(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024093161
(43)【公開日】2024-07-09
(54)【発明の名称】鉄道駅設置ロボット、鉄道駅設置ロボットシステム、鉄道駅設置ロボットの制御方法および制御プログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/40 20240101AFI20240702BHJP
【FI】
G06Q50/30
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022209358
(22)【出願日】2022-12-27
(71)【出願人】
【識別番号】000002945
【氏名又は名称】オムロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100129012
【弁理士】
【氏名又は名称】元山 雅史
(72)【発明者】
【氏名】相澤 知禎
【テーマコード(参考)】
5L049
5L050
【Fターム(参考)】
5L049CC43
5L050CC43
(57)【要約】
【課題】車いす使用者の鉄道利用時の利便性を向上させるとともに、鉄道駅の駅係員の業務をサポートすることが可能な鉄道駅設置ロボット、鉄道駅設置ロボットシステム、鉄道駅設置ロボットの制御方法および制御プログラムを提供する。
【解決手段】鉄道駅設置ロボット10は、鉄道駅に設置されており、鉄道駅において鉄道を利用する車いす使用者による列車への乗車をサポートするロボットであって、依頼受付部19と、送信部20と、を備えている。依頼受付部19は、車いす使用者から、列車への乗車の介助を求める内容を含む介助依頼を受け付ける。送信部20は、依頼受付部19が介助依頼を受け付けると、鉄道駅を含む鉄道路線を管理する鉄道会社が保有する情報端末3に介助依頼があった旨を示す介助依頼通知を送信する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉄道駅に設置されており、前記鉄道駅において鉄道を利用する車いす使用者による列車への乗車をサポートする鉄道駅設置ロボットであって、
前記車いす使用者から、前記列車への乗車の介助を求める内容を含む介助依頼を受け付ける依頼受付部と、
前記依頼受付部が前記介助依頼を受け付けると、前記鉄道駅を含む鉄道路線を管理する鉄道会社が保有する情報端末に前記介助依頼があった旨を示す介助依頼通知を送信する送信部と、
を備えている鉄道駅設置ロボット。
【請求項2】
前記依頼受付部は、前記車いす使用者の発話から前記介助依頼を受け付ける発話依頼受付部を、有している、
請求項1に記載の鉄道駅設置ロボット。
【請求項3】
前記介助依頼を受け付けるための操作ボタンを表示する表示部を更に備え、
前記依頼受付部は、前記車いす使用者によって前記表示部に表示された操作ボタンが押されると前記介助依頼を受け付けるボタン入力受付部を、有している、
請求項1または2に記載の鉄道駅設置ロボット。
【請求項4】
前記情報端末から前記鉄道駅の駅係員によって前記介助依頼が了承された旨を示す介助了承通知を受領する受領部を、さらに備えている、
請求項1または2に記載の鉄道駅設置ロボット。
【請求項5】
前記受領部が前記介助了承通知を受領すると、前記車いす使用者に対して待機を依頼する待機案内を出力する出力部を、さらに備えている、
請求項4に記載の鉄道駅設置ロボット。
【請求項6】
前記介助依頼を受け付けるための操作ボタンを表示する表示部は、前記受領部が前記介助了承通知を受領すると、前記車いす使用者に対して待機を依頼する待機案内を表示する、
請求項4に記載の鉄道駅設置ロボット。
【請求項7】
前記車いすに関する情報を含む発話内容に対する回答情報と、前記発話内容から前記回答情報を決定するための回答識別子と、の対応を定義する回答データベースを、さらに備えている、
請求項1または2に記載の鉄道駅設置ロボット。
【請求項8】
前記車いすの使用者からの発話に対する回答を準備するための情報処理を行う対話エンジンとの間で各種情報を送受信する通信部を、更に備えている、
請求項1または2に記載の鉄道駅設置ロボット。
【請求項9】
前記対話エンジンは、前記車いすに関する情報を含む発話内容と、前記発話内容に対する回答情報を決定するための回答識別子と、の対応を定義する対話データベースを、備えている、
請求項8に記載の鉄道駅設置ロボット。
【請求項10】
請求項1または2に記載の鉄道駅設置ロボットと、
前記介助依頼通知を受け付ける通知受付部と、前記介助依頼が了承された旨を示す介助了承通知を送信する通知送信部と、を有する前記情報端末と、
を備えている鉄道駅設置ロボットシステム。
【請求項11】
鉄道駅に設置されており、前記鉄道駅において鉄道を利用する車いす使用者による列車への乗車をサポートする鉄道駅設置ロボットによって実施される制御方法であって、
前記鉄道駅設置ロボットの依頼受付部が、前記車いす使用者から、前記列車への乗車の介助を求める内容を含む介助依頼を受け付ける依頼受付ステップと、
前記鉄道駅設置ロボットの送信部が、前記依頼受付ステップが前記介助依頼を受け付けると、前記鉄道駅を含む鉄道路線を管理する鉄道会社が保有する情報端末に前記介助依頼があった旨を示す介助依頼通知を送信する送信ステップと、
を備えている鉄道駅設置ロボットの制御方法。
【請求項12】
鉄道駅に設置されており、前記鉄道駅において鉄道を利用する車いす使用者による列車への乗車をサポートする鉄道駅設置ロボットを制御する制御プログラムであって、
前記鉄道駅設置ロボットの依頼受付部が、前記車いす使用者から、前記列車への乗車の介助を求める内容を含む介助依頼を受け付ける依頼受付ステップと、
前記鉄道駅設置ロボットの送信部が、前記依頼受付ステップが前記介助依頼を受け付けると、前記鉄道駅を含む鉄道路線を管理する鉄道会社が保有する情報端末に前記介助依頼があった旨を示す介助依頼通知を送信する送信ステップと、
を備えている鉄道駅設置ロボットの制御方法をコンピュータに実行させる鉄道駅設置ロボットの制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鉄道を利用する車いす使用者をサポートする鉄道駅設置ロボット、鉄道駅設置ロボットシステム、鉄道駅設置ロボットの制御方法および制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ユーザの発話に対する回答を音声で出力する対話ロボットが知られている。
