(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024093151
(43)【公開日】2024-07-09
(54)【発明の名称】測定装置及び測定方法
(51)【国際特許分類】
G01R 29/22 20060101AFI20240702BHJP
H03H 3/02 20060101ALN20240702BHJP
【FI】
G01R29/22 E
H03H3/02 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022209345
(22)【出願日】2022-12-27
(71)【出願人】
【識別番号】000146009
【氏名又は名称】株式会社昭和真空
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100132883
【弁理士】
【氏名又は名称】森川 泰司
(74)【代理人】
【識別番号】100100860
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 陽子
(74)【代理人】
【識別番号】100148149
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邉 幸男
(72)【発明者】
【氏名】森 広宣
(72)【発明者】
【氏名】塩野 忠久
(72)【発明者】
【氏名】跡邊 好寿
【テーマコード(参考)】
5J108
【Fターム(参考)】
5J108AA02
5J108BB02
5J108KK05
5J108KK07
5J108MM08
(57)【要約】
【課題】電子部品の電気特性を正確に測定できる測定装置及び測定方法を提供する。
【解決手段】測定装置は、第1空間24を備える第1チャンバ20と、第1チャンバ20の第1面に配置され、第1面と対向する第2面に配置された複数の電子部品の電気特性を測定する複数のコンタクトプローブ21と、第1チャンバ20の第1面の側に積層された切替板41と当該切替板41上に配置された電子基板42とを備え複数のコンタクトプローブ21から送信される信号を切り替える切替部40と、切替板41を挟んで第1チャンバ20と対向し、第2空間51を有する第2チャンバ50と、第1空間24の圧力と第2空間51の圧力が等しくなるように圧力を調整する圧力調整手段60と、を備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1空間を備える第1チャンバと、
前記第1チャンバの第1面に配置され、前記第1面と対向する第2面に配置された複数の電子部品の電気特性を測定する複数のコンタクトプローブと、
前記第1チャンバの前記第1面の側に配置された切替板と当該切替板上に配置された電子基板とを備え、前記複数のコンタクトプローブから送信される信号を切り替える切替部と、
前記切替板を挟んで前記第1チャンバと対向し、第2空間を有する第2チャンバと、
前記第1空間の圧力と前記第2空間の圧力が等しくなるように圧力を調整する圧力調整手段と、を備える
測定装置。
【請求項2】
前記第2空間には、前記複数のコンタクトプローブの配置された前記第1面に、前記切替板を介して、押圧力を付与する押圧手段が設けられた、
請求項1に記載の測定装置。
【請求項3】
前記押圧手段は、前記第1チャンバの少なくとも前記コンタクトプローブが配置された領域を、前記切替板を介して押圧する、
請求項2に記載の測定装置。
【請求項4】
前記切替板には、前記第1空間と前記第2空間を連通させる連通孔が形成された、
請求項1に記載の測定装置。
【請求項5】
前記切替板は、前記第1チャンバ又は前記第2チャンバが配置される第1領域と、当該第1領域の外側で複数の前記電子基板が配置される第2領域を備える、
請求項1に記載の測定装置。
【請求項6】
前記電子部品と前記コンタクトプローブの位置を撮影する撮影手段、を更に備える、
請求項1に記載の測定装置。
【請求項7】
複数のコンタクトプローブが配置される第1チャンバに第1空間を形成し、
前記複数のコンタクトプローブから送信される信号を切替る電子基板が取り付けられた切替板を前記第1チャンバ上に配置し、
前記切替板を挟んで前記第1チャンバと対向させて、第2空間を有する第2チャンバを配置し、
