(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024093182
(43)【公開日】2024-07-09
(54)【発明の名称】建物用シャッター装置における中柱の補強構造
(51)【国際特許分類】
E06B 9/58 20060101AFI20240702BHJP
E06B 5/00 20060101ALI20240702BHJP
【FI】
E06B9/58 B
E06B5/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022209387
(22)【出願日】2022-12-27
(71)【出願人】
【識別番号】307038540
【氏名又は名称】三和シヤッター工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100085394
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 哲夫
(74)【代理人】
【識別番号】100128392
【弁理士】
【氏名又は名称】服部 秀一
(74)【代理人】
【識別番号】100165456
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 佑子
(72)【発明者】
【氏名】香西 統太
(72)【発明者】
【氏名】岩階 章
【テーマコード(参考)】
2E042
2E239
【Fターム(参考)】
2E042AA01
2E042DA01
2E042DA09
2E239AC00
(57)【要約】
【課題】シャッターカーテン4が左右に配される連装型のシャッター装置において、シャッターカーテン4同士の隣接する端縁部を案内する中柱3の下端部の補強をする。
【解決手段】強風を受けて撓んだシャッターカーテン4の撓み応力を受けて中柱3が屋内側に撓んだ場合の補強を、中柱本体部3aに固定した補強材10の補強部10cを、ロッド脚部8aの屋内側に配することで、中柱3が屋内側に撓んだ場合に床面プレート6に当接することで撓み応力を受けて補強する。
【選択図】
図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
屋内外を仕切る出入り口等の開口部の左右両端縁部に設けられる左右のガイドレール、開口部の左右方向中間部に取り外し自在に設けられる中柱、該ガイドレール、中柱に案内されて開口部の開閉移動をするシャッターカーテンを備え、該シャッターカーテンが、中柱をあいだに挟む状態で左右に連装されてなる建物用シャッター装置において、
前記中柱下端部の屋内外方向一方側の見付け面に、開口部床面に対して間隙を存する状態でケース体を設け、該ケース体に、中柱の下端縁よりも下方に突出するよう上下動操作ができるロッド体を設ける一方、
開口部床面に設けた床面プレートに、前記下方に突出したロッド体が嵌入するロッド受け孔を設けて中柱下端部の開口部床面側への取り付け支持をする構成にしたものであって、
前記中柱下端部に、ロッド体の前記屋内外方向一方側の外側で床面プレートに近接対向していて、中柱が屋内外方向一方側に撓んだ場合に床面プレートに当接して撓み応力を受ける補強材が設けられていることを特徴とする建物用シャッター装置における中柱の補強構造。
【請求項2】
補強材は、中柱の前記一方側の見付け面に固定される固定部と、屋内外方向外側でロッド体に近接対向する補強部とを備え、該補強部が床面プレートに当接して受けた撓み応力を、固定部を介して中柱で受けるよう構成されることを特徴とする請求項1記載の建物用シャッター装置における中柱の補強構造。
【請求項3】
ロッド体は、左右一対のロッド脚部と、上側のロッド跨部とを備えた冂字形をし、ロッド脚部がロッド受け孔に嵌入するものであり、
固定部は、左右のロッド脚部間に配される状態で中柱に固定され、
