(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024093121
(43)【公開日】2024-07-09
(54)【発明の名称】シート後処理装置
(51)【国際特許分類】
B65H 31/00 20060101AFI20240702BHJP
B65H 31/38 20060101ALI20240702BHJP
【FI】
B65H31/00 Z
B65H31/38
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022209293
(22)【出願日】2022-12-27
(71)【出願人】
【識別番号】000208743
【氏名又は名称】キヤノンファインテックニスカ株式会社
(72)【発明者】
【氏名】込山 賢治
【テーマコード(参考)】
3F054
【Fターム(参考)】
3F054AA01
3F054AC01
3F054BA04
3F054BH14
3F054DA01
3F054DA07
(57)【要約】
【課題】 積載トレイに積載されるまでの間にシートの姿勢が乱れることなく、また、搬送ローラによるシフト動作の際、シートの排出時にシフト方向へ力がかかってしまいシートの整列性が低下することを防止する。
【解決手段】積載トレイ上に配置された整合機構を用いてシートにシフト動作を行うことでシートの姿勢と整列性を低下させることなくシートのシフト動作を行う。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の排出方向にシートを排出する排出手段と、
前記排出手段により排出された前記シートを積載する積載手段と、
前記積載手段の上方に設けられ、前記積載手段に積載される前記シートのシート幅方向にシフトするシフト位置と前記積載手段に積載される前記シートのシート幅方向側縁から退避する退避位置とにそれぞれ独立して移動自在な一対の整合手段と、
前記整合手段を前記積載手段の積載面に直交する方向に昇降させる昇降手段と、
前記整合手段を制御する制御手段と、を備え、
前記制御手段は、前記排出手段により前記シートが排出される前に前記整合手段の一方を前記シフト位置へ他方を前記退避位置へそれぞれ移動させ、前記シートの後端が前記排出手段から抜けた後、前記退避位置にある方の整合手段を前記シフト位置へ移動させるシートシフト動作を行う制御を行う、シート後処理装置。
【請求項2】
前記シート後処理装置は、
前記シートシフト動作を行う際の前記昇降手段の位置を、前記シートのシート幅方向の側縁中心近傍に前記整合手段が当接するように前記整合手段と前記昇降手段を制御する、
請求項1に記載のシート後処理装置。
【請求項3】
前記シート後処理装置は、
前記排出手段から排出される前記シートの坪量を認識するシート坪量認識手段と、
を備え、
前記シート坪量認識手段により前記シートが所定の坪量を超えた場合、前記シートシフト動作を禁止すべく前記整合手段と前記昇降手段を制御する、
請求項1に記載のシート後処理装置。
【請求項4】
前記シート後処理装置は、
前記排出手段から排出される前記シートの排出方向長を認識するシート排出方向長認識手段と、
を備え、
前記シート排出方向長認識手段により前記シートが所定の排出方向長を超えた場合、前記シートシフト動作を禁止すべく前記整合手段と前記昇降手段を制御する、
請求項1乃至3の何れかに記載のシート後処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シートに後処理を行うシート後処理装置と、それを備えた複写機、プリンタ、ファクシミリ、またはそれらの複合機等の画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、複写機やプリンタ等の画像形成装置で画像が形成されたシートに対して後処理を行うシート後処理装置では、シートに後処理を行う処理トレイ上に配置され、シート幅方向に移動自在でシート側縁と係合する整合板により、シートを処理トレイに積載した後にシフト動作を行うことが知られている(整合板によるシフト動作)。また特許文献1に記載のように、整合板を用いずにシフト動作を行う手段として、シートを搬送する搬送ローラがシート幅方向に移動自在であり、所定のタイミングで搬送ローラをシート幅方向へ移動させることでシフト動作を行うことが知られている(搬送ローラによるシフト動作)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来技術のような整合板によるシフト動作では、処理トレイ上でシートのシフト動作を行った後にシートを積載トレイへ排出する必要があり、積載トレイに積載されるまでの間にシートの姿勢が乱れることがあるため、シートの整列性が低下することがあった。また、特許文献1に記載の搬送ローラによるシフト動作の場合、シートを積載トレイへ排出している途中でシートのシフトを行うため、シートの排出時にシフト方向へ力がかかってしまいシートの整列性が低下することがあった。
【0005】
本発明は、このような従来の技術に存在する課題に鑑みてなされたものであり、シートの整列性を低下させることなくシートのシフト動作を行うことが可能なシート後処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
所定の排出方向にシートを排出する排出手段と、前記排出手段により排出された前記シートを積載する積載手段と、前記積載手段の上方に設けられ、前記積載手段に積載される前記シートのシート幅方向にシフトするシフト位置と前記積載手段に積載される前記シートのシート幅方向側縁から退避する退避位置とにそれぞれ独立して移動自在な一対の整合手段と、前記整合手段を前記積載手段の積載面に直交する方向に昇降させる昇降手段と、前記排出手段により前記シートが排出される前に前記整合手段の一方を前記シフト位置へ他方を前記退避位置へそれぞれ移動させ、前記シートの後端が前記排出手段から抜けた後、前記退避位置にある方の整合手段を前記シフト位置へ移動させるシートシフト動作を行うべく、前記排出手段と前記整合手段を制御する制御手段と、を備えたシート後処理装置を提供する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、シートの整列性を低下させることなくシートのシフト動作を行うことが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明に係わる画像形成装置とシート処理装置を組み合わせた全体構成を示した説明図。
【
図2】本発明に係わるシート処理装置の全体説明図。
【
図3】シート処理装置の処理トレイ周辺の拡大側面説明図。
