部630と情報のやり取りを行うことによってシート処理装置200全体の駆動制御を行う。フィニッシャ制御部636は、フィニッシャ100に搭載され、画像形成装置1のCPU回路部630と情報のやり取りを行うことによってフィニッシャ100全体の駆動制御を行う。シート処理制御部638及びフィニッシャ制御部636は、画像形成装置1に設けられる様々なモータ及びセンサ等を制御している。
【0027】
ついで、シート処理装置200について、
図3,
図5に沿って説明する。シート処理装置200は、
図3に示すように、キャスタ270により支持された筐体271を有しており、該筐体271内に水平方向に延びるシート処理パス6が配置されている。該シート処理パス6の中程に加工処理部8が配置されており、加工処理部8は、ミシン目を形成する処理を行うシート処理ユニット220と、該シート処理ユニット220の下流側に隣接して配置される横方向・斜行レジストレーション補正ユニット(以下横レジ斜行補正ユニットという)250を有する。上記シート処理ユニット220の上流側のシート処理パス6に沿って複数個の搬送ローラ対202,208,209、210及び211が配置されており、各搬送ローラは、例えば搬送ローラ211で示すと、シート処理パス6の下側に駆動(アクティブ)ローラ211aが配置され、上側に従動ローラ211bが上記駆動ローラ211aに接するように配置されている。これら搬送ローラの駆動ローラはモータM25により駆動される。また、前記画像形成装置本体600の排出口9に上記シート処理パス6の入口部が整列するよう配置されており、上記排出口9から該シート処理パス6に受入れられたシートを検出する入口センサ201が設置されており、加工処理部8の入口側にシート端検知センサ213及びユニット識別センサ222が配置されている。
【0028】
前記横レジ斜行補正ユニット250の下流側のシート処理パス6にも、上記上流側と同
様に、複数の搬送ローラ対214,215,216,206が配置されており、その排出口に排出センサ207が配置されている。該シート処理パス6の排出口は、前記フィニッシャ100のシートパス入口部に整列する。これら下流側の搬送ローラは、その駆動ローラがモータM26により駆動される。
【0029】
前記シート処理ユニット220は、
図5に示すように、ダイプレート225を有しており、上記ダイプレート225の手前側及び奥側端部分にはシャフトガイド228a,228bが立設されており、これらシャフトガイドにミシン目形成刃404が上下方向移動自在に支持されている。
【0030】
図3に示すように、前記シート処理ユニット220の上方に押圧駆動ユニット280が配設されている。押圧駆動ユニット280は、カム駆動モータM21と、該カム駆動モータM21で駆動される偏心カム282とを有する。偏心カム282は、カムシャフト281により偏心回転して前記ミシン目形成刃404を押圧する。
【0031】
ついで、上述したシート処理装置200の作用を中心として説明する。シート処理装置200は画像形成装置本体600の排出口9から排出されたシートを順に取り込む。シート処理装置200でのシート処理は、画像形成装置本体600に設けられた操作部601によるユーザの設定に応じて動作する。画像形成装置本体600の排出口9から排出されたシートは、シート処理装置200の搬送ローラ202に受け渡される。このとき、入口センサ201によりシートの受渡しタイミングも同時に検知されている。シートは搬送ローラ208~211により加工処理部8に搬送される。そして、
図3及び
図5に示すシート処理ユニット220の搬送パス232を通過する。
【0032】
搬送パス232を通過したシートは、シート搬送方向の所定位置に達したところで停止し、加工処理部8によってミシン目形成処理が施される。
【0033】
図6は、該シート処理手段によって加工処理(ミシン目)が施されたシートの斜視図である。
図6(a)は、矢印Aで示すシートの搬送方向に対するシートの中心位置近傍に、シートの搬送方向と直交する方向にミシン目を形成するモード(以下、「センターミシン目」という)によってミシン目が施された状態を示している。
図6(b)は、矢印Aで示すシートの搬送方向に対するシートの上流側端縁近傍に、シートの搬送方向と直交する方向にミシン目を形成するモード(以下、「シングルミシン目」という)によってミシン目が施された状態を示している。
【0034】
