(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024093119
(43)【公開日】2024-07-09
(54)【発明の名称】シート積載装置及びシート積載装置を備えた画像形成システム
(51)【国際特許分類】
B65H 31/38 20060101AFI20240702BHJP
G03G 15/00 20060101ALI20240702BHJP
【FI】
B65H31/38
G03G15/00 460
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022209291
(22)【出願日】2022-12-27
(71)【出願人】
【識別番号】000208743
【氏名又は名称】キヤノンファインテックニスカ株式会社
(72)【発明者】
【氏名】小宮山 修
【テーマコード(参考)】
2H072
3F054
【Fターム(参考)】
2H072AA22
2H072FB08
2H072JA02
3F054AA01
3F054AC01
3F054BA04
3F054BH14
3F054BH21
3F054DA01
3F054DA07
(57)【要約】
【課題】 シートにミシン目を形成した場合、ミシン目における凸部が盛り上がり、紙面検知センサで検知したシートの最上面と、整合板が整合するシートの最上面の位置がずれ、シートの最上面よりも下、もしくはシート最上面よりも上を整合してしまいシートの整列性が低下することを防止する。
【解決手段】 シフト整合の際、ミシン目を形成したシートを積載トレイに積載しシート束に凸部が形成され、トレイ上のシートの最上面の位置を整合出来ないと認識した場合、シフト整合時の整合板の高さを変えることで、トレイ上のシートの最上面の位置を整合することが出来るようになり、シートの整列性の低下を防ぐ。
【選択図】
図13
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートを搬入する搬入口と、
前記搬入口から搬入されたシートを搬送する搬送手段と、
前記搬送手段により搬送されたシートを排出する排出手段と、
前記排出手段により排出されたシートを積載する積載手段と、
前記積載手段に積載されたシートをシート幅方向に整合する整合手段と、
前記整合手段をシート厚さ方向の高さ位置を上下に昇降させる整合昇降手段と、
前記積載手段に積載されたシートにミシン目が施されているか否かを認識するミシン目認識手段と、
前記ミシン目認識手段によりシートにミシン目が施されていると認識した場合、前記積載手段にて積載されたシート束に凹凸が出来るか認識する凹凸認識手段と、
前記凹凸認識手段によりシート束に凹凸があると判断した場合、前記整合手段によってシートを整合する前記高さ位置を、シートにミシン目がない場合よりも、シート厚さ方向において上方に位置するよう前記整合昇降手段を制御する制御手段と、
を有することを特徴とするシート積載装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記凹凸認識手段から受け取る情報に基づき、シートを整合する位置が、前記整合手段で整合できる範囲外と認識した場合、前記整合手段によるシートの整合処理を行わないことを特徴する請求項1に記載のシート積載装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のシート積載装置と、
前記シート積載装置の前記搬送手段により搬送されるシートに対して、事前に画像を形成する画像形成装置と、
を備えた画像形成システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送されるシートにミシン目を形成する処理を施したシートを積載するシート積載装置及びそれを用いた画像形成システム(画像形成装置)に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、画像形成装置から排出されてきたシートにミシン目を形成するシート処理装置が知られている(特許文献1)。該特許文献1記載のシート処理装置は、シート処理装置でミシン目を形成したシートを下流側に搬送し、シート積載装置(フィニッシャ)に搬送する。そして従来フィニッシャでは、シートを積載するための積載トレイ上に備えられた、シート高さ方向、シート幅方向に移動可能な整合板が、積載トレイに排紙されたシートのシート幅方向を揃える整合動作をすることがよく知られており、特許文献1においても、この積載トレイにミシン目を施したシートが積載される。(特許文献2)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-206420号公報
【特許文献2】特開2006-206331号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
シートにミシン目を形成するには、微細な穿孔穴をシート搬送方向と直交する方向に複数形成するが、打ち抜き処理(所謂パンチ処理)とは異なり穿孔穴をあけた部分を切り抜く処理ではないため、ミシン目を形成した周囲にバリやカエリなどの凸部が生じる。
