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特開2024-93181システム、プログラム及び映像表示方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024093181
(43)【公開日】2024-07-09
(54)【発明の名称】システム、プログラム及び映像表示方法
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/101 20230101AFI20240702BHJP
   G06Q 50/04 20120101ALI20240702BHJP
【FI】
G06Q10/101
G06Q50/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】18
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022209384
(22)【出願日】2022-12-27
(71)【出願人】
【識別番号】591057522
【氏名又は名称】旭化成ファインケム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松永 次男
(72)【発明者】
【氏名】中島 志朗
(72)【発明者】
【氏名】上ノ下 修一
(72)【発明者】
【氏名】中尾 真也
【テーマコード(参考)】
5L010
5L049
5L050
【Fターム(参考)】
5L010AA11
5L049AA11
5L049CC03
5L050CC03
(57)【要約】
【課題】生産対象の生産を依頼する依頼者に、生産対象の生産に必要な生産施設の現況及び/又は詳細な情報を提供する。
【解決手段】生産対象の生産プロセスの条件の指定を受け付ける受付部と、指定された生産プロセスの条件に応じて、条件に合致した生産設備を特定する特定部と、端末に、特定された生産設備を、生産プロセスを実行する工場及び/又は生産プロセスの条件と関連付けて表示させる表示部と、を備えるシステムを提供する。表示部は、生産設備を、端末に、生産プロセスを実行する工場を表す二次元又は三次元の仮想空間上で表示させる。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
生産対象の生産プロセスの条件の指定を受け付ける受付部と、
指定された前記生産プロセスの条件に応じて、前記条件に合致した生産設備を特定する特定部と、
端末に、特定された前記生産設備を、前記生産プロセスを実行する工場及び/又は前記生産プロセスの条件と関連付けて表示させる表示部と、
を備えるシステム。
【請求項2】
前記表示部は、前記生産設備を、前記端末に、前記生産プロセスを実行する工場を表す二次元又は三次元の仮想空間上で表示させる、
請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記生産プロセスの条件は、前記生産対象の数量、納期並びに前記生産プロセスに含まれる一又は複数の工程、及び、前記一又は複数の工程の反応条件の少なくともいずれかを含む、
請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記反応条件は、前記一又は複数の工程における反応温度、圧力、反応時間、反応雰囲気、pH、溶媒の種類、各工程で生成する中間生成物及び最終生成物並びにこれらの毒性、並びに、前記生産対象の製造管理及び/又は品質管理基準の少なくともいずれかを含む、
請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
前記特定部は、前記生産設備が前記生産プロセスを実行可能か否かを判定し、前記生産設備が前記生産プロセスを実行可能な場合に、前記生産プロセスを実行するために必要な期間、人員数及び経費の少なくともいずれかを算出する、
請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記表示部は、前記判定の結果、及び、前記生産プロセスを実行するために必要な期間、人員数及び経費の少なくともいずれかを、前記端末に表示させる、請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
前記特定部は、前記生産設備が、指定された前記生産プロセスの条件の一部を満たさない場合、前記満たさない一部の条件について、前記生産設備が実行可能な推奨条件を算出する、
請求項5に記載のシステム。
【請求項8】
前記表示部は、前記生産プロセスを実行可能な推奨条件を、前記端末に表示させる、
請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
前記受付部は、前記端末から、前記仮想空間上で表示された前記生産設備の映像を表示する要求を受け付け、
前記表示部は、前記要求に応じて、前記生産設備の映像を前記端末に表示させる、
請求項2に記載のシステム。
【請求項10】
前記生産設備の映像は、前記生産設備及び/又は前記生産プロセスを実行する工場の少なくとも一部の三次元構造を表す映像を含む、
請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
前記表示部は、前記仮想空間上に、前記生産プロセスを実行する工場及び前記工場における前記生産設備の配置を再現して表示する、
請求項9に記載のシステム。
【請求項12】
前記生産設備の映像は、前記生産設備の稼働時の動画を含む、
請求項9に記載のシステム。
【請求項13】
前記生産設備の映像は、前記端末から受け付けた前記生産設備の映像を表示する要求に応じて、前記生産プロセスを実行する工場に設置されたカメラが撮像した、前記生産設備のライブ映像を含む、
請求項9に記載のシステム。
【請求項14】
前記カメラは移動型装置に搭載され、
前記移動型装置は、前記要求に応じて、前記生産設備を撮像すべく前記工場を移動する、
請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
前記表示部は、前記生産設備の映像と共に、前記生産設備に関連する情報を前記端末に表示させる、
請求項9に記載のシステム。
【請求項16】
前記生産設備に関連する情報は、
前記生産設備の用途、寸法、材質、性能、工場内の設置位置、前記生産設備の使用予定、前記生産プロセスにおいて前記生産設備が実行する工程、前記生産設備の使用履歴、前記生産設備のメンテナンス履歴、前記生産設備を使用する人員に関する情報の少なくともいずれかを含む、
請求項15に記載のシステム。
【請求項17】
コンピュータにより実行され、前記コンピュータを、
請求項1から16のいずれか一項に記載のシステムとして機能させる、
プログラム。
【請求項18】
請求項1から16のいずれか一項に記載のシステムが、
生産対象の生産プロセスの条件の指定を受け付ける受付段階と、
指定された前記生産プロセスの条件に応じて、前記条件に合致した生産設備を特定する特定段階と、
端末に、特定された前記生産設備を、前記生産プロセスを実行する工場及び/又は前記生産プロセスの条件と関連付けて表示する表示段階と、
を実行する映像表示方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、システム、プログラム及び映像表示方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、「仮想的な展示会の各ブースを3次元表示させ、該3次元表示された仮想展示会内を来場者が任意に移動しながら前記各ブース内を閲覧可能なように3次元表示を制御する表示制御部と、前記各ブースに展示された展示物の閲覧指示の入力を受け付ける閲覧指示受付部と、前記閲覧指示受付部において所定の来場者の閲覧指示の入力が受け付けられた際、前記来場者の情報を取得して管理する来場者情報管理部とを備えた仮想展示会表示制御装置。」が記載されている(請求項1)。
特許文献2には、「ネットワーク上で工場見学を行う工場見学方法であって、(a)見学希望者から見学希望日時を含む見学希望内容を受け付けるステップ、(b)前記見学希望内容に基づいて前記見学希望者に許可する見学範囲を決定するステップ、そして(c)前記見学希望日時に前記見学範囲に相当する映像を前記見学希望者に配信するステップを含む、工場見学方法。」が記載されている(請求項1)。
特許文献3には、「撮像装置において撮像された設備の撮像画像を入力する撮像画像入力手段と、前記設備に設けられたセンサから前記センサが計測した計測情報を入力する計測情報入力手段と、前記計測情報入力手段で入力された前記計測情報に基づき、前記設備の外部又は内部の状況を表わす仮想画像を作成する作成手段と、表示装置から前記表示装置の位置を表す位置情報と前記表示装置の向きを表す向き情報とを取得し、前記位置情報及び前記向き情報とに基づいて、見学者の視界を推定し、推定した視界に整合するように座標合わせを行って、前記作成手段で作成された仮想画像と、前記撮像画像入力手段で入力された撮像画像と、を重畳して前記表示装置に表示する表示制御手段と、を有する情報処理装置。」が記載されている(請求項1)。
[先行技術文献]
[特許文献]
[特許文献1] 特開2022-67880号公報
[特許文献2] 特開2002-366695号公報
[特許文献3] 特開2012-104156号公報
【発明の概要】
【0003】
本発明の第1の態様においては、生産対象の生産プロセスの条件の指定を受け付ける受付部と、指定された生産プロセスの条件に応じて、条件に合致した生産設備を特定する特定部と、端末に、特定された生産設備を、生産プロセスを実行する工場及び/又は生産プロセスの条件と関連付けて表示させる表示部と、を備えるシステムを提供する。
