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特開2024-93174自傷行為検出装置、自傷行為検出システム、自傷行為検出プログラム、および自傷行為検出方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024093174
(43)【公開日】2024-07-09
(54)【発明の名称】自傷行為検出装置、自傷行為検出システム、自傷行為検出プログラム、および自傷行為検出方法
(51)【国際特許分類】
   G08B 25/04 20060101AFI20240702BHJP
   G08B 25/00 20060101ALI20240702BHJP
   G08B 25/08 20060101ALI20240702BHJP
【FI】
G08B25/04 K
G08B25/00 510M
G08B25/08 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022209374
(22)【出願日】2022-12-27
(71)【出願人】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000671
【氏名又は名称】IBC一番町弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】新田 和馬
(72)【発明者】
【氏名】一谷 修司
【テーマコード(参考)】
5C087
【Fターム(参考)】
5C087AA02
5C087AA03
5C087AA09
5C087AA37
5C087BB20
5C087BB74
5C087DD03
5C087DD29
5C087DD30
5C087EE18
5C087GG02
5C087GG08
(57)【要約】      (修正有)
【課題】看介護施設での対象者の自傷行為時の状況確認を容易にする自傷行為検出装置、自傷行為検出システム、自傷行為検出プログラム及び自傷行為検出方法を提供する。
【解決手段】検知部が、通信ネットワークにより自傷行為検出装置及び看介護施設内でスタッフ等が携帯する携帯端末と相互に通信可能に接続される自傷行為検出システムにおいて、自傷行為検出装置の制御部210は、看介護施設内に設置された撮像部によって撮像された画像に関する画像情報と、看介護施設内に設置されたセンサーによって検知された被検知対象に関する非画像情報との少なくとも一方を取得する取得部211と、取得した画像情報及び非画像情報の少なくとも一方に基づいて、対象者の自傷行為を検出する自傷検出部213と、画像情報および非画像情報の少なくとも一方から、対象者の自傷行為に対応する部分を抽出する抽出部214と、を含む。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
看介護施設内に設置された撮像部によって撮像された画像に関する画像情報と、前記看介護施設内に設置されたセンサーによって検知された被検知対象に関する非画像情報との少なくとも一方を取得する取得部と、
取得された前記画像情報および前記非画像情報の少なくとも一方に基づいて、対象者の自傷行為を検出する自傷検出部と、
前記画像情報および前記非画像情報の少なくとも一方から、前記対象者の自傷行為に対応する部分を抽出する抽出部と
を備える自傷行為検出装置。
【請求項2】
前記抽出部は、前記対象者の自傷行為時およびその前後に対応する部分を抽出する請求項1に記載の自傷行為検出装置。
【請求項3】
前記被検知対象は振動を含む請求項1に記載の自傷行為検出装置。
【請求項4】
前記被検知対象は音を含む請求項1に記載の自傷行為検出装置。
【請求項5】
取得された前記画像情報に基づいて、前記画像に含まれる人物に関する人物情報を検出する情報検出部をさらに有し、
前記自傷検出部は、少なくとも、検出された前記人物情報に基づいて、前記対象者の自傷行為を検出する請求項1に記載の自傷行為検出装置。
【請求項6】
前記情報検出部は、さらに、前記画像に含まれる物体に関する物体情報を検出し、
前記自傷検出部は、少なくとも、検出された前記人物情報および前記物体情報に基づいて、前記対象者の自傷行為を検出する請求項5に記載の自傷行為検出装置。
【請求項7】
前記看介護施設内の物体の指定を受け付ける第1受付部をさらに有し、
前記自傷検出部は、指定された前記物体に関する前記物体情報を用いて、前記対象者の自傷行為を検出する請求項6に記載の自傷行為検出装置。
【請求項8】
前記第1受付部は、予め前記物体の指定を受け付ける請求項7に記載の自傷行為検出装置。
【請求項9】
前記対象者の自傷行為の検出レベルの設定を受け付ける第2受付部をさらに有し、
前記自傷検出部は、設定された前記検出レベルに基づいて、前記対象者の自傷行為を検出する請求項1に記載の自傷行為検出装置。
【請求項10】
前記第2受付部は、前記撮像部の撮像時間帯毎または前記センサーの検知時間帯毎に、異なる検出レベルの設定を受け付け可能に構成されている請求項9に記載の自傷行為検出装置。
【請求項11】
抽出された前記対象者の自傷行為に対応する部分を保存部に保存する保存制御部をさらに有する請求項1に記載の自傷行為検出装置。
【請求項12】
請求項1~11のいずれかに記載の自傷行為検出装置と、
前記撮像部および前記センサーの少なくとも一方とを備える自傷行為検出システム。
【請求項13】
前記センサーは集音部を含む請求項12に記載の自傷行為検出システム。
【請求項14】
看介護施設内に設置された撮像部によって撮像された画像に関する画像情報と、前記看介護施設内に設置されたセンサーによって検知された被検知対象に関する非画像情報との少なくとも一方を取得することと、
取得された前記画像情報および前記非画像情報の少なくとも一方に基づいて、前記看介護施設内における対象者の自傷行為を検出することと、
前記画像情報および前記非画像情報の少なくとも一方から、前記対象者の自傷行為に対応する部分を抽出することと
