(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024093130
(43)【公開日】2024-07-09
(54)【発明の名称】医用情報処理装置、プログラム、医用情報処理システム及び医用情報処理方法
(51)【国際特許分類】
A61B 6/03 20060101AFI20240702BHJP
A61B 6/00 20240101ALI20240702BHJP
G16H 30/20 20180101ALI20240702BHJP
【FI】
A61B6/03 360T
A61B6/00 390Z
G16H30/20
【審査請求】未請求
【請求項の数】22
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022209310
(22)【出願日】2022-12-27
(71)【出願人】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001254
【氏名又は名称】弁理士法人光陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中川 真弓
(72)【発明者】
【氏名】砂川 真樹
【テーマコード(参考)】
4C093
5L099
【Fターム(参考)】
4C093AA01
4C093AA22
4C093AA26
4C093CA15
4C093FA13
4C093FA18
4C093FA35
4C093FH03
4C093FH06
4C093FH10
5L099AA26
(57)【要約】
【課題】実際に照射された線量情報をより簡易にかつ適切に把握できる医用情報処理装置、プログラム、医用情報処理システム及び医用情報処理方法を提供する。
【解決手段】医用情報処理システム100が備える医用情報処理装置(線量管理装置30)は、被検体(患者)に照射された放射線の放射線量に関連する情報における実績情報をDICOM構造化報告書(DICOM-SR:DICOM Structured Report)から取得する第1取得部(制御部31)と、実績情報を照射録として出力する出力部(制御部31)と、を備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検体に照射された放射線の放射線量に関連する情報における実績情報をDICOM構造化報告書(DICOM-SR:DICOM Structured Report)から取得する第1取得部と、
前記実績情報の情報を照射録として出力する出力部と、
を備える医用情報処理装置。
【請求項2】
前記第1取得部は、前記実績情報を放射線量構造化報告書(Radiation Dose Structured Report)から取得する、請求項1に記載の医用情報処理装置。
【請求項3】
前記第1取得部は、前記情報における計画情報をDICOM構造化報告書またはRIS(Radiology Information System)から取得する、請求項1に記載の医用情報処理装置。
【請求項4】
前記計画情報と前記実績情報とを対応付ける対応付け部を備える、請求項3に記載の医用情報処理装置。
【請求項5】
前記計画情報と前記実績情報と前記実績情報に関連する医用画像とを対応付ける対応付け部を備える、請求項3に記載の医用情報処理装置。
【請求項6】
前記第1取得部は、前記実績情報として、前記被検体に放射線を照射して撮影を行った検査における検査日時、前記被検体名、前記被検体の年齢、撮影条件、及び撮影における実際の放射線量の情報のうち、少なくとも一つを取得する、請求項1に記載の医用情報処理装置。
【請求項7】
前記出力部は、前記被検体に放射線を照射して撮影を行った検査における検査日時、前記被検体名、前記被検体の年齢、撮影条件、及び撮影における実際の放射線量の情報のうち、少なくとも一つを含む前記照射録を出力する、請求項1に記載の医用情報処理装置。
【請求項8】
前記出力部は、前記第1取得部により取得された前記実績情報に基づき前記照射録を自動出力する、請求項1に記載の医用情報処理装置。
【請求項9】
前記出力部は、所定期間ごとの照射録を出力する、請求項1に記載の医用情報処理装置。
【請求項10】
DICOM MPPS(Modality Performed Procedure Step)を取得可能な第2取得部を備える、請求項2に記載の医用情報処理装置。
【請求項11】
医用情報処理装置のコンピューターを、
被検体に照射された放射線の放射線量に関連する情報における実績情報をDICOM構造化報告書(DICOM-SR:DICOM Structured Report)から取得する第1取得部、
前記実績情報の情報を照射録として出力する出力部、
として機能させるプログラム。
【請求項12】
前記第1取得部は、前記実績情報を放射線量構造化報告書(Radiation Dose Structured Report)から取得する、請求項11に記載のプログラム。
【請求項13】
前記第1取得部は、前記情報における計画情報をDICOM構造化報告書またはRIS(Radiology Information System)から取得する、請求項11に記載のプログラム。
【請求項14】
前記コンピューターを、
前記計画情報と前記実績情報とを対応付けて記憶する対応付け部として機能させる、請求項13に記載のプログラム。
【請求項15】
前記コンピューターを、
前記計画情報と前記実績情報と前記実績情報に関連する医用画像とを対応付ける対応付け部として機能させる、請求項13に記載のプログラム。
【請求項16】
前記第1取得部は、前記実績情報として、前記被検体に放射線を照射して撮影を行った検査における検査日時、前記被検体名、前記被検体の年齢、撮影条件、及び撮影における実際の放射線量の情報のうち、少なくとも一つを取得する、請求項11に記載のプログラム。
【請求項17】
前記出力部は、前記被検体に放射線を照射して撮影を行った検査における検査日時、前記被検体名、前記被検体の年齢、撮影条件、及び撮影における実際の放射線量の情報のうち、少なくとも一つを含む前記照射録を出力する、請求項11に記載のプログラム。
【請求項18】
前記出力部は、前記第1取得部により取得された前記実績情報に基づき前記照射録を自動出力する、請求項11に記載のプログラム。
【請求項19】
前記出力部は、所定期間ごとの照射録を出力する、請求項11に記載のプログラム。
【請求項20】
前記コンピューターを、
