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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024093219
(43)【公開日】2024-07-09
(54)【発明の名称】インフレーション成形装置
(51)【国際特許分類】
   B29C 48/885 20190101AFI20240702BHJP
   B29C 48/10 20190101ALI20240702BHJP
【FI】
B29C48/885
B29C48/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022209447
(22)【出願日】2022-12-27
(71)【出願人】
【識別番号】000002107
【氏名又は名称】住友重機械工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104880
【弁理士】
【氏名又は名称】古部 次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100125346
【弁理士】
【氏名又は名称】尾形 文雄
(72)【発明者】
【氏名】日置 一弥
【テーマコード(参考)】
4F207
【Fターム(参考)】
4F207AG01
4F207AG08
4F207KA01
4F207KA17
4F207KA19
4F207KK12
4F207KK56
4F207KM16
(57)【要約】
【課題】インフレーション成形装置において、円周方向に不均一な形状のチャンバーを使用できるようにする。
【解決手段】インフレーション成形装置1は、ダイ30から円筒状に押し出された溶融樹脂500の膨張により形成されたバブル510を固化させるための冷却風610を流出させるエアリング20と、バブル510を囲むように配置され、送風部からの冷却風610をバブル510に誘導するチャンバー11とを備え、チャンバー11は、分割され組み立ておよび分解を可能とし、円周方向に回転または往復運動する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ダイから円筒状に押し出された溶融樹脂の膨張により形成されたバブルを固化させるための冷却風を流出させる送風部と、当該バブルを囲むように配置され、当該送風部からの当該冷却風を当該バブルに誘導する誘導部とを備え、
前記誘導部は、円周方向で複数の部材に分割され、円周方向に回転または往復運動することを特徴とする、
インフレーション成形装置。
【請求項2】
前記誘導部の複数の部材は、前記バブルに対向する面が円周方向の曲面を有することを特徴とする、
請求項1に記載のインフレーション成形装置。
【請求項3】
前記誘導部の複数の部材は、前記バブルに対向する面が平面であることを特徴とする、
請求項1に記載のインフレーション成形装置。
【請求項4】
前記誘導部の複数の部材は、複数の平板であり、前記複数の平板の各々の最も面積が広い面が、円周方向に対し直交していることを特徴とする、
請求項1に記載のインフレーション成形装置。
【請求項5】
前記誘導部の複数の部材は、前記バブルに対向する面に軸方向の曲面を有することを特徴とする、
請求項2および4に記載のインフレーション成形装置。
【請求項6】
前記誘導部の複数の部材は、軸方向に分割されていることを特徴とする、
請求項1乃至4のいずれかに記載のインフレーション成形装置。
【請求項7】
前記複数の部材のうち1以上の部材は、半径方向に移動する機構を有することを特徴とする、
請求項1乃至4のいずれかに記載のインフレーション成形装置。
【請求項8】
前記誘導部の複数の部材が、軸方向に曲面を有することを特徴とする、
請求項1乃至4のいずれかに記載のインフレーション成形装置。
【請求項9】
軸方向にさらに分割されている前記部材の一部を軸方向に移動させる機構を有することを特徴とする、
請求項6に記載のインフレーション成形装置。
【請求項10】
前記誘導部を支持し、当該誘導部を円周方向に回転または往復運動させる回転部材を有する回転部を備えることを特徴とする、
請求項1乃至4のいずれかに記載のインフレーション成形装置。
【請求項11】
前記回転部は、前記回転部材の縁部に接触し、当該回転部材を回転させる1以上の駆動機構を備えることを特徴とする、
請求項10に記載のインフレーション成形装置。
【請求項12】
前記回転部材には、前記送風部からの前記冷却風の少なくとも一部を流出させる流出口が設けられていることを特徴とする、
請求項11に記載のインフレーション成形装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インフレーション成形装置に関する。
【背景技術】
【0002】
いわゆるインフレーション成形では、ダイから円筒状に押し出された溶融樹脂の内面側に空気を送り込み膨張させることで、「バブル」とも呼ばれる薄膜の溶融樹脂を形成させる。そして、バブルの外面側に冷却風を当てて固化させることで、製品としてのフィルムを成形する。インフレーション成形では、バブルの外面側に当てる冷却風の風速が均一であることが好ましい。冷却風の風速が均一でないと、バブルの膜厚が不均一になり、製品としてのフィルムの品質が低下する。このため、「チャンバー」とも呼ばれる円筒状の壁を、バブルを囲むように配置し、「エアリング」とも呼ばれる送風装置からの冷却風をバブルの外面側に当たるように誘導する(例えば、特許文献1)。これにより、冷却風の風速が均一化される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平6-122150号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