を含む処理をコンピューターに実行させるための自傷行為検出プログラム。
【請求項15】
自傷行為検出システムに実行させる方法であって、
看介護施設内に設置された撮像部によって撮像された画像に関する画像情報と、前記看介護施設内に設置されたセンサーによって検知された被検知対象に関する非画像情報との少なくとも一方を取得することと、
取得された前記画像情報および前記非画像情報の少なくとも一方に基づいて、前記看介護施設内における対象者の自傷行為を検出することと、
前記画像情報および前記非画像情報の少なくとも一方から、前記対象者の自傷行為に対応する部分を抽出することと
を含む自傷行為検出方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自傷行為検出装置、自傷行為検出システム、自傷行為検出プログラム、および自傷行為検出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
我が国は、戦後の高度経済成長に伴う生活水準の向上、衛生環境の改善、および医療水準の向上等により、長寿命化が顕著となっている。このため、出生率の低下と相まって、高齢化率が高い高齢化社会になっている。このような高齢化社会では、病気、怪我、および加齢などにより、介護等の対応を必要とする要介護者の増加が想定される。
【0003】
要介護者は、病院や老人福祉施設などの看介護施設において、歩行中に転倒したり、ベッドから転落して怪我をするおそれがある。そのため、要介護者がこのような状態になったときに介護士や看護師等のスタッフがすぐに駆けつけられるようにするためのシステムの開発が進められている(たとえば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010-40017号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このような看介護施設で要介護者が自傷行為を行ったとき、スタッフおよび要介護者の家族等が、自傷行為時の状況を容易に確認できることが望ましい。これにより、スタッフ等は、たとえば、要介護者に痣等が確認されたとき、この痣等が自傷行為に起因するものなのか、他の原因に起因するものかを判断しやすくなる。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、看介護施設での対象者の自傷行為時の状況確認を容易にする自傷行為検出装置、自傷行為検出システム、自傷行為検出プログラム、および自傷行為検出方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の上記課題は、以下の手段によって解決される。
【0008】
(1)看介護施設内に設置された撮像部によって撮像された画像に関する画像情報と、前記看介護施設内に設置されたセンサーによって検知された被検知対象に関する非画像情報との少なくとも一方を取得する取得部と、取得された前記画像情報および前記非画像情報の少なくとも一方に基づいて、対象者の自傷行為を検出する自傷検出部と、前記画像情報および前記非画像情報の少なくとも一方から、前記対象者の自傷行為に対応する部分を抽出する抽出部と
を備える自傷行為検出装置。
【0009】
(2)前記抽出部は、前記対象者の自傷行為時およびその前後に対応する部分を抽出する上記(1)に記載の自傷行為検出装置。
【0010】
(3)前記被検知対象は振動を含む上記(1)に記載の自傷行為検出装置。
【0011】
(4)前記被検知対象は音を含む上記(1)に記載の自傷行為検出装置。
【0012】
(5)取得された前記画像情報に基づいて、前記画像に含まれる人物に関する人物情報を検出する情報検出部をさらに有し、前記自傷検出部は、少なくとも、検出された前記人物情報に基づいて、前記対象者の自傷行為を検出する上記(1)に記載の自傷行為検出装置。
【0013】
(6)前記情報検出部は、さらに、前記画像に含まれる物体に関する物体情報を検出し、前記自傷検出部は、少なくとも、検出された前記人物情報および前記物体情報に基づいて、前記対象者の自傷行為を検出する上記(5)に記載の自傷行為検出装置。
【0014】
(7)前記看介護施設内の物体の指定を受け付ける第1受付部をさらに有し、前記自傷検出部は、指定された前記物体に関する前記物体情報を用いて、前記対象者の自傷行為を検出する上記(6)に記載の自傷行為検出装置。
【0015】
(8)前記第1受付部は、予め前記物体の指定を受け付ける上記(7)に記載の自傷行為検出装置。
【0016】
(9)前記対象者の自傷行為の検出レベルの設定を受け付ける第2受付部をさらに有し、前記自傷検出部は、設定された前記検出レベルに基づいて、前記対象者の自傷行為を検出する上記(1)に記載の自傷行為検出装置。
【0017】
(10)前記第2受付部は、前記撮像部の撮像時間帯毎または前記センサーの検知時間帯毎に、異なる検出レベルの設定を受け付け可能に構成されている上記(9)に記載の自傷行為検出装置。
【0018】
(11)抽出された前記対象者の自傷行為に対応する部分を保存部に保存する保存制御部をさらに有する上記(1)に記載の自傷行為検出装置。
【0019】
(12)上記(1)~(11)のいずれかに記載の自傷行為検出装置と、前記撮像部および前記センサーの少なくとも一方とを備える自傷行為検出システム。
【0020】
(13)前記センサーは集音部を含む上記(12)に記載の自傷行為検出システム。
【0021】
(14)看介護施設内に設置された撮像部によって撮像された画像に関する画像情報と、前記看介護施設内に設置されたセンサーによって検知された被検知対象に関する非画像情報との少なくとも一方を取得することと、取得された前記画像情報および前記非画像情報の少なくとも一方に基づいて、前記看介護施設内における対象者の自傷行為を検出することと、前記画像情報および前記非画像情報の少なくとも一方から、前記対象者の自傷行為に対応する部分を抽出することと
を含む処理をコンピューターに実行させるための自傷行為検出プログラム。
【0022】
