(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024093202
(43)【公開日】2024-07-09
(54)【発明の名称】ベビーカー用アタッチメント
(51)【国際特許分類】
B62B 19/02 20060101AFI20240702BHJP
B62B 9/12 20060101ALI20240702BHJP
【FI】
B62B19/02
B62B9/12 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022209418
(22)【出願日】2022-12-27
(71)【出願人】
【識別番号】514200556
【氏名又は名称】長谷川 聡
(74)【代理人】
【識別番号】110001885
【氏名又は名称】弁理士法人IPRコンサルタント
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 聡
【テーマコード(参考)】
3D051
【Fターム(参考)】
3D051AA02
3D051CG04
3D051CG06
(57)【要約】
【課題】積雪地であっても着脱が容易かつ確実で走行し易いベビーカー用そりを実現するベビーカー用アタッチメントを提供する。
【解決手段】前方右輪、前方左輪、後方右輪及び後方左輪を含む四輪のベビーカーを乗せる略矩形で板状の本体部と、前記本体部の前方に立ち上がるように設けられた雪除け部と、前記本体部の上面の両側部において立ち上がるように設けられ、前記四輪のそれぞれの略左右方向の移動を抑制する抑止部と、前記四輪のそれぞれを前記抑止部に固定するための固定部と、を具備すること、を特徴とするベビーカー用アタッチメント。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
前方右輪、前方左輪、後方右輪及び後方左輪を含む四輪のベビーカーを乗せる略矩形で板状の本体部と、
前記本体部の前方に立ち上がるように設けられた雪除け部と、
前記本体部の上面の両側部において立ち上がるように設けられ、前記四輪のそれぞれの略左右方向の移動を抑制する抑止部と、
前記四輪のそれぞれを前記抑止部に固定するための固定部と、
を具備すること、
を特徴とするベビーカー用アタッチメント。
【請求項2】
前記本体部の下面側を臨む転動部を具備すること、
を特徴とする請求項1に記載のベビーカー用アタッチメント。
【請求項3】
前記固定部が、
前記前方右輪及び前記前方左輪の車輪の間を通す前方棒状体と、前記後方右輪及び前記後方左輪の車輪の間を通す後方棒状体と、
前記前方棒状体及び前記後方棒状体を、前記抑止部に係合させる係止部と、
を具備すること、
を特徴とする請求項1又は2に記載のベビーカー用アタッチメント。
【請求項4】
前記本体部と前記雪除け部と前記抑止部とが一体となって箱型に構成されていること、
を特徴とする請求項1又は2に記載のベビーカー用アタッチメント。
【請求項5】
請求項1又は2に記載のベビーカー用アタッチメントを具備すること、
を特徴とするベビーカー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ベビーカーの車輪に簡便に装着できるとともに、積雪地において好適に利用することのできるベビーカー用ソリを実現するベビーカー用アタッチメントに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、雪の降る地域である積雪地における雪道では、ベビーカーの安定した走行が困難で、乳幼児を持つ親は、ベビーカーの使用をあきらめるか、一般的なそりを利用せざるをえなかった。
【0003】
これに対し、例えば特許文献1(実用新案登録第3159112号公報)においては、子連れの買い物時などはどうしても、ベビーカーの利用としたいが、積雪面とドライ面の両方への対応が不可欠であり、その両面対策として、ベビーカーの車輪に装着できるベビーカー専用そりが提案されている。
【0004】
上記特許文献1においては、「ベビーカーの車輪に簡便に装着出来、その車軸にしっかり固定するリブ板付板状のものであり、安定性があり、脱着が容易なところを特徴とする、積雪地対応の、ベビーカー専用そり。」が開示されている(特許文献1の請求項1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献1において提案されているベビーカー専用そりは、右側と左側で分離していることから、例えばショッピングモールに行った際、手荷物を持った状態では着脱が面倒で、また、積雪で右側と左側が異なる方向を向くように力が加わると走行しにくく、取扱いが煩雑である。また、車軸固定リブで車輪をはめ込み固定することで脱着する構造となっており、車軸固定リブに精度が求められたり、当該リブが欠けたり歪んだりすると固定できなくなってしまうという問題がある。
【0007】