前記第1空間の圧力と前記第2空間の圧力が等しくなるように圧力を変更して電子部品の電気特性を測定する、
測定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子部品の電気特性を測定する測定装置及び測定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
複数の電子部品の電気特性を測定する装置として、例えば、特許文献1に記載された測定装置がある。当該測定装置を使用すれば、複数の電子部品の電極に測定治具である複数のコンタクトプローブを接触させたまま、電子部品の電気特性を測定することができる。
【0003】
測定時には、切替部により複数のコンタクトプローブの電気的接続を切り替えて出力を測定部に送ることができ、複数の電子部品の電気特性を効率的に測定することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示された測定装置を、測定室の圧力を変化させて電気的特性を測定した場合、圧力変化により、測定室内部に配置されたコンタクトプローブのストロークが極わずかに変化することがある。近年の電子部品の微小化及び高密度化により、微小なストローク変化が測定精度に影響を及ぼす場合がある。
【0006】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、電子部品の電気特性を正確に測定できる測定装置及び測定方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の観点に係る測定装置は、
第1空間を備える第1チャンバと、
前記第1チャンバの第1面に配置され、前記第1面と対向する第2面に配置された複数の電子部品の電気特性を測定する複数のコンタクトプローブと、
前記第1チャンバの前記第1面の側に配置された切替板と当該切替板上に配置された電子基板とを備え、前記複数のコンタクトプローブから送信される信号を切り替える切替部と、
前記切替板を挟んで前記第1チャンバと対向し、第2空間を有する第2チャンバと、
前記第1空間の圧力と前記第2空間の圧力が等しくなるように圧力を調整する圧力調整手段と、を備える。
【0008】
前記第2空間には、前記複数のコンタクトプローブの配置された前記第1面に、前記切替板を介して、押圧力を付与する押圧手段が設けられた、
こととしてもよい。
【0009】
前記押圧手段は、前記第1チャンバの少なくとも前記コンタクトプローブが配置された領域を、前記切替板を介して押圧する、
こととしてもよい。
【0010】
前記切替板には、前記第1空間と前記第2空間を連通させる連通孔が形成された、
こととしてもよい。
【0011】
前記切替板は、前記第1チャンバ又は前記第2チャンバが配置される第1領域と、当該第1領域の外側で複数の前記電子基板が配置される第2領域を備える、
こととしてもよい。
【0012】
前記電子部品と前記コンタクトプローブの位置を撮影する撮影手段、を更に備える、
こととしてもよい。
【0013】
本発明の第2の観点に係る測定方法は、
複数のコンタクトプローブが配置される第1チャンバに第1空間を形成し、
前記複数のコンタクトプローブから送信される信号を切替る電子基板が取り付けられた切替板を前記第1チャンバ上に配置し、
前記切替板を挟んで前記第1チャンバと対向させて、第2空間を有する第2チャンバを配置し、
前記第1空間の圧力と前記第2空間の圧力が等しくなるように圧力を変更して電子部品の電気特性を測定する。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、コンタクトプローブのストローク変化を最小限にでき、電子部品の電気特性を正確に測定できる測定装置及び測定方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の実施の形態に係る測定装置の概念図を示す図である。
【
図2】実施の形態に係る測定部の要部断面図である。
【
図3】実施の形態に係る測定部の分解斜視図である。
【
図5】従来の測定部を使用して水晶振動子のインピーダンスを測定した結果を示すグラフを示す図である。
【
