(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024093220
(43)【公開日】2024-07-09
(54)【発明の名称】部品実装機および部品実装方法
(51)【国際特許分類】
H05K 13/02 20060101AFI20240702BHJP
【FI】
H05K13/02 B
H05K13/02 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022209450
(22)【出願日】2022-12-27
(71)【出願人】
【識別番号】000010076
【氏名又は名称】ヤマハ発動機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105935
【弁理士】
【氏名又は名称】振角 正一
(74)【代理人】
【識別番号】100136836
【弁理士】
【氏名又は名称】大西 一正
(72)【発明者】
【氏名】安藤 雄太
【テーマコード(参考)】
5E353
【Fターム(参考)】
5E353CC21
5E353CC22
5E353CC25
5E353EE31
5E353EE54
5E353HH11
5E353HH32
5E353JJ21
5E353JJ44
5E353JJ48
5E353KK01
5E353LL03
5E353LL04
5E353QQ01
5E353QQ11
(57)【要約】
【課題】部品収納テープに収納された部品を露出するための露出方式が実装ヘッドによる実装動作に与える影響を抑制して、実装動作を適切に実行可能とする。
【解決手段】実装ヘッド31による実装動作(ステップS101~S103、S107)の実行状況が監視される(ステップS104~S106、S109、S201)。そして、実装動作の実行状況に応じて、露出方式の変更をUI95が実行する(ステップS205)。したがって、部品Pを露出するための露出方式が実装ヘッド31による実装動作に与える影響を抑制して、実装動作を適切に実行することが可能となる。
【選択図】
図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一列に配列された複数のポケットのそれぞれに部品を収納する部品収納テープを搬送するテープフィーダによって所定の部品供給位置に部品を供給する部品供給部と、
前記部品供給位置に供給された部品を前記部品供給位置から取り出して基板に実装する実装動作を実行する実装ヘッドと、
ユーザに報知を行うユーザインターフェースと、
前記実装ヘッドによる前記実装動作の実行状況を監視する制御部と
を備え、
前記部品供給部は、前記テープフィーダによって前記部品供給位置に部品を搬送しつつ、所定の露出方式で部品を露出することで、露出された部品を前記部品供給位置に供給し、
前記実装ヘッドは、露出された部品を前記部品供給位置から取り出して前記実装動作を実行し、
前記制御部は、前記実装動作の実行状況に応じて、前記露出方式の変更を前記ユーザインターフェースに提案させる部品実装機。
【請求項2】
前記部品供給部は、前記テープフィーダが着脱可能に装着されるフィーダ装着部を有し、前記フィーダ装着部に装着された前記テープフィーダによって前記部品供給位置に部品を供給し、
前記フィーダ装着部には、互いに異なる前記露出方式で部品を露出する複数種類の前記テープフィーダを装着可能であり、
前記制御部は、前記複数種類の前記テープフィーダのうち、一の種類のテープフィーダから他の種類のテープフィーダに、前記フィーダ装着部に装着される前記テープフィーダを変更することを前記ユーザインターフェースに提案させることで、前記露出方式の変更を前記ユーザインターフェースに提案させる請求項1に記載の部品実装機。
【請求項3】
前記制御部は、前記他の種類の前記テープフィーダの保管場所を管理し、前記露出方式の変更を前記ユーザインターフェースに提案させる場合には、前記他の種類のテープフィーダの保管場所を前記ユーザインターフェースに報知させる請求項2に記載の部品実装機。
【請求項4】
前記テープフィーダは、前記部品供給位置に向けて搬送される前記部品収納テープを支持するフィーダ本体と、前記部品供給位置に搬送される部品を露出させる露出部材が着脱可能に装着される露出部材装着部とを有し、
前記露出部材装着部には、互いに異なる前記露出方式で部品を露出する複数種類の前記露出部材を装着可能であり、
前記制御部は、前記複数種類の前記露出部材のうち、一の種類の露出部材から他の種類の露出部材に、前記露出部材装着部に装着される前記露出部材を変更することを前記ユーザインターフェースに提案させることで、前記露出方式の変更を前記ユーザインターフェースに提案させる請求項1に記載の部品実装機。
【請求項5】
前記制御部は、前記露出方式の変更後における前記実装動作の実行状況を、変更後実行状況として監視して、前記変更後実行状況を前記ユーザインターフェースに報知させる請求項1に記載の部品実装機。
【請求項6】
部品の帯電量を測定する帯電量測定部をさらに備え、
前記制御部は、前記実装動作の実行状況と、前記帯電量測定部によって測定された帯電量に基づき、部品の帯電が前記実装動作の実行状況に影響していると判定すると、前記露出方式の変更を前記ユーザインターフェースに提案させる請求項1に記載の部品実装機。
【請求項7】
前記部品収納テープは、前記複数のポケットを有するキャリアテープと、前記キャリアテープに貼り付けられて前記複数のポケットを閉塞するトップテープとを有し、
前記部品供給部は、前記トップテープを前記キャリアテープから剥離することで部品を露出させる剥離方式および前記トップテープを切り開くことで部品を露出させるカット方式のそれぞれを前記露出方式として実行可能であり、
前記制御部は、前記剥離方式により露出された部品に対して実行された前記実装動作の実行状況を監視し、前記実装動作の実行状況に応じて、前記剥離方式から前記カット方式への前記露出方式の変更を前記ユーザインターフェースに提案させる請求項1に記載の部品実装機。
【請求項8】
一列に配列された複数のポケットのそれぞれに部品を収納する部品収納テープを搬送するテープフィーダによって所定の部品供給位置に部品を供給する工程と、
前記テープフィーダによって前記部品供給位置に部品を搬送しつつ所定の露出方式で部品を露出することで、露出された部品を前記部品供給位置に供給する工程と、
