IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ クボタシーアイ株式会社の特許一覧 ▶ 株式会社大阪防水建設社の特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024093128
(43)【公開日】2024-07-09
(54)【発明の名称】製管機
(51)【国際特許分類】
   B29C 63/32 20060101AFI20240702BHJP
【FI】
B29C63/32
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022209308
(22)【出願日】2022-12-27
(71)【出願人】
【識別番号】505142964
【氏名又は名称】株式会社クボタケミックス
(71)【出願人】
【識別番号】000149206
【氏名又は名称】株式会社大阪防水建設社
(74)【代理人】
【識別番号】100090181
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 義人
(72)【発明者】
【氏名】中村 良一郎
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 晃介
(72)【発明者】
【氏名】谷室 裕久
(72)【発明者】
【氏名】宇賀 太一
【テーマコード(参考)】
4F211
【Fターム(参考)】
4F211AA04
4F211AA11
4F211AA15
4F211AA16
4F211AA29
4F211AD03
4F211AF01
4F211AG08
4F211AH43
4F211AR07
4F211SA05
4F211SC03
4F211SD06
4F211SJ11
4F211SJ13
4F211SJ16
4F211SP04
(57)【要約】      (修正有)
【課題】ライニング部材の連結部分の変形を抑制でき、耐震性に優れる螺旋管を形成できる製管機を提供する。
【解決手段】製管機60は、ライニング部材を螺旋状に巻き回すように案内する螺旋巻きガイド装置62、螺旋状に巻き回したライニング部材の隣り合う側縁部どうしを連結する連結装置70、およびライニング部材の連結部分を跨いで覆うように、ライニング部材に外面側から補強部材を取り付ける取付装置72を備える。
【選択図】図11
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ライニング部材を螺旋状に巻き回すと共に前記ライニング部材の隣り合う側縁部どうしを連結することによって螺旋管を形成しながら、形成した前記螺旋管を既設管内に順次送り込んでいく製管機であって、
前記ライニング部材を螺旋状に巻き回すように案内する螺旋巻きガイド装置、
螺旋状に巻き回した前記ライニング部材の隣り合う側縁部どうしを連結する連結装置、および
前記ライニング部材の連結部分を跨いで覆うように、前記ライニング部材に外面側から補強部材を取り付ける取付装置を備える、製管機。
【請求項2】
前記連結装置は、前記ライニング部材に外面側から連結部材を取り付けることで、前記連結部材によって前記ライニング部材の隣り合う側縁部どうしを連結し、
前記取付装置は、前記連結部材を覆うように前記補強部材を前記ライニング部材に取り付ける、請求項1記載の製管機。
【請求項3】
前記取付装置は、
前記補強部材を外面側から押圧して当該補強部材の被係止部を前記ライニング部材の係止部に係合させると共に、前記螺旋管に回転力を与える補強部材送りローラ、
前記補強部材送りローラを回転駆動させるモータ、
前記補強部材送りローラと対向する周方向位置に設けられ、当該補強部材送りローラとの間で前記ライニング部材の連結部分を挟み込むように当該ライニング部材の連結部分の内面側を押圧する第1反力受けローラ、
前記螺旋管の回転方向における前記補強部材送りローラの下流側の周方向位置に当該補強部材送りローラと所定間隔をあけて設けられ、前記補強部材を外面側から押圧して前記ライニング部材の外面に沿うように前記補強部材を湾曲させる補強部材曲げローラ、および
前記補強部材送りローラと前記補強部材曲げローラとの間の周方向位置に設けられ、前記ライニング部材の連結部分の内面側を押圧する第2反力受けローラを備える、請求項1または2記載の製管機。
【請求項4】
前記補強部材曲げローラは、前記螺旋管の径方向に移動可能に設けられており、
前記補強部材の曲げ量が調整可能である、請求項3記載の製管機。
【請求項5】
前記補強部材曲げローラは、当該補強部材曲げローラの軸と平行に配置された揺動軸を支点として揺動可能に設けられたフレームに支持されている、請求項4記載の製管機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ライニング部材を螺旋状に巻き回すと共にライニング部材の隣り合う側縁部どうしを連結することによって螺旋管を形成しながら、形成した螺旋管を既設管内に順次送り込んでいく、製管機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の製管機の一例が特許文献1に開示される。特許文献1の製管機は、歯車機構を保持すると共に、歯車機構に回転駆動力を付与する駆動モータが取り付けられる剛性の取付け箱と、形成される管状体(螺旋管)と新たに供給される帯状部材(ライニング部材)との閉合部位に配され、帯状部材を挟着かつ駆動する外面ローラと内面ローラとからなり、少なくとも外面ローラは歯車機構に連動する接合ローラ部と、外面ローラに跨がり、取付け箱に固定される剛性の囲繞箱体と、相平行して配される複数のローラを保持する螺旋環状の枠体構造をなすと共に、囲繞箱体を介して固定され、新たに供給される帯状部材に沿って帯状部材の最初に閉合する部位に至る螺旋状に実質的に1回周して配される外周規制枠体とを備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011‐104777号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
既設管を更生する螺旋管には所定の強度が求められるが、特許文献1の技術を用いて形成した螺旋管は、ライニング部材の側縁部どうしを連結した部分の強度が小さい。このため、施工後に地震が発生して螺旋管に引張力(引抜力)が作用したときに、ライニング部材の連結部分が変形して止水性が低下してしまう恐れがある。
【0005】
それゆえに、この発明の主たる目的は、新規な、製管機を提供することである。
【0006】
この発明の他の目的は、ライニング部材の連結部分の変形を抑制でき、耐震性に優れる螺旋管を形成できる、製管機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の発明は、ライニング部材を螺旋状に巻き回すと共にライニング部材の隣り合う側縁部どうしを連結することによって螺旋管を形成しながら、形成した螺旋管を既設管内に順次送り込んでいく製管機であって、ライニング部材を螺旋状に巻き回すように案内する螺旋巻きガイド装置、螺旋状に巻き回したライニング部材の隣り合う側縁部どうしを連結する連結装置、およびライニング部材の連結部分を跨いで覆うようにライニング部材に外面側から補強部材を取り付ける取付装置を備える、製管機である。
【0008】
第1の発明では、製管機は、形成した螺旋管を既設管内に順次送り込んでいく元押し方式の製管機であって、螺旋巻きガイド装置、連結装置および取付装置を備える。螺旋巻きガイド装置は、ライニング部材を螺旋状に巻き回すように案内する装置である。連結装置は、螺旋状に巻き回されたライニング部材の隣り合う側縁部どうしを連結する装置である。取付装置は、ライニング部材の連結部分を跨いで覆うように、ライニング部材の外面側から補強部材をライニング部材に取り付ける装置である。
【0009】
第1の発明によれば、ライニング部材の連結部分を跨いで覆うように補強部材を取り付けるので、ライニング部材の連結部分の変形を抑制でき、耐震性に優れる螺旋管を形成できる。
【0010】
第2の発明は、第1の発明に従属し、連結装置は、ライニング部材に外面側から連結部材を取り付けることで、連結部材によってライニング部材の隣り合う側縁部どうしを連結し、取付装置は、連結部材を覆うように補強部材をライニング部材に取り付ける。
【0011】
第2の発明によれば、ライニング部材の連結に連結部材を用いることで、螺旋管を形成する際に、隣り合うライニング部材の周長を合わせ易くなり、軸方向の全長に亘って口径が一様な螺旋管を形成できる。また、補強部材によって連結部材が保護されるので、連結部材が既設管の内面に擦れて傷つくことを防止できる。