シート処理ユニット220によりミシン目形成処理されたシートは再び搬送ローラ211により挟持搬送され、搬送ローラ214~216及び搬送ローラ206により搬送されて下流のフィニッシャ100に受け渡される。
【0035】
シート処理ユニット220はミシン目パターンの異なる複数種類の処理ユニットが準備されており、交換可能に搭載される。シート処理ユニット220に搭載された記憶手段となるIC(Integrated Circuit;半導体集積回路)チップ221の記憶部に記憶された種別情報をユニット識別センサ222で読み取る。これにより、どの種類のシート処理ユニット220を加工処理部8に搭載しているかを識別する。
【0036】
図4に示すように、シート処理制御部638は、マイクロコンピュータからなるCPU(Central Processing Unit;中央演算装置)701を有する。更に、RAM(Random Access Memory;ランダムアクセスメモリ)702、ROM(Read Only Memory;リードオンリメモリ)703を有する。更に、入出力部となるI/O(Input/Output)705、通信インターフェイス706、ネットワークインターフェイス704を有している。更に、搬送制御部707において、シートの搬送処理が行われる。また、シート処理駆動制御部708では、偏心カム282がカム駆動モータM21によって回転駆動制御される。シート処理ユニット識別部709では、シート処理ユニット220に組み込まれた記憶手段となるICチップ221の記憶部に記憶された種別情報を読み取ることにより、搭載されているシート処理ユニット220の種別を識別する。また、横レジ斜行補正制御部710において、シートの斜行補正が行われる。
【0037】
次に、フィニッシャ100の構成について
図7を参照しながら説明する。
図7は
図1で示すフィニッシャ100の構成図である。
【0038】
フィニッシャ100は、シート処理装置200から排出されたシートを順に取り込み、取り込んだ複数のシートを整合して1つの束に束ねる処理、束ねたシート束の後端をステイプルで綴じるステイプル処理などの各シート後処理を行う。フィニッシャ100は、シート処理装置200から受け渡されたシートを搬送ローラ対511により搬送パス520に取り込む。搬送ローラ対511により内部に取り込まれたシートは、搬送ローラ対512,513,514を介して搬送される。搬送パス520上には、搬送センサ570,571,572,573が設けられており、それぞれシートの通過を検出している。搬送ローラ対512は、搬送パスセンサ571とともにシフトユニット580に備え付けられている。シフトユニット580は、後述するシフトモータM11により、搬送方向に直交するシート幅方向へシートを移動させることが可能である。搬送ローラ対512がシートを挟持している状態で、シフトモータM11を駆動することにより、搬送しながら、シートをシート幅方向にオフセットすることができる。シフトソートモードでは、部ごとにシート束の位置が幅方向へずらされる。オフセット量としては、幅方向の中心位置に対して手前側に15mm(手前シフト)、或いは奥側に15mm(奥シフト)である。シフト指定がない場合は、シートは手前シフトと同じ位置に排出される。フィニッシャ100は、搬送センサ571の入力によりシートがシフトユニット580を通過したことを検知すると、シフトモータM11を駆動させて、シフトユニット580をセンター位置へと戻す。
【0039】
搬送ローラ対513と搬送ローラ対514の間には、搬送ローラ対514によって反転搬送されるシートをバッファパス523に導く切替フラッパ540が配置されている。切替フラッパ540は不図示のソレノイドにより駆動される。バッファパス523には、バッファパスローラ対519が配置されている。搬送ローラ対514と上排紙ローラ対515の間には、搬送先を上排紙パス521と下排紙パス522の何れかに切り替える切替フラッパ541が配置されている。切替フラッパ541が上排紙パス521側に切り替わると、搬送モータM1により駆動される搬送ローラ対514により、シートは上排紙パス521へと導かれる。そして、シートは排紙モータM2により駆動される上排紙ローラ対515により上積載トレイ751へと排出される。上排紙パス521上には上トレイ排紙センサ574が設けられており、シートの通過を検出している。切替フラッパ541が下排紙パス522側に切り替わると、搬送モータM1によって駆動される搬送ローラ対514により、シートは下排紙パス522へと導かれる。そして、シートは搬送モータM1により駆動される第1下搬送ローラ対516、第2下搬送ローラ対517、および処理トレイ搬送ローラ対518により、処理トレイ530へと導かれる。下排紙パス522上には第1搬送センサ575、第2搬送センサ576が設けられており、シートの通過を検出している。