【
図4】搬送ローラ、分岐経路搬送ローラ及び排出ローラの駆動説明図。
【
図5】
図3の処理トレイのシート後端ストッパ側に設けられたステープル綴じユニットのシート幅方向への移動構成の説明図。
【
図6】
図3の処理トレイに設けられてシート幅方向に移動する整合板の移動構成の説明図。
【
図7】積載トレイ上方に配置された整合機構の拡大図。
【
図9】整合機構がシート側縁の後端側に当たる際の説明図。
【
図10】整合機構がシート側縁の中心部に当たる際の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照して本発明の好適な実施形態を詳しく説明する。
【実施例0010】
以下の発明を実施するための形態について、図面を利用しながら説明する。
図1は本発明に係わる画像形成装置H001とシート処理装置F001を備えた画像形成システムを示す全体構成図であり、
図2はシート処理装置F001の詳細構成の説明図である。
【0011】
[画像形成システム]
図1に示す画像形成システムは、画像形成装置H001とシート処理装置F001とから構成されている。そして画像形成装置H001の本体排出口H011にシート処理装置F001の搬入口F016が連結され、画像形成装置H001で画像形成されたシートをシート処理装置F001で所定の後処理を施してスタックトレイF600またはサドルトレイS001に収納するように構成されている。また、スタックトレイF600の上方には綴じ処理を行わず直接シート収納するエスケープトレイF015が配設されている。
【0012】
[画像形成装置]
画像形成装置H001について
図1に従って説明する。この画像形成装置H001は、給紙部H002からシートを画像形成部H005に送り、画像形成部H005でシートに画像形成した後、本体排出口H011から排出するように構成されている。給紙部H002は複数サイズのシートが給紙カセットH003、H004に収納してあり、指定されたシートを1枚ずつ分離して画像形成部H005に給送する。
【0013】
画像形成部H005には例えば静電ドラムH006と、その周囲に配置されたレーザー発光器H007と現像器H008と、転写チャージャH009と定着器H010が配置されている。画像形成部H005は、静電ドラムH006上にレーザー発光器H007で静電潜像を形成し、これに現像器H008でトナーを付着し、転写チャージャH009でシート上に画像を転写し、定着器H010で加熱定着し画像形成する。このようにして画像形成されたシートは本体排出口H011から順次搬出される。また両面印刷の際は、定着器H010から表面側に画像形成したシートを、スイッチバック経路H013を介して表裏反転した後、循環経路H012を経由し、再び画像形成部H005に給送してシートの裏面側に画像形成する両面印刷の経路である。このように両面印刷されたシートはスイッチバック経路H013で表裏反転された後、本体排出口H011から搬出される。
【0014】
画像読取装置H014では、プラテンH015上にセットした原稿シートをスキャンユニットH016で走査し、光電変換素子(たとえばCCD)で電気的に読み取る。この画像データは画像処理部で例えばデジタル処理された後、データ記憶部H017に転送され、前記レーザー発光器H007に画像信号を送る。また、原稿送り装置H018では、原稿スタッカH019に収容した原稿シートをプラテンH015に給送する。また、画像形成装置H001には上記スキャンユニットH016で読み取った画像データ或いは外部のネットワークから転送された画像データがデータ貯蔵部H020に蓄積される。このデータ貯蔵部H020から画像データはバッファメモリH022に転送され、このバッファメモリH022から順次にレーザー発光器H007にデータ信号が移送されるように構成されている。
【0015】
コントロールパネルH021からは、画像形成条件、例えばシートサイズ指定、カラー・モノクロ印刷指定、プリント部数指定、片面・両面印刷指定、拡大・縮小印刷指定などの印刷条件が設定される。さらに、上述の片面/両面印刷、拡大/縮小印刷、モノクロ/カラー印刷などの画像形成条件と同時にシート処理条件も入力指定される。このシート処理条件は、例えば「プリントアウトモード」「ステープル綴じモード」「区分け(ジョグ)モード」「中綴じモード」等が設定される。なお、これらの処理条件については後述する。
【0016】
[シート処理装置]
シート処理装置F001は
図1及び
図2に示す様に、装置フレームF014の一方に設けられたシートの搬入口F016と、これと反対の外側に設けられた1枚シートや比較的厚いシートを集積するエスケープトレイF015が配置されている。このエスケープトレイF015の下方には、綴じ処理したシートや比較的量が多いシートを集積する昇降可能なスタックトレイF600が位置している。さらにこのスタックトレイF600の下方には、中綴じあるいは折り処理されたシートを集積するサドルトレイS001が設けられている。
【0017】
[シートの搬送経路]
このシート処理装置F001の上記搬入口F016からは搬入経路F002から処理トレイ出口F300に向かって略直線的に延びる搬送経路F004が配置されている。搬入経路F002にはパンチユニットP001が設けられ、パンチモータP003(図示しない)によりシートの端面や必要に応じて搬送方向の中程にパンチ処理する。このパンチユニットP001の搬入経路F002を挟んだ下方にはパンチ処理時に発生するパンチ屑を集積するパンチ屑ボックスP002が装置フレームF014に着脱自在に設けられている。
【0018】
上記パンチユニットP001の下流側には、シートを搬送する搬入ローラF003が配置され搬入ローラモータF021(図示しない)によりシートを高速で搬送する。この搬入ローラF003の下流側の搬送経路F004には、シートを処理トレイF301やその下流側のスタックトレイF600に導く正逆転可能な搬送ローラF005が設けられている。この搬送ローラF005の後方はシートの搬送経路出口F006となっている。
【0019】
この搬送経路出口F006の下流側には、正逆転可能な排出ローラF601が設けられている。この排出ローラF601は、シートをスイッチバックして処理トレイF301にシートを搬入したり、スタックトレイF600にストレートで排出したり、あるいは処理トレイF301で綴じ処理されたシートの束を処理トレイF301からスタックトレイF600に排出する。
【0020】
[エスケープ経路、分岐経路]