補強部は、固定部の左右両端から屋内外方向一方側に向けて延出した延出部の先端から左右方向外方に向けて折曲することで形成されたものであることを特徴とする請求項2記載の建物用シャッター装置における中柱の補強構造。
【請求項4】
ケース体の下面板には、ロッド脚部を貫通するロッド貫通孔がロッド脚部よりも大径に形成されていて、ロッド脚部は、ロッド貫通孔に間隙を存する遊嵌状態で貫通するものであり、
中柱とロッド脚部との少なくとも一方には、ロッド貫通孔とロッド脚部とのあいだの間隙よりも小さい間隙にするための突起部が設けられていて、中柱が屋内外方向一方側に撓んだ場合に、ロッド体がロッド貫通孔に当接する以前の段階で中柱とロッド体とが突起部を介して当接するように構成したことを特徴とする請求項3記載の建物用シャッター装置における中柱の補強構造。
【請求項5】
ケース体の下面板には、ロッド脚部を貫通するロッド貫通孔がロッド脚部よりも大径に形成されていて、ロッド脚部は、ロッド貫通孔に間隙を存する遊嵌状態で貫通するものであり、
補強部は、ロッド貫通孔とロッド脚部とのあいだの間隙よりも小さい間隔でロッド脚部と対向するよう構成されていて、中柱が屋内外方向他方側に撓んだ場合に、ロッド体がロッド貫通孔に当接する以前の段階で補強部とロッド体とが当接するように構成したことを特徴とする請求項3記載の建物用シャッター装置における中柱の補強構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シャッターカーテンが左右に併設される連装型の建物用シャッター装置における中柱の補強構造の技術分野に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、ビルや倉庫等の建物の出入り口等の開口部の開閉をするため、シャッターカーテンによって開閉する建物用のシャッター装置を建て付けることがあるが、このようなシャッター装置のなかには、開口部の左右間口幅(左右開口幅)が幅広である場合、開口部の左右方向中間部位に中柱を取り外し自在に設け、該中柱を挟んだ左右両側でシャッターカーテンの開閉をするようにした所謂連装型とすることがある。
このような連装型のシャッター装置において、閉鎖姿勢のシャッターカーテンが台風等の荒天候時において強風を受けて屋内外方向に撓んだ場合に、中柱についても、シャッターカーテンの撓み応力(負荷)を受けて屋内外方向の撓むことになる。
ところで中柱は、躯体側に取り付けられる左右のガイドレールとは異なり、開口部の左右方向中間部に独立した起立状態で取り付けられることになるが、シャッターカーテンを開放したときには邪魔になるため取り外し自在(着脱自在)に構成されている。
このため中柱の屋内外方向一方側(例えば屋内側)の見付け面に、開口部床面に対して上下方向に間隙を存する状態のケース体と、該ケース体の下面板に形成のロッド貫通孔を遊嵌状に貫通する上下動自在なロッド体とを設け、該ロッド体を、開口部床面に設けた床面プレートに形成のロッド受け孔に嵌入することで、起立姿勢の中柱下端部の開口部床面側への取り付け支持ができるように構成にしている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで前記従来のものでは、ロッド体による中柱下端部の床面側への確実な支持ができるが、前述したように強風を受けてシャッターカーテンが撓んだ場合に、該撓み応力を受けて中柱も撓むことになる。そしてこのような中柱の撓み方向が、ケース体が設けられた屋内外方向一方側(屋内側)であった場合、中柱自体が床面プレート(または開口部床面)側に当接して撓み応力を受けることができる屋外側の場合とは異なって、床面プレート(または開口部床面)側に当接して撓み応力を受けるものがなく、この結果、中柱は、受けた撓み応力に対応して一方側(屋内側)に撓むことになって中柱を含む中柱関連部材が変形、破損したりする惧れがある等の問題があり、これらに本発明の解決すべき課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