円周方向に不均一な形状のチャンバーを用いると、バブルとチャンバーの間隔が不均一になる。その結果として、冷却風の風速が不均一になることでバブルの膜厚が不均一になる。このため、円周方向に不均一な形状のチャンバーを使用することができず、真円度の高い高コストのチャンバーが使用されていた。
本発明の目的は、インフレーション成形装置において、円周方向に不均一な形状のチャンバーを使用できるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
かかる目的のもと完成させた本発明は、ダイから円筒状に押し出された溶融樹脂の膨張により形成されたバブルを固化させるための冷却風を流出させる送風部と、当該バブルを囲むように配置され、当該送風部からの当該冷却風を当該バブルに誘導する誘導部とを備え、前記誘導部は、円周方向で複数の部材に分割され、円周方向に回転または往復運動することを特徴とするインフレーション成形装置である。
ここで、前記誘導部の複数の部材は、前記バブルに対向する面が円周方向の曲面を有していても良い。
また、前記誘導部の複数の部材は、前記バブルに対向する面が平面であっても良い。
また、前記誘導部の複数の部材は、複数の平板であり、前記複数の平板の各々の最も面積が広い面が、円周方向に対し直交していても良い。
また、前記誘導部の複数の部材は、前記バブルに対向する面に軸方向の曲面を有していても良い。
また、前記誘導部の複数の部材は、軸方向に分割されていても良い。
また、前記複数の部材のうち1以上の部材は、半径方向に移動する機構を有していても良い。
また、前記誘導部の複数の部材が、軸方向に曲面を有していても良い。
また、軸方向にさらに分割されている前記部材の一部を軸方向に移動させる機構を有していても良い。
また、前記誘導部を支持し、当該誘導部を円周方向に回転または往復運動させる回転部材を有する回転部を備えていても良い。
また、前記回転部は、前記回転部材の縁部に接触し、当該回転部材を回転させる1以上の駆動機構を備えていても良い。
また、前記回転部材には、前記送風部からの前記冷却風の少なくとも一部を流出させる流出口が設けられていても良い。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、インフレーション成形装置において、円周方向に不均一な形状のチャンバーを使用できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】第1の実施の形態にかかるインフレーション成形装置の一部の構成の一例を示す断面図である。
図2】半径方向に分割され、組み立てることで略円筒状になるチャンバーの構成の一例を示す図である。
図3】チャンバーを円周方向に回転または往復運動させる回転機構の外観構成の一例を示す斜視図である。
図4図3の駆動機構を回転させる手法の具体例を示す図であり、図1のインフレーション成形装置の一部の構成の一例を示す拡大図である。
図5】(A)乃至(C)は、第2の実施の形態にかかるインフレーション成形装置の構成を示す図である。
図6】(A)および(B)は、第3の実施の形態にかかるインフレーション成形装置のチャンバーの構成の一例を示す図である。
図7】(A)および(B)は、第4の実施の形態にかかるインフレーション成形装置のチャンバーの構成の一例を示す図である。
図8】(A)乃至(C)は、第5の実施の形態にかかるインフレーション成形装置の構成の一例を示す図である。
図9】第6の実施の形態にかかるインフレーション成形装置の構成の一部を示す拡大断面図である。
図10】第7の実施の形態にかかるインフレーション成形装置の回転機構の外観構成の一部を示す平面図である。
図11】軸方向に分割され組み立ておよび分解を可能とするチャンバーの構成の一例を示す図である。
図12】(A)および(B)は、円周方向および軸方向に曲面を有し、半径方向に分割され組み立ておよび分解を可能とするチャンバーの構成の一例を示す斜視図である。
図13】(A)および(B)は、軸方向の高さを調整するためのスライド機構を有するチャンバーの外観構成の一例を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
<第1の実施の形態>
[インフレーション成形装置の構成]
図1は、第1の実施の形態にかかるインフレーション成形装置1の一部の構成の一例を示す断面図である。
インフレーション成形装置1では、一部の工程として、加熱により溶融状態となった樹脂500(以下、「溶融樹脂500」と呼ぶ。)を、押し出し装置40が、口金である環状のダイ30に向けて押し出す。すると、溶融樹脂500が円筒状になるとともに、ダイ30の吐出口31から吐出される。そして、ダイ30の内側から溶融樹脂500に向けて空気600を送り込むと、溶融樹脂500が膨張し、チューブ状の薄膜の溶融樹脂510(以下、「バブル510」と呼ぶ。)が形成される。
【0009】
次に、バブル510を冷却するための空気を流出する送風部であるエアリング20からの冷却風610が、誘導部であるチャンバー11-1乃至11-n(nは3以上の整数値)に誘導されながらバブル510の外面に沿って流れる。すなわち、冷却風610は、バブル510の中心軸の軸方向(以下、単に「軸方向」と呼ぶ。)の下側(以下、単に「下側」と呼ぶ場合がある。)から軸方向の上側(以下、単に「上側」と呼ぶ場合がある。)に向けて流れる。ここで、上側は、バブル510が流れる方向で表すと下流側を指し、下側は上流側を指す。