露出された部品を前記部品供給位置から取り出して基板に実装する実装動作を実装ヘッドにより実行する工程と、
前記実装ヘッドによる前記実装動作の実行状況を監視する工程と、
前記実装動作の実行状況に応じて、前記露出方式の変更をユーザインターフェースに提案させる工程と
を備える部品実装方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、一列に配列された複数のポケットのそれぞれに部品を収納する部品収納テープに収納された部品を露出して、露出された部品を実装ヘッドにより基板に実装する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1、2では、部品収納テープに収納された部品を所定の部品供給位置に向けて搬送するテープフィーダによって部品供給位置に供給された部品を、実装ヘッドによって基板に実装する装置が記載されている。かかる装置では、部品は部品供給位置への搬送に伴って露出され、実装ヘッドは露出された部品を吸着することで、部品供給位置から部品を取り出す。また、特許文献2で指摘されるように、実装ヘッドによる部品の吸着ミスによって、実装ヘッドによる基板への部品の実装を的確に実行できない場合がある。そこで、特許文献2では、実装ヘッドによる部品の吸着率が警告値より低下した場合には、警告を報知するとともに部品の吸着を停止する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016-122753号公報
【特許文献2】特開平11-088000号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、後に詳述するように、部品収納テープに収納された部品を露出するための露出方式が実装ヘッドによる実装動作に大きく影響する場合がある。これに対して、特許文献1、2に記載の技術は、このような場合に適切に対応するには不十分であった。
【0005】
この発明は上記課題に鑑みなされたものであり、部品収納テープに収納された部品を露出するための露出方式が実装ヘッドによる実装動作に与える影響を抑制して、実装動作を適切に実行可能とすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る部品実装機は、一列に配列された複数のポケットのそれぞれに部品を収納する部品収納テープを搬送するテープフィーダによって所定の部品供給位置に部品を供給する部品供給部と、部品供給位置に供給された部品を部品供給位置から取り出して基板に実装する実装動作を実行する実装ヘッドと、ユーザに報知を行うユーザインターフェースと、実装ヘッドによる実装動作の実行状況を監視する制御部とを備え、部品供給部は、テープフィーダによって部品供給位置に部品を搬送しつつ、所定の露出方式で部品を露出することで、露出された部品を部品供給位置に供給し、実装ヘッドは、露出された部品を部品供給位置から取り出して実装動作を実行し、制御部は、実装動作の実行状況に応じて、露出方式の変更をユーザインターフェースに提案させる。
【0007】
本発明に係る部品実装方法は、一列に配列された複数のポケットのそれぞれに部品を収納する部品収納テープを搬送するテープフィーダによって所定の部品供給位置に部品を供給する工程と、テープフィーダによって部品供給位置に部品を搬送しつつ所定の露出方式で部品を露出することで、露出された部品を部品供給位置に供給する工程と、露出された部品を部品供給位置から取り出して基板に実装する実装動作を実装ヘッドにより実行する工程と、実装ヘッドによる実装動作の実行状況を監視する工程と、実装動作の実行状況に応じて、露出方式の変更をユーザインターフェースに提案させる工程とを備える。
【0008】
このように構成された本発明(部品実装装置および部品実装方法)では、実装ヘッドによる実装動作の実行状況が監視される。そして、実装動作の実行状況に応じて、露出方式の変更をユーザインターフェースがユーザに提案する。したがって、部品を露出するための露出方式が実装ヘッドによる実装動作に与える影響を抑制して、実装動作を適切に実行することが可能となる。
【0009】
また、部品供給部は、テープフィーダが着脱可能に装着されるフィーダ装着部を有し、フィーダ装着部に装着されたテープフィーダによって部品供給位置に部品を供給し、フィーダ装着部には、互いに異なる露出方式で部品を露出する複数種類のテープフィーダを装着可能であり、制御部は、複数種類のテープフィーダのうち、一の種類のテープフィーダから他の種類のテープフィーダに、フィーダ装着部に装着されるテープフィーダを変更することをユーザインターフェースに提案させることで、露出方式の変更をユーザインターフェースに提案させるように、部品実装機を構成してもよい。かかる構成では、ユーザは、フィーダ装着部に装着するテープフィーダの種類を変更することで、適切な露出方式で部品を露出させるテープフィーダを部品実装に用いることができる。
【0010】
また、制御部は、他の種類のテープフィーダの保管場所を管理し、露出方式の変更をユーザインターフェースに提案させる場合には、他の種類のテープフィーダの保管場所をユーザインターフェースに報知させるように、部品実装機を構成してもよい。かかる構成では、ユーザは、適切な剥離方式で部品を露出させる他の種類のテープフィーダの保管場所を的確に把握して、テープフィーダの種類の変更作業を簡便に実行することができる。
【0011】
また、テープフィーダは、部品供給位置に向けて搬送される部品収納テープを支持するフィーダ本体と、部品供給位置に搬送される部品を露出させる露出部材が着脱可能に装着される露出部材装着部とを有し、露出部材装着部には、互いに異なる露出方式で部品を露出する複数種類の露出部材を装着可能であり、制御部は、複数種類の露出部材のうち、一の種類の露出部材から他の種類の露出部材に、露出部材装着部に装着される露出部材を変更することをユーザインターフェースに提案させることで、露出方式の変更をユーザインターフェースに提案させるように、部品実装機を構成してもよい。かかる構成では、ユーザは、露出部材装着部に装着する露出部材の種類を変更することで、適切な露出方式で部品を露出させる露出部材を部品実装に用いることができる。
