(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024093214
(43)【公開日】2024-07-09
(54)【発明の名称】管理システム、走行状態制御システム
(51)【国際特許分類】
G08G 1/00 20060101AFI20240702BHJP
G08G 1/13 20060101ALI20240702BHJP
G08G 1/09 20060101ALI20240702BHJP
【FI】
G08G1/00 D
G08G1/13
G08G1/09 V
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022209437
(22)【出願日】2022-12-27
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000001236
【氏名又は名称】株式会社小松製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000969
【氏名又は名称】弁理士法人中部国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】野澤 優介
(72)【発明者】
【氏名】溝尾 駿
(72)【発明者】
【氏名】高島 亨
(72)【発明者】
【氏名】岡野 隆宏
(72)【発明者】
【氏名】長川 研太
(72)【発明者】
【氏名】平中 貴士
(72)【発明者】
【氏名】小西 翔太
【テーマコード(参考)】
5H181
【Fターム(参考)】
5H181AA03
5H181AA07
5H181BB04
5H181CC03
5H181CC04
5H181CC14
5H181FF05
5H181LL01
5H181LL02
5H181LL09
5H181MC03
5H181MC12
5H181MC15
5H181MC27
(57)【要約】
【課題】複数の移動体の安全性の向上を図ることである。
【解決手段】複数の移動体のうちの第1移動体と第2移動体との相対位置関係と、第1移動体と第2移動体とのうちの上方に位置する移動体である第1移動体の走行により発生すると推測されるイベントと、イベントが発生したと仮定した場合に第2移動体が受ける可能性があるイベントの影響との少なくとも一方とに基づいて、複数の移動体についての作業計画が作成されたり、第1移動体と第2移動体との少なくとも一方の走行状態が制御されたりする。それにより、複数の移動体の安全性を向上させることができる。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の移動体を管理する管理システムであって、
当該管理システムが、(i)前記複数の移動体のうちの第1移動体と第2移動体との相対位置関係と、(ii)前記第1移動体と前記第2移動体とのうちの上方に位置する移動体である前記第1移動体の走行により発生すると推測されるイベントと、前記イベントが発生したと仮定した場合に前記第2移動体が受ける可能性がある前記イベントの影響との少なくとも一方とに基づいて、前記複数の移動体についての作業計画を作成する作業計画作成装置を含む管理システム。
【請求項2】
前記作業計画作成装置が、前記第2移動体が前記イベントの影響を受ける可能性がある範囲から外れて位置するように、前記作業計画を作成する請求項1に記載の管理システム。
【請求項3】
前記作業計画作成装置が、前記第2移動体が前記イベントの影響を受ける可能性がある範囲内に位置する場合に、前記第2移動体が受ける影響の大きさを低減するように、前記作業計画を作成する請求項1または2に記載の管理システム。
【請求項4】
前記作業計画作成装置が、前記複数の移動体が走行する領域である走行領域の複数の部分の各々において、それぞれ、前記イベントが発生するレベルである発生レベルを取得する発生レベル取得部を含み、前記発生レベル取得部によって取得した前記走行領域の前記複数の部分の各々における前記発生レベルに基づいて前記作業計画を作成するものである請求項1または2に記載の管理システム。
【請求項5】
前記作業計画作成装置が、前記第2移動体が受ける可能性がある前記イベントの影響のレベルを取得し、その取得した前記イベントの影響のレベルに基づいて、前記作業計画を作成するものである請求項1または2に記載の管理システム。
【請求項6】
第1移動体と第2移動体とを含む複数の移動体を管理する管理システムであって、
当該管理システムが、前記第1移動体と前記第2移動体とのうちの上方に位置する移動体である前記第1移動体の走行により発生すると推測されるイベントと、前記イベントが発生したと仮定した場合に前記第2移動体が受ける可能性がある前記イベントの影響との少なくとも一方に基づいて、前記第1移動体と前記第2移動体との相対位置関係を決定し、前記複数の移動体についての作業計画を作成する作業計画作成装置を含む管理システム。
【請求項7】
複数の移動体のうちの少なくとも1つの走行状態を制御する走行状態制御システムであって、
当該走行状態制御システムが、(i)前記複数の移動体のうちの第1移動体と第2移動体との相対位置関係と、(ii)前記第1移動体と前記第2移動体とのうちの上方に位置する移動体である前記第1移動体の走行により発生すると推測されるイベントと、前記イベントが発生したと仮定した場合に前記第2移動体が受ける可能性がある前記イベントの影響との少なくとも一方とに基づいて、前記第1移動体と前記第2移動体との少なくとも一方の走行状態を制御する走行状態制御装置を含む走行状態制御システム。
