(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024093168
(43)【公開日】2024-07-09
(54)【発明の名称】光通信装置および伝送制御方法
(51)【国際特許分類】
H04J 14/02 20060101AFI20240702BHJP
H04B 10/291 20130101ALI20240702BHJP
【FI】
H04J14/02 101
H04B10/291
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022209366
(22)【出願日】2022-12-27
(71)【出願人】
【識別番号】000005223
【氏名又は名称】富士通株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004185
【氏名又は名称】インフォート弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100121083
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 宏義
(74)【代理人】
【識別番号】100138391
【弁理士】
【氏名又は名称】天田 昌行
(74)【代理人】
【識別番号】100074099
【弁理士】
【氏名又は名称】大菅 義之
(72)【発明者】
【氏名】岡田 峻
(72)【発明者】
【氏名】菅間 明夫
【テーマコード(参考)】
5K102
【Fターム(参考)】
5K102AA01
5K102AD02
5K102KA12
5K102KA31
5K102KA42
5K102NA04
5K102PH47
5K102PH48
(57)【要約】
【課題】複数の波長バンドを使用するWDM伝送システムにおいて、光信号の品質の劣化を抑制する。
【解決手段】波長フィルタは、受信WDM信号から第1のWDM信号および第2のWDM信号を抽出する。第1のWSSは、第1のWDM信号から抽出する光信号を第3のWSSに導き、第1のWDM信号中の残りの光信号を出力方路に導く。第2のWSSは、第2のWDM信号から抽出する光信号を、波長変換器を介して第3のWSSに導き、第2のWDM信号中の残りの光信号を出力方路に導く。第3のWSSは、第1のWDM信号から分岐された光信号および第2のWDM信号から分岐された光信号をアクセスネットワークに導く。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の波長バンドおよび前記第1の波長バンドと異なる第2の波長バンドを使用するWDM伝送システムにおいて、WDM信号を処理する光通信装置であって、
前記WDM伝送システムの第1のノードから受信する受信WDM信号から前記第1の波長バンド内に配置されている第1のWDM信号および前記第2の波長バンド内に配置されている第2のWDM信号を抽出する波長フィルタと、
前記波長フィルタにより抽出された前記第1のWDM信号を処理する第1の波長選択スイッチと、
前記波長フィルタにより抽出された前記第2のWDM信号を処理する第2の波長選択スイッチと、
第3の波長選択スイッチと、
前記第2の波長バンドから第3の波長バンドへの変換を行う波長変換器と、
前記第1の波長バンド内の光信号を処理する第4の波長選択スイッチと、
前記第2の波長バンド内の光信号を処理する第5の波長選択スイッチと、
前記第4の波長選択スイッチから出力される光信号および前記第5の波長選択スイッチから出力される光信号を合波する合波器と、を備え、
前記第1の波長選択スイッチにより前記第1のWDM信号から分岐される光信号は、前記第3の波長選択スイッチに導かれ、
前記第1の波長選択スイッチにより前記第1のWDM信号から分岐されなかった残りの光信号は、前記第4の波長選択スイッチに導かれ、
前記第2の波長選択スイッチにより前記第2のWDM信号から分岐される光信号は、前記波長変換器を介して前記第3の波長選択スイッチに導かれ、
前記第2の波長選択スイッチにより前記第2のWDM信号から分岐されなかった残りの光信号は、前記第5の波長選択スイッチに導かれ、
前記第3の波長選択スイッチは、前記第1のWDM信号から分岐された光信号および前記第2のWDM信号から分岐された光信号を、当該光通信装置に接続するアクセスネットワークに導く
ことを特徴とする光通信装置。
【請求項2】
前記第3の波長バンドから前記第2の波長バンドへの変換を行う第2の波長変換器をさらに備え、
前記アクセスネットワークから前記第2のノードに向かう光信号のうちで前記第1のバンド内の波長チャネルを使用して前記第2のノードに送信すべき光信号は、前記第3の波長選択スイッチにより前記第4の波長選択スイッチに導かれ、
前記アクセスネットワークから前記第2のノードに向かう光信号のうちで前記第2のバンド内の波長チャネルを使用して前記第2のノードに送信すべき光信号は、前記第3の波長選択スイッチにより前記第2の波長変換器を介して前記第5の波長選択スイッチに導かれる
ことを特徴とする請求項1に記載の光通信装置。
【請求項3】
前記第3の波長バンドは、前記第1の波長バンドと同じである
ことを特徴とする請求項1に記載の光通信装置。
【請求項4】
前記第3の波長バンドは、前記第1の波長バンドと異なる
ことを特徴とする請求項1に記載の光通信装置。
【請求項5】
前記第1の波長バンドは、CバンドまたはLバンドであり、
前記第2の波長バンドは、SバンドまたはUバンドであり、
前記第3の波長バンドは、CバンドまたはLバンドである、