【0012】
第3の発明は、第1または第2の発明に従属し、取付装置は、補強部材を外面側から押圧して当該補強部材の被係止部をライニング部材の係止部に係合させると共に、螺旋管に回転力を与える補強部材送りローラ、補強部材送りローラを回転駆動させるモータ、補強部材送りローラと対向する周方向位置に設けられ、当該補強部材送りローラとの間でライニング部材の連結部分を挟み込むように当該ライニング部材の連結部分の内面側を押圧する第1反力受けローラ、螺旋管の回転方向における補強部材送りローラの下流側の周方向位置に当該補強部材送りローラと所定間隔をあけて設けられ、補強部材を外面側から押圧してライニング部材の外面に沿うように補強部材を湾曲させる補強部材曲げローラ、および補強部材送りローラと補強部材曲げローラとの間の周方向位置に設けられ、ライニング部材の連結部分の内面側を押圧する第2反力受けローラを備える。
【0013】
第3の発明によれば、取付装置が補強部材曲げローラおよび第2反力受けローラを備えるので、補強部材を所定の曲率に適切に曲げ成形することができ、ライニング部材の連結部分に補強部材をより適切に取り付けることができる。
【0014】
第4の発明は、第3の発明に従属し、補強部材曲げローラは、螺旋管の径方向に移動可能に設けられており、補強部材の曲げ量(曲率)が調整可能である。
【0015】
第4の発明によれば、異なる口径の螺旋管を形成する他の製管機に取付装置を兼用できる。
【0016】
第5の発明は、第4の発明に従属し、補強部材曲げローラは、当該補強部材曲げローラの軸と平行に配置された揺動軸を支点として揺動可能に設けられたフレームに支持されている。
【0017】
第5の発明によれば、補強部材曲げローラの径方向位置を容易に調整できる。
【発明の効果】
【0018】
この発明によれば、ライニング部材の連結部分を跨いで覆うように補強部材を取り付ける取付装置を備えるので、ライニング部材の連結部分の変形を抑制でき、耐震性に優れる螺旋管を形成できる。
【0019】
この発明の上述の目的、その他の目的、特徴および利点は、図面を参照して行う後述の実施例の詳細な説明から一層明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】この発明の一実施例である製管機を用いて既設管を更生する様子を模式的に示す図解図である。
図2】製管機によって形成された螺旋管を示す斜視図である。
図3】管更生部材が備えるライニング部材の一例を示す斜視図である。
図4図3のライニング部材を示す断面図である。
図5】管更生部材が備える連結部材の一例を示す斜視図である。
図6図5の連結部材を示す断面図である。
図7】管更生部材が備える補強部材の一例を示す斜視図である。
図8図7の補強部材を示す断面図である。
図9】管更生部材を用いて螺旋管を形成する様子を示す図である。
図10】螺旋管の補強部材周辺部を拡大して示す図である。
図11】この発明の一実施例である製管機を示す正面図である。
図12図11の製管機を示す平面図である。
図13図11の製管機を示す左側面図である。
図14図11の製管機を示す右側面図である。
図15図11の製管機が備える螺旋巻きガイド装置を示す正面図である。
図16図15の螺旋巻きガイド装置を示す展開図である。
図17図11の製管機が備えるライニング部材送り装置を示す正面図である。
図18図17のライニング部材送り装置を示す左側面図である。
図19図17のライニング部材送り装置のライニング部材送りローラの周辺部分を示す断面図である。
図20図17のライニング部材送り装置が備える4方向ガイドローラを示す平面図である。
図21図17のライニング部材送り装置の座屈防止ガイドローラ群の周辺部分を示す断面図である。
図22図11の製管機が備える連結部材ガイド装置を示す正面図である。
図23図11の製管機が備える補強部材送り曲げ装置を示す正面図である。
図24図11の製管機が備える連結装置を示す正面図である。
図25図24の連結装置を示す右側面図である。
図26図24の連結装置の嵌合ローラおよび反力受けローラの周辺部分を示す断面図である。
図27図11の製管機が備える取付装置を示す正面図である。
図28図27の取付装置を示す平面図である。
図29図27の取付装置を示す断面図である。
図30図27の取付装置における各ローラの位置関係を示す図である。
図31図11の製管機をマンホール内に設置した様子を示す図である。
図32】管更生部材の他の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1および図2を参照して、この発明の一実施例である製管機60は、既設管200を更生するための螺旋管202(更生管)をマンホール210内において形成(製管)して既設管200内に押し出す、元押し方式の製管機である。詳細は後述するように、製管機60は、ライニング部材12を螺旋状に巻き回すと共に、螺旋状に巻き回したライニング部材12の隣り合う側縁部どうしを連結部材14で連結する。その後、ライニング部材12の連結部分を跨いで覆うようにライニング部材12に補強部材16を取り付けることによって螺旋管202を形成する。そして、形成した螺旋管202を既設管200内に順次送り込んでいくことによって、既設管200内に螺旋管202を敷設する。
【0022】
なお、この発明に係る製管機60は、鉄筋コンクリート製、合成樹脂製および金属製などの種々の既設管200の更生に用いることが可能である。また、この製管機60は、300mm以上1000mm以下の口径を有する下水管の更生に好適に用いられ、その中でも、800mm以上1000mm以下の口径の下水管の更生に特に好適に用いられる。ただし、製管機60は、1000mm以上の口径を有する既設管200の更生に用いることも可能である。
【0023】
また、この製管機60によって形成された螺旋管202は、補強部材16によって補強されているので、基本的には、既設管200から独立して強度を保持する自立管として用いられる。ただし、螺旋管202は、充填材によって既設管200と一体化された複合管として用いることもできる。
【0024】
先ず、製管機60の具体的な説明に先立ち、この実施例で用いる管更生部材10の一例について説明する。ただし、以下に述べる管更生部材10の具体的な構成ないし形状は、単なる一例であり、これに限定されるものではない。
【0025】
図1および図2に示すように、管更生部材10は、螺旋管202を形成するための部材であって、ライニング部材12と、ライニング部材12の側縁部どうしを連結するための連結部材14と、ライニング部材12の連結部分を補強するための補強部材16とを含む。この実施例では、ライニング部材12は、螺旋状に巻き回したときの外面側に連結部材14および補強部材16との嵌合部(第1嵌合部22,突条34)を備えている。そして、連結部材14は、螺旋状に巻き回したライニング部材12の外面側からライニング部材12に取り付けられる。また、補強部材16は、連結部材14によって連結されたライニング部材12の連結部分を跨いで覆うように、ライニング部材12の外面側からライニング部材12に取り付けられる。以下、ライニング部材12、連結部材14および補強部材16の構成について説明する。
【0026】
図3および図4に示すように、ライニング部材12は、螺旋管202の主構成要素となる長尺の部材であって、帯板状の基体20(ライニング基体)を備える。基体20の一方主面20aは、螺旋管202の内面を構成する面であり、平滑面となっている。基体20の幅は、たとえば75mmであり、基体20の厚み(肉厚)は、たとえば2.5mmである。
【0027】
基体20の他方主面20b側、つまりライニング部材12を螺旋状に巻き回したときの外面側の両側部のそれぞれには、後述する連結部材14の第2嵌合部42と嵌め合わされる第1嵌合部22が形成される。第1嵌合部22は、基体20の長手方向に延びる第1突条24と第2突条26とを含む溝状に形成される。第1突条24は、基体20の他方主面20bの両側縁部に形成され、第2突条26は、第1突条24よりも基体20の幅方向における内側に形成される。第1突条24の一方側面(基体20の幅方向における内側の面)の先端部には、基体20の幅方向内側に向かって突出する第1係止片24aが形成される。この第1係止片24aは、連結部材14の第2嵌合部42の第2係止片42aと係合される。また、第2突条26は、第1突条24と協働して連結部材14の第2嵌合部42を挟持する。
【0028】