【請求項8】
前記走行状態制御装置が、前記第2移動体が、前記イベントの影響を受ける可能性がある範囲内に位置する場合に、前記第1移動体の走行速度を遅くする請求項7に記載の走行状態制御システム。
【請求項9】
前記走行状態制御装置が、前記第2移動体が、前記イベントの影響を受ける可能性がある範囲から外れて位置するように、前記第1移動体と前記第2移動体とのうちの少なくとも一方の走行状態を制御する請求項7または8に記載の走行状態制御システム。
【請求項10】
前記走行状態制御装置が、前記複数の移動体が走行する領域である走行領域の複数の部分の各々について、路面部の状態と前記第1移動体の状態との少なくとも一方に基づいて、前記イベントが発生するレベルである発生レベルを取得する発生レベル取得部を含み、前記発生レベル取得部によって取得された前記複数の部分の各々における前記発生レベルに基づいて、前記第1移動体と前記第2移動体との少なくとも一方の走行状態を制御する請求項7または8に記載の走行状態制御システム。
【請求項11】
前記発生レベル取得部が、前記走行領域の複数の部分の各々について、前記発生レベルを、前記イベントが発生する可能性と前記イベントの大きさである重大度との少なくとも一方に基づいて取得する請求項10に記載の走行状態制御システム。
【請求項12】
前記発生レベル取得部が、前記発生レベルを、前記走行領域の複数の部分の各々について、路面部の状態と、前記第1移動体の状態との少なくとも一方に基づいて取得する請求項請求項10に記載の走行状態制御システム。
【請求項13】
当該走行状態制御システムが、前記複数の移動体についての作業計画を作成する作業計画作成部を含み、
前記走行状態制御装置が、前記第1移動体と前記第2移動体との少なくとも一方の走行状態を、前記作業計画に基づいて制御する請求項7または8に記載の走行状態制御システム。
【請求項14】
第1移動体と第2移動体とを含む複数の移動体のうちの少なくとも1つの走行状態を制する走行状態制御システムであって、
前記第1移動体と前記第2移動体とのうちの上方に位置する移動体である前記第1移動体の走行により発生すると推測されるイベントと、前記イベントが発生したと仮定した場合に前記第2移動体が受ける可能性がある前記イベントの影響との少なくとも一方に基づいて、前記第1移動体と前記第2移動体との少なくとも一方の走行状態を制御して、前記第1移動体と前記第2移動体との相対位置関係を制御する走行状態制御装置を含む走行状態制御システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の移動体を管理する管理システム、複数の移動体のうちの少なくとも1つの走行状態を制御する走行状態制御システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、落石等により通過障害となる場所に関する情報が受信された場合に、その通過障害となる場所を回避して走行経路を設定する経路案内装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の課題は、複数の移動体の安全性の向上を図ることである。
【課題を解決するための手段、作用および効果】
【0005】
本発明によれば、複数の移動体のうちの第1移動体と第2移動体との相対位置関係と、第1移動体と第2移動体とのうちの上方に位置する移動体である第1移動体の走行(移動)により発生すると推測されるイベントと、イベントが発生したと仮定した場合に第2移動体が受ける可能性があるイベントの影響との少なくとも一方とに基づいて、複数の移動体についての作業計画が作成されたり、第1移動体と第2移動体との少なくとも一方の走行状態が制御されたりする。それにより、複数の移動体の安全性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】本発明の実施例1に係る管理システム全体を概念的に示す図である。本管理システムは、本発明の実施例1に係る走行状態制御システムでもある。
【
図2】上記管理システムの構成要素である中央管制装置と、移動体とを概念的に示す図である。
【
図3】上記中央管制装置の管制ECUにおいて実行される作業計画作成プログラムの一部を概念的に表すフローチャートである。
【
図4】上記管制ECUにおいて実行される管制情報作成プログラムを表すフローチャートである。
【
図5】上記移動体の移動体ECUにおいて実行されるリモート走行制御プログラムを表すフローチャートである。
【
図6】(a)(b)上記移動体が走行する走行領域の一部を概念的に示す図である。
【
図7】上記管制ECUの作業計画作成部において作成された作業計画の一部を概念的に示す図である。
【
図8】上記作業計画作成部の発生レベル取得部において取得された発生レベルを概念的に示す図である。
【
図9】本発明の実施例2に係る走行状態制御システムを概念的に示す図である。
【
図10】上記走行状態制御システムの複数の移動体を概念的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、本発明の一実施形態に係る管理システムについて図面に基づいて説明する。本管理システムは、本発明の一実施形態に係る走行状態制御システムでもある。