(15)自傷行為検出システムに実行させる方法であって、看介護施設内に設置された撮像部によって撮像された画像に関する画像情報と、前記看介護施設内に設置されたセンサーによって検知された被検知対象に関する非画像情報との少なくとも一方を取得することと、取得された前記画像情報および前記非画像情報の少なくとも一方に基づいて、前記看介護施設内における対象者の自傷行為を検出することと、前記画像情報および前記非画像情報の少なくとも一方から、前記対象者の自傷行為に対応する部分を抽出することとを含む自傷行為検出方法。
【発明の効果】
【0023】
本願発明に係る自傷行為検出装置、自傷行為検出システム、自傷行為検出プログラム、および自傷行為検出方法では、対象者の自傷行為が検出され、画像情報および非画像情報の少なくとも一方から対象者の自傷行為に対応する部分が抽出される。よって、スタッフ等は、対象者の自傷行為時の状況を容易に確認することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】一実施形態に係る自傷行為検出システムの概略構成を示す図である。
図2図1に示した検知部の構成を示すブロック図である。
図3図1に示した自傷行為検出装置の構成を示すブロック図である。
図4図1に示したカメラによって撮像された画像において検出された人物矩形の一例を示す図である。
図5図1に示した自傷行為検出装置の機能ブロック図である。
図6図1に示した携帯端末の構成を示すブロック図である。
図7図1に示した自傷行為検出システムによる処理の一例を示すフローチャートである。
図8】変形例1に係る制御部による処理の一例を示すフローチャートである。
図9図1に示したカメラによって撮像された画像において検出された人物矩形および物体矩形の一例を示す図である。
図10】変形例2に係る自傷行為検出装置の機能ブロック図である。
図11図10に示した自傷行為検出装置による処理の一例を示すフローチャートである。
図12】変形例3に係る自傷行為検出装置の機能ブロック図である。
図13図12に示した自傷行為検出装置による処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態に係る、自傷行為検出システム、自傷行為検出プログラム、および自傷行為検出方法について説明する。なお、図面において、同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。図面の寸法比率は、説明の都合上誇張されており、実際の比率とは異なる場合がある。
【0026】
<実施形態>
[自傷行為検出システム10の構成]
図1は、一実施形態に係る自傷行為検出システム10の概略構成を示す図である。自傷行為検出システム10は、たとえば、病院および老人福祉施設などの看介護施設で用いられる。自傷行為検出システム10は、検知部100、自傷行為検出装置200、通信ネットワーク300、および携帯端末400を有する。検知部100は、通信ネットワーク300により自傷行為検出装置200および携帯端末400と相互に通信可能に接続される。携帯端末400はアクセスポイント310を介して通信ネットワーク300と接続され得る。
【0027】
(検知部100)
図2は、検知部100の構成を示すブロック図である。図2の例に示すように、検知部100は、制御部110、通信部120、カメラ130、マイク140(集音部)および体動センサー150を備え、これらはバスによって相互に接続されている。ここでは、カメラ130が本発明の撮像部の一具体例に対応し、マイク140が本発明のセンサーの一具体例に対応する。検知部100は、1つの一体化された装置でも、分離配置される複数の装置でもあり得る。
【0028】
制御部110は、CPU(Central Processing Unit)、およびRAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等のメモリにより構成され、プログラムに従って検知部100の各部の制御および演算処理を行う。
【0029】
通信部120は、通信ネットワーク300を介して、自傷行為検出装置200および携帯端末400等と通信するためのインターフェース回路(例えばLANカード等)である。
【0030】
カメラ130は、例えば広角カメラである。カメラ130は、看介護施設内に設置されている。カメラ130は、たとえば、対象者500の居室の天井等の、所定の領域を俯瞰する位置に設置される。カメラ130は、当該所定の領域を含む画像(たとえば、後述の図4の画像600)を撮像する。対象者500は、例えばスタッフ等により介護または看護を必要とする者である。所定の領域は、たとえば、対象者500の居室の床面全体を含む3次元の領域であり得る。カメラ130は、広角カメラより画角が狭い標準カメラであってもよい。以下、説明を簡単にするために、カメラ130は、広角カメラであるものとして説明する。画像600には、たとえば、対象者500が画像として含まれ得る。画像600には、静止画および動画が含まれる。カメラ130は近赤外線カメラであり、LED(Light Emitting Device)により近赤外線を撮像領域に向けて照射し、撮像領域内の物体により反射される近赤外線の反射光をCMOS(Complememtary Metal Oxide Semiconductor)センサーにより受光することで所定の領域を撮像し得る。画像600は近赤外線の反射率を各画素とするモノクロ画像であり得る。カメラ130は、近赤外線カメラに代替して可視光カメラを用いてもよく、これらを併用してもよい。カメラ130は、マイク付きのカメラであってもよい。
【0031】
マイク140は、たとえば、カメラ130の近傍に設置され、カメラ130によって撮像される領域周辺を集音する。たとえば、マイク140は対象者500の居室を集音する。マイク140は、カメラ130に一体化されていてもよい。
【0032】
体動センサー150は、ベッド700に対してマイクロ波を送受信して対象者500の体動(例えば呼吸動)によって生じたマイクロ波のドップラシフトを検出するドップラシフト方式のセンサーである。