【0005】
上述のバリやカエリが発生したミシン目を施されたシートを、フィニッシャの積載トレイに多数枚積載していくと、凸部が形成された部分が盛り上がる。
【0006】
積載トレイに備えられた整合板は紙面検知センサで検出したトレイ上のシートの最上面の位置を基準にシートを整合する。
【0007】
ミシン目を施されたシートを積載トレイに積載しシート束に凸部が形成されると、紙面検知センサで検知したシートの最上面と、実際に整合板が接する目論見位置とがずれ、本来整合すべきシート位置よりも下方、もしくは上方に整合板が当接してしまい、積載トレイに積載したシートの整列性を低下させるという課題があった。
【0008】
本発明は、ミシン目を施されたシートを積載するシート積載装置において、上述した課題を解決することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、上記課題を解決するために、シートを搬入する搬入口と、前記搬入口から搬入されるシートを所定の搬送方向へ搬送する搬送手段と、前記搬送手段により搬送されたシートを排出する排出手段と、前記排出手段により排出されたシートを積載する積載手段と、前記積載手段に積載されたシートをシート幅方向に整合する整合手段と、前記整合手段を鉛直方向上下に昇降させる整合昇降手段と、前記積載手段に積載されたシートにミシン目が施されているか否かを認識するミシン目認識手段と、前記ミシン目認識手段によりシートにミシン目が施されていると認識した場合、前記積載手段にて積載されたシート束に凹凸が出来るか認識する凹凸認識手段と、前記凹凸認識手段によりシート束に凹凸があると認識した場合、前記整合手段を行う高さを前記積載手段にて積載されたシート束の最上面に変える整合位置変更手段と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、積載トレイに積載されたシートを整合する際、ミシン目を形成したシートを積載トレイに積載するとシート束に凸部が形成され、トレイ上の最上面のシートを整合出来ないと認識した場合、整合時に整合板の高さを変えることで、トレイ上の最上面のシート位置を整合することが出来るようになり、シートの整列性の低下を防ぐことが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明に係るシート積載装置を備えたシート処理装置及び画像形成装置の構成を示す断面図である。
【
図2】本発明に係るシート積載装置を備えたシート処理装置及び画像形成装置の制御系の構成を説明するブロック図である。
【
図4】シート処理装置の制御系の構成を示すブロック図である。
【
図5】シート処理装置を搬送方向下流側からみた側面図である。
【
図6】加工処理(ミシン目)が施されたシートの斜視図である。
【
図8】フィニッシャの制御系の構成を示すブロック図である。
【
図9】フィニッシャの整合板が、連続して排出されるシートを整合する様子を搬送方向下流側からみた側面図である。
【
図10】フィニッシャの整合板がシフト整合をする際に、奥側の整合位置から手前側の整合位置に整合位置を切り替える様子を搬送方向下流側から見た側面図である。
【
図11】ミシン目を施されていないシートを積載トレイに積載した際の、整合板の整合位置を示す側面図である。
【
図12】ミシン目を施されていないシートとミシン目を施されたシートをそれぞれフィニッシャの積載トレイに積載した際の、シート束の形状を示す側面図である。
【
図13】ミシン目を施されたシートが、積載トレイに積載された際の整合板の整合位置を変えることを示す側面図である。
【
図15】本発明にかかる整合板の位置を決定するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面に沿って本発明の実施の形態について説明する。なお、本実施の形態にあっては、画像形成装置本体600から画像形成されたシート(枚葉紙)を紙類処理装置200で取扱うので、該処理装置をシート処理装置200という。
【実施例0013】
画像形成装置1は、
図1に示すように、画像形成装置本体600と、該画像形成装置本体側面に隣接配置されたシート(紙類)処理装置200と、更に該シート処理装置の画像形成装置本体と反対側面に隣接配置されたフィニッシャ100とを有する。
【0014】
画像形成装置本体600は、原稿給送装置650及び操作部601を有しており、原稿給送装置650により給送された原稿が読取られ、感光ドラム914a~914dに画像が形成される。なお、ユーザが画像形成装置本体600に対して各種入力や設定を行うために操作部601に臨む位置を画像形成装置1の正面手前側(以下、「手前側」という)といい、装置背面側を奥側という。
【0015】