また、搬送経路F004は、シートをエスケープトレイF015に案内するエスケープ経路F008と、比較的長いシートを中綴じ処理や折り処理するためにサドル処理トレイS006に案内する分岐経路F010とに、分岐位置F017で分岐されている。この分岐位置F017には、シートを搬送経路F004にそのまま搬送するか、エスケープ経路F008に搬送するか、搬送経路F004上でスイッチバックさせて分岐経路F010に案内するかを選択するための経路の分岐位置切り替えゲートF007が設けられている。
【0021】
上記分岐経路F010は、
図2及び
図3に示される様に処理トレイF301の側方でこの処理トレイF301を囲うように下側に湾曲した経路であり、後述するように後続シートが待機シートとして待機する待機経路と兼用している(本発明では、待機経路として説明する場合には、分かりやすく待機経路F010と表現している)。また、エスケープ経路F008には、シートを搬送するエスケープ搬送ローラF009とエスケープトレイF015にシートを排出するエスケープ排出ローラF018が設けられている。
【0022】
[綴じ処理部]
ところで、搬送経路F004の搬送経路出口F006の下方には処理トレイF301が設けられその下端側には、この処理トレイF301上に一時集積したシート束の端面を綴じる綴じ処理部F302が位置している。この綴じ処理部F302については、追って
図3と
図5により説明する。
【0023】
[中綴じ処理部]
一方、比較的長いシートを上記の搬送経路F004を処理トレイF301方向に一旦搬送し、分岐位置切り替えゲートF007の下流側に搬送後、今度はスイッチバック搬送して分岐経路F010に搬送して分岐経路出口S008からサドル処理トレイS006に集積する。このサドル処理トレイS006に集積したシートの中ほどを綴じる中綴じ処理部S002が配置されている。
図2に示す様に分岐経路出口S008には、分岐経路排出ローラS009からサドル処理トレイS006にシートが搬入される毎にシートを図示左側に付勢して先行シート後端と次シート先端の衝突を防止する中綴じ処理部切り替えフラッパS010が設けられている。
【0024】
[サドル処理トレイ]
サドル処理トレイS006にはシートの搬入位置を規定するシート先端ストッパS007が位置している。このシート先端ストッパS007は、サドル処理トレイS006の上下側に設置されたプーリに張設された移動ベルトをシート先端ストッパ移動モータS015(図示しない)で駆動することにより図示矢印方向に移動する。シート先端ストッパS007の位置は、シートがサドル処理トレイS006に搬入の際にシートの後端が上記の中綴じ処理部切り替えフラッパS010で変更できる位置、シートの搬送方向の略中央を中綴じユニットS003で中綴じを行う位置、及び中綴じされた位置を折りローラS004対に往復動する折りブレードS005で押し込んでシートの束を二つ折りする位置に夫々停止する。また、折りローラS004の上下には、シートのサドル処理トレイS006の搬入の都度シート幅方向からシートの両側縁を押圧して揃え動作を行う中綴じ整合板S011が設けられている。
【0025】
[中綴じユニット]
中綴じ処理部S002には、シート束を、例えばステープル針を中綴じユニットS003内のドライバによって打ち込み、これに対向する位置に設けられステープル針の脚部を折り曲げるアンビルが設けられている。この中綴じユニットS003は既に広く知られているので、ここでの説明を省略するが、綴じ手段としてはステープル針をシート束に貫通して綴じるのみではなく、シートの搬送方向中央に接着剤を塗布して、シートを貼り合せて束とする機構であってもよい。
【0026】
[サドルトレイ]
上記の中綴じユニットS003で綴じられたシート束は、折りローラS004とこれにシート束を押し込む折りブレードS005によって、二つ折りにされながらのこの折りローラS004とその下流側に位置する折りシート束排出ローラS013によって、サドルトレイS001に排出される。このサドルトレイS001には、折り処理されその背側を先端側として排出される折りシート束をサドルトレイS001に落下させる先端に回転自在のコロを設け揺動自在の折りシート束押えローラS012と、集積した折りシート束が広がらないように上から押える折りシート束押えレバーS014が取り付けられている。この折りシート束押えローラS012と折りシート束押えレバーS014により折りシート束が開いてしまうことによる集積性の低下を低減している。
【0027】
[分岐位置と端面綴じ部]
ここで、
図3により分岐位置F017や綴じ処理部F302について、さらに説明を続ける。既に説明したようにここでは、搬入口F016から搬入ローラF003が配置された搬入経路F002、これから処理トレイF301方向に直線的に延びる搬送経路F004、この搬送経路F004から図示上方に延びるエスケープ経路F008と下方に湾曲してシートをサドル処理トレイS006に案内する分岐経路F010が示されている。分岐位置F017には搬入経路F002のシートをエスケープ経路F008か搬送経路F004か、または搬送経路F004をスイッチバック搬送してくるシートを分岐経路F010に選択的に位置して案内する分岐位置切り替えゲートF007が配置されている。
【0028】
この実施の形態にあっては、例えば
図3に示すように、実線位置でエスケープ経路F008を塞いで、シートを搬入経路F002から搬送経路F004に案内するようになっており、破線位置では搬入経路F002から搬送されるシートはエスケープ経路F008へ、搬送経路F004をスイッチバック搬送されるシートは分岐経路F010に案内されることを示している。
【0029】
上述した搬送経路F004には、最終端である搬送経路出口F006の直前に、正逆転するとともに相互に離接する搬送ローラF005が配置されている。すなわち、この搬送ローラF005が圧接状態での一方向回転で処理トレイF301側にシートを搬送し、他方回転で反対方向にスイッチバック搬送可能となっている。
【0030】
[スイッチバック搬送について]
このスイッチバック搬送は、搬送経路F004の分岐位置切り替えゲートF007の直後に配置された入口センサF011がシート後端の通過を検出した後、搬送ローラF005を他方回転させることよっておこなわれる。この他方回転のときは、分岐位置切り替えゲートF007が搬入経路F002を塞ぐ位置(
図3破線位置)に移動しており、これによりシートは待機経路F010に搬送され、分岐経路搬送ローラF012によって引き継ぎ搬送される、シート後端が所定位置に到達するとこの分岐経路搬送ローラF012を停止して、待機経路F010でシートを待機状態とする。
【0031】
