(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024093201
(43)【公開日】2024-07-09
(54)【発明の名称】画像解析装置、画像解析方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
A61B 6/00 20240101AFI20240702BHJP
【FI】
A61B6/00 360Z
A61B6/00 330A
A61B6/00 350D
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022209416
(22)【出願日】2022-12-27
(71)【出願人】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001254
【氏名又は名称】弁理士法人光陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】深津 幸助
【テーマコード(参考)】
4C093
【Fターム(参考)】
4C093AA13
4C093AA26
4C093CA18
4C093CA30
4C093DA03
4C093EB12
4C093EB13
4C093EB17
4C093EE02
4C093FA35
4C093FA42
4C093FF16
4C093FF22
4C093FF24
(57)【要約】
【課題】所望する動態画像解析データの提供をより早く行うことができる。
【解決手段】
複数のフレーム画像からなる被写体の動態画像を取得する画像取得部(制御部41)と、動態画像の解析順序または出力順序を指定する指定部(制御部41)と、指定部により指定された解析順序または出力順序に基づいて、動態画像の解析順序を設定する設定部(制御部41)と、設定部により設定された解析順序に基づいて、動態画像を解析して解析結果データを生成する解析部(制御部41)と、解析結果データを出力する出力部(制御部41)と、を備える画像解析装置4。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のフレーム画像からなる被写体の動態画像を取得する画像取得部と、
前記動態画像の解析順序または出力順序を指定する指定部と、
前記指定部により指定された解析順序または出力順序に基づいて、前記動態画像の解析順序を設定する設定部と、
前記設定部により設定された解析順序に基づいて、前記動態画像を解析して解析結果データを生成する解析部と、
前記解析結果データを出力する出力部と、
を備える画像解析装置。
【請求項2】
前記指定部は、入力部を介してユーザー操作により入力された情報に基づいて、前記動態画像の解析順序または出力順序を指定する請求項1記載の画像解析装置。
【請求項3】
前記出力部は、前記解析順序に基づき、解析が完了した解析結果データから順次出力する請求項1に記載の画像解析装置。
【請求項4】
前記解析部は、照射野認識処理、濃度/コントラスト調整処理、特定成分差分処理、周波数強調処理、特定成分追跡処理、特定信号変化量抽出処理、特定類似波形パターン抽出処理、集積画像差分処理、基準フレーム比計算処理、相互相関計算処理の少なくともいずれかの処理を施した解析画像を生成する請求項1に記載の画像解析装置。
【請求項5】
前記指定部により指定された解析順序または出力順序を記憶部に保存する保存部を備える請求項1に記載の画像解析装置。
【請求項6】
前記出力順序には、表示順序が含まれる請求項1に記載の画像解析装置。
【請求項7】
表示部と、
を備え、
前記出力部は、コンソール表示画像と同等の所定の画像処理が施された画像を最優先で前記表示部に表示させる請求項1から6のいずれか一項に記載の画像解析装置。
【請求項8】
複数のフレーム画像からなる被写体の動態画像を取得する画像取得ステップと、
前記動態画像の解析順序または出力順序を指定する指定ステップと、
前記指定ステップにより指定された解析順序または出力順序に基づいて、前記動態画像の解析順序を設定する設定ステップと、
前記設定ステップにより設定された解析順序に基づいて、前記動態画像を解析して解析結果データを生成する解析ステップと、
前記解析結果データを出力する出力ステップと、
を含む画像解析方法。
【請求項9】
画像解析装置のコンピューターを、
複数のフレーム画像からなる被写体の動態画像を取得する画像取得部、
前記動態画像の解析順序または出力順序を指定する指定部、
前記指定部により指定された解析順序または出力順序に基づいて、前記動態画像の解析順序を設定する設定部、