ことを特徴とする請求項1に記載の光通信装置。
【請求項6】
第1の波長バンドおよび前記第1の波長バンドと異なる第2の波長バンドを使用するWDM伝送システムにおいて、第1のノードと第2のノードとの間のノードに設けられる光通信装置を用いてWDM信号を処理する伝送制御方法であって、
前記光通信装置は、
前記第1のノードから受信する受信WDM信号から前記第1の波長バンド内に配置されている第1のWDM信号および前記第2の波長バンド内に配置されている第2のWDM信号を抽出する波長フィルタと、
前記波長フィルタにより抽出された前記第1のWDM信号を処理する第1の波長選択スイッチと、
前記波長フィルタにより抽出された前記第2のWDM信号を処理する第2の波長選択スイッチと、
第3の波長選択スイッチと、
前記第2の波長バンドから第3の波長バンドへの変換を行う波長変換器と、
前記第1の波長バンド内の光信号を処理する第4の波長選択スイッチと、
前記第2の波長バンド内の光信号を処理する第5の波長選択スイッチと、
前記第4の波長選択スイッチから出力される光信号および前記第5の波長選択スイッチから出力される光信号を合波する合波器と、を備え、
前記第1の波長選択スイッチにより前記第1のWDM信号から分岐される光信号を、前記第3の波長選択スイッチに導き、
前記第1のWDM信号から分岐されなかった残りの光信号を、前記第4の波長選択スイッチに導き、
前記第2の波長選択スイッチにより前記第2のWDM信号から分岐される光信号を、前記波長変換器を介して前記第3の波長選択スイッチに導き、
前記第2のWDM信号から分岐されなかった残りの光信号を、前記第5の波長選択スイッチに導き、
前記第3の波長選択スイッチは、前記第1のWDM信号から分岐された光信号および前記第2のWDM信号から分岐された光信号を、当該光通信装置に接続するアクセスネットワークに導く
ことを特徴とする伝送制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、波長分割多重(WDM:Wavelength Division Multiplexing)信号を伝送する光通信装置およびWDM信号の伝送を制御する方法に係わる。
【背景技術】
【0002】
大容量の光通信を実現するために、WDM伝送が実用化されている。WDMは、複数の波長チャネルを多重化することにより、1本の光ファイバを介して複数の光信号を伝送することができる。WDM伝送システムの各ノードには、例えば、光分岐挿入装置(ROADM:Reconfigurable Optical Add-Drop Multiplexer)が設けられる。ROADMは、WDM信号から所望の波長の光信号を分岐できる。分岐された光信号は、例えば、アクセスネットワークに転送される。また、ROADMは、アクセスネットワークから受信する光信号を、WDM信号の空きチャネルに挿入できる。
【0003】
既存のWDM伝送システムにおいては、Cバンド及び/またはLバンドが使用される。Cバンドの波長範囲は約1530~1565nmであり、Lバンドの波長範囲は約1565~1625nmである。そして、各バンド内に複数の波長チャネルが設定される。
【0004】
近年、光通信のさらなる大容量化を実現するために、Cバンド/Lバンドに加えて、Sバンドおよび/またはUバンドを使用するWDM伝送が検討されている。Sバンドの波長範囲は約1460~1530nmであり、Uバンドの波長範囲は約1625~1675nmである。
【0005】
なお、特許文献1には、波長単位で光信号の分離と結合を行う機能を備えたOADMシステムおよびROADMシステムが記載されている。また、特許文献2には、WDM方式により多重化された光信号の伝送を行う光通信において、WDMネットワークを構成するための有用な波長変換装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】国際公開第2016/051774号
【特許文献2】特開2001-249368号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
WDM伝送システムが複数の波長バンド(S、C、L、Uなど)を使用する場合、ROADMは、1または複数の波長変換器を備えてもよい。例えば、WDM伝送システムがCバンドの波長チャネルおよびSバンドの波長チャネルを使用して光信号を伝送するものとする。また、ROADMは、Cバンド内の波長チャネルを処理する波長選択スイッチ(WSS:Wavelength Selective Switch)を備えるものとする。このケースでは、ROADMは、SバンドとCバンドとの間の波長変換を行う波長変換器を備える。
【0008】
ただし、この構成では、波長変換器において発生する雑音により、光信号対雑音比(OSNR:Optical Signal-to-Noise Ratio)が劣化することがある。そして、WDM信号が複数のノード(すなわち、複数のROADM)を通過する場合、OSNRの劣化が累積し、通信品質が悪くおそれがある。
【0009】