【0010】
チャンバー11-1乃至11-nは、回転部材52に支持されており、回転部材52がバブル510の円周方向に回転または往復運動すると、それに合わせて回転または往復運動する。「往復運動」とは、例えば、円周の2分の1の範囲を往復する運動や、円周の4分の1の範囲を往復する運動などのことをいう。複数のチャンバー11-1乃至11-nが円周方向に回転または往復運動すると、流出口21から流出された冷却風610の風速が円周方向に均一化されるので、バブルの膜厚が均一化される。
【0011】
バブル510は、冷却風610により冷却されることで固化する。これにより、「チューブフィルム」とも呼ばれる樹脂製のフィルム520が成形される。インフレーション成形装置1では、フィルム520を成形すると、図示せぬ締め付け用のロール装置がフィルム520を挟み込み、内部の空気を締め出しながら引き取る。その後、図示せぬ巻取り装置がフィルム520を巻き取り、ヒーターあるいはカッターによって予め定められた長さに切断する。
【0012】
チャンバー11-1乃至11-n、エアリング20、ダイ30、回転部材52、およびフィルム520の中心軸は、バブル510の中心軸と同軸または略同軸である。以下、チャンバー11-1乃至11-n、エアリング20、ダイ30、回転部材52、バブル510、およびフィルム520の径を示す方向を「半径方向」と呼ぶ場合がある。また、半径方向と呼ぶ場合、中心軸に向かう方向を「内側」と呼び、中心軸から離れる方向を「外側」と呼ぶ。
【0013】
(チャンバーの構成)
誘導部としてのチャンバー11-1乃至11-nは、流出口21を囲むように配置された1または複数の層からなる円筒状の壁であり、流出口21から流出された冷却風610を誘導する。すなわち、図1には、チャンバーが3層以上であることが例示されているが、2層または1層であってもよい。図1の例では、チャンバー11-1は流出口21を囲むように配置され、チャンバー11-2はチャンバー11-1を囲むように配置されている。また、チャンバー11-nは、チャンバー11-1乃至11-(n-(マイナス)1)を囲むように配置されている。以下、チャンバー11-1乃至11-nの各々を個別に説明する必要がない場合には、これらをまとめて「チャンバー11」と呼ぶ。
【0014】
(エアリングの構成)
送風部としてのエアリング20は、冷却風610を流出する流出口21と、流出口21に冷却風610として送り込まれた空気が通過する通風路24と、外部から取り入れられた空気が一時的に貯まる空間25と、外部からの空気を取り入れるダクト26とを備える。すなわち、外部からダクト26に取り入れられた空気は、空間25および通風路24を通過し、冷却風610として流出口21から流出される。
【0015】
図2は、半径方向に分割され、組み立てることで略円筒状になるチャンバー11の構成の一例を示す図である。ここで略円筒状としたのは、部材12と部材13とをチャンバー11として組み立てるときに、半径方向および/または円周方向の位置の調整が可能であり、位置を調整した結果、筒の形状が真円と異なることがあるためである。
図2には、同一または略同一の形状である部材12と部材13とが示されている。部材12と部材13とを組み立てることで1つのチャンバー11が形成される。部材12と部材13とを組み立てる場合、部材12の軸方向に平行な面121と、部材13の軸方向に平行な面131とを接合し、部材12の軸方向に平行な面122と、部材13の軸方向に平行な面132とを接合する。これにより、1層のチャンバー11が形成される。
【0016】
図2のチャンバー11は、半径方向に分割され、組み立てることで円筒状のチャンバーとすることが可能であるため、インフレーション成形装置1の半径方向の取り外しおよび取り付けが容易になる。その結果、例えば、成形条件出しのときなど、チャンバー11を交換する必要があるときでも、分解や組み立てる時にチャンバーの半径方向への移動ができ、成形を停止せずにインフレーション成形装置1からバブル510を取り外す、または、位置などの調整を行うことができる。
【0017】
なお、図2には、半径方向に分割された1層のチャンバー11が示されているが、例示に過ぎない。例えば、図1のチャンバー11-1乃至11-nのように複数の層が形成されている場合には、チャンバー11-1乃至11-nのすべてについて半径方向に分割され、組み立てることができる。
【0018】
図3は、チャンバー11-1乃至11-nを円周方向に回転または往復運動させる回転機構50の外観構成の一例を示す斜視図である。
回転部としての回転機構50は、歯車の歯を有する駆動機構51および回転部材52と、軸受53とを備える。駆動機構51は、回転部材52と噛合しながら回転することで、回転部材52を回転させる。なお、図3に示す駆動機構51および回転部材52の歯車の歯のサイズは一例である。例えば、図3に示す歯のサイズよりも小さくてもよい。駆動機構51は、例えばモータ等により回転する。駆動機構51の数は特に限定されず、成形条件等に応じて決定される。なお、図3には、駆動機構51が1つ設けられた例が示されている。
【0019】
回転部材52は、チャンバー11-1乃至11-nを同軸で支持しながら円周方向に回転または往復運動することで、チャンバー11-1乃至11-nを円周方向に回転または往復運動させる。チャンバー11-1乃至11-nと回転部材52とは取り外し可能な態様で接合される。例えば、アングル等を用いて接合しても良い。回転部材52の回転速度は特に限定されず、成形条件等に応じて決定される。例えば、20秒で1回転、1分で1回転といったように決定される。軸受53は、スラスト軸受等で構成され、回転部材52を同軸で支持し、回転部材52の軸方向の下側に働く力を受け止める。軸受53を設けることで、回転部材52の回転または往復運動が滑らかになる。