【実施例0008】
本実施例に係る管理システムは、
図1に示すように、例えば、鉱山等の山岳地帯で作業を行う複数の移動体Vと通信可能な管制装置としての中央管制装置S、1つ以上のアンテナA等を含む。これら複数の移動体Vと中央管制装置Sとは、直接またはアンテナAを介して無線の通信を行う。
【0009】
複数の移動体Vは、1個以上の重機HVと、1個以上のライトビークルLVとを含む。本実施例において、これら重機HV、ライトビークルLV等を総称して、または、個別に単に移動体Vと称する場合がある。
【0010】
例えば、鉱山において露天掘りが行われることにより、螺旋状に走行領域としての走行路Rが形成される場合がある。走行路Rは、高さが異なる部分に位置する複数の部分走行路R1,R2,R3・・・等を含む。換言すると、部分走行路R1,R2,R3・・・は連続した1つの走行路Rを構成する。複数の移動体Vは、走行路Rを、上から下へ、または、下から上に向かって走行(移動)する。
【0011】
1個以上の重機HVの各々は、重工業に用いられる機械であり、本実施例においては、鉱山で作業を行う移動体である。また、重機HVは、中央管制装置Sからの指令に基づいて作動(移動を含む)させられるものであり、自動走行移動体である。
1個以上のライトビークルLVの各々は、重機HVに比較して重量が軽い移動体である。ライトビークルLVは、作業員を載せたり、作業に要する荷物を載せたりして、走行することが多い。本実施例において、ライトビークルLVは、運転者による運転操作が行われなくても走行可能な自動運転移動体(自動走行移動体)であるが、運転者による運転操作により走行可能 なマニュアル運転移動体であってもよい。
【0012】
複数の移動体Vの各々は、それぞれ、
図2に示すように、移動体Vを駆動する駆動装置D、移動体Vを制動する制動装置B、移動体Vの操舵輪を転舵する転舵装置T、GPS(Global Positioning System)受信機10、周辺情報取得装置12、移動体通信装置14、移動体ECU20等を含む。
【0013】
駆動装置Dは、例えば、複数の車輪28のうちの複数の駆動輪に連結された駆動源としての電動機を含むものとすることができる。また、電動機に対応して駆動回路(例えば、インバータ)が設けられるが、駆動回路の制御により、複数の駆動輪に加えられる駆動力が制御され、移動体Vに加えられる駆動力が自動で制御される。
【0014】
なお、駆動装置Dは、電動機に加えて、または、電動機に代えてエンジン等を含むものとすることもできる。
【0015】
制動装置Bは、例えば、複数の車輪28の各々に対応して設けられ、摩擦係合部材を車輪28と一体的に回転可能なブレーキ回転体に押し付けることにより車輪28の回転を抑制する摩擦ブレーキと、複数の摩擦ブレーキの各々の押付力を制御可能な押付力制御アクチュエータとを含むものとすることができる。押付力制御アクチュエータの制御により、複数の車輪28の各々に設けられた摩擦ブレーキの押付力が制御され、複数の車輪28の各々に加えられる制動力が制御され、移動体Vに加えられる制動力が自動で制御される。なお、車輪28には、駆動装置Dに含まれる電動機の制動による回生制動が加えられる場合もある。
【0016】
転舵装置Tは、複数の車輪28のうちの操舵輪を転舵するものである。転舵装置Tは、例えば、左右に位置する操舵輪を連結する一対のタイロッドおよび一対のタイロッドを連結する転舵ロッド、転舵ロッドに設けられた転舵アクチュエータ等を含む。転舵アクチュエータにより転舵ロッドが車両の軸方向に移動させられることにより、左右の操舵輪が自動で転舵される。
【0017】
GPS受信機10は、GNSS(Global Navigation Satellite System)の一例であるGPSからの信号(例えば、GPS信号)を受信するものであり、GPS信号に基づいて、移動体自身である自移動体Vの位置が取得される。GPS信号に基づいて、自移動体Vの緯度、経度、高度の3次元の位置が取得されるようにしても、緯度、経度の2次元の位置が取得されるようにしてもよい。
周辺情報取得装置12は、複数のカメラ、ライダ等を含み、移動体Vである自移動体の周辺の物体を認識するとともに、その物体と自移動体との相対位置関係等を取得する。
【0018】
移動体通信装置14は、移動体ECU20において作成された移動体情報を無線で送信したり、中央管制装置Sから無線で送信された情報である管制情報を受信したりするものである。
【0019】
移動体ECU20は、コンピュータを主体とするものである。移動体ECU20には、これら駆動装置Dの駆動回路、制動装置Bの押付力制御アクチュエータ、転舵装置Tの転舵アクチュエータ、GPS受信機10、周辺情報取得装置12、移動体通信装置14等が接続される。また、移動体ECU20は、識別情報等記憶部22、移動体情報作成部24、走行制御部26等を含む。
【0020】
識別情報等記憶部22は、移動体Vである自移動体Vに設定された識別情報等を記憶するものである。複数の重機HV、ライトビークルLVの各々は、互いに異なる識別情報が付与されている。
【0021】
移動体情報作成部24は、GPS信号に基づいて取得された自移動体Vの位置を表す移動体位置情報、自移動体Vの識別情報等を含む移動体情報を作成する。作成された移動体情報は、移動体通信装置14に出力される。移動体通信装置14は移動体情報を送信する。
【0022】