画像形成装置本体600内のシートカセット909a、909bから供給されたシートは、像担持体となる感光ドラム914a~914d等によってイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの4色のトナー画像が転写される。感光ドラム914a~914dはそれぞれシートにトナー画像を形成する画像形成手段となる画像形成部を構成する。そして、定着装置904に搬送されてトナー画像が定着され、片面の画像形成モードであれば、そのまま、排出ローラ907から画像形成装置本体600の外に排出される。両面の画像形成モードであれば、シートは定着装置904から反転ローラ905に受け渡される。そして、シートの搬送方向の後端が反転フラッパ3を越えると反転ローラ905を逆回転させる。これによりシート搬送方向とは逆方向となる両面搬送ローラ906a~906fの方向へシートを搬送する。
【0016】
そして、再度、シートの裏面側にイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの感光ドラム914a~914d等によって、4色のトナー画像が転写される。両面にトナー画像が転写されたシートは再度、定着装置904に搬送されてトナー画像が定着された後、排出ローラ907により画像形成装置本体600の外に排出される。
【0017】
シート処理装置200は、画像形成装置本体600の排出ローラ907から排出されたシートをフィニッシャ100に向けて搬送すると共に、該搬送途中にて後述するミシン目形成処理をシートに施す。フィニッシャ100は、シート処理装置200から排出されたシートを受入れ、積載トレイ750(又は、積載トレイ751)に排出するが、ユーザの設定に基づき、ステイプル処理や束揃え等の後処理を施した後、積載トレイ750に排出することもできる。
【0018】
画像形成装置本体600から排出されるシートは、オンラインに接続されたシート処理装置200、フィニッシャ100で処理することができる。尚、画像形成装置本体600は、フィニッシャ100を排出口9に接続しないで、単独でも使用できる。画像形成装置本体600は、シート処理装置200、フィニッシャ100をシート排出装置として一体に組み込んでもよい。また、画像形成装置本体600は、上述したカラー画像形成を行う画像形成装置本体に限らず、白黒の画像形成装置本体でもよい。
【0019】
図2は画像形成装置1を制御する制御部4の構成を示すブロック図である。
図2において、CPU(Central Processing Unit;中央演算装置)回路部630は、CPU629、ROM(Read Only Memory;リードオンリメモリ)631、RAM(Random-access Memory;ランダムアクセスメモリ)655を有している。CPU回路部630は、原稿給送装置制御部632、イメージリーダ制御部633、画像信号制御部634、プリンタ制御部635、フィニッシャ制御部636、制御手段となるシート処理制御部638、外部インターフェイス637を制御している。CPU回路部630は、ROM631に格納されているプログラム及び操作部601の設定に従って制御する。原稿給送装置制御部632は、原稿給送装置650を制御する。イメージリーダ制御部633は、イメージリーダ5を制御する。
【0020】
プリンタ制御部635は、画像形成装置本体600を制御する。シート処理制御部638は、
図3に示すシート搬送手段となる搬送ローラ211により搬送されたシートに所定の加工処理を行なうシート処理手段となるシート処理装置200を制御する。
【0021】
フィニッシャ制御部636は、フィニッシャ100を制御する。本実施形態において、シート処理制御部638はシート処理装置200に搭載し、フィニッシャ制御部636はフィニッシャ100に搭載した構成について説明する。
【0022】
本発明はこれに限定されるものではなく、シート処理制御部638やフィニッシャ制御部636はCPU回路部630と一体的に画像形成装置本体600に設け、画像形成装置本体600側からシート処理装置200、フィニッシャ100を制御するようにしても良い。
【0023】
RAM655は、制御データを一時的に保持する領域や、制御に伴う演算の作業領域として用いられる。外部インターフェイス637は、パーソナルコンピュータ(PC)620からのインターフェイスであり、プリントデータを画像に展開して画像信号制御部634へ出力する。イメージリーダ制御部633から画像信号制御部634へはイメージセンサ5aで読み取られた画像が出力される。そして、画像信号制御部634からプリンタ制御部635へ出力された画像は像露光手段となるレーザスキャナ10を制御する図示しない露光制御部へ入力される。
【0024】
シート処理制御部638は、シート処理装置200に搭載され、画像形成装置1のCPU回路部630と情報のやり取りを行うことによってシート処理装置200全体の駆動制御を行う。フィニッシャ制御部636は、フィニッシャ100に搭載され、画像形成装置1のCPU回路部630と情報のやり取りを行うことによってフィニッシャ100全体の駆動制御を行う。シート処理制御部638及びフィニッシャ制御部636は、画像形成装置1に設けられる様々なモータ及びセンサ等を制御している。
【0025】
ついで、シート処理装置について、
図3,
図5に沿って説明する。シート処理装置200は、
