(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024093138
(43)【公開日】2024-07-09
(54)【発明の名称】車両
(51)【国際特許分類】
B60K 1/04 20190101AFI20240702BHJP
B60K 11/06 20060101ALI20240702BHJP
H01M 10/613 20140101ALI20240702BHJP
H01M 10/625 20140101ALI20240702BHJP
H01M 10/6563 20140101ALI20240702BHJP
【FI】
B60K1/04
B60K11/06
H01M10/613
H01M10/625
H01M10/6563
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022209323
(22)【出願日】2022-12-27
(71)【出願人】
【識別番号】000005348
【氏名又は名称】株式会社SUBARU
(74)【代理人】
【識別番号】110003410
【氏名又は名称】弁理士法人テクノピア国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】宮崎 岳史
【テーマコード(参考)】
3D038
3D235
5H031
【Fターム(参考)】
3D038AA09
3D038AB01
3D038AC02
3D038AC22
3D235AA01
3D235BB04
3D235BB07
3D235BB17
3D235BB36
3D235BB45
3D235CC15
3D235DD25
3D235DD27
3D235FF07
3D235HH25
5H031KK08
(57)【要約】 (修正有)
【課題】後方衝突時のさらなる安全性を向上する。
【解決手段】車両は、バッテリ11と、バッテリより後方側で左右方向に沿って設けられるクロスメンバー31と、バッテリの内外で空気を流通させるためのダクト15と、を備え、ダクトは、クロスメンバーの後方側に、ダクトにおける他の部分より剛性が高い高剛性部15cを有する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
バッテリと、
前記バッテリより後方側で左右方向に沿って設けられるクロスメンバーと、
前記バッテリの内外で空気を流通させるためのダクトと、
を備え、
前記ダクトは、前記クロスメンバーの後方側に、前記ダクトにおける他の部分より剛性が高い高剛性部を有する
車両。
【請求項2】
前記高剛性部は、上下方向において前記クロスメンバーとオーバーラップするように配置される
請求項1に記載の車両。
【請求項3】
前記ダクトは、前記バッテリの後方側に、前記高剛性部より剛性が低い低剛性部を有する
請求項1に記載の車両。
【請求項4】
前記低剛性部は、上下方向において前記バッテリとオーバーラップするように配置される
請求項3に記載の車両。
【請求項5】
前記バッテリの左右方向の両側及び中央において前後方向に沿って配置されるシートヒンジと、
前記バッテリより前方側で左右方向に沿って配置される車体クロスメンバーと、
を備え、
前記シートヒンジ、前記車体クロスメンバー及び前記クロスメンバーは、8の字の構造体を形成する
請求項1または請求項2に記載の車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バッテリを備える車両に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、後部座席の下方にバッテリが搭載された車両では、後方からの追突エネルギーを吸収するための衝撃吸収部材が設けられたものが提案されている(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
後部座席の下方にバッテリが搭載された車両では、後方衝突時のさらなる安全性を向上することが望まれている。
【0005】
本発明は上記事情に鑑みなされたものであり、安全性を向上することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一実施の形態に係る車両は、バッテリと、バッテリより後方側で左右方向に沿って設けられるクロスメンバーと、バッテリの内外で空気を流通させるためのダクトと、を備え、ダクトは、クロスメンバーの後方側に、ダクトにおける他の部分より剛性が高い高剛性部を有する。