【0004】
表示部は、生産設備を、端末に、生産プロセスを実行する工場を表す二次元又は三次元の仮想空間上で表示させてよい。
【0005】
生産プロセスの条件は、生産対象の数量、納期並びに生産プロセスに含まれる一又は複数の工程、及び、一又は複数の工程の反応条件の少なくともいずれかを含んでよい。
【0006】
反応条件は、一又は複数の工程における反応温度、圧力、反応時間、反応雰囲気、pH、溶媒の種類、各工程で生成する中間生成物及び最終生成物並びにこれらの毒性、並びに、生産対象の製造管理及び/又は品質管理基準の少なくともいずれかを含んでよい。
【0007】
特定部は、生産設備が生産プロセスを実行可能か否かを判定し、生産設備が生産プロセスを実行可能な場合に、生産プロセスを実行するために必要な期間、人員数及び経費の少なくともいずれかを算出してよい。
【0008】
表示部は、判定の結果、及び、生産プロセスを実行するために必要な期間、人員数及び経費の少なくともいずれかを、端末に表示させてよい。
【0009】
特定部は、生産設備が、指定された生産プロセスの条件の一部を満たさない場合、満たさない一部の条件について、生産設備が実行可能な推奨条件を算出してよい。
【0010】
表示部は、生産プロセスを実行可能な推奨条件を、端末に表示させてよい。
【0011】
受付部は、端末から、仮想空間上で表示された生産設備の映像を表示する要求を受け付け、表示部は、要求に応じて、生産設備の映像を端末に表示させてよい。
【0012】
生産設備の映像は、生産設備及び/又は生産プロセスを実行する工場の少なくとも一部の三次元構造を表す映像を含んでよい。
【0013】
表示部は、仮想空間上に、生産プロセスを実行する工場及び工場における生産設備の配置を再現して表示してよい。
【0014】
生産設備の映像は、生産設備の稼働時の動画を含んでよい。
【0015】
生産設備の映像は、端末から受け付けた生産設備の映像を表示する要求に応じて、生産プロセスを実行する工場に設置されたカメラが撮像した、生産設備のライブ映像を含んでよい。
【0016】
カメラは移動型装置に搭載され、移動型装置は、要求に応じて、生産設備を撮像すべく工場を移動してよい。
【0017】
表示部は、生産設備の映像と共に、生産設備に関連する情報を端末に表示させてよい。
【0018】
生産設備に関連する情報は、生産設備の用途、寸法、材質、性能、工場内の設置位置、生産設備の使用予定、生産プロセスにおいて生産設備が実行する工程、生産設備の使用履歴、生産設備のメンテナンス履歴、生産設備を使用する人員に関する情報の少なくともいずれかを含んでよい。
【0019】
本発明の第2の態様においては、コンピュータにより実行され、コンピュータを、上記のいずれかのシステムとして機能させるプログラムを提供する。
【0020】
本発明の第3の態様においては、上記のいずれかのシステムが、生産対象の生産プロセスの条件の指定を受け付ける受付段階と、指定された生産プロセスの条件に応じて、条件に合致した生産設備を特定する特定段階と、端末に、特定された生産設備を、生産プロセスを実行する工場及び/又は生産プロセスの条件と関連付けて表示する表示段階と、を実行する映像表示方法を提供する。
【0021】
なお、上記の発明の概要は、本発明の特徴の全てを列挙したものではない。また、これらの特徴群のサブコンビネーションもまた、発明となりうる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本実施形態に係るシステム10の構成を示す。
図2】本実施形態に係るシステム10による映像表示方法の処理フローを示す。
図3】実施形態に係る生産プロセスの条件の指定の受付画面600の一例を示す。
図4図2のS200のサブフローの一例を示す。
図5A】生産設備に関連する情報の具体例を示す。
図5B】生産プロセスの条件の具体例を示す。
図6】本実施形態に係る表示部140が表示させる表示画面700の一例を示す。
図7】本実施形態に係る生産設備の映像表示の一例を示す。
図8】本実施形態に係る生産設備の映像表示の一例を示す。
図9】本実施形態に係る生産設備の映像表示の一例を示す。
図10】本実施形態に係る生産設備の映像表示の変形例を示す。
図11A】本実施形態に係る生産設備の映像表示の変形例を示す。
図11B】本実施形態に係る生産設備の映像表示の変形例を示す。
図11C】本実施形態に係る生産設備の映像表示の変形例を示す。
図12】本発明の複数の態様が全体的または部分的に具現化されてよいコンピュータ2200の例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0024】
図1は、本実施形態に係るシステム10の構成を示す。システム10は、生産対象の生産プロセスの条件に合致した生産設備を特定して、当該生産設備の外観、構造等の映像を端末200に表示させる。自社で生産できない生産対象を、他者に生産委託等により生産を依頼する場合がある。依頼者が、他者の生産設備の情報を取得する機会は少なく、生産設備の現況及び/又は詳細な情報を十分に把握しないまま、生産を依頼する問題があった。このため、生産施設の現況及び/又は詳細な情報を依頼者に提供する技術が求められている。
【0025】
本実施形態のシステム10において、生産対象は、生産プロセスを実行することにより生産される物品である。生産対象は、薬理活性及び/又は毒性を有する化学物質を含む物品であってよく、薬品、医薬品又は医薬品の原薬であってよい。また、生産対象は、法令等で定める製造管理基準及び/又は品質管理基準に基づく製造及び管理を要する物品であってよい。生産対象は、例えば、薬理活性の高い医薬品の原薬であってよい。
【0026】
生産プロセスとは、生産対象を生産する際に実行する工程であり、生産対象の一部又は完成品を製造する工程、及び/又は、完成品に至る途中の物(部品または中間体等)を製造する工程であってよい。例えば、生産プロセスとは、生産対象の完成品、最終化合物、原料、部品、中間体等を生産するために実行する工程であってよい。また、例えば、生産プロセスとは、製品には直接含まれないが、製品の製造に必要な物(例えば、触媒、溶媒、冷媒及び/又は包装材等)を生産する工程であってよい。生産プロセスは、工場等で大規模に製品を生産する工程のみならず、実験室等で小規模に製品を生産又は試作する工程を含んでよい。
【0027】
生産プロセスは、生産対象の原料、中間体及び/又は最終化合物を合成する反応工程、これらを分離・精製する分離・精製工程を含んでよい。また、生産プロセスは、生産対象の材料、中間体又は最終化合物の計量工程、乾燥工程、粉砕工程、造粒工程等の工程を含んでよい。
【0028】
生産設備は、上述の生産プロセスを実行するために用いられる設備である。生産設備は、生産対象の原料、中間体及び/又は最終化合物を合成、分離、精製、処理又は分析を実行する反応機、蒸留機、晶析機、ろ過機、遠心分離機、乾燥機、粉砕機、及び/又は、生産対象の原料、中間体及び/又は最終化合物の分析を行う液体クロマトグラフィー、ガスクロマトグラフィー等の分析機等を含んでよい。生産設備は、生産対象の原料、中間体及び/又は最終化合物が薬理活性及び/又は毒性が高い場合に、当該生産対象の環境中への放出、及び/又は、作業者への暴露を防ぐための封じ込めを行う封じ込め設備、生産対象の原料、中間体及び/又は最終化合物の計量を行う計量機及び/又は保存管理をする冷蔵・冷凍設備を含んでもよい。また、生産設備は、フラスコ等の実験器具や、スターラー等の実験装置を含んでもよい。
【0029】
システム10は、表示装置100及び端末200を備える。システム10が、後述する工場400に設置されたカメラで撮像した生産設備のライブ映像を表示させる場合には、システム10は、工場400に設置されたカメラ500を備えてもよい。
【0030】
表示装置100は、生産対象の生産プロセスの条件の指定を受け付け、指定された生産プロセスの条件に応じて、条件に合致した生産設備を特定する。表示装置100は、端末200に、特定された生産設備を、生産プロセスを実行する工場400及び/又は生産プロセスの条件と関連付けて表示させる。表示装置100は、受付部110、特定部120、記憶部130、表示部140及び通信部150を備える。
【0031】
受付部110は、表示装置100のユーザ、端末200のユーザから様々な入力を受け付ける。例えば、受付部110は、生産対象の生産プロセスの条件の指定を受け付けてよい。また、受付部110は、端末200から、生産設備の映像を表示する要求を受け付けてよい。
【0032】
ここで、生産プロセスの条件は、生産プロセスにより生産される生産対象に関する条件、及び、生産プロセスにより生産対象を生産するために満たすべき条件を含む。生産プロセスの条件に関する詳細は後述する。受付部110は、生産プロセスの条件の指定の少なくとも一部を端末200から受け付けてよい。受付部110は、受け付けた生産プロセスの条件の指定を予め定められた処理部(例えば、特定部120等)に提供する。
【0033】
特定部120は、受付部110が指定を受け付けた生産プロセスの条件に応じて、条件に合致した生産設備を特定する。特定部120は、予め取得した生産設備に関する情報と、生産プロセスの条件の指定に基づいて、指定された条件を満たす生産設備を特定してよい。特定部120における生産設備を特定する具体的手順については後述する。特定部120は、特定した生産設備に関する情報を、表示部140に提供する。
【0034】