図3に示すように、キャスタ270により支持された筐体271を有しており、該筐体271内に水平方向に延びるシート処理パス6が配置されている。該シート処理パス6の中程に加工処理部8が配置されており、加工処理部8は、ミシン目を形成する処理を行うシート処理ユニット220と、該シート処理ユニットの下流側に隣接して配置される横方向・斜行レジストレーション補正ユニット(以下横レジ斜行補正ユニットという)250を有する。上記シート処理ユニット220の上流側のシート処理パス6に沿って複数個の搬送ローラ対202,208,209、210及び211が配置されており、各搬送ローラは、例えば搬送ローラ211で示すと、シート処理パス6の下側に駆動(アクティブ)ローラ211aが配置され、上側に従動ローラ211bが上記駆動ローラに接するように配置されている。これら搬送ローラの駆動ローラはモータM25により駆動される。また、前記画像形成装置本体600の排出口9に上記シート処理パス6の入口部が整列するよう配置されており、上記排出口6から該シート処理パス6に受入れられたシートを検出する入口センサ201が設置されており、加工処理部8の入口側にシート端検知センサ213及びユニット識別センサ222が配置されている。
【0026】
前記横レジ斜行補正ユニット250の下流側のシート処理パス6にも、上記上流側と同
様に、複数の搬送ローラ対214,215,216,206が配置されており、その排出口に排出センサ207が配置されている。該シート処理パス6の排出口は、前記フィニッシャ100のシートパス入口部に整列する。これら下流側の搬送ローラは、その駆動ローラがモータM26により駆動される。
【0027】
前記シート処理ユニット220は、
図5に示すように、ダイプレート225を有しており、上記ダイプレート225の手前側及び奥側端部分にはシャフトガイド228a,228bが立設されており、これらシャフトガイドにミシン目形成刃404が上下方向移動自在に支持されている。
【0028】
図3に示すように、前記シート処理ユニット220の上方に押圧駆動ユニット280が配設されている。押圧駆動ユニット280は、カム駆動モータM21と、該駆動モータで駆動される偏心カム282とを有する。偏心カム282は、カムシャフト281により偏心回転して前記ミシン目形成刃404を押圧する。
【0029】
ついで、上述したシート処理装置200の作用を中心として説明する。シート処理装置200は画像形成装置本体600の排出口9から排出されたシートを順に取り込む。シート処理装置200でのシート処理は、画像形成装置本体600に設けられた操作部601によるユーザの設定に応じて動作する。画像形成装置本体600の排出口9から排出されたシートは、シート処理装置200の搬送ローラ202に受け渡される。このとき、入口センサ201によりシートの受渡しタイミングも同時に検知されている。シートは搬送ローラ208~211により加工処理部8に搬送される。そして、
図3及び
図5に示すシート処理ユニット220の搬送パス232を通過する。
【0030】
搬送パス232を通過したシートは、シート搬送方向の所定位置に達したところで停止し、シート処理ユニット220によって加工処理(ミシン目)される。
【0031】
図6は、シート処理ユニット220によって加工処理(ミシン目)が施されたシートの斜視図である。
図6(a)は、矢印Aで示すシートの搬送方向に対するシートの中心位置近傍に、シートの搬送方向と直交する方向にミシン目を形成するモード(以下、「センターミシン目」という)によってミシン目が施された状態を示している。また、
図6(b)、(c)は、矢印Aで示すシートの搬送方向に対するシートのそれぞれ搬送方向上流側端縁近傍、搬送方向下流側端縁近傍に、シートの搬送方向と直交する方向にミシン目を形成するモード(以下、「シングルミシン目」という)によってミシン目が施された状態を示している。
【0032】
シート処理ユニット220により加工処理されたシートは再び搬送ローラ211により挟持搬送され、搬送ローラ214~216及び搬送ローラ206により搬送されて下流のフィニッシャ100に受け渡される。
【0033】
シート処理ユニット220はミシン目パターンの異なる複数種類の処理ユニットが準備されており、交換可能に搭載される。シート処理ユニット220に搭載された記憶手段となるIC(Integrated Circuit;半導体集積回路)チップ221の記憶部に記憶された種別情報をユニット識別センサ222で読み取る。これにより、どの種類のシート処理ユニット220を加工処理部8に搭載しているかを識別する。
【0034】
図4に示すように、シート処理制御部638は、マイクロコンピュータからなるCPU(Central Processing Unit;中央演算装置)701を有する。更に、RAM(Random Access Memory;ランダムアクセスメモリ)702、ROM(Read Only Memory;リードオンリメモリ)703を有する。更に、入出力部となる入出力I/O(Input/Output)705、通信インターフェイス706、ネットワークインターフェイス704を有している。搬送制御部707において、シートの搬送処理が行われる。また、シート処理駆動制御部708では、カム282がカム駆動モータM21によって回転駆動制御される。シート処理ユニット識別部709では、ユニット識別センサ222にて種別情報を読み取ることにより、搭載されているシート処理ユニット220の種別を識別する。横レジ斜行補正制御部710において、シートの斜行補正が行われる。