【0012】
また、制御部は、露出方式の変更後における実装動作の実行状況を、変更後実行状況として監視して、変更後実行状況をユーザインターフェースに報知させるように、部品実装機を構成してもよい。かかる構成では、ユーザは露出方式の変更の適否を確認することができる。
【0013】
また、部品の帯電量を測定する帯電量測定部をさらに備え、制御部は、実装動作の実行状況と、帯電量測定部によって測定された帯電量に基づき、部品の帯電が実装動作の実行状況に影響していると判定すると、露出方式の変更をユーザインターフェースに提案させるように、部品実装機を構成してもよい。かかる構成では、部品の露出に伴う部品の帯電が実装動作に影響している場合に、部品の帯電を抑えた露出方式への変更をユーザに提案することができる。
【0014】
また、部品収納テープは、複数のポケットを有するキャリアテープと、キャリアテープに貼り付けられて複数のポケットを閉塞するトップテープとを有し、部品供給部は、トップテープをキャリアテープから剥離することで部品を露出させる剥離方式およびトップテープを切り開くことで部品を露出させるカット方式のそれぞれを露出方式として実行可能であり、制御部は、剥離方式により露出された部品に対して実行された実装動作の実行状況を監視し、実装動作の実行状況に応じて、剥離方式からカット方式への露出方式の変更をユーザインターフェースに提案させるように、部品実装機を構成してもよい。かかる構成では、部品の露出に伴う部品の帯電が実装動作に影響している場合に、部品が帯電しやすい剥離方式から部品が帯電しにくいカット方式への変更をユーザに提案することができる。
【発明の効果】
【0015】
以上のように、本発明によれば、部品収納テープに収納された部品を露出するための露出方式が実装ヘッドによる実装動作に与える影響を抑制して、実装動作を適切に実行することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明に係る部品実装機を模式的に示す部分平面図。
【
図2】部品収納テープの一例を模式的に示す斜視図。
【
図4】
図1の部品実装機が備える電気的構成を示すブロック図。
【
図5】フィーダ保管データの一例をテーブル形式で模式的に示す図。
【
図6】部品実装機で実行される基板生産の一例を示すフローチャート。
【
図7】
図6の基板生産の実行に伴って作成される吸着成否データの一例をテーブル形式で模式的に示す図。
【
図8】露出方式管理の第1例を示すフローチャート。
【
図9】カット方式を提案する提案画面の一例を模式的に示す図。
【
図10】露出方式管理の第2例を示すフローチャート。
【
図11】露出方式管理の第3例を示すフローチャート。
【
図12】露出方式の変更結果を監視するフローチャートの一例。
【
図13A】テープフィーダの変形例の構成を模式的に示す図。
【
図13B】テープフィーダの変形例の構成を模式的に示す図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1は本発明に係る部品実装機を模式的に示す部分平面図である。
図1では、水平方向であるX方向、X方向に直交する水平方向であるY方向および鉛直方向であるZ方向を適宜示す。この部品実装機1は、X方向の上流側から実装処理位置(
図1の基板Bの位置)に搬入した基板Bに対して部品Pを実装し、部品Pの実装を完了した基板B(部品実装基板B)を実装処理位置からX方向の下流側へ搬出する。
【0018】
図1に示すように、部品実装機1は、X方向に基板を搬送する基板搬送ユニット12を有し、基板搬送ユニット12は、X方向に平行に配置された一対のコンベア121を有する。一対のコンベア121は、Y方向の基板Bの両端を支持しつつ、基板BをX方向に駆動することで、実装処理位置への基板Bの搬入や、実装処理位置からの基板Bの搬出を実行する。
【0019】
また、部品実装機1では、X方向に直交するY方向に平行な一対のY軸レール21、21と、Y方向に平行なY軸ボールネジ22と、Y軸ボールネジ22を回転駆動するY軸モータMy(サーボモータ)とが設けられ、X方向に平行なX軸レール23が一対のY軸レール21、21にY方向に移動可能に支持された状態でY軸ボールネジ22のナットに固定されている。X軸レール23には、X方向に平行なX軸ボールネジ24と、X軸ボールネジ24を回転駆動するX軸モータMx(サーボモータ)とが取り付けられており、ヘッドユニット3がX軸レール23にX方向に移動可能に支持された状態でX軸ボールネジ24のナットに固定されている。したがって、Y軸モータMyによりY軸ボールネジ22を回転させてヘッドユニット3をY方向に移動させ、X軸モータMxによりX軸ボールネジ24を回転させてヘッドユニット3をX方向に移動させることができる。
【0020】
図1に示すように、一対のコンベア12、12のY方向の両側それぞれでは、2つの部品供給部4がX方向に並んでいる。各部品供給部4には、複数のフィーダ装着部41がX方向に配列されており、各フィーダ装着部41にテープフィーダ5が着脱可能に装着されている。
【0021】
テープフィーダ5はY方向に延設されており、Y方向における基板搬送ユニット12側の先端部に部品供給位置50を有する。そして、集積回路、トランジスタ、コンデンサ等の小片状の部品Pを所定間隔おきに収納した部品収納テープ6(
図2)がテープフィーダ5に装填されている。そして、テープフィーダ5は、部品収納テープ6を基板搬送ユニット12側へ向けてY方向に間欠的に送り出す。これによって、部品収納テープ6内の部品PがY方向(フィード方向)に送り出されて、テープフィーダ5の部品供給位置50に順番に供給される。
【0022】
図2は部品収納テープの一例を模式的に示す斜視図である。部品収納テープ6は、キャリアテープ61と、当該キャリアテープ61に貼り付けられたトップテープ62とを有する。キャリアテープ61は、一列に配列された複数のポケット611(部品収納部)を有し、各ポケット611に部品Pが収納されている。各ポケット611は、トップテープ62側に開口し、キャリアテープ61に貼り付けられたトップテープ62は、複数のポケット611を覆うことで、これらを閉塞する。また、キャリアテープ61の縁612には、一列に配列された複数の係合孔613が貫通している。部品収納テープ6がテープフィーダ5に装填された状態で、複数のポケット611はY方向に並び、複数の係合孔613はY方向に並ぶ。