例えば、特許文献1には、サーバと接続された対話ロボットが開示されている。ユーザが対話ロボットに向けて話しかけると、サーバは、その意味内容を解析し、応答文データベースを参照して意味内容に対応する応答文を選択し、応答文を音声データの形式で対話ロボットに送信する。対話ロボットは、ユーザに向けて応答文を音声で出力する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来の対話ロボットでは、以下に示すような問題点を有している。
すなわち、上記公報に開示された対話ロボットは、ユーザの質問に対して回答するという案内サービスの提供にも好適に適用される。
例えば、一鉄道事業者が運営する複数の鉄道駅に、対話ロボットが設置されれば、駅係員の省力化と、案内サービスの維持または向上と、を両立することができる。
【0005】
しかし、前述した従来の対話ロボットでは、車いす使用者から、列車へ乗車するために駅係員を呼び出して欲しいという依頼をされても対応することができない。
また、鉄道会社においても、車いす使用者から上記依頼を受け付けるためには、改札付近に鉄道駅の駅係員を常駐させる、改札と駅務室をつなぐインターホンを用意する、介助の事前予約システムを導入して車いす使用者自身によって列車への乗車介助の事前予約をしてもらう等の対策が必要となる。
【0006】
本発明の課題は、車いす使用者の鉄道利用時の利便性を向上させるとともに、鉄道駅の駅係員の業務をサポートすることが可能な鉄道駅設置ロボット、鉄道駅設置ロボットシステム、鉄道駅設置ロボットの制御方法および制御プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の発明に係る鉄道駅設置ロボットは、鉄道駅に設置されており、鉄道駅において鉄道を利用する車いす使用者による列車への乗車をサポートする鉄道駅設置ロボットであって、依頼受付部と、送信部と、を備えている。依頼受付部は、車いす使用者から、列車への乗車の介助を求める内容を含む介助依頼を受け付ける。送信部は、依頼受付部が介助依頼を受け付けると、鉄道駅を含む鉄道路線を管理する鉄道会社が保有する情報端末に介助依頼があった旨を示す介助依頼通知を送信する。
【0008】
ここでは、車いす使用者から列車の乗車に関する介助依頼を受け付けると、介助依頼通知を鉄道会社の情報端末に送信する。
ここで、介助依頼は、例えば、車いす使用者が列車に乗車する際に必要とされる介助に関する依頼であり、鉄道駅の駅係員が車いす使用者に付き添い、電車と鉄道駅のホームとの段差解消のためのスロープを用意する等の内容が含まれる。
【0009】
情報端末は、例えば、鉄道駅を含む鉄道路線を管理する鉄道会社が保有する通信機能を有する機器であり、各鉄道駅に設置されている駅務室内PC(Personal Computer)や、各鉄道駅の駅係員が所持するタブレットやスマートフォン等である。
これにより、車いす使用者が鉄道駅設置ロボットに対して介助依頼を要求することで、その旨を示す介助依頼通知が鉄道会社の情報端末に送信されるため、鉄道駅の駅係員が介助に駆けつけ、車いす使用者のスムーズな列車への乗車をアシストすることができる。また、鉄道会社は、例えば、改札近くに鉄道駅の駅係員を常駐させる、別途改札と鉄道駅の駅務室をつなぐインターホンを設置する、介助の事前予約システムを導入して車いす使用者自身によって列車への乗車介助の事前予約をしてもらう等の対策を不要とすることができる。
この結果、車いす使用者の鉄道利用時の利便性を向上させるとともに、鉄道駅の駅係員の業務をサポートすることができる。
【0010】
第2の発明に係る鉄道駅設置ロボットは、第1の発明に係る鉄道駅設置ロボットであって、依頼受付部は、車いす使用者の発話から介助依頼を受け付ける発話依頼受付部を、有している。
【0011】
ここで、発話依頼受付部は、例えば、上述した依頼受付部の一種であって、車いす使用者の発話(音声入力)から介助依頼を受け付ける。
これにより、車いす使用者が鉄道駅設置ロボットに話しかけるだけで、鉄道駅の駅係員に介助依頼があったことを知らせることができる。また、鉄道駅の駅係員は、車いす使用者の列車への乗車の介助に駆けつけることができる。
【0012】
第3の発明に係る鉄道駅設置ロボットは、第1または第2の発明に係る鉄道駅設置ロボットであって、介助依頼を受け付けるための操作ボタンを表示する表示部を更に備えている。依頼受付部は、車いす使用者によって表示部に表示された操作ボタンが押されると介助依頼を受け付けるボタン入力受付部を、有している。
ここで、ボタン入力受付部は、例えば、上述した依頼受付部の一種であって、車いす使用者によって表示部に表示された操作ボタンが押される(操作入力)と介助依頼を受け付ける。
【0013】
これにより、車いす使用者が鉄道駅設置ロボットの表示部に表示された操作ボタンを押すだけで、鉄道駅の駅係員に介助依頼があったことを知らせることができる。また、鉄道駅の駅係員は、車いす使用者の列車への乗車の介助に駆けつけることができる。
【0014】
第4の発明に係る鉄道駅設置ロボットは、第1または第2の発明に係る鉄道駅設置ロボットであって、情報端末から鉄道駅の駅係員によって介助依頼が了承された旨を示す介助了承通知を受領する受領部を、さらに備えている。
これにより、情報端末から介助了承通知を受領することで、鉄道駅の駅係員が車いす使用者の列車への乗車を介助することが可能であると判断することができる。
【0015】
第5の発明に係る鉄道駅設置ロボットは、第4の発明に係る鉄道駅設置ロボットであって、受領部が介助了承通知を受領すると、車いす使用者に対して待機を依頼する待機案内を出力する出力部を、さらに備えている。
これにより、車いす使用者に対して待機案内を出力することで、鉄道駅の駅係員が車いす使用者の列車への乗車を介助するために車いす使用者のもとへ駆けつけることが可能である旨を知らせることができる。
【0016】