【0035】
次に、フィニッシャ100の構成について
図7を参照しながら説明する。
図7は
図1のフィニッシャ100の構成図である。
【0036】
フィニッシャ100は、シート処理装置200から排出されたシートを順に取り込み、取り込んだ複数のシートを整合して1つの束に束ねる処理、束ねたシート束の後端をステイプルで綴じるステイプル処理などの各シート後処理を行う。フィニッシャ100は、シート処理装置200から排出されたシートを搬送ローラ対511により搬送パス520に取り込む。搬送ローラ対511により内部に取り込まれたシートは、搬送ローラ対512,513,514を介して搬送される。搬送パス520上には、搬送センサ570,571,572,573が設けられており、それぞれシートの通過を検出している。搬送ローラ対512は、搬送パスセンサ571とともにシフトユニット580に備え付けられている。シフトユニット580は、後述するシフトモータM11により、搬送方向に直交するシート幅方向へシートを移動させることが可能である。搬送ローラ対512がシートを挟持している状態で、シフトモータM11を駆動することにより、搬送しながら、シートを幅方向にオフセットすることができる。シフトソートモードでは、部ごとにシート束の位置が幅方向へずらされる。オフセット量としては、幅方向の中心位置に対して手前側に15mm(手前シフト)、或いは奥側に15mm(奥シフト)である。シフト指定がない場合は、シートは手前シフトと同じ位置に排出される。フィニッシャ100は、搬送センサ571の入力によりシートがシフトユニット580を通過したことを検知すると、シフトモータM11を駆動させて、シフトユニット580をセンター位置へと戻す。
【0037】
搬送ローラ対513と搬送ローラ対514の間には、搬送ローラ対514によって反転搬送されるシートをバッファパス523に導く切替フラッパ540が配置されている。切替フラッパ540は不図示のソレノイドにより駆動される。バッファパス523には、バッファパスローラ対519が配置されている。搬送ローラ対514と上排紙ローラ対515の間には、搬送先を上排紙パス521と下排紙パス522の何れかに切り替える切替フラッパ541が配置されている。切替フラッパ541が上排紙パス521側に切り替わると、搬送モータM1により駆動される搬送ローラ対514により、シートは上排紙パス521へと導かれる。そして、シートは排紙モータM2により駆動される上排紙ローラ対515により積載トレイ751へと排出される。上排紙パス521上には上トレイ排紙センサ574が設けられており、シートの通過を検出している。切替フラッパ541が下排紙パス522側に切り替わると、搬送モータM1によって駆動される搬送ローラ対514により、シートは下排紙パス522へと導かれる。そして、シートは搬送モータM1により駆動される第1下搬送ローラ対516、第2下搬送ローラ対517、および処理トレイ搬送ローラ対518により、処理トレイ530へと導かれる。下排紙パス522上には第1搬送センサ575、第2搬送センサ576が設けられており、シートの通過を検出している。
【0038】
処理トレイ530へと導かれたシートは、不図示の束排紙モータにより駆動される束排紙ローラ対590により、後処理モードに応じて、処理トレイ530上または積載トレイ750上へと排出される。処理トレイ530上には、下トレイ排紙センサ577が配置されており、シートの通過を検出している。また、処理トレイ530には、ステイプラユニット591が配置され、処理トレイ530上で整合されたシート束にステイプル止めを行う。
【0039】
積載トレイ750および751は、トレイ昇降モータM9、M10により昇降可能となっている。紙面検知センサ720および721にて、トレイまたはトレイ上のシートの最上面が検出される。フィニッシャ100は、紙面検知センサ720、721の検知結果に基づいて、トレイ昇降モータM9、M10を駆動させることで、常に前述のトレイまたはトレイ上のシートの最上面とシートの排出口との距離が一定の距離になるように制御する。
【0040】
フィニッシャ100の積載トレイ751上には、積載トレイ751に排紙されたシートのシート幅方向を揃えるための整合部材としての整合板741a、741bが配置されている。なお、以降、整合板741a,741bを合わせて整合板741と称すこともある。同様に、積載トレイ750上には、積載トレイ750に排紙されたシートのシート幅方向を揃えるための整合板740a、740bが配置されている。なお、以降、整合板740a,740bを合わせて整合板740と称すこともある。整合板740a、整合板740bは、それぞれ下トレイ整合モータ(手前)M6、下トレイ整合モータ(奥)M7により、シート幅方向に移動可能であり740aが手前側、740bが奥側に配置されている。整合板741a、整合板741bはそれぞれ上トレイ整合モータ(手前)M3、上トレイ整合モータ(奥)M4によってシート幅方向に移動可能で、741aが手前側、741bが奥側に配置されている。また、整合板740a,740bは下トレイ整合板昇降モータM5により上下方向に駆動され、整合板741a,741bは上トレイ整合板昇降モータM8により上下方向に駆動される。
