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  • 特開-キャップ処理装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024093194
(43)【公開日】2024-07-09
(54)【発明の名称】キャップ処理装置
(51)【国際特許分類】
   B23C 3/00 20060101AFI20240702BHJP
   B23C 9/00 20060101ALI20240702BHJP
   B23Q 11/00 20060101ALI20240702BHJP
【FI】
B23C3/00 ZAB
B23C9/00 Z
B23Q11/00 L
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022209406
(22)【出願日】2022-12-27
(71)【出願人】
【識別番号】000228442
【氏名又は名称】日本クロージャー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100153497
【弁理士】
【氏名又は名称】藤本 信男
(74)【代理人】
【識別番号】100138254
【弁理士】
【氏名又は名称】澤井 容子
(72)【発明者】
【氏名】貝塚 善弘
【テーマコード(参考)】
3C022
【Fターム(参考)】
3C022AA03
3C022AA07
(57)【要約】
【課題】印刷材料を確実に取り除きつつ、再利用できる材料が多くなり、天面壁の厚みが厚くても破棄する材料が増加しないキャップ処理装置を提供すること。
【解決手段】キャップCの天面壁外面が当接して移動可能なテーブル110と、キャップCをテーブル110側に押圧してテーブル110に当接させてキャップCを移動させる押圧機構120と、テーブル110のキャップ移動経路に設けられテーブル110側からキャップCの天面壁外面を切削する切削手段131とを有すること。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
天面壁と該天面壁の周縁から垂下する筒状スカート壁とを有するキャップの天面壁の外面の印刷面を削除するキャップ処理装置であって、
キャップの天面壁外面が当接して移動可能なテーブルと、キャップを前記テーブル側に押圧してテーブルに当接させてキャップを移動させる押圧機構と、前記テーブルのキャップ移動経路に設けられ前記テーブル側からキャップの天面壁外面を切削する切削手段とを有することを特徴とするキャップ処理装置。
【請求項2】
前記押圧機構は、キャップの天面壁の内面に当接してキャップを前記テーブル側に押圧する中心側押圧部と、キャップの筒状スカート壁の端部に当接してキャップを前記テーブル側に押圧する周辺押圧部とを有することを特徴とする請求項1に記載のキャップ処理装置。
【請求項3】
前記テーブルは、キャップ移動経路の前記切削手段の下流側が、上流側より高くなるよう構成されていることを特徴とする請求項1に記載のキャップ処理装置。
【請求項4】
前記切削手段は、エンドミルを含むことを特徴とする請求項1に記載のキャップ処理装置。
【請求項5】
前記切削手段の近傍に、切削屑回収手段が配置されていることを特徴とする請求項1に記載のキャップ処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、天面壁と該天面壁の周縁から垂下する筒状スカート壁とを有するキャップの天面壁の外面の印刷面を削除するキャップ処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
周知のように、飲料水等の内容物を収容した容器のためのキャップとして、合成樹脂製容器蓋が広く実用化されている。
この種の容器蓋は、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等の適宜の合成樹脂から圧縮成形あるいは射出成形により一体成形され、天面壁と天面壁の周縁から垂下する筒状スカート壁とを有している。
そして、天面壁の外面にロゴ等の印刷が施されたキャップは一般的であり、広く普及している。
【0003】
このようなキャップは、その製造工程で不良品が発見された場合には、出荷されることなく再利用されるのが望ましいが、印刷(着色)が施されている場合は、単純に再度溶解してキャップの原材料とすることはできず、印刷材料を取り除いて再利用する必要がある。
また、開栓後のキャップを市場から回収し原料として再使用する際も、同様に印刷材料を取り除いて再利用する必要がある。