図6】本実施の形態に係る測定部を使用して水晶振動子のインピーダンスを測定した結果を示すグラフを示す図である。
【
図7】(a)~(c)は、本実施の形態に係る測定装置を使用して、電子部品の電気特性を測定する方法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
(実施の形態)
以下、本発明に係る測定装置の実施の形態について、図面を参照して説明する。以下に説明する実施の形態は説明のためのものであり、本願発明の範囲を制限するものではない。したがって、当業者であればこれらの各要素もしくは全要素をこれと均等なものに置換した実施の形態を採用することが可能であるが、これらの実施の形態も本発明の範囲に含まれる。
【0017】
(測定装置の構造)
本発明の一実施の形態である測定装置の構造について説明する。
図1は測定装置の概念図であり、
図2は測定部の要部断面図、
図3は測定部の要部分解斜視図である。
【0018】
図1に示すように、測定装置1は、チャンバ本体2と、減圧手段3と、測定器4と、制御部5と、測定部10と、を備える。
図1は、測定装置1の概念図であり、後述する電子基板は省略され、実際の寸法とは相違する。
【0019】
チャンバ本体2は、測定部10を内部に収納する筐体であり、後述する減圧手段により内部は低真空に維持される。ステンレス鋼、又はアルミニウム合金等により形成されている。
【0020】
減圧手段3は、チャンバ本体2の内部の圧力を減圧する装置であり、例えば、真空ポンプを使用し、チャンバ本体2の内部を100Pa以下の真空状態とする。
【0021】
測定器4は、測定部10の内部に配置された電子部品、例えば水晶振動子の電気特性を測定する機器である。具体的には、ネットワークアナライザを用いて水晶振動子のインピーダンス又周波数等の電気特性を測定する。
【0022】
制御部5は、測定器4から送信された結果に基づき、測定装置1の運転制御を行う。本実施の形態では、水晶振動子のリークを判断して運転制御を実行する。制御部5は、CPU、記憶装置等を備え、CPUが記憶装置に記憶されたプログラムを実行して、記憶装置に記憶されたデータに基づいて、測定装置1の全体動作を制御する。
【0023】
測定部10は、
図1~3に示すように、第1チャンバ20と、ステージ30と、切替部40と、第2チャンバ50と、圧力調整手段60と、上部フレーム70と、撮影手段80と、を備える。第2チャンバ50が配置される側を上、第1チャンバ20が配置される側を下、として説明するが、この方向は、本実施の形態を説明するために使用するものであり、本発明の実施の形態が実際に使用されるときの方向を限定するものではない。また、これらの用語によって特許請求の範囲に記載された技術的範囲を限定的に解釈させるべきでない。
【0024】
第1チャンバ20は、複数の一対のコンタクトプローブ21を保持し、その先端を下方に向けて配置するコンタクトブロック22と、後述する電子部品を受け入れる開口23を備える。第1チャンバ20は、第1チャンバ20内の一面を形成する第1面20a、具体的には、コンタクトブロック22の一面を有し、この第1面20aに複数のコンタクトプローブ21が設置されている。開口23が後述する中間ステージ32により閉鎖されることにより、第1チャンバ20内に密閉された第1空間24が形成される。
【0025】
ステージ30は、第1チャンバ20の下方に配置され、ステージ本体31と、ステージ本体31の上部に配置される中間ステージ32と、を備える。中間ステージ32の上面には、電子部品である水晶振動子33が複数個搭載されたトレイ34が載置される。ステージ本体31は、図示しない駆動手段により上下に相対移動し、中間ステージ32上のトレイ34を上下移動させる。中間ステージ32が上昇されると、中間ステージ32上のトレイ34は、第1チャンバ20の開口23から第1空間24に挿入される。トレイ34の板面(第2面34a)は、コンタクトプローブ21が設置された第1面20aと対向し、トレイ34がさらに上昇することにより、複数の水晶振動子33と、第1チャンバ20の複数のコンタクトプローブ21が接触する。
【0026】
水晶振動子33は、