DICOM MPPS(Modality Performed Procedure Step)を取得可能な第2取得部として機能させる、請求項12に記載のプログラム。
【請求項21】
被検体に照射された放射線の放射線量に関連する情報における実績情報をDICOM構造化報告書(DICOM-SR:DICOM Structured Report)から取得する第1取得部と、
前記実績情報の情報を照射録として出力する出力部と、
を備える医用情報処理システム。
【請求項22】
被検体に照射された放射線の放射線量に関連する情報における実績情報をDICOM構造化報告書(DICOM-SR:DICOM Structured Report)から取得する取得工程と、
前記実績情報の情報を照射録として出力する出力工程と、
を有する医用情報処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医用情報処理装置、プログラム、医用情報処理システム及び医用情報処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
医療の分野では、被検体に放射線を照射して医用画像としての放射線画像を生成する、CT(Computed Tomography)装置等の検査装置(モダリティー)が利用されている。このような検査装置を用いた検査では、放射線の被ばく線量を適切に管理するために、検査で使用した放射線の線量を把握することが必要である。
【0003】
例えば、特許文献1には、撮影依頼用紙(照射録)の撮影条件記入欄に、X線技師が一回撮影ごとに、撮影条件(管電圧値、管電流値、照射時間、照射距離)を一行ずつ記入することが記載されている。
また、特許文献2には、RIS(Radiology Information System)において、患者情報、検査オーダー情報、及び照射録(例えば、過去の検査の際に医用画像診断装置において設定された各種設定情報)等を管理することが記載されている。
また、特許文献3には、照射録に検査実績情報が利用されることが記載されている。当該検査実績情報をモダリティーがRISに送信する処理は、DICOM(Digital Imaging and Communication in Medicine)におけるMPPS(Modality Performed Procedure Step)と呼ばれるサービスクラスが用いられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3597677号公報
【特許文献2】特許第6818570号公報
【特許文献3】特開2017-209522公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の発明では、照射録において撮影条件を手書きするため、撮影条件の入力間違い等が発生する可能性がある。そして、この場合には、実際に照射された線量情報を正しく把握することができないという問題がある。
また、特許文献2に記載の発明では、照射録に記載される線量情報は過去の検査の際に医用画像診断装置において設定された各種設定情報であり、実際に照射された線量情報と一致していない可能性があった。
また、特許文献3に記載の発明は、RISを導入している施設におけるものである。そのため、RISが未導入の施設においては適用することができない。
【0006】
この発明の目的は、実際に照射された線量情報をより簡易にかつ適切に把握できる医用情報処理装置、プログラム、医用情報処理システム及び医用情報処理方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の医用情報処理装置の発明は、
被検体に照射された放射線の放射線量に関連する情報における実績情報をDICOM構造化報告書(DICOM-SR:DICOM Structured Report)から取得する第1取得部と、
前記実績情報の情報を照射録として出力する出力部と、
を備える。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の医用情報処理装置において、
前記第1取得部は、前記実績情報を放射線量構造化報告書(Radiation Dose Structured Report)から取得する。
【0009】
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の医用情報処理装置において、
前記第1取得部は、前記情報における計画情報をDICOM構造化報告書またはRIS(Radiology Information System)から取得する。
【0010】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の医用情報処理装置において、
前記計画情報と前記実績情報とを対応付ける対応付け部を備える。
【0011】
請求項5に記載の発明は、請求項3に記載の医用情報処理装置において、
前記計画情報と前記実績情報と前記実績情報に関連する医用画像とを対応付ける対応付け部を備える。
【0012】
請求項6に記載の発明は、請求項1に記載の医用情報処理装置において、
前記第1取得部は、前記実績情報として、前記被検体に放射線を照射して撮影を行った検査における検査日時、前記被検体名、前記被検体の年齢、撮影条件、及び撮影における実際の放射線量の情報のうち、少なくとも一つを取得する。
【0013】
請求項7に記載の発明は、請求項1に記載の医用情報処理装置において、
前記出力部は、前記被検体に放射線を照射して撮影を行った検査における検査日時、前記被検体名、前記被検体の年齢、撮影条件、及び撮影における実際の放射線量の情報のうち、少なくとも一つを含む前記照射録を出力する。
【0014】
請求項8に記載の発明は、請求項1に記載の医用情報処理装置において、
前記出力部は、前記第1取得部により取得された前記実績情報に基づき前記照射録を自動出力する。
【0015】
請求項9に記載の発明は、請求項1に記載の医用情報処理装置において、
前記出力部は、所定期間ごとの照射録を出力する。
【0016】
請求項10に記載の発明は、請求項2に記載の医用情報処理装置において、
DICOM MPPS(Modality Performed Procedure Step)を取得可能な第2取得部を備える。
【0017】
請求項11に記載のプログラムの発明は、
医用情報処理装置のコンピューターを、