走行制御部26は、駆動装置D,制動装置B,転舵装置Tを制御することにより、自移動体Vの走行を制御するものである。本実施例において、走行制御部26は、移動体通信装置14において受信された中央管制装置Sから送信された管制情報に含まれる制御指令に基づいて、駆動装置D,制動装置B,転舵装置T等を制御する。
【0023】
なお、移動体Vの車輪28のタイヤに、路面センサが取り付けられている場合には、路面センサによって路面の状態が検出される。路面の状態には、路面の乾燥状態、路面の水分含有量、路面の摩擦係数等が該当する。路面センサが通信機能を含む場合(タイヤに路面センサの検出結果を送信可能な通信装置が設けられている場合)には、タイヤと車体との間の無線の通信により、路面センサの検出結果が車体側に供給されるようにすることができる。移動体ECU20は、路面センサによって検出された路面の状態を表す情報を含む移動体情報を作成することができる。
【0024】
中央管制装置Sは、
図2に示すように、コンピュータを主体とする管制ECU40と管制ECU40に接続された管制通信装置42とを含む。管制ECU40は、作業計画作成部50、管制情報作成部52等を含む。作業計画作成部50は、発生レベル取得部54、影響レベル取得部56、地図情報記憶部58等を含む。
【0025】
管制通信装置42は、管制情報作成部52によって作成された管制情報を無線で送信したり、移動体Vから無線で送信された移動体情報を受信したりするものである。
【0026】
作業計画作成部50は、複数の移動体Vの各々についての作業計画を作成するものである。作業計画には、複数の移動体Vの各々の走行速度、出発順序、移動経路等を含む運行計画が含まれる。作業計画作成部50において、地図情報記憶部58に記憶された地図情報と、発生レベル取得部54によって取得された発生レベルと、影響レベル取得部56によって取得された影響レベルとに基づいて作業計画が作成される。
【0027】
発生レベルは、複数の移動体Vの各々が、それぞれ、走行路Rの複数の部分の各々を走行する場合に、それぞれ、発生すると推測されるイベントの程度である。発生レベルは、
図8に示すように、イベントの発生可能性とイベントの大きさ(規模)とに基づいて決まる。イベントとは、複数の移動体Vのうちの1つの第1移動体V1の移動(走行)により発生する事件であり、第1移動体V1の下方に位置する第2移動体V2が受ける可能性がある影響(被害)の原因となる事件(落石、土砂崩れ等であり、以下、落石等と称する場合がある)である。発生レベルは、イベントの発生可能性が大きい場合は小さい場合より大きい値となり、イベントの規模(重大度)が大きい場合は小さい場合より大きい値となる。
【0028】
影響レベルは、第1移動体V1の走行によりイベントが発生したと仮定した場合に、第1移動体V1の下方に位置する第2移動体V2が受ける可能性があるそのイベントの影響の程度である。イベントの影響レベルは、イベントの被害レベルと称することもできる。また、イベントの影響を受ける可能性がある第2移動体は複数存在する場合がある。
【0029】
地図情報は、複数の移動体Vが走行する走行路R等を含む作業領域の3次元の位置情報を含む。例えば、地図情報と、移動体Vの水平方向の位置とに基づけば、移動体Vの垂直方向の位置(高さ)等を取得することができる。
【0030】
発生レベルは、複数の移動体Vの各々について、走行路Rの複数の部分A,B,C・・・の各々について取得される。複数の部分A,B,C・・・は、部分走行路R1,R2,・・・の部分でもある。例えば、部分A,B,C等により部分通路R1が構成され、部分D,E,F,G等により部分通路R2が構成され、・・・、部分X,Y,Zにより部分通路Rkが構成される場合がある。
【0031】
落石等の発生可能性は、走行路Rを構成する複数の部分A,B,C・・・の各々における路面部の状態、複数の移動体Vのうちの第1移動体V1の状態等に基づいて決まる。路面部とは、走行路Rの表面を含む部分をいい、例えば、表面と表面からの深さが設定距離以下の部分とを含む部分をいう。
【0032】
路面部の状態には、例えば、路面部の乾燥状態、路面部の湿り状態(水分量)等が該当する。これら路面部の状態は、走行路Rの土質等で決まる場合があるが、天気(気象情報で表すことができる)に基づいて決まる場合もある。また、路面(路面部の表面)の状態に基づいて路面部の状態を取得することもできる。
例えば、路面部が乾燥状態にある場合、路面部の水分量が多い場合には、落石や土砂崩れが生じ易い状態、すなわち、落石等が生じる可能性が高い状態にあると取得される。具体的には、路面部の水分量が第1設定量以下である場合(乾燥状態にある場合)、第1設定量より多い第2設定量以上である場合には、路面部の水分量が第1設定量より多く、第2設定量より少ない場合より、落石等が生じる可能性が高いと推測されるのである。また、路面部の状態を表す情報は、中央管制装置Sに予め入力されることが多い。
【0033】
第1移動体V1の状態は、第1移動体V1の走行速度、積載重量と車両重量との和である総重量、積載量等で表すことができる。第1移動体V1の走行速度が大きい場合は小さい場合より、第1移動体V1の走行により路面部に加えられる振動が大きくなるため、落石等が発生する可能性が高くなる。同様に、第1移動体V1の総重量が大きい場合は小さい場合より落石等が発生する可能性が高くなる。また、積載量が多い場合は少ない場合より、荷台から積載物である石や土砂が落下し易くなるため、落石等が発生する可能性が高くなる。積載物である石や土砂が、そのまま、落下する場合、積載物の落下に起因して、落石等が発生する場合等が考えられる。