図1に示すように、水晶片を封入したパッケージ33aと、パッケージ33aに形成された金属膜である一対の外部電極33bを備える。水晶振動子33は、トレイ34にマトリクス状に配列される。コンタクトプローブ21は、マトリクス状に配列された水晶振動子33の数と同数であり、中間ステージ32が上昇することで、全ての水晶振動子33とコンタクトプローブ21が接触する。
【0027】
切替部40は、
図2、3に示すように、切替板41と複数の電子基板42を備える。切替板41は、第1チャンバ20の上面、すなわち第1チャンバ20の第1面20aの側に積層される。複数の電子基板42は、その基板面を切替板41の上面と垂直にして、切替板41に取り付けられる。複数の電子基板42は、複数のコンタクトプローブ21から発信される信号を、適宜切り換えて、測定器4に送信する。切替部40として、例えば、同軸リレーやリードリレー等のスイッチを用いる。1つの電子基板42は、例えば、トレイ34上にマトリクス状に配置された水晶振動子33の2列分の水晶振動子33からの信号を受け取り、測定器4に送信する。
【0028】
第2チャンバ50は、切替板41に積層されるチャンバであり、内部に第2空間51が形成されている。第2チャンバ50は、第1チャンバ20と切替板41を挟んで対向して配置されている。また、第2空間51には、切替板41を、第1チャンバ20に向けて押圧する押圧手段52が配置されている。本実施の形態において、押圧手段52は、切替板41と第2チャンバ50の間に挿入される、例えば、押圧板52aである。押圧手段52が押圧板52aの場合、押圧板52aは、その上面が第2チャンバ50の天井面に接触し、その下面が切替板41の上面に接触し、第2チャンバ50の天井面と切替板41の上面との間で挟まれるように配置される。
【0029】
押圧板52aは、一枚の板を、切替板41と第2チャンバ50の底部との間に挟んでもよいし、第2チャンバ50と一体成形してもよい。また、押圧手段52は板でなくてもよく、弾性部材により切替板41を押すようにしてもよい。また、押圧板52aと弾性部材を併用してもよい。
【0030】
押圧板52aは、
図2、4に示すように、切替板41の上面で、少なくともコンタクトプローブ21が配置された領域を含むように配置される。この範囲に押圧板52aを配置することにより、中間ステージ32が上昇して、複数の水晶振動子33の外部電極33bと複数のコンタクトプローブが接触したときに、複数のコンタクトプローブ21の全てに上下方向に均等な押圧力が加わり、コンタクトプローブの部分的な歪みを防止する。
【0031】
本実施の形態の測定部10は、第1チャンバ20又は第2チャンバ50と、電子基板42の配置に特徴がある。すなわち、切替板41は、切替部40を上方から見た
図4に示すように、第1チャンバ20又は第2チャンバ50が搭載される第1領域41aと、第1領域41aの外側で、電子基板42が搭載される第2領域41bを備える。電子基板42は、第1領域41aの外側の第2領域41bに配置されることにより、第1チャンバ20の第1空間24内又は第2チャンバ50の第2空間51内の圧力変化の影響を回避できる。例えば、第1領域41aに電子基板42を取り付けると、第1空間24又は第2空間51の圧力変化により切替板41が変形したときに、電子基板42は切替板41から脱落することがある。しかしながら、本実施の形態のように電子基板42を、第1チャンバ20又は第2チャンバ50の配置されていない第2領域41bに取り付けることで、電子基板42を切替板41に安定して固定できる。
【0032】
また、電子基板42を第2領域41bに配置し、第2チャンバ50の上面に電子基板42を配置しないことで、第1チャンバ20内のコンタクトプローブ21と水晶振動子33の外部電極33bとの位置合わせをする撮影手段(後述)を配置するスペースを確保することができる。
【0033】
圧力調整手段60は、第1空間24と第2空間51の圧力を調整して、同一圧力とするための手段である。圧力調整手段60は、第1空間24と第2空間51の内部を減圧又は加圧する手段であり、図示はしないが、減圧手段として例えばチャンバ内を減圧する真空ポンプが使用され、加圧手段として例えば窒素を圧縮してチャンバに送る加圧装置が使用される。
【0034】