【0020】
図4は、図3の駆動機構51を回転させる手法の具体例を示す図であり、図1のインフレーション成形装置1の一部の構成の一例を示す拡大図である。なお、図4の例では、3層からなるチャンバー11-1乃至11-3が円周方向に回転または往復運動することで、エアリング20からの冷却風610の風速の円周方向の均一化が図られる。これにより、例えば、分割構造などのチャンバー11が円周方向に不均一な形状であっても、冷却風610の風速の不均一の影響を円周方向に分散させて、バブル510の膜厚の分布に悪影響を与えないようにすることができる。
【0021】
図4に示すように、インフレーション成形装置1は、半径方向の内側から外側に向かって、バブル510、流出口21、チャンバー11-1乃至11-3、モータ60、およびエアリング20の本体の順に配置される構成になっている。このため、ダクト26から取り入れられた空気が、通風路24を通り、冷却風610として流出口21から流出される。
【0022】
図4の例において、モータ60は、チャンバー11-3とエアリング20との間に形成された空間に配置されている。モータ60が駆動機構51を回転させると、軸受53に支持された回転部材52が円周方向に回転または往復運動する。また、それとともに、回転部材52に支持されたチャンバー11-1乃至11-3が円周方向に回転または往復運動する。これにより、エアリング20の流出口21から流出された冷却風610の風速が円周方向に均一化されるので、バブル510の膜厚の均一化を図ることができる。
【0023】
また、図4に示すように、回転部材52から通風路24に抜ける連通する孔を設けて、この連通孔を、冷却風610を流出させるが流出口54としてもよい。これにより、例えば、流出口21のみならず、流出口54からも冷却風610を流出させることができるので、冷却風610を流出させる位置の制御が可能となる。
【0024】
流出口54は、回転部材52の円周方向の少なくとも一部に形成されている。すなわち、流出口54は、回転部材52の円周方向の全範囲に形成されていても良いし、回転部材52の円周方向の一部の範囲に形成されていても良い。回転部材52の円周方向の一部の範囲に流出口54が成形されている場合、冷却風610を流出させる位置や範囲を制御できる。
【0025】
<第2の実施の形態>
上述の第1の実施の形態にかかるインフレーション成形装置1のチャンバー11は、円周方向で分割され、組み立てることで略円筒状のチャンバーとなる、円周方向に曲面を有する壁で構成されたチャンバーである。これに対して、第2の実施の形態にかかるインフレーション成形装置のチャンバーは、複数の平板の組み合わせで構成された角筒のチャンバーである。つまり、軸方向から見た時に多角形の形状であるチャンバーである。第2の実施の形態にかかるチャンバーも、第1の実施の形態にかかるチャンバー11と同様に、回転部材52(例えば、図3参照)に支持されることで回転および往復運動を可能にする。
【0026】
図5(A)乃至(C)は、第2の実施の形態にかかるインフレーション成形装置の構成の一例を示す図である。
図5(A)に示す平板100は、長手方向および短手方向を有する矩形の平板であり、平面である面101乃至106を有する。図5(B)には、図5(A)の平板100を組み合わせることで形成されたチャンバー112の外観構成の一例を示す平面図が示されている。図5(C)には、図5(B)のチャンバー112の外観構成の一例を示す正面図が示されている。
図5(B)および(C)に示すように、隣り合う平板100の長手方向の各々の面103および104の一部を取り外し可能な態様で接合することで、角筒のチャンバー112を組み立てることができる。面103および104の一部を接合する手法は特に限定されず、例えば、蝶番等を用いて接合しても良い。チャンバー112の下端部を構成する平板100の面106は、回転部材52(例えば、図3参照)に接合される。これにより、チャンバー112の円周方向の回転または往復運動が可能になる。
【0027】
チャンバー112を構成する複数の平板100は、6面がいずれも平面であるため、バブル510に対向する面101も平面となる。このため、チャンバー112全体としてバブル510に対向する面は、曲線を有しない形状となる。しかしながら、チャンバー112を回転させることで、バブル510の外面側を流れる冷却風610の風速を円周方向に均一化させることができる。これにより、バブルの膜厚の均一化が図られる。また、チャンバー112を構成する部材を平板100とすることで、調達や加工が容易になる。
【0028】
<第3の実施の形態>
図6(A)および(B)は、第3の実施の形態にかかるインフレーション成形装置のチャンバー113の構成の一例を示す図である。
図6(A)には、半径方向の位置を調整するためのスライド機構を有するチャンバー113の外観構成の一例を示す平面図が示されている。図6(B)には、図6(A)のチャンバー113の外観構成の一例を示す正面図が示されている。
チャンバー113を構成する平板100に直交するように接合された平板200に、半径方向にスライドさせるためのスライド機構117を設けることで、チャンバー113の円周方向の形状を平板100ごとに調整することができる。これにより、チャンバー113とバブル510との距離を平板100ごとに調整することが可能になる。
【0029】