【0033】
検知部100は、カメラ130によって撮像した画像に関する画像情報と、マイク140によって検知した音に関する音情報とを、通信ネットワーク300を介して、自傷行為検出装置200に送信する。検知部100は、体動センサー150によって検出された対象者500のドップラシフトを、通信ネットワーク300を介して、自傷行為検出装置200等に送信してもよい。ここでは、音情報が、本発明の非画像情報の一具体例に対応する。
【0034】
(自傷行為検出装置200)
図3は、自傷行為検出装置200の構成を示すブロック図である。自傷行為検出装置200は、たとえばサーバーまたはPC(Personal Computer)等のコンピューターである。自傷行為検出装置200は、複数の装置から構成されてもよく、たとえば多数のサーバーによってクラウドサーバーとして仮想的に構成されてもよい。自傷行為検出装置200は、制御部210、通信部220、記憶部230、表示部240、入力部250および音出力部260を有している。各構成要素は、バスによって、相互に接続されている。
【0035】
制御部210および通信部220の基本構成は、上記検知部100の制御部110および通信部120と同様であるため、重複する説明は省略する。制御部210の具体的な機能については、後述する。
【0036】
記憶部230は、たとえば、RAM、ROM、HDD(Hard Disc Drive)等により構成される。記憶部230には、たとえば、オペレーティングシステムを含む各種プログラムおよび各種データが格納されている。記憶部230には、たとえば、検知部100から送信された画像情報および音情報が記憶される。記憶部230には、他の装置との間で各種情報を送受信したり、他の装置から取得する各種情報に基づいて出力する結果を決定したりするためのアプリケーションがインストールされている。また、記憶部230には、画像情報および音情報の少なくとも一方から、後述の自傷行為に対応する部分を抽出するために必要となる情報が記憶されている。
【0037】
表示部240および入力部250は、タッチパネルであり、液晶などで構成される表示部240の表示面に、入力部250としてのタッチセンサーが設けられる。表示部240は、たとえば、検知部100から受信した動画を表示する。
【0038】
音出力部260は、例えばスピーカーを含んでいる。音出力部260は、たとえば、表示部240に表示される動画と同期させて、検知部100から受信した音を出力する。
【0039】
次に、図4および図5を用いて自傷行為検出装置200、具体的には制御部210の機能について説明する。制御部210は、カメラ130によって撮像された動画に関する画像情報と、マイク140によって検知された音に関する音情報とに基づいて、対象者500の自傷行為を検出し、画像情報および音情報の少なくとも一方から、この自傷行為に対応する部分を抽出する。
【0040】
ここで、自傷行為は、自らを傷つける行為をいう。自傷行為は、物体を用いずに自らを傷つける行為および物体を用いて自らを傷つける行為のどちらも含む。物体を用いずに自らを傷つける行為には、たとえば、首等をかきむしる行為、および、腹等を拳で強く叩く行為等が含まれる。物体を用いて自らを傷つける行為には、たとえば、壁に強くぶつかる行為、および、手を何度も机等に強く打ちつける行為等が含まれる。
【0041】
図4は、カメラ130により撮像された対象者500の居室の画像600の一例を表している。この画像600は、たとえば、居室に設けられたベッド700等の物体と、ベッド700に腰かける対象者500とを含んでいる。
【0042】
図5は、制御部210の機能ブロック図である。制御部210は、たとえば、取得部211、情報検出部212、自傷検出部213、抽出部214および保存制御部215として機能する。
【0043】
取得部211は、カメラ130によって撮像された画像(たとえば、画像600)に関する画像情報と、マイク140によって検知された音(被検知対象)に関する音情報との少なくとも一方を取得する。取得部211は、たとえば、検知部100から画像情報および音情報をともに取得する。取得部211は、さらに、体動センサー150によって検知された対象者500の体動に関する情報を取得してもよい。
【0044】
情報検出部212は、取得部211により取得された画像情報に基づいて、各画像に含まれる人物に関する人物情報を検出する。人物情報は、たとえば、対象者500の位置、対象者500の大きさおよび対象者500の種類等に関する情報を含む。対象者500の位置は、たとえば、画像600における人物矩形610の座標を用いて表すことができる。人物情報は、たとえば、立位および座位等の人物の姿勢に関する情報を含んでいてもよい。
【0045】
人物矩形610は、画像600における対象者500を含む領域である。人物矩形610は、たとえば、対象者500の大きさを反映する。人物矩形610は、画像600における対象者500の姿勢を反映してもよい。情報検出部212は、たとえば、ディープラーニング等のニューラルネットワークを用いて人物矩形610を検出する。ニューラルネットワークによる人物矩形610の検出方法としては、例えば、Faster R-CNN、Fast R-CNN、およびR-CNNといった公知の方法が挙げられる。情報検出部212は、対象者500の関節点を検出してもよい。
【0046】
自傷検出部213は、取得部211により取得された画像情報および音情報の少なくとも一方に基づいて、対象者500の自傷行為を検出する。具体的には、自傷検出部213は、音情報と、情報検出部212により検出された人物情報とを用いて、対象者500の自傷行為を検出する。
【0047】