第1嵌合部22の内部、つまり第1突条24と第2突条26との間の基体20の他方主面20b側には、弾性体であるエラストマ等によって長尺の丸棒状に形成される止水部材28が設けられる。止水部材28は、ライニング部材12の第1嵌合部22と連結部材14の第2嵌合部42とを嵌め合わせた際に、基体20の他方主面20bおよび第1突条24の一方側面と第2嵌合部42の先端部との間に挟み込まれることで、圧縮される(図10参照)。この止水部材28によって、ライニング部材12の連結部分における止水性(水密性)が確保される。
【0029】
また、基体20の幅方向中央部には、基体20の一部を他方主面20b側に突出するように幅方向に弛ませた変位吸収部30が形成される。変位吸収部30は、一方主面20aから離れるに従って幅方向に拡がるように形成される一対の側壁部30aと、側壁部30aの先端部どうしを連結する連結部30bとを有する。また、変位吸収部30の基端部間には、隙間32が形成されている。変位吸収部30の他方主面20bからの突出高さは、たとえば12mmであり、隙間32の幅は、たとえば1mmである。このような変位吸収部30を基体20が有することで、ライニング部材12を用いて形成された螺旋管202は、この変位吸収部30の部分において、軸方向および曲がり方向に変形し易くなる。このため、既設管200内に螺旋管202を送り込むときには、既設管200の曲り部、屈曲部および段差部に螺旋管202が追従可能となる。また、螺旋管202の施工後に地震が発生した際には、変位吸収部30が伸長して軸方向変位を吸収することで、ライニング部材12の連結部分の変形が抑制される。
【0030】
さらに、基体20の他方主面20bの両側部のそれぞれには、第2突条26よりも基体20の幅方向における内側において、基体20の長手方向に延びる突条34(第3突条)が形成される。この突条34の一方側面(基体20の幅方向における内側の面)の先端部には、基体20の幅方向内側に向かって突出する爪部34aが形成される。この爪部34aは、後述する補強部材16の被係止部(延出部56の先端部)を係止する係止部として機能する。突条34の他方主面20bからの突出高さは、たとえば14mmであり、突条34の幅(厚み)は、たとえば3mmである。また、突条34の一方側面からの爪部34aの突出高さは、たとえば2mmである。
【0031】
このようなライニング部材12は、たとえば、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ナイロン樹脂、フッ素樹脂および硬質塩化ビニル樹脂などの合成樹脂の押出成形によって一体成形される。そして、第1嵌合部22(第1突条24および第2突条26)、変位吸収部30および突条34は、基体20の長手方向の全長に亘って形成される。この実施例のライニング部材12は、高密度ポリエチレン樹脂によって形成される。なお、止水部材28は、共押出により基体20の長手方向の全長に亘って設けられる。
【0032】
図5および図6に示すように、連結部材14は、ライニング部材12の側縁部どうしを連結するための長尺の部材であって、帯板状の基体40(連結基体)を備える。基体40の幅は、たとえば22mmであり、基体40の厚みは、たとえば3mmである。
【0033】
基体40の一方主面40aは、ライニング部材12の基体20の他方主面20bに対向する面であり、この基体40の一方主面40aの両側部には、ライニング部材12の第1嵌合部22と嵌め合わされる第2嵌合部42が形成される。第2嵌合部42は、基体40の長手方向に延びる突条であって、この第2嵌合部42の一方側面(基体40の幅方向における内側の面)の先端部には、ライニング部材12の第1係止片24aと係合される第2係止片42aが形成される。
【0034】
このような連結部材14は、たとえば、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ナイロン樹脂、フッ素樹脂および硬質塩化ビニル樹脂などの合成樹脂の押出成形によって一体成形される。この実施例の連結部材14は、高密度ポリエチレン樹脂によって形成され、第2嵌合部42は、基体40の長手方向の全長に亘って形成される。
【0035】
図7および図8に示すように、補強部材16は、ライニング部材12の連結部分、つまりライニング部材12の側縁部どうしを連結部材14で連結した部分を補強するための長尺の部材であって、補強基体50を備える。補強基体50は、帯板状の天壁52と天壁52の両側縁部から延出される一対の帯板状の側壁54とを含む溝状(半角筒状)に形成される。天壁52の一方主面52aは、ライニング部材12の基体20の他方主面20bに対向する面であり、側壁54のそれぞれは、天壁52の両側縁部からライニング部材12側に向かうように、天壁52と直交する方向に延びる。つまり、補強基体50は、ライニング部材12側に向かって開口する溝状に形成される。
【0036】
また、各側壁54の先端部、つまり補強基体50の開口縁部のそれぞれには、ライニング部材12との嵌合部である延出部56が形成される。この実施例では、延出部56は、側壁54の先端部から補強基体50の幅方向内側に向かって延出されている。延出部56は、側壁54の先端部から屈曲して天壁52と平行に延びる第1片56aと、第1片56aの先端部から屈曲して天壁52側に向かって斜め方向に延びる第2片56bとを含む。この延出部56の第2片56bの先端部は、ライニング部材12の係止部(爪部34a)によって係止される被係止部として機能する。
【0037】
補強部材16の材質は、特に限定されないが、高剛性を有する等の観点から、スチール、ステンレス、チタンおよびアルミニウム合金などの金属であることが好ましい。この実施例では、帯板状のスチール材(鋼板)を上記形状に屈曲加工することによって、補強部材16が形成される。補強部材16の厚みは、たとえば1.6mmである。また、補強部材16の幅(天壁52の幅)は、連結部材14の幅(基体40の幅)よりも大きく設定され、たとえば50mmである。さらに、補強部材16の高さ寸法(側壁54の高さ寸法)は、連結部材14の高さ寸法よりも大きく設定され、たとえば20mmである。このような補強部材16は、ライニング部材12の連結部分の全長に亘って取り付けられる。
【0038】
図2と共に図9および図10を参照して、上述のような管更生部材10を用いて螺旋管202を形成するときには、螺旋状に巻き回したライニング部材12の隣り合う側縁部どうしを連結部材14によって連結すると共に、連結部材14を含むライニング部材12の連結部分を跨いで覆うようにライニング部材12に補強部材16を取り付ける。
【0039】
簡単に説明すると、ライニング部材12の側縁部どうしを連結部材14によって連結する際には、ライニング部材12の基体20の一方主面20aどうしが面一となるように、基体20の側縁どうしを突き合わせた状態にする。そして、螺旋状に巻き回したライニング部材12の外面側から連結部材14を押し込むようにして、ライニング部材12の第1嵌合部22に対して連結部材14の第2嵌合部42を長手方向(螺旋方向)に順次嵌め合わせていく。すると、第1嵌合部22の第1突条24と第2突条26との間に第2嵌合部42が挟持されると共に、第1突条24の第1係止片24aと第2嵌合部42の第2係止片42aとが係合されて、ライニング部材12の側縁部どうしが連結部材14によって連結される。
【0040】
また、ライニング部材12の連結部分に補強部材16を取り付ける際には、ライニング部材12の隣り合う側縁部どうしを架け渡すようにライニング部材12の外面側から補強部材16を押し込んで、ライニング部材12の突条34に対して補強部材16の延出部56を長手方向(螺旋方向)に順次嵌め合わせていく。すると、補強部材16の延出部56の先端部がライニング部材12の爪部34aによって係止されて、連結部材14を含むライニング部材12の連結部分を跨いで覆うように、ライニング部材12に補強部材16が取り付けられる。
【0041】
次に、製管機60の構成について具体的に説明する。なお、この明細書では、更生する既設管200の軸方向を前後方向とし、製管機60によって形成された螺旋管202が押し出される方向を前方向として製管機60の前後方向と規定する。また、製管機60の左右方向は、更生する既設管200側(つまり前側)から製管機60を見た状態を基準として規定する。
【0042】
図11図14に示すように、製管機60は、ライニング部材12を螺旋状に巻き回すように案内する螺旋巻きガイド装置62を備える。この螺旋巻きガイド装置62には、ライニング部材送り装置64、連結部材ガイド装置66、補強部材送り曲げ装置68、連結装置70、取付装置72および脚部74などが取り付けられる。
【0043】