第1空間24と第2空間51の圧力を同一とするために、本実施の形態では、第1空間24と第2空間51を連通させて圧力を調整する。具体的には、切替板41に、第1空間24と第2空間51を連通させる連通孔43を形成する。例えば、圧力調整手段60を第2チャンバ50に接続し、圧力調整手段60により、第2空間51の内部の圧力を所望する圧力に変更すると、第1空間24と第2空間51は連通孔43により連通されているので、第2空間51は、第1空間24と同一の圧力に保持される。
【0035】
一般に、圧力(P)は、面積S[m2]の面に対してF[N]の力が加わっているとすると、P=F/Sで表すことができる。したがって、第1空間24の切替板41と対向する面の面積と、第2空間51の切替板41と対向する面の面積が等しければ、同じ力が加わっていれば、第1空間24と第2空間51の圧力は等しくなる。よって、第1空間24の面積と第2空間51の面積が等しくなるように、第1チャンバ20と第2チャンバ50の形状及び第2チャンバ50内に挿入する押圧板52aの大きさを決定する。
【0036】
本実施の形態に係る発明は、第1チャンバ20と第2チャンバ50を、切替部40を挟んで配置し、第1空間24と第2空間51の圧力を同一とすることで、切替板41の歪みを抑え、コンタクトプローブ21のストロークの変化を防止することを特徴とするものである。
【0037】
上部フレーム70は、第2チャンバ50の上部に配置され、下面に取り付けられた伝達部材72を介して、第2チャンバ50に押圧力を加える部材である。ステージ30が上昇することで、ステージ30と上部フレーム70との間には、上下方向の押圧力が発生する。第2チャンバ50には、下向きの押圧力が加えられ、この押圧力が押圧板52aを押して、複数のコンタクトプローブ21に均等な力を付与する。
【0038】
ステージ本体31と中間ステージ32の間、中間ステージ32と第1チャンバ20との間、第1チャンバ20と切替板41との間、及び切替板41と第2チャンバ50との間には、Oリング90が挿入されている。Oリング90は、メタルタッチで接触している。すなわち、Oリング90は潰しきられており、対向する板同士は、互いに密着する。このようなOリング90を使用することで、第1チャンバ20と第2チャンバ50の密閉度を向上させることができる。その結果、ステージ30、トレイ34、第1チャンバ20、切替板41、及び第2チャンバ50が、全てメタルタッチで面接触され、あたかも一体となったような剛構造となり、圧力変化に対してプローブストロークが変化しない構造とすることができる。
【0039】
撮影手段80は、コンタクトプローブ21の位置と水晶振動子33の外部電極33bの位置を合わせるための撮影する手段であり、例えば、CCD(Charge Coupled Devices)カメラを使用する。撮影手段80は、上部フレーム70の上方に配置される。上部フレーム70、第2チャンバ50、及び押圧板52aには、撮影手段80がトレイ34上の水晶振動子33及びコンタクトプローブ21が撮影できるように、それぞれに覗き窓71、53、54が形成されている。覗き窓71、53、54があることにより、撮影手段80の光軸80aは、トレイ34まで達する。
【0040】
コンタクトプローブ21の位置と水晶振動子33の外部電極33bの位置を合わせは、水晶振動子33の搭載されたトレイ34と、コンタクトプローブ21が取り付けられたコンタクトブロック22に、それぞれマーカを付け、このマーカを撮影手段80で撮影することにより実行される。制御部5は、撮影画像から、コンタクトプローブ21の位置と水晶振動子33の外部電極33bの位置が合っているか否かを判断する。位置合わせが不適切な場合には、手動あるいは自動でコンタクトプローブ21の位置又は水晶振動子33の位置を変更させる。
【0041】
(従来の測定部との対比)
従来の測定装置の測定部の概要を
図8に示す。
図8に示すように、測定部100は、第1チャンバ200と、上下移動するステージ300と、第1チャンバ200の上に搭載される切替部400と、を備える。
【0042】
第1チャンバ200は、第1空間240を備え、第1空間240内にコンタクトブロック220と、コンタクトブロック220から下方に先端が伸びるコンタクトプローブ210が収容される。切替部400は、切替板410と切替板410上に取り付けられた複数の電子基板420とを備える。
【0043】