被検体に照射された放射線の放射線量に関連する情報における実績情報をDICOM構造化報告書(DICOM-SR:DICOM Structured Report)から取得する第1取得部、
前記実績情報の情報を照射録として出力する出力部、
として機能させる。
【0018】
請求項12に記載の発明は、請求項11に記載のプログラムにおいて、
前記第1取得部は、前記実績情報を放射線量構造化報告書(Radiation Dose Structured Report)から取得する。
【0019】
請求項13に記載の発明は、請求項11に記載のプログラムにおいて、
前記第1取得部は、前記情報における計画情報をDICOM構造化報告書またはRIS(Radiology Information System)から取得する。
【0020】
請求項14に記載の発明は、請求項13に記載のプログラムにおいて、
前記コンピューターを、
前記計画情報と前記実績情報とを対応付けて記憶する対応付け部として機能させる。
【0021】
請求項15に記載の発明は、請求項13に記載のプログラムにおいて、
前記コンピューターを、
前記計画情報と前記実績情報と前記実績情報に関連する医用画像とを対応付ける対応付け部として機能させる。
【0022】
請求項16に記載の発明は、請求項11に記載のプログラムにおいて、
前記第1取得部は、前記実績情報として、前記被検体に放射線を照射して撮影を行った検査における検査日時、前記被検体名、前記被検体の年齢、撮影条件、及び撮影における実際の放射線量の情報のうち、少なくとも一つを取得する。
【0023】
請求項17に記載の発明は、請求項11に記載のプログラムにおいて、
前記出力部は、前記被検体に放射線を照射して撮影を行った検査における検査日時、前記被検体名、前記被検体の年齢、撮影条件、及び撮影における実際の放射線量の情報のうち、少なくとも一つを含む前記照射録を出力する。
【0024】
請求項18に記載の発明は、請求項11に記載のプログラムにおいて、
前記出力部は、前記第1取得部により取得された前記実績情報に基づき前記照射録を自動出力する。
【0025】
請求項19に記載の発明は、請求項11に記載のプログラムにおいて、
前記出力部は、所定期間ごとの照射録を出力する。
【0026】
請求項20に記載の発明は、請求項12に記載のプログラムにおいて、
前記コンピューターを、
DICOM MPPS(Modality Performed Procedure Step)を取得可能な第2取得部として機能させる。
【0027】
請求項21に記載の医用情報処理システムの発明は、
被検体に照射された放射線の放射線量に関連する情報における実績情報をDICOM構造化報告書(DICOM-SR:DICOM Structured Report)から取得する第1取得部と、
前記実績情報の情報を照射録として出力する出力部と、
を備える。
【0028】
請求項22に記載の医用情報処理方法の発明は、
被検体に照射された放射線の放射線量に関連する情報における実績情報をDICOM構造化報告書(DICOM-SR:DICOM Structured Report)から取得する取得工程と、
前記実績情報の情報を照射録として出力する出力工程と、
を有する。
【発明の効果】
【0029】
本発明によれば、実際に照射された線量情報をより簡易にかつ適切に把握できる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1】医用情報処理システムのシステム構成例を示す図である。
【
図2】線量管理装置の機能的構成を示すブロック図である。
【
図3】データベースにおけるデータ構成を示す図である。
【
図4】クライアント端末の機能的構成を示すブロック図である。
【
図5】線量管理処理の制御手順を示すフローチャートである。
【
図6】放射線量に関連する情報における実績情報の例を示す図である。
【
図8】紙媒体に印刷された照射録の例を示す図である。
【
図10】医用情報処理システムのシステム構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明に係る医用情報処理システムの実施の形態について説明する。なお、本発明は、図示例に限定されるものではない。
【0032】
<1.医用情報処理システムの構成>
図1に、医用情報処理システム100のシステム構成例を示す。
図1に示すように、医用情報処理システム100は、検査装置10、医用画像保管装置20、医用情報処理装置である線量管理装置30、クライアント端末40等から構成される。
医用情報処理システム100を構成する各装置は、LAN(Local Area Network)やWAN(Wide Area Network)等の通信ネットワークNを介してデータ送受信可能に接続されている。
また、医用情報処理システム100を構成する各装置は、HL7(Health Level Seven)やDICOM規格に準じており、各装置間の通信は、HL7やDICOMに則って行われる。
なお、医用情報処理システム100は、検査装置10、クライアント端末40を複数備えていてもよい。
【0033】
<1-1.検査装置>
検査装置10は、CT装置、X線撮影装置(DR(一般撮影)、CR/DX(一般撮影)、RF(透視撮影)、XA(血管撮影))等のモダリティーである。
検査装置10は、図示略のコンソールに対する操作者の操作に応じて動作する。
検査装置10は、患者(被験者、被検体)に放射線を照射し、当該放射線の検出結果に基づいて医用画像としての放射線画像(例えば、CT画像)の画像データを生成する。
検査装置10は、DICOM規格に則って、放射線画像に付帯情報を付帯させる。付帯情報には、患者情報、検査情報、シリーズ情報、画像情報等が含まれる。
【0034】
患者情報は、患者に関する情報である。患者情報には、患者ID、患者名、生年月日、性別、身長、体重、年齢、BMI等が含まれる。患者IDは、患者を特定するための識別情報である。
検査情報は、検査に関する情報である。検査情報には、検査ID、検査日付、検査時刻、検査記述、検査インスタンスUID等が含まれる。検査インスタンスUIDは、検査を特定するための識別情報であり、DICOM規格でユニーク性が保証されている。
シリーズ情報は、シリーズに関する情報である。シリーズ情報には、シリーズインスタンスUID、シリーズ番号、シリーズ日付、シリーズ時刻、モダリティー(CT、DR、CR/DX、RF、XA等)、シリーズ記述等が含まれる。シリーズインスタンスUIDは、シリーズを特定するための識別情報であり、DICOM規格でユニーク性が保証されている。