自傷検出部213は、たとえば、人物矩形610の一部または全部が動いている状態で、所定の音に対応する音情報が取得されたとき、対象者500の自傷行為を検出する。人物矩形610の動きは、たとえば、各フレームにおける人物矩形610の座標を用いて検出することができる。所定の音は、たとえば、所定の大きさ以上の音量を有する音または、所定の周波数範囲を有する音である。所定の周波数範囲は、たとえば、基準の音の周波数との差を用いて決定されてもよい。所定の音は、機械学習モデルを用いて決定されてもよい。所定の音は、たとえば、予めスタッフ等により入力部250を介して、設定されていてもよい。
【0048】
自傷検出部213は、たとえば、人物矩形610が所定の動作を行っている状態で、所定の音に対応する音情報が取得されたとき、対象者500の自傷行為を検出してもよい。所定の動作は、機械学習モデルを用いて決定されてもよい。所定の動作は、たとえば、予めスタッフ等により入力部250を介して、設定されていてもよい。
【0049】
自傷検出部213は、さらに、カメラ130による撮像時間に基づいて、対象者500の自傷行為を検出してもよい。自傷検出部213は、たとえば、所定の撮像時間帯に、人物矩形610の一部または全部が動いている状態で、所定の音に対応する音情報が取得されたとき、対象者500の自傷行為を検出する。所定の撮像時間帯は、たとえば、予めスタッフ等により入力部250を介して、設定される。
【0050】
抽出部214は、画像情報および音情報の少なくとも一方から、自傷検出部213により検出された自傷行為に対応する部分を抽出する。抽出部214は、たとえば、自傷行為に対応する画像情報および音情報の両方を抽出する。抽出部214は、たとえば、自傷行為時およびその前後に対応する画像情報および音情報を抽出する。抽出部214は、たとえば、自傷行為の発生時刻に対応する画像情報および音情報と、この時刻の前後1分間の画像情報および音情報とを抽出する。抽出部214は、たとえば、取得部211により取得された画像情報および音情報から、自傷行為に対応する部分を抽出する。抽出部214は、画像情報に基づいて検出された人物情報から、自傷行為に対応する部分を抽出してもよい。
【0051】
保存制御部215は、抽出部214により抽出された自傷行為に対応する部分を保存部に保存する。保存制御部215は、たとえば、自傷行為に対応する画像情報および音情報を保存部に保存する。保存制御部215は、たとえば、この自傷行為を行った人物(たとえば、対象者500)に関連付けて、画像情報および音情報を保存する。保存制御部215は、スタッフ等による対象者に関する記録と関連つけて、画像および音情報を保存してもよい。保存部は、たとえば、記憶部230に設けられている。保存部は、外部のサーバー等に設けられていてもよい。たとえば、スタッフ等が入力部250に指示を入力することにより、保存部に保存された画像情報および音情報が表示部240および音出力部260に出力される。
【0052】
上記制御部210の機能の一部または全部は、検知部100により実行されてもよい。
【0053】
(携帯端末400)
図6は、携帯端末400の構成を示すブロック図である。携帯端末400は、たとえば、看介護施設内でスタッフ等に携帯される。携帯端末400は、制御部410、無線通信部420、表示部430、入力部440、および音声入出力部450を備える。各構成要素は、バスにより相互に接続されている。携帯端末400は、例えば、タブレット型コンピューター、スマートフォン、または携帯電話等の通信端末機器によって構成され得る。
【0054】
制御部410は、検知部100の制御部110の構成と同様に、CPU、RAM、ROMなどの基本構成を備える。
【0055】
無線通信部420は、Wi-Fi、Bluetooth(登録商標)などの規格による無線通信を行う機能を有し、アクセスポイント310を経由して、または直接に各装置と無線通信する。無線通信部420は、イベント通知を自傷行為検出装置200から受信する。
【0056】
表示部430および入力部440は、自傷行為検出装置200の表示部240および入力部250と同様に、たとえば、タッチパネルにより構成されている。表示部430および入力部440は、たとえば、スタッフ等に対象者500に関するイベント通知を表示する。そして、表示部430および入力部440は、イベント通知に関する対象者500への対応を促す入力画面を表示するとともに、当該入力画面に入力された、スタッフによるイベント通知への対応の意思を受け付ける。
【0057】
音声入出力部450は、例えばスピーカーとマイクであり、無線通信部420を介して他の携帯端末400との間でスタッフ相互間の音声通話を可能にする。また、音声入出力部450は、無線通信部420を介して検知部100との間で音声通話を可能にする機能を備え得る。
【0058】
[自傷行為検出システム10の処理]
次に、図7を用いて自傷行為検出システム10により実行される処理、即ち、本発明の自傷行為検出方法の一具体例について説明する。図7は、制御部210により実行される処理を示すフローチャートである。なお、図7に示す機能の一部または全部が検知部100により実行される場合は、本フローチャートは、プログラムに従い、検知部100の制御部110により実行されてもよい。
【0059】
制御部210は、まず、カメラ130によって撮像された画像(たとえば、画像600)に関する画像情報と、マイク140によって検知された音に関する音情報とを取得する(S101)。制御部210は、たとえば、画像情報および音情報をリアルタイムで取得する。
【0060】
次に、制御部210は、ステップS101で取得した画像情報に基づいて、各画像の人物情報を検出する(S102)。たとえば、制御部210は、画像600から人物矩形610を検出する。
【0061】
続いて、制御部210は、ステップS101で取得した音情報と、ステップS102で検出した人物情報とに基づいて、対象者(たとえば、対象者500)の自傷行為を検出する(S103)。
【0062】
次に、制御部210は、ステップS101で取得した画像情報および音情報の少なくとも一方から、ステップS103で検出した対象者の自傷行為時およびその前後に対応する部分を抽出する(S104)。制御部210は、ステップS101で取得した画像情報に代えて、ステップS102で検出した人物情報から、対象者の自傷行為時およびその前後に対応する部分を抽出してもよい。