【0023】
図3Aおよび
図3Bはテープフィーダの構成を模式的に示す図であり、
図3Aは剥離方式で部品を露出させつつテープフィーダにより部品を供給する場合を示し、
図3Bはカット方式で部品を露出させつつテープフィーダにより部品を供給する場合を示す。
【0024】
図3Aに示すように、テープフィーダ5は、フィーダ本体51を有し、フィーダ本体51の上面に設けられた開口が上記の部品供給位置50として機能する。また、フィーダ本体51は、部品収納テープ6の係合孔613に係合する2個のスプロケット511、512を有し、スプロケット511、512が回転することで、部品収納テープ6がY方向(搬送方向)に搬送される。その結果、部品収納テープ6に収納された各部品Pが順番に部品供給位置50に供給される。フィーダ本体51には、部品収納テープ6の搬送方向Yにおける部品供給位置50の上流側において露出部材装着部513が設けられている。
【0025】
図3Aでは、露出部材装着部513にテープ剥離部材52が着脱可能に装着されている。このテープ剥離部材52はスリット521を有し、部品収納テープ6の搬送方向Yの上流側からスリット521に隣接する折り返しエッジ522によって、当該搬送方向Yに搬送されるトップテープ62を折り返すことで、キャリアテープ61からトップテープ62を剥離する。このようにトップテープ62を剥離する機構としては、例えば特開2013-073948号公報あるいは特開2015-050227号公報等に示される構成を採用できる。また、テープフィーダ5は、テープ剥離部材52によるトップテープ62の折り返し先に配置されたテープ回収部53を有し、テープ回収部53は、テープ剥離部材52によってキャリアテープ61から剥離されたトップテープ62を巻き取ることで、トップテープ62を回収する。したがって、部品Pは、部品供給位置50に供給される前にテープ剥離部材52によって露出される。つまり、部品供給位置50には、テープ剥離部材52によって露出された部品Pが供給される。
【0026】
図3Bに示す例が
図3Aに示す例と異なるのは、テープ剥離部材52に代えてテープカット部材54が露出部材装着部513に着脱可能に装着されている点である。したがって、
図3Aの例と共通する構成は相当符号を付して説明を適宜省略し、
図3Aと異なる構成を中心に説明する。
【0027】
テープカット部材54は、Y方向に搬送される部品収納テープ6のトップテープ62に上側から接触するテープカッタ541を有し、テープカッタ541はトップテープ62を切り開く。このようにトップテープ62を切り開く機構としては、例えば特開2011-216793号公報に示される構成を採用できる。したがって、部品Pは、部品供給位置50に供給される前にテープカット部材54によって露出される。つまり、部品供給位置50には、テープカット部材54によって露出された部品Pが供給される。
【0028】
図1に示すように、ヘッドユニット3は、いわゆるモジューラ型のヘッドユニット3である。ヘッドユニット3は、X方向に配列された複数の実装ヘッド31を有し、複数の実装ヘッド31それぞれの下端には、ノズル32が取り付けられている。つまり、ヘッドユニット3は、X方向に配列された複数のノズル32を有する。そして、各実装ヘッド31は、ノズル32により部品Pの吸着・実装を行う。具体的には、実装ヘッド31はテープフィーダ5の上方へ移動して、テープフィーダ5により部品供給位置50に供給された部品Pをノズル32により吸着(ピックアップ)する。実装ヘッド31はこうして部品Pを保持した状態で、実装処理位置の基板Bの上方に移動して基板Bに部品Pを実装する。このようにして、部品供給位置50に供給された部品Pを部品供給位置50から取り出して基板Bに実装する実装動作が実装ヘッド31によって実行される。
【0029】
部品実装機1は、ヘッドユニット3に取り付けられた帯電量測定器39を備える。この帯電量測定器39は、測定対象の表面電位を帯電量として測定する非接触式の表面電位系であり、例えば特開2018-186186号公報に示された帯電量測定部と同様の構成おより機能を有する。帯電量測定器39は、ヘッドユニット3とともにX方向およびY方向へ移動可能であり、後述するように、部品供給位置50に供給された部品の帯電量を測定する。
【0030】
また、部品実装機1は、ヘッドユニット3に取り付けられた部品認識カメラ71を備える。この部品認識カメラ71は、テープフィーダ5によって部品供給位置50に供給された部品Pを上側から撮像する。
【0031】
さらに、部品実装機1では、上方を向いて配置された部品認識カメラ72が、Y方向における部品供給部4とコンベア12との間に配置されている。部品認識カメラ72は、実装動作のために部品供給位置50から基板Bに移動する途中のノズル32を下側から撮像することで、認識画像を取得する。後述するように、この認識画像に基づき、実装動作に伴う実装ヘッド31による部品Pの吸着の成否が判定される。
【0032】
図4は
図1の部品実装機が備える電気的構成を示すブロック図である。部品実装機1は、演算部91、記憶部93およびUI(User Interface)95を備える。演算部91は、CPU(Central Processing Unit)等のプロセッサであり、記憶部93は、SSD(Solid State Drive)等の記憶装置である。また、UI95は、ユーザの入力操作を受け付ける入力機能と、画面あるいは音声等によるユーザへの出力機能とを備え、例えばタッチパネルディスプレイによって構成される。
【0033】
演算部91は、主制御部911、UI制御部912、撮像制御部913および帯電量取得部914を有する。主制御部911は、部品実装機1の各部を統括的に制御する。UI制御部912は、UI95を制御する機能を有し、例えばUI95に入力された情報の取得や、UI95のディスプレイへの画像の表示等を実行する。撮像制御部913は、部品認識カメラ71あるいは部品認識カメラ72により撮像された画像を取得する。帯電量取得部914は、帯電量測定器39が測定した帯電量を取得する。また、記憶部93には、後述するフィーダ保管データDfおよび吸着成否データDsを保存する。