画像情報は、画像に関する情報である。画像情報には、SOPインスタンスUID、画像日付、画像時刻、画像番号等が含まれる。SOPインスタンスUIDは、放射線画像を特定するための識別情報であり、DICOM規格でユニーク性が保証されている。画像番号は、1回のスキャンで生成された断層画像(CT画像)の撮影順を示す番号である。
【0035】
また、検査装置10は、検査装置10において行われる検査に係る放射線量に関連する情報を含むRDSR(Radiation Dose Structured Report:放射線線量構造化レポート)を生成する。検査装置10は、生成した放射線画像の画像データ及びRDSRを医用画像保管装置20及び線量管理装置30に送信する。
【0036】
RDSRは、DICOM規格に則った情報であり、放射線の放射線量に関連する情報を含むデータのデータ形式の一つである。
放射線量に関連する情報は、放射線検査において、被検体に照射した放射線の放射線量(エネルギー量)に係る情報である。放射線量に関連する情報には、空気カーマ[Gy]等の放射線量を表す指標の他、放射線の照射のために印加された電圧、電流、放射線の照射時間、照射継続時間、線源検出器間距離、総空気カーマ、総照射回数、面積線量、総面積線量、CT検査のCTスキャン長と被ばく量の積であるDLP(Dose Length Product)、撮影条件といった、放射線量と相関を有する量の情報も含まれ得る。そして、RDSRでは、これらの放射線量に関連する情報が検査単位で管理されている。
検査装置10は、被検体への一まとまりの放射線の照射動作である照射イベントごとにRDSRを生成する。
【0037】
<1-2.医用画像保管装置>
医用画像保管装置20は、患者ごと、検査ごとに、検査装置10において生成された放射線画像の画像データ及びRDSRに含まれる放射線量に関連する情報を保存・管理する。医用画像保管装置20として、例えば、PACS(Picture Archiving and Communication System)等が挙げられる。
【0038】
<1-3.線量管理装置>
線量管理装置30は、放射線画像の放射線量に関連する情報を管理するコンピューター装置である。
図2は、線量管理装置30の機能的構成を示すブロック図である。
図2に示すように、線量管理装置30は、制御部31(コンピューター)、通信部32、記憶部33等を備えて構成されており、各部はバスにより接続されている。
【0039】
制御部31は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等から構成され、線量管理装置30の各部の処理動作を統括的に制御する。具体的には、CPUは、記憶部33に記憶されているプログラム333を読み出してRAMに展開し、当該プログラム333に従って各種処理を行う。
【0040】
通信部32は、ネットワークインターフェース等により構成され、通信ネットワークNを介して接続された外部装置との間でデータの送受信を行う。例えば、通信部32は、検査装置10から、患者を撮影して得られた放射線画像の画像データ及びRDSRを受信する。また、通信部32は、医用画像保管装置20から放射線画像の画像データ及びRDSRを受信することとしてもよい。
【0041】
記憶部33は、HDD(Hard Disk Drive)や不揮発性の半導体メモリー等により構成され、各種データを記憶している。
例えば、記憶部33は、データベース331、画像保管領域332を有する。
また、記憶部33にはプログラム333が記憶されている。なお、プログラム333は、制御部31のROMに記憶されていてもよい。
【0042】
データベース331には、画像保管領域332に記憶されている放射線画像の付帯情報や、各検査に係る照射イベント情報(放射線量に関連する情報等)が、検索可能に格納されている。
図3に、データベース331におけるデータ構成を示す。データベース331には、患者情報テーブルT1、検査情報テーブルT2、シリーズ情報テーブルT3、画像情報テーブルT4、コンテンツ情報テーブルT5、累積線量情報テーブルT6、照射イベント情報テーブルT7、照射録情報テーブルT8が含まれる。
【0043】
患者情報テーブルT1には、患者に関する情報が格納される。患者情報テーブルT1内の情報は、主に、RDSRから取得した情報であるが、必要に応じて、放射線画像に付帯された付帯情報から補完する場合もある。
患者情報テーブルT1には、患者キーを主キーとして、患者ID、患者名、生年月日、性別、身長、体重、年齢、BMI等が対応付けられている。
【0044】
検査情報テーブルT2には、検査に関する情報が格納される。検査情報テーブルT2内の情報は、主に、RDSRから取得した情報であるが、必要に応じて、放射線画像に付帯された付帯情報から補完する場合もある。
検査情報テーブルT2には、検査キーを主キーとして、検査対象の患者に対応する患者キー、検査日付、検査時刻、照会医師名、検査記述、検査ID、検査インスタンスUID、SOPクラスUID等が対応付けられている。
【0045】
シリーズ情報テーブルT3には、放射線画像に付帯された付帯情報のシリーズに関する情報が格納される。
シリーズ情報テーブルT3には、シリーズキーを主キーとして、シリーズが属する検査に対応する検査キー、シリーズ日付、シリーズ時刻、モダリティー、ステーション名、シリーズ記述、実施医師名、シリーズインスタンスUID、シリーズ番号、装置シリアル番号、受信日時等が対応付けられている。当該受信日時は、シリーズに属する放射線画像の画像データを受信した日時である。
【0046】
画像情報テーブルT4には、放射線画像に付帯された付帯情報の画像に関する情報が格納される。
画像情報テーブルT4には、画像キーを主キーとして、画像が属するシリーズに対応するシリーズキー、SOPインスタンスUID、画像日付、画像時刻、画像番号等が対応付けられている。
【0047】
コンテンツ情報テーブルT5には、検査装置10に関する情報が格納される。
コンテンツ情報テーブルT5には、コンテンツキーを主キーとして、検査装置10が生成した画像に対応する画像キー、参照検査インスタンスUID等が対応付けられている。
当該参照検査インスタンスUIDは、RDSRに含まれる検査インスタンスUIDと、検査装置10において生成される放射線画像の画像に関連する検査インスタンスUIDが異なる場合に、検査を特定するための識別情報であり、DICOM規格でユニーク性が保証されている。