従来の測定部100は、本実施の形態の測定部10と相違して、第2チャンバ50を有していない。したがって、第1チャンバ200の第1空間240の圧力が変更されると、切替板410は、圧力の変化により変形することがあり、切替板410が変形することにより、コンタクトプローブ210のストロークにバラツキが生じ、コンタクトプローブ210によって測定される測定値に誤差が生じる。切替板410の変形を抑えるには、切替板410を厚くしたり、電子基板42の間に支柱を追加する対応策がある。しかし、切替板410には配線パターンがあり、電子部品やコネクタ等が実装されているため自由度が無い。また、電子基板42の間に支柱を追加する場合には、電子基板42の間の隙間が狭いので構造上限界があり、採用しがたい。
【0044】
本実施の形態の測定部10は、第2チャンバ50を、切替板41を挟んで第1チャンバ20と対応して配置して、第1チャンバ20と第2チャンバ50の内部圧力を同一とすることにより、切替板41に加わる圧力を、切替板41の板面に渡って均等とすることにより、切替板41の変形を防止し、コンタクトプローブ21のストロークにバラツキを生じさせない効果がある。
【0045】
また、従来の測定部100では、
図8に示すように、電子基板420は、切替板410上のコンタクトプローブ210が配置された領域に取り付けられる。コンタクトプローブ210が配置された領域は、第1空間240が形成された領域に対応する。したがって、第1空間240において圧力変化があると、その変化の影響で切替板41が変形し、切替板41上に取付られた電子基板420は、脱落しやすくなる。本実施の形態の測定部10では、電子基板42は、コンタクトプローブ21が配置される第1領域41aの外側の第2領域41bに、取り付けられる。したがって、電子基板42は、第1空間24の圧力変化による切替板41の変形の影響を受けず、切替板41から脱落しにくい。
【0046】
また、本実施の形態の測定部10では、第1領域42aの上方には、何も積層されていないので、撮影手段80を配置することができる。
【0047】
図5、
図6は、従来の測定部100と本実施の形態の測定部10を使用して測定した水晶振動子33のインピーダンスの変化を示すグラフである。
図5は従来の測定部100により測定されたインピーダンスの変化、
図6は本実施の形態に係る測定部10により測定されたインピーダンスの変化を示す。
図5、6に示す線は、トレイに配列された各水晶振動子のインピーダンスの変化に対応する。グラフに示すように、
図6の本実施の形態の測定部10で測定したほうが、
図5の従来の測定部100により測定した全体のインピーダンスのバラツキが少ないことが確認できる。したがって、本実施の形態の測定部10では、コンタクトプローブ21の変形が少ないことがわかる。
【0048】
(測定方法)
次に、測定装置1を使用して、水晶振動子33のインピーダンスを測定する方法について、
図1、
図7を参照して説明する。本実施の形態では、水晶振動子33のインピーダンスを測定して、水晶振動子33のリークの有無を判別する検査を実行する。水晶振動子33のインピーダンスは、圧力変化に伴い変化するので、インピーダンスの変化を測定することにより、水晶振動子33の圧力変化を検出して、リークの有無を判別する。
【0049】
まず、複数の水晶振動子33をトレイ34上に載置して、トレイ34を中間ステージ32に置く。中間ステージ32上に置かれたトレイ34は、
図7(a)に示すように、ステージ本体31が上昇されることにより上昇し、第1チャンバ20の開口23から第1チャンバ20の内部に挿入される。
【0050】
図7(b)に示すように、中間ステージ32の上面と第1チャンバ20の下面が当たり接触することにより、開口23は閉鎖されて、第1チャンバ20内に第1空間24が形成される。また、第2チャンバ50には、第2空間51が形成され、第2空間51内には、押圧板52aが挿入されている。
【0051】
ステージ本体31が上昇して中間ステージ32が第1チャンバ20に接触した後、さらに、ステージ本体31が上昇すると、中間ステージ32と第1チャンバ20との間及び第1チャンバ20と切替板41との間には、上方向の押圧力がかかり、中間ステージ32と第1チャンバ20との間及び第1チャンバ20と切替板41との間は、密閉される。また、中間ステージ32と第1チャンバ20との間及び第1チャンバ20と切替板41との間には、それぞれ、Oリング90が潰しきって挿入されているので、面どうしの密着をさらに強くすることができる。