具体的には、図6(A)および(B)に示すように、平板100に、スライド機構117を有する矩形の平板200を直交するように接合し、これらの組み合わせを周方向に複数配置する。このとき、隣り合う平板200の一部が交互に重なり合うように配置される。このようにすることで、隣り合う平板100の間に軸方向に長い隙間が形成された略円筒状のチャンバー113が形成される。なお、平板100と平板200とを直交するように接合する手法は特に限定されない。例えば、溶接、アングル等により接合しても良い。このチャンバー113では、平板100の1つの面101がバブル510に対向し、平板200の1つの面211が軸方向に対し直交するように配置される。
【0030】
スライド機構117は、半径方向に長い孔であるスライド孔118と、ストッパー119とで構成されている。ストッパー119は、スライド孔118を介して、軸方向の下側に配置されている環状の板120に接合されている。平板100が半径方向にスライド可能な幅は特に限定されず、例えば、20cm(センチメートル)程度としているが、チャンバーのサイズや分割数に応じて決定すれば良い。
【0031】
チャンバー113の下端部125は、回転部材52(例えば、図3参照)に接合される。これにより、チャンバー113の円周方向の回転または往復運動が可能になる。チャンバー113を構成する複数の平板100は、6面がいずれも平面であるため、バブル510に対向する1つの面101も平面になる。また、隣り合う平板100との間に隙間が形成されている。しかしながら、チャンバー113を回転させることで、バブル510の外面側を流れる冷却風610の風速を円周方向に均一化させることができる。これにより、バブルの膜厚の均一化が図られる。
【0032】
<第4の実施の形態>
図7(A)および(B)は、第4の実施の形態にかかるインフレーション成形装置のチャンバー114の構成の一例を示す図である。
図7(A)には、円周方向の位置を調整するためのスライド機構を有するチャンバー114の外観構成の一例を示す平面図が示されている。図7(B)には、図7(A)のチャンバー114の外観構成の一例を示す正面図が示されている。
【0033】
チャンバー114を構成する平板100に、円周方向にスライドさせるためのスライド機構117を設けることで、チャンバー114の円周方向の位置を調整することができる。これにより、チャンバー114の円周方向の形状に合わせた位置の調整が可能となる。
【0034】
具体的には、図7(A)および(B)に示すように、平板100の1つの面101が軸方向に略直交し、平板100の1つの面104がバブル510に対向するように平板100を円周方向に複数配置する。このとき、隣り合う平板100の一部が同じ向きで重なるように配置する。そして、その上側に、円筒状の壁300を載せて接合する。このチャンバー114では、円筒状の壁300の内壁面301と、平板100の1つの面104とがバブル510に対向するように配置されている。
【0035】
平板100には、スライド機構117が設けられている。スライド機構117は、略円周方向に長い孔であるスライド孔118と、ストッパー119とで構成されている。ストッパー119は、スライド孔118を介して、軸方向の下側に配置されている隣の平板100に接合されている。平板100が円周方向にスライド可能な幅は特に限定されず、例えば、20cm(センチメートル)程度としているが、チャンバー114のサイズや分割数に応じて決定すれば良い。
【0036】
<第5の実施の形態>
図8(A)乃至(C)は、第5の実施の形態にかかるインフレーション成形装置5の構成の一例を示す図である。
第5の実施の形態にかかるインフレーション成形装置5のチャンバー115は、少なくとも一部に曲面を有する平板400を組み合わせることで形成されるチャンバーである。第5の実施の形態にかかるチャンバー115は、回転部材52(例えば、図3参照)に支持されることで回転および往復運動を可能にする。
【0037】
図8(A)には、第5の実施の形態にかかるインフレーション成形装置5のチャンバー115を構成する平板400の外観構成の一例を示す斜視図が示されている。図8(B)には、図8(A)の平板400を複数配置したチャンバー115の外観構成の一例を示す平面図が示されている。図8(C)には、図8(B)のチャンバー115の構成の一例を示す断面拡大図が示されている。
図8(A)および(B)に示すように、平板400は、平面である面401乃至406と、曲面を有する面403とを有する。
【0038】
図8(B)に示すように、チャンバー115を構成する平板400は、軸方向の曲面を有する面403が、半径方向の内側、つまり、バブルに対向する縁に配置されている。これにより、面403の曲面の形状に合わせてバブル510を誘導することができる。その結果、半径方向の内側に曲面を形成するために、従来のように軸方向の高さが異なる円筒状の部材を半径方向に複数配置する必要がなくなる。また、平板400は、面401および面402が円周方向に対し直交するように配置されている。このため、チャンバー115は、全体として平板400を放射状に配置した形状になっている。
【0039】
また、図8(C)に示すように、チャンバー115を構成する平板400の面406が回転部材52に接合されている。これにより、チャンバー115の円周方向の回転または往復運動が可能になる。チャンバー115が回転または往復運動すると、流出口21から流出された冷却風610が、隣り合う平板400の間から半径方向の外側に放出される。これにより、バブル510をチャンバー115側に誘導する効果や、放熱によるバブル510を冷却する効果が向上する。ただし、冷却風610が半径方向の外側に放出されると、冷却風610がバブル510に当たり難くなるおそれがあるので、チャンバー115の円周方向の回転速度と、流出口21から流出される冷却風610の風速とのバランスが考慮される。