そこで、本発明の目的は、積雪地であっても着脱が容易かつ確実で走行し易く、また、着脱せずとも走行できるベビーカー用そりを実現するベビーカー用アタッチメントの提供にある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
かかる課題を解決するため、本発明は、
前方右輪、前方左輪、後方右輪及び後方左輪を含む四輪のベビーカーを乗せる略矩形で板状の本体部と、
前記本体部の前方に立ち上がるように設けられた雪除け部と、
前記本体部の上面の両側部において立ち上がるように設けられ、前記四輪のそれぞれの略左右方向の移動を抑制する抑止部と、
前記四輪のそれぞれを前記抑止部に固定するための固定部と、
を具備すること、
を特徴とするベビーカー用アタッチメント、を提供する。
【0009】
上記本発明のベビーカー用アタッチメントにおいては、
前記本体部に、前記本体部の下面側を臨む転動部を具備すること、
が好ましい。
【0010】
また、前記固定部が、
前記前方右輪及び前記前方左輪の車輪の間を通す前方棒状体と、前記後方右輪及び前記後方左輪の車輪の間を通す後方棒状体と、
前記前方棒状体及び前記後方棒状体を、前記抑止部に係合させる係止部と、
を具備すること、
が好ましい。
【0011】
更に、上記本発明のベビーカー用アタッチメントにおいては、
前記本体部と前記雪除け部と前記抑止部とが一体となって箱型に構成されていること、
が好ましい。
【0012】
したがって、本発明は、上記ベビーカー用アタッチメントを具備するベビーカーそのものにも関する。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係るベビーカー用アタッチメントは、単一の本体部で構成されていることから、例えばショッピングモールに行った際、手荷物を持った状態では着脱及び固定が容易であり、積雪地であっても走行し易く、取扱いが容易である。即ち、本発明によれば、積雪地であっても着脱及び固定が容易かつ確実で走行し易く、また、着脱せずとも走行できるベビーカー用そりを実現するベビーカー用アタッチメントが実現できる。特に、着脱せずとも走行できるため、積雪地の雪上を走行し雪まみれになり、ショッピングモール等の店内に入る際に、雪を取り除く手間が掛からない。カバーと併用すれば、ベビーカー本体やベビーカー用アタッチメントの内側が、雪と接触せず、雪を取り除く手間が掛からない。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の一実施形態に係るベビーカー用アタッチメントの構造を示す概略上面図である。
【
図2】
図1に示すベビーカー用アタッチメントの概略側面図である。
【
図3】
図1に示すベビーカー用アタッチメントの上面にベビーカーを配置した際の車輪の位置を示すための概略上面図である。
【
図4】
図1に示すベビーカー用アタッチメントの上面にベビーカーを配置した際の車輪の位置を示すための概略側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の代表的な実施形態に係るベビーカー用アタッチメントの一例について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図面は、本発明を概念的に説明するためのものであるから、理解容易のために、必要に応じて寸法、比又は数を誇張又は簡略化して表している場合もあり、本発明はこれらのみに限定されるものではない。
【0016】
図1は、本発明の一実施形態に係るベビーカー用アタッチメント1の構造を示す概略上面図であり、
図2は、
図1に示すベビーカー用アタッチメント1の概略側面図である。なお、
図1及び後述の
図3において、X方向はベビーカーの前後(進行及び後退)方向であり、Y方向は左右(幅)方向を示す。
【0017】
本実施形態のベビーカー用アタッチメント1は、
図1及び
図2に示すように、四輪のベビーカーを乗せる略矩形で板状の本体部2と、本体部2の前方に湾曲乃至は傾斜しながら立ち上がるように設けられた雪除け部4と、本体部2の上面の両側部において略垂直に立ち上がるように設けられた長尺で板状の抑止部6と、ベビーカーの四輪のそれぞれを抑止部6に固定するための固定部8と、を具備する。
【0018】
次に、
図3及び
図4は、それぞれ、
図1に示すベビーカー用アタッチメント1の上面にベビーカーを配置した際の車輪10(前方右輪10FR1,10FR2、前方左輪10FL1,10FL2、後方右輪10RR1,10FR2及び後方左輪10RL1,10RL2)の位置を示すための概略上面図及び概略側面図である。本実施形態では、車輪10において、4隅の車輪がそれぞれ2つの車輪からなる場合を想定している(ただし、本発明はこれに限定されるものではない。)。
【0019】
即ち、車輪10は、前方右輪10FR1,10FR2(10FR)、前方左輪10FL1,10FL2(10FL)、後方右輪10RR1,10FR2(10LR)及び後方左輪10RL1,10RL2(10RL)を含んでいる。