記憶部130は、受付部110が受け付けた情報、特定部120が処理後の情報等を格納する。記憶部130は、予めシステム10が取得した生産設備の映像及び/又は生産プロセスを実行する工場400を表す二次元又は三次元の仮想空間を構成するデータを格納してよい。記憶部130は、メモリ又はハードディスク等の記憶装置であってよい。記憶部130は、特定部120、表示部140からの呼び出しを受け、格納されたデータを随時提供してよい。
【0035】
表示部140は、端末200に、特定部120によって特定された生産設備を、生産プロセスを実行する工場400及び/又は生産プロセスの条件と関連付けて表示させてよい。表示部140は、端末200に、生産プロセスを実行可能な推奨条件を表示させてもよい。また、表示部140は、生産設備の映像と共に、生産設備に関連する情報を端末200に表示させてよい。表示部140は、特定された生産設備の映像と、工場400に関する情報、生産プロセスの情報及び/又は生産設備に関連する情報とを、端末200に送信し、端末200の画面210に、これらの情報を関連付けて表示させてよい。表示部140が表示させる生産設備等の情報については後述する。
【0036】
通信部150は、表示装置100と端末200との間、及び/又は、表示装置100とカメラ500との間の通信を可能にする。通信部150は、ネットワーク300を介して、表示装置100と端末200との間、及び/又は、表示装置100とカメラ500との間で、データの送受信を可能にしてよい。
【0037】
端末200は、表示装置100の表示部140から送信された情報に基づき、画面210に、生産設備と、生産プロセスを実行する工場400、生産プロセスの条件及び/又は生産設備に関連する情報とを、関連付けて表示する。端末200は、生産プロセスを実行可能な推奨条件を表示してよい。また、端末200は、生産設備の映像と共に、生産設備に関連する情報を表示してよい。端末200は、生産設備及び表示装置100の保有者又は管理者に生産対象の生産を依頼する依頼者の端末であってよい。依頼者は、生産対象の生産プロセスの一部又は全部の実行を、生産設備及び表示装置100の保有者又は管理者に委託する委託者であってもよい。特に断らない限り、端末200は依頼者の端末であるものとする。
【0038】
また、本実施形態では、コンピュータにより実行され、コンピュータを、上述したシステムとして機能させるプログラムを提供する。プログラムは、表示装置100の記憶部130に格納されてよい。
【0039】
表示装置100及び端末200は、PC(パーソナルコンピュータ)、タブレット型コンピュータ、スマートフォン、ワークステーション、サーバコンピュータ、または汎用コンピュータ等のコンピュータであってよく、複数のコンピュータが接続されたコンピュータシステムであってもよい。これに代えて、表示装置100及び端末200は、それぞれの用途に応じて設計された専用コンピュータであってもよく、専用回路によって実現された専用ハードウェアであってもよい。表示装置100は、1台の装置(コンピュータ)により実装されてよく、又は、役割分担がされた複数台の装置により実現されてもよい。表示装置100において、以下では特に説明しないが、メモリ/ハードディスク等が備えられ、処理に必要な情報は適宜記憶され、受付部110、特定部120、表示部140等の各処理モジュール間で情報が伝達される。
【0040】
このように、システム10によれば、表示装置100が、生産対象の生産プロセスの条件に合致した生産設備を特定し、この生産設備の映像及びこれに関連する情報を端末200に表示させることで、端末200のユーザが、生産対象の生産を依頼する前に、生産設備の現況及び/又は詳細な情報を十分に把握することができる。これにより、生産プロセスの透明性を高め、依頼者と生産プロセスを実行する者との間の信頼関係の構築に貢献できる。
【0041】
図2は、本実施形態に係るシステム10による映像表示方法のフローを示す。システム10は、例えば、S100~S300の各処理を実行することにより、生産対象の生産プロセスの条件の指定を受け付ける受付段階と、指定された生産プロセスの条件に応じて、条件に合致した生産設備を特定する特定段階と、端末に、特定された生産設備を、生産プロセスを実行する工場及び/又は生産プロセスの条件と関連付けて表示する表示段階と、を実行する。
【0042】
まず、S100において、受付部110は、生産対象の生産プロセスの条件の指定を受け付ける。受付部110は、生産対象の生産を依頼する依頼者が端末200に入力した生産プロセスの条件の指定に関する情報を受け付けてよい。
【0043】
生産プロセスの条件は、生産対象の数量、納期並びに生産プロセスに含まれる一又は複数の工程、及び、一又は複数の工程の反応条件の少なくともいずれかを含んでよい。
【0044】
生産対象の数量は、生産対象の生産を依頼する依頼者が、生産設備を利用して生産を依頼する当該生産対象の予定数量であってよい。生産対象の数量は、生産対象が固形物(錠剤、カプセル剤等)の場合は、生産対象の個数で計上した数量であってよい。生産対象が粉末状又は液体状の場合は、生産対象の重量又は体積で計上した数量であってよい。
【0045】
生産対象の納期は、依頼者が、当該生産対象の納品を受ける希望納期であってよい。
【0046】
生産プロセスに含まれる一又は複数の工程の指定は、生産対象を生産するために実行される工程の少なくとも一部の指定を含む。工程の指定は、例えば、工程の数及び/又は種類(例えば、反応工程、分離・精製工程、計量工程、乾燥工程、粉砕工程、造粒工程等の種類、及び/又は、水添反応、グリニヤール反応、超低温反応等の反応の種類)の指定を含んでよい。
【0047】
生産プロセスの条件の指定には、生産プロセスに含まれる工程の条件の指定を含んでよい。工程の条件は、工程における生産量(処理量)及び処理条件(例えば、温度、圧力、pHなど)の少なくともいずれかを含んでよい。生産プロセスが複数の工程を含む場合は、それぞれの工程ごとに指定した条件を含んでよい。例えば、工程ごとの処理条件を含んでよい。工程が反応工程である場合には、当該反応における反応条件を含んでよい。
【0048】
上述の反応条件は、反応工程における反応温度、圧力、反応時間、反応雰囲気、pH、溶媒の種類、各工程で生成する中間生成物及び最終生成物並びにこれらの毒性、並びに、生産対象の製造管理及び/又は品質管理基準の少なくともいずれかを含んでよい。
【0049】
上記の製造管理及び品質管理基準の指定には、法令等で当該生産対象に求められる生産設備及び/又は製造工程の要件の指定を含んでよい。例えば、生産対象に、許容暴露限界(OEL)及び/又は許容暴露管理区分が定められている場合には、生産対象の封じ込めに関する条件を含んでよい。
【0050】
図3は、本実施形態に係る生産プロセスの条件の指定の受付画面600の一例を示す。例えば、受付部110は、図3に示すような受付画面600を端末200に表示させ、当該受付画面600を介して条件の指定を受け付けてよい。
【0051】
図3に示す受付画面600の例では、上述した生産プロセスの条件を受け付ける欄として、工程の数の指定を受け付ける工程数欄602、生産対象の数量を指定する予定数量欄604、生産対象の納期を指定する希望納期欄606、生産プロセスに含まれる各工程の種類指定欄608、条件指定欄610及びその他必要な事項を入力する備考欄612が設けられている。
【0052】
図3に示した例では、工程数欄602に2工程の指定、予定数量欄604に生産対象を10kgとする指定、希望納期欄606に、希望納期を2023年2月20日とする指定がそれぞれ入力されている。また、種類指定欄608に、工程1がXX反応工程(「XX反応」は例えば「水添反応」、「グリニヤール反応」などの反応の種類を表す。)である指定が入力され、工程2が晶析工程である指定が入力されている。条件指定欄610には、工程1の条件として、XX反応が反応温度60℃及びpH6の条件下で行われること、工程2の条件として、温度10℃及びpH9.5で晶析が行われることの指定が入力されている。また、備考欄612に、最終生成物の製造管理及び/又は品質管理基準に関して、生産プロセスの最終生産物の許容暴露限界(OEL)の条件の指定が入力されている。
【0053】
この例では、種類指定欄608及び条件指定欄610を2個ずつ表示しているが、これらの欄の数は、生産プロセスに含まれる工程数に応じて増減してよい。例えば工程数欄602で指定された工程数に応じて自動的に増減するようにしてよいし、追加ボタン614で追加し、削除ボタン616で削除できてよい。また、条件指定欄610は、工程ごとに一つの欄を設けてよく、工程ごとに温度、圧力等の条件の種別ごとに条件を指定する複数の欄を設けてもよい。
【0054】
受付画面600において、条件の指定は、各欄にテキストで入力してよく、リストから選択して入力してもよい。上述の各欄に入力した生産プロセスの条件の指定は、登録ボタン618により受付部110に送信されるようにしてよい。
【0055】
次に、S200において、特定部120は、S100で指定が受け付けられた生産プロセスの条件に応じて、条件に合致した生産設備を特定する。
【0056】
図4は、図2のS200のサブフローの一例を示す。特定部120は、図4のS210からS270のフローを実行することにより、生産プロセスの条件に合致した生産設備を特定してよい。
【0057】
まず、S210において、特定部120は、生産設備が生産プロセスを実行可能か否かを判定する。生産プロセスが複数の工程を含む場合は、それぞれの工程について、生産設備が工程を実行可能かどうかを判定してよい。
【0058】
S210において、特定部120は、S100で受け付けた生産プロセスの条件の指定と、生産設備の用途、生産量(処理量)及び性能(例えば、生産量、処理量、耐熱性能、耐薬品性能)の少なくともいずれかに関する情報とに基づいて、生産設備が生産プロセスを実行可能か否かを判定してよい。