【0040】
<第6の実施の形態>
図9は、第6の実施の形態にかかるインフレーション成形装置6の構成の一部を示す拡大断面図である。
上述の実施の形態にかかるインフレーション成形装置1のエアリング20は、例えば、図4に示すように、半径方向の内側から外側に向かって配置されたバブル510、チャンバー11-1乃至11-3、およびモータ60の外側に配置される構成になっている。これに対して、第6の実施の形態にかかるインフレーション成形装置6のエアリング20は、図9に示すように、チャンバー11-1乃至11-3、およびモータ60に対し、軸方向の下側に配置される構成になっている。
【0041】
図9に示すような構成にすることで、チャンバー11-1乃至11-3の外側にエアリング20が存在しないようにすることができる。これにより、チャンバー11-1乃至11-3の交換や調整を行うための作業が容易になる。また、インフレーション成形装置6の半径方向の幅が短くなるので、省スペース化を図ることができる。
【0042】
なお、エアリング20を配置する位置を図9に示す位置とした場合であっても、上述の図4の場合と同様に、ダクト26から取り入れられた空気が、通風路24を通り、冷却風610として流出口21から流出される。
【0043】
また、図9に示すように、回転部材52から通風路24に連通する孔を設けて、この連通孔を、冷却風610を流出させるが流出口54としてもよい。これにより、例えば、流出口21のみならず、流出口54からも冷却風610を流出させることができるので、冷却風610を流出させる位置の制御が可能となる。
【0044】
<第7の実施の形態>
図10は、第7の実施の形態にかかるインフレーション成形装置の回転機構70の外観構成の一部を示す平面図である。
上述の実施の形態にかかるインフレーション成形装置の回転機構は、例えば、上述の図3に示すように、歯車の歯を有する駆動機構51および回転部材52と、軸受53とを含む構成になっている。これに対して、第7の実施の形態にかかるインフレーション成形装置の回転機構70は、図10に示すように、タイヤ状の(中心に空洞がある)回転体である駆動機構71と、回転部材72と、軸受73とを含む構成になっている。
【0045】
駆動機構71の外縁部はゴム等の弾性体で構成されており、駆動機構71が回転部材72に接触した状態で回転すると、摩擦力が生じて回転部材72を円周方向に回転または往復運動させる。駆動機構71は、例えばモータ等により回転する。駆動機構71の数は特に限定されず、成形条件等に応じて決定される。なお、図10には、駆動機構71が4つ設けられた例が示されている。
【0046】
回転部材72は、チャンバー11-1乃至11-nを同軸で支持しながら円周方向に回転または往復運動する環状の板であり、チャンバー11-1乃至11-nを円周方向に回転または往復運動させる。回転部材72の回転速度は特に限定されず、成形条件等に応じて決定される。軸受73は、上述の図3の軸受53と同様に、スラスト軸受等で構成された軸受である。
【0047】
<変形例1>
図11は、軸方向に分割され組み立ておよび分解を可能とするチャンバー11の構成の一例を示す図である。
例えば、上述の図2の円筒状のチャンバー11は、円周方向に分割され、組み立てや分解にあたって半径方向に移動させることを可能とするが、さらに軸方向に分割し、組み立ておよび分解を可能とするものであってもよい。軸方向に分割され組み立ておよび分解が可能である場合、チャンバー11を軸方向に積み上げたり、積み上げたチャンバー11を取り外したりすることができる。これにより、チャンバー11の軸方向の高さを調整できる。例えば、チャンバー11の高さにバリエーションを設けることで、例えば、1cm(センチメートル)単位で高さの調整をすることもできる。
【0048】
図11には、図2のチャンバー11を構成する部材12を軸方向に積み上げたときの接合部分が示されている。図11において、軸方向の下側に位置する部材12の上端部には、軸方向の上側に位置する部材12の下端部15と嵌合する嵌合部16が形成されている。これにより、軸方向の下側に位置する部材12と、軸方向の上側に位置する部材12とが半径方向にずれることが抑制される。
【0049】
<変形例2>
図12(A)および(B)は、円周方向および軸方向に曲面を有し、半径方向に分割され組み立ておよび分解を可能とするチャンバー81の構成の一例を示す斜視図である。
例えば、上述の図2の円筒状のチャンバー81は、円周方向に曲面を有するが、さらに軸方向に曲面を有するものであってもよい。チャンバー81の形状が、円周方向および軸方向に曲面を有する場合、円周方向および軸方向に曲面を有するバブルの形状に合わせた誘導が可能となる。
【0050】
図12(A)には、円周方向および軸方向に曲面を有するチャンバー81の外観構成の一例を示す斜視図が示されている。図12(A)のチャンバー81は、円周方向および軸方向に曲面を有し、軸方向の下側から上側に向かって緩やかに間口が広がる壺状の形状を有する。チャンバー81の下端部15には、半径方向に開口した円形の穴151が形成されている。穴151は、バブル510と冷却風との各々を通過させるための穴である。下端部15は、回転部材52(例えば、図3参照)に接合される。これにより、チャンバー81の円周方向の回転または往復運動が可能になる。
【0051】