記の如き実情に鑑みこれらの課題を解決することを目的として創作されたものであって、請求項1の発明は、屋内外を仕切る出入り口等の開口部の左右両端縁部に設けられる左右のガイドレール、開口部の左右方向中間部に取り外し自在に設けられる中柱、該ガイドレール、中柱に案内されて開口部の開閉移動をするシャッターカーテンを備え、該シャッターカーテンが、中柱をあいだに挟む状態で左右に連装されてなる建物用シャッター装置において、前記中柱下端部の屋内外方向一方側の見付け面に、開口部床面に対して間隙を存する状態でケース体を設け、該ケース体に、中柱の下端縁よりも下方に突出するよう上下動操作ができるロッド体を設ける一方、開口部床面に設けた床面プレートに、前記下方に突出したロッド体が嵌入するロッド受け孔を設けて中柱下端部の開口部床面側への取り付け支持をする構成にしたものであって、前記中柱下端部に、ロッド体の前記屋内外方向一方側の外側で床面プレートに近接対向していて、中柱が屋内外方向一方側に撓んだ場合に床面プレートに当接して撓み応力を受ける補強材が設けられていることを特徴とする建物用シャッター装置における中柱の補強構造である。
請求項2の発明は、補強材は、中柱の前記一方側の見付け面に固定される固定部と、屋内外方向外側でロッド体に近接対向する補強部とを備え、該補強部が床面プレートに当接して受けた撓み応力を、固定部を介して中柱で受けるよう構成されることを特徴とする請求項1記載の建物用シャッター装置における中柱の補強構造である。
請求項3の発明は、ロッド体は、左右一対のロッド脚部と、上側のロッド跨部とを備えた冂字形をし、ロッド脚部がロッド受け孔に嵌入するものであり、固定部は、左右のロッド脚部間に配される状態で中柱に固定され、補強部は、固定部の左右両端から屋内外方向一方側に向けて延出した延出部の先端から左右方向外方に向けて折曲することで形成されたものであることを特徴とする請求項2記載の建物用シャッター装置における中柱の補強構造である。
請求項4の発明は、ケース体の下面板には、ロッド脚部を貫通するロッド貫通孔がロッド脚部よりも大径に形成されていて、ロッド脚部は、ロッド貫通孔に間隙を存する遊嵌状態で貫通するものであり、中柱とロッド脚部との少なくとも一方には、ロッド貫通孔とロッド脚部とのあいだの間隙よりも小さい間隙にするための突起部が設けられていて、中柱が屋内外方向一方側に撓んだ場合に、ロッド体がロッド貫通孔に当接する以前の段階で中柱とロッド体とが突起部を介して当接するように構成したことを特徴とする請求項3記載の建物用シャッター装置における中柱の補強構造である。
請求項5の発明は、ケース体の下面板には、ロッド脚部を貫通するロッド貫通孔がロッド脚部よりも大径に形成されていて、ロッド脚部は、ロッド貫通孔に間隙を存する遊嵌状態で貫通するものであり、補強部は、ロッド貫通孔とロッド脚部とのあいだの間隙よりも小さい間隔でロッド脚部と対向するよう構成されていて、中柱が屋内外方向他方側に撓んだ場合に、ロッド体がロッド貫通孔に当接する以前の段階で補強部とロッド体とが当接するように構成したことを特徴とする請求項3記載の建物用シャッター装置における中柱の補強構造である。
【発明の効果】
【0006】
請求項1の発明とすることにより、連装型のシャッター装置において、中柱が、シャッターカーテンが強風を受けて撓むことを受けてケース体が設けられる屋内外方向一方側に撓んだ場合に、補強材が床面プレートに当接して撓み応力を受けることになり、この結果、中柱の該方向への撓みが低減されることになって中柱関連部材が変形したりすることを防止して中柱の補強が図れることになる。
請求項2の発明とすることにより、中柱が屋内外方向一方側に撓んだときにロッド体の屋内外方向一方側の外側で床面プレートに当接して撓み応力を受ける補強材が、中柱の前記一方側の見付け面に固定される固定部と、屋内外方向一方側でロッド体に近接対向する補強部とを備えた構造簡単なもので構成できることになる。