ところで、搬送ローラF005の下流側であり処理トレイ出口F300には、正逆転するとともに相互に離接する排出ローラF601が配置されている。この排出ローラF601は、排出上ローラF603と排出下ローラF604とからなり、これらが相互に圧接状態での一方向回転で、上記の搬送ローラF005と協働してスタックトレイF600にシートを搬送する。また、排出ローラF601は、処理トレイF301に集積して束としたシートをスタックトレイF600に押し出す移動部材でもあるシート後端ストッパF303と協働して排出する際も使用される。
【0032】
[処理トレイへの搬入]
ここで、処理トレイF301へのシートの搬入について説明する。この処理トレイF301への搬入は、搬送ローラF005から放出したシートを下流側に位置する排出ローラF601の他方回転で処理トレイF301の傾斜面を
図3右側に搬送する。この搬送されたシートを、掻き込みコロF013を図示反時計方向に回転して移送する。この移送によりシートの搬送方向先端は端面の綴じ基準となるシート後端ストッパF303に当接して停止する。このとき掻き込みコロF013はシート上を滑り、シート先端がシート後端ストッパF303に当接後に座屈することを防いでいる。このように、排出ローラF601は搬送ローラF005から排出されたシートを処理トレイF301のシート後端ストッパF303に送る機能を有している。
【0033】
[ステープル綴じユニット移動と綴じ処理]
シートが搬送ローラF005から放出される度に、排出ローラF601と掻き込みコロF013の回転によりシートをシート後端ストッパF303に送り処理トレイF301上に積み重ねていく。また、この積み重ね動作に合わせて、整合板F304をシート幅方向の両側から当接させてシートを処理トレイF301の幅方向中央に整合する。このような積み重ねと整合を、束とする指定の枚数になるまで繰り返す。指定枚数になると、今度はステープル綴じユニット移動台F305の上を処理シートの端面をシート幅方向に移動するステープル綴じユニットF306を所望の綴じ位置に移動する。この移動は、ステープル綴じユニット移動台F305にシート幅方向に設けられた図示の溝レールにステープル綴じユニットF306のステープル綴じユニット移動ピンF307が嵌合して案内されてなされる。
【0034】
ステープル綴じユニットF306の綴じ処理は既に公知なので説明を省略するが、ステープル綴じユニットF306が指定した綴じ位置で停止すると、ステープル綴じモータF309が回転駆動して、図示していないドライバを移動してステープル針をシート束に打ち込み、打ち込まれたステープル針をアンビルによって折り曲げて針綴じ処理する。この綴じ処理はシート束の角の端面や幅方向の端面の複数位置に行う。
【0035】
[綴じシート束の排出]
ステープル綴じユニットF306で綴じ処理されたシート束は、処理トレイF301下方の左右側に設置されたプーリに架け渡された移動ベルトの図示反時計方向の移動により、このシート後端ストッパ移動ベルトに連結されたシート後端ストッパF303が図示左方向に移動することにより、移動部材としてシート束の綴じ端面側をスタックトレイF600に向けて移動するように押し出す。なおシート後端ストッパ移動ベルトの駆動は、シート後端ストッパ移動モータF327(図示しない)で行われる。この押し出しとともに処理トレイF301の出口に配置された排出ローラF601で綴じられたシート束を表裏から押圧し、時計方向の回転によりスタックトレイF600に綴じられたシート束を排出する。
【0036】
[スタックトレイの昇降]
シート束を集積するスタックトレイF600について説明する。
図3に示す様にこのスタックトレイF600は処理トレイF301と傾斜角度を略同様にして配置され、処理トレイF301から排出される綴じシート束や搬送経路F004から搬送ローラF005、排出ローラF601によって排出される1枚毎のシートも集積する。
【0037】
このスタックトレイF600の底面側には、スタックトレイF600を昇降するスタックトレイ昇降モータF605が設けられ、この駆動はスタックトレイ昇降ピニオンF606に伝達される。スタックトレイ昇降ピニオンF606は、装置フレームF014の立ち面F607の両側に上下に固定して設けられたスタックトレイ昇降ラックF608に係合している。また、特に図示していないが、スタックトレイF600の立ち面F607に設けられた昇降レールで上下を案内している。
【0038】
このスタックトレイF600の位置またはこのスタックトレイF600に集積されたシートの位置は、立ち面F607に設けたスタックトレイ紙面センサF609によって検出する。そして、このスタックトレイ紙面センサF609が検出するとスタックトレイ昇降モータF605を駆動して、スタックトレイ昇降ピニオンF606を回転して下降するようになっている。
図3の状態は、スタックトレイF600の上面をスタックトレイ紙面センサF609で検出している状態で、ここから多少下降してシート束を受け入れることになる。従って、処理トレイF301からの出口位置の上面と、スタックトレイF600の上面は段差を持って位置している。
【0039】
[搬送上ローラの回転駆動]
まず、搬送上ローラF019と搬送下ローラF020からなる搬送ローラF005の駆動は、搬送ローラモータF023で行われる。この搬送ローラモータF023はハイブリッド型のステッピングモータから構成され、モータ軸の回転速度を検出する搬送ローラ速度検出センサF024が配置されている。
【0040】
[搬送上ローラの離接]
また、搬送上ローラF019は固定された搬送下ローラF020に対して離接可能に取り付けられている。この離接は、搬送上ローラのアームギアの軸に取り付けられた後方扇形ギアに係合する搬送ローラ移動アームモータF022を正逆転駆動することにより、一方向回転によりの解放方向に、他方回転により搬送下ローラF020に圧接する圧接方向に移動する。なお、搬送ローラ移動アームモータF022もステッピングモータで構成されるとともに、搬送上ローラF019の位置を搬送ローラ移動アームセンサF025で検出するようになっている。
【0041】
[搬送下ローラなどの回転駆動]
搬送下ローラF020の回転駆動は、搬送ローラモータF023によって行われる。また、搬送ローラモータF023は同時に掻き込みコロF013も回転させる。
【0042】
この掻き込みコロF013は、ワンウェイクラッチ付ギアを介して伝達されているので、搬送ローラモータF023が正逆回転しても
図4の実線矢印方向のみにしか回転せず、処理トレイF301のシート後端ストッパF303の方向のみにシートを移送するように回転する。
【0043】
また、搬送ローラモータF023の駆動は、分岐経路F010中でシートを搬送する分岐経路搬送ローラF012にも伝達される。
【0044】