【0063】
この後、制御部210はステップS104で抽出した部分を保存部に保存して(S105)処理を終了する。
【0064】
[自傷行為検出システム10の作用効果]
本実施形態に係る自傷行為検出システム10では、対象者の自傷行為が検出され、画像情報および音情報の少なくとも一方から、この自傷行為に対応する部分が抽出される。よって、スタッフ等は、対象者の自傷行為時の状況を容易に確認することが可能となる。以下、この作用効果について説明する。
【0065】
看介護施設では、要介護者の転倒等に伴って要介護者が怪我を負うことがある。たとえば、カメラにより撮像された画像から要介護者の転倒を検出する技術を用いると、スタッフ等は要介護者の転倒時の状況を画像で確認することが可能となる。痣等が確認された要介護者について、転倒時の画像が撮像されている場合には、スタッフ等は、この痣が要介護者の転倒に起因するものであることを確認することができる。
【0066】
一方、要介護者の転倒が検出されていないにも関わらず、要介護者に痣が確認される場合、スタッフ等は、要介護者が怪我等を負った状況を確認することが困難となる。たとえば、実際には要介護者が転倒して怪我を負ったものの、システムが要介護者の転倒を検出できなかった、要介護者の自傷行為により怪我を負った、あるいは、他の原因で怪我を負った等の様々な状況が考え得る。特に、認知症等を患っている要介護者では、自傷行為によって怪我を負う場合が比較的多いものの、スタッフ等は、要介護者の家族に確証をもって怪我の原因を説明できないため、スタッフ等による虐待が疑われるおそれもある。
【0067】
これに対し、自傷行為検出装置200および自傷行為検出システム10では、対象者の自傷行為が検出され、画像情報および音情報の少なくとも一方から、この自傷行為に対応する部分が抽出される。これにより、スタッフ等は、自傷行為時の画像および音の少なくとも一方を容易に確認することができるので、たとえば、対象者500に痣が確認されるとき、この痣が自傷行為に起因するものなのか、他の原因に起因するものかを判断しやすくなる。また、抽出された画像情報および音情報の少なくとも一方は保存部に保存されるので、エビデンスとして、要介護者の家族および医師等の第三者への説明あるいは、怪我の防止策の検討等の様々な場面で使用することができる。
【0068】
以下、上記実施形態で説明した制御部210の変形例を説明する。なお、以下では、説明の重複を避けるため、上記実施形態で説明した制御部210の各構成と同様の構成については詳細な説明を省略する。
【0069】
<変形例1>
図8は、変形例1に係る制御部210により実行される処理を示すフローチャートである。この制御部210は、取得された画像情報から人物情報に加えて物体情報を検出する(後述のステップS202)。物体情報は、画像に含まれる物体に関する情報である。この点において、変形例1に係る制御部210は、上記実施形態で説明した制御部210と異なる。
【0070】
この制御部210は、まず、上記実施形態で説明したステップS101と同様にして、画像情報および音情報を取得する(S201)。次いで、制御部210は、ステップS201で取得した画像情報に基づいて、人物情報および物体情報を検出する(S202)。
【0071】
図9を用いて、制御部210が検出する物体情報について説明する。図9は、カメラ130によって撮像された対象者500の居室の画像600の一例を表している。この画像600は、たとえば、居室に設けられたベッド700等の物体を含んでいる。物体情報は、たとえば、ベッド700の位置、ベッド700の大きさ、ベッド700の種類およびベッド700の形状等に関する情報を含む。ベッド700の位置は、たとえば、画像600における物体矩形620の座標を用いて表すことができる。
【0072】
物体矩形620は、画像600におけるベッド700を含む領域である。物体矩形620は、たとえば、ベッド700の大きさを反映する。物体矩形620は画像600におけるベッド700の形状を反映してもよい。情報検出部212は、たとえば、ディープラーニング等のニューラルネットワークを用いて物体矩形620を検出する。ニューラルネットワークによる物体矩形620の検出方法としては、例えば、Faster R-CNN、Fast R-CNN、およびR-CNNといった公知の方法が挙げられる。制御部210は、距離画像等を用いて、対象者500の居室の壁等に関する物体情報を検出してもよい。制御部210は、上記実施形態で説明したのと同様にして、人物情報を検出する。
【0073】
人物情報および物体情報を検出した後、制御部210は、ステップS201で取得した音情報と、ステップS202で検出した人物情報および物体情報とに基づいて、対象者500の自傷行為を検出する(S203)。
【0074】
制御部210は、たとえば、人物矩形610の所定の割合以上の部分が物体矩形620に重なっていている状態で、所定条件の音に関する音情報が取得されたとき、対象者500の自傷行為を検出する。制御部210は、人物矩形610と物体矩形620との距離が所定の値以下にある状態で、所定条件の音に関する音情報が取得されたとき、対象者500の自傷行為を検出してもよい。所定条件の音は、上記実施形態で説明したのと同様である。制御部210は、上記実施形態で説明したのと同様の方法で、対象者500の自傷行為を検出してもよい。
【0075】
この後、制御部210は、上記実施形態で説明したS104およびS105と同様の処理を行って(S204、S205)、処理を終了する。
【0076】
変形例1に係る制御部210を有する自傷行為検出システム10も、上記実施形態の自傷行為検出システム10と同様に、対象者の自傷行為が検出され、画像情報および音情報の少なくとも一方から、この自傷行為に対応する部分が抽出される。これにより、スタッフ等は、自傷行為時の画像および音の少なくとも一方を容易に確認することが可能となる。また、制御部210は、画像情報に基づいて、人物情報とともに物体情報を検出するので、物体を用いて自らを傷つける自傷行為が検出されやすくなる。これにより、自傷行為の検出範囲が広くなり、検出漏れの発生を抑えることが可能となる。