【0059】
S210で判定に用いられる生産プロセスの条件の指定は、生産対象の数量、生産プロセスに含まれる一又は複数の工程の種類(例えば、反応工程、分離・精製工程、計量工程、乾燥工程、粉砕工程、造粒工程等の種類の指定、及び/又は、水添反応、グリニヤール反応、超低温反応等の反応の種類)の指定、及び、各工程の処理条件(温度、圧力、pHなど)の指定を含んでよい。生産プロセスに反応工程が含まれる場合には、各工程の処理条件には、反応工程の反応条件(例えば、反応機の耐圧性能、耐熱性能)が含まれてよい。
【0060】
S210では、特定部120は、生産設備の用途が、生産プロセスに含まれる各工程の種類に合致しているかどうか、生産設備の生産量(処理量)が、生産対象の数量を生産又は処理可能か、及び、生産設備の性能が、各工程の処理条件に合致しているかどうかの少なくともいずれかを判定することで、生産設備が当該工程を実行可能か否かを判定してよい。
【0061】
特定部120は、生産プロセスが1つの工程からなる場合、生産設備が、生産プロセスに含まれる工程を実行可能と判定したとき、当該生産プロセスが実行可能と判断する。生産プロセスが複数の工程を含む場合、特定部120は、複数の工程の全てについて、生産設備により実行可能と判定したとき、生産プロセスが実行可能と判定してよい。
【0062】
S210では、生産プロセスが反応工程を含む場合は、生産設備が反応工程の反応条件を実行可能かどうかを判定する。このとき、特定部120は、生産設備(例えば、反応機)が、指定された反応条件で反応を実行可能かどうかを判定してよい。例えば、反応機の耐圧能力、耐熱能力、反応機の材質等が、上記反応条件に適合するかどうかを判定してよい。また、生産プロセスの条件に含まれる生産対象の数量を、生産設備で生産可能かどうかを判定してよい。
【0063】
ここで、S210で生産設備が生産プロセスを実行可能かどうかを判定する手順を、具体例を用いて説明する。
【0064】
図5Aは、生産設備に関連する情報の具体例を示す。図5Aでは、工場400に備えられた生産設備の一覧と、各生産設備の、用途、生産量(処理量)、性能(耐熱性能、耐薬品性能、耐圧性能)、サイズ、生産設備の使用予定(各生産設備の空きスケジュールを記載)を表している。
【0065】
この例では、工場400は、生産設備として、反応装置A、反応装置B及び晶析装置Cを保有している。反応装置Aは、用途として、XX反応とYY反応を含み、0~100℃の耐熱性能、pH4~10の耐薬品性能及び1.0MPaの耐圧性能を有し、サイズ(容量)が200Lである。反応装置Aは、1日当たり500gまで生産可能で、2022年12月1日~12月31日が空きスケジュールとなっている。反応装置Bは、用途としてXX反応とZZ反応を含み、0~150℃の耐熱性能、pH3~12の耐薬品性能及び1.0KPaの耐圧性能を有し、サイズ(容量)が100Lである。反応装置Bは、1日当たり10mg~200gの生産が可能で、2022年11月10日~11月15日と、2023年1月15日~3月20日が空きスケジュールとなっている。晶析装置Cは、用途に晶析を含み、0~100℃の耐熱性能、pH2~13の耐薬品性能及び1.0MPaの耐圧性能を有し、サイズ(容量)が100Lである。晶析装置Cは、1日当たり1kgまで処理可能で、2023年1月15日~2023年3月20日が空きスケジュールとなっている。
【0066】
図5Bは、生産プロセスの条件の具体例を示す。図5Bには、生産対象がその生産プロセスにXX反応と晶析の工程を含むこと、生産対象の予定数量が10kg、希望納期が2023年2月20日であることが表されている。ここで、XX反応について、温度条件(反応温度)が60℃、pHが6、圧力100kPaの条件が指定され、晶析について、温度条件(晶析時の冷却温度)が10℃、pH9.5、常圧の条件が指定されている。
【0067】
まず、特定部120は、XX反応及び晶析を実行可能な生産設備があるかどうかを判定する。図5Bで示されるXX反応の条件(処理の種類、温度、pH、圧力)に適合する反応装置は、図5Aの反応装置A及び反応装置B(反応装置A及び反応装置Bは、XX反応を用途に含む。)である。このとき、特定部120は、XX反応を実行可能な生産設備として、反応装置A及び反応装置Bがあると判定してよい。また、図5Bの晶析の条件に対し、図5Aの晶析装置C(晶析を用途に含む。)が適合する。このとき、特定部120は、図5Bの晶析を実行可能な生産設備として、晶析装置Cがあると判定してよい。
【0068】
したがって、この例では、特定部120は、生産プロセスが、反応装置A又は反応装置Bと、晶析装置Cとを用いることで、実行可能と判定してよい。
【0069】
S210で、生産設備が生産プロセスを実行可能と判定された場合、S220に進む。生産プロセスが、複数の工程を含む場合は、複数の工程の全ての工程について実行可能と判定された場合に、S220に進むものとしてよい。S210で、生産設備が生産プロセスの全部又は一部を実行可能でない(例えば、生産プロセスに含まれる複数の工程の一部が実行可能でない)と判定された場合は、S260に進む。
【0070】
次に、S220で、特定部120は、生産プロセスを実行するために必要な期間及び人員数の少なくともいずれかを算出する。特定部120は、生産プロセスの条件に含まれる生産対象の数量と、生産設備の性能(例えば反応機のバッチ当たりの容量、処理能力等)、及び/又は、生産設備の運転に必要な人員数に基づき、生産プロセスの実行に必要な期間及び人員数を積算してよい。
【0071】
S220で生産プロセスを実行するために必要な期間及び人員数を算出する手順を、上述の図5A及び図5Bに示した具体例に基づいて説明する。
【0072】
まず、特定部120は、反応装置A及び反応装置BがXX反応を実行して予定数量を生産するために必要な期間と、晶析装置Cが晶析を実行して予定数量を処理するために必要な期間を算出する。反応装置Aの最大生産量は、500g/日であるから、予定数量10kgを生産するために必要な期間は最短で20日と算出される。反応装置Bは、生産量が10mg~200g/日であるから、予定数量10kgを生産するために必要な期間は、最短で50日と算出される。晶析装置Cは、最大処理量が、1kg/日であるから、予定数量の10kgを処理するために必要な期間は最短で10日と算出される。また、特定部120は、生産設備の運転履歴に基づいて、生産設備が通常の運転で各工程を実行したときに予定数量を生産するために必要な期間を算出してよい。
【0073】
特定部120は、次に、反応装置A及び反応装置BがXX反応を実行して予定数量を生産するために必要な人員数と、晶析装置Cが晶析を実行して予定数量を処理するために必要な人員数を算出する。人員数は、各生産設備で生産プロセスを実行する人員の数と、それぞれの人員の全業務における当該生産設備の運転に係る業務の割合を乗じて人員数としてよい。例えば、反応装置Aを用いてXX反応を実行する業務に甲、乙、丙の3名が携わる場合に、甲、乙、丙の全業務における当該業務の割合がそれぞれ0.5、乙が0.7、丙が0.8のときは、人員数を2と算出してよい。
【0074】
次に、S230で、特定部120は、生産対象を納品可能な予定納期を算出する。特定部120は、S220で算出した生産プロセスの実行に必要な期間と、各生産設備の使用予定に基づき、予定納期を算出してよい。
【0075】
図5A及び図5Bに示した具体例に基づき、予定納期の算出の手順を説明する。S220の説明で述べたとおり、具体例で述べた各生産設備が、生産対象の予定数量を生産又は処理するために必要な期間(最短)は、反応装置Aが20日、反応装置Bが50日、晶析装置Cが10日と算出される。
【0076】
各生産設備の空きスケジュールは、反応装置Aが2022年12月1日~12月31日、反応装置Bが2022年11月10日~11月15日と、2023年1月15日~3月20日、晶析装置Cが2022年1月15日~2023年3月20日となっている。
【0077】
このとき、XX反応を反応装置Aで実行し、晶析を晶析装置Cで実行する場合は、反応装置AによるXX反応を、2022年12月1日~12月31日の期間のうち20日行うとともに、晶析装置Cによる晶析を、2023年1月15日~1月24日の10日行うことで、予定数量の生産対象を生産可能と算出できる。したがって、図5A及び図5Bで示した具体例について、生産プロセスを反応装置Aと晶析装置Cで実行する場合は、予定納期は最短で2023年1月24日と算出してよい。なお、生産対象の納品までに、搬送などに更に期間を要する場合には、その期間を加えて予定納期を算出してよい。
【0078】
一方、XX反応を反応装置Bで実行する場合、2022年11月10日~11月15日と、2023年1月15日~3月20日予定数量の生産対象を生産可能な期日が2023年2月27日となる。生産プロセスを反応装置Bと晶析装置Cで実行する場合は、予定納期は、各日に反応装置Bで生産した生産対象を、順次晶析装置Cで処理するとしても、2023年2月27日以降となる。
【0079】
次に、S240で、特定部120は、S230で算出した予定納期が、生産プロセスの条件に含まれる納期を満たすかどうかを判定する。S230で算出した予定納期が、当該納期を満たすと判定した場合、S250に進む。S230で算出した予定納期が、生産プロセスの条件に含まれる納期を満たさないと判定した場合は、S260に進む。
【0080】