螺旋巻きガイド装置62に対する各装置64,66,68,70,72の配置態様(周方向位置)は、特に限定されないが、取付装置72は、螺旋巻きガイド装置62(製管機60)の頂部に配置されることが好ましい。また、ライニング部材送り装置64、連結部材ガイド装置66および補強部材送り曲げ装置68における各部材12,14,16の導入部(入り口)は、製管機60の上半部であってかつ取付装置72の左右どちらかの一方側(つまり片側)にまとめて配置することが好ましい。さらに、連結装置70は、製管機60の上半部であってかつ取付装置72の左右どちらかの他方側、つまり取付装置72を間に挟む各装置64,66,68の導入部と反対側に配置されることが好ましい。これにより、製管機60全体として横幅を小さくでき、狭いマンホール210内にも製管機60を好適に設置することができる。
【0044】
この実施例では、取付装置72は、螺旋巻きガイド装置62の頂部(つまり0時方向)付近に配置される。また、更生する既設管200側から製管機60を見て、ライニング部材送り装置64、連結部材ガイド装置66および補強部材送り曲げ装置68の各部材の導入部は、螺旋巻きガイド装置62の頂部から反時計回りに45度の周方向位置(つまり10半時方向)付近に配置される。さらに、連結装置70は、螺旋巻きガイド装置62の頂部から時計回りに45度の周方向位置(つまり1時半方向)付近に配置される。
【0045】
図15および図16に示すように、螺旋巻きガイド装置62は、ライニング部材12を螺旋状に巻き回すように案内する複数の外側ガイドローラ80と、これら複数の外側ガイドローラ80を保持する円筒状のフレーム部材82とを備える。フレーム部材82は、ステンレス鋼などの金属によって形成され、円筒部82a、円筒部82aの前端縁から外方に突出する第1環状板部82b、および円筒部82aの後端縁から内方に突出する第2環状板部82cを有する。
【0046】
複数の外側ガイドローラ80のそれぞれは、前後方向(つまりライニング部材12の幅方向)に間隔をあけて設けられる一対のローラを含み、円筒部82aの内面側に取り付けられた回転軸に対して、深溝玉軸受などの軸受を介して回転自在に設けられる。一対のローラは金属製であり、その外周面は周方向において凹凸のない滑らかな円筒面になっている。また、複数の外側ガイドローラ80は、円筒部82aの周方向(延いては既設管200および螺旋管202の周方向)に間隔をあけて螺旋状に並ぶように設けられ、各外側ガイドローラ80の軸方向は、フレーム部材82の軸方向に対して所定の傾斜角で傾斜している。複数の外側ガイドローラ80は、螺旋状に巻き回されるライニング部材12の2周分(720度分)以上に亘るように配置されることが好ましく、この実施例では、ライニング部材12の約3.4周分(約1200度分)に亘るように配置される。
【0047】
外側ガイドローラ80どうしの前後方向の間隔W1は、螺旋状に巻き回したライニング部材12の基体20の側縁どうしを突き合わすことができるように、ライニング部材12の基体20の幅と同じ大きさに設定される。また、各外側ガイドローラ80が備える一対のローラの前後方向の間隔W2は、一対のローラのそれぞれがライニング部材12の突条34と変位吸収部30との間に入り込んで基体20の他方主面20bに当接可能な間隔に設定される。ただし、連結装置70および取付装置72等と干渉する位置や螺旋巻きガイド装置62の前側部分においては、外側ガイドローラ80が備える一対のローラのうちの一方のローラが省略されたり、外側ガイドローラ80どうしの周方向間隔が変更されたりする。
【0048】
このような複数の外側ガイドローラ80は、隣り合う基体20の側縁どうしを突き当てながら螺旋状に巻き回すように、ライニング部材12を案内する。外側ガイドローラ80を螺旋状に並べて配置することで、ライニング部材12を適切に螺旋状に案内することができ、外側ガイドローラ80を構成する一対のローラのそれぞれがライニング部材12の突条34と変位吸収部30との間に入り込むことで、螺旋管202の軸方向におけるライニング部材12の位置決めを自動的に実行できる。特に、隣り合う基体20の側縁どうしを突き当てることで、螺旋管202の軸方向におけるライニング部材12の位置決めをより適切に実行できる。
【0049】
また、複数の外側ガイドローラ80は、螺旋状に巻き回されたライニング部材12の基体20の他方主面20b(つまりライニング部材12の外面)と当接することで、螺旋管202の外径を規定する。これによって、螺旋管202を外径基準で一定の大きさに形成することができる。さらに、複数の外側ガイドローラ80のそれぞれは、一対のローラの前側面がライニング部材12の第1嵌合部22または連結部材14の後側面と当接することで、形成した螺旋管202を前方(既設管200側)に向かって押し出す。複数の外側ガイドローラ80のそれぞれが螺旋管202を押すことで、押出力を大きくすることができ、螺旋管202を適切に既設管200内に押し出すことができる。
【0050】
また、図16からよく分かるように、フレーム部材82の円筒部82aには、各装置64,66,68,70を取り付けたり、各部材12,14,16を円筒部82a内(螺旋巻きガイド装置62内)に導いたりするための開口部が形成される。具体的には、既設管200側から製管機60を見て10時方向付近であって、最も上流側に配置される外側ガイドローラ80の上流側には、ライニング部材送り装置64が嵌め込まれる第1開口部82dが形成される。この第1開口部82dは、螺旋巻きガイド装置62内へのライニング部材12の入口となる。また、既設管200側から製管機60を見て2時半方向付近であって、最も上流側から約半周後と約1周半後に配置される外側ガイドローラ80の間には、連結部材ガイド装置66の下流側端部が嵌め込まれる第2開口部82eが形成される。この第2開口部82eは、螺旋巻きガイド装置62内への連結部材14の入口となる。さらに、既設管200側から製管機60を見て1時半方向付近であって、第2開口部82eの下流側には、連結装置70が嵌め込まれる第3開口部82fが形成される。さらにまた、既設管200側から製管機60を見て3時方向付近であって、最も上流側から約2周半後に配置される外側ガイドローラ80の前側には、螺旋巻きガイド装置62内への補強部材16の入口になると共に、補強部材送り曲げ装置68の押し込みローラ94が嵌め込まれる第4開口部82gが形成される。また、既設管200側から製管機60を見て0時方向付近であって、第4開口部82gの下流側には、取付装置72が嵌め込まれる第5開口部82hが形成される。
【0051】
図17図21に示すように、ライニング部材送り装置64は、地上から供給されるライニング部材12を螺旋巻きガイド装置62内に送り込む装置であって、送り装置本体84、4方向ガイドローラ86および座屈防止ガイドローラ群88などを備える。ライニング部材送り装置64は、ボルト等の締結部材を用いて螺旋巻きガイド装置62のフレーム部材82に固定される。この際、座屈防止ガイドローラ群88は、フレーム部材82の第1開口部82dに嵌め入れられる。
【0052】
送り装置本体84は、ライニング部材12を厚み方向に挟み込むように設けられる一対のローラ、すなわちライニング部材送りローラ84aと反力受けローラ84bとを備える。ライニング部材送りローラ84aは、ライニング部材12の内面側(一方主面20a側)に配置され、反力受けローラ84bは、ライニング部材12の外面側(他方主面20b側)に配置される。
【0053】
ライニング部材送りローラ84aは、前後方向に延びるように、軸受を介して回転自在に設けられる。ライニング部材送りローラ84aは、金属製の円筒状の基体と、ウレタンゴム等の軟質材料で形成され、基体を覆うように設けられた外周部(表面層)とを有しており、その外周面は周方向において凹凸のない滑らかな円筒面になっている。このライニング部材送りローラ84aには、油圧モータ等のモータ84cが接続される。ライニング部材送りローラ84aは、モータ84cからの駆動力を受けて回転駆動され、ライニング部材12の内面側(具体的には基体20の一方主面20a)を押圧しながら回転することで、ライニング部材12に対して螺旋巻きガイド装置62に向かう推進力を与える。
【0054】