【0040】
処理トレイ530へと導かれたシートは、不図示の束排紙モータにより駆動される束排紙ローラ対590により、後処理モードに応じて、処理トレイ530上または下積載トレイ750上へと排出される。処理トレイ530上には、下トレイ排紙センサ577が配置されており、シートの通過を検出している。また、処理トレイ530には、ステイプラユニット591が配置され、処理トレイ530上で整合されたシート束にステイプル止めを行う。
【0041】
下積載トレイ750および上積載トレイ751は、後述の下トレイ昇降モータM10、上トレイ昇降モータM9により昇降可能となっている。下トレイ紙面検知センサ720および上トレイ紙面検知センサ721にて、各積載トレイまたは各積載トレイ上のシートの最上面が検出される。フィニッシャ100は、下トレイ紙面検知センサ720、上トレイ紙面検知センサ721の検知結果に基づいて、下トレイ昇降モータM10、上トレイ昇降モータM9を駆動することで、常に前述の各積載トレイまたは各積載トレイ上のシートの最上面とシートの排出口との距離が一定の距離になるように制御する。
【0042】
なお、シートが下積載トレイ750および上積載トレイ751に積載される際、フィニッシャ100は積載するシートのミシン目形成の有無、ミシン目が形成された位置(ミシン目を形成するモード)、ミシン目が形成されたシートの坪量などのプリントジョブ情報および、ミシン目が形成されたシートの積載枚数、平均坪量などの既積載シートの情報を逐次、後述するフィニッシャ制御部636のRAM414に記憶する。これら記憶した情報は、後述する印刷処理で利用されている。
【0043】
次に、
図8のブロック図を用いて、フィニッシャ制御部636の構成について説明する。フィニッシャ制御部636は、CPU412、RAM414、ROM415、入出力I/O411、通信インターフェイス(SCI)413などで構成される。フィニッシャ制御部636は、CPU回路部630と通信を行い、コマンドの送受信やジョブの情報、シートの受け渡し通知などのデータ交換を行い、ROM415に格納されている各種プログラムを実行してフィニッシャ100の駆動制御を行う。RAM414は、制御データを一時的に保持し、また制御に伴う演算処理の作業領域として用いられる。通信インターフェイス(SCI)413は画像形成装置本体600のCPU回路部630とシリアル通信を行い、動作指示や制御データの受け渡しを行っている。入出力I/O411は、モータ等の出力デバイスに対して、CPU412からのオンオフ信号を送信したり、センサ等の入力デバイスから信号をCPU412へ送信したりする。入出力I/O411には、搬送モータM1、排紙モータM2が接続されている。入出力I/O411には更に、上トレイ昇降モータM9、下トレイ昇降モータM10、シフトモータM11が接続されている。また、入出力I/O411には、上トレイ紙面検知センサ721、下トレイ紙面検知センサ720、上トレイ排紙センサ574、下トレイ排紙センサ577が接続されている。
【0044】
また、入出力I/O411には、上トレイ駆動エンコーダ578、下トレイ駆動エンコーダ579が接続されている。上トレイ駆動エンコーダ578、下トレイ駆動エンコーダ579はそれぞれ、下積載トレイ750、上積載トレイ751上のシートの紙面検知動作に伴って昇降する下積載トレイ750、上積載トレイ751の移動に応じたパルスを出力する。CPU412は、上トレイ駆動エンコーダ578、下トレイ駆動エンコーダ579から出力されるパルスをカウントすることにより、下積載トレイ750、上積載トレイ751に移動量を判定することができる。
【0045】
図9は、画像形成装置本体600の操作部601によってユーザがミシン目の種類や位置を設定する為の操作画面の一例を示す図である。画像形成装置1では複数種類のミシン目処理をユーザが選択可能となっており、ミシン目を施す位置も規定範囲内でユーザが調整することが可能である。
【0046】