【0048】
累積線量情報テーブルT6には、照射イベント単位での全撮影部位における空気カーマの合計である累積線量に関する情報が格納される。
累積線量情報テーブルT6には、累積線量キーを主キーとして、検査を行った検査装置10に対応するコンテンツキーが対応付けられている。
【0049】
照射イベント情報テーブルT7には、検査時に発生した照射単位の情報(照射イベント情報)が格納される。
照射イベント情報テーブルT7には、照射イベントキーを主キーとして、照射イベントに対応する累積線量キー、被ばく線量判定結果、撮影プロトコル名、電圧、電流、照射時間、mAs値(電流時間積)、空気カーマ[Gy]、入射表面線量[mGy]、入射皮膚線量[mGy]等が対応付けられている。
当該被ばく線量判定結果は、患者の被ばく線量に問題がないかどうかの判定結果である。患者の被ばく線量が一般的な線量管理の基準値である診断参考レベル(Diagnostic Reference Levels:DRLs)より大きい場合はNG、診断参考レベル以下である場合はOKの判定が格納される。当該被ばく線量の判定は、撮影技師により判定されてもよいし、線量管理装置30の制御部31により判定されてもよい。
【0050】
また、空気カーマ(Air Kerma)とは、検査装置10の照射位置に患者がいることを想定し、その時に必要な放射線量を検査装置10より出力しての皮膚表面位置における空気吸収線量である。空気カーマには、患者からの後方散乱は含まれていない。
また、入射表面線量(Entrance Surface Dose)は、患者の皮膚面位置での後方散乱を含んだ空気吸収線量である。
また、入射皮膚線量 (Entrance Skin Dose)は、患者からの後方散乱線を含んだ皮膚の吸収線量である。
【0051】
照射録情報テーブルT8には、撮影条件や撮影状況等を記録するための照射録に係る情報が格納される。当該照射録に係る情報には、被検体に照射された放射線の放射線量に関連する情報における計画情報及び実績情報が含まれる。
当該放射線量に関連する情報における計画情報とは、例えば、患者に放射線を照射して撮影を行う検査日時、患者名、患者の年齢、依頼医名、撮影条件、空気カーマ(撮影において照射される予定の線量)等における予定の情報(検査の計画時点での情報)である。
当該放射線量に関連する情報における実績情報とは、例えば、患者に放射線を照射して撮影を行った検査日時、患者名、患者の年齢、依頼医名、撮影条件、空気カーマ(撮影における実際の放射線量)等の情報であり、検査終了時点での情報である。
【0052】
照射録情報テーブルT8には、検査キーを主キーとして、計画情報と実績情報のそれぞれにおける検査日付、患者ID、患者名、患者の生年月日、患者の性別、患者の年齢、依頼医名、撮影技師名、撮影部位、撮影条件、空気カーマ[Gy]等が対応付けられている。
さらに、照射録情報テーブルT8には、検査キーを主キーとして、放射線量に関連する情報における実績情報に基づいた入射表面線量[mGy]及び入射皮膚線量[mGy]が対応付けられている。
なお、照射録情報テーブルT8に入射表面線量[mGy]及び入射皮膚線量[mGy]が格納されるのは、検査装置10による検査種別が透視検査や血管造影検査である場合である。つまり、検査装置10による検査種別がCTやCR/DXの場合は、照射録情報テーブルT8に入射表面線量[mGy]及び入射皮膚線量[mGy]は格納されない。
【0053】
図3に示すように、検査情報テーブルT2は、患者キーを介して患者情報テーブルT1に対応付けられている。
また、シリーズ情報テーブルT3は、検査キーを介して検査情報テーブルT2に対応付けられている。
また、画像情報テーブルT4は、シリーズキーを介してシリーズ情報テーブルT3に対応付けられている。
また、コンテンツ情報テーブルT5は、画像キーを介して画像情報テーブルT4に対応付けられている。
また、累積線量情報テーブルT6は、コンテンツキーを介してコンテンツ情報テーブルT5に対応付けられている。
また、照射イベント情報テーブルT7は、累積線量キーを介して累積線量情報テーブルT6に対応付けられている。
また、照射録情報テーブルT8は、検査キーを介して検査情報テーブルT2、及びシリーズ情報テーブルT3に対応付けられている。
よって、データベース331によれば、各画像情報テーブルT4と照射録情報テーブルT8との対応関係、換言すれば、各放射線画像と放射線量に関連する情報における計画情報及び実績情報との対応関係を取得することができる。
【0054】
画像保管領域332には、放射線画像の画像データ等が記憶される。
画像保管領域332では、日付単位、患者単位、検査単位、シリーズ単位でフォルダーを分けることで、ファイル取得時に、高速なアクセスが実現可能となる。そのため、データベース331にアクセスしなくても、放射線画像に付帯された付帯情報により、目的の放射線画像が格納されているフォルダー、当該放射線画像のファイルを特定することができる。
また、画像保管領域332には、患者ごとや検査ごとに、当該検査に対応するRDSRに含まれる情報が記憶される。
【0055】
<1-4.クライアント端末>
次に、クライアント端末40について説明する。クライアント端末40は、医師により使用されるPC(Personal Computer)等のコンピューター装置である。医師は、クライアント端末40において、検査に関する放射線画像や放射線量に関連する情報等の閲覧を行う。
【0056】
図4は、クライアント端末40の機能的構成を示すブロック図である。
図4に示すように、クライアント端末40は、制御部41、表示部42、操作部43、通信部44、記憶部45等を備えて構成されており、各部はバスにより接続されている。
【0057】
制御部41は、CPU、ROM、RAM等から構成され、クライアント端末40の各部の処理動作を統括的に制御する。具体的には、CPUは、ROMに記憶されている各種処理プログラムを読み出してRAMに展開し、当該プログラムとの協働により各種処理を行う。
【0058】
表示部42は、LCD(Liquid Crystal Display)等のモニターを備えて構成されており、制御部41から入力される表示信号の指示に従って、各種画面を表示する。