本発明の1つの側面に係わる目的は、複数の波長バンドを使用するWDM伝送システムにおいて、光信号の品質の劣化を抑制することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の1つの態様に係わる光通信装置は、第1の波長バンドおよび前記第1の波長バンドと異なる第2の波長バンドを使用するWDM伝送システムにおいて、WDM信号を処理する。この光通信装置は、前記WDM伝送システムの第1のノードから受信する受信WDM信号から前記第1の波長バンド内に配置されている第1のWDM信号および前記第2の波長バンド内に配置されている第2のWDM信号を抽出する波長フィルタと、前記波長フィルタにより抽出された前記第1のWDM信号を処理する第1の波長選択スイッチと、前記波長フィルタにより抽出された前記第2のWDM信号を処理する第2の波長選択スイッチと、第3の波長選択スイッチと、前記第2の波長バンドから第3の波長バンドへの変換を行う波長変換器と、前記第1の波長バンド内の光信号を処理する第4の波長選択スイッチと、前記第2の波長バンド内の光信号を処理する第5の波長選択スイッチと、前記第4の波長選択スイッチから出力される光信号および前記第5の波長選択スイッチから出力される光信号を合波する合波器と、を備える。前記第1の波長選択スイッチにより前記第1のWDM信号から分岐される光信号は、前記第3の波長選択スイッチに導かれる。前記第1の波長選択スイッチにより前記第1のWDM信号から分岐されなかった残りの光信号は、前記第4の波長選択スイッチに導かれる。前記第2の波長選択スイッチにより前記第2のWDM信号から分岐される光信号は、前記波長変換器を介して前記第3の波長選択スイッチに導かれる。前記第2の波長選択スイッチにより前記第2のWDM信号から分岐されなかった残りの光信号は、前記第5の波長選択スイッチに導かれる。前記第3の波長選択スイッチは、前記第1のWDM信号から分岐された光信号および前記第2のWDM信号から分岐された光信号を、当該光通信装置に接続するアクセスネットワークに導く。
【発明の効果】
【0011】
上述の態様によれば、複数の波長バンドを使用するWDM伝送システムにおいて、光信号の品質の劣化が抑制される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の実施形態に係わるWDM伝送システムの一例を示す図である。
【
図3】波長変換器を利用して帯域が拡張されたROADMの一例を示す図である。
【
図4】帯域が拡張されたWDM信号の一例を示す図である。
【
図5】本発明の実施形態に係わるROADMの一例を示す図である。
【
図6】ROADMにより伝送される光信号のレベルおよび雑音指数の一例を示す図である。
【
図7】本発明の実施形態による効果を示す図である。
【
図8】16方路ROADMの受信回路の構成例を示す図である。
【
図9】16方路ROADMの送信回路の構成例を示す図である。
【
図10】本発明の実施形態に係わるROADMのバリエーションを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1は、本発明の実施形態に係わるWDM伝送システムの一例を示す。この例では、WDM伝送システム100は、複数のネットワーク(例えば、コアネットワーク、メトロポリタンネットワーク等)を互いに接続する。また、WDM伝送システム100の各ノードには、ROADM1(1a~1f)が設けられている。ROADM1は、WDM信号を処理する光通信装置の一例である。したがって、ROADM1は、WDM信号から所望の波長の光信号を分岐できる。WDM信号から分岐される光信号は、アクセスネットワークまたはROADM1の配下の装置に導かれる。また、ROADM1は、アクセスネットワークまたはROADM1の配下の装置から送信される光信号を、WDM信号の空きチャネルに挿入できる。
【0014】
上記構成のWDM伝送システム100において、例えば、端末2aと端末2bとの間で通信を行うものとする。このとき、不図示のネットワーク管理システムにより端末2aと端末2bとの間に波長パスが設定される。すなわち、端末2aと端末2bとの間で通信を行うための制御情報が各ROADM1に設定される。なお、この波長パスは、波長λ1の光信号を伝搬する波長チャネルにより実現されるものとする。以下では、波長λ1の光信号を「光信号λ1」と呼ぶことがある。
【0015】
端末2aから端末2bに送信すべきデータは、光信号λ1を生成するトランスポンダに導かれる。このトランスポンダは、例えば、ROADM1bに接続されている。そして、このトランスポンダは、データを伝送する光信号λ1を生成する。トランスポンダから出力される光信号λ1は、ROADM1bに導かれる。ROADM1bは、WDM信号に光信号λ1を挿入する。各ROADM1は、ネットワーク管理システムにより設定される制御情報に従ってWDM信号を処理する。具体的には、ROADM1bは光信号λ1をROADM1cに導き、ROADM1cは光信号λ1をROADM1eに導く。そして、ROADM1eは、WDM信号から光信号λ1を分岐してアクセスネットワークに導く。これにより、端末2bは、端末2aから送信されるデータを受信する。
【0016】
端末2aと端末2cとの間で通信を行う場合は、ネットワーク管理システムにより端末2aと端末2cとの間に波長パスが設定される。この波長パスは、波長λ2の光信号を伝搬する波長チャネルにより実現されるものとする。以下では、波長λ2の光信号を「光信号λ2」と呼ぶことがある。
【0017】
端末2aから端末2cに送信すべきデータは、光信号λ2を生成するトランスポンダに導かれる。このトランスポンダは、データを伝送する光信号λ2を生成する。トランスポンダから出力される光信号λ2は、ROADM1bに導かれる。ROADM1bは、WDM信号に光信号λ2を挿入する。各ROADM1は、ネットワーク管理システムにより設定される制御情報に従ってWDM信号を処理する。具体的には、ROADM1bは光信号λ2をROADM1cに導き、ROADM1cは光信号λ2をROADM1dに導き、ROADM1dは光信号λ2をROADM1fに導く。そして、ROADM1fは、WDM信号から光信号λ2を分岐してアクセスネットワークに導く。これにより、端末2cは、端末2aから送信されるデータを受信する。