以上の構成により、搬送ローラモータF023の正逆回転に従い、搬送ローラF005、分岐経路搬送ローラF012は図示実線矢印方向の一方向と破線矢印方向の他方向(スイッチバック方向)に、掻き込みコロF013は実線矢印方向のシート後端ストッパF303方向に回転する。また、この搬送ローラモータF023は、シートを処理トレイF301側に搬送する際や分岐経路F010側へのスイッチバック搬送の際に、所定の速度でシート搬送ができるよう設定可能となっている。
【0045】
[排出上ローラの回転駆動]
排出上ローラF603と排出下ローラF604からなる排出ローラF601の駆動は、排出ローラモータF614で行われる。この排出ローラモータF614もハイブリッド型のステッピングモータから構成され、モータ軸の回転速度を検出する排出ローラ速度検出センサF611も同様に配置されている。
【0046】
[排出上ローラの離接など]
排出上ローラF603は、固定された排出下ローラF604に対して離接可能に取り付けられている。この離接は、排出上ローラのアームギアの軸に取り付けられた後方扇形ギアに係合する排出ローラ移動アームモータF612を正逆転駆動することにより、一方向回転により解放方向に、他方回転により排出下ローラF604に圧接する圧接方向に移動する。なお、排出ローラ移動アームモータF612もステッピングモータで構成されるとともに、排出上ローラF603の位置を排出ローラ移動アームセンサF613で検出するようになっている。また、排出下ローラF604の回転駆動は、排出ローラモータF614によって行われる。
【0047】
[排出ローラモータの速度設定]
以上の構成により、排出ローラモータF614の正逆回転に従い、排出ローラF601は図示実線矢印方向の一方向と破線矢印方向の他方向(シートが搬送ローラF005から放出されてから処理トレイF301上でシート後端ストッパF303側への搬送方向)に回転する。また、この排出ローラモータF614は、搬送ローラF005を所定の速度で駆動するように速度設定が変更可能としている。
【0048】
なお、この実施の態様においては、後述する待機搬送を行う場合のスイッチバック搬送時など搬送ローラF005でシート搬送を行っている場合は、駆動モータが分かれていて連動が難しいので、この排出上ローラF603は排出下ローラF604から解放された離間位置に位置している。
【0049】
[待機搬送、サドル処理トレイ搬送]
ここで、
図3に戻って、例えば上述した綴じ処理のためスイッチバック搬送して待機経路F010に待機する待機搬送について述べる。処理トレイF301のステープル綴じユニットF306で綴じ処理する場合に、画像形成装置H001の画像形成したシートの搬入する速度が速く、またシート間隔が短いために、先行するシート束の綴じ処理が完了しないのに次のシートが搬入されることを防ぐ必要がある。この為、搬入経路F002を経て搬送経路F004に搬送されたシートの1枚目または2枚目までを一旦搬送経路F004上でスイッチバック搬送し、このスイッチバック搬送したシートを待機経路F010に留め置いて待機させることが行われている。そして次の2枚目あるいは3枚目のシートと重ね合わせて送るように待機経路F010に待機した待機シートを繰り出す様にしてシート束間の間隔時間を確保する。
【0050】
なお、ここではこの搬送経路F004から待機経路F010にスイッチバック搬送し、この待機経路F010にシートを1枚以上留め置いて待機させ、この待機した待機シートの次のシートと共に繰り出し搬送することを「待機搬送」と言う。この待機搬送を行う綴じ処理用のシートは搬送方向長さが比較的短いシート、例えばA4、B5、レターの各サイズシートが多い。従って、これらのシートは待機搬送のためにスイッチバック搬送は、処理トレイF301の下流側に大きくはみ出ることなく行われ、この搬送時にシートが曲がることは少ない。たとえ、多少曲がっても、処理トレイF301迄の距離は比較的短いので、整合板F304の整合動作で曲がりが矯正されやすい。
【0051】
また、上記の綴じ処理の完了は、シート束を処理トレイF301からスタックトレイF600に排出動作が完了するのみではなく、処理トレイF301上の整合板F304の初期設定動作やシート後端ストッパF303の初期位置復帰あるいはその他次シートを受け入れるために各機構を初期位置設定することを含む。
【0052】
次に、中綴じユニットS003で中綴じ処理を行い、このシートを折りローラS004と折りブレードS005で折り処理して折りシート束とするためのサドル処理トレイS006に搬送する場合について述べる。このサドル処理トレイS006への搬送は、搬入経路F002を経て搬送経路F004に搬送されたシートを一旦搬送経路F004上でスイッチバック搬送し、このスイッチバック搬送したシートを分岐経路F010からサドル処理トレイS006に搬送することになる。このスイッチバック搬送したシートを、分岐経路F010を介してサドル処理トレイS006に搬送することを、ここでは「サドル処理トレイ搬送」という。
【0053】
[スイッチバック搬送]
なお、この実施の形態においては、搬送ローラF005によりシートは「待機搬送」を行う場合には、シート後端が搬送経路F004と待機経路F010との分岐位置に配置された入口センサF011に検知されるとシートを待機経路F010にスイッチバック搬送して待機経路F010に位置する分岐経路搬送ローラF012にニップさせてその後この分岐経路搬送ローラF012の回転を停止する。また、待機経路F010の下流側に位置するサドル処理トレイS006に集積して中綴じ処理を行う「サドル処理トレイ搬送」を行う場合、同様に搬送ローラF005によりスイッチバック搬送されたシートを分岐経路F010の分岐経路搬送ローラF012に送り停止させることなくサドル処理トレイS006に送る。
【0054】
また、排出ローラF601も正逆転可能となっていて、搬送ローラF005によって送られてきた後続シート(待機経路F010に待機していた待機シート、または搬入経路F002からのシートあるいはこれらの重ね合わせたシート)の後端が、搬送ローラF005から放出すると、この後続シートを排出ローラF601でニップし、その後逆転するとこれらの後続シートはシート後端ストッパF303側へ搬送されて、処理トレイF301に収納される。
【0055】
[処理トレイからのシート束排出]
また、排出ローラF601は、先に説明したように排出上ローラF603が揺動可能となっていて、下降して排出下ローラF604に圧接する圧接位置(
図4の破線位置)と、排出下ローラF604から上昇した離間位置(
図4の実線位置)に位置する。そして、処理トレイF301でシート束に所定の後処理がされた後に、このシート束をスタックトレイF600に排出するために、まずシート後端ストッパF303を処理トレイ出口F300側に移動して押し上げる。引き続き排出上ローラF603を圧接位置に下降して、シート束を排出下ローラF604と共にニップして処理トレイ出口F300側にシート束を移送して、スタックトレイF600に束排出する。