前記設定部により設定された解析順序に基づいて、前記動態画像を解析して解析結果データを生成する解析部、
前記解析結果データを出力する出力部、
として機能させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像解析装置、画像解析方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
放射線画像の撮影手法の一つに、動態撮影がある。
動態撮影においては、複数のフレーム画像を所定周期(例えば1秒間に15回)で繰り返し生成する。この動態撮影により得られる動態画像を表示装置で再生する(複数のフレーム画像を順次表示する)ことで、撮影対象部位(例えば肺野)の動きを観察することが可能となる。
また、特許文献1に記載されたような、動態画像の画像データに、各種画像解析を施すことで、より詳細に、撮影対象部位の動きを観察できる画像解析装置が知られている。
ここで、特許文献1に記載された画像解析装置は、ユーザーが、動態画像データや解析結果データを確認目的に基づいて選択するための手段を備えている。つまり、特許文献1に記載された画像解析装置では、ユーザーによる選択の前に既に、動態画像解析が行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、動態画像解析が行われていない段階で、動態画像に対しユーザーによる解析結果データの確認の指示が出された場合、予め設定された手順に従い動態画像解析を実施するので、場合によって所望する動態画像解析データの出力に時間がかかってしまうという課題がある。
【0005】
したがって、本発明の課題は、所望する動態画像解析データの提供をより早く行うことである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記の問題を解決するために、本発明に係る画像解析装置は、
複数のフレーム画像からなる被写体の動態画像を取得する画像取得部と、
前記動態画像の解析順序または出力順序を指定する指定部と、
前記指定部により指定された解析順序または出力順序に基づいて、前記動態画像の解析順序を設定する設定部と、
前記設定部により設定された解析順序に基づいて、前記動態画像を解析して解析結果データを生成する解析部と、
前記解析結果データを出力する出力部と、
を備える。
【0007】
また、本発明に係る画像解析方法は、
複数のフレーム画像からなる被写体の動態画像を取得する画像取得ステップと、
前記動態画像の解析順序または出力順序を指定する指定ステップと、
前記指定ステップにより指定された解析順序または出力順序に基づいて、前記動態画像の解析順序を設定する設定ステップと、
前記設定ステップにより設定された解析順序に基づいて、前記動態画像を解析して解析結果データを生成する解析ステップと、
前記解析結果データを出力する出力ステップと、
を含む。
【0008】
また、本発明に係るプログラムは、
画像解析装置のコンピューターを、
複数のフレーム画像からなる被写体の動態画像を取得する画像取得部、
前記動態画像の解析順序または出力順序を指定する指定部、
前記指定部により指定された解析順序または出力順序に基づいて、前記動態画像の解析順序を設定する設定部、
前記設定部により設定された解析順序に基づいて、前記動態画像を解析して解析結果データを生成する解析部、
前記解析結果データを出力する出力部、
として機能させる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、所望する動態画像解析データの提供をより早く行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の実施形態に係る画像表示システムを表すブロック図である。
【
図2】
図1の画像表示システムが備える画像解析装置の一例を表すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。ただし、本発明の範囲は、以下の実施形態や図面に記載されたものに限定されるものではない。
【0012】
<第1実施形態>
〔画像表示システム〕
まず、本実施形態に係る画像表示システムの概略構成について説明する。
図1は画像表示システム100を表すブロック図である。
【0013】
本実施形態の画像表示システム100は、
図1に示すように、病院情報システム(Hospital Information System:以下、HIS1)、放射線科情報システム(Radiology Information System:以下、RIS2)と、コンソール3と、画像解析装置4と、画像保存通信システム(Picture Archiving and Communication System:以下、PACS5)と、クライアント6と、を備えている。