請求項3の発明とすることにより、ロッド体を、左右一対のロッド脚部が設けられたものとしたときに、補強材は、固定部が左右のロッド脚部間に配される状態で中柱に固定され、補強部が固定部の左右両端から屋内外方向一方側に向けて延出した延出部の先端から左右方向外方に向けて折曲されたものとして構成され、この結果、補強部が屋内外方向一方側でロッド体に近接対向するものでありながら、強固に中柱に固定したものにでき、補強効果の向上が図れることになる。
請求項4の発明とすることにより、中柱が屋内外方向一方側に撓んだ場合に、ロッド体がロッド貫通孔に当接する以前の段階で中柱とロッド体とが突起部を介して当接することになり、この結果、ロッド貫通孔が、ロッド体の当接により撓み応力が働いて変形する等の不具合発生を防止できることになる。
請求項5の発明とすることにより、中柱が屋内外方向他方側に撓んだ場合に、ロッド体がロッド貫通孔に当接する以前の段階で補強部とロッド体とが当接することになり、この結果、ロッド貫通孔が、ロッド体の当接により撓み応力が働いて変形する等の不具合発生を防止できることになる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図3】(A)(B)は中柱の背面図、側面図である。
【
図4】(A)(B)は中柱の平面図、底面図である。
【
図5】(A)(B)は中柱下端部部位の背面図、側面図である。
【
図6】(A)(B)は中柱下端部部位をロッド体で固定した状態を示す背面図、側面図である。
【
図7】(A)(B)(C)は補強材を取り外した状態のケース体の背面図、側面図、底面図である。
【
図8】(A)(B)(C)は補強材の背面図、平面図、側面図である。
【
図9】(A)(B)は中柱が平常状態のときの下端部部位の側面図、底面図である。
【
図10】(A)(B)は中柱が屋内側に撓んだ時の下端部部位の側面図、底面図である。
【
図11】(A)(B)は中柱が屋外側に撓んだ時の下端部部位の側面図、底面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施の形態について、図面に基づいて説明する。図面において、1はビル等の建物の出入り口となる開口部Eに建て付けられる建物用のシャッター装置であって、該シャッター装置1は、左右連装型のものであり、開口部Eの左右両側に設けられるガイドレール2、該開口部Eの左右方向中間部に取り外し自在に設けられる中柱3、これらガイドレール2、中柱3に左右両端縁部が案内されることで開口部Eの開閉をするべく左右に連装されるシャッターカーテン4、開口部Eの上方に配され、前記左右のシャッターカーテン4が各別に巻装される巻き取り体5等の各種の部材装置を用いて構成された手動式のものとして構成されていること等は何れも従来通りであり、以降、中柱3の具体的構造について詳述するものとする。
因みにシャッター装置としては、手動式のものに限定されず電動開閉機を用いてシャッターカーテン4の自動的な巻き取り、巻き出しが行われることで電動式のものであっても良いことは勿論である。
【0009】
前記中柱3は、上下方向に長い長尺状に形成され、上端縁部が開口部上方に設けたマグサ部等の躯体側部材Kに抜き差し自在に嵌入することで支持され、下端縁部が、開口部Eの左右方向中間部位の床面Fに対して略面一状になるよう設けた床面プレート6に近接対向、若しくは当接する状態で設けられる。
そして中柱3は、左右方向外方側が溝開口となって開口する左右一対のガイド溝3aaが形成される中柱本体部3aと、該中柱本体部3aの屋内側見付け面3bに設けられるケース体7とを備えて構成されている。そして前記左右に連装するシャッターカーテン4の互いに隣接する側の端縁部が、各ガイド溝3aaに遊嵌状に嵌入して対応するシャッターカーテン4の該側端縁部の開閉案内をするように構成されている。尚、Sはシャッターカーテンのカーテン芯である。
【0010】