【0018】
このように、WDM伝送システム100においては、アクセスネットワークまたは端末から送信される光信号は、WDM信号に挿入され、1または複数のROADMを介して伝送される。そして、この光信号は、宛先端末を収容するROADMによりWDM信号から分岐される。
【0019】
図2は、ROADMの構成の一例を示す。この例では、ROADM1は、4方路ROADMである。すなわち、ROADM1は、4個のノード(N1~N4)との間でWDM信号を伝送することができる。また、ROADM1は、アド/ドロップ部13を備える。
【0020】
ROADM1は、各方路(#1~#4)に対して1組のWSS11およびWSS12を備える。WSS11は、対応するノードから受信するWDM信号を処理する。すなわち、WSS11は、受信WDM信号中の各光信号を波長に応じて処理する。例えば、WSS11(#1)は、ノードN1から受信するWDM信号中の各光信号を、波長に応じて、方路#2に対応するWSS12(#2)、方路#3に対応するWSS12(#3)、方路#4に対応するWSS12(#4)、またはアド/ドロップ部13に導く。WSS12は、対応するノードに送信するWDM信号を生成する。例えば、WSS12(#1)は、方路#2に対応するWSS11(#2)、方路#3に対応するWSS11(#3)、方路#4に対応するWSS11(#4)、およびアド/ドロップ部13から導かれてくる光信号を合波してWDM信号を生成する。
【0021】
アド/ドロップ部13は、複数のトランスポンダ14および複数のトランスポンダ14を収容するトランスポンダアグリゲータ(TPA)15を備える。各トランスポンダ14は、光送信機(TX)および光受信器(RX)を備える。なお、複数のトランスポンダ14に対して異なる波長が割り当てられることが好ましい。TPA15は、WSSまたはMCS(Multicast Switch)を備え、任意のトランスポンダ14と任意の方路とを対応づけることができる。
【0022】
例えば、トランスポンダ14によりノードN1宛ての信号が生成されたときは、TPA15は、その信号をWSS12(#1)に導く。また、いずれかのWSS11から信号が導かれてきたときには、TPA15は、その信号を、宛先に対応するトランスポンダ14に導く。
【0023】
このように、ROADMは、WSSを用いてWDM信号を処理する。他方、光通信のさらなる大容量化を実現するために、Cバンド/Lバンドに加えて、Sバンド及び/又はUバンドを使用するWDM伝送が検討されている。この場合、ROADMは、Sバンド、Cバンド、Lバンド、およびUバンドを処理できるWSSを備えることが要求される。ただし、広帯域のWDM信号を処理するWSSを製造することが容易ではない。或いは、広帯域のWDM信号を処理するWSSは高価である。
【0024】
この問題は、ROADM内で波長変換器を用いて光信号の波長を適切に変換すれば解決され得る。例えば、SバンドとCバンドとの間で光信号の波長を変換する波長変換器およびUバンドとLバンドとの間で光信号の波長を変換する波長変換器を設けることにより、ROADMは、C/Lバンドに対応するWSSを用いてS/C/L/Uバンドを含むWDM信号を処理することができる。
【0025】
図3は、波長変換器を利用して帯域が拡張されたROADMの一例を示す。なお、
図3に示す例では、ROADM20は、2つの方路(#1および#2)を備える。すなわち、ROADM20は、方路#1を介してノードN1との間でWDM信号を伝送することができ、また、方路#2を介してノードN2との間でWDM信号を伝送することができる。ただし、
図3においては、図面を見やすくするために、ノードN1からノードN2にWDM信号を伝送するための回路が描かれており、ノードN2からノードN1にWDM信号を伝送するための回路は省略されている。
【0026】
ROADM20は、
図4に示すSバンド、Cバンド、Lバンド、およびUバンドを含むWDM信号を伝送する。なお、
図3に示す「S」「C」「L」「U」は、それぞれ、Sバンド、Cバンド、Lバンド、Uバンドを表す。「S/C/L/U」は、Sバンド、Cバンド、Lバンド、およびUバンドが多重化されている状態を表す。同様に、「C/L」は、CバンドおよびLバンドが多重化されている状態を表す。
【0027】
ROADM20は、波長フィルタ21、波長変換器22、23、WSS24~27、波長変換器28、29、合波器30、およびアド/ドロップ部31を備える。なお、ROADM20は、
図3に示していない他のデバイス、回路、または機能を備えてもよい。
【0028】
波長フィルタ21は、方路#1を介してROADM20に到着するWDM信号を波長バンド毎に分離する。具体的には、波長フィルタ21は、受信WDM信号からSバンドWDM信号、CバンドWDM信号、LバンドWDM信号、およびUバンドWDM信号をそれぞれ抽出する。
【0029】
波長変換器22は、SバンドからCバンドへの波長変換を行うことができる。したがって、波長変換器22は、波長フィルタ21により抽出されたSバンドWDM信号をCバンドWDM信号に変換する。波長変換器23は、UバンドからLバンドへの波長変換を行うことができる。したがって、波長変換器23は、波長フィルタ21により抽出されたUバンドWDM信号をLバンドWDM信号に変換する。