これにより、車両は、後方衝突時に高剛性部がクロスメンバーに接触して潰れることになるため、後方衝突時の衝突エネルギーを、高剛性部が潰れることにより消費することが可能となる。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、安全性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【発明を実施するための形態】
【0009】
<1.車両の概要構成>
図1は、車両1の構成概要を示した図である。以下では、車両1の進行方向を前方向、車両1の後退方向を後方向、車両1の進行方向に対して右側を右方向、車両1の進行方向に対して左側を左方向、鉛直上方を上方向、鉛直下方を下方向として説明する。
【0010】
図1に示すように、車両1は、エンジン2、モータ3、バッテリパック4、インバータ5、送電ケーブル6を備えるハイブリッド自動車である。バッテリパック4は、バッテリ11及びBCU(Battery Control Unit)等の電子部品12が収容される。
【0011】
エンジン2及びモータ3は、車両1を走行させる動力源である。なお、車両1は、動力源としてモータ3のみを備える電気自動車であってもよい。
車両1は、例えば、動力源であるエンジン2及びモータ3からの動力が変速機、フロントディファレンシャルギヤ等を介して前輪に伝達されるとともに、変速機、プロペラシャフト及びリヤディファレンシャルギヤ8(
図2、
図3参照)等を介して後輪に伝達される4輪駆動自動車である。
【0012】
エンジン2は、例えば、一対のシリンダ群がクランクシャフトを挟んで左右方向に水平に対向配置された水平対向エンジンである。エンジン2は、ガソリンと空気の混合気をシリンダ内で燃焼させることにより得られる燃焼圧によってピストンを往復動させる。そして、エンジン2は、ピストンにコネクティングロッドを介して接続されたクランクシャフトを回転させることで動力を得る。なお、エンジン2は、直列エンジン、V型エンジン等であってもよい。また、エンジン2は、ディーゼルエンジンであってもよい。
【0013】
モータ3は、例えば三相交流モータである。モータ3は、バッテリ11から送電ケーブル6及びインバータ5を介して供給される電力によって動力を発生させる。
また、モータ3は、回生運転を行うことによって電気(電力)を生成する。モータ3の回生運転によって生成された電気は、インバータ5及び送電ケーブル6を介してバッテリ11に供給される。
【0014】
インバータ5は、バッテリ11から供給される直流電流を三相の交流電流に変換し送電ケーブル6を介してモータ3に供給する。また、モータ3が回生運転を行う場合、インバータ5は、モータ3から供給される交流電流を直流電流に変換し送電ケーブル6を介してバッテリ11に供給する。
【0015】
バッテリ11は、高電圧二次電池であり、モータ3に供給するための電気を蓄電可能である。バッテリ11は、モータ3による回生運転によって充電される。また、バッテリ11は、不図示の外部装置からの電気供給によっても充電が可能であってもよい。
【0016】
電子部品12にはBCUが含まれる。BCUは、例えばECU(Electronic Control Unit)によって構成されており、バッテリ11の状態を監視し、また、バッテリ11の動作を制御する。BCUは、バッテリ11の電流、電圧及び温度をそれぞれ測定するセンサが接続されており、これらセンサから測定結果を取得する。そして、BCUは、センサから取得した測定結果を他のECUに送信したり、センサから取得した測定結果や他のECUの指示に基づいてバッテリ11の動作を制御したりする。
【0017】
図2は、バッテリ11周辺の上面図である。
図3は、
図2におけるA-A断面図である。
図4は、
図2においてB方向から見た図である。なお、
図2及び
図4では後部座席7を省略している。
【0018】
図2~
図4に示すように、バッテリパック4(バッテリ11)は、後部座席7の下方であって、リヤディファレンシャルギヤ8より上方に配置される。後部座席7は、例えば3列シートのうち、最も後方側のシートである。
【0019】