前記中柱3の下端部の屋内外方向屋内側(一方側)の見付け面3bには、床面プレート6に対して上方に対向する状態でケース体7が取り付けられ、該ケース体7にロッド体8が上下動操作ができる状態で組み付けられている。尚、ケース体7は、必要において屋外側に取り付けられる場合もある。
前記ケース体7は上面板7a、下面板7b、正面板7c、背面板7d、そして左右の側面板7eを備えた四角箱形状をしており、下面板7bは床面Fに対して間隙を存する状態で設けられている。
【0011】
一方、ロッド体8は、上下面板7a、7bに設けた貫通孔7aa、7baに遊嵌状に貫通する左右一対のロッド脚部8aと、ケース体上面板7aの上方に配されるロッド跨部8bとを備えた冂字形をしている。そしてロッド体8は、ロッド脚部8aの下端縁部8aaが、開口部床面Fと下面板7bとのあいだに位置する開放姿勢(上動姿勢)と、中柱3の下端縁よりも下方に突出していて開口部床面Fに面一状に設けた床面プレート6のロッド受け孔6aに遊嵌状に嵌入してロッド受け溝6b内に没入する固定姿勢(下動姿勢)とに上下動操作ができるように構成され、ロッド体8を固定姿勢に操作することで中柱3の下端部の位置決め固定ができるように構成されている。
因みにロッド体8は、ケース体7内に設けた図示しない弾機の付勢力を受けて開放姿勢側に向けて付勢されたものであり、さらにロッド体8は、固定姿勢に操作されたことにタイミングを合わせてケース体7内に設けた図示しないロック手段により該固定姿勢に維持され、ケース体7の正面板7cに設けた解除用摘み9を操作することで固定姿勢の維持が解除され、前記付勢力を受けて解除姿勢に自動復帰するように構成されているが、かかる構成については何れも汎用の技術が採用されており、その詳細は、本発明とは直接関係がないので省略する。
【0012】
一方、ケース体7の上下面板7a、7bには、背面板7dと面一状になる状態で上下方向に延出した上下両側の延出板7f、7gが形成され、該上側延出板7fは、ボルト等の締結具7hを介して締結することでケース体7の中柱見付け面3bへの取り付け固定されるようになっている。また下側延出板7gは、後述するように補強材10と共に締結具10aaを介してが当てがわれる状態で中柱見付け面3bへの取り付け固定ができるようになっている。
またケース体7の下側延出板7gの下端縁からは、屋内外方向他方側に向けて延出していて、中柱本体部3aの下端縁が当接して該中柱3の実質的な底面板(下面板)となる底板部7iが設けられており、そして中柱3を開口部Eに起立状にセットする場合に、前記底板部7iが床面プレート6に当接する状態で中柱3が支持されるように構成される。
【0013】
一方、10は本発明が実施された補強材であって、該補強材10は、固定部10a、延出部10b、補強部10cとを備えて構成されるが、固定部10aは、ケース体下面板7aと床面プレート6(開口部床面F)とのあいだであって、左右のロッド脚部8a間に位置する状態で配されたものが前記ケース体7の下側延出板7gに当てがわれ(当接し)た状態で、該下側延出板7gを貫通するビス等の締結具10aaを介して中柱3に固定される。
また延出部10bは、固定部10aの左右両端縁部から左右ロッド脚部8aの左右方向内側を通る状態で屋内外方向一方側に向けて拡開状に延出形成されたものであり、さらに補強部10cは、延出部10bの先端縁から左右方向外方に向けて折曲して左右方向外方に向けて延出することで、ロッド脚部8aの屋内側に間隙Xを存して近接対向するとともに、補強部下端縁は床面プレート6に対して間隙を存する状態で近接対向するよう構成されている。
【0014】
さらにこのものでは、ケース体下面板7bに形成されるロッド貫通孔7baの径は、ロッド脚部8aよりも大径(太径)に形成されていて、ロッド貫通孔7baとロッド脚部8aとのあいだに遊嵌状の間隙Yが形成されたものとなっているが、該ロッド貫通孔7baとロッド脚部8aとのあいだの間隙Yは、前記ロッド脚部8aと補強部10cとのあいだの間隙Xよりも大きい(X<Y)ものに設定されている。