【0034】
図5はフィーダ保管データの一例をテーブル形式で模式的に示す図である。つまり、テープフィーダ5を保管する保管庫が部品実装機1とは別に設けられており、フィーダ保管データDfは、保管庫におけるテープフィーダ5の保管場所を示す。特にフィーダ保管データDfは、剥離方式のテープフィーダ5の機種名Fと、当該機種名Fのテープフィーダ5と同一のフィーダ装着部41に装着可能(換言すれば、当該機種名Fのテープフィーダ5と交換可能)なカット方式のテープフィーダ5の機種名fと、当該機種名fのテープフィーダ5の保管場所Sとを対応付けて、複数の剥離方式のフィーダ機種名F(A)、F(B)、F(C)、…のそれぞれについて示す。例えば、機種名F(A)の剥離方式のテープフィーダ5と交換可能であるカット方式のテープフィーダ5としては、機種名f(a1)のテープフィーダ5および機種名f(a2)のテープフィーダ5とが示されている。さらに、機種名f(a1)のカット方式のテープフィーダ5の保管場所S(a1)と、機種名f(a)のカット方式のテープフィーダ5の保管場所S(a2)とが示されている。
【0035】
図6は部品実装機で実行される基板生産の一例を示すフローチャートであり、
図7は
図6の基板生産の実行に伴って作成される吸着成否データの一例をテーブル形式で模式的に示す図である。
図6の基板生産では、基板Bに設けられた所定の部品実装位置(例えば、ランド)に対して、テープフィーダ5によって供給された部品Pを実装することで、部品Pが実装済みの基板Bが生産される。また、基板生産で使用できるテープフィーダ5としては、上述の通り、剥離方式のテープフィーダ5とカット方式のテープフィーダ5とが存在する。ここで、剥離方式のテープフィーダ5は、カット方式のテープフィーダ5と比較して、安価であるというメリットがある一方、トップテープ62の剥離の際に生じる静電気によって部品Pの帯電が生じやすいというデメリットがある。このように部品Pが帯電すると、ポケット611内で部品Pの姿勢が変動して、ノズル32による部品Pの吸着に失敗する可能性が高くなる。換言すれば、カット方式のテープフィーダ5は、剥離方式のテープフィーダ5と比較して、部品Pの帯電が生じにくく、ポケット611内での部品Pの姿勢が安定して、部品Pの吸着に成功する可能性が高くなるというメリットがある一方、高価であるというデメリットがある。
【0036】
ここの例では、基板生産開始時においては、安価であるという剥離方式のテープフィーダ5のメリットを重視して、各フィーダ装着部41に剥離方式のテープフィーダ5が装着されていることを前提とする。ただし、例えば特開2019-192817号公報に示されるテープフィーダのように、2本の部品収納テープを装着可能であって、一方の部品収納テープを使い切ると他方の部品収納テープを自動的に装填して使用する自動装填型のテープフィーダは、カット方式でしか部品Pを露出できない。したがって、生産開始時に使用される自動装填型のテープフィーダは、剥離方式ではなくカット方式で部品Pを露出する。
【0037】
図6の基板生産は、主制御部911の制御によって実行される。ステップS101では、ノズル32が部品供給位置50に上側から対向し、ステップS102では、ノズル32が部品供給位置50に供給された部品Pに向かって下降する。そして、ノズル32が部品Pに当接すると、ヘッドユニット3はノズル32に負圧を発生させて、ノズル32に部品Pを吸着させる(ステップS103)。続いて、ノズル32が部品認識カメラ72の上方へ向かって移動して、部品認識カメラ72に上側から対向すると、部品認識カメラ72がノズル32を撮像して、認識画像を取得する(ステップS104)。
【0038】
この認識画像は、部品認識カメラ72から撮像制御部913に送信され、主制御部911は、撮像制御部913が受信した認識画像に基づき、ノズル32による部品Pの吸着の成否を判定する(ステップS105)。例えば、ノズル32に吸着される部品Pの姿勢が適正である場合には、部品Pの吸着に成功したと判定される(ステップS105で「YES」)。一方、ノズル32に吸着される部品Pの姿勢が不適正である場合や、ノズル32に吸着される部品Pを確認できない場合には、部品Pの吸着に失敗したと判定される(ステップS105で「NO」)。なお、部品Pの姿勢の適否を判定する具体的手法としては、部品実装技術の分野において部品Pの認識のために使用される種々の画像処理技術を使用できる。
【0039】
部品Pの吸着に成功したと判定した場合(ステップS105で「YES」の場合)には、主制御部911は、吸着成功を吸着成否データDsに記録する(ステップS106)。具体的には、
図7に示すように、記録日時、吸着成功との成否結果および吸着に成功した部品Pを供給したテープフィーダ5の機種名とが対応付けられて吸着成否データDsに記録される。ステップS107では、ノズル32は、吸着に成功した部品Pを基板Bの部品実装位置に実装する。そして、主制御部911は、基板Bの全ての部品実装位置への部品Pが完了したか否かを判定し(ステップS108)、完了した場合(ステップS108で「YES」の場合)には
図6の基板生産を終了し、完了していない場合(ステップS108で「NO」の場合)にはステップS101に戻る。
【0040】
一方、部品Pの吸着に失敗したと判定した場合(ステップS105で「NO」の場合)には、主制御部911は、吸着失敗を吸着成否データDsに記録する(ステップS109)。具体的には、
図7に示すように、記録日時、吸着失敗との成否結果および吸着に失敗した部品Pを供給したテープフィーダ5の機種名とが対応付けられて吸着成否データDsに記録される。そして、ステップS101に戻る。
【0041】
このように、基板生産と並行して、部品Pの吸着の成否が監視されて、吸着成否データDsが作成される。そこで、主制御部911は、吸着成否データDsに基づき、テープフィーダ5による部品Pの露出方式を管理する。続いては、この露出方式管理について説明する。
【0042】
図8は露出方式管理の第1例を示すフローチャートである。
図8のフローチャートは、主制御部911の制御によって実行される。ステップS201では、ノズル32による部品Pの吸着失敗が吸着成否データDsに記録されたか否かが判定される。つまり、