【0041】
また、シートが積載トレイ750および751に積載される際、フィニッシャ100は積載するシートの、ミシン目形成の有無、ミシン目が形成された位置、ミシン目が施されたシートの坪量、ミシン目が施されたシートの積載枚数等のプリントジョブ情報を逐次、後述するフィニッシャ制御部636のRAM414に記憶する。記憶したプリントジョブ情報は、後述する印刷処理および整合板シフト処理に用いている。また、プリントジョブ情報については、ユーザがプリントジョブを投入する際に設定した各種情報を、後述するフィニッシャ制御部636のSCI413を介し、画像形成装置本体600のCPU回路部630から取得可能である。
【0042】
次に、
図8のブロック図を用いて、フィニッシャ制御部636の構成について説明する。フィニッシャ制御部636は、CPU412、RAM414、ROM415、入出力I/O411、通信インターフェイス(SCI)413などで構成される。フィニッシャ制御部636は、CPU回路部630と通信を行い、コマンドの送受信やジョブの情報、シートの受け渡し通知などのデータ交換を行い、ROM415に格納されている各種プログラムを実行してフィニッシャ100の駆動制御を行う。RAM414は、制御データを一時的に保持し、また制御に伴う演算処理の作業領域として用いられる。SCI413は画像形成装置本体600のCPU回路部630とシリアル通信を行い、動作指示や制御データの受け渡しを行っている。入出力I/O411は、モータ等の出力デバイスに対して、CPU412からのオンオフ信号を送信したり、センサ等の入力デバイスから信号をCPU412へ送信したりする。入出力I/O411には、搬送モータM1、排紙モータM2、上トレイ整合モータ(手前)M3、上トレイ整合モータ(奥)M4、上トレイ整合板昇降モータM5が接続されている。入出力I/O411には更に、下トレイ整合モータ(手前)M6、下トレイ整合モータ(奥)M7、下トレイ整合板昇降モータM8、上トレイ昇降モータM9、下トレイ昇降モータM10、シフトモータM11が接続されている。また、入出力I/O411には、上トレイ紙面検知センサ721、下トレイ紙面検知センサ720、上トレイ排紙センサ574、下トレイ排紙センサ577が接続されている。
【0043】
また、入出力I/O411には、上トレイ駆動エンコーダ578、下トレイ駆動エンコーダ579が接続されている。上トレイ駆動エンコーダ578、下トレイ駆動エンコーダ579はそれぞれ、積載トレイ750,751上のシートの紙面検知動作に伴って昇降する積載トレイ750,751の移動に応じたパルスを出力する。CPU412は、上トレイ駆動エンコーダ578、下トレイ駆動エンコーダ579から出力されるパルスをカウントすることにより、積載トレイ750,751の移動量を判定することができる。
【0044】
次に、
図9、
図10を用いて、上述した整合板741のシフト整合動作におけるシート幅方向およびシート高さ方向の制御について、具体的に説明する。なお、整合板740の制御は整合板741と同じのため、積載トレイ750にシートを排出する場合の説明は以降、割愛する。
【0045】
図9(a)は、積載トレイ751と、整合板741が最初のシートを受け入れている状態を示す。尚、図中の破線は積載トレイ751の幅方向の中心位置を示す。ジョブ開始時、CPU回路部630からもたらされたシフト方向が奥側であると仮定する。その場合、積載トレイ751にシートが排出されると、
図9(b)に示すように、整合板741bが、上トレイ整合モータ(奥)M4によって、
図9(b)中の矢印の方向に移動し、シートが整合板741aに突き当てられ、整合される。その後、整合板741bは、
図9(c)に示すように、図矢印方向に移動して、この状態が後続のシートが排出されるまで維持される。その後、
図9(d)に示すように、後続のシートが排出されると、
図9(e)に示すように、最初のシートと同様、整合板741bが
図9(e)中の矢印の方向に移動し、シートが整合板741aに突き当てられ整合され、その後、
図9(f)に示すように、図矢印方向に移動する。その後、同じシフト方向のシートが積載される毎に同様の動作が繰り返される。
【0046】
図10(a)は、シフト方向が奥側のシートの整合が完了した状態を示す。その後、
図10(a)の矢印の様に、整合板741は上トレイ昇降モータM9によって、一旦所定の高さ位置へ退避し、整合位置を変更するために手前方向(図の右方向)へ移動し、再び下降し、
図10(b)に示す状態となる。この状態でシートが積載トレイ751に排出されると、
図10(c)に示すように、整合板741aが中心方向へ移動し、
図10(d)に示すように、シートは整合板741bに突き当てられ、整合される。その後、整合板741aは、
図10(e)に示すように、整合待機位置まで戻り、次のシートが積載されるまで待機している。その後シートが1枚積載される毎に
図10(c)から