図9(a)は、ミシン目の種類を設定するための画面構成例を示した図である。
図9(a)に示すように、ミシン目処理選択画面300にはトグルスイッチとして機能する、センターミシン目選択コンボボックス301、シングルミシン目選択コンボボックス302、ミシン目処理なし(バイパス)選択コンボボックス304が表示される。ユーザは、これらの選択コンボボックスから実施したいミシン目の種類を選択することが可能である。
【0047】
また、ミシン目処理選択画面300には、シングルミシン目位置調整ボタン305が合わせて表示され、このシングルミシン目位置調整ボタン305を押下することで、
図9(b)に示すシングルミシン目位置調整画面310を表示し、シングルミシン目の位置を調整することが可能である。
【0048】
更に、ミシン目処理選択画面300には、OKボタン307、キャンセルボタン308のボタンが合わせて表示されるが、これらのボタンは一般的なユーザインタフェイスであり周知のものであるため、ここではその説明を省略する。
【0049】
図9(b)は、シングルミシン目を施す位置を調整するための画面例を示した図である。
図9(b)に示すように、シングルミシン目位置調整画面310には、シングルミシン目X位置調整欄311、OKボタン307、キャンセルボタン308が表示される。ユーザは操作部601の図示しない数値入力ボタンによりシングルミシン目X位置調整欄311に数値を入力することで、シングルミシン目を形成する位置を規定範囲内で調整することが可能となる。
【0050】
図10は、フィニッシャ100がシート処理装置200から受け渡されたシートを上積載トレイ751に多数枚積載した状態を示す図である。
図10(a)に示すように、一般的にシート処理装置200にてミシン目が形成されていないシートは、シート全体の厚みが均等となっているため、上積載トレイ751に積載されたシートは上積載トレイ751のシート接触面角度と略平行に積載される。
【0051】
一方、シート処理装置200にてミシン目処理が施されたシートは、ミシン目を形成した部分にバリやカエリなどの凸部が生じることで、上積載トレイ751に多数積載すると該凸部部分が盛り上がってくるため、上積載トレイ751におけるシート接触面角度に倣うことなく積載される。
【0052】
図10(b)は、単位面積当たりの重量が小さく腰の弱いシート(以下、「薄紙」という)にセンターミシン目が形成されたシート300枚を上積載トレイ751に積載し続けた場合の既積載シートの状態を示した図であり、
図10(c)は、単位面積当たりの重量が大きく腰の強いシート(以下、「厚紙」という)にセンターミシン目が形成されたシート300枚を上積載トレイ751に積載し続けた場合の既積載シートの状態を示した図である。
【0053】
図10(b)や
図10(c)で示すように、ミシン目が形成されることによって生じたバリやカエリなどの凸部が既積載シートに与える影響は、厚紙よりも薄紙の方がより影響を受けやすい。即ち、厚紙に比べて薄紙の方がより少ない積載枚数で既積載シートが大きく歪曲する。
【0054】
本実施例においては、薄紙を128gsm未満、厚紙を128gsm以上の坪量と定義し記載する。
【0055】
なお、これらの薄紙と厚紙を判断するための坪量は上記定義に限定されるものではなく、シートのサイズや種類などの各種シート情報などに応じて可変させてもよく、一定の範囲を持った値でもよい。また、ユーザによって任意坪量を設定可能としてもよい。
【0056】
図11(a1)は、センターミシン目が形成されたシートを上積載トレイ751に積載し続けた状態を示した図であり、既積載シートはセンターミシン目を形成したシートの中央部分の一部が他の部分と比較して盛り上がった状態となる。このように既積載シートが歪曲している状態で引き続きシートを上積載トレイ751に排出すると、排出シート(HS1)の先端が既積載シート(KS1)の歪曲部分(X1)と干渉することで、排出シート(HS1)が座屈したり、既積載シート(KS1)が押し出されるなどの積載不良が発生する。
図11(a2)は、上記干渉によって排出シート(HS1)が座屈した様子を示しており、
図11(a3)は、上記干渉によって既積載シート(KS1)が押し出された様子を示している。
【0057】
また、