図6の基板生産のステップS109において部品Pの吸着失敗が吸着成否データDsに記録されると、吸着失敗が記録されたと判定されて(ステップS201で「YES」)、ステップS202が実行される。
【0043】
ステップS202では、主制御部911は、吸着率を算出して、当該吸着率が所定の閾値(閾率)未満であるか否かを判定する。具体的には、ステップS201で、吸着が失敗した部品Pを供給した対象テープフィーダ5について、対象テープフィーダ5が直近の所定期間に供給した部品Pの吸着率が算出される。ここで、吸着率Rsは、次式、
Rs=Ns/(Ns+Nf)
Ns:対象テープフィーダ5が所定期間に供給した部品Pの吸着に成功した回数
Nf:対象テープフィーダ5が所定期間に供給した部品Pの吸着に失敗した回数
で与えられる。
【0044】
そして、吸着率Rsが閾率以上である場合(ステップS202で「NO」の場合)には、ステップS201に戻る一方、吸着成否データDsが閾率未満である場合(ステップS202で「YES」の場合)には、ステップS203に進む。
【0045】
ステップS203では、主制御部911は、対象テープフィーダ5が供給する部品Pの帯電量が所定の閾値(閾量)以上であるか否かを判定する。具体的には、主制御部911は、対象テープフィーダ5が部品供給位置50に供給する部品Pに対して、帯電量測定器39を上側から対向させて、帯電量測定器39に当該部品Pの帯電量を測定させる。そして、当該部品Pの帯電量が閾量未満である場合(ステップS203で「NO」の場合)には、ステップS201に戻る一方、当該部品Pの帯電量が閾量以上である場合(ステップS203で「YES」の場合)には、ステップS204に進む。
【0046】
ステップS204では、主制御部911は、対象テープフィーダ5の露出方式が剥離方式であるか否かを判定する。露出方式がカット方式であって剥離方式でない場合(ステップS204で「NO」の場合)にはステップS201に戻る。一方、露出方式が剥離方式である場合(ステップS204で「YES」の場合)には、主制御部911は、カット方式を提案する提案画面G(
図9)を表示するようにUI制御部912に指令を出して、UI制御部912は、当該指令を受けて、提案画面GをUI95のディスプレイに表示させる。
【0047】
図9はカット方式を提案する提案画面の一例を模式的に示す図である。
図9に示すように、提案画面Gは対象のテープフィーダ5が装着されたレーンおよび装着位置(フィーダ装着部41)を示しつつ、対象のテープフィーダ5の露出方式をカット方式に変更することを提案する。ここで、
図9の提案画面Gは、複数のレーンのそれぞれで部品実装機1を用いて基板生産を行う場面を前提としており、複数のレーンのうち、対象のテープフィーダ5が装着された一のレーンが提案画面Gで指定される。
【0048】
また、提案画面Gでは、露出方式をカット方式に変更する方法として「(1)フィーダの交換」および「(2)フィーダの先端部材の交換」の2通りが提案される。(1)フィーダの交換では、交換可能なテープフィーダ5の機種と、当該機種のテープフィーダ5の保管場所とが、フィーダ保管データDfに基づき表示される。また、(2)のフィーダの先端部材の交換では、露出部材装着部513に装着されているテープ剥離部材52をテープカット部材54に変更するように提案される。したがって、ユーザは、提案画面Gを確認することで、変更方法(1)(2)のいずれかを実行して、対象のテープフィーダ5の露出方式をカット方式に変更できる。
【0049】
以上に説明する実施形態では、実装ヘッド31による実装動作(ステップS101~S103、S107)の実行状況が監視される(ステップS104~S106、S109、S201)。そして、実装動作の実行状況に応じて、露出方式の変更をUI95がユーザに提案する(ステップS205)。したがって、部品Pを露出するための露出方式が実装ヘッド31による実装動作に与える影響を抑制して、実装動作を適切に実行することが可能となる。
【0050】
また、部品供給部4は、テープフィーダ5が着脱可能に装着されるフィーダ装着部41を有し、フィーダ装着部41に装着されたテープフィーダ5によって部品供給位置50に部品Pを供給する。このフィーダ装着部41には、互いに異なる露出方式(剥離方式/カット方式)で部品Pを露出する2種類のテープフィーダ5を装着可能である。これに対して、演算部91は、2種類のテープフィーダ5のうち、一の種類(剥離方式)のテープフィーダ5から他の種類(カット方式)のテープフィーダ5に、フィーダ装着部41に装着されるテープフィーダ5を変更することをUI95に提案させる。かかる構成では、ユーザは、フィーダ装着部41に装着するテープフィーダ5の種類を変更することで、適切な露出方式で部品Pを露出させるテープフィーダ5を部品実装に用いることができる。
【0051】
また、演算部91は、他の種類(カット方式)のテープフィーダ5の保管場所をフィーダ保管データDfによって管理し、露出方式の変更をUI95に提案させる場合には、フィーダ保管データDfが示す他の種類のテープフィーダ5の保管場所をUI95に報知させる(ステップS205、提案画面G)。かかる構成では、ユーザは、適切な剥離方式で部品Pを露出させる他の種類のテープフィーダ5の保管場所を的確に把握して、テープフィーダ5の種類の変更作業を簡便に実行することができる。
【0052】
また、テープフィーダ5は、部品収納テープ6を支持しつつ部品収納テープ6を搬送するフィーダ本体51と、フィーダ本体51によって部品供給位置50に搬送される部品Pを露出させる露出部材(テープ剥離部材52/テープカット部材54)が着脱可能に装着される露出部材装着部513とを有する。そして、露出部材装着部513には、互いに異なる露出方式で部品Pを露出する2種類の露出部材(テープ剥離部材52/テープカット部材54)を装着可能である。これに対して、演算部91は、2種類の露出部材(テープ剥離部材52/テープカット部材54)のうち、一の種類の露出部材(テープ剥離部材52)から他の種類の露出部材(テープカット部材54)に、露出部材装着部513に装着される露出部材を変更することをUI95に提案させる(ステップS205、提案画面G)。かかる構成では、ユーザは、露出部材装着部513に装着する露出部材の種類を変更することで、適切な露出方式で部品Pを露出させる露出部材を部品実装に用いることができる。