第6の発明に係る鉄道駅設置ロボットは、第4の発明に係る鉄道駅設置ロボットであって、介助依頼を受け付けるための操作ボタンを表示する表示部は、受領部が介助了承通知を受領すると、車いす使用者に対して待機を依頼する待機案内を表示する。
これにより、操作ボタンの入力により介助依頼を受け付けた表示部が、車いす使用者に対して待機案内を表示することで、鉄道駅の駅係員が車いす使用者の列車への乗車を介助するために車いす使用者のもとへ駆けつけることが可能である旨を知らせることができる。
【0017】
第7の発明に係る鉄道駅設置ロボットは、第1または第2の発明に係る鉄道駅設置ロボットであって、車いすに関する情報を含む発話内容に対する回答情報と、発話内容から回答情報を決定するための回答識別子と、の対応を定義する回答データベースを、さらに備えている。
これにより、車いす使用者の介助に関する情報を含む発話内容に対する回答情報と、発話内容から回答情報を決定するための回答識別子と、の対応を定義することで、車いす使用者の発話内容から介助依頼を特定し、車いす使用者に対して介助依頼に関する回答を適切に行うことができる。また、鉄道駅の駅係員に対して、上記介助依頼があった旨を通知することができる。
【0018】
第8の発明に係る鉄道駅設置ロボットは、第1または第2の発明に係る鉄道駅設置ロボットであって、車いすの使用者からの発話に対する回答を準備するための情報処理を行う対話エンジンとの間で各種情報を送受信する通信部を、更に備えている。
これにより、鉄道駅設置ロボットと、対話エンジンと、の間で各種情報を送受信することで、車いす使用者から受け付けた発話に対して的確に回答することができる。
【0019】
第9の発明に係る鉄道駅設置ロボットは、第8の発明に係る鉄道駅設置ロボットであって、対話エンジンは、車いすに関する情報を含む発話内容と、発話内容に対する回答情報を決定するための回答識別子と、の対応を定義する対話データベースを、備えている。
これにより、車いす使用者の介助に関する情報を含む発話内容と、発話内容に対する回答情報を決定するための回答識別子と、の対応を定義することで、車いす使用者の発話内容から介助依頼を特定し、車いす使用者に対して介助依頼に関する回答を適切に行うことができる。また、鉄道駅の駅係員に対して、上記介助依頼があった旨を通知することができる。
【0020】
第10の発明に係る鉄道駅設置ロボットシステムは、第1または第2の発明に係る鉄道駅設置ロボットと、介助依頼通知を受け付ける通知受付部と介助依頼が了承された旨を示す介助了承通知を送信する通知送信部とを有する情報端末と、を備えている。
これにより、例えば、鉄道駅設置ロボットから送信された介助依頼通知を鉄道駅の駅務室内に設置されたPCが受信することで、鉄道駅の駅係員が車いす使用者から離れている場所にいる場合でも、車いす使用者から介助依頼があった旨を迅速に知らせることができる。また、例えば、鉄道駅の駅係員が車いす使用者からの介助依頼に対して駆けつけることができる場合には、介助了承通知を上記PCから送信することで、車いす使用者から離れている場所にいる場合でも、車いす使用者のもとへ駆けつけることができる旨を迅速に知らせることができる。
【0021】
第11の発明に係る鉄道駅設置ロボットの制御方法は、鉄道駅に設置されており、鉄道駅において鉄道を利用する車いす使用者による列車への乗車をサポートする鉄道駅設置ロボットによって実施される制御方法であって、依頼受付ステップと、送信ステップと、を備えている。依頼受付ステップは、鉄道駅設置ロボットの依頼受付部が、車いす使用者から、列車への乗車の介助を求める内容を含む介助依頼を受け付ける。送信ステップは、鉄道駅設置ロボットの送信部が、依頼受付ステップが介助依頼を受け付けると、鉄道駅を含む鉄道路線を管理する鉄道会社が保有する情報端末に介助依頼があった旨を示す介助依頼通知を送信する。
【0022】
ここでは、車いす使用者から、列車の乗車に関する介助依頼を受け付けると、介助依頼通知を鉄道会社の情報端末に送信する。
ここで、介助依頼は、例えば、車いす使用者が列車に乗車する際に必要とされる介助に関する依頼であり、鉄道駅の駅係員が車いす使用者に付き添い、電車と鉄道駅のホームとの段差解消のためのスロープを用意する等の内容が含まれる。
【0023】
情報端末は、例えば、鉄道駅を含む鉄道路線を管理する鉄道会社が保有する通信機能を有する機器であり、各鉄道駅に設置されている駅務室内PCや、各鉄道駅の駅係員が所持するタブレットやスマートフォン等である。
これにより、車いす使用者が鉄道駅設置ロボットに対して介助依頼を要求することで、その旨を示す介助依頼通知が鉄道会社の情報端末に送信されるため、鉄道駅の駅係員が介助に駆けつけ、車いす使用者のスムーズな列車への乗車をアシストすることができる。また、鉄道会社は、例えば、改札近くに鉄道駅の駅係員を常駐させる、別途改札と鉄道駅の駅務室をつなぐインターホンを設置する、介助の事前予約システムを導入して車いす使用者自身によって列車への乗車介助の事前予約をしてもらう等の車いす使用者を介助するための対策を不要とすることができる。
この結果、車いす使用者の鉄道利用時の利便性を向上させるとともに、鉄道駅の駅係員の業務をサポートすることができる。
【0024】
第12の発明に係る鉄道駅設置ロボットの制御プログラムは、鉄道駅に設置されており、鉄道駅において鉄道を利用する車いす使用者による列車への乗車をサポートする鉄道駅設置ロボットによって実施される制御プログラムであって、依頼受付ステップと、送信ステップと、を備えている。依頼受付ステップは、鉄道駅設置ロボットの依頼受付部が、車いす使用者から、列車への乗車の介助を求める内容を含む介助依頼を受け付ける。送信ステップは、鉄道駅設置ロボットの送信部が、依頼受付ステップが介助依頼を受け付けると、鉄道駅を含む鉄道路線を管理する鉄道会社が保有する情報端末に介助依頼があった旨を示す介助依頼通知を送信する。
【0025】
ここでは、車いす使用者から、列車の乗車に関する介助依頼を受け付けると、介助依頼通知を鉄道会社の情報端末に送信する。
ここで、介助依頼は、例えば、車いす使用者が列車に乗車する際に必要とされる介助に関する依頼であり、鉄道駅の駅係員が車いす使用者に付き添い、電車と鉄道駅のホームとの段差解消のためのスロープを用意する等の内容が含まれる。
【0026】