【0034】
落石等の重大度(規模の大きさ)は、路面部の土質(乾燥し易い、水分を含み易い、大きな石や岩が多い、土砂が多い等)、第1移動体V1の状態等に基づいて決まる。
例えば、路面部の土質が、大きな岩が多い土質である場合には、小石、砂が多い土質である場合に比較して重大度が大きいと取得される。また、路面部の土質が、土や砂を多く含み、かつ、水分を多く含み易い土質である場合には、水分を多く含み難い土質である場合に比較して、大きな土砂崩れが発生し易いため、重大度が大きいと取得される。
また、第1移動体V1の走行速度が大きい場合には走行速度が小さい場合より重大度が大きくなり、総重量が大きい場合には小さい場合より重大度が大きくなる。第1移動体V1の移動に伴う振動が大きくなるため、重大度が大きくなるのである。
【0035】
発生レベルを取得する場合において、落石等の発生の可能性と重大度との配分比率は、1対1としたり、1対2、2対1、多対1、1対多、多対多等としたりする等ができる。発生レベルは、例えば、重大度と可能性との両方に基づいて決まる1つの数値で表したり、マップで表わしたりすること等ができる。例えば、
図7に示す場合において、走行路Rの部分AをライトビークルLV1が走行する場合の発生レベルはa1であり、重機HV1が走行する場合の発生レベルはa01である。一般的には、ライトビークルLVは、重機HVより軽いため、路面部の状態が同じである場合の発生レベルは低くなる(a1<a01)。
【0036】
影響レベルは、例えば、地図情報と、発生レベルとに基づいて取得することができる。例えば、地図情報に基づけば、走行路Rの複数の部分A,B,C,・・・の各々の水平方向の位置、高さを取得することができる。そのため、地図情報に基づけば、例えば、
図6(a)に示すように、走行路Rの部分Bと部分Fとが、上下方向において、並んで位置し、
図6(b)に示すように、部分Gと部分Jとが、上下方向において、並んで位置することが分かる。仮に、部分B,Gにおいて、イベントが生じた場合に、第2移動体V2が部分F,Jに位置する場合には、第2移動体V2は、そのイベントの影響(被害)を受ける可能性があると取得される。
【0037】
また、地図情報に基づけば、部分Bと部分Fとの高度差Hbf、部分G、J間の高度差Hgj、部分Bと部分Fとの間の距離や勾配、部分G,J間の距離や勾配を取得することができる。そして、これら2つの部分B,Fまたは部分G,Jの間の高度差が大きい場合は小さい場合より、岩、土砂等が有する位置エネルギが大きくなるため、第2移動体V2が受ける可能性がある被害が大きくなる場合がある。また、2つの部分B,Fの間または部分G,Jの間の距離が長い場合は、岩や土砂等の移動距離が長く、エネルギ損失が大きくなる場合がある。そのため、第2移動体V2が受ける可能性がある被害は小さくなる場合がある。
【0038】
例えば、
図7に示す場合において、第2移動体V2としてのライトビークルLV1について部分Fにおける影響レベルがff1であり、部分Jにおける影響レベルがjj1である。また、ライトビークルLV2について部分Fにおける影響レベルはff2である。
【0039】
なお、ライトビークルLV1、LV2の部分F、Jにおける場合の影響レベルについて記載したが、複数の移動体Vのすべてについて、すべての部分について、それぞれ、影響レベルが取得されるようにすることができる。その場合には、ライトビークルLVについての影響レベルが、重機HVについての影響レベルより相対的に高くなる。
【0040】
作業計画は、上方に位置する移動体の走行により落石等が発生したと仮定した場合に、下方に位置する移動体が受ける可能性がある影響が抑制されるように、作成される。換言すると、予め定められた設定時間内に予め定められた作業量(土砂の運搬量等を含む)の作業が実行され、かつ、イベントの発生レベル、イベントの影響レベルが最小になるように、複数の移動体Vの各々の走行速度、積載重量等の最適値が取得されて作業計画が作成されるのである。例えば、作業計画は、広く、物流業界において運行管理が行われる場合に用いられる方法により作成される。作業計画は、複数の移動体V(重機HV,ライトビークルLV)の各々の識別情報と対応づけて記憶されることが多い。
【0041】
以上のように作成された作業計画の一例の一部を、
図7に示す。
例えば、複数の移動体VのうちライトビークルLV1,LV2,重機HV1、HV2が、この順に、上方から下方に向かって出発する場合を想定する。この場合には、ライトビークルLV1,LV2が重機HV1,HV2の下方に位置することが多いため、重機HV1,HV2が第1移動体V1に対応し、ライトビークルLV1,LV2が第2移動体V2に対応する。
【0042】
例えば、第1移動体V1と第2移動体V2とについて、第1移動体V1と第2移動体V2との相対位置関係(主として上下方向の相対位置関係)が、第1移動体V1の走行により落石等が生じたと仮定した場合に、第2移動体V2が被害を受け難い相対位置関係となるように、作業計画が作成される。第2移動体V2が被害を受け難い相対位置関係とは、被害を受ける可能性が低い関係、被害を受ける可能性がない関係、上下方向に並んだ関係にない関係等が該当する。