【0030】
波長変換器22により生成されるCバンドWDM信号および波長変換器23により生成されるLバンドWDM信号は、それぞれWSS24に導かれる。これに対して、波長フィルタ21により抽出されたCバンドWDM信号およびLバンドWDM信号は、波長変換されることなく、それぞれWSS25に導かれる。
【0031】
WSS24およびWSS25は、それぞれ入力WDM信号中の光信号を処理する。具体的には、WSS24は、ノードN2に転送すべき光信号をWSS26に導き、アクセスネットワークに送信すべき光信号をアド/ドロップ部31に導く。同様に、WSS25は、ノードN2に送信すべき光信号をWSS27に導き、アクセスネットワークに送信すべき光信号をアド/ドロップ部31に導く。アド/ドロップ部31は、WSS24およびWSS25から導かれてくる光信号を、アクセスネットワーク内の宛先端末に転送する。
【0032】
アド/ドロップ部31は、ノードN2に送信すべき光信号を生成することができる。ここで、ノードN2に送信すべき光信号は、WSS26またはWSS27に導かれる。
【0033】
SバンドまたはUバンドを利用してROADM20からノードN2に送信すべき光信号は、アド/ドロップ部31からWSS26に導かれる。ただし、Sバンドを利用してノードN2に送信すべき光信号は、アド/ドロップ部31とWSS26との間では、Cバンド内に配置される。Uバンドを利用してノードN2に送信すべき光信号は、アド/ドロップ部31とWSS26との間では、Lバンド内に配置される。他方、CバンドまたはLバンドを利用してROADM20からノードN2に送信すべき光信号は、アド/ドロップ部31からWSS27に導かれる。Cバンドを利用してノードN2に送信すべき光信号は、アド/ドロップ部31とWSS27との間では、Cバンド内に配置される。Lバンドを利用してノードN2に送信すべき光信号は、アド/ドロップ部31とWSS27との間では、Lバンド内に配置される。
【0034】
WSS26は、WSS24およびアド/ドロップ部31から導かれてくる光信号を処理する。このとき、Cバンドに配置されている光信号は波長変換器28に導かれ、Lバンドに配置されている光信号は波長変換器29に導かれる。
【0035】
波長変換器28は、CバンドからSバンドへの波長変換を行うことができる。よって、WSS26から導かれてくる光信号は、波長変換器28によりSバンドに配置される。波長変換器29は、LバンドからUバンドへの波長変換を行うことができる。よって、WSS26から導かれてくる光信号は、波長変換器29によりUバンドに配置される。波長変換器28および波長変換器29から出力される光信号は、合波器30に導かれる。
【0036】
WSS27は、WSS25およびアド/ドロップ部31から導かれてくる光信号を処理する。このとき、ノードN2に送信すべき光信号は、波長変換されることなく、合波器30に導かれる。
【0037】
合波器30は、波長変換器28から出力されるSバンドWDM信号、波長変換器29から出力されるUバンドWDM信号、およびWSS27から出力されるC/LバンドWDM信号を合波する。これにより、S/C/L/UバンドWDM信号が生成される。即ち、ROADM20からノードN2にS/C/L/UバンドWDM信号が送信される。
【0038】
なお、
図3に示すように、波長変換器22、23とWSS24との間、及び、波長フィルタ21とWSS25との間には、それぞれ光アンプ32が設けられる。WSS26と波長変換器28、29との間、及び、WSS27と合波器30との間には、それぞれ光アンプ33が設けられる。光アンプ32、33は、WDM信号を増幅する。
【0039】
このように、ROADM20は、SバンドとCバンドとの間の波長変換を行う波長変換器(22、28)およびUバンドとLバンドとの間の波長変換を行う波長変換器(23、29)を備えることにより、C/Lバンドに対応するWSSを利用してS/C/L/UバンドWDM信号を処理することができる。すなわち、WSSの帯域幅を広げることなく、ROADMが処理可能なWDM信号の帯域が拡張される。
【0040】
ただし、
図3に示す構成では、ROADM内に波長変換器を追加することに起因して、光信号対雑音比(OSNR:Optical Signal-to-Noise Ratio)が劣化する。具体的には、S/UバンドWDM信号中の光信号は、波長変換器を通過するときに、雑音が付加される。よって、S/UバンドWDM信号中の光信号が複数のROADMを介して伝送されるケースでは、OSNRの劣化が累積してしまう。
【0041】
<実施形態>
図5は、本発明の実施形態に係わるROADMの一例を示す。なお、
図5に示す実施例では、ROADM40は、2つの方路(#1および#2)を備える。即ち、ROADM40は、方路#1を介してノードN1との間でWDM信号を伝送することができ、また、方路#2を介してノードN2との間でWDM信号を伝送することができる。ただし、
図5においては、図面を見やすくするために、ノードN1からノードN2にWDM信号を伝送するための回路が描かれており、ノードN2からノードN1にWDM信号を伝送するための回路は省略されている。
【0042】
ROADM40は、
図4に示すSバンド、Cバンド、Lバンド、及びUバンドを含むS/C/L/UバンドWDM信号を伝送する。
図5に示す「S」「C」「L」「U」は、それぞれ、Sバンド、Cバンド、Lバンド、Uバンドを表す。「S/C/L/U」は、Sバンド、Cバンド、Lバンド、およびUバンドが多重化されている状態を表し、「C/L」は、CバンドおよびLバンドが多重化されている状態を表す。