これらは、通信ネットワーク7を介して互いに通信可能となっている。
また、本実施形態においては、HIS1、RIS2、コンソール3、画像解析装置4及びPACS5が、画像表示システム100aを構成している。
【0014】
また、画像表示システム100は、通信ネットワーク7を介して図示しないモダリティーと接続されている。
モダリティーは、複数のフレーム画像からなる動態画像を生成することが可能なものであればよく、例えばパネル状の放射線画像撮影装置等を用いることができる。ここで、動態画像とは、生体における対象部位(例えば胸部の肺野周辺や心臓等)を含む被写体に対し、X線等の放射線をパルス状にして所定時間間隔で繰り返し照射するか(パルス照射)、もしくは、低線量率にして途切れなく継続して照射する(連続照射)ことで得られる画像である。なお、動態画像には、動画が含まれるが、動画を表示しながら静止画を撮影して得られた画像は含まれない。
なお、モダリティーを、直接通信ネットワーク7に接続するのではなく、他の装置等(コンソール3や画像解析装置4、PACS5等)を介して接続するようにしてもよい。
また、モダリティーから画像表示システム100への画像の転送を、通信ネットワークを介して行うのではなく、記憶媒体やケーブルを用いて行うようにしてもよい。
【0015】
本実施形態に係るコンソール3は、PCや専用の装置で構成されている。
また、コンソール3は、他の装置等(HIS1やRIS2等)から取得した検査情報や操作者による操作に基づいて、各種撮影条件(管電圧や管電流、照射時間(mAs値)、フレームレート等)をモダリティー等に設定することが可能となっている。
【0016】
画像解析装置4は、PCや専用の装置で構成されている。
また、画像解析装置4は、モダリティーから取得した動態画像を解析し、解析結果データを生成することが可能となっている。なお、解析結果データは、解析された動態画像である解析画像、解析画像に基づき生成された各種グラフ等の解析結果も含む。
この画像解析装置4については後述する。
【0017】
本実施形態におけるPACS5は、PCや専用の装置によって構成されている。
また、PACS5は、データベース(DB)51を備えており、モダリティーから取得した動態画像、画像解析装置4が生成した解析結果データ等をデータベース51に保存することが可能となっている。
また、PACS5は、他の装置等(コンソール3、画像解析装置4、クライアント6等)からの要求に基づき、データベース51に保存している各種画像や各種データの中から、要求に応じた画像やデータを他の装置等へ送信するようになっている。
なお、データベース51は、PACS5から独立した装置として設けられていてもよい。
【0018】
本実施形態におけるクライアント6は、タブレット端末等で操作者が携帯することが可能に構成されている。ユーザーまたはサービスマンは、クライアント6を使用して、通信ネットワーク7に接続された各種装置を操作できる。
【0019】
〔画像解析装置〕
次に、上記画像表示システム100が備える画像解析装置4の具体的構成について説明する。
図2は、画像解析装置4を表すブロック図である。
【0020】
本実施形態に係る画像解析装置4は、
図2に示すように、制御部41と、通信部42と、記憶部43と、表示部44と、操作部45と、を備えている。
【0021】
制御部41は、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)等により構成される。制御部41のCPUは、記憶部43に記憶されている各種プログラムを読出してRAM内に展開し、展開されたプログラムに従って各種処理(後述する画像解析処理など)を実行し、画像解析装置4各部の動作を集中制御する。
そして、制御部41は、複数のフレーム画像からなる被写体の動態画像を取得する画像取得部として機能する。
また、制御部41は、動態画像の解析順序または出力順序を指定する指定部として機能する。
また、制御部41は、指定部により指定された解析順序または出力順序に基づいて、動態画像の解析順序を設定する設定部として機能する。
また、制御部41は、設定部により設定された解析順序に基づいて、動態画像を解析して解析結果データを生成する解析部として機能する。制御部41は、照射野認識処理、濃度/コントラスト調整処理、特定成分差分処理、周波数強調処理、特定成分追跡処理、特定信号変化量抽出処理、特定類似波形パターン抽出処理、集積画像差分処理、基準フレーム比計算処理、相互相関計算処理の少なくともいずれかの処理を施した解析画像を生成する。