図5A及び図5Bに示した具体例では、S230の説明で述べたように、生産プロセスを反応装置Aと晶析装置Cで実行する場合は、予定納期は最短で2023年1月24日と算出され、生産プロセスを反応装置Bと晶析装置Cで実行する場合は、予定納期は、2023年2月27日以降と算出される。図5A及び図5Bで示した例では、希望納期が2023年2月20日に指定されている。したがって、特定部120は、生産プロセスを反応装置Aと晶析装置Cで実行する場合は、予定納期が生産プロセスの条件に含まれる納期を満たすと判定してよい。また、特定部120は、生産プロセスを反応装置Bと晶析装置Cで実行する場合は、予定納期が生産プロセスの条件に含まれる納期を満たさないと判定してよい。
【0081】
次に、S250で、特定部120は、生産設備が、生産プロセスを実行するために必要な経費を算出する。特定部120は、S220で算出した人員数、期間、及び、当該期間内に生産設備の運転に必要な光熱水費等に基づき、生産プロセスを実行するために必要な経費を算出してよい。経費は、概算で算出した経費であってよい。
【0082】
必要な経費は、依頼者と生産設備を保有する者との間の契約で定めた算出方法に基づいて算出してよい。例えば、生産プロセスの実行に必要な生産設備の減価償却費、光熱水費及び人件費を、積算して算出してよい。
【0083】
ここで、図5A及び図5Bに示した具体例において、反応装置A及び晶析装置Cを用いて生産プロセスを実行する場合の経費の算出について例示する。ここで、反応装置A及び晶析装置Cについて、各工程を実行するために必要な人員数、並びに、1日当たりの減価償却費、1日当たりの光熱水費、及び、1日当たりの人件費の単価を下表のとおり設定する。
【表1】
【0084】
このとき、反応装置Aを20日、晶析装置Cを10日使用して、生産対象を生産するため必要な経費は、表1に示した単価を積算して、668,000円と算出される。
【0085】
ここで、上述のS210において生産設備が生産プロセスの全部又は一部を実行可能でないと判定された場合、又は、S240で、予定納期が、生産プロセスの条件に含まれる納期を満たさないと判定した場合に実行するS260について説明する。
【0086】
特定部120は、S260において、S210又はS240で指定の条件を満たさないと判定された生産プロセスの一又は複数の条件に替え、生産設備が実行可能な推奨条件を算出してよい。
【0087】
例えば、S210において、生産設備が、指定された期間内に指定された数量の生産対象を生産できないと判定された場合に、特定部120は、S260において、生産設備が当該期間内で生産可能な生産対象の最大数量を算出し、推奨条件としてよい。
【0088】
例えば、図5A及び図5Bに示した例では、反応装置Bと晶析装置Cを用いて生産対象を生産する場合、指定された希望納期である2023年2月20日までに指定された予定数量を全て生産することはできないものの、反応装置BによるXX反応で2022年11月10日~11月15日と2023年1月15日~2月20日までの期間(43日)、最大生産量の200g/日で生産を行い、順次晶析装置Cで処理すれば、最大数量として8.6kgの生産対象が生産可能となる。このとき、特定部120は、推奨条件として、8.6kgの生産数量を算出してよい。
【0089】
また、S240で、予定納期が、指定された納期を満たさないと判定された場合に、特定部120は、S260において、生産設備が生産プロセスの条件の指定に含まれる数量を生産可能な最短の納期を算出して推奨条件としてよい。例えば、S230で算出した予定納期(指定された納期を満たさない。)が最短の納期である場合は、当該予定納期を推奨条件としてもよい。
【0090】
図5A及び図5Bに示した例では、反応装置Bと晶析装置Cを用いて生産対象を生産する場合、指定された希望納期である2023年2月20日までに指定された予定数量を全て生産することはできないものの、反応装置Bを最大生産量(200g/日)の生産をするよう運転した場合、予定納期を最短で2023年2月27日にできる。このとき、特定部120は、推奨条件として、2023年2月27日の予定納期を算出してよい。
【0091】
なお、上述のS210において生産設備が生産プロセスの全部又は一部を実行可能でないと判定された場合、又は、S240で、予定納期が、生産プロセスの条件に含まれる納期を満たさないと判定した場合に、特定部120は、S260に進むことに替え、生産設備が生産プロセスを実行できないと判定してもよい。
【0092】
次に、S270において、表示部140は、端末200に、S210で特定された生産設備を、生産プロセスを実行する工場及び/又は生産プロセスの条件と関連付けて表示させる。このとき、表示部140は、生産設備の映像と共に、生産設備に関連する情報を端末200に表示させてよい。
【0093】
具体的には、表示部140は、S210における判定の結果を端末200に表示させてよい。表示部140は、例えば、生産プロセスを実行可能と判定された生産設備の種類、名称及び/又は型番を、S210の判定の結果として端末200に表示させてよい。表示部140は、端末200の画面210上に表示された生産設備について映像の表示を要求したときに、当該生産設備の映像を画面210に表示させるようにしてよい。
【0094】
このとき、表示部140は、生産プロセスを実行するために必要な期間、人員数及び経費の少なくともいずれかを、端末200に表示させてよい。例えば表示部140は、S230で算出した予定納期及び/又はS250で算出した経費を端末200に表示させてよい。
【0095】
表示部140は、端末200に、生産設備を、生産プロセスを実行する工場400を表す二次元又は三次元の仮想空間上で表示させてよい。また、表示部140は、端末200から、仮想空間上で表示された生産設備の映像を表示する要求を受け付け、この要求に応じて、生産設備の映像を端末200に表示させるようにしてよい。生産設備の映像の表示の要求は、依頼者が端末200において、例えば、画面210上の表示されたボタンを押下するなどにより行われてよい。受付部110は、当該要求を受け付け、表示部140に提供してよい。
【0096】
S270において、生産設備に関連する情報は、生産設備の寸法、材質、性能、工場400内の当該生産設備の設置位置、生産設備の使用予定、生産プロセスにおいて生産設備が実行する工程、生産設備の使用履歴、生産設備のメンテナンス履歴、生産設備を使用する人員に関する情報の少なくともいずれかを含んでよい。生産設備の使用履歴には、生産設備の導入時期、及び/又は、当該生産設備が過去に実行した生産プロセスの反応の種類に関する情報を含んでよい。生産設備を使用する人員に関する情報には、当該生産設備を使用して生産プロセスを実行する人員の経歴、写真、実務経験に関する情報を含んでもよい。
【0097】
上述のS210及びS240において、特定部110が、生産設備が、指定された生産プロセスの条件の一部を満たさないと判定し、当該一部の条件について、S260で生産設備が実行可能な推奨条件を算出した場合、表示部140は、当該推奨条件を、端末200に表示させてよい。推奨情報を、生産設備が生産プロセスの条件に合致しないと判定された場合でも、表示画面200に表示させることで、依頼者が、生産対象の生産プロセスの条件を再検討する機会を提供することができる。
【0098】
なお、特定部120が、生産設備が生産プロセスを実行できないと判定した場合には、表示部140は、端末200に、工場400の生産設備では当該生産プロセスを実行できない旨の判定結果を表示させてよい。
【0099】
図6は、本実施形態に係る表示部140が端末200に表示させる表示画面700の一例を示す。例えば、表示部140は、端末200の画面210に、図6に示すような表示画面700を表示させてよい。図6に示す例では、表示部140は、表示画面700において、生産設備情報702、必要経費情報704、予定納期情報706、備考情報708を表示する。
【0100】
生産設備情報702は、S210で特定部120が特定した生産設備に関する情報を含んでよい。例えば、生産設備情報702は、S210で特定された生産設備の種類、名称及び/又は型番を表示してよい。生産設備情報702は、当該生産設備の処理性能に関する情報を含んでよい。生産設備情報702を表示する欄には、生産設備の映像の表示を要求する映像表示ボタン710を併せて表示してよい。受付部110は、依頼者が表示画面700上の映像表示ボタン710から、生産設備の映像を表示する要求を受け付け、表示部140は、要求に応じて、端末200の画面210に、生産設備の映像を表示させてよい、生産設備の映像表示方法の詳細については後述する。なお、S210で特定した生産設備が複数ある場合は、生産設備情報702は、特定されたそれぞれの生産設備ごとに上述した情報を表示してよい。
【0101】
必要経費情報704は、上述のS250で算出された、生産設備が生産プロセスを実行するために必要な経費に関する情報を含んでよい。
【0102】
予定納期情報706は、上述のS230で算出された、生産対象を納品可能な予定納期に関する情報を含んでよい。
【0103】
備考情報708は、上述した生産設備に関連する情報の少なくともいずれかを含んでよい。また、その他に依頼者への伝達が必要な補足的な情報を含んでもよい。また、備考情報708は、上述の推奨条件に関する情報を含んでよい。このとき、推奨条件をそのまま表示してもよく、入力された条件と推奨条件との差分を表示してもよい。備考情報708は、例えば、S260で算出した推奨条件を、「生産数量があと10kg少なければ対応可能です。」、「納期が〇月〇日であれば対応可能です。」、「納期をあと〇日延ばしていただければ対応可能です。」のようにテキストで表示してよい。
【0104】
上述した具体例では、表示画面700が、上述の受付画面600と異なる画面表示であるように説明したが、表示画面700は、受付画面600と共通の画面表示として表示されるようにしてよい。受付画面600と表示画面700とを共通の画面表示にすることで、依頼者が、入力した生産プロセスの条件により、当該生産プロセスが実行可能か、可能な場合の経費及び/又は予定納期を迅速に把握することが可能になる。
