(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024093197
(43)【公開日】2024-07-09
(54)【発明の名称】スクリューキャップおよびスクリューキャップ付き容器
(51)【国際特許分類】
B65D 41/34 20060101AFI20240702BHJP
【FI】
B65D41/34 118
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022209411
(22)【出願日】2022-12-27
(71)【出願人】
【識別番号】000228442
【氏名又は名称】日本クロージャー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100153497
【弁理士】
【氏名又は名称】藤本 信男
(74)【代理人】
【識別番号】100138254
【弁理士】
【氏名又は名称】澤井 容子
(72)【発明者】
【氏名】丸山 有友
【テーマコード(参考)】
3E084
【Fターム(参考)】
3E084AA02
3E084AA12
3E084BA01
3E084CA01
3E084DA01
3E084DB12
3E084FA09
3E084FB01
3E084GA01
3E084GB01
3E084KA13
3E084LA01
3E084LA17
3E084LB02
3E084LB07
(57)【要約】
【課題】簡単な構成で、容器口部への装着時にブリッジに大きな負荷を与えることがなく、製造コストの増加を抑制でき、開栓時の回転トルクの増加を抑制可能なスクリューキャップを提供すること。
【解決手段】キャップ本体110とTEバンド120とを有するスクリューキャップ100であって、キャップ本体110は、キャップ天面111とスカート壁114と、スカート壁114の内周面に形成されたキャップ側ネジ部115とを有し、TEバンド120は、円筒状に形成されたバンド本体121と、バンド本体121の上端をスカート壁114の下端に接続するブリッジ123とを有し、ブリッジ123は、バンド本体121とスカート壁114との間に周方向に断続的に設けられ、バンド本体121の外周面には、複数の凹部124が形成され、内周面からは、内方に突出する係止部122を有すること。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
キャップ本体と、前記キャップ本体の下部に接続されたTEバンドとを有するスクリューキャップであって、
前記キャップ本体は、キャップ天面と、前記キャップ天面の外周縁から垂下するスカート壁と、前記スカート壁の内周面に形成されたキャップ側ネジ部とを有し、
前記TEバンドは、円筒状に形成されたバンド本体と、前記バンド本体の上端を前記スカート壁の下端に接続するブリッジとを有し、
前記ブリッジは、前記バンド本体と前記スカート壁との間に周方向に断続的に設けられ、
前記バンド本体には、前記バンド本体の外周面に形成された複数の凹部と、前記バンド本体の内周面のうち、複数の前記凹部の形成箇所から内方に突出する複数の係止部を有することを特徴とするスクリューキャップ。
【請求項2】
前記係止部は、前記バンド本体の下端まで形成されていることを特徴とする請求項1に記載のスクリューキャップ。
【請求項3】
前記係止部の上端は、上に凸の弧状に形成され、
前記係止部は、上端から下端にかけて前記バンド本体の周方向に拡がるように形成されていることを特徴とする請求項1に記載のスクリューキャップ。
【請求項4】
前記係止部の上端は、軸方向にみてそれぞれ同一の高さで形成されていることを特徴とする請求項1に記載のスクリューキャップ。
【請求項5】
前記係止部の上端は、最も近傍に形成された前記ブリッジの直下に配置されていることを特徴とする請求項1に記載のスクリューキャップ。
【請求項6】
円筒状の口部と、前記口部の下部に接続する本体部とを有し、請求項1に記載のスクリューキャップを前記口部に装着したスクリューキャップ付き容器であって、
前記口部には、前記口部の外周面に形成された容器側ネジ部と、前記外側ネジ部の下方から前記口部の半径方向外方に突出形成されたカブラとが設けられ、