【0052】
一方、第2チャンバ50は、伝達部材72を介して上部フレーム70に接続されている。したがって、ステージ本体31が上昇することにより、上方向に働く押圧力の反力である下方向に働く押圧力が生じ、第2チャンバ50には、下方向の押圧力が加わる。第2チャンバ50に下方向の押圧力が加わることにより、第2チャンバ50と切替板41とは密閉される。また、第2チャンバ50と切替板41との間には、Oリング90が潰しきって挿入されているので、面どうしの密着をさらに強くすることができる。
【0053】
第1チャンバ20と第2チャンバ50が密閉されたら、
図7(c)に示すように、圧力調整手段60により、第2チャンバ50の第2空間51を減圧又は加圧した第1圧力とする。切替板41には、連通孔43が形成されているので、第1空間24と第2空間51は連通している。切替板41に対向する第1空間24の面積と第2空間51の面積は、同一となるように形成されているので、第1チャンバ20の第1空間24と第2チャンバ50の第2空間51とは、同一の第1圧力となる。また、第2チャンバ50に挿入された押圧板52aは、切替板41のコンタクトプローブ21が配置された領域に配置されているので、複数のコンタクトプローブ21には、均等な力が加わる。
【0054】
この状態で、水晶振動子33のインピーダンスを測定する。測定器4であるネットワークアナライザの電源部(図示せず)から、コンタクトプローブ21、切替部40を介して、水晶振動子33に所定の電圧を付与して水晶振動子33を発振させ、水晶振動子33から出力された信号がネットワークアナライザに戻り、インピーダンスが測定される。インピーダンスの測定は、1つの電子基板42で、例えば、マトリクス状に配列された水晶振動子33の2列のインピーダンスを測定して、測定器4に送信する。1つの電子基板42による測定が終了すると、切替部40は、次の電子基板42により、次の2列の水晶振動子33のインピーダンスを測定する。複数の電子基板42により測定された測定値を、順次切り替えながら、信号を測定器4に送り、全ての水晶振動子33のインピーダンスを測定する。
【0055】
インピーダンスを測定する前に、上部フレーム70の上方に配置した撮影手段80により、覗き窓53、54、17を介して、コンタクトプローブ21と外部電極33bの位置を合わせて測定する。本実施の形態では、コンタクトプローブ21と水晶振動子33とが接触する直前でステージ30を停止し、位置合わせを実施する。
図7(a)に示すステージ本体31の上昇前に位置合わせを実施してもよい。
【0056】
第1圧力で、インピーダンスを測定した後、圧力調整手段60により、第2チャンバ50の第2空間51を、第1圧力とは相違する第2圧力とする。切替板41の連通孔43により、第1チャンバ20の第1空間24と第2チャンバ50の第2空間51とは、同一の第2圧力となる。
【0057】
この状態で、水晶振動子33のインピーダンスを測定する。インピーダンスの測定は、切替部40により、複数の水晶振動子33からの信号を切り替えて測定器4に送ることで実行される。
【0058】
制御部7は、第1圧力と第2圧力における測定器4の測定結果に基づいて、水晶振動子33のリークの有無を判断する。
【0059】
本実施の形態によれば、第1チャンバ20と第2チャンバ50を、切替板41を挟んで配置し、第1空間24と第2空間51の圧力を等しくすることにより、切替板41の変形を防止し、コンタクトプローブ21のストロークの変化を軽減することができる。
【0060】
本実施の形態によれば、第2空間51に、切替板41のコンタクトプローブ21が配置された領域に押圧力を付与する押圧手段52を配置したので、コンタクトプローブ21に均等な力がかかり、コンタクトプローブのストローク変化を軽減することができる。
【0061】
本実施の形態によれば、圧力調整手段60により第1空間24と第2空間51の内部圧力を同一に保持し、押圧板52aがコンタクトプローブ21の配置された領域を押すので、圧力調整手段60と押圧板52aの相乗効果で、コンタクトプローブ21のストロークの変化を軽減することができる。