操作部43は、カーソルキー、文字・数字入力キー及び各種機能キー等を備えたキーボードと、マウス等のポインティングデバイスを備えて構成され、キーボードに対するキー操作やマウス操作により入力された操作信号を制御部41に出力する。操作部43は、表示部42のモニターに重ねられて設けられたタッチパネルを有していてもよい。
【0059】
通信部44は、ネットワークインターフェース等により構成され、通信ネットワークNを介して接続された外部装置との間でデータの送受信を行う。
記憶部45は、HDDや不揮発性の半導体メモリー等により構成され、各種データを記憶している。
【0060】
<2.医療情報処理システムにおける動作>
次に、医用情報処理システム100における各装置の動作について説明する。
医用情報処理システム100では、検査装置10において照射イベントが発生し、放射線画像が生成されると、当該放射線画像の画像データ、及び照射イベントに係るRDSRが医用画像保管装置20及び線量管理装置30に送信される。
このうち線量管理装置30では、受信した放射線画像の画像データ及びRDSRに基づいて
図5に示す線量管理処理が実行される。
【0061】
図5は、線量管理処理の制御部31による制御手順を示すフローチャートである。
検査装置10において、被検者に対して検査が行われると、検査装置10から放射線画像の画像データ及びRDSRが線量管理装置30に送信される。
【0062】
線量管理処理において、まず、線量管理装置30の制御部31は、通信部32を介して放射線画像の画像データ及びRDSRを受信する。そして、制御部31は、放射線画像の画像データ及びRDSRに含まれる情報を記憶部33の画像保管領域332に記憶する(ステップS1)。
また、制御部31は、受信した放射線画像の付帯情報、及びRDSRに含まれる情報に基づいて、患者情報テーブルT1、検査情報テーブルT2、シリーズ情報テーブルT3、画像情報テーブルT4、コンテンツ情報テーブルT5、累積線量情報テーブルT6及び照射イベント情報テーブルT7の内容を更新する。
【0063】
次に、制御部31は、ステップS1において受信したRDSRから放射線量に関連する情報における計画情報及び実績情報を項目ごとに取得する(ステップS2)。つまり、制御部31は、患者(被検体)に照射された放射線の放射線量に関連する情報における実績情報をDICOM構造化報告書(ここでは、RDSR)から取得する。ここで、制御部31は第1取得部として機能する。当該ステップS2が取得工程である。
なお、ステップS2において取得される項目は予め設定されている。また、計画情報と実績情報は同じ項目について取得される。
また、制御部31は、RDSR以外のDICOM構造化報告書から放射線量に関連する情報における計画情報及び実績情報を取得してもよい。
【0064】
図6に、取得された放射線量に関連する情報における実績情報の例を示す。
図6に示す例では、ステップS2で取得される実績情報の項目は、検査日、患者ID、患者の性別、患者の生年月日、患者の年齢、撮影技師名、撮影名称(撮影部位、撮影方向)、撮影条件(管電圧値、管電流値、撮影時間、mAs値)である。
【0065】
次に、ステップS1において受信したRDSRに含まれる放射線量に関連する情報に対応する検査が透視検査や血管造影検査である場合、制御部31は、入射表面線量と入射皮膚線量を算出する(ステップS3)。具体的には、制御部31は、実績情報としての空気カーマ(ID[Gy])に基づいて、下記式(1)により入射表面線量(ESD1[mGy])を算出する。また、制御部31は、実績情報としての空気カーマ(ID[Gy])に基づいて、下記式(2)により入射皮膚線量(ESD1[mGy])を算出する。
式(1) ESD1=ID×0.85×1.3
式(2) ESD2=ID×0.85×1.3×1.06
なお、ステップS1において受信したRDSRに含まれる放射線量に関連する情報に対応する検査がCTやCR/DXである場合、ステップS3の処理は省略される。
【0066】
次に、制御部31は、ステップS2において取得した放射線量に関連する情報における計画情報及び実績情報を照射録情報テーブルT8に記録する。これにより、制御部31は、放射線量に関連する情報における計画情報と実績情報とを対応付ける。
さらに、ステップS3を実施した場合、制御部31は、ステップS3において算出した入射表面線量及び入射皮膚線量を照射録情報テーブルT8に記録する。
また、上記したように、各画像情報テーブルT4と照射録情報テーブルT8とは対応付けられている。つまり、各放射線画像と放射線量に関連する情報における計画情報及び実績情報とは対応付けられている。すなわち、受信した放射線画像の付帯情報に基づいて画像情報テーブルT4の内容を更新し、取得した放射線量に関連する情報における計画情報及び実績情報を照射録情報テーブルT8に記録することで、制御部31は、放射線量に関連する情報における計画情報と、実績情報と、実績情報に関連する放射線画像(医用画像)と、を対応付けて、記憶する(ステップS4)。ここで、制御部31は対応付け部として機能する。
【0067】
次に、制御部31は、前回照射録を出力した時から所定期間が経過したか否かを判断する(ステップS5)。
当該所定期間は、予め設定された期間であり、例えば、一週間や一カ月等である。
前回照射録を出力した時から所定期間が経過していない場合(ステップS5:NO)、制御部31は、本処理をステップS1に移行する。
【0068】
一方、前回照射録を出力した時から所定期間が経過している場合(ステップS5;YES)、制御部31は、前回照射録を出力した後から現在までに、ステップS4において記憶した放射線量に関連する情報における実績情報等を含む照射録を出力して(ステップS6)、本処理を終了する。つまり、制御部31は、放射線量に関連する情報における実績情報の情報を照射録として出力する。ここで、制御部31は出力部として機能する。当該ステップS6が出力工程である。
なお、照射録は、放射線量に関連する情報における実績情報の他、放射線量に関連する情報における計画情報、当該実績情報に関連する放射線画像、ステップS3において算出した入射表面線量及び入射皮膚線量を含んでいてもよい。
【0069】
照射録の出力として、制御部31は、例えば、クライアント端末40の表示部42に、照射録を表示する画面を表示させる。照射録は、例えば、
図7に示す照射録のフォーマットに、ステップS4において記憶した放射線量に関連する情報における実績情報等が記入されたものである。
また、照射録は、
図6に示すような項目ごとに情報が記載されたリスト形式であってもよい。