【0077】
<変形例2>
図10は、変形例2に係る制御部210を示す機能ブロック図である。この制御部210は、取得部211、情報検出部212、自傷検出部213、抽出部214および保存制御部215に加えて、第1受付部216として機能する。この制御部210は、第1受付部216の機能を有している点において、上記実施形態で説明した制御部210と異なる。
【0078】
第1受付部216は、たとえば、看介護施設内の物体の指定を受け付ける。たとえば、看介護施設のスタッフ等が入力部250を介して、ベッド(たとえば、図9のベッド700)等の看介護施設内の物体を指定する。これにより、第1受付部216は、看介護施設内の物体の指定を受け付ける。スタッフ等は、たとえば、対象者が自傷行為を行ったときに怪我を負いやすい物体を予め指定する。スタッフ等は、対象者の居室に存在する複数の物体を予め指定してもよい。
【0079】
図11は、この制御部210により実行される処理を示すフローチャートである。制御部210は、まず、看介護施設内の物体の指定を受け付ける(S301)。物体は、たとえば、入力部250を介して、スタッフ等により指定される。看介護施設内の物体に関する情報は、たとえば、記憶部230等に記憶されている。制御部210は、たとえば、対象者500の居室に設けられたベッドの指定を受け付ける。
【0080】
次に、制御部210は、上記実施形態で説明したステップS101と同様にして、画像情報および音情報を取得する(S302)。次いで、制御部210は、上記変形例1で説明したステップS202と同様にして、人物情報および物体情報を検出する(S303)。
【0081】
次に、制御部210は、ステップS302で取得した画像情報および音情報とともに、ステップS301で指定された物体に関する物体情報を用いて、対象者の自傷行為を検出する(S304)。制御部210は、たとえば、人物矩形の所定の割合以上の部分がベッドの物体矩形に重なっていている状態で、所定条件の音に関する音情報が取得されたとき、対象者の自傷行為を検出する。制御部210は、人物矩形とベッドの物体矩形との距離が所定の値以下にある状態で、所定条件の音に関する音情報が取得されたとき、対象者の自傷行為を検出してもよい。所定条件の音は、上記実施形態で説明したのと同様である。
【0082】
この後、制御部210は、上記変形例1で説明したS204およびS205と同様の処理を行って(S305およびS306)、処理を終了する。
【0083】
変形例2に係る制御部210を有する自傷行為検出システム10も、上記実施形態の自傷行為検出システム10と同様に、対象者の自傷行為が検出され、画像情報および音情報の少なくとも一方から、この自傷行為に対応する部分が抽出される。これにより、スタッフ等は、自傷行為時の画像および音の少なくとも一方を容易に確認することが可能となる。また、制御部210は、看介護施設内の物体の指定を受け付ける第1受付部216の機能を有しているので、スタッフ等により予め指定された物体を用いた自傷行為を高い精度で検出することが可能となる。たとえば、対象者毎または施設毎に、物体を指定することができるので、より状況に応じた対応が行いやすくなる。
【0084】
<変形例3>
図12は、変形例3に係る制御部210を示す機能ブロック図である。この制御部210は、取得部211、情報検出部212、自傷検出部213、抽出部214および保存制御部215に加えて、第1受付部216および第2受付部217として機能する。この制御部210は、第2受付部217の機能を有している点において、上記変形例2で説明した制御部210と異なる。
【0085】
第2受付部217は、対象者の自傷行為の検出レベルの設定を受け付ける。第2受付部217は、たとえば、カメラ130の撮像時間帯毎、または、マイク140の検知時間毎に、異なる検出レベルの設定を受け付け可能に構成されている。第2受付部218は、たとえば、低レベル、中レベルおよび高レベルの3つの検出レベルの設定を受け付け可能に構成されている。たとえば、看介護施設のスタッフ等が、入力部250を介して、検出レベルを設定する。これにより、第2受付部217は、検出レベルの設定を受け付ける。
【0086】
スタッフ等は、たとえば、撮像時間が夜22時~朝6時の検出レベルを高レベル、撮像時間が朝6時~朝8時および夜20時~朝22時までの検出レベルを中レベル、撮像時間が朝8時~夜20時までの検出レベルを低レベルに設定する。
【0087】
第2受付部217は、対象者のADL(Activities of Daily Living)および要介護度などの対象者に関する情報に応じて、異なる検出レベルの設定を受け付け可能に構成されていてもよい。第2受付部217は、看介護施設内のエリア毎に、異なる検出レベルの設定を受け付け可能に構成されていてもよい。第2受付部217は、2つの検出レベル、あるいは、4つ以上の検出レベルの設定を受け付け可能に構成されていてもよい。
【0088】
自傷検出部213は、第2受付部217により設定された検出レベルに基づいて、対象者の自傷行為を検出する。たとえば、高レベルおよび中レベルでは、物体を用いずになされる自傷行為および、看介護施設内の全ての物品を用いてなされる自傷行為を検出する。具体的には、上記実施形態および変形例1で説明したのと同様にして、対象者の自傷行為を検出する。高レベルでは、たとえば、中レベルの設定よりも閾値を低くして、人物矩形の動きおよび所定の音等を判断する。
【0089】
たとえば、低レベルでは、第1受付部216により指定された物品を用いてなされる自傷行為を検出する。具体的には、上記変形例2で説明したのと同様にして自傷行為を検出する。
【0090】