情報端末は、例えば、鉄道駅を含む鉄道路線を管理する鉄道会社が保有する通信機能を有する機器であり、各鉄道駅に設置されている駅務室内PCや、各鉄道駅の駅係員が所持するタブレットやスマートフォン等である。
【0027】
これにより、車いす使用者が鉄道駅設置ロボットに対して介助依頼を要求することで、その旨を示す介助依頼通知が鉄道会社の情報端末に送信されるため、鉄道駅の駅係員が介助に駆けつけ、車いす使用者のスムーズな列車への乗車をアシストすることができる。また、鉄道会社は、例えば、改札近くに鉄道駅の駅係員を常駐させる、別途改札と鉄道駅の駅務室をつなぐインターホンを設置する、介助の事前予約システムを導入して車いす使用者自身によって列車への乗車介助の事前予約をしてもらう等の車いす使用者を介助するための対策を不要とすることができる。
この結果、車いす使用者の鉄道利用時の利便性を向上させるとともに、鉄道駅の駅係員の業務をサポートすることができる。
【発明の効果】
【0028】
本発明に係る鉄道駅設置ロボットによれば、車いす使用者の鉄道利用時の利便性を向上させるとともに、鉄道駅の駅係員の業務をサポートすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】本発明の一実施形態に係る鉄道駅設置ロボットを含む鉄道駅設置ロボットシステムの構成を示すシステム構成図。
【
図2】
図1の対話エンジンに含まれる対話データベースの一例を示す図。
【
図3】(a)は、
図1の鉄道駅設置ロボットシステムに含まれる鉄道駅設置ロボットが設置されている様子を示す図。(b)は、(a)の鉄道駅設置ロボットの表示部に表示される表示画面の一例を示す図。
【
図4】
図1の鉄道駅設置ロボットに含まれる回答データベースの一例を示す図。
【
図5】
図1の鉄道駅設置ロボットによって実施される鉄道駅設置ロボットの制御方法の処理の流れを示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0030】
本発明の一実施形態に係る鉄道駅設置ロボット10および方法について、
図1~
図5を用いて説明すれば以下の通りである。
なお、本実施形態では、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明や実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が不必要に冗長になるのを避け、当業者の理解を容易にするためである。
また、出願人は、当業者が本発明を十分に理解するために添付図面および以下の説明を提供するのであって、これらによって特許請求の範囲に記載の主題を限定することを意図するものではない。
【0031】
(1)鉄道駅設置ロボットシステム1の構成
本実施形態に係る鉄道駅設置ロボットシステム1は、鉄道を利用する車いす使用者をサポートする鉄道駅設置ロボット10を含むシステムであって、
図1に示すように、通信ネットワーク9を介して接続された鉄道駅設置ロボット10と、駅務室内PC(情報端末)3と、対話エンジン5と、外部アプリケーション7と、を備えている。
【0032】
鉄道駅設置ロボット10は、車いす使用者から、列車の乗車に関する介助依頼を受け付けると、介助依頼があった旨を示す介助依頼通知を鉄道会社の駅務室内PC(情報端末)3に送信する。なお、鉄道駅設置ロボット10の詳細な構成については、後段にて詳述する。
駅務室内PC(情報端末)3は、
図1に示すように、表示部31と、音声発信部32と、通知受付部33と、通知送信部34と、を備えている。
【0033】
ここで、介助依頼は、例えば、車いす使用者が列車に乗車する際に必要とされる介助に関する依頼であり、鉄道駅の駅係員が車いす使用者に付き添い、電車と鉄道駅のホームとの段差解消のためのスロープを用意する等の内容が含まれる。
情報端末は、例えば、鉄道駅を含む鉄道路線を管理する鉄道会社が保有する通信機能を有する機器であり、各鉄道駅に設置されている駅務室内PCや、各鉄道駅の係員が所持するタブレットやスマートフォン等である。
【0034】
表示部31は、例えば、駅務室内PC(情報端末)3のモニター、液晶ディスプレイ、タッチパネル等であって、後述する通知受付部33が介助依頼のあった旨を示す介助依頼通知を受け付けた際に、例えば、「車いすのお客様がお待ちです。」等の文字や画像を表示する。
また、表示部31は、介助依頼が了承された旨を示す介助了承通知を通知するための「了解」の旨を示す操作ボタンを表示してもよい。この場合、表示部31は、鉄道駅の駅係員の接触操作によって介助了承通知の入力を受け付けることが可能であり、後述する通知送信部34の一部を構成する。
【0035】
音声発信部32は、例えば、駅務室内PC(情報端末)3のスピーカ、ブザー等であって、通知受付部33が介助依頼通知を受けた付けた際に、「ピーピーピー」等の電子音あるいは「車いすのお客様がお待ちです」という音声を発信する。
通知受付部33は、鉄道駅設置ロボット10に含まれる後述する送信部20から送信された介助依頼通知を受け付ける。これと同時に、表示部31は、上述した文字や画像を表示し、音声発信部32は、上述した音声を発信する。
【0036】
通知送信部34は、鉄道駅の駅係員が駅務室内PC(情報端末)3に備えられている「了解」の旨を示す操作ボタンを押すことで、介助了承通知を鉄道駅設置ロボット10に含まれる後述する受領部21に送信する。このとき、上記操作ボタンは、表示部31に表示されてもよく、鉄道駅の駅係員は表示された上記操作ボタンに接触することで介助了承通知を送信してもよい。
【0037】
これにより、例えば、鉄道駅設置ロボット10から送信された介助依頼通知を鉄道駅の駅務室内PC(情報端末)3が受信することで、鉄道駅の駅係員が車いす使用者から離れている場所にいる場合でも、鉄道駅設置ロボットシステム1は、車いす使用者から介助依頼があった旨を迅速に知らせることができる。また、例えば、鉄道駅の駅係員が車いす使用者からの介助依頼に対して駆けつけることができる場合には、介助了承通知を駅務室内PC(情報端末)3から送信することで、車いす使用者から離れている場所にいる場合でも、鉄道駅設置ロボットシステム1は、車いす使用者の列車への乗車の介助に駆けつける旨を迅速に知らせることができる。
【0038】
対話エンジン5は、車いすの使用者からの発話に対する回答を準備するための情報処理を行う。