【0105】
受付部110は、端末200から、生産設備の映像を表示する要求を受け付け、表示部140は、この要求に応じて、生産設備の映像を端末200に表示させてよい。このとき、表示部140は、表示画面700に、依頼者が、当該生産設備の映像の表示を要求するための映像表示ボタン710又はバーチャル見学依頼ボタン712を備えてよい。生産設備の映像表示の詳細については後述する。
【0106】
表示部140は、表示画面700に、依頼者が、生産設備の保有者に、生産プロセスの実施の依頼、生産設備の映像の表示等に関する相談を受け付ける相談依頼ボタン714を表示させてもよい。
【0107】
なお、特定部120が、生産設備が生産プロセスを実行できないと判定した場合には、表示部140は、生産設備情報702に該当する生産設備がないことを表示させてよい。また、表示部140は、備考情報708に、生産設備で当該生産プロセスを実行できないことを表示させてもよい。
【0108】
図7は、本実施形態に係る生産設備の映像表示の一例を示す。受付部110は、端末200から、生産設備の映像を表示する要求を受け付け、表示部140は、この要求に応じて、生産設備の映像を端末200に表示させてよい。生産対象の生産を依頼する依頼者は、例えば、図6に示した表示画面700の映像表示ボタン710又はバーチャル見学依頼ボタン712を押下することで、生産設備の映像表示を要求してよい。
【0109】
図7では、表示部140が、三次元の仮想空間上で、S210で特定された生産設備を、生産プロセスを実行する工場と関連付けて表示する例を示す。この例では、表示部140は、生産設備の映像表示の要求に応じ、端末200の画面210に、仮想空間として、生産プロセスを実行する工場400の間取りを三次元の仮想空間として表示した三次元フロアマップ800を表示させる。
【0110】
表示部140は、仮想空間上に、生産プロセスを実行する工場400及び工場400における生産設備の配置を再現して表示してよい。図7に示した例では、工場400の間取りを再現した三次元フロアマップ800に、工場400内における施設の配置(例えば、反応室デッキ下の北側、南側など)を再現して配置したボタン802、804、806、808、810、812、814、816、818、820、822、824が表示されている。表示部140は、当該ボタンの近傍に、それぞれの配置における施設の名称(「反応室デッキ下(北側)」、「分析室(北側)」など)を表示させてもよい。
【0111】
三次元フロアマップ800により、工場400の間取り及び工場400内の生産設備の配置を高い再現性で表示することが可能になり、依頼者は、生産設備の配置等を直感的に把握できる。
【0112】
依頼者は、三次元フロアマップ800上で詳細な映像の表示を希望する工場400内の施設を、上記のボタン802から824のいずれかを押下することで指定できる。表示部140は、依頼者がボタンを押下したことに応じて、当該施設における工場内の詳細な映像を表示させてよい。
【0113】
図8は、本実施形態に係る生産設備の映像表示の一例を示す。図8では、上述の図7で示した三次元フロアマップ800において、依頼者が詳細な映像の表示を希望した施設の三次元構造を表す映像の例を示している。この例では、図7の816(反応室デッキ下北側)の施設が選択された場合に表示させる映像900を示している。
【0114】
映像900は、生産プロセスを実行する工場400の特定の位置(この例では、三次元フロアマップ800上の816の位置)を視点とする映像である。映像900は、例えば、工場内を予め撮像して生成した映像に基づき生成した映像を含んでよい。また、映像900は、工場内の生産設備等の配置をコンピュータグラフィックスで再現した映像であってもよい。
【0115】
図8に示す例では、映像900には、工場400内の映像に加えて、移動ボタン902、904、906、908、910、フロアマップ912、生産設備表示ボタン914、916及び918が表示されている。
【0116】
表示部140は、生産設備表示ボタンが表示される生産設備を、S210で特定部120が特定した生産設備に限定してよい。例えば、S210で、位置816付近に設置された生産設備のうち、生産プロセスの条件に合致した生産設備として計量器(ボタン914に対応)及び洗浄用アイソレータ(ボタン918に対応)が特定された場合、表示部140は、生産設備表示ボタン914、918を映像900に表示させ、916を表示させないようにしてよい。
【0117】
表示部140は、依頼者が生産設備表示ボタンを押下したことに応じて、当該生産設備の映像を端末200に表示させてよい。生産設備の映像の表示の詳細については後述する。
【0118】
表示部140は、移動ボタンの押下に応じて、映像900を、工場400内の異なる位置の映像に切り替えて表示させてよい。例えば、移動ボタンの押下に応じて、映像を表示させる工場400内の施設を変更してよい。図8に示した映像900の例では、表示部140は、移動ボタン904の押下に応じて、図7で示した三次元フロアマップ800の812の施設を表示させる映像900を表示させてよい。
【0119】
表示部140は、映像900を、視点の角度及び/又は視点の位置の変更、並びに、映像の拡大、縮小が可能なように表示させてもよい。表示部140は、上述の移動ボタン等に替え、あるいは加えて、映像900に、拡大ボタン920、縮小ボタン922、視点角度変更ボタン924及び視点位置変更ボタン926を表示させてよい。表示部140は、拡大ボタン922及び/又は縮小ボタン922の押下に応じ、映像900の表示倍率を変更して表示させてよい。また、表示部140は、視点角度変更ボタン924の押下に応じ、映像900の視点角度を変更した映像を表示させてよい。表示部140は、視点位置移動ボタン924の押下に応じ、映像900の視点位置を変更した映像を表示させてもよい。これにより、工場400内の三次元構造を表すことが可能になり、依頼者が工場400の詳細な構造、及び、工場400内の生産設備の詳細な構造を把握することができる。
【0120】
図8に示した例において、表示部140は、映像900が表示する施設の工場400内における位置を、フロアマップ912上に表示してよい(図8の黒丸)。
【0121】
図9は、本実施形態に係る本実施形態における生産設備の映像表示の一例を示す。図9は、上述の図8で示した工場の三次元構造の映像900において、ボタン918(洗浄用アイソレータ)が押下された場合に表示部140が表示させる表示画面1000の例を示している。
【0122】
表示画面1000は、生産設備の少なくとも一部の三次元構造を表す映像1002を表示してよい。生産設備の映像1002は、生産設備を多方向から観察できる三次元の画像であってよく、依頼者の要求に応じ、生産設備を多方向から観察可能に表示されてよく、及び/又は、生産設備を拡大又は縮小可能に表示されてよい。
【0123】
表示部140は、映像1002に拡大ボタン1004、縮小ボタン1006、回転ボタン1008及び視点位置変更ボタン1010を表示させてよい。このとき、表示部140は、拡大ボタン1004及び/又は縮小ボタン1006の押下に応じ、映像1002の表示倍率を変更して表示させてよい。また、表示部140は、回転ボタン1008の押下に応じ、映像1002を回転可能に表示させてよい。表示部140は、視点位置移動ボタン1010の押下に応じ、映像1002の視点位置を変更した映像を表示させてもよい。
【0124】
表示部140は、生産設備の映像と共に、生産設備に関連する情報を端末200に表示させてよい。表示部140は、例えば、表示画面1000に、生産設備の映像1002と共に、生産設備の用途、寸法、材質、性能、工場内の設置位置、生産設備の使用予定、生産プロセスにおいて生産設備が実行する工程、生産設備の使用履歴、生産設備のメンテナンス履歴、生産設備を使用する人員に関する情報を表示させてよい。図9に示した例では、備考欄1012に、生産設備に関連する情報として、洗浄用アイソレータの封じ込め性能、集塵要素、部材の材質に関する情報を示している。表示部140は、生産設備に関連する情報を、ポップアップウインドウにより表示させてもよい。
【0125】
表示部140が、表示画面1000に表示させる生産設備の映像1002は、静止画像であってよい。また、映像1002は、生産設備の稼働時の動画を含んでもよい。生産設備の映像1002は、予め撮影し記憶部130に格納したデータを呼び出して表示したものであってよい。
【0126】
表示部140は、表示画面1000に生産設備の静止画像或いは動画を表示させることに替え、あるいは加えて、端末200から受け付けた生産設備の映像を表示する要求に応じて、生産プロセスを実行する工場400に設置されたカメラ500が撮像した、生産設備のライブ映像を表示させてよい。このとき、カメラ500は、工場400内に設置された固定カメラであってよい。また、カメラ500は移動型装置に搭載され、工場内を移動して生産設備を撮像してもよい。移動型装置は、依頼者の生産設備の映像を表示する要求に応じて、映像表示が要求された生産設備を撮像すべく工場を移動してもよい。これにより、生産設備の現況を、依頼者が端末200を介して把握することが可能となる。
【0127】
上述の例では、図9に示す表示画面1000が、図7の三次元フロアマップ800(又は後述の二次元フロアマップ1100)及び図8の施設の三次元構造を示す映像を介して、端末200に表示させるものとして説明したが、表示部140は、図9の表示画面1000を、依頼者が特定の生産設備の映像を表示する要求に応じ、三次元フロアマップ800等を介さず、直接表示させるようにしてもよい。