図10(e)の動作が繰り返され、
図10(f)に示すようにシートが積載される。
【0047】
図11はミシン目を施されていないシートを積載トレイ751に積載した際の整合板741の整合時の位置を示した図であり、
図11(a)と
図11(b)ではシートの積載枚数が
図11(b)の方が多いが、整合板741が整合する位置は変わらない。これは上述した積載トレイ751の制御が紙面検知センサ721にて、積載トレイ751または積載トレイ751上のシートの最上面が検出され、フィニッシャ100は、紙面検知センサ721の検知結果に基づいて、トレイ昇降モータM9を駆動させることで、常に前述の積載トレイ751または積載トレイ751上のシートの最上面とシートの排出口との距離が一定の距離になるように制御するためである。
【0048】
図12は、フィニッシャ100がシート処理装置200から受け渡されたシートを積載トレイ751に積載した状態を示す図である。
図12(a)に示すように、シート処理装置200にてミシン目が施されていないシートは、シート全体の厚みが均等となっているため、積載トレイ751に積載されたシートは積載トレイ751におけるシート接触面角度と略平行に積載される。
【0049】
一方、シート処理装置200にてミシン目が施されたシートは、ミシン目を形成した部分にバリやカエリなどの凸部が生じることで、
図12(b)に示すように、積載トレイ751に多数積載すると凸部が盛り上がってくるため、積載トレイ751におけるシート接触面角度に倣うことなく積載される。
【0050】
例えば、
図12(b)は、センターミシン目が施されたシートを積載トレイ751に積載し続けた状態を示した図であり、既積載シート束はセンターミシン目を形成したシート中央部分が他の部分と比較して盛り上がった形状となる。
【0051】
このように、ミシン目を施されたシートを積載トレイ751に積載しシート束に凸部が形成されると、紙面検知センサ721で検知したシートの最上面と、積載トレイ751に積載したシートの最上面の位置がずれ、紙面検知センサ721で検知したシートの最上面を基準に整合板741でシートを整合すると積載トレイ751に積載したシートの最上面よりも下の位置を整合板741で整合してしまい積載トレイ751に積載されたシートの整列性を低下させるという課題があった。
【0052】
上記課題を解決するために、ミシン目を施されたシートを積載トレイ751に積載しシート束に凸部が形成され、紙面検知センサ721で検知したシートの最上面を基準に整合板741でシートを整合すると積載トレイ751に積載したシートの最上面を整合板741で整合出来ないと判断した場合、整合時に整合板741の高さを積載トレイ751に積載したシートの最上面の位置に変えることで、積載トレイ751に積載したシートの最上面を整合板741で整合することが出来るようになり、積載トレイ751に積載されたシートの整列性の低下を防ぐことが出来る。
【0053】
図13はミシン目を施されたシートが、積載トレイ751に積載された際の整合板741の整合位置を変えることを示す側面図である。
図13(a-1)はミシン目が施されていないシートを積載トレイ751に積載し、紙面検知センサ721の検知結果に基づいて整合板741の位置を整合位置として整合する図である。このとき整合板741は積載トレイ751に積載されたシートの最上面のシートを整合することが出来る。
図13(a-2)はセンターミシン目が施されたシートを積載トレイ751に積載し、シート束の中心位置近傍に凸部が形成され、紙面検知センサ721の検査結果に基づき整合板741にて整合する図であり、積載トレイ751に積載された最上面のシートよりも下を整合板741で整合するため、最上面のシートを整合することが出来ないため整列性が低下する。
図13(a-3)ではミシン目が施されたシートを積載トレイ751に積載した際に、積載されたシートがミシン目を施されているかを判断し、ミシン目が施されていると判断し、さらにミシン目のモードの判断にて、ミシン目のモードがセンターミシン目だと判断した場合、シート束の中心位置近傍に凸部が出来ると判断する。シート束の中心位置近傍に凸部が出来ると判断すると、ミシン目が施されていないシート束と比べ凸部の距離a’分、整合板741を上昇させ最上面のシートを整合することで整列性が低下しない。
【0054】
図13(b-1)はミシン目が施されていないシートを積載トレイ751に積載し、紙面検知センサ721の検知結果に基づいて整合板741の位置を整合位置として整合する図である。このとき整合板741は積載トレイ751に積載されたシートの最上面のシートを整合することが出来る。
図13(b-2)はシングルミシン目が施されたシートを積載トレイ751に積載し、シート束の搬送方向上流側端縁近傍に凸部が形成され、紙面検知センサ721の検査結果に基づき整合板741にて整合する図であり、積載トレイ751に積載された最上面のシートよりも上を整合板741で整合するため、最上面のシートを整合することが出来ないため整列性が低下する。