【0043】
重機HV1とライトビークルLV1とについて、部分B,Fにおいて、これらの少なくとも一方の出発時間、走行速度等が、重機HV1が部分Bを通過するまでに、ライトビークルLV1が部分Fに到達しないように決定される。それにより、ライトビークルLV1についての影響レベルff01を影響レベルff1より低くすることができる(ff01<ff1)。
【0044】
この場合に、ライトビークルLV1が部分Fへの到着を許可する時刻は、重機HV1が部分Bを通過する予定時刻と、部分Bにおいて発生した落石等により石や土砂が部分Fに達するまでの時間とを考慮して決めることが望ましい。部分Bと部分Fとの間の高度差、斜面の勾配、距離等に基づいて、部分Bにおいて落石等が発生してから石や土砂が部分Fに到着するまでの時間(ta)を推測することができる。
【0045】
重機HV2とライトビークルLV2とについて、部分B,Fにおいて、これら重機HV2とライトビークルLV2との相対位置関係が、重機HV2の走行により落石等が生じたと仮定した場合に、ライトビークルLV2が被害を受けないような相対位置関係となるように、重機HV2とライトビークルLV2との一方を一旦停止させることができる。それにより、ライトビークルLV2について、部分Fにおける影響レベルを低くすることができる(ff02<ff2)。
【0046】
重機HV2とライトビークルLV2とについて、部分G,Jにおいて、ライトビークルLV2が退避場Sに退避するようにすることができる。それにより、ライトビークルLV2についての影響レベルが低くなり(jj02<jj2)、ライトビークルLV2が落石等による被害を受け難くすることができる。ライトビークルLV2を退避場Sに退避させることは、重機HV2とライトビークルLV2との相対位置関係を、ライトビークルLV2が重機HV2の走行により落石等が生じても、被害を受け難い相対位置関係とすることに対応する。なお、ライトビークルLV2が退避場Sに退避する時間は、部分Gにおいて発生した落石等により石、岩、土砂等が部分Jに到達するまでの時間tbも考慮することが望ましい。
【0047】
また、第1移動体V1と第2移動体V2とについて、第2移動体V2が、第1移動体V1の走行により落石等が発生すると仮定した場合に、その影響を受ける可能性がある部分に位置する場合には、第1移動体V1の走行速度を小さい値に決定されるようにすることができる。
【0048】
例えば、重機HV1とライトビークルLV1とについて、部分G,Jにおいて、重機HV1が部分Gを走行する場合の走行速度が小さい値に決定されるようにすることができる。
仮に、重機HV1とライトビークルLV1との一方を一時停止させるようにした場合には、停止時間が長くなり、作業効率が大きく低下するおそれがある。一方、重機HV1について部分Gにおける発生レベルは、それほど高くない。そのため、重機HV1の走行速度が小さい値に決定されるようにしたのであり、それにより、落石等の発生レベルを小さくする(g001<g01)ことができ、ライトビークルLV1が受ける可能性が有る影響レベルを低くする(jj01<jj1)ことができる。
【0049】
その他、運行計画において、重機HV1,HV2を一時停止させることもできる。
また、ライトビークルLV1、LV2等のうちの少なくとも1つを重機HV等(例えば、衝撃強度が強い車体を有するもの)に代えることができる。重機HV等であれば、仮に、岩等が当たっても、被害が小さくなるからである。それにより、影響レベルを低くすることができる。さらに、複数の移動体全体の落石等の影響レベルが低くなるように、出発順序が決定されるようにすることができる。
【0050】
作業計画作成部50において、
図3のフローチャートで表される作業計画作成プログラムが予め定められた設定時間毎に実行される。本フローチャートは、作業計画作成プログラムの一部である。
ステップ11(以下、単にS11と略称する。他のステップについても同様とする)において、複数の移動体Vの各々における走行路Rの複数の部分A、B,C,D・・・の各々における発生レベルが取得され、S12において、影響レベルが取得され、S13において、複数の移動体の各々において、走行速度、積載重量、一旦停止の有無、退避の有無等の最適解が求められ、作業計画が作成される。そして、S14において、作成された作業計画が記憶される。
【0051】
なお、作業計画の作成は、AI(Artificial Intelligence)を利用して、行うことができる
【0052】
管制情報作成部52は、作業計画に基づいて複数の移動体の走行状態の制御指令を含む管制情報を作成する。管制情報は、制御指令、制御対象の移動体Vを特定可能な識別情報等を含む。
【0053】
例えば、複数の移動体Vの各々から、自身の識別情報、位置情報を含む移動体情報が無線で送信され、管制通信装置42において受信される。そして、管制ECU50において、受信した移動体情報に含まれる識別情報および位置情報と、識別情報に対応して記憶された作業計画等とに基づいて、その識別情報で特定される移動体Vについて、作業計画に含まれる走行速度、一時停止の有無、退避の有無等が取得される。管制情報作成部52は、それら走行速度、一時停止の有無、退避の有無等の運行計画等に基づいて、移動体情報を送信した移動体Vに対して、減速指令、退避指令、一時停止指令等の制御指令と、その移動体Vの識別情報とを含む管制情報を作成する。そして、作成された管制情報は、管制通信装置42に出力される。管制通信装置42は管制情報を無線で送信する。