この位置にバッテリパック4が配置されていることにより、車両1では、プロペラシャフトやリヤディファレンシャルギヤ8を配置する空間ができ、4輪駆動を実現可能としている。また、車両1では、燃料タンクを配置する空間が確保することができるとともに、燃料タンクの大型化が可能となる。
【0020】
一方で、後部座席7の下方にバッテリパック4を配置する場合、車両1が後方から衝突されると、その衝突によってバッテリ11が損傷するおそれがある。
【0021】
そこで、車両1では、バッテリ11周辺の構造を以下のようにしている。車両1は、前後方向に沿って一対の車体フレーム21が設けられる。一対の車体フレーム21は、左右方向(幅方向)に離隔して設けられており、車両1に加えられる振動、ねじり、曲げ等を受けるために高い剛性を有している。
【0022】
また、車両1は、前後方向における後部座席7の下方に、一対の車体フレーム21に架け渡されるように左右方向に沿って車体クロスメンバー22が設けられる。車体クロスメンバー22は、左右方向の両端部が高くなるとともに左右方向の中央部が両端部よりも低くなるように形成される。
車体クロスメンバー22は、車体フレーム21と同様に、車両1に加えられる振動、ねじり、曲げ等を受けるために高い剛性を有している。
【0023】
バッテリパック4は、上記したバッテリ11及びBCU12に加え、バッテリケース13、蓋部14及び排気ダクト15を備える。
【0024】
バッテリケース13は、上部が開口した凹形状に形成されており、開口の全周に亘ってリブ13a~13dが設けられるとともに、左右方向の中央に前後方向に沿ってリブ13eが設けられる。バッテリケース13の中には、バッテリ11及び電子部品12等が収容される。
【0025】
リブ13a、13bは左右方向に沿って配置され、リブ13c、13d、13eは前後方向に沿って配置されている。リブ13cは左側の車体フレーム21に沿って配置され、リブ13dは右側の車体フレーム21に沿って配置されている。
そして、バッテリパック4は、リブ13a、13b、13c、13eが連結されることで、全体として略長方形状に開口される。
【0026】
リブ13a~13eは、例えばアルミニウム等の金属材でなり、下方向に開口するように断面が略U字形状となっていて剛性が高められている。バッテリパック4は、リブ13aが車体クロスメンバー22に載せられ、リブ13bが一対の車体フレーム21に架け渡され、リブ13cが左側の車体フレーム21に載せられ、リブ13dが右側の車体フレーム21に載せられる。これにより、バッテリパック4は、全体として車体(車体フレーム21及び車体クロスメンバー22)に支持される。
そして、バッテリパック4は、リブ13a、13b、13c、13eが車体フレーム21及び車体クロスメンバー22に不図示の締結ボルト等で締結されることで固定される。
【0027】
蓋部14は、バッテリケース13の開口を塞ぐようにバッテリケース13の上に設けられ、リブ13a~13eに不図示の締結ボルト等で固定される。
【0028】
排気ダクト15は、バッテリ11の内外で空気を流通させるためのダクトの一例である。排気ダクト15は、一端がバッテリ11の下部に接続されるとともに、他端が車外に向けて開口されている。排気ダクト15は、バッテリ接続部15a、低剛性部15b、高剛性部15c及び外部配管部15dが連続するように接続されている。
【0029】
バッテリ接続部15aは、バッテリケース13内において左右方向の中央やや左側で、前後方向に沿って配置される。バッテリ接続部15aは、一端がバッテリ11の下部に接続され、他端が低剛性部15bの下端に接続される。
【0030】
低剛性部15bは、バッテリケース13内において最も後方側であって上下方向に沿って配置される。低剛性部15bは、下端がバッテリ接続部15aに接続されるとともに、上端が高剛性部15cに接続される。
低剛性部15bは、高剛性部15cよりも剛性が低い例えば樹脂によって形成されている。また、低剛性部15bは、バッテリ11より剛性が低い。
また、低剛性部15bは、上下方向においてバッテリ11とオーバーラップする(重なる)ように配置されている。
【0031】
高剛性部15cは、低剛性部15bに連続するように上下方向に沿って配置される。高剛性部15cは、バッテリケース13内から蓋部14を通ってバッテリケース13外にかけて配置される。