図13(b-3)ではミシン目が施されたシートを積載トレイ751に積載した際に、積載されたシートがミシン目を施されているかを判断し、ミシン目が施されていると判断し、さらにミシン目のモードの判断にて、ミシン目のモードがシングルミシン目だと判断した場合、シート束の搬送方向上流側端縁近傍に凸部が出来ると判断する。シート束の搬送方向上流側端縁近傍に凸部が出来ると判断すると、ミシン目が施されていないシート束と比べ凸部の距離b’分、整合板741を下降させ最上面のシートを整合することで整列性が低下しない。
【0055】
図14は整合板741の整合範囲を示す側面図である。ミシン目が施されたシートを積載トレイ751に積載し、整合板741の位置をミシン目が施されないシートが積載された場合よりも上昇または下降させる場合、シート束のミシン目位置の凸部の距離a’、b’が大きくなり、整合板741の整合範囲外で整合が必要だと判断した場合、積載トレイ751に積載された最上面のシートを整合することが出来ないため、整合板741で整合しない。
【0056】
次に、本実施形態のフィニッシャ100において、シフト整合の際に行われる整合板741の整合位置処理について、フローチャートを用いて説明する。
【0057】
図15は整合板741の整合位置を決める処理を示したフローチャートである。整合位置を決める処理は、フィニッシャ100において、フィニッシャ制御部636のCPU412がROM415に格納されたプログラムを、必要に応じてRAM414に読み出して実行することにより実現される。
【0058】
フィニッシャ制御部636はステップS101にて、積載トレイ751に積載済みのシートの情報を取得する。
【0059】
次に、ステップS102にて積載トレイ751に積載済みのシートにミシン目が施されたシートがあるか判断する。
【0060】
ステップS102にて積載トレイ751にて積載済みのシートにミシン目が施されたシートがないと判断した場合(ステップS102:No)、整合位置は変更せずに処理を終了する。
【0061】
ステップS102にて積載トレイ751にて積載済みのシートにミシン目が施されたシートがあると判断した場合(ステップS102:Yes)、ステップS103にて積載トレイ751に積載済みシートのミシン目がセンターミシン目か判断する。
【0062】
ステップS103にて積載トレイ751に積載済みシートのミシン目がセンターミシン目ではないと判断した場合(ステップS103:No)、整合板741を上昇させる必要がないため、ステップS106へ処理を進める。
【0063】
ステップS103にて積載トレイ751に積載済みシートのミシン目がセンターミシン目だと判断した場合(ステップS103:Yes)、ステップS104にてセンターミシン目の積載枚数を取得する。
【0064】
ステップS105にて積載トレイ751に積載された最上面のシートを整合板741で整合するため、センターミシン目の枚数に応じて整合板741で整合する際の位置を上昇させる。
【0065】
ステップS106にて積載トレイ751に積載済みシートのミシン目がシングルミシン目か判断する。
【0066】
ステップS106にて積載トレイ751に積載済みシートのミシン目がシングルミシン目ではないと判断した場合(ステップS106:No)、整合板741を下降させる必要がないため、ステップS109へ処理を進める。
【0067】
ステップS106にて積載トレイ751に積載済みシートのミシン目がシングルミシン目だと判断した場合(ステップS106:Yes)、ステップS107にてシングルミシン目の積載枚数を取得する。
【0068】
ステップS107にて積載トレイ751に積載された最上面のシートを整合板741で整合するため、シングルミシン目の枚数に応じて整合板741で整合する際の位置を下降させる。
【0069】
ステップ109にてステップ108までに決定された整合板741の移動量が整合板741の整合出来る所定範囲以内であるか判断する。
【0070】
ステップS109にて整合板741の移動量が整合板741の整合出来る所定範囲外であると判断した場合(ステップS109:No)、ステップS111にて積載トレイ751に積載された最上面のシートを整合することが出来ないため、整合板741での整合動作を実施しない。
【0071】
ステップS109にて整合板741の移動量が整合板741の整合出来る所定範囲であると判断した場合(ステップS109:Yes)、ステップS110にて整合板741で整合する位置を確定させる。
【0072】
以上のように、前述した各実施態様によれば、整合板741で積載トレイ751に積載されたシートを整合する際、ミシン目処理済みのシートを積載トレイ751に積載しシート束に凸部が形成されても、積載トレイ751の最上面のシートを整合板741で整合することが出来るため、シートの整列性の低下を防止することが可能になる。
【0073】
なお、本発明は前述した実施の形態に限定されず、本発明を逸脱しない範囲で種々の変形が可能であり、特許請求の範囲に記載された技術思想に含まれる技術的事項のすべてが本発明の対象となる。これまでの実施の形態は、好適な例を示したものであるが、当業者ならば、本明細書に開示の内容から、各種の代替例、修正例、変形例あるいは改良例を実現することができ、これらは添付の特許請求の範囲に記載された技術的範囲に含まれる。