前記容器側ネジ部は、前記スカート壁の内周面に形成された前記キャップ側ネジ部とネジ係合し、
前記カブラは、前記係止部よりも上方に位置し、かつ係止部内径よりも径が大きいことを特徴とするスクリューキャップ付き容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、TEバンド(タンパーエビデンスバンド)を有し、容器の口部に装着されるスクリューキャップに関するものであり、特に、TEバンド内面から半径方向内方に突出するように形成した係止部を有するものに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、容器の口部(容器の口頸部40)に装着されるスクリューキャップとして、キャップ本体と、キャップ本体の下部に接続されたTEバンド(タンパーエビデント裾部20)とを有するスクリューキャップ(容器蓋2)が特許文献1で公知である。
【0003】
特許文献1で公知のスクリューキャップ(容器蓋2)は、キャップ天面(天面壁4)と、キャップ天面(天面壁4)の外周縁から垂下するスカート壁(6)と、スカート壁(6)の内周面に形成されたキャップ側ネジ部(雌螺条28)とを有し、TEバンド(タンパーエビデント裾部20)は、円筒状に形成されたバンド本体と、バンド本体の上端をスカート壁(6)の下端に接続するブリッジと、バンド本体の内周面から半径方向内方に突出する係止手段30とを有しており、容器の口部(容器の口頸部40)に形成された容器側ネジ部とキャップ側ネジ部(雌螺条28)とをねじ係合させることで、容器を密封するものである。
容器の口部(容器の口頸部40)のキャップ側ネジ部(雌螺条28)の下方には、半径方向外方に突出形成されたカブラ(係止あご部44)が設けられており、スクリューキャップ(容器蓋2)を容器の口部(容器の口頸部40)に装着する際、TEバンド(タンパーエビデント裾部20)の係止手段30である突起32がTEバンド(タンパーエビデント裾部20)を拡径する方向に弾性変形させながらカブラ(係止あご部44)を乗り越えた後、カブラ(係止あご部44)の下方に係止手段30である突起32が到達する位置で容器はスクリューキャップ(容器蓋2)によって密封されるものである。
【0004】
容器開栓時は、スクリューキャップ(容器蓋2)を回転させることでキャップ側ネジ部(雌螺条28)と容器側ネジ部との係合に沿ってスクリューキャップ(容器蓋2)は容器から離脱する方向へ移動(上昇)し、やがてキャップ側ネジ部(雌螺条28)と容器側ネジ部とのネジ係合を解除することで開栓できるが、このとき、TEバンド(タンパーエビデント裾部20)はカブラ(係止あご部44)に係止手段30である突起32が干渉するためキャップ本体と共に上昇できず、やがてブリッジが破断することでキャップ本体からTEバンド(タンパーエビデント裾部20)が分離して容器の口部(容器の口頸部40)に残るものである。
【0005】
また、特許文献2で公知のスクリューキャップ(容器蓋10)は、係止手段以外のスクリューキャップ(容器蓋10)全体を成形した後、TEバンド(タンパーエビデントバンド16)の側面から加熱した押圧変形部材(パンチ50)を押し当てることで係止手段19を形成するものであり、これによって、予め係止手段19を含めたスクリューキャップ(容器蓋10)全体を射出成形する場合に比べてTEバンド(タンパーエビデントバンド16)を薄肉成形することができ、スクリューキャップ(容器蓋10)の成形に必要な樹脂の使用量を軽減することができるものである。
【0006】
また、特許文献3で公知のスクリューキャップ(密封蓋)は、係止手段が形成されていないスクリューキャップ(密封蓋)を容器の口部(容器の頸部1)に装着した後、TEバンド(帯5)を全周にわたって押圧変形部材(圧接ローラ15)で容器の口部(容器の頸部1)に密着するように押圧変形させるものであり、これによって、TEバンド(帯5)の下端部を容器側ネジ部(ねじ部分2)の下方へ潜り込ませて係止手段とすることができるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2013-126881号公報
【特許文献2】特開2008-239184号公報