一方、反力受けローラ84bは、ライニング部材送りローラ84aと対向する位置において、軸受を介して回転自在に設けられる。反力受けローラ84bは、金属製であって、その外周面はライニング部材12の外面側の形状に合わせた形状に形成される。この実施例では、ライニング部材12の外面側は、突条34が最も突出するように形成されているので、反力受けローラ84bの外周面には、突条34の先端部を嵌め入れ可能な環状溝が形成される。反力受けローラ84bは、ライニング部材送りローラ84aの回転駆動(ライニング部材12の搬送)に伴い、ライニング部材12の外面側を押圧しながら従動回転する。また、環状溝内に突条34の先端部が嵌め入れられることで、ライニング部材12の幅方向の移動が規制される。なお、ライニング部材送りローラ84aと反力受けローラ84bとの配置を逆にして、駆動ローラであるライニング部材送りローラ84aが、ライニング部材12の外面側を押圧するようにしてもよい。
【0055】
4方向ガイドローラ86は、ライニング部材送り装置64におけるライニング部材12の導入部であって、ライニング部材12の送り方向における送り装置本体84の上流側に設けられる。4方向ガイドローラ86は、ライニング部材12の内外面および両側面を囲むように回転自在に設けられる少なくとも4つの規制ローラを有する。この実施例では、4方向ガイドローラ86は、金属製であって、ライニング部材12の送り方向に間隔をあけて設けられた2つの厚み方向規制用のローラ対86aと、これらローラ対86aの間に設けられた幅方向規制用のローラ対86bとを含む。このような4方向ガイドローラ86は、ライニング部材12の厚み方向および幅方向への移動を規制しつつ、ライニング部材12をライニング部材送りローラ84aと反力受けローラ84bとの間に案内する。このような4方向ガイドローラ86を備えることにより、ライニング部材送りローラ84aと反力受けローラ84bとの間にライニング部材12をスムーズに導くことができる。
【0056】
座屈防止ガイドローラ群88は、ライニング部材12の送り方向における送り装置本体84の下流側に設けられる。座屈防止ガイドローラ群88は、ライニング部材12を外面側および内面側から挟み込むように回転自在に設けられた複数のローラ対88aを備える。この実施例では、ローラ対88aのそれぞれは、金属製であって、ライニング部材12の幅方向両端部に対応する位置に配置される一対のローラ88bによって構成される。つまり、ローラ対88aは、ライニング部材12の幅方向両端部を外面側および内面側から挟み込むように設けられた4つのローラ88bを含む。そして、これら複数のローラ対88aは、ライニング部材送りローラ84aと螺旋巻きガイド装置62の最も上流側に配置される外側ガイドローラ80との間を結ぶように、ライニング部材12の送り方向に沿って直線状に並んで配置される。また、座屈防止ガイドローラ群88の下流側端部には、ローラ対88aを囲繞するように設けられる矩形枠状の規制フレーム88cが設けられる。このような座屈防止ガイドローラ群88は、複数のローラ対88aによってライニング部材12の厚み方向への移動を規制しながら、ライニング部材12を螺旋巻きガイド装置62内に案内する。また、ライニング部材12の幅方向への移動は、規制フレーム88cによって規制される。このような座屈防止ガイドローラ群88を備えることにより、ライニング部材12の座屈を防止しつつ、螺旋巻きガイド装置62内にライニング部材12をスムーズに導くことができる。
【0057】
図22に示すように、連結部材ガイド装置66は、地上から供給される連結部材14を連結装置70内に案内する装置であって、ステンレス鋼などの金属によって筒状に形成される。連結部材ガイド装置66は、連結部材14を受け入れる導入部66a(上流側端部)が10時半方向付近に設けられる。そして、連結部材ガイド装置66は、螺旋巻きガイド装置62が備えるフレーム部材82の円筒部82aの下半部外側を通って連結装置70の近傍位置まで延び、その出口部66b(下流側端部)は、フレーム部材82の第2開口部82eに嵌め込まれる。また、出口部66bの上流側には、フレーム部材82の径方向外側に向かって膨らむ膨出部66cが形成され、出口部66bは、ライニング部材12の嵌合位置における接線方向に沿って直線状に延びる。
【0058】
このような連結部材ガイド装置66を備えることで、連結装置70まで連結部材14をスムーズに導くことができ、連結装置70においてライニング部材12の側縁部どうしを連結部材14によって適切に連結できる。また、連結部材ガイド装置66を筒状に形成することで、連結部材14がマンホール210内の水と接触して汚れてしまうことや、連結部材14に削りカス等のごみが付着することが防止される。
【0059】
図23に示すように、補強部材送り曲げ装置68は、地上から供給される補強部材16を取付装置72へ案内搬送しながら、補強部材16の曲げ成形を予備的に行う装置である。補強部材送り曲げ装置68は、補強部材送り装置90、曲げローラ群92および押し込みローラ94等を備える。補強部材送り曲げ装置68は、ボルト等の締結部材を用いて、螺旋巻きガイド装置62のフレーム部材82に固定される。この際、曲げローラ群92は、フレーム部材82の円筒部82aの下半部外周面に沿うように配置される。
【0060】
補強部材送り装置90は、補強部材16を曲げローラ群92(延いては取付装置72)に送り込む装置であって、補強部材16を厚み方向に挟み込むように設けられる一対のローラ、すなわち補強部材送りローラ90aと反力受けローラ90bとを備える。補強部材送りローラ90aは、補強部材16の外面側に配置され、反力受けローラ90bは、補強部材の内面側に配置される。
【0061】
補強部材送りローラ90aは、前後方向に延びるように、軸受を介して回転自在に設けられる。補強部材送りローラ90a、金属製であって、その両端部の外周面には、補強部材16の幅方向への移動を規制する鍔状の規制部が形成される。一方、反力受けローラ90bは、補強部材送りローラ90aと対向する位置において、軸受を介して回転自在に設けられる。この反力受けローラ90bには、油圧モータ等のモータ90c(図13参照)が接続される。また、補強部材送りローラ90aは、ギア列90dを介して反力受けローラ90bと連結されており、補強部材送りローラ90aおよび反力受けローラ90bは、モータ90cからの駆動力を受けて回転駆動される。そして、補強部材送りローラ90aおよび反力受けローラ90bは、補強部材16の内外面を押圧しながら回転することで、補強部材16に対して取付装置72に向かう推進力を与える。また、補強部材送りローラ90aは、反力受けローラ90bに対して離接する方向に移動可能に設けられており、補強部材送りローラ90aとの間隔を調整可能である。
【0062】
曲げローラ群92は、補強部材16の送り方向における補強部材送り装置90の下流側に設けられ、補強部材16を押し込みローラ94に案内しながら円弧状に曲げる。曲げローラ群92は、フレーム部材82の円筒部82aの外周面に沿うように、補強部材16の移動経路を形成する。曲げローラ群92は、補強部材16の内面側に当接する複数の内ローラ92aと、補強部材16の外面側に当接する複数の外ローラ92bとを備える。内ローラ92aおよび外ローラ92bは、金属製であって、これらの軸方向は、外側ガイドローラ80の軸方向と同じ方向(平行)である。曲げローラ群92の配置範囲は、特に限定されないが、この実施例では、既設管200側から製管機60を見て10時方向から4時半方向までの円筒部82aの約半周分に亘る範囲に曲げローラ群92が配置される。この際、曲げローラ群92の配置範囲における中央部分においては、内ローラ92aおよび外ローラ92bのそれぞれの配置間隔を大きくとっても構わない。
【0063】
押し込みローラ94は、フレーム部材82の円筒部82aの外周面に沿って送られてきた補強部材16を円筒部82a内に押し込むローラである。押し込みローラ94の軸方向は、外側ガイドローラ80の軸方向と同じ方向(平行)である。押し込みローラ94は、螺旋巻きガイド装置62のフレーム部材82の第4開口部82gに嵌め込まれ、押し込みローラ94の一部は、フレーム部材82の円筒部82a内に突出する。また、押し込みローラ94は、円筒部82a(つまり螺旋管202)の径方向に移動可能に設けられており、補強部材16の押し込み量を調整可能である。
【0064】
このような補強部材送り装置90を備えることで、取付装置72まで補強部材16をスムーズに導くことができると共に、補強部材16を予備的に曲げ成形することができる。したがって、取付装置72においてライニング部材12に補強部材16を適切に取り付けることができる。
【0065】
図24図26に示すように、連結装置70は、螺旋状に巻き回されたライニング部材12の隣り合う側縁部どうしを連結する装置である。この実施例では、連結装置70は、ライニング部材12の隣り合う側縁部どうしを突き当てて、ライニング部材12の外面側から連結部材14を嵌合させることで、ライニング部材12の隣り合う側縁部どうしを連結する。
【0066】