【0043】
ROADM40は、波長フィルタ41、光アンプ42、WSS43~46、波長変換器47、48、WSS49~52、波長変換器53、54、WSS55~58、光アンプ59、合波器60、およびアド/ドロップ部61を備える。なお、ROADM40は、
図5に示していない他のデバイス、回路、または機能を備えてもよい。
【0044】
波長フィルタ41は、方路#1を介してROADM40に到着するWDM信号を波長バンド毎に分離する。具体的には、波長フィルタ41は、受信WDM信号からSバンドWDM信号、UバンドWDM信号、CバンドWDM信号、およびLバンドWDM信号をそれぞれ抽出する。光アンプ42は、波長フィルタ41により抽出された各波長バンドのWDM信号を増幅する。
【0045】
WSS43は、波長フィルタ41により抽出されたSバンドWDM信号を処理する。具体的には、WSS43は、ノードN2に転送すべき光信号をWSS55に導き、アクセスネットワークに送信すべき光信号を波長変換器47に導く。すなわち、WSS43によりSバンドWDM信号から分岐される光信号は、波長変換器47に導かれ、SバンドWDM信号から分岐されない残りの光信号は、WSS55に導かれる。同様に、WSS44は、波長フィルタ41により抽出されたUバンドWDM信号を処理する。具体的には、WSS44は、ノードN2に送信すべき光信号をWSS56に導き、アクセスネットワークに送信すべき光信号を波長変換器48に導く。すなわち、WSS44によりUバンドWDM信号から分岐される光信号は、波長変換器48に導かれ、UバンドWDM信号から分岐されない残りの光信号は、WSS56に導かれる。
【0046】
波長変換器47は、SバンドからCバンドへの波長変換を行うことができる。したがって、波長変換器47は、WSS43から導かれてくるSバンド内の光信号をCバンド内に配置する。同様に、波長変換器48は、UバンドからLバンドへの波長変換を行うことができる。したがって、波長変換器48は、WSS43から導かれてくるUバンド内の光信号をLバンド内に配置する。なお、波長変換器(47、48)は、特に限定されるものではないが、例えば、PPLN(Periodically Poled Lithium Niobate)により実現される。或いは、波長変換器(47、48)は、非線形光学媒質および励起光を生成する光源により実現される。
【0047】
WSS49は、波長変換器47から出力される光信号および波長変換器48から出力される光信号を処理する。このとき、WSS49は、各光信号をアド/ドロップ部61に導く。ここで、アド/ドロップ部61が複数のトランスポンダまたは複数のトランスポンダアグリゲータ(TPA)を備えるときは、WSS49は、各光信号を、波長に対応するトランスポンダまたはトランスポンダアグリゲータ(TPA)に導くことができる。
【0048】
WSS45は、波長フィルタ41により抽出されたCバンドWDM信号を処理する。具体的には、WSS45は、ノードN2に送信すべき光信号をWSS57に導き、アクセスネットワークに送信すべき光信号をWSS50に導く。すなわち、WSS45によりCバンドWDM信号から分岐される光信号は、WSS50に導かれ、CバンドWDM信号から分岐されない残りの光信号は、WSS57に導かれる。同様に、WSS46は、波長フィルタ41により抽出されたLバンドWDM信号を処理する。具体的には、WSS46は、ノードN2に送信すべき光信号をWSS58に導き、アクセスネットワークに送信すべき光信号をWSS50に導く。すなわち、WSS46によりLバンドWDM信号から分岐される光信号は、WSS50に導かれ、LバンドWDM信号から分岐されない残りの光信号は、WSS58に導かれる。
【0049】
WSS50は、WSS45から出力されるCバンド内の光信号およびWSS46から出力されるLバンド内の光信号を処理する。このとき、WSS50は、各光信号をアド/ドロップ部61に導く。ここで、アド/ドロップ部61が複数のトランスポンダまたは複数のトランスポンダアグリゲータ(TPA)を備えるときは、WSS50は、各光信号を、波長に対応するトランスポンダまたはトランスポンダアグリゲータ(TPA)に導くことができる。
【0050】
WSS51は、アド/ドロップ部61からノードN2に向かう光信号を処理する。このとき、Cバンドに配置されている光信号は波長変換器53に導かれ、Lバンドに配置されている光信号は波長変換器54に導かれる。
【0051】
波長変換器53は、CバンドからSバンドへの波長変換を行うことができる。よって、WSS51から導かれてくる光信号は、波長変換器53によりSバンドに配置される。波長変換器54は、LバンドからUバンドへの波長変換を行うことができる。よって、WSS51から導かれてくる光信号は、波長変換器54によりUバンドに配置される。波長変換器53および波長変換器54から出力される光信号は、それぞれ、WSS55およびWSS56に導かれる。なお、波長変換器(53、54)は、例えば、PPLNにより実現される。或いは、波長変換器(53、54)は、非線形光学媒質および励起光を生成する光源により実現される。
【0052】
WSS55は、WSS43から導かれてくる光信号および波長変換器53から出力される光信号を処理する。これにより、SバンドWDM信号が生成される。同様に、WSS56は、WSS44から導かれてくる光信号および波長変換器54から出力される光信号を処理する。これにより、UバンドWDM信号が生成される。