【特許文献3】特開昭51-44087号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところが、上記特許文献等で公知のスクリューキャップには、未だ改善の余地があった。
すなわち、特許文献1および特許文献2で公知のスクリューキャップは、係止手段を形成されたTEバンドがカブラを乗り越える際に、TEバンドを大きく拡径してしまうため、ブリッジの破断方向に大きな負荷がかかることがある。
これによって、キャッピング中にブリッジが破断してしまう虞があった。
また、ブリッジの破断強度を強くすることでキャッピング中のブリッジの破断を回避することも考えられるが、ブリッジの強度を強くすることで、開栓時に必要な力も大きくなってしまい、開栓しにくくなる虞があった。
【0009】
また、特許文献2で公知のスクリューキャップは、キャッピング前に係止手段を成形しているため、特許文献1と同じくカブラを乗り越える際にブリッジの破断方向に大きな負荷がかかり、キャッピング中にブリッジが破断してしまう虞がある。
さらに、係止手段のみ別工程で成形し、かつ係止手段成形の為の設備(パンチ50とダイ55)が必要となるため、作業の手間がかかり、製造コストが増大してしまう虞があった。
【0010】
特許文献3で公知のスクリューキャップは、TEバンドを全周にわたって容器側ネジ部の下方に潜り込ませるように変形させるため、開栓時にスクリューキャップが回転する際、TEバンドが全周にわたって容器口部に密着しているため、接触面積が増加し、回転トルクが大きくなり、初動時及びブリッジを破断させるために必要な力が大きくなってしまい、開栓しにくくなる虞があった。
また、ブリッジが全周にわたって断続的に複数形成されている場合、それぞれのブリッジに開栓時の負荷が均一にかかるため、開栓に大きな力が必要になってしまい、開栓しにくくなる虞があった。
【0011】
本発明は、これらの問題点を解決するものであり、簡単な構成で、容器口部への装着時にブリッジに大きな負荷を与えることがなく、製造コストの増加を抑制でき、開栓時の回転トルクの増加を抑制可能なスクリューキャップを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明のスクリューキャップは、キャップ本体と、前記キャップ本体の下部に接続されたTEバンドとを有するスクリューキャップであって、前記キャップ本体は、キャップ天面と、前記キャップ天面の外周縁から垂下するスカート壁と、前記スカート壁の内周面に形成されたキャップ側ネジ部とを有し、前記TEバンドは、円筒状に形成されたバンド本体と、前記バンド本体の上端を前記スカート壁の下端に接続するブリッジとを有し、前記ブリッジは、前記バンド本体と前記スカート壁との間に周方向に断続的に設けられ、前記バンド本体外周面には、複数の凹部が形成され、内周面から内方に突出する複数の係止部を有することにより、前記課題を解決するものである。
【発明の効果】
【0013】
請求項1に係るスクリューキャップは、バンド本体が、半径方向内方に突出するように形成した複数の係止部を有しているため、バンド本体の厚みはほぼ変わらず係止部が形成された箇所のバンド本体の外周面は内径側に凹んだ形状となることで、キャッピング時に係止部がカブラを乗り越えても、TEバンドの変形が外周面の凹部に吸収されることでTEバンド全体の拡径を抑制できる。
これによって、TEバンドの拡径によるブリッジへかかる負荷を低減できるため、キャッピング時のブリッジの破断を抑制できるとともに、スクリューキャップ成形時においてブリッジ自体の破断強度を低減することもできる。
また、TEバンド全体の拡径を抑制できるため、例えば、カブラの寸法公差が大きく、カブラの外径が、通常の係止手段ではブリッジ切れが発生してしまうほど大きいものとすっぽ抜けが発生してしまうほどの小さいものとが混在する場合でも、係止部の内方への突出量を通常の係止手段よりも増加させることで、外径の大きなカブラを乗り越えても凹部によってTEバンド全体の拡径を十分に抑制してブリッジ切れを防止できるとともに、外径の小さなカブラに対しても十分に係止部が係止してすっぽ抜けを防止できる。
また、TEバンドに肉厚を持ったフックやフラップ等の係合部を形成する必要がなく、樹脂量の削減が可能である。