具体的には、連結装置70は、連結部材14を含むライニング部材12の連結部分を厚み方向に挟み込むように設けられる一対のローラ、すなわち嵌合ローラ100と反力受けローラ102とを備える。連結装置70は、ボルト等の締結部材を用いて螺旋巻きガイド装置62のフレーム部材82に固定される。この際、嵌合ローラ100は、螺旋巻きガイド装置62のフレーム部材82の第3開口部82fに嵌め込まれ、嵌合ローラ100の一部は、フレーム部材82の円筒部82a内に突出する。
【0067】
嵌合ローラ100および反力受けローラ102の軸方向は、外側ガイドローラ80の軸方向と同じ方向(平行)である。また、嵌合ローラ100および反力受けローラ102は、ライニング部材12が螺旋巻きガイド装置62のフレーム部材82内に搬送されてから約0.65周(約225度)の位置と約1.65周(約585度)の位置とに跨る軸方向位置に設けられる。また、嵌合ローラ100が配置される周方向位置の後方側には、外側ガイドローラ80の1つが配置される。この外側ガイドローラ80は、新たに嵌合されるライニング部材12の外面と当接する。嵌合ローラ100と同じ周方向位置に外側ガイドローラ80を並べて配置することで、ライニング部材12と連結部材14との嵌合の安定性を高めることができる。
【0068】
嵌合ローラ100は、金属製であり、連結部材14の外面側と当接するように、軸受を介して回転自在に設けられる。また、嵌合ローラ100の外周面には、滑り止め加工が施されている。この実施例では、嵌合ローラ100の外周面は、複数の細かな凹凸が形成された粗面状に形成される。この滑り止め加工によって、嵌合ローラ100と連結部材14との間に滑りが生じることなく、嵌合ローラ100の回転駆動力が連結部材14(延いては螺旋管202)に適切に伝達される。ただし、嵌合ローラ100が連結部材14との間で滑りが生じない材料で形成されている場合などには、嵌合ローラ100の外周面に必ずしも滑り止め加工を施す必要はない。
【0069】
また、嵌合ローラ100には、ギア部104を介して油圧モータ等のモータ106が接続される。嵌合ローラ100、ギア部104およびモータ106は、支持フレーム108によって一体的に保持される。この支持フレーム108は、圧縮コイルばね110によって反力受けローラ102側に向かって付勢されており、これによって、嵌合ローラ100は所定の押圧力(たとえば、100kgf)で連結部材14の外面側を押圧可能である。また、ボルト112の押し込み量を変更することにより、連結部材14に対する嵌合ローラ100の押圧力を変更することも可能である。
【0070】
このような嵌合ローラ100は、モータ106からの駆動力を受けて回転駆動され、ライニング部材12の連結部分(具体的には、連結部材14の基体40)を外面側から押圧しながら回転することで、ライニング部材12の第1嵌合部22に対して連結部材14の第2嵌合部42を嵌合させると共に、形成した螺旋管202に回転力を与える。また、嵌合ローラ100は、連結部材14を外面側から押圧しながら回転することで、連結部材ガイド装置66に駆動部を設けることなく、連結装置70内に連結部材14を順次引き込む。さらに、嵌合ローラ100は、連結部材14を外面側から押圧しながら回転することで、ライニング部材12を螺旋巻きガイド装置62に引き込む推進力をライニング部材12に補助的に与える。すなわち、この実施例では、連結装置70およびライニング部材送り装置64の双方の駆動力によってライニング部材12を送りながら、ライニング部材12の隣り合う側縁部に連結部材14を順次嵌め合わせていく。
【0071】
一方、反力受けローラ102は、嵌合ローラ100と対向する位置において、軸受を介して回転自在に設けられる。反力受けローラ102は、金属製の円筒状の基体と、ウレタンゴム等の軟質材料で形成され、基体を覆うように設けられた外周部とを有しており、その外周面は周方向において凹凸のない滑らかな円筒面になっている。この反力受けローラ102には、油圧モータ等のモータ114が接続される。反力受けローラ102は、モータ114からの駆動力を受けて回転駆動され、嵌合ローラ100との間でライニング部材12の連結部分を挟み込むように、ライニング部材12の連結部分の内面側(具体的には隣り合う基体20の一方主面20aを跨ぐ位置)を押圧する。また、この反力受けローラ102は、嵌合ローラ100からの反力を受けるだけでなく、ライニング部材12の内面側を押圧しながら回転することで螺旋管202の形状を円筒状に整える形状補正ローラとしても機能する。さらに、反力受けローラ102は、ライニング部材12の内面側を押圧しながら回転することで、ライニング部材12を螺旋巻きガイド装置62に引き込む推進力をライニング部材12に補助的に与える。
【0072】
図27図30に示すように、取付装置72は、ライニング部材12の連結部分を跨いで覆うように、ライニング部材12の外面側から補強部材16をライニング部材12に取り付けるための装置である。この実施例では、連結部材14の全体を覆うように補強部材16をライニング部材12に取り付ける。また、この実施例の取付装置72は、ライニング部材12に取り付けた補強部材16に対して、ライニング部材12の外面に沿うように所定の曲率で湾曲させる曲げ成形を行う装置でもある。
【0073】
具体的には、取付装置72は、補強部材16を含むライニング部材12の連結部分を厚み方向に挟み込むように設けられる一対の取付ローラ、すなわち補強部材送りローラ120と第1反力受けローラ122とを備える。また、取付装置72は、螺旋管202の回転方向(ライニング部材12等の送り方向)における補強部材送りローラ120および第1反力受けローラ122の下流側において、補強部材16を含むライニング部材12の連結部分を厚み方向に挟み込むように設けられる一対の曲げローラ、すなわち補強部材曲げローラ124と第2反力受けローラ126とを備える。
【0074】
取付装置72は、ボルト等の締結部材を用いて螺旋巻きガイド装置62のフレーム部材82に固定される。この際、補強部材送りローラ120と補強部材曲げローラ124とは、螺旋巻きガイド装置62のフレーム部材82の第5開口部82hに嵌め込まれ、補強部材送りローラ120および補強部材曲げローラ124の一部は、フレーム部材82の円筒部82a内に突出する。また、各ローラ120,122,124,126の軸方向は、外側ガイドローラ80の軸方向と同じ方向(平行)である。
【0075】
補強部材送りローラ120は、螺旋管202の外面(具体的には、補強部材16の天壁52)と当接するように、軸受を介して回転自在に設けられる。補強部材送りローラ120は、ライニング部材12が螺旋巻きガイド装置62のフレーム部材82内に搬送されてから約2.68周(約965度)の位置と約3.68周(約1325度)の位置とに跨る軸方向位置に設けられる。補強部材送りローラ120は、金属製であって、その両端部の外周面には、補強部材16の幅方向への移動を規制する鍔状の規制部120aが形成される。
【0076】
一方、第1反力受けローラ122は、補強部材送りローラ120と対向する位置において、螺旋管202の内面(具体的にはライニング部材12の基体20の一方主面20a)と当接するように、軸受を介して回転自在に設けられる。第1反力受けローラ122は、ライニング部材12が螺旋巻きガイド装置62のフレーム部材82内に搬送されてから約0.68周(約245度)の位置、約1.68周(約605度)の位置、約2.68周(約965度)の位置、および約3.68周(約1325度)の位置に跨るように、つまり4巻き分のライニング部材12に跨るように設けられる。第1反力受けローラ122は、金属製の円筒状の基体と、ウレタンゴム等の軟質材料で形成され、基体を覆うように設けられた外周部とを有しており、その外周面は周方向において凹凸のない滑らかな円筒面になっている。
【0077】
また、補強部材曲げローラ124は、一対の取付ローラ(補強部材送りローラ120および第1反力受けローラ122)と協働して、ライニング部材12の外面に沿うように補強部材16を湾曲させるためのローラである。補強部材曲げローラ124は、金属製であって、その両端部の外周面には、補強部材16の幅方向への移動を規制する鍔状の規制部124aが形成される。補強部材曲げローラ124は、螺旋管202の回転方向における補強部材送りローラ120の下流側の周方向位置において、螺旋管202の外面(補強部材16の天壁52)と当接するように、軸受を介して回転自在に設けられる。
【0078】