また、ケース体下側延出部7gは、中柱本体部3aの見付け面3bに固定されることで、中柱本体部3aとロッド脚部8aとは、実質的には下側延出部7gとロッド脚部8aとのあいだに間隙を存して対向するよう構成されるが、本実施の形態においては、下側延出部7gのロッド脚部8aに対向する部位に、ロッド脚部8aとのあいだに間隙Zを存する状態で対向する突起部7jが形成されたものとなっている。そしてこのロッド脚部8aと突起部7jとのあいだの間隙Zは、前記ロッド脚部8aとロッド貫通孔7baとの間の間隙Yよりも小さい(Z<Y)ものに設定され、これによって中柱本体部3aとロッド脚部8aとは、突起部7jが形成されることで間隙Zを介して近接対向するよう構成されている。因みに、ロッド脚部8aと突起部7jとのあいだの間隙Zとロッド脚部8aと補強部10cとのあいだの間隙Xとは凡そ等しい(X≒Z)か等しい寸法設定になっている。
【0015】
そしてこのように構成された本実施の形態のものにおいて、シャッターカーテン4が全閉状態において、強風を受けていない平常状態、つまりシャッターカーテン4に撓みがない状態では、中柱3は、
図9に示すように、ロッド脚部8aがケース体下面板7bに形成のロッド貫通孔7baに対して遊嵌状に貫通した垂直状態で起立している。
この全閉状態のシャッターカーテン4が、台風等の荒天候時において強風を受けて屋内外方向に撓んだ場合に、中柱3は、該シャッターカーテン4の撓み応力を受けて屋内外方向に撓むことになる。
一般に、シャッターカーテン4が屋内側に撓む方向の風圧を正圧、屋外側に撓む方向の風圧を負圧として定義される。
【0016】
この中柱3の撓みが、前記正圧を受けた屋内側に向けての撓みである場合に、該中柱3は上下方向中間部が屋内方向に向いた撓み応力を受けることになって中柱3の下端部は屋内側に偏倚移動する。このため
図10に示すように、ロッド脚部8aがロッド受け孔6aの屋内側周縁6aaに当接してこれ以上の移動(偏倚)が規制された支持状態になると共に、中柱3の下端部は、上側(上下方向中間部側)が屋内側に撓んだ状態で傾斜する。そしてこのように中柱3の下端部が傾斜すると、補強部10cの屋内側の下端縁部10caが床面プレート6に当接することになって撓み応力が受けられることになり、さらにこの撓み応力は、固定部10aを介して中柱本体部3aで受けられることになって補強される。
しかもこのとき中柱3は、ロッド脚部8aがロッド受け孔6aの屋内側周縁6aaに当接した支持状態で中柱本体部3aが屋内側に偏倚移動することになる結果、前述したように、ロッド脚部8aと突起部7jとのあいだの間隙Zがロッド脚部8aとロッド貫通孔7baとのあいだの間隙Yよりも小さいものとなっていることが相俟って、ロッド貫通孔7baがロッド脚部8aに当接する前に突起部7jがロッド脚部8aに当接することになってロッド脚部8aがロッド貫通孔7baの屋外側周縁部に強く当接することが回避され、このためロッド貫通孔7baが変形する等の不具合発生も回避される。
【0017】
これに対し、中柱3の撓みが、前記とは逆に負圧を受けた屋外側に向けたものである場合、該中柱3は上下方向中間部が屋外方向に向いた撓み応力を受けることになって中柱3の下端部は屋外側に偏倚移動する。この場合には
図11に示すように、ロッド脚部8aがロッド受け孔6aの屋外側周縁6abに当接してこれ以上の移動(偏倚)が規制された支持状態になると共に、中柱3の下端部は、上側(上下方向中間部側)が屋外側に撓んだ状態で傾斜する結果、屋外側に傾斜した中柱3の下端部である底板部7iの屋外側端縁が床面Fに当接することになって撓み応力が受けられることになって中柱3で受けられることになって補強される。