【0056】
[シート処理部]
排出ローラF601によって排出されるシート束は、処理トレイF301のシート処理部で処理される。本実施の態様のシート処理は、ステープル綴じユニットF306で綴じる綴じ処理と、整合板F304で処理トレイF301での位置を異ならせて排出してスタックトレイF600で綴じられることなく区分けする、いわゆるジョグ処理が行われる。なお、このほかにも、糊付けによる貼り合わせやシートに穿孔するパンチ処理などもこのシート処理に含まれる。
【0057】
[ステープル綴じユニットの移動]
すでに、この発明のシート処理部として、シート束を針綴じ処理するステープル綴じユニットF306について触れているが、ここでこのステープル綴じユニットF306のシート束の幅方向の移動について、
図5により説明する。この図はシート束の針綴じを行うステープル綴じユニットF306が、ステープル綴じユニット移動台F305上で移動することを示している。このステープル綴じユニット移動台F305はシート処理装置F001の装置フレームF014に、図示上部をフロント側として、下部をリア側としている。
図3も参照すると、ステープル綴じユニット移動台F305にはステープル綴じユニットF306側から突出するステープル綴じユニット移動ピンF307を案内するステープル綴じユニット移動溝F311が略直線状に設けられている。このステープル綴じユニットF306の先端側にステープル綴じユニットガイドピンF308が、ステープル綴じユニット移動台F305に設けられたステープル綴じユニット姿勢ガイドF310に係合されてある。
【0058】
また、ステープル綴じユニットF306は、ステープル綴じユニット移動モータF312によって移動するステープル綴じユニット移動台ベルトF313に結合されている。これにより、ステープル綴じユニットF306は、その移動位置によって、リア側のコーナー綴じ位置F314、これよりセンター側の範囲にマルチ綴じ範囲F316~F317、フロント側のコーナー綴じ位置F315となっている。さらに、フロント側においてステープル綴じユニットF306の後方を装置外側に向ける針補充位置と、これよりフロント側のマニュアル綴じ位置でもあり綴じ開始前のステープル綴じユニットホームポジション位置F318に位置するように制御される。したがって、この実施態様の装置は、シート処理部の1つとして、処理トレイF301に積載されたシート束の任意の位置で綴じ処理を行うステープル綴じユニットF306を有している。なお、シート処理部では処理トレイF301にシートの搬入の都度シート揃えを行うシート幅方向に対となる整合板F304が配置されている。
【0059】
[整合板]
次に、
図6により、処理トレイF301へのシート搬入の都度シート側縁に当接して、シートを整合したり、シートの積載位置を変更したりする整合板F304について説明する。
図6は、処理トレイF301を上面から見た図で、整合板F304は、フロント側のフロント整合板F319とリア側のリア整合板F320とからなる。これらは夫々、シートの側縁に離接するフロント整合面F321とリア整合面F322を有する。このシート側縁への離接は、フロント整合モータF323、及びリア整合モータF324によって行われる。
【0060】
このフロント整合板F319とリア整合板F320は、マルチ綴じをするときはシートセンターを基準として整合したり、コーナー綴じのときは、
図6のように片側基準として整合したり綴じ方などよって整合の基準を変更することができる。また、シート処理部の1つとして、処理トレイF301に積載されたシート束を片寄せし これをスタックトレイF600に排出することによってシート束を区分けするいわゆるジョグ処理も可能となっている。
【0061】
[区分け処理]
区分け処理を行う場合は、たとえば
図6に示す最大シートを処理トレイF301に搬入後、このシート幅方向外側に位置していたフロント整合板F319を図示F325(フロント側シフト位置)へ移動する。これによってシートは予め退避していたリア整合板F320にシートの側縁が当接して、F326(リア側シフト位置)へ寄せられて処理トレイF301に位置することになる。これとは逆にリア側整合板F320でフロント側に寄せれば、フロント側に位置することになる。これによりシートを区分けすることができる。
【0062】
また区分け処理はエスケープ排出ローラF018においても行うことが可能である。エスケープ排出ローラF018はシート幅方向へ動作可能であり(図示せず)、フロント側に寄せればシートをフロント側に区分けすることができ、リア側に寄せればシートをリア側に区分けすることができる。区分け処理を行う際は搬送されたシートがエスケープ排出ローラF018のみで搬送する状態になった時にエスケープ排出ローラF018をシート幅方向へ動作させる必要がある。
【0063】
[従来制御の課題]
処理トレイF301にて区分け処理を行った後にスタックトレイF600へシートを排出する際、シートの排出は排出ローラF601にて行われ、シートの後端が排出ローラF601を抜けた後、シートはスタックトレイF600へ自然落下にて積載されるため整列性が乱れる、という課題がある。
【0064】
また、エスケープ排出ローラF018にて行われる区分け処理についてエスケープ排出ローラF018がシート幅方向へ動作する。エスケープ排出ローラF018にて区分け処理を行った場合、寄せた側にシートの慣性が働き、シートが流れてしまう。また、スタックトレイF600への排出と同様にエスケープ排出ローラF018はシートの後端が抜けた後、シートはエスケープトレイF015へ自然落下にて積載される。そのためエスケープトレイF015に積載した際にも整列性が乱れる、という課題がある。
【0065】
[課題に対する解決手段]
そこで
図7に示すように、スタックトレイF600及びエスケープトレイF015の上方にシートをシート幅方向に整合する整合機構F500を設ける。整合機構F500が所定のタイミングで後述の紙揃え処理を行うことで、シートを予め区分けすることなく、スタックトレイF600及びエスケープトレイF015に積載した際に区分けされ、かつ、整列性が改善された状態で積載することが可能となる。以降整合機構F500の動作についてスタックトレイF600へシートを排出した際について説明していくが、エスケープトレイF015へのシートの排出においても同義である。
【0066】
[整合機構]