この際、補強部材曲げローラ124は、補強部材送りローラ120と所定間隔をあけて設けられる。これは、補強部材送りローラ120と補強部材曲げローラ124との間隔が近すぎると、予め施工曲げしてある補強部材16に逆曲げの変形(内側に凹む変形)が生じ、補強部材16に余計な負荷が生じる恐れがあるからである。補強部材送りローラ120と補強部材曲げローラ124との間隔は、たとえば螺旋管202の中心角θで15度~30度が好まく、この実施例では24度である。すなわち、この実施例の補強部材曲げローラ124は、ライニング部材12が螺旋巻きガイド装置62のフレーム部材82内に搬送されてから約2.75周(約990度)の位置と約3.75周(約1350度)の位置とに跨る軸方向位置に設けられる。
【0079】
一方、第2反力受けローラ126は、補強部材送りローラ120と補強部材曲げローラ124との間の周方向位置において、螺旋管202の内面(基体20の一方主面20a)と当接するように、軸受を介して回転自在に設けられる。第2反力受けローラ126は、ライニング部材12が螺旋巻きガイド装置62のフレーム部材82内に搬送されてから約0.72周(約258度)の位置、約1.72周(約618度)の位置、約2.72周(約978度)の位置、および約3.72周(約1338度)の位置に跨るように、つまり4巻き分のライニング部材12に跨るように設けられる。第2反力受けローラ126は、金属製の円筒状の基体と、ウレタンゴム等の軟質材料で形成され、基体を覆うように設けられた外周部とを有しており、その外周面は周方向において凹凸のない滑らかな円筒面になっている。
【0080】
また、取付装置72は、補強部材送りローラ120を回転駆動させる油圧モータ等のモータ128を備える。この実施例では、モータ128は、ギア列130を介して補強部材送りローラ120および補強部材曲げローラ124に連結されており、補強部材送りローラ120および補強部材曲げローラ124は、モータ128からの駆動力を受けて回転駆動される。すなわち、補強部材送りローラ120を回転駆動させるモータ128は、補強部材曲げローラ124を回転駆動させるモータと兼用される。ただし、補強部材送りローラ120と補強部材曲げローラ124とでそれぞれ個別にモータが設けられてもよいし、補強部材曲げローラ124が従動回転するようにしてもよい。
【0081】
また、補強部材送りローラ120、補強部材曲げローラ124およびモータ128等は、支持フレーム132によって一体的に支持される。支持フレーム132は、螺旋巻きガイド装置62のフレーム部材82に固定された固定フレーム134に対して、螺旋管202の径方向(螺旋管202と離接する方向)に移動可能に設けられている。つまり、補強部材送りローラ120、補強部材曲げローラ124およびモータ128は、これらの位置関係を保持した状態で、螺旋管202の径方向に移動可能に設けられている。したがって、螺旋管202(補強部材16)に対する補強部材送りローラ120および補強部材曲げローラ124の押圧力を変更することが可能である。
【0082】
さらに、補強部材曲げローラ124は、補強部材送りローラ120とは個別に螺旋管202の径方向に移動可能に設けられている。補強部材送りローラ120に対する補強部材曲げローラ124の相対位置を調整することで、補強部材16の曲げ量(曲率)を調整することができる。この実施例では、支持フレーム132は、補強部材送りローラ120等を支持する第1フレーム132aと、補強部材曲げローラ124およびモータ128等を支持する第2フレーム132b(フレームの一例)とを含む。第2フレーム132bは、補強部材曲げローラ124の軸と平行に配置された揺動軸132cを支点として、第1フレーム132aに対して揺動可能に設けられている。この揺動軸132cは、補強部材16の曲げ支点となる第2反力受けローラ126と対応する周方向位置に設けられる。そして、第2フレーム132bを揺動させることで、補強部材曲げローラ124を螺旋管202の径方向に移動させることができる。これにより、補強部材曲げローラの径方向位置を容易に調整できる。また、補強部材16の曲げ量(曲率)を調整可能なので、異なる口径の螺旋管202を形成する他の製管機60に取付装置72を兼用できる。
【0083】
このような取付装置72では、補強部材送りローラ120は、モータ128からの駆動力を受けて回転駆動され、補強部材16を外面側から押圧して補強部材16の延出部56の先端部をライニング部材12の爪部34aに係合させると共に、螺旋管202に回転力を与える。また、補強部材送りローラ120は、螺旋管202を外面側から押圧しながら回転することで、ライニング部材12、連結部材14および補強部材16に推進力(螺旋巻きガイド装置62内への引込力)を補助的に与える。
【0084】
第1反力受けローラ122は、螺旋管202の回転に伴って従動回転しながら、補強部材送りローラ120との間でライニング部材12の連結部分を挟み込むように、螺旋管202の内面を押圧する。また、この第1反力受けローラ122は、補強部材送りローラ120からの反力を受けるだけでなく、螺旋管202の内面側を押圧しながら回転することで螺旋管202の形状を円筒状に整える形状補正ローラとしても機能する。
【0085】
補強部材曲げローラ124は、モータ128からの駆動力を受けて回転駆動され、補強部材16を外面側から押圧してライニング部材12の外面に沿うように補強部材16を湾曲させる。また、補強部材曲げローラ124は、螺旋管202を外面側から押圧しながら回転することで、螺旋管202に回転力を与えると共に、ライニング部材12、連結部材14および補強部材16に推進力を補助的に与える。
【0086】
第2反力受けローラ126は、螺旋管202の回転に伴って従動回転しながら、補強部材送りローラ120と補強部材曲げローラ124との間の周方向位置において、ライニング部材12の連結部分を含む螺旋管202の内面側を押圧する。また、この第2反力受けローラ126は、補強部材曲げローラ124からの反力を受けるだけでなく、螺旋管202の内面側を押圧しながら回転することで螺旋管202の形状を円筒状に整える形状補正ローラとしても機能する。
【0087】
ここで、取付装置72では、一対の取付ローラ(補強部材送りローラ120および第1反力受けローラ122)で補強部材16の径方向位置を固定しながら、第2反力受けローラ126を曲げ支点として、補強部材送りローラ120と周方向に所定間隔をあけて設けられた補強部材曲げローラ124によって外側から押圧することで、補強部材16を湾曲させる。つまり、補強部材送りローラ120、第1反力受けローラ122、補強部材曲げローラ124および第2反力受けローラ126の4点で押圧して補強部材16を曲げ成形しているので、補強部材16に逆曲げの変形を生じさせることなく、ライニング部材12の外面に沿うように補強部材16をライニング部材12に適切に取り付けることができる。
【0088】
図11図14に戻って、脚部74は、ステンレス鋼等の金属製であって、フレーム部材82の両側部に固定された連結フレーム140と、連結フレーム140を上下方向に貫通するように設けられた4つの支柱部142とを備える。支柱部142の外周面には、連結フレーム140に設けられた雌ねじ部と螺合する雄ねじ部が形成されており、このねじ機構によって螺旋巻きガイド装置62の設置高さを調整可能である。
【0089】
また、図11に示すように、螺旋巻きガイド装置62の内面側には、上下方向に延びる2つの突っ張り棒144が設けられる。これら突っ張り棒144によって螺旋巻きガイド装置62(延いては螺旋管202)の偏平が防止される。なお、突っ張り棒144は、取付装置72の配置位置(角度)などに応じて、設ける方向(配置角度)を変更することが可能である。
【0090】
続いて、図1および図31を参照して、上述のような製管機60を用いて形成した螺旋管202によって既設管200を更生する管路更生工法の一例について説明する。この実施例では、発進側マンホール210から到達側マンホール212までの間の既設管200を更生するものとする。
【0091】
図1および図31に示すように、既設管200を更生するときには、先ず、発進側マンホール210内に製管機60を設置する。この際には、発進側マンホール210のインバート部に螺旋巻きガイド装置62の下部を嵌め込み、脚部74によって製管機60を支持固定する。また、発進側マンホール210の近傍の地上にライニング部材12、連結部材14および補強部材16を含む管更生部材10を設置する。ライニング部材12、連結部材14および補強部材16は、それぞれ個別にロール状に巻き取ったものを用意して設置するとよい。なお、既設管200内は、高圧洗浄機などを用いて予め洗浄しておく。
【0092】
次に、ライニング部材12、連結部材14および補強部材16を地上から発進側マンホール210内に設置した製管機60に供給し、この製管機60を用いて形成した螺旋管202を発進側マンホール210内から既設管200内に順次送り込んでいく。