しかもこのとき、ロッド脚部8aがロッド受け孔6aの屋外側周縁6abに当接した支持状態で中柱本体部3aが屋外側に偏倚移動することになる結果、前述したように、ロッド脚部8aと補強部10cとのあいだの間隙Xがロッド脚部8aとロッド貫通孔7baとのあいだの間隙Yよりも小さいものとなっていることが相俟って、ロッド貫通孔7baがロッド脚部8aに当接する前に補強部10cにロッド脚部8aが当接することになってロッド脚部8aがロッド貫通孔7baの屋内側周縁部に強く当接することが回避され、このためロッド貫通孔7baが変形する等の不具合発生も回避される。
【0018】
叙述の如く構成された本実施の形態において、シャッターカーテン4が左右に配された連装型のシャッター装置1において、該左右のシャッターカーテン4間に配されて、左右両側のガイドレール2と共にシャッターカーテン4の開閉案内をする中柱3の下端部に、中柱本体部3aの屋内側見付け面3bにケース体7を設け、さらに該ケース体7にロッド体8を設けたものにし、そして該ロッド体8を、開口部床面Fに設けた床面プレート6に嵌入操作することで、中柱3の下端部の開口部床面F側への取り付け支持をすることができる。
そしてこのように構成したシャッター装置1において、全閉状態のシャッターカーテン4が台風等の荒天候時の強風を受けて撓んだ場合に、該撓み応力を受けて中柱3も撓むことになるが、該中柱3の撓み方向がケース体7側である屋内側である場合、ケース体7の下側であって、ロッド脚部8aの屋内側に近接対向するように配された補強材10の補強部10cが床面プレート6に当接することになって前記撓み応力を受けることになり、この結果、中柱3の該方向への撓みを低減できるべく補強されることになって、中柱3を含めた関係部材の保護が図れることになる。
【0019】
そしてこの場合に、補強材10は、中柱本体部3aの屋内側見付け面3bに固定される固定部10aと、屋内側でロッド脚部8aに近接対向する補強部10cとを備え、該補強部10cが床面プレート6に当接して受けた撓み応力が、固定部10aを介して中柱本体部3aで受けることになってより確実な中柱3の補強ができることになる。
しかもこの場合に、ロッド体8を、左右一対のロッド脚部8aが設けられたものとしたときに、補強材10は、固定部10aが左右のロッド脚部8a間に配される状態で中柱本体部3aに固定され、補強部10cが固定部10aの左右両端から屋内方向に向けて延出した延出部10bの先端から左右方向外方に向けて折曲されたものとして構成されたものである結果、補強部10cが屋内側からロッド脚部8aに近接対向するものでありながら、強固に中柱本体部3aに固定されたものにでき、補強効果の向上が図れることになる。
【0020】
またこのものでは、ケース体7の下面板7bに設けられるロッド貫通孔7baが、ロッド脚部8aよりも大径に形成されたものになっていて、ロッド貫通孔7baとロッド脚部8aとのあいだに間隙Yを存したものとなっているが、該間隙Yに対し、ロッド脚部8aと突起部7jとのあいだの間隙Z、およびロッド脚部8aと補強部10cとのあいだの間隙Xが小さいものになっている結果、前記撓み応力を受けて中柱3が屋内外方向に撓んだ場合に、ロッド脚部8aがロッド貫通孔7baに当接する以前の段階で、ロッド脚部8aが突起部7jまたは補強部10cに先行して当接することになってロッド貫通孔7baが変形するような不具合を回避できることになる。
【産業上の利用可能性】
【0021】
本発明は、シャッターカーテンが左右に併設される連装型の建物用シャッター装置における中柱の補強構造として利用することができる。
【符号の説明】
【0022】
1 シャッター装置
2 ガイドレール
3 中柱
3a 中柱本体部
3b 屋内側見付け面
4 シャッターカーテン
5 巻き取り体
6 床面プレート
6a ロッド受け孔
7 ケース体
7a 上面板
7b 下面板
7ba ロッド貫通孔
7g 下側延出板
7i 底板部
7j 突起部
8 ロッド体
8a ロッド脚部
8b ロッド跨部
10 補強材
10a 固定部
10b 延出部
10c 補強部
10ca 下端縁部
E 開口部
F 床面
X ロッド脚部と補強部との間隙
Y ロッド脚部とロッド貫通孔との間隙
Z 突起部とロッド脚部とのあいだの間隙