【0053】
また、部品Pの帯電量を測定する帯電量測定器39が具備されており、演算部91は、実装動作の実行状況と、帯電量測定器39によって測定された帯電量に基づき、部品Pの帯電が実装動作の実行状況に影響していると判定すると(ステップS202、S203で「YES」と判定すると)、露出方式の変更をUI95に提案させる(ステップS205、提案画面G)。かかる構成では、部品Pの露出に伴う部品Pの帯電が実装動作に影響している場合に、部品Pの帯電を抑えた露出方式への変更をユーザに提案することができる。
【0054】
また、部品収納テープ6は、複数のポケット611を有するキャリアテープ61と、キャリアテープ61に貼り付けられて複数のポケット611を閉塞するトップテープ62とを有する。また、部品供給部4は、トップテープ62をキャリアテープ61から剥離することで部品Pを露出させる剥離方式およびトップテープ62を切り開くことで部品Pを露出させるカット方式のそれぞれを露出方式として実行可能である。これに対して、演算部91は、剥離方式により露出された部品Pに対して実行された実装動作(ステップS101~S103、S107)の実行状況を監視し(ステップS104~S106、S109、S201)、実装動作の実行状況に応じて、剥離方式からカット方式への露出方式の変更をUI95に提案させる(ステップS205、提案画面G)。かかる構成では、部品Pの露出に伴う部品Pの帯電が実装動作に影響している場合に、部品Pが帯電しやすい剥離方式から部品Pが帯電しにくいカット方式への変更をユーザに提案することができる。
【0055】
以上に説明したように本実施形態では、部品実装機1が本発明の「部品実装機」の一例に相当し、実装ヘッド31が本発明の「実装ヘッド」の一例に相当し、帯電量測定器39が本発明の「帯電量測定部」の一例に相当し、部品供給部4が本発明の「部品供給部」の一例に相当し、フィーダ装着部41が本発明の「フィーダ装着部」の一例に相当し、テープフィーダ5が本発明の「テープフィーダ」の一例に相当し、部品供給位置50が本発明の「部品供給位置」の一例に相当し、フィーダ本体51が本発明の「フィーダ本体」の一例に相当し、露出部材装着部513が本発明の「露出部材装着部」の一例に相当し、テープ剥離部材52およびテープカット部材54のそれぞれが本発明の「露出部材」の一例に相当し、部品収納テープ6が本発明の「部品収納テープ」の一例に相当し、キャリアテープ61が本発明の「キャリアテープ」の一例に相当し、ポケット611が本発明の「ポケット」の一例に相当し、トップテープ62が本発明の「トップテープ」の一例に相当し、演算部91が本発明の「制御部」の一例に相当し、UI95が本発明の「ユーザインターフェース」の一例に相当し、基板Bが本発明の「基板」の一例に相当し、部品Pが本発明の「部品」の一例に相当する。
【0056】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて上述したものに対して種々の変更を加えることが可能である。例えば、
図8の露出方式管理を次のように変更してもよい。
【0057】
図10は露出方式管理の第2例を示すフローチャートである。
図10のフローチャートは、主制御部911の制御によって実行される。
図8の第1例との違いは、帯電量が閾量以上であるかを判定するステップS203に代えてステップS206を実行する点であり、他の点で
図8の第1例と共通する。
【0058】
つまり、第2例では、吸着率が閾率未満であると判定されると(ステップS202で「YES」)、主制御部911は、、対象テープフィーダ5が部品供給位置50に供給する部品Pの姿勢が異常であるか否かを判定する(ステップS206)。具体的には、主制御部911は、対象テープフィーダ5が部品供給位置50に供給する部品Pに対して、部品認識カメラ71を上側から対向させて、部品認識カメラ71に当該部品Pを撮像させることで、姿勢画像を取得する。そして、当該姿勢画像が示す部品Pの姿勢が正常である場合(ステップS206で「NO」の場合)には、ステップS201に戻る一方、当該姿勢画像が示す部品Pの姿勢が異常である場合(ステップS206で「YES」の場合)には、ステップS204に進む。なお、姿勢画像が示す部品Pの姿勢を判定する技術としては、例えば部品認識で部品Pの姿勢を判定する技術を転用できる。
【0059】
図11は露出方式管理の第3例を示すフローチャートである。
図11のフローチャートは、主制御部911の制御によって実行される。
図8の第1例との違いは、帯電量が閾量以上であるかを判定するステップS203と、剥離方式であるかを判定するステップS204との間に、部品姿勢を判定するステップS206を実行する点であり、他の点で
図8の第1例と共通する。
【0060】
つまり、第3例では、吸着率が閾率未満であると判定されると(ステップS202で「YES」)、主制御部911は、部品供給位置50に供給される部品Pの帯電量が閾値以上であるかを判定する。そして、帯電量が閾値未満である場合(ステップS203で「NO」の場合)にはステップS201に戻る一方、帯電量が閾値以上である場合(ステップS203で「YES」)の場合にはステップS206に進む。
【0061】
ステップS206では、主制御部911は、、対象テープフィーダ5が供給する部品Pの姿勢が異常であるか否かを判定する。そして、部品Pの姿勢が正常である場合(ステップS206で「NO」の場合)には、ステップS201に戻る一方、部品Pの姿勢が異常である場合(ステップS206で「YES」の場合)には、ステップS204に進む。
【0062】
あるいは、第1例において、ステップS202で「YES」の場合には、ステップS203を省略して、ステップS204に進むように第1例を変形してもよい。以上に示す露出方式管理の各例によれば、部品Pの帯電によってノズル32による部品Pの吸着が失敗するような場合には、部品Pの露出方式が剥離方式からカット方式に変更される。続いては、露出方式の変更後の制御について説明する。
【0063】
図12は露出方式の変更結果を監視するフローチャートの一例である。