図13は、この制御部210により実行される処理を示すフローチャートである。この制御部210は、まず、対象者の自傷行為の検出レベルの設定を受け付ける(S401)。検出レベルの設定は、たとえば、入力部250を介して、スタッフ等により指定される。各検出レベルに関する情報は、たとえば、記憶部230等に記憶されている。
【0091】
この後、制御部210は、上記変形例2で説明したステップS301~S306と同様の処理を行って(S402~S407)、処理を終了する。
【0092】
変形例3に係る制御部210を有する自傷行為検出システム10も、上記実施形態の自傷行為検出システム10と同様に、対象者の自傷行為が検出され、画像情報および音情報の少なくとも一方から、この自傷行為に対応する部分が抽出される。これにより、スタッフ等は、自傷行為時の画像および音の少なくとも一方を容易に確認することが可能となる。また、制御部210は、対象者の自傷行為の検出レベルの設定を受け付ける第2受付部217の機能を有しているので、時間帯および対象者の状態などに起因する自傷行為の発生頻度等に応じて、自在に検出レベルを設定することが可能となる。これにより、たとえば、自傷行為の検出漏れおよび誤検出等の発生を抑えられることが可能となる。
【0093】
<その他の変形例>
上記実施形態では、自傷検出部213が、画像情報および音情報に基づいて、対象者の自傷行為を検出する例を説明したが、自傷検出部213は、画像情報と、体動センサー150によって検知された対象者の体動に関する情報を用いて、対象者の自傷行為を検出してもよい。
【0094】
また、検知部100は、マイク(マイク140)に代えて、あるいは、マイクとともに、他のセンサーを有していてもよい。たとえば、検知部100は、看介護施設内の気体を検知するセンサーを有していてもよい。このセンサーは、たとえば、気体の成分または各成分の濃度等を検知する。このとき、自傷検出部213は、たとえば、人物矩形の一部または全部が動いている状態で、所定の気体成分に対応する情報が取得されたとき、対象者の自傷行為を検出する。所定の気体成分は、たとえば、人体の血の匂い成分等である。検知部100は、上記音および体動以外の振動を検知するセンサーを有していてもよい。
【0095】
また、上記実施形態では、自傷検出部213が、画像情報および音情報の両方に基づいて、対象者の自傷行為を検出する例を説明したが、自傷検出部213は、画像情報および音情報の少なくとも一方を用いて、対象者の自傷行為を検出してもよい。検知部100は、カメラ130およびマイク140の少なくとも一方を含んでいればよい。
【0096】
このような検知部100を有する自傷行為検出システム10も、上記実施形態の自傷行為検出システム10と同様に、対象者の自傷行為が検出され、画像情報および音情報の少なくとも一方から、この自傷行為に対応する部分が抽出される。これにより、スタッフ等は、自傷行為時の画像および音の少なくとも一方を容易に確認することが可能となる。
【0097】
以上に説明した自傷行為検出システム10の構成は、上述の実施形態の特徴を説明するにあたって主要構成を説明したのであって、上述の構成に限られず、特許請求の範囲内において、種々改変することができる。また、一般的な自傷行為検出システムが備える構成を排除するものではない。
【0098】
たとえば、上記実施形態では、自傷行為検出システムが、検知部100、自傷行為検出装置200、および携帯端末400を含む例を説明したが、自傷行為検出システムは、携帯端末400を有していなくてもよい。自傷行為検出システムは、看介護施設の管理者等が使用する管理者端末を含んでいてもよい。
【0099】
また、検知部100、自傷行為検出装置200、および携帯端末400は、それぞれ複数の装置により構成されてもよく、いずれか複数の装置が単一の装置として構成されてもよい。
【0100】
また、上記変形例3では、制御部210が、第1受付部216および第2受付部217の両方の機能を有する例を説明したが、制御部210は、第1受付部216および第2受付部217のうち、第2受付部217の機能のみを有していてもよい。即ち、変形例3に係る制御部210は、取得部211、情報検出部212、自傷検出部213、抽出部214および保存制御部215および第2受付部217として機能してもよい。
【0101】
また、上述したフローチャートは、一部のステップを省略してもよく、他のステップが追加されてもよい。また各ステップの一部は同時に実行されてもよく、一つのステップが複数のステップに分割されて実行されてもよい。各ステップの順序は、一例であり、適宜変更されてもよい。
【0102】
また、上述した自傷行為検出システム10における各種処理を行う手段および方法は、専用のハードウェア回路、またはプログラムされたコンピューターのいずれによっても実現することが可能である。上記プログラムは、例えば、USBメモリやDVD(Digital Versatile Disc)-ROM等のコンピューター読み取り可能な記録媒体によって提供されてもよいし、インターネット等のネットワークを介してオンラインで提供されてもよい。この場合、コンピューター読み取り可能な記録媒体に記録されたプログラムは、通常、ハードディスク等の記憶部に転送され記憶される。また、上記プログラムは、単独のアプリケーションソフトとして提供されてもよいし、一機能としてその検出部等の装置のソフトウエアに組み込まれてもよい。
【符号の説明】
【0103】
10 自傷行為検出システム、
100 検知部、
110 制御部、
120 通信部、
130 カメラ、
140 マイク、
150 体動センサー、
200 自傷行為検出装置、
210 制御部、
211 取得部、
212 情報検出部、
213 自傷検出部、
214 抽出部、
215 保存制御部、
216 第1受付部、
217 第2受付部、
220 通信部、
230 記憶部、
240 表示部、
250 入力部、
300 通信ネットワーク、
310 アクセスポイント、
400 携帯端末、
500 対象者、
600 画像、
610 人物矩形、
620 物体矩形。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13