【0054】
なお、第1移動体V1に対する管制情報を作成する前(第1移動体Vについて制御指令を出力する前)に、第2移動体V2の位置を確認することができる。複数の移動体Vは作業計画通りに走行するとは限らず、遅れる場合、速くなる場合もある。そのため、仮に、第2移動体V2が、落石等の影響が及ぶ範囲に接近していない場合等には、第1移動体V1に対して制御指令を出力する必要性が低い場合があるからである。第2移動体V2に対する管制情報を作成する前についても同様であり、第1移動体V1の位置を確認することができる。
【0055】
また、作成された作業計画を表す情報は、それぞれ、移動体Vに供給されるようにすることができる。移動体Vの各々は、作業計画のうちの運行計画に従って自動運転するようにすることができる。その場合には、管制情報に基づく移動体の走行状態の制御は不可欠ではなくなったり、補助的な制御になったりする。
【0056】
管制情報作成部52において、
図4のフローチャートで表される管制情報作成プログラムが予め定められた設定時間毎に実行される。
S21において、移動体情報を受信したか否かが判定され、判定がYESである場合には、S22において、情報処理が行われ、識別情報、位置情報等が取得される。S23において、識別情報に基づいて移動体Vが特定され、その位置が取得される。そして、S24において、作業計画に基づいて制御指令が作成されて、その制御指令と識別情報とを含む管制情報が作成される。
【0057】
それに対して、複数の移動体Vの各々においては、
図5のフローチャートで表される走行制御プログラムが予め定められた設定時間毎に実行される。
S31において、管制情報を受信したか否かが判定される。判定がYESである場合には、S32において、識別情報が一致するか否かが判定され、判定がYESである場合には、制御指令の内容が取得される。
S33において、制御指令が停止指令であるか否か、S34において、減速指令であるか否か、S35において、退避指令であるか否かが判定される。S33の判定がYESである場合には、S36において、停止制御が行われる。制動装置Bを制御することにより、移動体Vが停止させられる。S34の判定がYESである場合には、S37において、減速度制御が行われる。制動装置Bや駆動装置Dの制御により、移動体Vの走行速度が遅くされる。S35の判定がYESである場合には、S38において、転舵装置Tの制御により、経路が変更されて、退避場Sに退避させる。
【0058】
以上のように、本実施例においては、作業効率の低下を抑制しつつ、発生レベルと影響レベルとが最小になるように、複数の移動体Vの各々についての走行速度、一時停止の有無、退避の有無、積載量、積載重量等の最適解が取得され、作業計画が作成され、記憶される。また、作業計画に基づいて、複数の移動体の各々の走行状態が制御される。その結果、作業効率の低下を抑制しつつ、複数の移動体の安全性を向上させることができる。
【0059】
以上、本実施例においては、中央管制装置Sの管制ECU40の作業計画作成プログラムを記憶する部分、実行する部分等により作業計画作成装置が構成され、管制ECU40の管制情報作成プログラムのS25,26を記憶する部分、実行する部分等により走行状態制御装置が構成される。また、管制ECU40のS11を記憶する部分、実行する部分等により発生レベル取得部が構成され、S12を記憶する部分、実行する部分等により影響レベル取得部が構成される。なお、走行状態制御装置は、移動体ECU20の走行制御プログラムのS33-38を記憶する部分、実行する部分等も含むものとすることができる。
【0060】
なお、移動体Vが路面センサを含む場合において、路面センサの検出結果を表す情報が中央管制装置Sに供給されるようにすることができる。その場合には、中央管制装置Sにおいて、予め入力された路面部の状態が、路面センサの検出値に基づいて修正等されるようにすることができる。それにより、路面部の状態を細かに取得することが可能となり、より正確に発生リスクが取得されるようにすることができる。また、それに基づいて、作業計画を適宜修正等して、複数の移動体Vの走行状態を制御することができる。
【0061】
また、上記実施例において、第1移動体が重機HVであり、第2移動体がライトビークルLVである場合について説明したが、それに限らない。例えば、第1移動体と第2移動体との両方が、ライトビークルまたは重機等であってもよい。
【0062】
さらに、作業計画の作成方法は、上記実施例に限らない。
例えば、第1移動体V1についての発生レベルが設定レベルである第1設定レベルより高い場合において、その部分において落石等が発生したと仮定した場合に影響を受ける可能性がある部分を第2移動体V2が走行する可能性がある場合に、発生レベルと影響レベルとの少なくとも一方が第1設定レベル以下になるように、走行速度、一旦停止の有無、退避の有無等が決定されるようにすることができる。
【0063】
また、発生レベルが設定レベルである第2設定レベルより高い場合には、第1移動体V1と第2移動体V2との相対位置関係が、第1移動体V1の走行により落石等が発生したと仮定した場合に、第2移動体が影響を受ける可能性がある範囲から外れた相対位置関係となるように、作業計画を作成し(走行状態を制御し)、発生レベルのうちの落石等の発生可能性が設定レベルである第3設定レベルより高く、重大度が設定レベルである第4設定レベルより低い場合には、第2移動体V2が落石等の影響を受ける可能性がある範囲内に位置する場合であっても、第1移動体の走行速度が小さい値に決定されるようにすることができる。