図12(B)には、図12(A)のチャンバー81を半径方向に2つに分解したときの外観構成の一例を示す斜視図が示されている。図12(B)に示すように、チャンバー81は、部材82と部材83とに分解可能とし、分解された部材82と部材83とを組み立てることでチャンバー81として使用できる。具体的には、部材82の面821と、部材83の面831とを接合させ、部材82の面822と、部材83の面832とを接合させることでチャンバー81を組み立てることができる。チャンバー81の形状が軸方向に曲面を有する場合、軸方向に曲面を有するバブルの形状に合わせた誘導が可能となる。このため、半径方向の内側に曲面を形成するために、従来のように軸方向の高さが異なる円筒状の部材を半径方向に複数配置する必要がなくなる。
【0052】
図12(A)のチャンバー81は、半径方向に分割され組み立ておよび分解が可能であるため、インフレーション成形装置1の半径方向の取り外しおよび取り付けが容易になる。その結果、成形を停止してインフレーション成形装置1からバブル510を取り外すことなく、チャンバー81を交換したり調整したりすることができる。
【0053】
<変形例3>
図13(A)および(B)は、軸方向の高さを調整するためのスライド機構117を有するチャンバー112の外観構成の一例を示す正面図である。
【0054】
複数の平板100からなる略円筒状のチャンバー112に、軸方向にスライドさせるためのスライド機構117を設けることで、チャンバー112の軸方向の高さを平板100ごとに調整できる。具体的には、図13(A)に示すように、平板100の軸方向の上側であり半径方向の外側に、スライド機構117を有する矩形の薄板部材116を重ねるように取り付ける。
【0055】
スライド機構117は、軸方向に長い孔であるスライド孔118と、薄板部材116の位置決めを行うストッパー119とで構成されている。ストッパー119は、スライド孔118を介して、半径方向の内側に配置されている平板100に接合される。薄板部材116が軸方向にスライド可能な幅は特に限定されず、例えば、数cm(センチメートル)乃至20cm(センチメートル)程度としても良い。図13(B)には、チャンバー112を構成する複数の平板100のうち、1枚の平板100に取り付けられた薄板部材116を、軸方向の上側にスライドさせたときの例が示されている。
【0056】
以上まとめると、本発明が適用されるインフレーション成形装置1は、次のような構成を取れば足り、各種各様な実施の形態を取ることができる。
すなわち、本発明が適用されるインフレーション成形装置1は、ダイ30から円筒状に押し出された溶融樹脂500の膨張により形成されたバブル510を固化させるための冷却風610を流出させる送風部(例えば、図1のエアリング20)と、バブル510を囲むように配置され、送風部からの冷却風610をバブル510に誘導する誘導部(例えば、図1のチャンバー11-1乃至11-n)とを備え、誘導部は、円周方向で複数の部材に分割され、円周方向に回転または往復運動することを特徴とする。
誘導部が円周方向に回転または往復運動すると、送風部からの冷却風の風速が円周方向に均一化されるので、バブル510の膜厚が均一化される。これにより、例えば、分割構造の誘導部のように円周方向に不均一な形状の部材であっても使用することができるので、誘導部の交換や調整に要する時間と労力とを削減できる。
【0057】
ここで、誘導部の複数の部材は、バブル510に対向する面が円周方向の曲面を有していても良い(例えば、図2の部材12および13)。
誘導部の複数の部材がバブル510に対向する面が円周方向の曲面を有しているので、半径方向に分解して、組み立てることで円筒状のチャンバーとすることができる。これにより、半径方向の取り外しおよび取り付けが容易になる。
【0058】
また、誘導部の複数の部材は、前記バブルに対向する面が平面であっても良い(例えば、図5(A)乃至(C)の平板100)。
バブルに対向する面が平面である複数の部材が、円周方向に回転または往復運動すると、送風部からの冷却風の風速が円周方向に均一化されるので、バブルの膜厚が均一化される。平板は、曲面を有する壁を製作するよりも、材料の調達や加工が容易であるため、誘導部の製作に要する時間と労力とを削減できる。
【0059】
また、誘導部の複数の部材は、複数の平板であり、複数の平板の各々の最も面積が広い面(例えば、図8(B)の面401および402)が、円周方向に対し直交しても良い。
誘導部の複数の部材である複数の平板の各々の最も面積が広い面が円周方向に対し直交しているため、誘導部が回転または往復運動すると、送風部からの冷却風が、平板の間から半径方向の外側に放出される。その結果、バブル510を冷却する効果や、バブル510を誘導部側に誘導する効果が向上する。
【0060】
また、誘導部の複数の部材は、バブル510に対向する面に軸方向の曲面を有していても良い(例えば、図12(A)および(B)の部材82および83)。
誘導部の複数の部材のバブル510に対向する面の形状が、軸方向に曲面を有するので、軸方向に曲面を有するバブル510の形状に合わせた誘導が可能となる。
【0061】
また、誘導部の複数の部材は、軸方向に分割されていても良い(例えば、図11のチャンバー11)。
誘導部の複数の部材が軸方向に分割されているので、誘導部の軸方向の高さの調整が可能となる。これにより、誘導部の調整に要する時間と労力とを削減できる。
【0062】
また、誘導部の複数の部材のうち1以上の部材(例えば、図6(A)および(B)の平板100)は、は、半径方向に移動する機構(例えば、スライド機構117)を有していても良い。