【0062】
本実施の形態によれば、第1空間24と第2空間51を連通させる連通孔43を切替板41に形成したので、シンプルな構造で、第1空間24と第2空間51の内部圧力を同一とすることができる。
【0063】
本実施の形態によれば、切替板41のコンタクトプローブ21が配置される第1領域41aの外側の第2領域41bに複数の電子基板42を配置したので、電子基板42が切替板41から脱落することを防止することができる。
【0064】
本実施の形態によれば、水晶振動子33とコンタクトプローブ21の位置を撮影する撮影手段80を備えるので、水晶振動子33とコンタクトプローブ21の正確な位置決めをすることができる。
【0065】
本実施の形態では、押圧手段52を第2チャンバ50の第2空間51に配置したが、押圧手段52は、なくてもよい。
【0066】
本実施の形態では、切替板41に連通孔43を形成し、1つの圧力調整手段60により、第1空間24と第2空間51の圧力を同一としていた。しかしながら、第1空間24と第2空間51の圧力を同一にするための手段は、これに限定されない。例えば、第1空間24と第2空間51の圧力を個別に調整してもよい。その場合には、第1空間24の圧力を変更する圧力調整手段と、第2空間51の圧力を変更する圧力調整手段を、第1チャンバ20と第2チャンバ50のそれぞれに取り付けて、第1空間24と第2空間51の圧力を同一にする方法もある。また、第1空間24と第2空間51を、ホース等の連結手段で繋いでもよい。
【0067】
本実施の形態では、第2チャンバ50に圧力調整手段60を接続しているが、第1チャンバ20に接続してもよい。
【0068】
本実施の形態では、中間ステージ32を用いた例を説明したが、中間ステージ32を使用せずに、ステージ本体31のみを使用して、トレイ34の昇降を行ってもよい。
【0069】
本実施の形態では、圧力調整手段60として、減圧手段と加圧手段を使用することを説明したが、どちらか一方を使用してもよい。
【0070】
本実施の形態では、撮影手段80は、上部フレーム70の上方に配置したが、上部フレーム70と第2チャンバ50との間に配置してもよい。また、撮影手段80の配置位置により、覗き窓の位置を適宜選択してもよい。
【0071】
本実施の形態では、水晶片を封入したパッケージ33aと、パッケージ33aに形成された金属膜である外部電極33bを備える水晶振動子33をトレイ34にマトリクス状に配列した電子部品を用いたが、電子部品は、この形態に限定されない。複数の水晶片及び電極を形成した水晶ウエハを電子部品とし、水晶ウエハ上の複数の電極の電気特性を測定してもよい。または、電子部品は、半導体、コネクタ、コンデンサ、又は電池などであってもよい。
【0072】
本実施の形態では、切替板41の変形を防止するために、第1空間24と第2空間51の圧力を同一とする方法を提供したが、それに加えて、第1チャンバ20又は第2チャンバ50の厚さを厚くすることによって、第1チャンバ20又は第2チャンバ50の剛性を高め、変形しないようにすることも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0073】
本発明は、電子部品の電気特性を測定する測定装置及び測定方法に利用することができる。
【符号の説明】
【0074】
1 測定装置
2 チャンバ本体
3 減圧手段
4 測定器
5 制御部
10 測定部
20 第1チャンバ
20a 第1面
21 コンタクトプローブ
22 コンタクトブロック
23 開口
24 第1空間
30 ステージ
31 ステージ本体
32 中間ステージ
33 水晶振動子
33a パッケージ
33b 外部電極
34 トレイ
34a 第2面
40 切替部
41 切替板
42 電子基板
43 連通孔
50 第2チャンバ
51 第2空間
52 押圧手段
52a 押圧板
53 覗き窓
54 覗き窓
60 圧力調整手段
70 上部フレーム
71 覗き窓
72 伝達部材
80 撮影手段
80a 光軸
90 Oリング
100 測定部
200 第1チャンバ
210 コンタクトプローブ
220 コンタクトブロック
300 ステージ
400 切替部
410 切替板
420 電子基板