【0053】
WSS52は、アド/ドロップ部61からノードN2に向かう光信号を処理する。このとき、Cバンドに配置されている光信号はWSS57に導かれ、Lバンドに配置されている光信号はWSS58に導かれる。
【0054】
WSS57は、WSS45から導かれてくる光信号およびWSS52から導かれてくる光信号を処理する。これにより、CバンドWDM信号が生成される。同様に、WSS58は、WSS46から導かれてくる光信号およびWSS52から出力される光信号を処理する。これにより、LバンドWDM信号が生成される。
【0055】
合波器60は、WSS55から出力されるSバンドWDM信号、WSS56から出力されるUバンドWDM信号、WSS57から出力されるCバンドWDM信号、およびWSS58から出力されるLバンドWDM信号を合波する。これにより、S/C/L/UバンドWDM信号が生成される。すなわち、ROADM40からノードN2にS/C/L/UバンドWDM信号が送信される。なお、WSS55~58から出力されるWDM信号は、それぞれ光アンプ59により増幅される。
【0056】
アド/ドロップ部61は、WSS49およびWSS50から導かれてくる光信号をアクセスネットワークまたはROADM40の配下の宛先装置に導く。すなわち、入力WDM信号から分岐された光信号は、アド/ドロップ部61により、アクセスネットワークまたはROADM40の配下の宛先装置に導かれる。また、アド/ドロップ部61は、アクセスネットワークまたはROADM40の配下の送信元装置から受信する光信号を、出力WDM信号に挿入することができる。このとき、ROADM40とノードN2との間でSバンドまたはUバンドに配置されるべき信号は、WSS51に導かれる。また、ROADM40とノードN2との間でCバンドまたはLバンドに配置されるべき信号は、WSS52に導かれる。
【0057】
このように、ROADM40は、
図3に示すROADM20と同様に、S/C/L/UバンドWDM信号を処理することができる。ここで、WSS43およびWSS55は、SバンドWDM信号を処理するように構成されている。WSS44およびWSS56は、UバンドWDM信号を処理するように構成されている。WSS45およびWSS57は、CバンドWDM信号を処理するように構成されている。WSS46およびWSS58は、LバンドWDM信号を処理するように構成されている。WSS49、WSS50、WSS51、WSS52は、それぞれ、CバンドおよびLバンドのWDM信号を処理するように構成されている。すなわち、
図5に示す本発明の実施形態によれば、各WSSの帯域幅を広げることなく、ROADMが処理可能なWDM信号の帯域が拡張される。
【0058】
加えて、ROADM40においては、WDM信号から分岐されることなくノードN2に転送される光信号は、波長変換器を通過しない。具体的には、ノードN1から受信するSバンドWDM信号に含まれる光信号のうちで、ノードN2に転送される光信号は、WSS43およびWSS55により方路#2に導かれる。同様に、ノードN1から受信するUバンドWDM信号に含まれる光信号のうちで、ノードN2に転送される光信号は、WSS44およびWSS56により方路#2に導かれる。なお、以下の記載では、ROADMにおいてWDM信号から分岐されることなく次のノードに転送される光信号を「スルー信号」と呼ぶことがある。
【0059】
このように、本発明の実施形態によれば、
図3に示す構成と異なり、スルー信号は波長変換器を通過しない。よって、本発明の実施形態によれば、
図3に示す構成と比較して、スルー信号に付加される雑音が抑制される。したがって、光信号が複数のROADMを介して宛先ノードに転送されるケースにおいて、OSNRの劣化の累積が抑制される。
【0060】
図6は、ROADMにより伝送される光信号のレベルおよび雑音指数の一例を示す。ここで、
図6(a)は、
図3に示すROADM20により伝送される光信号のレベルおよび雑音指数の一例を示す。
図6(b)は、本発明の実施形態に係わるROADM40により伝送される光信号のレベルおよび雑音指数の一例を示す。そして、SバンドWDM信号中の任意の光信号が伝送されるものとする。
【0061】
この実施例では、ROADM(20、40)の入力光レベルは-18dBmである。光アンプ(32、33、42、59)の利得は18dBである。波長変換器(22、28)の変換効率は0dBである。光アンプの雑音指数(NF:Noise Figure)は6dBである。波長変換器の雑音指数は6dBである。ROADM内でのスルー信号に対する損失は18dBである。
【0062】
ここで、光信号が複数のROADMを介して伝送されるとき、各ノード(即ち、各ROADM)におけるOSNRは(1)式で表される。Pinは、ROADMの入力光パワーを表す。NFは、
図6(a)または
図6(b)に示す雑音指数を表す。hは、プランク定数を表す。νは、光の周波数を表す。Δfは、雑音指数を測定するときの帯域幅を表す。
【数1】
【0063】
光信号が複数のROADMを介して伝送されるときに、受信ノードにおけるOSNR_RXは(2)式で表される。なお、OSNRiは、各ノードにおけるOSNRを表し、上述した(1)で計算される。
【数2】
【0064】
図7は、本発明の実施形態による効果を示す。横軸は、光信号が伝送されるパスのスパン数を表す。すなわち、横軸は、送信ノードと受信ノードとの間に設けられるROADMの個数を表す。縦軸は、受信ノードにおけるOSNRを表し、上記(2)式により計算される。三角形のシンボルは、各ノードに