また、対話エンジン5は、
図1に示すように、通信部51と、問合せ受領部52と、音声データ解析部53と、発話内容特定部54と、回答識別子決定部55と、返答部56と、対話データベース57と、を備えている。
【0039】
通信部51は、通信ネットワーク9を介し、鉄道駅設置ロボット10あるいは外部アプリケーション7との間で情報の送受信を行う。
問合せ受領部52は、鉄道駅設置ロボット10に含まれる後述するマイク(入力部)11aが集音した車いす使用者からの発話の音声データを、鉄道駅設置ロボット10に含まれる後述する問合せ部16から後述する通信部15を介して受信する。
【0040】
音声データ解析部53は、問合せ受領部52が受信した音声データに基づき、車いす使用者が発話した言語を識別するとともに、音声データから変換されたテキストデータを取得する。ここで、言語の識別および音声データからテキストデータへの変換には、例えば、ニューラルネットワークを利用した公知の自動言語識別アルゴリズムおよびデータ変換アルゴリズムが適用される。このとき、問合せ受領部52が受信した音声データが外国語であると識別された場合には、例えば、外部アプリケーション7における音声認識アプリケーションおよび翻訳アプリケーションを用いて、外国語の音声データは日本語のテキストデータに変換される。
【0041】
発話内容特定部54は、例えば、
図2に示すように、音声データ解析部53によって日本語のテキストデータに変換された発話内容を、太線で囲った「車いすの乗車案内について」であると特定する。
なお、発話内容が列車への乗車の介助を求める内容を含まない場合には、発話内容特定部54は、例えば、発話内容を「子供の切符について」等であると特定する。
【0042】
回答識別子決定部55は、例えば、
図2に示す対話データベース57に従って、発話内容特定部54によって特定された「車いすの乗車案内について」という発話内容に対応する回答識別子は「Q8」であると決定する。
なお、発話内容が列車への乗車の介助を求める内容を含まない場合には、回答識別子決定部55は、特定された発話内容が「子供の切符について」である場合には、回答識別子は「Q1」であると決定する。
このとき、発話内容特定部54が発話内容を特定することができなかった場合には、回答識別子決定部55は、その旨を示す回答識別子「Q9」であると決定する。
【0043】
返答部56は、鉄道駅設置ロボット10に含まれる後述する回答識別子受領部17に、通信部51を介して、回答識別子決定部55によって決定された回答識別子を返答する。
対話データベース57は、車いすに関する情報を含む発話内容と、発話内容に対する回答情報を決定するための回答識別子と、の対応が定義されたデータを保存する。
図2に示す対話データベース57において、例えば、8項目の発話内容が互いに異なる回答識別子と1対1で対応している。ここで、鉄道駅設置ロボット10は、対話データベース57において予め設定された8項目の発話内容に対応する回答情報を、後述する回答データベース14に従って車いす使用者に回答する。このとき、発話内容を特定できなかった場合の措置のため、対話データベース57には、特定不可と対応する回答識別子も記録されている(最下行「No.9」を参照)。
【0044】
これにより、車いす使用者の介助に関する情報を含む発話内容と、発話内容に対する回答情報を決定するための回答識別子と、の対応を定義することで、鉄道駅設置ロボット10は、車いす使用者の発話内容から介助依頼を特定し、車いす使用者に対して介助依頼に関する回答を適切に行うことができる。また、鉄道駅設置ロボット10は、鉄道駅の駅係員に対して、上記介助依頼があった旨を通知することができる。
【0045】
外部アプリケーション7は、ウェブサーバ上で対話エンジン5が行う情報処理のうち、旅客からの質問への回答情報を補足する情報端末であり、例えば、音声データを識別する音声認識アプリケーション、鉄道駅の周辺地図や乗換時刻等の情報が含まれる乗換案内アプリケーション、外国語を日本語に変換する翻訳アプリケーション等である。
ここでは、外部アプリケーション7は、対話エンジン5からの要請に応じて、通信部51を介して各種補足情報を提供する。
【0046】
(2)鉄道駅設置ロボット10の構成
本実施形態に係る鉄道駅設置ロボット10は、車いす使用者から、列車の乗車に関する介助依頼を受け付けると、介助依頼通知を鉄道会社の駅務室内PC(情報端末)3に送信する。
そして、鉄道駅設置ロボット10は、
図1に示すように、入力部11と、出力部12と、表示部13と、回答データベース14と、通信部15と、問合せ部16と、回答識別子受領部17と、回答情報決定部18と、依頼受付部19と、送信部20と、受領部21と、を備えている。
【0047】
入力部11は、
図1に示すように、マイク11aを有している。
マイク(入力部)11aは、例えば、車いす使用者が、「車いすの乗車案内をお願いします」と、鉄道駅設置ロボット10に話しかけた場合に、上記車いす使用者からの発話を集音する。
出力部12は、
図1に示すように、スピーカ12aを有している。
【0048】
スピーカ(出力部)12aは、例えば、車いす使用者が、「車いすの乗車案内をお願いします」と、鉄道駅設置ロボット10に話しかけた場合に、回答情報決定部18によって決定された「かしこまりました!係員を呼び出しますので、少々お待ちください」という回答情報を上記車いす使用者に対して音声の形式で出力する。
また、スピーカ(出力部)12aは、受領部21が介助了承通知を受領すると、車いす使用者に対して、「係員が承りました。まもなく、参ります!」等の待機を依頼する待機案内を音声の形式で出力する。
【0049】
これにより、鉄道駅設置ロボット10は、車いす使用者に対して待機案内を出力することで、鉄道駅の駅係員が車いす使用者の列車への乗車を介助するために駆けつけることが可能である旨を知らせることができる。
表示部13は、
図1に示すように、ディスプレイ13aを有している。
ディスプレイ(表示部)13aは、例えば、車いす使用者が、「車いすの乗車案内をお願いします」と、鉄道駅設置ロボット10に話しかけた場合に、回答情報決定部18によって決定された「かしこまりました!係員を呼び出しますので、少々お待ちください」という回答情報を上記車いす使用者に対して文字情報を含む画像を表示する。