【0128】
表示部140は、例えば、図6に示した表示画面700に、S210で特定された生産設備ごとに映像表示ボタン710を表示し、映像表示ボタン710の押下に応じて、当該生産設備を表示する表示画面1000を表示させてよい。
【0129】
図10は、本実施形態に係る生産設備の映像表示の変形例を示す。表示部140は、生産プロセスを実行する工場400を、二次元の仮想空間上で表示させてよい。図10に示す例では、表示部140は、生産プロセスを実行する工場400の間取りを表す二次元フロアマップ1100を端末200に表示させる。この例では、工場400の間取りを再現した二次元フロアマップ1100に、工場400内における施設の配置(例えば、反応室デッキ下の北側、南側など)を再現して配置したボタン1102、1104、1106、1108、1110、1112、1114、1116、1118、1120、1122、1124が表示されている。表示部140は、当該ボタンの近傍に、それぞれの配置における施設の名称(「反応室デッキ下(北側)」、「分析室(北側)」など)を表示してもよい。
【0130】
二次元フロアマップ1100における生産設備の詳細な映像表示は、図8及び図9の実施態様で説明した内容がそのまま適用されてよい。
【0131】
図11A図11B及び図11Cは、本実施形態に係る生産設備の映像表示の変形例を示す。図11A図11B及び図11Cは、工場400が複数の建物に生産設備を備える場合及び/又は工場400が複数のフロアに生産設備を備える場合に、フロアマップを切り替えて表示する例を表している。この例では、工場400は、ベンチスケールの生産設備を備える建物と、ラボスケールの生産設備を備える建物とを有し、ベンチスケールの生産設備を備える建物は、デッキ下フロアとデッキ上フロアとを有する。表示部140は、ベンチスケールの生産設備を備える建物のデッキ下フロア、デッキ下フロア及びラボスケールの生産設備を備える建物とを、それぞれ異なる二次元フロアマップ1200、1300及び1400として表示させる。
【0132】
図11A及び図11Bは、それぞれ、ベンチスケールの生産設備を備える建物のデッキ下フロアの二次元フロアマップ1200、デッキ上フロアの二次元フロアマップ1300を示している。また、図11Cは、ラボスケールの生産設備を備える建物の二次元フロアマップ1400を示している。
【0133】
表示部140は、図11A図11B及び図11Cに示した各二次元フロアマップを、依頼者の要求に応じ、切り替えて表示させてよい。図11Aで示した例では、二次元フロアマップ1300及び二次元フロアマップ1400にそれぞれ切り替えて表示させるボタン1202及びボタン1204が表示されている。また、図11Bで示した例では、二次元フロアマップ1200及び二次元フロアマップ1400にそれぞれ切り替えて表示させるボタン1302及びボタン1304が表示されている。また、図11Cに示した例では、二次元フロアマップ1200及び二次元フロアマップ1300にそれぞれ切り替えて表示させるボタン1402及びボタン1404が表示されている。本実施形態では、異なるフロアマップを切り替えて表示させることで、依頼者が、同種の生産設備が異なる建物、フロアに配置されているとき、それらの生産設備を比較して観察することができる。
【0134】
本実施形態では、表示部140は、工場400内の部屋及び/又は施設ごとに異なる気圧で管理する場合に、フロアマップにおいて、部屋又は施設ごとの気圧の区分を表示させてよい。図11Aに示したフロアマップの例では、部屋ごとに気圧の区分を模様1206、1208、1210、1212、1214で表している。また、図11Bのフロアマップの例では、部屋ごとに気圧の区分を模様1306、1308、1310、1312、1314で表している。図11Cの例では、部屋ごとの気圧の区分を模様1406、1408、1410、1412、1414で表している。気圧の区分は模様で区別することに替え、区分ごとに色分けして表してもよい。本実施形態では、フロアマップ上で気圧の区分を表示することで、生産対象の封じ込めのため、工場400内を部屋及び/又はフロアごとに異なる気圧で管理する場合に、依頼者が当該工場400内の気圧の管理状況を把握することができる。
【0135】
本実施形態では、表示部140は、工場400内で、人、原材料、資材、廃棄物、書類、製品の移動が制限される場合に、工場400内の動線を表示させてよい。図11Aに示したフロアマップの例では、動線を、人、原材料等の移動可能な方向を矢印1216、1218、1220で表している。また、図11Bのフロアマップの例では、動線を矢印1316、1318、1320で表している。図11Cの例では、動線を矢印1416、1418、1420で表している。部屋ごとの気圧の区分を模様1406、1408、1410、1412、1414で表している。本実施形態では、フロアマップに動線を表示することで、依頼者が、工場400内の人、原材料等の移動の制限状況を把握することができる。
【0136】
なお、図7及び図10に示した例で表示された各ボタンは、図11A図11B及び図11Cに示した各二次元フロアマップに適用されてもよい。また、図11A図11B及び図11Cに示した各二次元フロアマップは、図7に示した例における三次元フロアマップとして表示されてもよい。
【0137】
本実施形態の処理フローにより、生産対象の生産プロセスの条件に合致した生産設備を特定し、この生産設備の映像及びこれに関連する情報を端末200に表示させることで、端末200のユーザが、生産対象の生産を依頼する前に、生産設備の現況及び/又は詳細な情報を十分に把握することができる。これにより、生産プロセスの透明性を高め、依頼者と生産プロセスを実行する者との間の信頼関係の構築に貢献できる。ある施設が有する設備の組み合わせ、およびそれらの使い方の組み合わせは無数に存在するところ、本実施形態によれば、全ての組み合わせに対応する説明文書を予め作成しておくことと比較して、計算資源、メモリ資源を削減することができる。
【0138】
本発明の様々な実施形態は、フローチャートおよびブロック図を参照して記載されてよく、ここにおいてブロックは、(1)操作が実行されるプロセスの段階または(2)操作を実行する役割を持つ装置のセクションを表わしてよい。特定の段階およびセクションが、専用回路、コンピュータ可読媒体上に格納されるコンピュータ可読命令と共に供給されるプログラマブル回路、および/またはコンピュータ可読媒体上に格納されるコンピュータ可読命令と共に供給されるプロセッサによって実装されてよい。専用回路は、デジタルおよび/またはアナログハードウェア回路を含んでよく、集積回路(IC)および/またはディスクリート回路を含んでよい。プログラマブル回路は、論理AND、論理OR、論理XOR、論理NAND、論理NOR、および他の論理操作、フリップフロップ、レジスタ、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、プログラマブルロジックアレイ(PLA)等のようなメモリ要素等を含む、再構成可能なハードウェア回路を含んでよい。
【0139】
コンピュータ可読媒体は、適切なデバイスによって実行される命令を格納可能な任意の有形なデバイスを含んでよく、その結果、そこに格納される命令を有するコンピュータ可読媒体は、フローチャートまたはブロック図で指定された操作を実行するための手段を作成すべく実行され得る命令を含む、製品を備えることになる。コンピュータ可読媒体の例としては、電子記憶媒体、磁気記憶媒体、光記憶媒体、電磁記憶媒体、半導体記憶媒体等が含まれてよい。コンピュータ可読媒体のより具体的な例としては、フロッピー(登録商標)ディスク、ディスケット、ハードディスク、ランダムアクセスメモリ(RAM)、リードオンリメモリ(ROM)、消去可能プログラマブルリードオンリメモリ(EPROMまたはフラッシュメモリ)、電気的消去可能プログラマブルリードオンリメモリ(EEPROM)、静的ランダムアクセスメモリ(SRAM)、コンパクトディスクリードオンリメモリ(CD-ROM)、デジタル多用途ディスク(DVD)、ブルーレイ(登録商標)ディスク、メモリスティック、集積回路カード等が含まれてよい。
【0140】
コンピュータ可読命令は、アセンブラ命令、命令セットアーキテクチャ(ISA)命令、マシン命令、マシン依存命令、マイクロコード、ファームウェア命令、状態設定データ、またはSmalltalk(登録商標)、JAVA(登録商標)、C++等のようなオブジェクト指向プログラミング言語、および「C」プログラミング言語または同様のプログラミング言語のような従来の手続型プログラミング言語を含む、1または複数のプログラミング言語の任意の組み合わせで記述されたソースコードまたはオブジェクトコードのいずれかを含んでよい。
【0141】
コンピュータ可読命令は、汎用コンピュータ、特殊目的のコンピュータ、若しくは他のコンピュータ等のプログラム可能なデータ処理装置のプロセッサまたはプログラマブル回路に対し、ローカルにまたはローカルエリアネットワーク(LAN)、インターネット等のようなワイドエリアネットワーク(WAN)を介して提供され、フローチャートまたはブロック図で指定された操作を実行するための手段を作成すべく、コンピュータ可読命令を実行してよい。プロセッサの例としては、コンピュータプロセッサ、処理ユニット、マイクロプロセッサ、デジタル信号プロセッサ、コントローラ、マイクロコントローラ等を含む。
【0142】