誘導部の複数の部材のうち1以上の部材を半径方向にスライドさせることができるので、誘導部とバブルとの距離を調整することができる。
【0063】
また、誘導部の複数の部材が、軸方向の曲面(例えば、図8(B)の面403)を有していても良い。
誘導部の複数の部材が、軸方向に曲面を有するため、その曲面の形状に合わせてバブル510を誘導することができる。
【0064】
また、軸方向にさらに分割されている部材の一部(例えば、図13(A)および(B)の薄板部材116)を軸方向に移動させる機構(例えば、スライド機構117)を有していても良い。
軸方向にさらに分割されている部材の一部を軸方向に移動させることができるので、誘導部の軸方向の高さの調整を部材ごとに行うことができる。
【0065】
また、誘導部を支持し、誘導部を円周方向に回転または往復運動させる回転部材52を有する回転部(例えば、図3の回転機構50)を備えていても良い。
回転部によって誘導部が円周方向に回転または往復運動するので、送風部からの冷却風が円周方向に均一化される。その結果、バブル510の膜厚が均一化される。
【0066】
また、回転部は、回転部材52の縁部に接触し、回転部材52を回転させる1以上の駆動機構51を備えていても良い。
回転部材52を回転させる駆動機構51が備わっているので、回転部材52が誘導部を回転させる速度、往復運動の幅などの制御が可能となる。
【0067】
また、回転部材52には、送風部からの冷却風610の少なくとも一部を流出させる流出口(例えば、図9の流出口54)が設けられていても良い。
冷却風610の少なくとも一部を流出させる流出口が回転部材52に設けられているので冷却風610を流出させる位置の制御が可能となる。
【0068】
<他の実施の形態>
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は上述の実施の形態に限るものではない。例えば、図1乃至図13に示す各種の構成は、いずれも本発明の目的を達成するための例示に過ぎず、特に限定されない。また、本発明による効果も、上述の実施の形態に記載されたものに限定されない。
【0069】
また、上述の実施の形態では、チャンバーの分解および組み立てを可能とし、チャンバーを円周方向に回転または往復運動させることが示されているが、例えば、チャンバー自体に以下の機能を持たせてもよい。すなわち、チャンバーには、バブルの成形の状態を把握するための情報を検出する検出機構が設けられていてもよい。この場合、「バブルの成形の状態を把握するための情報」としては、例えば、冷却風の風速、風圧、および温度や、チャンバーからバブルまでの距離などが挙げられる。また、「検出機構」としては、例えば、風速センサ、圧力計、風温センサ、超音波変位計等の各種のセンサが挙げられる。バブルの成形の状態を把握するための情報がチャンバーにて検出されるようにすることで、検出された情報に基づくバブルの成形の状態の制御が可能となる。
【0070】
また、上述の実施の形態では、インフレーション成形装置を構成するチャンバーの全てが分割される例を示したが、例えば、取り外しや位置の調整の頻度が高いチャンバーに絞って分割され、組み立てるように構成しても良い。
【0071】
また、上述の実施の形態では、インフレーション成形装置を構成するチャンバーの全てが円周方向に回転または往復運動する例を示したが、一部のチャンバーのみが回転または往復運動するようにしても良い。例えば、分割され、組み立てるように構成したチャンバーのみが回転または往復運動するようにしても良い。
【0072】
また、チャンバーには、バブルを吸着する吸着機構が設けられていてもよい。これにより、チャンバーがバブルを吸着するので、バブルの張力を増加させ、成形の安定化を図ることができる。「吸着機構」としては、例えば、アクチュエータ等が挙げられる。
【0073】
また、チャンバーには、バブルを加温または冷却する温度調整機構が設けられていてもよい。これにより、チャンバーがバブルを加温または冷却するので、バブルの温度調整による強度の改善、透明度の調整、膜厚の均一性の向上、冷却能力の向上等を図ることができる。
【0074】
また、図6、7および13のスライド機構117は、チャンバーを構成する複数の平板のすべてに設けられているが、これに限定されない。スライド機構117は、チャンバーを構成する複数の平板のうち1以上の平板に設けられていれば良い。
【0075】
また、図6(A)に示す平板200、および図7(A)に示す平板100の各々のバブル510に対向する面は、平面であるが、円周方向に曲面を有していてもよい。これにより、バブル510の曲面に合わせることができるので、冷却風の円周方向の均一性を向上させることができる。
【0076】
また、図13(A)および(B)に示すチャンバー112は、全体としての形状が略円筒状になるように複数の平板100が配置されているため、正面から見た形状は矩形となっているが、これに限定されない。例えば、全体としての形状が軸方向で裾広がりになるように複数の平板100を配置してもよい。この場合、軸方向で上側に行くほど中心からの半径方向の距離が遠くなるので、チャンバー112を正面から見た形状は台形になる。
【符号の説明】
【0077】
1、5、6…インフレーション成形装置、11、81、112、113、114、115…チャンバー、20…エアリング、30…ダイ、40…押し出し装置、50、70…回転機構、51、71…駆動機構、52、72…回転部材、60…モータ、100…平板、510…バブル、610…冷却風
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13