また、制御部41は、解析結果データを出力する出力部として機能する。
また、制御部41は、指定部により指定された解析順序または出力順序を記憶部43などの記憶部に保存する保存部として機能する。
なお、出力順序とは、制御部41が表示部44等に解析結果データを出力する順序である。また、出力順序には、解析結果データが表示部44等に表示される順序である表示順序などが含まれる。また、出力順序は、通信部42を介した解析データの送信順序でもよい。
【0022】
通信部42は、無線モジュール等で構成され、通信ネットワーク7(LAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)、インターネット等)を介して接続された他の装置等1~3,5,6との間で各種信号や各種データを送受信することが可能となっている。
【0023】
記憶部43は、不揮発性の半導体メモリーやハードディスク等により構成され、制御部41により保存された解析順序や表示順序や出力順序、制御部41が実行する各種プログラムやプログラムの実行に必要なパラメーター等を記憶している。
また、記憶部43は、通信部42を介して受信した動態画像などの各種データを記憶している。
【0024】
表示部44は、LCD(Liquid Crystal Display)やCRT(Cathode Ray Tube)等のモニターにより構成され、制御部41から入力される表示信号の指示に従って、各種画面(後述する解析順序設定画面や解析結果画面)等を表示するようになっている。
【0025】
操作部45は、カーソルキーや、数字入力キー、各種機能キー等を備えたキーボードや、マウス等のポインティングデバイス、表示部44の表面に積層されたタッチパネル等によって操作者が操作可能に構成されている。また、操作部45は、操作者によってなされた操作に基づく各種信号を制御部41に出力する。
また、操作部45は、ユーザーまたはサービスマンが、情報を入力する入力部として機能する。
【0026】
〔画像解析処理〕
次に、
図3を用いて、画像解析装置4の制御部41により実行される画像解析処理について説明する。画像解析処理とは、解析順序に基づき、動態画像を解析する処理である。なお、解析対象の動態画像は、記憶部43に記憶されているものとする。
【0027】
まず、制御部41は、表示部44に
図4に示す解析順序設定画面44Aを表示させ、ユーザーまたはサービスマンによる操作部45の操作に基づき制御部41が指定した解析順序または出力順序に基づいて、解析順序を設定する(ステップS1;設定ステップ)。
なお、ユーザーまたはサービスマンによる操作部45の操作に基づき制御部41が出力順序を指定した場合、制御部41は、出力順序に基づき、解析順序を算出し、その上で解析順序を設定する。
また、設定ステップS1は、後述する第2画像解析ステップS6より以前に完了していればよい。例えば、設定ステップS1は、画像解析処理の事前に行われていてもよいし、後述する第2画像解析ステップS6の直前に行われてもよい。また、設定ステップS1は、ユーザーまたはサービスマンが動態画像から正しい解析結果を得られるかどうかなどの確認を優先したい場合、後述する第1画像解析ステップS3の後に行われてもよい。
また、制御部41は、自動で解析順序を設定してもよい。例えば、制御部41は、動態画像の情報(解析対象の部位やその下位情報など)から、記憶部43に記憶された過去の解析順序を参照し、自動で解析順序を設定することが挙げられる。
【0028】
ここで、
図4に示す解析順序設定画面44Aを説明する。
部位指定領域A1は、解析対象の部位等(例えば、胸部、整形等)を指定する領域である。
撮影部位指定領域A2は、解析対象の部位の下位情報(例えば、胸部立位シリアルP→A(深呼吸)、胸部立位シリアルP→A(息止め)など)を指定する領域である。
撮影プロトコル指定領域A3は、解析対象の撮影プロトコル(例えば、深呼吸、息止め)を指定する領域である。
なお、部位指定領域A1、撮影部位指定領域A2及び撮影プロトコル指定領域A3は、例えば、
図4の撮影部位指定領域A2の表示のように、コンボボックスを用いて表示される。部位指定領域A1、撮影部位指定領域A2及び撮影プロトコル指定領域A3は、コンボボックスを用いた表示に限定されない。
解析順序指定領域A4は、ユーザーまたはサービスマンが操作部45を用いて解析順序を指定する領域である。ユーザーまたはサービスマンは、矢印A5のように行を移動することで、解析順序を指定する。なお、初期表示としては、記憶部43において、部位指定領域A1及び/または撮影部位指定領域A2で設定された部位もしくはその下位情報に紐づけられたデフォルトの解析順序が表示されるものとする。