さらに、係止部を設けずに形成したTEバンドを有するスクリューキャップをキャッピングしてから、後加工でTEバンドを変形させて係止部を形成すれば、キャッピング時にカブラにTEバンドが干渉しないため、TEバンドが拡径せず、ブリッジにも負荷がかかることがない。
これによって、より一層ブリッジの破断強度を低減することができ、より軽い力で開栓することができる。
また、係止部は、バンド本体の周方向に複数形成されているため、全周に連続して係止部がある場合に比べて、容器口部と係止部とが接触する面積を減らすことができる。
これによって、容器口部と係止部との間の摩擦力を低減できるため、開栓時にスクリューキャップを回転させる際の回転トルクを小さくでき、軽い力でスクリューキャップを回転して開栓することができる。
【0014】
請求項2に記載の構成によれば、係止部は、バンド本体の下端まで形成されているため、例えば、キャッピング後にTEバンドの外周面に治具を押し当てて係止部を形成する場合、TEバンドの加工代を確保できるため、所望の係止部の形状および変形量を得ることができる。
また、TEバンドに押し当てた治具を若干下方に移動させながら半径方向外方へ移動することで、治具がTEバンドに引っかかることなく迅速且つ確実にTEバンドから離脱することができ、作業効率が向上する。
【0015】
請求項3に記載の構成によれば、係止部の上端は、上に凸の弧状に形成され、係止部は、上端から下端にかけてバンド本体の周方向に拡がるように形成されているため、TEバンドの下方側が拡径しやすく、ブリッジに近いTEバンドの上方側が下方側に比べて拡径しにくくなり、係止部を形成したスクリューキャップをキャッピングする際、カブラを乗り越える際にTEバンドの変形をブリッジから遠い下方側で吸収させることができ、より一層ブリッジの破断を抑制できるとともに、キャップ成形時にブリッジ自体の破断強度を低減することもできる。
また、係止部の上端が上に凸の弧状であることから係止部を形成した際、成型金型からの離脱を確実に行うことができる。
請求項4の記載の構成によれば、係止部の上端は、軸方向にみてそれぞれ同一の高さで形成されているため、開封時にTEバンドは斜めに上昇することがなく、係止部の上端がボトルカブラと均一に当接し係合することで、ブリッジを確実に破断してから開封することができる。
換言すれば、ブリッジを破断することなくTEバンドがキャップ本体と接続したまま容器から不意に離脱(いわゆるすっぽ抜け)してしまうことを抑制できる。
請求項5に記載の構成によれば、係止部の最上端は、最も近傍に形成されたブリッジの直下に配置されているため、開栓時に係止部のそれぞれに最も近傍に形成されたブリッジに対してより一層力が集中して破断を開始する。
これにより軽い力でブリッジを破断させて開栓することができる。
また、開栓時には、係止部近傍に形成されたブリッジに対して力が集中して他のブリッジよりも先に破断を開始するため、全周に係止部を形成した場合に比べてより一層軽い力でブリッジを破断させて開栓することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の一実施形態に係るスクリューキャップ100の、係止部が形成されていない状態を示す側面半断面図。
【
図2】本発明の一実施形態に係るスクリューキャップ100の、係止部が形成された状態を示す側面半断面図。
【
図3】本発明の一実施形態に係るスクリューキャップ100の、キャッピング手順1を示す半断面図。
【
図4】本発明の一実施形態に係るスクリューキャップ100の、キャッピング手順2を示す半断面図。
【
図5】本発明の一実施形態に係るスクリューキャップ100の、キャッピング手順3を示す半断面図。
【
図6】本発明の一実施形態に係るスクリューキャップ100を装着した容器の、係止部122の成形方法を示すA部拡大図。
【
図7】本発明の一実施形態に係るスクリューキャップ100を装着した容器の、開栓手順1を示す半断面図。
【
図8】本発明の一実施形態に係るスクリューキャップ100を装着した容器の、開栓手順2を示す半断面図。
【
図9】本発明の一実施形態に係るスクリューキャップ100を装着した容器の、係止部122の成形方法の一例を示す上面模式図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に、本発明の一実施形態に係るスクリューキャップ100について、