例えば、印刷材料を取り除くために、天面壁を切断して筒状スカート壁のみを回収可能とするものが公知である(たとえば、特許文献1等参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許4519265号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、天面壁を切断して、筒状スカート壁のみを回収する場合、天面壁の材料をすべて破棄することとなるため、再利用できる材料は50-60%程度と無駄か生じていた。
また、耐圧キャップ等の天面壁が厚いものも多く使用されているが、天面壁が厚くなるほど破棄する材料も多くなるという問題があった。
本発明は、前述のような課題を解決するものであり、印刷材料を確実に取り除きつつ、再利用できる材料が多くなり、天面壁の厚みが厚くても破棄する材料が増加しないキャップ処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のキャップ処理装置は、天面壁と該天面壁の周縁から垂下する筒状スカート壁とを有するキャップの天面壁の外面の印刷面を削除するキャップ処理装置であって、キャップの天面壁外面が当接して移動可能なテーブルと、キャップを前記テーブル側に押圧してテーブルに当接させてキャップを移動させる押圧機構と、前記テーブルのキャップ移動経路に設けられ前記テーブル側からキャップの天面壁外面を切削する切削手段とを有することにより、前記課題を解決するものである。
【発明の効果】
【0007】
本請求項1に係るキャップ処理装置によれば、印刷材料を含むキャップの天面壁外面を切削手段により可能な限り薄く切削することが可能となり、天面壁の大部分を残したまま再利用可能となり、再利用できる割合が飛躍的に向上する。
【0008】
本請求項2に記載の構成によれば、キャップの天面壁に反りや凹凸があっても、天面壁外面を均等にテーブルに当接することができるため、天面壁外面全体を均等に切削することができ、テーブル表面から切削手段を僅かに突出させることで少ない切削量でも印刷材料を確実に切削することが可能となる。
本請求項3に記載の構成によれば、切削前後で天面壁の厚みが変化してもキャップが傾斜することなく移動可能となるため、多量のキャップを高速に処理することが可能となる。
本請求項4に記載の構成によれば、エンドミルが回転して切削することで、キャップの移動速度や移動させる力に依存することなく天面壁の外面を切削することが可能となるとともに、小径のエンドミルは容易に高速回転可能となるため切削効率が高く、多量のキャップを高速に処理することが可能となる。
また、エンドミルによる切削屑が粉状ではなく破片状となるため、排除が容易となる。
本請求項5に記載の構成によれば、切削屑に混入した印刷材料が、再利用されるキャップに付着すること防止され、確実に再利用可能な処理済のキャップが得られる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明に係るキャップ処理装置の一実施形態の概略説明図。
図2】処理対象であるキャップの説明図。
図3】本発明に係るキャップ処理装置の一実施形態の押圧機構を除いた正面図。
図4】本発明に係るキャップ処理装置の一実施形態の押圧機構の断面図。
図5】キャップの変形の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明に係るキャップ処理装置の一実施形態について説明する。
キャップ処理装置100は、例えば図1に模式的に示すように、キャップCの天面壁外面C11が当接して移動可能なテーブル110と、キャップCをテーブル110側に押圧してテーブル110に当接させてキャップCを移動させる押圧機構120と、テーブル110のキャップ移動経路に設けられテーブル110側からキャップの天面壁外面C11を切削する切削手段であるエンドミル131を有している。
キャップCは、硬質ポリエチレン、ポリプロピレン等の適宜の合成樹脂から形成され、例えば図2に示すように、天面壁C1と天面壁C1の周縁から垂下する筒状スカート壁C2を有し、天面壁外面C11にロゴ等の着色された印刷が施されている。
筒状スカート壁C2は、周方向破断手段C5よりも上方の主部C6と、周方向破断手段C5よりも下方のタンパーエビデントバンド部C4とに区画されている。
【0011】
本実施形態に係るテーブル110は、図3に示すように、円弧上のキャップ移動経路を形成しており、押圧機構120は、図4に示すように、回転軸125を中心に回転する押圧機構支持タレット126に複数配置されている。