図11(b1)は、シングルミシン目が形成されたシートを上積載トレイ751に積載し続けた状態を示した図であり、既積載シートはシングルミシン目を形成したシートの上流側端縁近傍の一部が他の部分と比較して盛り上がった状態となる。このように既積載シートが歪曲している状態で引き続きシートを上積載トレイ751に排出すると、排出シート(HS2)の先端が既積載シート(KS2)の歪曲部分(X2)と干渉することで、排出シート(HS2)が座屈したり、既積載シート(KS2)が押し出されるなどの積載不良が発生する。
図11(b2)は、上記干渉によって排出シート(HS2)が座屈した様子を示しており、
図11(b3)は、上記干渉によって既積載シート(KS2)が押し出された様子を示している。
【0058】
上記したように、ミシン目が形成されたシートを一定枚数以上積載トレイに積載すると、既積載シートの歪曲部分と排出シートの先端が干渉することによって、積載不良が発生する。本実施例においては、このように積載不良が発生し始める既積載シートの枚数を、薄紙に対しては300枚、厚紙に対しては1000枚と定義して記載する。
【0059】
なお、これらの積載不良が発生し始める既積載シートの枚数は上記枚数に限定されるものではなく、シートのサイズや種類などの各種シート情報および積載トレイの形状などに応じて可変させてもよく、また、ユーザによって任意枚数を設定可能としてもよい。
【0060】
図12は、フィニッシャ100に設けられたシート排出機構560Aの構成を示す図である。
図12において、M2はパルスモータである排紙モータであり、排紙モータM2の回転出力はタイミングベルト561を介して上排紙ローラ対515に伝達される。
【0061】
この排紙モータM2の駆動(回転数)は、上トレイ排紙センサ574によるシートの先端及び後端検知に基づき、適正な排出速度でシートを上積載トレイ751に排出することができるようにフィニッシャ制御部636により制御される。これにより、上排紙ローラ対515はシートの排出速度を変更可能に駆動する駆動手段である排紙モータM2によって、適正な排出速度でシートを排出することができる。
【0062】
ここで、本実施の形態においては、シートを排出する際、排出されるシートの先端部が上排紙ローラ対515を通過するまではシートを所定の搬送速度(以下、「先端排紙速度」という)で搬送する。つまり、フィニッシャ制御部636は、シート先端部を排出する際には、上排紙ローラ対515の搬送速度を先端排紙速度として規定された速度で排紙モータM2の回転数を制御する。
【0063】
そして、先端排紙速度で排出されるシートの先端部を上トレイ排紙センサ574が検出すると、フィニッシャ制御部636は上積載トレイ751に積載されているシート情報を確認し、既積載シートが歪曲している条件に一致するか否かを判断して、シートの排出速度を切り替える。つまり、既積載シートが歪曲している条件に一致しないと判断する場合は、引き続き先端排紙速度で排紙モータM2の回転数を制御し、既積載シートが歪曲している条件に一致していると判断する場合は、上排紙ローラ対515の搬送速度を更に加速させ、シートの先端部を浮き上がらせると共に、その先端部が既積載シートの歪曲部分に接することなく通過できる速度(以下、「ミシン目シート排紙速度」という)とすべく排紙モータM2の回転数を制御する。その後、フィニッシャ制御部636は排紙モータM2の駆動クロックをカウントし、排出されるシートの先端部が所定量上排紙ローラ対515よりも吐出したと判断されるまで上排紙ローラ対515の搬送速度を維持し、その後排紙モータM2の回転数を制御し排紙減速した上で上積載トレイ751にシートを排出する。
【0064】
上記排紙減速については一般的なモータ制御であり周知のものであるため、ここではその説明を省略する。なお、上記においては、既積載シートが歪曲している条件に一致しないと判断する場合は、引き続き先端排紙速度で排紙モータM2の回転数を制御しているが、先端排紙速度と異なる速度となるように排紙モータM2の回転数を制御してもよい。
【0065】
このように、上積載トレイ751に積載されているシート情報に応じて排紙ローラ対515を用いた排出速度制御を行うことにより、ミシン目シートの積載により既積載シートが歪曲している場合であっても、排出シートの座屈や既積載シートの押し出しなどの積載不良を発生させることなく上積載トレイ751に積載することができる。
【0066】
本実施例においては、先端排紙速度とミシン目シート排紙速度の速度差を示すために、先端排紙速度を700mm/sec、ミシン目シート排紙速度を1500mm/secと定義し記載する。