【0050】
また、ディスプレイ(表示部)13aは、受領部21が介助了承通知を受領すると、車いす使用者に対して「係員が承りました。まもなく、参ります!」等の待機を依頼する待機案内を、文字情報を含む画像を表示する。
これにより、鉄道駅設置ロボット10は、車いす使用者に対して待機案内を表示することで、鉄道駅の駅係員が車いす使用者の列車への乗車を介助するために駆けつけることが可能である旨を知らせることができる。
【0051】
さらに、ディスプレイ(表示部)13aは、
図3(a)に示すように、例えば、鉄道駅設置ロボット10と近接して配置されている。ディスプレイ(表示部)13aは、
図3(b)に示すように、例えば、「乗車案内」、「おすすめスポット」、介助依頼を受け付けるための「車いす介助依頼」等の操作ボタンを表示する。
なお、ディスプレイ(表示部)13aの配置場所は、
図3(a)に示す設置個所に限定されるものではなく、鉄道駅設置ロボット10の本体に配置されていてもよい。
【0052】
回答データベース14は、車いすに関する情報を含む発話内容に対する回答情報と、発話内容から回答情報を決定するための回答識別子と、の対応が定義されたデータを保存する。
図4に示す回答データベース14において、例えば、回答データベース14に規定される「かしこまりました!係員を呼び出しますので、少々お待ちください」という回答情報に対応する回答識別子は「Q8」である。また、
図4に示す対話データベース57に規定される「車いすの乗車案内について」という発話内容に対応する回答識別子は「Q8」である。すなわち、回答データベース14における回答情報と、対話データベース57における発話内容と、は回答識別子「Q8」を介して対応している。
【0053】
なお、車いす使用者からの発話内容が「子供の切符について」であった場合には、回答識別子はQ1となるため、回答情報は「お子様の切符の運賃ですね」となる。
これにより、車いす使用者の介助に関する情報を含む発話内容に対する回答情報と、発話内容から回答情報を決定するための回答識別子と、の対応を定義することで、鉄道駅設置ロボット10は、車いす使用者の発話内容から介助依頼を特定し、車いす使用者に対して介助依頼に関する回答を適切に行うことができる。また、鉄道駅設置ロボット10は、鉄道駅の駅係員に対して、上記介助依頼があった旨を通知することができる。
【0054】
通信部15は、通信ネットワーク9を介し、車いすの使用者からの発話に対する回答を準備するための情報処理を行う対話エンジン5、あるいは、外部アプリケーション7との間で各種情報を送受信する。
これにより、鉄道駅設置ロボット10と、対話エンジン5と、の間で各種情報を送受信することで、車いす使用者から受け付けた発話に対して的確に回答することができる。
【0055】
問合せ部16は、マイク(入力部)11aが集音した車いす使用者からの発話の音声データを、通信部15を介して対話エンジン5に含まれる問合せ受領部52に問い合わせる。
回答識別子受領部17は、対話エンジン5に含まれる返答部56が返答した回答識別子を受信する。
【0056】
回答情報決定部18は、回答データベース14に従って、回答識別子受領部17が受信した回答識別子と対応する回答情報を決定する。
依頼受付部19は、発話依頼受付部19aと、ボタン入力受付部19bと、を有している。
また、依頼受付部19は、車いす使用者から、列車への乗車の介助を求める内容を含む介助依頼を受け付ける。
【0057】
発話依頼受付部(依頼受付部)19aは、上述した依頼受付部19の一種であって、車いす使用者の発話から列車への乗車の介助を求める内容を含む介助依頼を受け付ける。
ここでは、発話依頼受付部(依頼受付部)19aは、例えば、車いす使用者が鉄道駅設置ロボット10に「車いす乗車案内をお願いします」と発話すると、対話エンジン5において上述した情報処理が行われ、その後、発話内容に対応する介助依頼を受け付ける。
【0058】
これにより、車いす使用者が鉄道駅設置ロボット10に話しかけるだけで、鉄道駅設置ロボット10は、鉄道駅の駅係員に介助依頼があったことを知らせることができる。また、鉄道駅の駅係員は、車いす使用者の列車への乗車の介助に駆けつけることができる。
ボタン入力受付部(依頼受付部)19bは、上述した依頼受付部19の一種であって、
図3(b)に示すように、例えば、車いす使用者によってディスプレイ(表示部)13aに表示された「車いす介助依頼」という操作ボタンが押されると、車いす使用者からの介助依頼を受け付ける。
【0059】
この場合、ディスプレイ(表示部)13aは、例えば、車いす使用者の接触操作によって介助依頼を受け付けることが可能であり、また、待機案内等を表示することも可能であるため、表示部13の一部を構成するとともに、ボタン入力受付部(依頼受付部)19bの一部を構成する。
これにより、車いす使用者が鉄道駅設置ロボット10のディスプレイ(表示部)13aに表示された上記操作ボタンを押すだけで、鉄道駅設置ロボット10は、鉄道駅の駅係員に介助依頼があったことを知らせることができる。また、鉄道駅の駅係員は、車いす使用者の列車への乗車の介助に駆けつけることができる。
【0060】
送信部20は、依頼受付部19が介助依頼を受け付けると、鉄道駅を含む鉄道路線を管理する鉄道会社が保有する駅務室内PC(情報端末)3に介助依頼があった旨を示す介助依頼通知を送信する。
受領部21は、鉄道駅を含む鉄道路線を管理する鉄道会社が保有する駅務室内PC(情報端末)3から鉄道駅の駅係員によって介助依頼が了承された旨を示す介助了承通知を受領する。
【0061】
これにより、鉄道駅設置ロボット10は、駅務室内PC(情報端末)3から介助了承通知を受領することで、鉄道駅の駅係員が車いす使用者の列車への乗車を介助することが可能であると判断することができる。
【0062】
<鉄道駅設置ロボット10の制御方法>
本実施形態の鉄道駅設置ロボット10は、
図5に示すフローチャートに従って、鉄道駅設置ロボット10の制御方法を実行する。
すなわち、本実施形態の鉄道駅設置ロボット10の制御方法では、
図5に示すように、ステップS1において、マイク(入力部)11aが、例えば、車いす使用者からの「車いす乗車案内をお願いします」という発話を集音する、あるいは、ボタン入力受付部19bが、車いす使用者の列車への乗車の介助依頼を行う操作ボタンの入力を受け付ける。