図1乃至
図9を用いて説明する。
【0018】
本発明の一実施形態に係るスクリューキャップ100は、
図1および
図2に示すように、TEバンド120を有し、容器Bの口部Bmに装着されるものであり、キャップ本体110と、キャップ本体110の下部にブリッジ123を介して接続されたTEバンドとを有している。
【0019】
キャップ本体110は、キャップ天面111と、キャップ天面111の外周縁から垂下するスカート壁114とを有している。
キャップ天面111の下面には、下方に延びる環状のインナーリング112およびアウターリング113が形成されている。
スカート壁114の内周面には、断続的に形成されたキャップ側ネジ部115が形成され、スカート壁114の外周面には、上下方向に延びるナール116が全周にわたって形成されている。
【0020】
TEバンド120は、筒状に形成されたバンド本体121と、バンド本体121の外周面に形成された複数の凹部124と、バンド本体121の内周面のうち、複数の凹部124の形成箇所から半径方向内方に突出するように形成した係止部122と、バンド本体121の上部に断続的に複数設けられたブリッジ123とを有している。
TEバンド120はキャップ本体110の外径よりも外径は小さく、側肉厚も薄く、後述する容器Bの口部BmのカブラBcの外径よりもTEバンド120の内径は小さい。
【0021】
なお、ブリッジ123の形成にあたってはスクリューキャップ100を成形後、TEバンド120にカッターなど工具で後成形する方法と、スクリューキャップ100の成形と同時にブリッジ123が成形される金型による方法が一般的だが、公知のあらゆる成形方法でブリッジ123は成形されてよい。
係止部122は、バンド本体121の上部から下端まで形成されており、係止部122の上端は上に凸の弧状に形成され、下方に向かうにしたがって徐々に幅広になるように形成されている。
【0022】
なお、係止部122は、スクリューキャップ100を容器Bの口部Bmに装着(キャッピング)する前に形成する場合と、キャッピング後に形成する場合がある。
また、バンド本体121の厚みは係止部122の成形性を鑑み、バンド本体121の内周面に係止手段等の突起を有する形状に成形する場合に比べて薄く成形されてもよい。
【0023】
容器Bの口部Bmは、円筒状に形成され、口部Bmの外周面には、断続的に隙間を設けて形成された容器側ネジ部Bsと、容器側ネジ部Bsよりも下方から半径方向外方に突出形成されたリング状のカブラBcとが設けられている。
【0024】
次に、本発明の一実施形態に係るスクリューキャップ100の、容器Bの口部Bmへのキャッピング手順について、
図3乃至
図6を用いて説明する。
なお、スクリューキャップ100の係止部122は、スクリューキャップ100を口部Bmに装着した後に形成するものとして説明する。
【0025】
まず、容器Bの口部Bmの上方にスクリューキャップ100を移動した後、スクリューキャップ100を口部Bmへ押圧しながら回転させる。
これによって、キャップ側ネジ部115と容器側ネジ部Bsとが噛み合うと、徐々にスクリューキャップ100は回転しながら容器Bm側に下降する。
【0026】
このとき、バンド本体121には係止部122がまだ形成されていないため、TEバンド120はカブラBcに干渉することなく通過できる。
これによって、バンド本体121がカブラBcによって拡径されることがなく、バンド本体121が拡径した際に生じるブリッジ123を破断する方向にかかる力が発生しないため、ブリッジ123の強度を低く設計することができ、さらに開栓時のブリッジ123を破断するために必要な力を軽くできる。
【0027】
スクリューキャップ100の回転を続けると、
図4に示すように、口部Bmの先端がインナーリング112とアウターリング113との間に挟まれる位置でキャップ天面111と当接し、スクリューキャップ100の下降が止まる。
【0028】
次に、TEバンド120の係止部122の形成について、
図5および
図6を用いて説明する。
【0029】
スクリューキャップ100の下降が止まった後、バンド本体121の外周面を、加熱した治具である押圧変形部材Tで押圧する。