また、照射録は、PDF(Portable Document Format)やMicrosoft Excel(登録商標)等の形式で出力されてもよい。
また、制御部31は、照射録の出力として、照射録を紙媒体に印刷してもよい。この場合、制御部31は、PDFやMicrosoft Excel等の形式の照射録を印刷する。
図8に、紙媒体に印刷された照射録の例を示す。
【0070】
また、ステップS6において、制御部31が
図9に示すように、対応付けられた放射線量に関連する情報における計画情報と実績情報とを含む照射録を出力する場合、ユーザーは放射線量に関連する情報における計画情報と実績情報とを比較できる。そして、ユーザーは放射線量に関連する情報における計画情報と実績情報とを比較することで、計画から乖離した撮影を行った検査がある場合、それを把握できる。
また、ステップS6において、制御部31が対応付けられた放射線量に関連する情報における計画情報と実績情報と実績情報に関連する放射線画像とを含む照射録を出力する場合を説明する。この場合、ユーザーは放射線量に関連する情報における計画情報と実績情報とを比較することで、計画から乖離した撮影を行った検査がある場合、当該検査で撮影した放射線画像を把握して、確認できる。
【0071】
また、ステップS2において取得され、ステップS6において出力される実績情報には、X線管電流、総空気カーマ、及び総面積線量の実績情報が含まれてもよい。X線管電流、総空気カーマ、及び総面積線量の情報は、DICOM MPPS(Modality Performed Procedure Step)には含まれていない。したがって、上記線量管理処理を実行することにより、MPPSには含まれないX線管電流、総空気カーマ、及び総面積線量の実績情報を含む照射録を出力できる。そのため、ユーザーはより多くの放射線量に関連する情報における実績情報を把握できる。
【0072】
また、ステップS2において取得され、ステップS6において出力される実績情報には、CT検査におけるDLPの実績情報が含まれてもよい。DLPの情報は、RDSRのみに含まれる情報である。したがって、上記線量管理処理を実行することにより、DLPの実績情報を含む照射録を出力できる。そのため、ユーザーはより多くの放射線量に関連する情報における実績情報を把握できる。
【0073】
また、上記したように、RDSRでは、放射線量に関連する情報が検査単位で管理されている。そのため、ステップS2において、制御部31は、RDSRから放射線量に関連する情報における計画情報及び実績情報を検査単位でまとめて取得できる。一方、DICOM画像の属性情報から放射線量に関連する情報を取得する場合、すべての撮影した画像を確認して、対象の放射線量に関連する情報を取得する必要がある。よって、上記線量管理処理を実行することにより、DICOM画像の属性情報から放射線量に関連する情報を取得するよりも容易に放射線量に関連する情報を把握できる。
【0074】
また、RDSRには、写損時の放射線量に関連する情報も含まれる。そのため、ステップS2において、制御部31は、RDSRから写損時の放射線量に関連する情報における計画情報及び実績情報を取得してもよい。一方、写損時にはDICOM画像の属性情報を取得することはできない。よって、上記線量管理処理を実行することにより、DICOM画像の属性情報から放射線量に関連する情報を取得する場合と比較して、写損時においても放射線量に関連する情報を把握できるというメリットがある。
【0075】
また、上記のように、照射録を所定期間ごとに出力することで、照射録の出力管理を容易に行うことができる。また、照射録を所定期間ごとに紙媒体に印刷する場合、照射イベントごとに印刷するよりも当該紙媒体の量を減らすことができる。
【0076】
なお、上記線量管理処理では、線量管理装置30が検査装置10から放射線画像及びRDSRを受信する場合について説明したが、線量管理装置30が医用画像保管装置20から放射線画像及びRDSRを受信することとしてもよい。また、検査装置10又は医用画像保管装置20から放射線画像及びRDSRを受信するタイミングは、同時でなくてもよい。
【0077】
また、
図10に示すように、医用情報処理システム100は、通信ネットワークNを介してデータ送受信可能に接続されるRIS50を備えるとしてもよい。この場合、制御部31は、RIS50からDICOM MPPSを取得することが可能である。ここで、制御部31は第2取得部として機能する。この場合においても、制御部31は、被検体に照射された放射線の放射線量に関連する情報における実績情報をRDSRから取得する。
なお、制御部31は、放射線量に関連する情報における計画情報をRIS50から取得してもよい。
【0078】
<3.効果>
以上のように、本実施形態に係る医用情報処理システム100が備える医用情報処理装置(線量管理装置30)は、被検体(患者)に照射された放射線の放射線量に関連する情報における実績情報をDICOM構造化報告書(DICOM-SR:DICOM Structured Report)から取得する第1取得部(制御部31)と、実績情報の情報を照射録として出力する出力部(制御部31)と、を備える。
これにより、被検体に実際に照射された線量に関連する情報を含む実績情報を照射録として出力できる。そのため、RISを備えない簡易なシステムにおいても、実際に照射された線量に関連する情報を適切に把握できる。したがって、システムにRISを導入するコストを抑えることができる。
【0079】
また、医用情報処理装置(線量管理装置30)において、第1取得部は、実績情報を放射線量構造化報告書(Radiation Dose Structured Report)から取得する。
したがって、RISを備えない簡易なシステムにおいても、検査装置10等より送信されるRDSRから実績情報を取得できる。
【0080】
また、医用情報処理装置(線量管理装置30)において、第1取得部は、放射線量に関連する情報における計画情報をDICOM構造化報告書またはRIS(Radiology Information System)から取得する。
また、医用情報処理装置(線量管理装置30)は、計画情報と実績情報とを対応付ける対応付け部(制御部31)を備える。
したがって、対応付けられた放射線量に関連する情報における計画情報と実績情報とを含む照射録を出力する場合、ユーザーは放射線量に関連する情報における計画情報と実績情報とを比較できる。そして、ユーザーは当該比較を行うことで、計画から乖離した撮影を行った検査がある場合、それを把握することができる。