【0020】
本実施形態のベビーカー用アタッチメント1においては、
図3及び
図4に示すように、車輪10を含む四輪のベビーカーを本体部2に乗せると、四隅においてそれぞれ外側に位置する前方右輪10FR1、前方左輪10FL1、後方右輪10RR1及び後方左輪10RL1が、それらの更に外側において抑止部6に面することにより、四輪及びベビーカーが略左右方向(Y方向)に移動することを抑制する。
【0021】
本実施形態においては、四輪及びベビーカーが略左右方向(Y方向)に移動することをより確実に抑制するため、抑止部6の内側に並行して長尺で板状の保持部12が設けられている。この保持部12は、四隅における2つの車輪の間(即ち、前方右輪10FR1,10FR2の間、前方左輪10FL1,10FL2の間、後方右輪10RR1,10FR2の間、及び後方左輪10RL1,10RL2の間)に位置し、抑止部6とともに四輪及びベビーカーが略左右方向(Y方向)に移動することを抑制する。したがって、抑止部6と保持部12との間隔は、ベビーカーの車輪が確実に入る範囲で決定すればよい。
【0022】
ここで、ベビーカーの四輪のそれぞれを抑止部6に固定するための固定部8は、棒状体(ロッド)14を含み、この棒状体14は、
図3及び4に示すように、前方車輪10F(前方右輪10FR1,10FR2及び前方左輪10FL1,10FL2)の車輪の間(より具体的には各車輪におけるスポークの間)を通す前方棒状体14Fと、後方車輪10R(後方右輪10RR1,10FR2及び後方左輪10RL1,10RL2)の車輪の間を通す後方棒状体14Rと、を含んでいる。
【0023】
そして、これらの前方棒状体14F及び後方棒状体14Rは、両端部にネジ山が設けられており(図示せず)、
図3に示すようにナット等の係止部16によって、抑止部6に着脱可能に係合するように取り付けられている。このように車輪(ホイール)の空洞部分に棒状体14を通す構成により、強度が高く荷重に耐えられることとなる。
【0024】
なお、本実施形態においては、本体部2の前方及び後方のそれぞれに、幅方向(Y方向)に延びる断面コの字状の長尺体16F及び16Rが取り付けられている。これにより、例えば本体部2の上面に配置したベビーカーの全体を覆うカバー等を取り付ける場合に、カバーの下端全周にわたって空洞部分を設け、そこに紐状体を挿通すれば、当該空洞部分をコの字状の部分にひっかけて、カバーを確実に固定して取り付けることができる。
【0025】
本実施形態のベビーカー用アタッチメント1は、ベビーカーに取り付けられてソリを構成するものであるが、例えば積雪地からショッピングモールの構内に入った場合に、接地面との摺動性をより確実に確保するために、
図1及び
図3に示すように、本体部2の下面側を臨むベアリング(下方が開放された球状空隙部にボール等の転動体を入れ、当該転動体が下面にやや突出している構造等)や小型自在キャスター等の転動部18を設けることが好ましい(なお、
図1及び
図3においては、理解の容易のために、本体部2の上面においても表れるように転動部18を示している。)。
【0026】
かかる転動部18を設ける場合は、本体部2の下面が、接地面から1~5mm(好ましくは2~4mm、更に好ましくは3mm)程度浮いた状態にするのが好ましい。そうすれば、ベビーカー用アタッチメント1をベビーカーから着脱せずに、ショッピングモールなどにそのまま進入することもできる。
【0027】
また、本発明に係るベビーカー用アタッチメントは、各部材を個別に製作して接着剤や溶接で接合して製造してもよいし、一体成型によって製造してもよい。材質としては、各種の樹脂(繊維強化樹脂を含む。)、ゴム、金属、木材等、本発明の効果を損なわない範囲で、各部材によって適宜選択することができる。
【0028】
上記の本実施形態に係るベビーカー用アタッチメント1によれば、これを着脱せずに、ベビーカーをショッピングモールなどにそのまま進入することができる。通常は、雪にまみれ、店内に雪溶けした水滴を持ち込むと他者が転倒するおそれもあり、危険を回避するために確実に雪を取り除くことは手間が掛かる上、大変に気を遣わなければならない。これに対し、本実施形態のベビーカー用アタッチメント1を装着したベビーカーでは、更に雪除けカバーを併用することで、その手間や危険をより確実に回避できる。
【0029】
以上、本発明の代表的な実施形態について説明したが、本発明はこれらのみに限定されるものではなく、種々の設計変更が可能である。例えば、本体部2と雪除け部4と抑止部6とが一体となって箱型に構成されているベビーカー用アタッチメントも、当然に本発明の技術的範囲に含まれる。また、例えば、本体部2の上面に買い物かごを出し入れすることのできる構成としてもよい。
【符号の説明】
【0030】
1・・・ベビーカー用アタッチメント、
2・・・本体部、
4・・・雪除け部、
6・・・抑止部、
8・・・固定部、
10・・・車輪、
12・・・保持部、
14・・・棒状体、
16・・・係止部、
18・・・転動部。