OKボタンB1は、押下されると制御部41が解析順序を設定(決定)するボタンある。
閉じるボタンB2は、解析順序設定画面44Aを閉じるボタンである。
なお、ユーザーまたはサービスマンによる操作部45の操作に基づき出力順序や表示順序が指定される場合、解析順序指定領域A4の列名を出力順序や表示順序とし、解析順序指定領域A4は出力順序指定領域や表示順序指定領域となる。
【0029】
ここで、解析順序指定領域A4の内容を説明する。
解析種別とは、下記のような種別の画像解析方法を指す。なお、各画像解析は、後述する画像処理のいずれか、もしくはいずれかの組み合わせで実行される。
換気解析(PL-MODE)とは、特定の時間周波数帯域における時間方向の信号変化を抽出し、呼吸時の肺組織挙動を可視化する方法である。
血流解析(PH-MODE)とは、心拍と同期する肺野内の信号変化を可視化する方法である。
横隔膜移動量解析(DM-MODE)とは、呼吸に伴う横隔膜の上下運動を追跡する方法である。
構造物解析(FE-MODE)とは、特定の空間周波数帯域を強調表示し、肺組織の視認性を向上させる方法である。
癒着解析(LM-MODE)とは、組織の癒着度合いを可視化する方法である。
気管径解析(TD-MODE)とは、気管壁の輪郭を抽出し、最大/最小気管径を計測する方法である。
【0030】
解析要否とは、解析を行う必要があるかどうかということであり、ユーザーまたはサービスマンにより選択することができる。
解析順序とは、解析を行う順番である。なお、ユーザーまたはサービスマンにより矢印A5のように行が移動されると、自動で順番は変更される。
画像出力とは、解析後に画像を出力するかどうかということであり、ユーザーまたはサービスマンにより選択することができる。ここで、解析後に画像を出力しないケースとは、制御部41が、解析後に画像を表示部44に表示させず、記憶部43に画像を記憶させるケースである。例えば、解析後に、ユーザーまたはサービスマンが、クライアント6を用いて、画像を参照するケースなどが挙げられる。
【0031】
なお、
図4に示す解析順序設定画面44Aに、併せて、
図5に示す解析シーケンス表示領域A6を表示させてもよい。これにより、ユーザーまたはサービスマンは、解析順序を視認しやすくなる。
解析シーケンス表示領域A6とは、解析順序指定領域A4で指定された解析順序で解析を行った場合の解析処理のイメージ図である。解析シーケンス表示領域A6において、各矢印は、各解析処理にかかる時間の長さを示している。
なお、各解析処理にかかる時間は、既にデフォルト設定された目安の処理時間でもよいし、制御部41が解析対象の動態画像を取得しているのであれば、動態画像のサイズ等から過去の処理時間を基に予測してもよい。
また、制御部41は、並列処理可能かどうかを判断し、表示部44に、各解析処理のうち、並列処理できるものは並列して処理できることを示してもよい。例えば、
図5に示す解析シーケンス表示領域A6では、換気解析~構造物解析では、部分的に並行して処理が行われている。なお、並列処理可能かどうかの判断においては、制御部41は、過去の処理を基に判断してもよいし、既にデフォルト設定された並列処理可能かどうかを示す情報を基に判断してもよい。
【0032】
次に、制御部41は、記憶部43から解析対象の動態画像(第1画像解析、第2画像解析の元となる画像)を取得する(ステップS2;画像取得ステップ)。
【0033】
次に、制御部41は、動態画像に対して第1画像解析を実行する(ステップS3;第1画像解析ステップ)。
第1画像解析とは、コンソール表示画像と同等の所定の画像処理をステップS2で取得した画像に対して行う解析である。例えば、コンソール表示画像と同等の所定の画像処理とは、照射野認識処理、濃度/コントラスト調整処理などであり、動態画像撮影時にコンソール3で動態画像の解析に問題が無いことを確認する際に施される処理と同等の処理である。なお、第1画像解析は、同等の処理であればよく、必ずしも同じ処理でなくてもよい。つまり、第1画像解析は、動態画像の解析に問題が無いことが確認できるような画像処理であればよいのであり、動態画像撮影時にコンソール3で動態画像に施される処理とは異なる処理でもよい。
なお、制御部41が、ステップS2にて、コンソール表示画像と同等の所定の画像処理が既に施された画像を取得している場合、ステップS3(第1画像解析)は不要である。
また、動態画像に対してコンソール表示画像と同等の所定の画像処理が施された画像を、オリジナル画像とする。