【0081】
また、医用情報処理装置(線量管理装置30)は、計画情報と実績情報と実績情報に関連する医用画像(放射線画像)とを対応付ける対応付け部(制御部31)を備える。
したがって、対応付けられた放射線量に関連する情報における計画情報と実績情報と実績情報に関連する放射線画像とを含む照射録を出力する場合、ユーザーは放射線量に関連する情報における計画情報と実績情報とを比較できる。そしてユーザーは当該比較を行うことで、計画から乖離した撮影を行った検査がある場合、当該検査で撮影した放射線画像を把握して、確認できる。
【0082】
また、医用情報処理装置(線量管理装置30)において、第1取得部は、実績情報として、被検体に放射線を照射して撮影を行った検査における検査日時、被検体名、被検体の年齢、撮影条件、及び撮影における実際の放射線量の情報のうち、少なくとも一つを取得する。
また、医用情報処理装置(線量管理装置30)において、出力部は、被検体に放射線を照射して撮影を行った検査における検査日時、被検体名、被検体の年齢、撮影条件、及び撮影における実際の放射線量の情報のうち、少なくとも一つを含む照射録を出力する。
これにより、ユーザーは実績情報としての検査日時、被検体名、被検体の年齢、撮影条件、及び撮影における実際の放射線量の情報等を把握できる。
【0083】
また、医用情報処理装置(線量管理装置30)において、出力部は、第1取得部により取得された実績情報に基づき照射録を自動出力する。
これにより、ユーザーによる照射録の出力を指示する手間を減らすことができる。また、照射録の出力忘れを防ぐことができる。
【0084】
また、医用情報処理装置(線量管理装置30)において、出力部は、所定期間ごとの照射録を出力する。
これにより、照射録の出力管理を容易に行うことができる。また、照射録を紙媒体に印刷する場合、照射イベントごとに出力するよりも当該紙媒体の量を減らすことができる。
【0085】
また、医用情報処理装置(線量管理装置30)は、DICOM MPPSを取得可能な第2取得部(制御部31)を備える。
つまり、制御部31がMPPSを取得可能な構成においても、MPPSに含まれる情報を利用することなく、RDSRから実績情報を取得し、照射録として出力することで、実際に照射された線量に関連する情報を適切に把握できる。
【0086】
なお、上記実施の形態における記述は、本発明に係る医用情報処理システムの例であり、これに限定されるものではない。システムを構成する各部の細部構成及び細部動作に関しても本発明の趣旨を逸脱することのない範囲で適宜変更可能である。
【0087】
例えば、上記実施形態の線量管理処理において、制御部31は、所定期間ごとに照射録を出力するとしたがこれに限らない。制御部31は、検査装置10において照射イベントが発生するごとに、つまり放射線画像及びRDSRを受信するごとに照射録を出力してもよい。
【0088】
また、線量管理装置30に操作部及び表示部が設けられており、ユーザーが線量管理装置30を直接操作可能である場合には、線量管理装置30においてユーザー操作を受け付けてもよい。この場合には、上記実施形態でクライアント端末40の表示部42に表示させていた照射録を表示する画面は、線量管理装置30の表示部に表示される。また、上記実施形態の線量管理処理において、制御部31は、放射線量に関連する情報における実績情報に基づき照射録を自動出力したがこれに限らない。制御部31は、ユーザー操作により照射録を出力する指示を受け付けた場合に、照射録を出力するとしてもよい。
【0089】
また、医用画像保管装置20に線量管理装置30の機能を設けてもよい。この場合には、医用画像保管装置20が本発明の「医用情報処理装置」に相当する。
また、RIS50に線量管理装置30の機能を設けてもよい。この場合には、RIS50が本発明の「医用情報処理装置」に相当する。
【0090】
また、上記実施形態では、線量管理装置30の記憶部33にデータベース331及び画像保管領域332が設けられている例を用いて説明したが、これに限られない。例えば、線量管理装置30の外部のデータベースサーバー等にデータベース331を設けて、必要なデータを都度データベースサーバーから取得してもよい。同様に、線量管理装置30の外部の記憶装置に放射線画像の画像データを記憶させて、必要な画像データを都度この記憶装置から取得してもよい。
【0091】
また、データベース331において、照射録情報テーブルT8にシリーズキーを含ませて、照射録情報テーブルT8と画像情報テーブルT4を、シリーズキーを介して対応付けてもよい。つまり、各放射線画像と放射線量に関連する情報における計画情報及び実績情報とを直接対応付けてもよい。このようなデータベース331の管理のためには、RDSRに放射線画像と対応付けるためのシリーズインスタンスUIDを含ませればよい。
【0092】
また、各放射線画像と放射線量に関連する情報における計画情報及び実績情報とを対応付ける方法は、これに限られず、例えば、放射線画像と、放射線量に関連する情報における計画情報及び実績情報とを対応付けるテーブルデータをデータベース331とは別個に設けてもよい。
【0093】
以上の説明では、各処理を実行するためのプログラムを格納したコンピューター読み取り可能な媒体として記憶部33又はROMを使用した例を開示したが、この例に限定されない。その他のコンピューター読み取り可能な媒体として、フラッシュメモリー等の不揮発性メモリー、CD-ROM等の可搬型記録媒体を適用することも可能である。また、プログラムのデータを通信回線を介して提供する媒体として、キャリアウェーブ(搬送波)を適用することとしてもよい。
【符号の説明】
【0094】
10 検査装置
20 医用画像保管装置
30 線量管理装置(医用情報処理装置)
31 制御部(第1取得部、第2取得部、出力部、対応付け部)
32 通信部
33 記憶部
331 データベース
332 画像保管領域
333 プログラム
40 クライアント端末
41 制御部
42 表示部
43 操作部
44 通信部
45 記憶部
50 RIS
100 医用情報処理システム
N 通信ネットワーク
T1 患者情報テーブル
T2 検査情報テーブル
T3 シリーズ情報テーブル
T4 画像情報テーブル
T5 コンテンツ情報テーブル
T6 累積線量情報テーブル
T7 照射イベント情報テーブル
T8 照射録情報テーブル