ここで、操作ボタンの入力を受け付けた場合には、車いす使用者が直接的に列車への乗車時の介助を依頼しているため、ステップS11へ進む。
【0063】
次に、ステップS2では、問合せ部16が、マイク(入力部)11aが集音した車いす使用者からの発話の音声データを、通信部15を介して対話エンジン5に含まれる問合せ受領部52に問い合わせる。
次に、ステップS3では、問合せ受領部52が、鉄道駅設置ロボット10に含まれるマイク(入力部)11aが集音した車いす使用者からの発話の音声データを、鉄道駅設置ロボット10に含まれる問合せ部16から通信部15を介して受信する。
【0064】
次に、ステップS4では、音声データ解析部53が、問合せ受領部52が受信した音声データに基づき、車いす使用者が発話した言語を識別するとともに、音声データから変換されたテキストデータを取得する。
このとき、問合せ受領部52が受信した音声データが外国語であると識別された場合には、例えば、外部アプリケーション7における音声認識アプリケーションおよび翻訳アプリケーションを用いて、外国語の音声データは日本語のテキストデータに変換される。
【0065】
次に、ステップS5では、発話内容特定部54が、音声データ解析部53によって日本語のテキストデータに変換された発話内容を特定する。
次に、ステップS6では、回答識別子決定部55が、対話データベース57に従って、発話内容特定部54によって特定された発話内容に対応する回答識別子を決定する。
次に、ステップS7では、返答部56が、鉄道駅設置ロボット10に含まれる回答識別子受領部17に、通信部51を介して、回答識別子決定部55によって決定された回答識別子を返答する。
【0066】
次に、ステップS8では、回答識別子受領部17が、対話エンジン5に含まれる返答部56が返答した回答識別子を受信する。
次に、ステップS9では、回答情報決定部18が、回答データベース14に従って、回答識別子受領部17が受信した回答識別子と対応する回答情報を決定する。
次に、ステップS10では、ステップS9において決定された回答情報に車いす使用者の列車への乗車の介助に関する内容が含まれているか否かの判定が行われる。介助に関する内容が含まれている場合には、ステップS11に移行し、介助に関する内容が含まれていない場合には、ステップS16へ移行し、回答情報に基づいて回答する(例えば、「トイレは左です」等)。
【0067】
また、ステップS10では、上述した処理と並行して、車いす使用者によってディスプレイ(表示部)13aに表示された「車いす介助依頼」という操作ボタンが押されたか否かの判定が行われる。操作ボタンが押された場合には、ステップS11に移行し、操作ボタンが押されなかった場合には、ステップS10で処理は待機となる。
次に、ステップS11では、ステップS10において、発話依頼受付部(依頼受付部)19aが、回答情報決定部18が決定した回答情報に車いす使用者の列車への乗車の介助に関する内容が含まれていた、あるいは、ステップS1において、車いす使用者が直接的にディスプレイ13aに表示された操作ボタンを操作して列車への乗車時の介助を依頼しているため、列車への乗車の介助を求める内容を含む介助依頼を受け付ける(依頼受付ステップ)。
【0068】
また、ステップS11では、上述した処理と並行して、ステップS10において、ボタン入力受付部(依頼受付部)19bが、車いす使用者によってディスプレイ(表示部)13aに表示された「車いす介助依頼」という操作ボタンが押されたため、介助依頼を受け付ける(依頼受付ステップ)。
次に、ステップS12では、スピーカ(出力部)12aが、例えば、ステップS9において回答情報決定部18が決定した「かしこまりました!係員を呼び出しますので、少々お待ちください」という回答情報を車いす使用者に対して音声の形式で出力する。
【0069】
このとき、ステップS11において、ボタン入力受付部(依頼受付部)19bが介助依頼を受け付けた場合も、スピーカ(出力部)12aが、上記同様の回答情報を出力する。
また、ディスプレイ(表示部)13aが、例えば、ステップS9において回答情報決定部18が決定した「かしこまりました!係員を呼び出しますので、少々お待ちください」という回答情報を車いす使用者に対して文字情報を含む画像を表示する。
【0070】
このとき、ステップS11において、ボタン入力受付部(依頼受付部)19bが介助依頼を受け付けた場合も、ディスプレイ(表示部)13aが、上記同様の回答情報を表示する。
次に、ステップS13では、送信部20が、依頼受付部19が介助依頼を受け付けると、鉄道駅を含む鉄道路線を管理する鉄道会社が保有する駅務室内PC(情報端末)3に介助依頼があった旨を示す介助依頼通知を送信する(送信ステップ)。
【0071】
このとき、駅務室内PC(情報端末)3に含まれる音声発信部32は、例えば、「ピーピーピー」等の電子音あるいは「車いすのお客様がお待ちです」という音声を発信する。
次に、ステップS14では、受領部21が、例えば、鉄道駅の駅係員によって駅務室内PC(情報端末)3に備えられている「了解」の旨を示す操作ボタンが押されると、通知送信部34から介助依頼を了承した旨を示す介助了承通知を受領する。
【0072】
次に、ステップS15では、スピーカ(出力部)12aが、受領部21が介助了承通知を受領すると、車いす使用者に対して「係員が承りました。まもなく、参ります!」等の待機を依頼する待機案内を音声の形式で出力する。
また、ディスプレイ(表示部)13aが、受領部21が介助了承通知を受領すると、車いす使用者に対して「係員が承りました。まもなく、参ります!」等の待機を依頼する待機案内を、文字情報を含む画像を表示する。
【0073】
<主な特徴>
本実施形態の鉄道駅設置ロボット10は、以上のように、鉄道駅に設置されており、鉄道駅において鉄道を利用する車いす使用者による列車への乗車をサポートするロボットであって、依頼受付部19と、送信部20と、を備えている。依頼受付部19は、車いす使用者から、列車への乗車の介助を求める内容を含む介助依頼を受け付ける。送信部20は、依頼受付部19が介助依頼を受け付けると、鉄道駅を含む鉄道路線を管理する鉄道会社が保有する情報端末3に介助依頼があった旨を示す介助依頼通知を送信する。