高剛性部15cは、低剛性部15bより剛性が高い例えば樹脂によって形成されている。なお、高剛性部15cは、排気ダクト15の他の部分(バッテリ接続部15a、低剛性部15b、外部配管部15d)より剛性が高い。
【0032】
外部配管部15dは、バッテリケース13外において略左右方向に沿って配置される。外部配管部15dは、一端が高剛性部15cに接続されるとともに、他端が車外に開口されている。
【0033】
バッテリパック4では、不図示のファンによりバッテリケース13内に空気が流入され、流入された空気が主にバッテリ11を冷却する。そして、バッテリ11を冷却して温められた空気が排気ダクト15を通って車外に排出される。すなわち、バッテリ11から発せられた熱が排気ダクト15を通って車外に排出される。
【0034】
蓋部14には、左右方向に沿って配置されたクロスメンバー31が取り付けられている。クロスメンバー31は、リブ13c及びリブ13d上に両端が載せられており、不図示の締結ボルト等でリブ13c及びリブ13dに固定される。なお、クロスメンバー31は、車体フレーム21に固定されるようにしてもよい。
【0035】
また、クロスメンバー31は、排気ダクト15の高剛性部15cよりも前方側に配置されている。また、クロスメンバー31の最も後方側は、バッテリ11の最も後方側よりも後方に位置している。
【0036】
クロスメンバー31の上下方向の厚みは、高剛性部15cの上下方向の厚みよりも薄い。そして、クロスメンバー31は、上下方向において厚さの全てが高剛性部15cとオーバーラップするように(重なるように)配置されている。
【0037】
バッテリパック4の上部には、後部座席7を支持するための3個のシートヒンジ32(32a~32c)が前後方向に沿って設けられる。シートヒンジ32aは、左側の車体フレーム21に沿って配置される。シートヒンジ32bは、車両1の左右方向の中央に配置される。シートヒンジ32cは、右側の車体フレーム21に沿って配置される。
【0038】
シートヒンジ32a、32b、32cは、前方側の端部が車体クロスメンバー22上に配置され、後方側の端部がクロスメンバー31上に配置され、これらの端部が不図示の締結ボルト等によって車体クロスメンバー22及びクロスメンバー31に固定される。
【0039】
従って、バッテリ11は、上方から見ると、車体クロスメンバー22、クロスメンバー31及びシートヒンジ32a、32b、32cによって8の字の構造体で囲まれることになる。これにより、車両1が例えば後方から衝突(追突)された場合に、8の字の構造体によって守られることになる。
そのため、車両1では、バッテリ11の破損を低減することが可能となる。また、車両1では、バッテリ11が8の字の構造体で守られることにより後部座席7が移動するおそれを低減でき、後部座席7に座っている乗員のダメージを低減することも可能となる。
【0040】
図5は、後方衝突時の車両1を説明する図である。車両1が後方から障害物100に衝突された場合、
図5上段に示すように、バッテリ11の周辺では、まず障害物100がバッテリケース13のリブ13bに接触する。そして、バッテリケース13のリブ13bが潰れていくことで障害物100による衝突エネルギーを消費(減少)させる。なお、この段階では、低剛性部15b及び高剛性部15cがリブ14bの前方に設けられているため、低剛性部15b及び高剛性部15cは変形することはない。
【0041】
その後、リブ13bが潰れるだけでは衝撃エネルギーを受けきれない場合、
図5中段に示すように、高剛性部15cが障害物100に接触して前方に押し込まれる。このとき、高剛性部15cが上下方向においてクロスメンバー31とオーバーラップするように配置されているため、前方に押し込まれた高剛性部15cはクロスメンバー31に接触することになる。
【0042】
そして、高剛性部15cがクロスメンバー31に接触した後にさらに押し込まれると、
図5下段に示すように、高剛性部15cが潰れていくことで障害物100による衝突エネルギーを消費させる。
このとき、高剛性部15cは、低剛性部15bより剛性が高い部材によって形成されているため、潰れる際に消費されるエネルギーを大きくすることができ、より衝突エネルギーを消費させることが可能となる。
【0043】
一方で、低剛性部15bが障害物100によって前方に押し込まれてバッテリ11に接触したとしても、低剛性部15bは高剛性部15c及びバッテリ11より剛性が低い部材によって形成されているため、低剛性部15bが潰れることでバッテリ11に損傷を与えてしまうことを低減することが可能となる。