【0093】
製管機60においては、ライニング部材12の基体20の側縁どうしを突き合わせるようにしてライニング部材12を螺旋状に巻き回すと共に、ライニング部材12の外面側から連結部材14を取り付けることで、ライニング部材12の隣り合う側縁部どうしが連結される。また、連結部材14を含むライニング部材12の連結部分を補強部材16が跨いで覆うように、ライニング部材12の外面側に補強部材16を取り付けることで、螺旋管202が形成される。なお、螺旋管202の外径(補強部材16の天壁52の外径)は、既設管200の内径よりも少し小さい大きさに設定される。製管機60において製管された螺旋管202は、製管された部分から順に製管機60から押し出されて、回転しながら到達側マンホール212に向かって既設管200内に送り込まれる。
【0094】
ここで、ライニング部材12の連結に連結部材14を用いることで、ライニング部材12を周回させて位置決めした後に、連結部材14によってライニング部材12の側縁部どうしを連結固定することができる。したがって、螺旋管202を形成する際に、隣り合うライニング部材12の周長(口径)を合わせ易く、軸方向の全長に亘って口径が一様な螺旋管202を形成できる。
【0095】
また、ライニング部材12の連結部分を跨いで覆うように補強部材16を取り付けることで、ライニング部材12の連結部分においては引張方向(ライニング部材12が互いに離れる方向)に対する抵抗力が大きくなる。このため、地震時などにおいて螺旋管202に引張力が作用した場合でも、補強部材16によってライニング部材12の連結部分(特に第1嵌合部22および第2嵌合部42)の変形を抑えることができ、止水部材28による止水性を確保できる。なお、螺旋管202の軸方向変位は、変位吸収部30によって吸収可能であるので、ライニング部材12が変位吸収部30を有することでライニング部材12の連結部分の変形をより確実に抑制できる。
【0096】
さらに、補強部材16を取り付けることで、ライニング部材12の連結部分の剛性を高めることができ、延いては螺旋管202の剛性を高めることができる。したがって、螺旋管202が偏平すること、つまり螺旋管202が径方向の内側および外側に撓むことを防止ないし低減できる。また、補強部材16によってライニング部材12の連結強度を確保できるので、連結強度を大きくするために第1嵌合部22(第1突条24および第2突条26)や第2嵌合部42の肉厚を大きくする必要がなく、他の部分と肉厚を均等にできる。すなわち、ライニング部材12および連結部材14の部材全体を均一な肉厚にできるため、ライニング部材12および連結部材14を成形し易い。
【0097】
さらにまた、補強部材16によってライニング部材12の連結部分が保護されるので、形成した螺旋管202を既設管200内に送り込むときに、ライニング部材12の連結部分(特に連結部材14)が既設管200の内面に擦れて傷つくことを防止できる。特に、この実施例では、螺旋状に巻き回したライニング部材12に補強部材16を取り付けて螺旋管202を形成した状態において、補強基体50の天壁52が螺旋管202の径方向における最外部に位置する。つまり、補強基体50の天壁52の外面は、ライニング部材12の変位吸収部30の連結部30bの外面および突条34の先端よりも径方向外側に位置する。したがって、螺旋管202を既設管200内に送り込むときには、補強基体50の天壁52が既設管200の内面と摺接し、ライニング部材12は既設管200の内面と摺接しない、または摺接し難いので、ライニング部材12の全体を適切に保護できる。
【0098】
また特に、取付装置72が補強部材曲げローラ124および第2反力受けローラ126を備えることで、補強部材16をライニング部材12の外面に沿うように所定の曲率で適切に湾曲させることができる。したがって、ライニング部材12に補強部材16を適切に取り付けることができる。
【0099】
既設管200の更生区間の全長に亘って螺旋管202を施工すると、その後、片付け作業などを適宜実施することによって、既設管200の更生作業が終了する。
【0100】
以上のように、この実施例によれば、ライニング部材12の連結部分を跨いで覆うように補強部材16を取り付ける取付装置72を備えるので、ライニング部材12の連結部分の変形を抑制でき、耐震性に優れる螺旋管202を形成できる。また、ライニング部材12の連結部分が補強部材16によって保護されるので、形成した螺旋管202を既設管200内に送り込むときに、ライニング部材12の連結部分が既設管200の内面に擦れて傷つくことを防止できる。
【0101】
さらに、この実施例によれば、取付装置72が補強部材曲げローラ124および第2反力受けローラ126を備えるので、製管機60内において、補強部材16を所定の曲率に適切に曲げ成形することができ、ライニング部材12の連結部分に補強部材16を適切に取り付けることができる。
【0102】
なお、上述したように、管更生部材10(ライニング部材12、連結部材14および補強部材16)の具体的な構成ないし形状は、適宜変更可能である。管更生部材10は、ライニング部材12の連結部分を跨いで覆うように、ライニング部材12に補強部材16が取り付けられる構成を有するものであればよい。
【0103】
たとえば、図32に示すように、ライニング部材12と連結部材14および補強部材16との嵌合部の構成を変更することもできる。簡単に説明すると、この実施例では、ライニング部材12の第1嵌合部22は、基体20の長手方向に延びる突条であって、この第1嵌合部22の一方側面の先端部には、基体20の幅方向内側に向かって突出する係止片22aが形成される。また、基体20の他方主面20bの両側部のそれぞれには、補強部材16との嵌合部である突条34が形成される。この突条34の他方側面の先端部には、基体20の幅方向内側に向かって突出する爪部34aが形成される。一方、連結部材14の第2嵌合部42は、基体40の長手方向に延びる第1突条42bと第2突条42cとを含む溝状に形成される。また、補強部材16の延出部56は、側壁54の先端部から補強基体50の幅方向外側に向かって延出されており、側壁54の先端部から屈曲して天壁52側(径方向外側)に向かって斜め方向に延びる。そして、第2嵌合部42の2つの突条42b,42c間に第1嵌合部22が挟持されると共に、第1嵌合部22の係止片22aと突条42bの係止片42dとが係合されることで、連結部材14によってライニング部材12の側縁部どうしが連結される。また、補強部材16の延出部56の先端部がライニング部材12の爪部34aによって係止されることで、連結部材14を含むライニング部材12の連結部分を跨いで覆うように、ライニング部材12に補強部材16が取り付けられる。
【0104】
また、上述の実施例では、ライニング部材12の側縁部どうし連結部材14を用いて連結したが、ライニング部材12の側縁部どうしは、必ずしも連結部材14を用いて連結する必要はない。ライニング部材12の両側縁部に互いに嵌め合い可能な嵌合部を形成して、ライニング部材12の側縁部どうしを直接連結する構成とすることもできる。すなわち、ライニング部材12の連結部分には、連結部材14を含む場合と含まない場合とがある。
【0105】
さらに、製管機60の各部の具体的な構成および配置態様なども適宜変更可能である。たとえば、取付装置72は、補強部材曲げローラ124および第2反力受けローラ126を必ずしも備える必要はない。また、補強部材曲げローラ124は、必ずしも螺旋管202の径方向に移動可能に設けられる必要はない。
【0106】
なお、上で挙げた寸法などの具体的数値および各部材の具体的形状などは、いずれも単なる一例であり、製品の仕様などの必要に応じて適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0107】
10 …管更生部材
12 …ライニング部材
14 …連結部材
16 …補強部材
60 …製管機
62 …螺旋巻きガイド装置
64 …ライニング部材送り装置
66 …連結部材ガイド装置
68 …補強部材送り曲げ装置
70 …連結装置
72 …取付装置
120 …補強部材送りローラ
122 …第1反力受けローラ
124 …補強部材曲げローラ
126 …第2反力受けローラ
128 …モータ
132b …第2フレーム(フレーム)
200 …既設管
202 …螺旋管
210,212 …マンホール
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29
図30
図31
図32