整合機構F500にはシート側縁と係合する一対の整合部材F501(フロント側の整合部材F501a、リア側の整合部材F501b)が配置されている。この一対の整合部材F501は整合昇降モータF502(図示せず)によりシート面に対して直交方向に移動し、かつ、整合移動モータF503(図示せず)によりシート幅方向に移動する。また、整合昇降モータF502と整合移動モータF503は同時に動作可能な構成となっている。
【0067】
整合昇降モータF502により整合部材F501a、F501bはシートを受け入れる際には昇降受け入れ位置へ移動を行う。シートがスタックトレイF600に排出される前にはシートを整合する昇降整合位置へ移動を行う。シートの整合が完了した後に昇降待機位置へ移動を行う。整合昇降モータF502はこの3つの位置を移動自在となっている。なお、昇降受け入れ位置と昇降整合位置については同様の位置でもよい。
【0068】
整合移動モータF503により整合部材F501a、F501bはシートを受け入れる際には受け入れ位置へ移動を行う。さらに、シートがスタックトレイF600に排出される前にはシートの整合の準備を行う整合準備位置へ移動を行い、シートがスタックトレイF600に排出中にシートを整合する整合位置へ移動を行う。そして、シートの整合が完了した後に待機位置へ移動を行う。そのために、整合移動モータF503はこの3つの位置を移動自在となっている。なお、整合準備位置と整合位置についてはシート幅に応じたそれぞれの位置があり、排出されるシートに合わせて適宜位置の可変を行う。
【0069】
[紙揃え処理]
紙揃え処理について、
図8にて説明する。
図8は整合機構F500を上面から見た図となっている。
【0070】
(a)はシートを受け入れる状態を表している。(a)の場合、整合部材F501は整合昇降モータF502により昇降受け入れ位置に、整合移動モータF503により受け入れ位置に移動している。
【0071】
(b)は処理トレイF301にてシートに後処理を行わず、そのままスタックトレイF600に排出される状態を表している。この時、シートはフロント側に区分けした状態でスタックトレイF600に積載することを目論んでいる。この場合、整合移動モータF503によりフロント側の整合部材F501aを整合位置へ移動させ、リア側の整合部材F501bを整合準備位置へ移動させる。また、整合部材F501は整合昇降モータF502により昇降整合位置へ移動させる
【0072】
(c)はシートの後端が排出ローラF601を抜けスタックトレイF600に自然落下している状態を表している。シートの自然落下が始まったタイミングで整合移動モータF503によりリア側の整合部材F501bを整合位置へ移動させる。リア側の整合部材F501bによりシートはフロント側に寄せられ、整合部材F501aにシート側縁が当たることで、シートはフロント側に区分けされ、スタックトレイF600に積載される。
【0073】
(d)は処理トレイF301にてシートに後処理を行わず、そのままスタックトレイF600に排出される状態を表している。この時、シートはリア側に区分けした状態でスタックトレイF600に積載することを目論んでいる。この場合、整合移動モータF503によりフロント側の整合部材F501aを整合準備位置へ移動させ、リア側の整合部材F501bを整合位置へ移動させる。また、整合部材F501は整合昇降モータF502により昇降整合位置へ移動させる。
【0074】
(e)はシートの後端が排出ローラF601を抜けスタックトレイF600に自然落下している状態を表している。シートの自然落下が始まったタイミングで整合移動モータF503によりフロント側の整合部材F501aを整合位置へ移動させる。フロント側の整合部材F501aによりシートはリア側に寄せられ、整合部材F501bがシート側縁に当たることで、シートはリア側に区分けしてスタックトレイF600に積載される。
【0075】
(f)はシートの排出がすべて完了した状態を表している。シートの排出が完了後、整合部材F501は整合昇降モータF502により昇降待機位置へ移動し、整合移動モータF503により待機位置へ移動する。移動が完了することで整合機構F500の紙揃え処理が終了となる。
【0076】
(b)及び(d)にて移動している整合昇降モータF502の昇降整合位置においては、整合部材F501がシート側縁の後端側に当たらないようにする。
図9に示すように整合部材F501がシートの後端側縁に当たってしまうとシートの後端側のみに力がかかってしまい、シートの先端側を支点にして回転してしまう虞がある。そのため
図10に示すように整合部材F501がシート側縁の中心部に当たるように整合昇降モータF502を駆動させ、シートの搬送方向長さに応じて昇降整合位置を変えることで、シートの回転を防ぐことができる。
【0077】
なおシートの坪量が大きい場合は、シートの区分けに必要な力をシートに十分に伝えることができず、整列性に影響が出る虞がある。そのためシートの坪量が所定の坪量を超えている場合、紙揃え処理を禁止する。
【0078】
また整合昇降モータF502により整合部材F501を昇降整合位置に移動させた時に、整合部材F501をシート側縁の中心部に当てることができないシートの搬送方向長さの場合、整列性に影響が出る虞がある。そのためシートの搬送方向長さが所定の搬送方向長さを超えている場合、紙揃え処理を禁止する。
【0079】
[解決手段のフローチャート説明]
前述した整合機構F500によるシートの区分け処理について
図11のフローチャートで説明する。
【0080】
S100ではシートの坪量に応じて紙揃え処理を実施するか判断を行う。シートの坪量が所定の坪量を超えている場合紙揃え処理は実施しない。
【0081】
S101ではシートの搬送方向長さに応じて紙揃え処理を実施するか判断を行う。シートの搬送方向長さが所定の搬送方向長さを超えている場合紙揃え処理は実施しない。
【0082】
S102~S106ではシートをフロント側に区分けする場合を示している。シートをフロント側に区分けする場合、整合部材F501は整合移動モータF503によりフロント側の整合部材F501aを整合位置へ、リア側の整合部材F501bを整合準備位置へ移動する。また、整合昇降モータF502により整合部材F501は昇降整合位置へ移動する。シートをスタックトレイF600へ排出中、整合移動モータF503によりリア側の整合部材F501bは整合位置へ移動する。リア側の整合部材F501bによりシートはフロント側に寄せられる。整合部材F501aにシート側縁を突き当てることで、シートはフロント側に区分けされ、スタックトレイF600に積載される。
【0083】