【0034】
次に、制御部41は、表示部44に、第1画像解析が完了した画像(オリジナル画像)を出力する(ステップS4;出力ステップ)。制御部41は、後述する
図6や
図7のような解析結果画面の「Original」の箇所に、オリジナル画像を表示させる。
これにより、ユーザーまたはサービスマンは、画像解析処理の早い段階で、第1画像解析されたオリジナル画像を基に、動態画像から正しい解析結果を得られるかどうか等、解析可否判断することができる。なお、オリジナル画像を最優先で表示するため、第1画像解析は、解析順序設定画面44Aの解析順序指定領域A4の解析種別に含めない。
なお、ここでの完了とは、受信した全てのフレームにおける解析が完了した場合、または特定フレームにおける解析が完了した場合である。後者の場合、ステップS4と並行してステップS3(第1画像解析ステップ)は続けられる。なお、特定フレームは、デフォルト設定、ユーザー設定、第1画像解析における判定(例えば、一呼吸分のフレームを特定フレームとする等)により決定される。
【0035】
次に、制御部41は、ステップS2において複数の動態画像が取得されている場合、全動態画像の解析が完了したかどうか判断する(ステップS5)。制御部41が、完了したと判断した場合(ステップS5;YES)、画像解析処理は、ステップS6に進み、完了していないと判断した場合(ステップS5;NO)、画像解析処理は、ステップS3に進み、次の動態画像の第1画像解析を行う。
なお、ステップS2において一つの動態画像が取得されている場合、ステップS5は不要である。
【0036】
次に、制御部41は、動態画像に対して、ステップS1において設定された解析種別の順番に基づき、第2画像解析を実行する(ステップS6;第2画像解析ステップ)。
また、本実施形態に係る制御部41は、動態画像に1以上の画像処理を施すことが可能となっている。上記のように、解析種別とは、後述する画像処理のいずれか、もしくはいずれかの組み合わせである。
具体的には、特定成分差分処理、周波数強調処理、特定成分追跡処理、特定信号変化量抽出処理、特定類似波形パターン抽出処理、集積画像差分処理、基準フレーム比計算処理、相互相関計算処理の少なくともいずれかの処理を行う。
ここで、「特定成分差分処理」は、撮影対象部位における特定領域(例えば肺野内の肋骨や鎖骨)の信号値を低減することにより、特定領域以外の領域の視認性を高める処理である。
また、「周波数強調処理」は、撮影対象部位における特定領域のエッジの周波数を強調することにより特定領域を鮮明にする処理である。
また、「特定成分追跡処理」は、撮影対象部位における特定領域(例えば横隔膜)の移動量や速度を算出したり、二つの異なる特定領域の間(例えば肺尖と横隔膜との間)の距離を算出したりする処理である。
また、「特定信号変化量抽出処理」は、信号値の変化量を色の違いにより可視化する処理である。
また、「特定類似波形パターン抽出処理」は、特定の信号変化との類似度を色の違いにより可視化する処理である。
また、「集積画像差分処理」は、最大信号値の集積画像と最小信号値の集積画像の差分を表示することにより、撮影内での信号変化の総量を可視化する処理である。
また、「基準フレーム比計算処理」及び「相互相関計算処理」は、撮影対象部位における特定領域(例えば肺野)の濃度変化を抽出する処理である。
【0037】
次に、制御部41は、表示部44に、第2画像解析が完了した解析画像を順次出力する(ステップS7;出力ステップ)。制御部41は、後述する
図6や
図7のような解析結果画面44Bや解析結果画面44Cの「PH-MODE」等、解析種別に対応した箇所に、解析画像を順次表示させる。これにより、ユーザーまたはサービスマンは、所望する解析画像を、得たい順に得ることができる。
なお、ここでの完了とは、受信した全てのフレームにおける解析が完了した場合、または特定フレームにおける解析が完了した場合である。後者の場合、ステップS7と並行してステップS6(第2画像解析ステップ)は続けられる。なお、特定フレームは、デフォルト設定、ユーザー設定、第2画像解析における判定(例えば、一呼吸分のフレームを特定フレームとする等)により決定される。
【0038】
ここで、
図6や
図7に示す解析結果画面44Bや解析結果画面44Cを説明する。
検査情報表示領域A7は、例えば、患者ID、患者氏名、検査画像数、検査期間などの検査情報を表示する領域である。
解析画像表示領域A8は、上記した解析種別ごとに解析画像を表示する領域である。
解析状況表示領域A9は、実行中の解析の状況(例えば、「血流解析、50%完了」)を表示する領域である。また、制御部41は、解析状況表示領域A9に、解析種別ごとの残り解析時間(例えば、「残り5秒」)を表示させてもよい。