押圧変形部材Tがバンド本体121を押圧する先端部Taは、上端部が上に凸の弧状に形成され、下方に向かうに従って幅広となっており、TEバンド120の下端まで変形可能な形状を有している。
なお、自由端であるTEバンド120の下端側から変形させるため、所望の押圧変形部Tを形成することができる。
【0030】
押圧変形部材Tは加熱されているため、バンド本体121の押圧変形部材Tで押圧した箇所が温められて柔らかくなり、
図6に示すように、押圧変形部材Tの形状に沿ってバンド本体121が変形して口部Bmの外周面に押し付けられ、係止部122が形成される。
押圧変形部材Tがバンド本体121から離脱すると、係止部122は押圧変形部材Tに押圧された際の形状を維持したまま冷やされて形状が固定される。
これによって、TEバンド120は係止部122をカブラBcの下方且つ口部Bmに密着するように配置することができ、容器Bへのスクリューキャップ100のキャッピングが完了する。
【0031】
なお、係止部122はTEバンド120の周方向に断続的に複数設けられているため、例えば、キャッピングしたスクリューキャップ100と口部Bmとの間に液体を通して洗浄する場合、液体がTEバンド120の内周面と口部Bmとの間に溜まることがなく、確実にスクリューキャップ100と口部Bmとの間の空間を洗い流すことができる。
また、係止部122は、バンド本体121の下端まで形成されているため、押圧変形部材Tをバンド本体121の下方側を越えて大きく形成することができ、加熱した押圧変形部材Tを極端に加熱しなくてもバンド本体121に係止部122を形成するのに十分な熱量を維持することができ、係止部122の成形不良や焦げ付きを防止できる。
さらに、バンド本体121を押圧した押圧変形部材Tを離脱させる際に、若干下方に移動させることができるため、押圧変形部材TがTEバンド120に引っかかることなく迅速且つ確実にTEバンド120から離脱することができ、作業効率が向上する。
【0032】
また、バンド本体121の厚みは、バンド本体121の内周面に係止手段等の突起を有する形状に成形する場合に比べて突起がなくバンド本体121全体が薄肉で柔軟であるとともに凹部124が形成されているため、係止部122を形成した後でキャッピングを実施した場合でも、カブラBcを乗り越える際にTEバンド120が柔軟に変形しやすく、凹部124によって極端なTEバンド120全体の拡径を抑制でき、ブリッジ123が破断してしまうような負荷を受けることがない。
また、TEバンド120全体の拡径を抑制できるため、例えば、カブラBcの寸法公差が大きく、カブラBcの外径が、通常の係止手段ではブリッジ切れが発生してしまうほど大きいものとすっぽ抜けが発生してしまうほどの小さいものとが混在する場合でも、係止部122の内方への突出量を通常の係止手段よりも増加させることで、外径の大きなカブラBcを乗り越えても凹部122によってTEバンド全体の拡径を十分に抑制してブリッジ123の切れを防止できるとともに、外径の小さなカブラBcに対しても十分に係止部122が係止してすっぽ抜けを防止できる。
【0033】
次に、本発明の一実施形態に係るスクリューキャップ100を装着した容器Bの開栓手順について、
図7および
図8を用いて説明する。
【0034】
まず、ナール116部分を指で掴んでスクリューキャップ100を開栓方向に回転させると、キャップ側ネジ部115と容器側ネジ部Bsとの係合に沿ってスクリューキャップ100が口部Bmから離脱する方向へ上昇を開始する。
キャップ本体110はスクリューキャップ100の回転に伴って上昇するが、TEバンド120はカブラBcの下方に係止部122が干渉するため、TEバンド120の上昇は制限される。
これによって、キャップ本体110とTEバンド120とを接続するブリッジ123が破断する方向へ力を受ける。
【0035】
このとき、係止部122の上端はカブラBcと直接干渉しているため、係止部122の上端から近いブリッジ123の周囲は、係止部122の上端から遠いブリッジ123の周囲に比べてTEバンド120の変形量が少なく、ブリッジ123にかかる力が集中しやすい。
したがって、係止部122の上端に近いブリッジ123が、係止部122の上端から遠いブリッジ123よりも先に破断し、その後係止部122の上端から遠いブリッジ123に力が大きくかかるようになる。