S107~S111ではシートをリア側に区分けする場合を示している。シートをリア側に区分けする場合、整合部材F501は整合移動モータF503によりフロント側の整合部材F501aを整合準備位置へ、リア側の整合部材F501bを整合位置へ移動する。また、整合昇降モータF502により整合部材F501は昇降整合位置へ移動する。シートをスタックトレイF600へ排出中、整合移動モータF503によりフロント側の整合部材F501aは整合位置へ移動する。フロント側の整合部材F501aによりシートはリア側に寄せられる。整合部材F501bにシート側縁を突き当てることで、シートはリア側に区分けされ、スタックトレイF600に積載される。
【0084】
S107にてシートをリア側に区分けしない場合、紙揃え処理は実施しない。
【0085】
[制御構成の説明]
上述した画像形成装置のシステム制御構成を
図12のブロック図に従って説明する。
図1に示す画像形成装置のシステムは画像形成装置H001の画像形成制御部C000とシート処理装置F001のシート処理装置制御部(CPU)C003を備えている。画像形成制御部C000は、給紙制御部C001と入力部C002を備えている。そしてこの入力部C002に設けられたコントロールパネルH021から「プリントモード」「シート処理モード」の設定を行う。
【0086】
シート処理装置制御部(CPU)C003は、前述の指定されたシート処理モードに応じてシート処理装置F001を動作させる。このシート処理装置制御部(CPU)C003は、動作プログラムを記憶した不揮発性記憶部(ROM)C004と、制御データを記憶する揮発性記憶部(RAM)C005とを備えている。また、このシート処理装置制御部(CPU)C003には、各種センサ入力部C014からスタックトレイF600上の紙面検出するスタックトレイ紙面センサF609や搬送経路F004のシートを検出する入口センサF011などの信号が入力される。
【0087】
このシート処理装置制御部(CPU)C003は、シートの搬入経路F002の搬入ローラモータF021、搬送経路F004と分岐経路F010の搬送ローラモータF023、処理トレイF301出口の排出ローラモータF614、搬送上ローラF019の昇降を行う搬送ローラ移動アームモータF612、排出上ローラF603の昇降を行う排出ローラ移動アームモータF612などを制御するシート搬送制御部C006を備えている。また、このシート処理装置制御部(CPU)C003は、パンチユニットP001でシートに穿孔処理を行うパンチモータP003などを制御するパンチ駆動制御部C007と、処理トレイF301でシートの集積動作を行う整合板F304などを制御する処理トレイ制御部C008を備えている。また、処理トレイF301上のシート束に綴じ処理を行うステープル綴じユニットF306のステープル綴じモータF309などを制御するステープル綴じ制御部C009と、ステープル綴じしたシート束やスタックトレイF600上へのシートスイッチバックに応じて昇降するスタックトレイ昇降モータF605などを制御するスタックトレイ昇降制御部C010も備えている。さらに、このシート処理装置制御部(CPU)C003は、整合機構F500の整合部材F501によりシートに紙揃え処理を行う整合昇降モータF502や整合移動モータF503を制御する整合機構制御部C015を備えている。
【0088】
また、シート処理装置制御部(CPU)C003は、中綴じ処理するためにサドル処理トレイS006に集積するシートの中綴じ整合板S011やシート先端を規制するシート先端ストッパS007などを制御するサドル処理トレイ制御部C011と、シート束の搬送方向中程を綴じる中綴じユニットS003を制御する中綴じ制御部C012を有している。
【0089】
さらに、シート処理装置制御部(CPU)C003は、中綴じ処理したシート束を二つ折りにしてサドルトレイS001に排出する折りローラS004や折りシート束排紙ローラS013などを制御する折り・排出制御部C013を備えている。これら各制御部と搬送されるシートを検出する各センサと各駆動モータとのつながり等は既に各動作の態様においても述べた通りである。
【0090】
[シート処理モードの説明]
上述のように構成された本実施態様のシート処理装置制御部(CPU)C003はシート処理装置F001に、例えば「プリントアウトモード」「ステープル綴じモード」「区分け(ジョグ)モード」、「中綴じモード」等を実行させる。以下、この処理モードについて述べる。
【0091】
(1)「プリントアウトモード」
画像形成装置H001の本体排出口H011から画像形成されたシートを受け入れ、このシートを搬送ローラF005や排出ローラF601でスタックトレイF600に収容する。
【0092】
(2)「ステープル綴じモード」
本体排出口H011から画像形成されたシートを処理トレイF301に受け入れシートを束状に部揃えして端面綴じユニットF306で綴じ処理した後、スタックトレイF600に収納する。なお、この綴じ処理にあっては、本体排出口H011からの後続シートの排出を停止しないように、先のシートをスイッチバック搬送して待機経路F010に一時待機して待機シートとする「待機搬送」を行う。
【0093】
(3)「区分け(ジョグ)モード」
本体排出口H011から画像形成されたシートを処理トレイF301に受け入れシートを1枚ずつフロント側リア側いずれかの方向に区分け(ジョグ)して綴じることなくスタックトレイF600に収納する。なお、この区分け(ジョグ)にあっても、本体排出口H011からの後続シートの排出を停止しないように、先のシートをスイッチバック搬送して待機経路F010に一時待機して待機シートとする「待機搬送」を行う。
【0094】
(4)「中綴じモード」
画像形成装置H001の本体排出口H011から画像形成されたシートをサドル処理トレイS006に受け入れ、シートを束状に部揃えし中綴じユニットS003でシートの受け入れ搬送方向の略中央を綴じ、冊子状に折り畳んでサドルトレイS001に収納する。この中綴じ処理にあたっては、本体排出口H011からのシートをスタックトレイF600上に一旦排出し、その後分岐経路F010にスイッチバック搬送してサドル処理トレイS006に搬送する「サドル処理トレイ搬送」を行っている。
【0095】
以上のように、上述した各実施態様によれば、シートを区分けして積載する際、良好なシートの整列性を実現したシート後処理装置を提供することが出来る。
【0096】
なお、本発明は前述した実施の形態に限定されず、本発明を逸脱しない範囲で種々の変形が可能であり、特許請求の範囲に記載された技術思想に含まれる技術的事項のすべてが本発明の対象となる。これまでの実施の形態は、好適な例を示したものであるが、当業者ならば、本明細書に開示の内容から、各種の代替例、修正例、変形例あるいは改良例を実現することができ、これらは添付の特許請求の範囲に記載された技術的範囲に含まれる。