【0044】
<2.変形例>
なお、以上の実施形態は本発明を実施する一例で有り、本発明の実施は以上の例に限定されず、各種の変形例が考えられる。
【0045】
例えば、上記した実施形態では、車体クロスメンバー22、クロスメンバー31及びシートヒンジ32によってバッテリ11が8の字の構造体で囲まれるようにした。しかしながら、8の字の構造体は必須でなく、例えばシートヒンジ32bを抜いた四角形状の構造体で囲まれるようにしてもよい。
【0046】
また、上記した実施形態では、バッテリ11が後部座席7の下方に配置されるようにしたが、これに限らず、例えば、バッテリ11がトランクルームの下方に配置されるようにしてもよい。
【0047】
また、上記した実施形態では、バッテリ11の内外で空気を流通させるためのダクトの一例として排気ダクト15を例に挙げて説明した。しかしながら、排気ダクト15は、構成を変えることなく、外部から空気をバッテリ11に流入させるための吸気ダクトとして用いられるようにしてもよい。すなわち、バッテリ11の内外で空気を流通させるためのダクトは、排気ダクトでも吸気ダクトでもよい。
【0048】
<3.まとめ>
上記のように実施形態の車両1は、バッテリ11と、バッテリ11より後方側で左右方向に沿って設けられるクロスメンバー31と、バッテリ11の内外で空気を流通させるためのダクト(排気ダクト15)と、を備え、ダクト(排気ダクト15)は、クロスメンバー31の後方側に、ダクト(排気ダクト15)における他の部分(バッテリ接続部15a、低剛性部15b、外部配管部15d)より剛性が高い高剛性部15cを有する。
これにより、車両1は、後方衝突時に高剛性部15cがクロスメンバー31に接触して潰れることになるため、後方衝突時の衝突エネルギーを、高剛性部15cが潰れることにより消費することが可能となる。
これにより、車両1では、バッテリ11の破損を低減することができる。また、車両1では、衝突エネルギーを高剛性部15cが潰れることで消費することにより、バッテリ11が前方へ移動してしまうおそれを低減することができる。かくして、車両1は、安全性を向上することができる。
【0049】
また、高剛性部15cは、上下方向においてクロスメンバー31とオーバーラップするように配置される。
これにより、車両1は、後方衝突時に高剛性部15cがクロスメンバー31に適切に接触することが可能となる。従って、後方衝突時に、高剛性部15cを適切に潰させて衝突エネルギーを消費させることができる。
【0050】
また、ダクト(排気ダクト15)は、バッテリ11の後方側に、高剛性部15cより剛性が低い低剛性部15bを有する。
これにより、車両1は、後方衝突時に低剛性部15bがバッテリ11に接触することになるため、低剛性部15bが前方に押し込まれて潰れる際にバッテリ11を破損させるおそれを低減することができる。かくして、車両1は、より安全性を向上することができる。
【0051】
また、低剛性部15bは、上下方向においてバッテリ11とオーバーラップするように配置される。
これにより、車両1は、後方衝突時に低剛性部15bがバッテリ11に適切に接触することが可能となる。従って、後方衝突時に、低剛性部15bが前方に押し込まれて潰れる際にバッテリ11を破損させるおそれをより低減することができる。
【0052】
また、バッテリ11の左右方向の両側及び中央において前後方向に沿って配置されるシートヒンジ32a、32b、32cと、バッテリ11より前方側で左右方向に沿って配置される車体クロスメンバー22と、を備え、シートヒンジ32a、32b、32c、車体クロスメンバー22及びクロスメンバー31は、8の字の構造体を形成する。
これにより、バッテリ11が8の字の構造体に囲まれることになるため、後方衝突時において8の字の構造体によってバッテリ11が守られる。従って、車両1では、バッテリ11の損傷をより低減することができる。また、車両1は、後部座席7が移動してしまうおそれも低減でき、後部座席7に座っている乗員へのダメージを与えてしまうおそれを低減することができる。
【符号の説明】
【0053】
1 車両
4 バッテリパック
11 バッテリ
15 排気ダクト
15b 低剛性部
15c 高剛性部
21 車体フレーム
22 車体クロスメンバー
31 クロスメンバー
32 シートヒンジ