スクリューキャップ100の上昇に伴って、
図8に示すように全てのブリッジ123が破断すると、TEバンド120は口部Bmに残り、キャップ本体110のみ口部Bmから離脱し、開栓を完了する。
【0036】
すなわち、全てのブリッジ123に均一にブリッジ123を破断する方向への力を同時に受ける場合に比べて、本発明の一実施形態に係るスクリューキャップ100は、小さい力でブリッジ123を破断して開栓できるものである。
また、バンド本体121の周方向に対する係止部122の形成位置は特に限定されないが、複数のブリッジ123のうち特定のブリッジ123の直下に位置するように選択的に係止部122を形成することで、ブリッジ123を破断する順番を制御することもできる。
【0037】
なお、係止部122は押圧変形部材Tの先端形状に沿って変形しているため、例えば、押圧変形部材Tの先端形状が略弧状に形成されていた場合、係止部122と口部Bmとの接触面積が少なくなるため、開栓時にスクリューキャップ100の回転トルクの増加を抑制でき、より一層軽い力で開栓することができる。
【0038】
また、凹部124および係止部122の形成方法は特に限定されず、キャップ成形金型によって他の構成と同時に形成されていてもよく、押圧変形部材Tをバンド本体121に外周面から押圧することで形成するものでもよく、例えば、押圧変形部材Tを定点で進退移動させ、スクリューキャップ100を押圧変形部材Tに押圧される位置で自転させて次々に凹部124および係止部122を形成してもよく、複数の割ツメによって形成される円筒部材において、割ツメ内面の先端に押圧変形部材Tを形成してバンド本体120を覆うように配置し、割ツメを閉じることでバンド本体120の全周に同時に凹部124および係止部122を形成してもよく、
図9に示すように、搬送路Rの側方に位置固定された押圧変形部材Tに対して、スクリューキャップ100が自転するように搬送路R上を移動しながらバンド本体121を押圧変形部材T(先端部Ta)に押し当てることで凹部124および係止部122を形成してもよい。
【0039】
以上、本発明の実施形態を詳述したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明を逸脱することなく種々の設計変更を行うことが可能である。
【0040】
なお、上述した実施形態では、係止部は、バンド本体の下方まで形成され、係止部の上端部を上に凸の弧状に形成され、下方に向かうにしたがって徐々にTEバンドの周方向へ拡径するように形成されているものとして説明したが、係止部の形状はこれに限定されず、例えば、バンド本体の中央付近に球面上に形成されていてもよく、係止部の下端がバンド本体の下端まで到達していなくてもよい。
また、上述した実施形態では、キャップ本体の外周面にはナールが形成されているものとして説明したが、キャップ本体の構成はこれに限定されず、例えば、ナールが形成されていなくてもよい。
【0041】
また、上述した実施形態では、係止部がカブラの下方に位置するように形成されるものとして説明したが、係止部の形成位置はこれに限定されず、例えば、カブラを有さない容器の口部に対して、キャップ側ネジ部の下方に位置するように係止部を形成してもよい。
また、上述した実施形態では、キャップ側ネジ部および容器側ネジ部が断続的に隙間を設けて形成されているものとして説明したが、キャップ側ネジ部および容器側ネジ部の形状はこれに限定されず、例えば、キャップ側ネジ部および容器側ネジ部が隙間を設けずに連続するように形成されていてもよい。
【符号の説明】
【0042】
100 ・・・ スクリューキャップ
110 ・・・ キャップ本体
111 ・・・ キャップ天面
112 ・・・ インナーリング
113 ・・・ アウターリング
114 ・・・ スカート壁
115 ・・・ キャップ側ネジ部
116 ・・・ ナール
120 ・・・ TEバンド
121 ・・・ バンド本体
122 ・・・ 係止部
123 ・・・ ブリッジ
124 ・・・ 凹部
B ・・・ 容器
Bm ・・・ 口部
Bs ・・・ 容器側ネジ部
Bc ・・・ カブラ
T ・・・ 押圧変形部材(治具)
Ta ・・・ 先端部
R ・・・ 搬送路