解析画像拡大表示領域A10は、解析画像表示領域A8に表示された解析画像のうち、選択された解析画像を拡大して表示する領域である。
解析結果表示領域A11は、解析画像(より具体的には、解析計測値)に基づき生成された各種グラフ等の解析結果を表示する領域である。
図7の例では、解析結果表示領域A11の上図は、左右の肺のある追跡点の移動量を、フレーム番号を横軸として並べた図である。また、解析結果表示領域A11の下図は、横軸を日付として、ある日付における最大肺野面積、最小肺野面積を示した図である。
【0039】
なお、解析状況表示領域A9のバーを、ユーザーまたはサービスマンが操作部45を用いて、選択した場合、解析シーケンス表示領域A6に類似したポップアップ画面を表示し、現在進行中の解析処理の矢印の色を変えること等で、第2画像解析の進行状況を表示させてもよい。
【0040】
次に、制御部41は、ステップS2において複数の動態画像が取得されている場合、全動態画像の解析が完了したかどうか判断する(ステップS8)。制御部41が、完了したと判断した場合(ステップS8;YES)、画像解析処理は終了し、完了していないと判断した場合(ステップS8;NO)、画像解析処理は、ステップS6に進み、次の動態画像の第2画像解析を行う。
なお、ステップS2において一つの動態画像が取得されている場合、ステップS8は不要である。
【0041】
〔その他〕
なお、上記解析結果表示領域A11では、解析計測値に基づいて生成されるグラフ画像だけでなく、複数のグラフを統合したサマリー画像を出力してもよい。また、解析結果表示領域A11に表示されるグラフ画像やサマリー画像は、所定の優先順位に従って表示/出力を行ってもよい。
【0042】
また、特定のペアで解析画像を同時に表示したい場合(例えば、オリジナル画像と周波数強調処理画像を同時に表示したい場合など)は、両者の解析が完了してから順次表示/出力を行ってもよい。
【0043】
また、上記実施例では、第1画像解析ステップ(ステップS3)や第2画像解析ステップ(ステップS6)では、最終的には全フレームに対して画像解析を行っているが、特定フレームのみ解析を行ってもよい。なお、特定フレームは、デフォルト設定、ユーザー設定、第1画像解析や第2画像解析における判定(例えば、一呼吸分のフレームを特定フレームとする等)により決定される。
【0044】
また、解析順序は、下記のようなカテゴリ別にプリセットを作成することもできる。なお、カテゴリ別の解析順序は、ユーザーまたはサービスマンによる手動設定だけでなく、システムによって、自動で設定されてもよい。例えば、システムがどの順で解析を行えば効率的か判断して設定する。カテゴリとしては、依頼科(呼吸器/整形/ER)、撮影モダリティー(一般X線撮影装置等の据置型、回診X線撮影装置等の移動型)、撮影部位、胸部動態(息止め)、胸部動態(深呼吸)、整形撮影、DICOM種別(DX/CR/OT/RF)などが挙げられる。
【0045】
また、解析(第1画像解析や第2画像解析)を実施する時間帯(タイムテーブル)が予め設定されていてもよい。例えば時間を要する解析は、画像解析装置の使用頻度が少ない夜間にまとめて行い、出力する。
【0046】
また、制御部41は、保存部として機能し、上記指定された解析順序または出力順序を、記憶部(記憶部43など)に保存してもよい。
なお、記憶部は、記憶部43に限定されず、例えば、独立した装置として設けられたデータベース等でもよい。
【0047】
<第2実施形態>
第2実施形態は、第1実施形態と画像解析処理のフローが異なる。第2実施形態の画像解析処理の各ステップにおける処理内容は、第1実施形態と同様である。なお、第2実施形態の画像表示システムや画像解析装置などの構成は、第1実施形態と同様である。
【0048】
〔画像解析処理〕
図8を用いて、画像解析処理のフローを説明する。
第2実施形態では、ステップS11(ステップS1;設定ステップと同様)及びステップS12(ステップS2;画像取得ステップと同様)の後、ステップS13(ステップS3;第1画像解析ステップと同様)、ステップS14(ステップS4;出力ステップと同様)、ステップS15(ステップS6;第2画像解析ステップと同様)及びステップS16(ステップS7;出力ステップと同様)が実行され、その後、ステップS17(ステップS5、ステップS8と同様)が実行される。
このようなフローにすることで、ユーザーまたはサービスマンは、複数の動態画像の画像解析を行う場合、1番目の動態画像の画像解析結果(第1画像解析及び第2画像解析の結果)を早く確認することができる。