図12は、本発明の複数の態様が全体的または部分的に具現化されてよいコンピュータ2200の例を示す。コンピュータ2200にインストールされたプログラムは、コンピュータ2200に、本発明の実施形態に係る装置に関連付けられる操作または当該装置の1または複数のセクションとして機能させることができ、または当該操作または当該1または複数のセクションを実行させることができ、および/またはコンピュータ2200に、本発明の実施形態に係るプロセスまたは当該プロセスの段階を実行させることができる。そのようなプログラムは、コンピュータ2200に、本明細書に記載のフローチャートおよびブロック図のブロックのうちのいくつかまたはすべてに関連付けられた特定の操作を実行させるべく、CPU2212によって実行されてよい。
【0143】
本実施形態によるコンピュータ2200は、CPU2212、RAM2214、グラフィックコントローラ2216、およびディスプレイデバイス2218を含み、それらはホストコントローラ2210によって相互に接続されている。コンピュータ2200はまた、通信インターフェイス2222、ハードディスクドライブ2224、DVD-ROMドライブ2226、およびICカードドライブのような入/出力ユニットを含み、それらは入/出力コントローラ2220を介してホストコントローラ2210に接続されている。コンピュータはまた、ROM2230およびキーボード2242のようなレガシの入/出力ユニットを含み、それらは入/出力チップ2240を介して入/出力コントローラ2220に接続されている。
【0144】
CPU2212は、ROM2230およびRAM2214内に格納されたプログラムに従い動作し、それにより各ユニットを制御する。グラフィックコントローラ2216は、RAM2214内に提供されるフレームバッファ等またはそれ自体の中にCPU2212によって生成されたイメージデータを取得し、イメージデータがディスプレイデバイス2218上に表示されるようにする。
【0145】
通信インターフェイス2222は、ネットワークを介して他の電子デバイスと通信する。ハードディスクドライブ2224は、コンピュータ2200内のCPU2212によって使用されるプログラムおよびデータを格納する。DVD-ROMドライブ2226は、プログラムまたはデータをDVD-ROM2201から読み取り、ハードディスクドライブ2224にRAM2214を介してプログラムまたはデータを提供する。ICカードドライブは、プログラムおよびデータをICカードから読み取り、および/またはプログラムおよびデータをICカードに書き込む。
【0146】
ROM2230はその中に、アクティブ化時にコンピュータ2200によって実行されるブートプログラム等、および/またはコンピュータ2200のハードウェアに依存するプログラムを格納する。入/出力チップ2240はまた、様々な入/出力ユニットをパラレルポート、シリアルポート、キーボードポート、マウスポート等を介して、入/出力コントローラ2220に接続してよい。
【0147】
プログラムが、DVD-ROM2201またはICカードのようなコンピュータ可読媒体によって提供される。プログラムは、コンピュータ可読媒体から読み取られ、コンピュータ可読媒体の例でもあるハードディスクドライブ2224、RAM2214、またはROM2230にインストールされ、CPU2212によって実行される。これらのプログラム内に記述される情報処理は、コンピュータ2200に読み取られ、プログラムと、上記様々なタイプのハードウェアリソースとの間の連携をもたらす。装置または方法が、コンピュータ2200の使用に従い情報の操作または処理を実現することによって構成されてよい。
【0148】
例えば、通信がコンピュータ2200および外部デバイス間で実行される場合、CPU2212は、RAM2214にロードされた通信プログラムを実行し、通信プログラムに記述された処理に基づいて、通信インターフェイス2222に対し、通信処理を命令してよい。通信インターフェイス2222は、CPU2212の制御下、RAM2214、ハードディスクドライブ2224、DVD-ROM2201、またはICカードのような記録媒体内に提供される送信バッファ処理領域に格納された送信データを読み取り、読み取られた送信データをネットワークに送信し、またはネットワークから受信された受信データを記録媒体上に提供される受信バッファ処理領域等に書き込む。
【0149】
CPU2212は、ハードディスクドライブ2224、DVD-ROMドライブ2226(DVD-ROM2201)、ICカード等のような外部記録媒体に格納されたファイルまたはデータベースの全部または必要な部分がRAM2214に読み取られるようにし、RAM2214上のデータに対し様々なタイプの処理を実行してよい。CPU2212は次に、処理されたデータを外部記録媒体にライトバックする。
【0150】
様々なタイプのプログラム、データ、テーブル、およびデータベースのような様々なタイプの情報が記録媒体に格納され、情報処理を受けてよい。CPU2212は、RAM2214から読み取られたデータに対し、本開示の随所に記載され、プログラムの命令シーケンスによって指定される様々なタイプの操作、情報処理、条件判断、条件分岐、無条件分岐、情報の検索/置換等を含む、様々なタイプの処理を実行してよく、結果をRAM2214に対しライトバックする。また、CPU2212は、記録媒体内のファイル、データベース等における情報を検索してよい。例えば、各々が第2の属性の属性値に関連付けられた第1の属性の属性値を有する複数のエントリが記録媒体内に格納される場合、CPU2212は、第1の属性の属性値が指定される、条件に一致するエントリを当該複数のエントリの中から検索し、当該エントリ内に格納された第2の属性の属性値を読み取り、それにより予め定められた条件を満たす第1の属性に関連付けられた第2の属性の属性値を取得してよい。
【0151】
上で説明したプログラムまたはソフトウェアモジュールは、コンピュータ2200上またはコンピュータ2200近傍のコンピュータ可読媒体に格納されてよい。また、専用通信ネットワークまたはインターネットに接続されたサーバーシステム内に提供されるハードディスクまたはRAMのような記録媒体が、コンピュータ可読媒体として使用可能であり、それによりプログラムを、ネットワークを介してコンピュータ2200に提供する。
【0152】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【0153】
特許請求の範囲、明細書、および図面中において示した装置、システム、プログラム、および方法における動作、手順、ステップ、および段階等の各処理の実行順序は、特段「より前に」、「先立って」等と明示しておらず、また、前の処理の出力を後の処理で用いるのでない限り、任意の順序で実現しうることに留意すべきである。特許請求の範囲、明細書、および図面中の動作フローに関して、便宜上「まず、」、「次に、」等を用いて説明したとしても、この順で実施することが必須であることを意味するものではない。
【符号の説明】
【0154】
10 システム
100 表示装置
110 受付部
120 特定部
130 記憶部
140 表示部
150 通信部
200 端末
210 画面
300 ネットワーク
400 工場
500 カメラ
600 受付画面
602 工程数欄
604 予定数量欄
606 希望納期欄
608 種類指定欄
610 条件指定欄
612 備考欄
614 追加ボタン
616 削除ボタン
700 表示画面
702 生産設備情報
704 経費情報
706 予定納期情報
708 備考情報
710 映像表示ボタン
800 三次元フロアマップ
802 ボタン
804 ボタン
806 ボタン
808 ボタン
810 ボタン
812 ボタン
814 ボタン
816 ボタン
818 ボタン
820 ボタン
822 ボタン
824 ボタン
900 映像
902 移動ボタン
904 移動ボタン
906 移動ボタン
908 移動ボタン
910 移動ボタン
912 フロアマップ
914 生産設備表示ボタン
916 生産設備表示ボタン
918 生産設備表示ボタン
920 拡大ボタン
922 縮小ボタン
924 視点角度変更ボタン
926 視点位置変更ボタン
1000 表示画面
1002 映像
1004 拡大ボタン
1006 縮小ボタン
1008 回転ボタン
1010 視点位置変更ボタン
1012 備考欄
1100 二次元フロアマップ
1102 ボタン
1104 ボタン
1106 ボタン
1108 ボタン
1110 ボタン
1112 ボタン
1114 ボタン
1116 ボタン
1118 ボタン
1120 ボタン
1122 ボタン
1124 ボタン
1200 二次元フロアマップ
1202 ボタン
1204 ボタン
1206 模様
1208 模様
1210 模様
1212 模様
1214 模様
1216 矢印
1218 矢印
1220 矢印
1300 二次元フロアマップ
1302 ボタン
1304 ボタン
1306 模様
1308 模様
1310 模様
1312 模様
1314 模様
1316 矢印
1318 矢印
1320 矢印
1400 二次元フロアマップ
1402 ボタン
1404 ボタン
1406 模様
1408 模様
1410 模様
1412 模様
1414 模様
1416 矢印
1418 矢印
1420 矢印
2200 コンピュータ
2201 DVD-ROM
2210 ホストコントローラ
2212 CPU
2214 RAM
2216 グラフィックコントローラ
2218 ディスプレイデバイス
2220 入/出力コントローラ
2222 通信インターフェイス
2224 ハードディスクドライブ
2226 DVD-ROMドライブ
2230 ROM
2240 入/出力チップ
2242 キーボード
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図6
図7
図8
図9
図10
図11A
図11B
図11C
図12