【0067】
なお、これらの排紙速度は上記速度に限定されるものではなく、シートのサイズや種類などの各種シート情報および積載トレイの形状などに応じて可変させてもよく、また、ユーザによって任意速度を設定可能としてもよい。
【0068】
ここから、画像形成装置1で実行される印刷処理(画像形成装置本体600で画像形成したシートをシート処理装置200へ受け渡し、シート処理装置200で受け渡されたシートにミシン目形成処理を施した後、ミシン目が形成されたミシン目シートをフィニッシャ100へ受け渡し、フィニッシャ100が受け渡されたミシン目シートを上積載トレイ751に排出し、ミシン目シートが上積載トレイ751に積載されるまで)の流れについて、フィニッシャ100の制御を中心に説明する。
【0069】
図13(a)および
図13(b)は、フィニッシャ100における印刷処理の流れを示したフローチャートである。図示のフローチャートに係る処理はフィニッシャ制御部636の制御下で行われる。即ち、本フローチャートに係る処理は、フィニッシャ制御部636のCPU412が、ROM415に記憶されたプログラムを必要に応じてRAM414に読み出して実行することにより実現される。本実施例においては、上積載トレイ751にシートを排出する場合について記載する。
【0070】
なお、本実施例においては、上積載トレイ751へミシン目シートを積載する場合を例に説明するが、類似の機構を持つ下積載トレイ750および下積載トレイ750に関連するセンサ類やモータ類などを制御して実現しても良い。
【0071】
印刷ジョブが開始されると、CPU412は、通信インターフェイス(SCI)413を介してシート処理装置200より受け渡されるシートの情報(以下、「排出シート情報」という)を画像形成装置本体600より受信する(S1001)。この排出シート情報には、シートサイズ、坪量、後処理情報、排出先積載トレイ情報などが含まれ、CPU412はこれらの排出シート情報をRAM414に記憶する。
【0072】
次にCPU412は、上積載トレイ751にシートを排出した時点で更新される既積載シートに関する情報(以下、「既積載シート情報」という)をRAM414より読み出す(S1002)。そして、読み出した既積載シート情報を解析し、排出シートを上積載トレイ751に排出する際の上排紙ローラ対515の搬送速度(以下、「排出速度」という)を決定する(S1003)。既積載シート情報の詳細および既積載シート情報を元に排出速度を決定するための処理フローについては後述する。
【0073】
引き続き、フィニッシャ100は、前記S1001で受信した排出シート情報に対する排出シートをシート処理装置200より受け取り後、CPU412は、排出シート情報で指示された上積載トレイ751に排出するための先端排紙速度(700mm/sec)で、排紙モータM2の回転数を制御する(S1004)。
【0074】
引き続き、CPU412は、機内搬送中の排出シートの先端が上トレイ排紙センサ574によって検知されたかを確認する(S1005)。S1005において、排出シートの先端が上トレイ排紙センサ574によって検知されていないと判断した場合(S1005で「No」の場合)、CPU412は上トレイ排紙センサ574の監視を継続する。一方、排出シートの先端が上トレイ排紙センサ574によって検出されたと判断した場合(S1005で「Yes」の場合)、S1006に処理を進める。
【0075】
上トレイ排紙センサ574によって排出シートの先端が検知されたことを認識したCPU412は、S1003で決定された排出速度を確認し(S1006)、S1003で決定された排出速度がS1004で搬送している先端排紙速度と同じであると判断した場合(S1006で「Yes」の場合)、引き続き先端排紙速度で排紙モータM2の回転数を制御する。一方、S1003で決定された排出速度がS1004で搬送している先端排紙速度と同じではないと判断した場合(S1006で「No」の場合)、CPU412はS1003で決定された排出速度で排紙モータM2の回転数を制御し、シート搬送速度を切り替える(S1007)。その後、CPU412は、排出シート先端部が所定量上排紙ローラ対515よりも吐出するまでS1003で決定された搬送速度を維持した後に排紙減速し、上積載トレイ751に排出シートを排出する(S1008)。
【0076】