図3に示すROADM20が設けられるWDM伝送システムにおけるOSNRを表す。OSNRは、
図6(a)に示すモデルに基づいて計算される。円形のシンボルは、各ノードに本発明の実施形態に係わるROADM40が設けられるWDM伝送システムにおけるOSNRを表す。OSNRは、
図6(b)に示すモデルに基づいて計算される。
【0065】
いずれのケースでも、スパン数が増加するにつれて、受信OSNRが劣化していく。ただし、
図3に示す構成と比較すると、本発明の実施形態によれば、受信OSNRの劣化が抑制されている。すなわち、
図3に示す構成と比較すると、本発明の実施形態によれば、受信OSNRが改善する。この結果、本発明の実施形態に係わるROADMを実装することにより、光信号を伝送可能なスパン数が増加する。例えば、品質のよい光通信を実現するためには、20dB以上の受信OSNRが必要であるものとする。この場合、
図3に示す構成では8スパンの伝送が可能であるが、本発明の実施形態によれば12スパンの伝送が可能である。
【0066】
<実施例>
図8~
図9は、16方路ROADMの構成例を示す。即ち、このROADMは、16個の方路(#1~#16)を備える。なお、
図8は、方路#1を介して受信するWDM信号を処理する受信回路を示す。この受信回路は、
図2に示す構成では、WSS11(#1)に相当する。また、
図9は、方路#1にWDM信号を出力する送信回路を示す。この送信回路は、
図2に示す構成では、WSS12(#1)に相当する。なお、
図8~
図9は、
図5に示すROADM40の構成例である。但し、
図8~
図9においては、光アンプ42、59は省略されている。
【0067】
図8~
図9に示すROADMは、64個のトランスポンダアグリゲータ(TPA)71_1~71_64を備える。TPA71_1~71_64は、は、
図5に示すアド/ドロップ部61の中に設けられる。TPA71_1~71_64には、それぞれ複数のトランスポンダ(TRx)72が接続されている。
【0068】
図8に示すように、WSS43~46は、この実施例では、それぞれ、1個の入力ポートおよび16個の出力ポートを備える。スルー信号は、WSS43~46により、対応する方路(#2~#16)に導かれる。WSS49、50は、この実施例では、それぞれ、2個の入力ポートおよび32個の出力ポートを備える。WSS49の出力ポートは、それぞれTPA71_1~71_32に接続される。また、WSS50の出力ポートは、それぞれTPA71_33~71_64に接続される。各TPA71_1~71_64は、16個の入力ポートを備える。各方路(#1~#16)を介して受信するWDM信号中の分岐信号が各TPA71_1~71_64の対応する入力ポートに導かれる。
【0069】
図9に示すように、WSS51、52は、この実施例では、それぞれ、32個の入力ポートおよび2個の出力ポートを備える。WSS51の入力ポートには、TPA71_1~71_32の対応するポートから出力される挿入信号が導かれる。WSS52の入力ポートには、TPA71_33~71_64の対応するポートから出力される挿入信号が導かれる。WSS55~58は、この実施例では、それぞれ、16個の入力ポートおよび1個の出力ポートを備える。各WSS55~58は、他のノードから受信するスルー信号と挿入信号とを多重化する。
【0070】
図8に示す構成では、ROADM40は、方路を選択するためのWSS(43~46)およびトランスポンダアグリゲータ(TPA)を選択するためのWSS(49~50)を備えるが、本発明の実施形態はこの構成に限定されるものではない。例えば、ROADM40は、WSS49~50を備えなくてもよい。この場合、WSS43~44により抽出される分岐光信号は、波長変換器47~48を介してアド/ドロップ部61に導かれる。また、WSS45~46により抽出される分岐信号は、直接的に、アド/ドロップ部61に導かれる。この構成においては、アド/ドロップ部61がトランスポンダを選択するWSSを備えてもよい。同様に、
図9に示す構成では、ROADM40は、WSS51~52を備えなくてもよい。
【0071】
図8に示す構成では、Sバンド、Cバンド、Lバンド、およびUバンドに対してそれぞれWSS43、WSS44、WSS45、およびWSS46が設けられるが、本発明の実施形態はこの構成に限定されるものではない。たとえば、
図10に示すように、
図8に示すWSS43~WSS46の代わりに、S/CバンドのWDM信号を処理可能なWSS81、及び、L/UバンドのWDM信号を処理可能なWSS82を設けてもよい。ここで、WSS81から出力されるSバンド内の分岐信号およびCバンド内の分岐信号は、それぞれ、対応する波長変換器により、Cバンド内の分岐信号およびLバンド内の分岐信号に変換されるようにしてもよい。また、WSS82から出力されるLバンド内の分岐信号およびUバンド内の分岐信号は、それぞれ、対応する波長変換器により、Cバンド内の分岐信号およびLバンド内の分岐信号に変換されるようにしてもよい。この場合、WSS49およびWSS50は、いずれも、C/Lバンドを処理するデバイスで実現可能である。同様に、
図9に示す構成では、4個のWSS(55~58)を2個のWSSに置き換えてもよい。
【符号の説明】
【0072】
40 ROADM
41 波長フィルタ
42、59 光アンプ
43~46 WSS
47、48 波長変換器
49~52 WSS
53、54 波長変換器
55~58WSS
60 合波器
61 アド/ドロップ部
100 WDM伝送システム