【0064】
さらに、運行計画は、複数の移動体の作業時間、換言すると、最初の1つの移動体が出発してから複数の移動体すべてが目標位置に到達するまでに要する時間が設定時間を越えないように、作成されるようにすることができる。
【0065】
また、上記実施例において、管理システム、走行状態制御システムが鉱山の作業において利用される場合について説明したが、鉱山の作業に限らず山岳地帯を走行する複数の移動体の管理や、複数の移動体のうちの少なくとも1つの走行状態の制御に適用することができる。
路面センサ70cは、複数の移動体Vcの各々の車輪28のタイヤに設けられ、路面の状態を検出するものである。路面センサ70cによって検出される路面の状態には、路面の乾燥の程度、水分量、摩擦係数等が含まれる。路面センサ70cは、通信機能を有するものであるか、または、タイヤに設けられた通信装置に接続されたものである。そのため、路面センサ70cによって検出された路面の状態である第1路面状態を表す第1路面状態情報は、車体側の移動体通信装置14cに送信される。
走行状態検出装置71cは、例えば、移動体Vcの複数の車輪の各々についての車高を検出する車高センサを含むものとすることができる。複数の車輪の各々についての車高の差等に基づいて、移動体Vcが走行した路面の凹凸の状態を取得することができる。走行状態検出装置71cによって検出された路面の凹凸の状態を第2路面状態と称する。
以下、移動体Vcの各々において取得された第1路面状態と第2路面状態とを合わせて、検出路面状態と称する。検出路面状態を表す情報と、移動体Vcの位置情報とは、移動体情報に含んで送信される。
なお、検出路面状態に、自移動体Vの周辺情報取得装置12cによって検出された、自移動体Vの前方の路面状態も含めたり、自移動体Vの周辺情報取得装置12cによって検出された自移動体Vの前方の路面状態等を検出路面状態としたりすること等ができる。
発生レベル取得部72cは、移動体通信装置14cにおいて受信した移動体情報に含まれる検出路面状態情報と自移動体Vcの状態とに基づいて、移動体情報を送信した移動体Vcが位置する部分を自移動体Vcが走行すると仮定した場合に落石等が発生すると推測される発生レベルを取得する。
なお、移動体情報は、落石等の発生レベルが設定レベルである第11設定レベルより高い場合に、送信されるようにすることができる。また、移動体Vcyは、発生レベルが第12設定レベルまで低下するように、走行速度を遅くすることができる。
移動体Vcyが送信した移動体情報が移動体Vczにおいて受信された場合には、移動体Vczは、自移動体Vczの位置と、移動体Vcyの位置と、部分Pの位置と、地図情報とに基づいて、自移動体Vczが、移動体Vcyが部分Pを走行することにより落石等が発生すると仮定した場合に、影響を受ける可能性がある部分に接近しているか否かを判定する。そして、自移動体Vczが、落石等の影響を受ける可能性がある部分に接近していると判定した場合には、自移動体Vczが、発生レベルの値等に基づいて、落石等が発生したと仮定した場合に自移動体Vczが受ける可能性がある影響レベルを取得し、影響レベルが設定レベルである第13設定レベルより高い場合には、一時停止したり、退避場に退避したりすること等ができる。また、移動体Vczは移動体Vcyに、減速指令や一旦停止指令を送信することも可能である。
このように、本実施例においては、移動体間の通信により、移動体Vcの各々において、路面の状態が取得され、自移動体Vcの各々の発生レベルを取得することができる。そして、発生レベルを含む移動体情報を送信することにより、下方に位置する移動体は、影響を受ける可能性があるか否かを判定し、影響を受ける可能性がある場合には、退避、一旦停止等をすることにより、被害を受け難くすることができる。それにより、複数の移動体の安全性を向上させることができる。
本実施例においては、複数の移動体Vcの移動体通信装置14c、走行制御部26c、移動体情報作成部24c、地図情報記憶部58c、発生レベル取得部72c、路面センサ70c等により走行制御装置、走行制御システムが構成される。
また、移動体Vcyが第1移動体に対応し、移動体Vczが第2移動体に対応する。
なお、走行路Rの路面部の状態は、図示しない外部情報発信装置から供給されるようにすることができる。外部情報発信装置と移動体Vcの各々との通信により、走行路Rの複数の部分の各々の路面部の状態が複数の移動体Vcの各々において取得されるようにすることができる。また、複数の移動体Vcの各々において、取得した路面部の状態と自移動体の状態とに基づいて、前方の部分を自移動体が走行した場合に発生すると推測される落石等の発生レベルが取得される。そして、その部分の位置と発生レベルとを含む移動体情報を作成して、送信するが、この移動体情報を下方に位置する移動体が受信した場合には、自移動体の上方で落石等が発生する発生レベルを取得することが可能となり、退避等することが可能となる。
また、外部情報発信装置は、路面部の状態のみならず、気象情報も発信するようにすることができる。移動体Vcの各々は、気象情報に基づいて、路面部の状態を正確に取得することができる。