排出シートを上積載トレイ751に排出後、CPU412は既積載シート情報を更新し、RAM414に保存する(S1009)。つまり、新たに排出シートを上積載トレイ751に排出したことで、上積載トレイ751に積載されているシート情報が変化するため、排出シート情報を元に既積載シート情報を更新する。この更新処理には、ミシン目シートの積載枚数情報を加算する処理や、排出シートの坪量を元に上積載トレイ751に積載済みのミシン目シートの平均坪量を再計算する処理などが含まれる。
【0077】
その後、CPU412は、上記上積載トレイ751に排出したシートが印刷ジョブの最終紙であるかを確認(S1010)し、排出シートが印刷ジョブの最終紙ではないと判断した場合(S1010で「No」の場合)、次ページの情報を受け取るため、S1001に戻り処理を継続する。一方、排出シートが印刷ジョブの最終紙であると判断した場合(S1010で「Yes」の場合)、印刷処理を終了する。
【0078】
引き続き、既積載シート情報を元に排出速度を決定するための処理フローを、
図13(b)に示すフローチャートを用いて説明する。既積載シート情報には、現在上積載トレイ751に積載されているシート情報(ミシン目シートの有無、既積載シートの平均坪量、積載枚数など)が含まれており、CPU412はこれらの既積載シート情報を元に排出速度を決定する。
【0079】
まず、CPU412は、RAM414に保存されている既積載シート情報を読み出し、上積載トレイ751にミシン目シートが積載されているか否かを判断する(S1101)。そして、上積載トレイ751にミシン目シートが積載されていないと判断した場合(S1101で「No」の場合)、CPU412は排出速度を先端排紙速度に決定する(S1105)。一方、S1101において、上積載トレイ751にミシン目シートが積載されていると判断した場合(S1101で「Yes」の場合)、S1102に処理を進める。
【0080】
次にCPU412は、上積載トレイ751に積載されているミシン目シートの平均坪量を判断する(S1102)。そして、上積載トレイ751に積載されているミシン目シートの平均坪量が薄紙相当(128gsm未満)であると判断した場合(S1102で「Yes」の場合)、S1103に処理を進める。
【0081】
CPU412は、S1103において上積載トレイ751に積載されているミシン目シートの積載枚数を判断する。そして、上積載トレイ751に積載されているミシン目シートの枚数が300枚未満であると判断した場合(S1103で「Yes」の場合)、排出速度を先端排紙速度に決定する(S1106)。一方、上積載トレイ751に積載されているミシン目シートの枚数が300枚未満ではないと判断した場合(S1103で「No」の場合)、排出速度をミシン目シート排紙速度に決定する(S1107)。
【0082】
一方、S1102において、上積載トレイ751に積載されているミシン目シートの平均坪量が薄紙相当(128gsm未満)ではないと判断した場合(S1102で「No」の場合)、S1104に処理を進める。
【0083】
CPU412は、S1104において上積載トレイ751に積載されているミシン目シートの積載枚数を判断する。そして、上積載トレイ751に積載されているミシン目シートの枚数が1000枚未満であると判断した場合(S1104で「Yes」の場合)、排出速度を先端排紙速度に決定する(S1109)。一方、上積載トレイ751に積載されているミシン目シートの枚数が1000枚未満ではないと判断した場合(S1104で「No」の場合)、排出速度をミシン目シート排紙速度に決定する(S1108)。
【0084】
以上のように、本実施例によれば、積載トレイにシートを排出する際に、既積載シートの情報により、積載トレイにシートを排出する際の排出速度を切り替える。これにより、ミシン目シートの積載により既積載シートが歪曲している場合であっても、排出シートの座屈や既積載シートの押し出しなどの積載不良を発生させることなく積載トレイに積載することができる。
【0085】
なお、本発明は前述した実施の形態に限定されず、本発明を逸脱しない範囲で種々の変形が可能であり、特許請求の範囲に記載された技術思想に含まれる技術的事項のすべてが本発明の対象となる。これまでの実施の形態は、好適な例を示したものであるが、当業者ならば、本明細書に開示の内容から、各種の代替例、修正例、変形例あるいは改良例を実現することができ、これらは添付の特許請求の範囲に記載された技術的範囲に含まれる。