【0049】
<効果>
以上説明したように、画像解析装置4は、複数のフレーム画像からなる被写体の動態画像を取得する画像取得部(制御部41)と、動態画像の解析順序または出力順序を指定する指定部(制御部41)と、指定部により指定された解析順序または出力順序に基づいて、動態画像の解析順序を設定する設定部(制御部41)と、設定部により設定された解析順序に基づいて、動態画像を解析して解析結果データを生成する解析部(制御部41)と、解析結果データを出力する出力部(制御部41)と、を備えることで、所望する解析結果データを早く提供できる。
【0050】
また、指定部(制御部41)は、入力部(操作部45)を介してユーザー操作により入力された情報に基づいて、動態画像の解析順序または出力順序を指定することで、ユーザーの所望の順序で解析が行われ、所望する解析結果データを早く提供できる。
【0051】
また、出力部(制御部41)は、解析順序に基づき、解析が完了した解析結果データから順次出力することで、ユーザーの所望の順序で解析が行われ、そして解析結果データが順次出力され、所望する解析結果データを早く提供できる。
【0052】
また、画像解析装置4は、表示部44と、を備え、出力部(制御部41)は、コンソール表示画像と同等の所定の画像処理が施された画像を最優先で表示部に表示させることで、ユーザーは、画像解析処理の早い段階で、動態画像から正しい解析結果を得られるかどうか等、解析可否判断することができ、所望する解析結果データを早く提供できる。
【0053】
また、画像解析方法は、複数のフレーム画像からなる被写体の動態画像を取得する画像取得ステップ(ステップS2)と、動態画像の解析順序または出力順序を指定する指定ステップ(ステップS1)と、指定ステップにより指定された解析順序または出力順序に基づいて、動態画像の解析順序を設定する設定ステップ(ステップS1)と、設定ステップにより設定された解析順序に基づいて、動態画像を解析して解析結果データを生成する解析ステップ(ステップS3、ステップS6)と、解析結果データを出力する出力ステップ(ステップS4、ステップS7)と、を含むことで、所望する解析結果データを早く提供できる。
【0054】
また、プログラムは、画像解析装置4のコンピューターを、複数のフレーム画像からなる被写体の動態画像を取得する画像取得部(制御部41)、動態画像の解析順序または出力順序を指定する指定部(制御部41)、指定部により指定された解析順序または出力順序に基づいて、動態画像の解析順序を設定する設定部(制御部41)、設定部により設定された解析順序に基づいて、動態画像を解析して解析結果データを生成する解析部(制御部41)、解析結果データを出力する出力部(制御部41)、として機能させることで、所望する解析結果データを早く提供できる。
【0055】
以上、本発明を実施形態に基づいて具体的に説明してきたが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能であることは言うまでもない。
例えば、本実施形態に係る画像解析装置4の具体的構成について説明してきたが、画像解析装置4が有する上記各種機能の少なくとも一部は、コンソール3やPACS5に持たせるようにしてもよい。
【0056】
また、上記では、表示部44を備える画像解析装置4は、画像表示装置としても機能しているが、画像解析装置と画像表示装置を別の装置としてもよい。具体的には、画像表示装置では表示処理のみ行い、各種処理等や、繊維凝集等の情報の管理は別の画像解析装置で行ってもよい。例えば、画像解析装置をクラウドとし、表示処理のみ画像表示装置で行うことなどが挙げられる。
【0057】
また、上記の説明では、本発明に係るプログラムのコンピューター読み取り可能な媒体としてハードディスクや半導体の不揮発性メモリー等を使用した例を開示したが、この例に限定されない。その他のコンピューター読み取り可能な媒体として、CD-ROM等の可搬型記録媒体を適用することが可能である。
【0058】
その他、各装置の細部構成及び細部動作に関しても、発明の趣旨を逸脱することのない範囲で適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0059】
100 画像表示システム
1 病院情報システム
2 放射線科情報システム
3 コンソール
4 画像解析装置
41 制御部(画像取得部、指定部、設定部、解析部、出力部、保存部)
42 通信部
43 記憶部
44 表示部
45 操作部(入力部)
5 画像保存通信システム
6 クライアント
7 通信ネットワーク