押圧機構支持タレット126がテーブル110に対向して配置されて回転することで、各押圧機構120は、テーブル110の上流側に配置されたキャップ供給路115から供給されるキャップCを受け取って保持したキャップCの天面壁外面C11をテーブル110の上流側表面111に押し付けながら移動させ、ギャップ部112に配置されたエンドミル131によって天面壁外面C11の表面を削った後、保持したキャップCの天面壁外面C11をテーブル110の下流側表面113に押し付けながら移動させて、キャップ排出路116に排出するように構成されている。
【0012】
ギャップ部112のキャップCの移動表面の反対側には、負圧吸引する切削屑回収手段140が配置されており、エンドミル131によって天面壁外面C11の表面を削った切削屑が吸引され排除される。
この時、エンドミル131による切削屑が粉状ではなく破片状となるため、キャップCに付着したまま残留することが抑制されるとともに、切削屑回収手段140に回収されずに装置周囲に飛散、付着することが抑制される。
【0013】
テーブル110のギャップ部112の下流側表面113は、図1に(誇張して)示すように、上流側表面111よりエンドミル131の突出分だけキャップC側に高く設定されている。
このことで、切削前後で天面壁の厚みが変化してもキャップCが傾斜することなく円滑に移動可能となり、多量のキャップCを高速に処理することが可能となる。
【0014】
押圧機構120は、キャップCの天面壁内面C12に当接してキャップCの天面壁外面C11をテーブル110側に押圧する中心側押圧部121と、キャップCの筒状スカート壁C2の端部に当接してキャップCをテーブル110側に押圧する周辺押圧部122とを有している。
中心側押圧部121と周辺押圧部122は、それぞれ中心押圧ばね123と周辺押圧ばね124によって独立して押圧方向に移動可能に配置されている。
【0015】
このことで、図5のaに示すような天面壁の中央が凸状になったキャップCaや、図5のbに示すような天面壁の中央が凹状になったキャップCbであっても、図5のcに示すように、天面壁外面全体が均等にテーブル110に押し当てられ、天面壁外面全体の平面状態を維持して、エンドミル131によって均等に切削することができ、テーブル110表面からのエンドミル131の突出量を印刷層が排除できる範囲で最小化することで、少ない切削量でも印刷材料を確実に切削することができる。
また、キャップの径が同じであれば、中心押圧ばね123と周辺押圧ばね124のストロークの範囲でキャップの高さが異なっても設定を変更することなくエンドミル131によって均等に切削することが可能であり、処理効率を向上することができる。
【0016】
本実施形態の実際の処理性能は以下の通りであった(カッコ内の従来例は天面壁全体をカットするもの。)。
・還元率:95%以上(従来例:50-60%)
(還元率:キャップC全体の重量に対するするリサイクル可能な重量の比率)
・処理速度:600cpm以上
なお、本実施形態においては厚み0.1~0.5mm程度の削除を行ったが、削除量は、キャップ天面の厚さや印刷層の塗布状況等に応じて、エンドミル131の上下方向の調整、テーブル110の上流側表面111と下流側表面113の段差の調整を行うことで適宜設定可能である。
【0017】
上記実施形態では、切削手段をエンドミル131としたが、固定刃、フライス、グラインダー等、天面壁外面を切削できるものであればいかなるものであってもよい。
また、テーブル110のキャプ移動経路を円弧状として押圧機構支持タレット126によって押圧機構120を円弧状に移動させるものとしたが、押圧機構を直線状に移動させるものであってもよい。
また、本実施形態では、図2に示すように、タンパーエビデントバンド部C4が存在するキャップ(その製造工程で不良品となったキャップ)を対象としたが、市場から回収したタンパーエビデントバンド部C4が存在しない開栓後のキャップを対象としてもよい。
市場から回収したキャップは、その直径、高さが異なるものも存在するため、事前にサイズごとに分別することで、高速に処理することが可能となる。
【符号の説明】
【0018】
100 ・・・ キャップ処理装置
110 ・・・ テーブル
111 ・・・ 上流側表面
112 ・・・ ギャップ部
113 ・・・ 下流側表面
115 ・・・ キャップ供給路
116 ・・・ キャップ排出路
120 ・・・ 押圧機構
121 ・・・ 中心側押圧部
122 ・・・ 周辺押圧部
123 ・・・ 中心押圧ばね
124 ・・・ 周辺押圧ばね
125 ・・・ 回転軸
126 ・・・ 押圧機構支持タレット
131 ・・・ エンドミル(切削手段)
140 ・・・ 切削屑回収手段
C ・・・ キャップ
C1 ・・・ 天面壁
C11 ・・・ 天面壁外面
C12 ・・・ 天面壁内面
C2 ・・・ 筒状スカート壁
C3 ・・・ シール部
C4 ・・・ タンパーエビデントバンド部
C5 ・・・ 周方向破断手段
C6 ・・・ 主部
図1
図2
図3
図4
図5