【0074】
これにより、車いす使用者が鉄道駅設置ロボット10に対して介助依頼を要求することで、その旨を示す介助依頼通知が鉄道会社の駅務室内PC(情報端末)3に送信されるため、鉄道駅の駅係員が介助に駆けつけ、車いす使用者のスムーズな列車への乗車をアシストすることができる。また、鉄道会社は、例えば、改札近くに鉄道駅の駅係員を常駐させる、別途改札と鉄道駅の駅務室をつなぐインターホンを設置する、介助の事前予約システムを導入して車いす使用者自身によって列車への乗車介助の事前予約をしてもらう等の車いす使用者を介助するための対策を不要とすることができる。
この結果、車いす使用者の鉄道利用時の利便性を向上させるとともに、鉄道駅の駅係員の業務をサポートすることができる。
【0075】
[他の実施形態]
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0076】
(A)
上記実施形態では、鉄道駅設置ロボット10および鉄道駅設置ロボット10の制御方法として、本発明を実現した例を挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
例えば、上述した鉄道駅設置ロボットの制御方法をコンピュータに実行させる鉄道駅設置ロボットの制御プログラムとして本発明を実現してもよい。
【0077】
この鉄道駅設置ロボットの制御プログラムは、鉄道駅設置ロボットに搭載されたメモリ(記憶部)に保存されており、CPUがメモリに保存された鉄道駅設置ロボットの制御プログラムを読み込んで、ハードウェアに各ステップを実行させる。より具体的には、CPUが鉄道駅設置ロボットの制御プログラムを読み込んで、上述した依頼受付ステップと、送信ステップと、を実行することで、上記と同様の効果を得ることができる。
また、本発明は、鉄道駅設置ロボットの制御プログラムを保存した記録媒体として実現されてもよい。
【0078】
(B)
上記実施形態では、鉄道駅の駅係員によって駅務室内PC(情報端末)3に備えられている「了解」の旨を示す操作ボタンが押されると、受領部21が、通知送信部34から介助依頼を了承した旨を示す介助了承通知を受領する例を挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
例えば、鉄道駅の駅係員は介助依頼通知があったことを知るだけで車いす使用者の介助に駆けつけることができるため、鉄道駅の駅係員は、鉄道会社が保有する情報端末から介助了承通知を送信する等の応答を行わなくてもよい。
【0079】
(C)
上記実施形態では、スピーカ(出力部)12aまたはディスプレイ(表示部)13aが、車いす使用者に対して待機案内を出力または表示する例を挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
例えば、出力部または表示部は、待機案内を出力または表示しない構成であってもよい。
【0080】
(D)
上記実施形態では、車いす使用者が鉄道駅設置ロボット10に発話することで、発話内容に対する回答情報を出力または表示する例を挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
例えば、車いす使用者だけでなく、車いすを使用していない鉄道を利用する旅客が鉄道駅設置ロボットに対して介助とは関係のない発話をした場合でも、鉄道駅設置ロボットは、上記発話に対して回答データベースに従って回答してもよい。
【0081】
(E)
上記実施形態では、対話エンジン5が、鉄道駅設置ロボット10の外部に設けられており、鉄道駅設置ロボット10に含まれる通信部15が、通信ネットワーク9を介して対話エンジン5と接続されている例を挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
例えば、鉄道駅設置ロボットは、鉄道駅設置ロボットの内部に対話エンジンを備えている構成であってもよい。
【0082】
(F)
上記実施形態では、外部アプリケーション7は、音声認識アプリケーションおよび翻訳アプリケーションを用いて、外国語の音声データを日本語のテキストデータに変換する例を挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
【0083】
例えば、外部アプリケーションは、対話エンジンからの要請に応じて、乗換案内アプリケーション等を用いて、乗換案内や鉄道駅の周辺地図に関する情報を提供してもよい。
これにより、鉄道駅設置ロボットは、例えば、ディスプレイに乗換時刻や鉄道駅の周辺地図を表示することができる。
【0084】
(G)
上記実施形態では、鉄道駅を含む鉄道路線を管理する鉄道会社が保有する情報端末3が、駅務室内PCである例を挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
例えば、情報端末としては、例えば、各鉄道駅の係員が所持するタブレットやスマートフォン、鉄道会社の本社に設置されている通信機器等であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0085】
本発明の鉄道駅設置ロボットは、車いす使用者の鉄道利用時の利便性を向上させるとともに、鉄道駅の駅係員の業務をサポートすることができるという効果を奏することから、鉄道を利用する車いす使用者の鉄道利用時の利便性を向上させ、あるいは、鉄道駅の駅係員の業務を支援する各種装置に対して広く適用可能である。
【符号の説明】
【0086】
1 鉄道駅設置ロボットシステム
3 駅務室内PC(情報端末)
5 対話エンジン
7 外部アプリケーション
9 通信ネットワーク
10 鉄道駅設置ロボット
11 入力部
11a マイク
12 出力部
12a スピーカ
13 表示部
13a ディスプレイ
14 回答データベース
15 通信部
16 問合せ部
17 回答識別子受領部
18 回答情報決定部
19 依頼受付部
19a 発話依頼受付部
19b ボタン入力受付部
20 送信部
21 受領部
31 表示部
32 音声発信部
33 通知受付部
34 通知送信部
51 通信部
52 問合せ受領部
53 音声データ解析部
54 発話内容特定部
55 回答識別子決定部
56 返答部
57 対話データベース