図12のフローチャートは、主制御部911の制御によって実行される。ステップS301では、主制御部911は、露出方式が変更されたかを判定する。具体的には、露出方式の変更を示す入力操作をUI95が受け付けると、主制御部911は、露出方式が変更されたと判定する(ステップS301で「YES」)。続くステップS302では、主制御部911は、露出方式の変更後に、当該変更の対象となったテープフィーダ5により供給された部品Pの吸着の成否を判定した回数が所定回数に到達したかを判定する。そして、成否判定回数が所定回数に到達すると(ステップS302で「YES」)、主制御部911は、当該テープフィーダ5について上述の要領で吸着率Rsを算出して、当該吸着率RsをUI95のディスプレイに表示させる(ステップS303)。かかる吸着率Rsは、露出方式の変更後に当該変更の対象となったテープフィーダ5により供給された部品Pの吸着の成否を反映したものとなる。
【0064】
かかる変更結果監視では、演算部91は、露出方式の変更後における実装動作の実行状況(吸着率Rs)を、変更後実行状況として監視して(ステップS302)、この変更後実行状況をUI95に報知させる(ステップS303)。かかる構成では、ユーザは露出方式の変更の適否を確認することができる。
【0065】
また、ノズル32による部品Pの吸着の成否を判定する方法は、部品認識カメラ72によって撮像された認識画像に基づく方法に限られない。例えば、ノズル32に所定の負圧が発生したか否かに基づき、ノズル32による部品Pの吸着の成否を判定してもよい。
【0066】
また、実装動作(ステップS101~S103、S107)の実行状況を監視する際の監視対象は、ノズル32による部品Pの吸着の成否に限られない。例えば、基板Bに実装された部品Pを部品認識カメラ72によって撮像した画像が示す部品Pの姿勢を監視対象としてもよい。
【0067】
また、部品Pの露出方式を変更する理由としては、部品Pの帯電以外の理由も想定できる。例えば、キャリアテープ61とトップテープ62との接合強度が強い場合には、トップテープ62をキャリアテープ61から剥離するために強い荷重をトップテープ62に加える必要がある。このような場合には、トップテープ62の剥離に伴って、キャリアテープ61内の部品Pが揺り動かされて、部品Pの姿勢が不適切となるおそれがある。そこで、キャリアテープ61から剥離するためにトップテープ62に加える荷重(剥離荷重)を測定した結果が所定荷重より大きい場合には、剥離方式からカット方式への変更をUI95に提案させてもよい。
【0068】
また、トップテープ62の種類によっては、トップテープ62をカットした際に切りくずが発生する場合がある。そこで、例えば、部品認識カメラ71によって撮像した画像から切りくずの発生が認められる場合には、カット方式から剥離方式への変更をUI95に提案させてもよい。
【0069】
また、部品Pのサイズによっては、カット方式で使用されるテープカッタ541が部品Pを損傷させる場合がある。そこで、例えば、部品認識カメラ71によって撮像した画像から部品Pの損傷が認められる場合には、カット方式から剥離方式への変更をUI95に提案させてもよい。
【0070】
また、部品実装機1の機械的構成を適宜変更することができる。例えば、テープ剥離部材52あるいはテープカット部材54が着脱可能である必要はなく、テープ剥離部材52あるいはテープカット部材54がフィーダ本体51と一体的に構成されてもよい。
【0071】
また、例えば特開2016-122753号公報で提案されているように、テープフィーダ5の構成を変形することができる。ここで、
図13Aおよび
図13Bはテープフィーダの変形例の構成を模式的に示す図であり、
図13Aは剥離方式で部品を露出させつつテープフィーダにより部品を供給する場合を示し、
図13Bはカット方式で部品を露出させつつテープフィーダにより部品を供給する場合を示す。以下では、上記の
図3Aおよび
図3Bに例示したテープフィーダ5との差異点を中心に説明を行い、共通点については相当符号を付して説明を適宜省略する。
【0072】
図13Aおよび
図13Bに示すように、テープフィーダ5は、フィーダ本体55と、フィーダ本体55の前端のユニット装着部551に着脱可能に取り付けられる交換ユニット56とを有する。つまり、交換ユニット56は、部品収納テープ6の搬送方向Yにおいて、フィーダ本体55の下流側に設けられている。フィーダ本体55は、上述のスプロケット511およびテープ回収部53を有し、交換ユニット56は、上述のスプロケット512を有する。さらに、フィーダ本体55は、スプロケット511を回転駆動させるモータ515を有し、交換ユニット56は、スプロケット512を回転駆動させるモータ516を有する。
【0073】
また、部品Pを露出させる露出部材(テープ剥離部材52/テープカット部材54)は、交換ユニット56に設けられている。かかる構成では、テープ剥離部材52を有する交換ユニット56(
図13A)と、テープカット部材54を有する交換ユニット56(
図13B)との間で、フィーダ本体55のユニット装着部551に装着する交換ユニット56を交換することで、テープフィーダ5による露出方式を剥離方式とカット方式との間で変更できる。
【0074】
つまり、テープフィーダ5は、部品供給位置50に向けて搬送される部品収納テープ6を支持するフィーダ本体55と、部品供給位置50に搬送される部品Pを露出させる露出部材(テープ剥離部材52/テープカット部材54)が着脱可能に装着されるユニット装着部551(露出部材装着部)とを有する。ユニット装着部551には、互いに異なる露出方式で部品Pを露出する2種類の露出部材(テープ剥離部材52/テープカット部材54)を装着可能である。これに対して、演算部91(制御部)は、2種類の露出部材(テープ剥離部材52/テープカット部材54)のうち、一の種類の露出部材から他の種類の露出部材に、ユニット装着部551に装着される露出部材を変更することをUI95に提案させる。かかる構成では、ユーザは、ユニット装着部551に装着する露出部材(テープ剥離部材52/テープカット部材54)の種類を変更することで、適切な露出方式で部品Pを露出させる露出部材(テープ剥離部材52/テープカット部材54)を部品実装に用いることができる。
【0075】
また、ヘッドユニット3の構成はモジューラ型に限られず、複数のノズル32が円周状に配列されたロータリ型でも構わない。
【符号の説明】
【0076】
1…部品実装機
31…実装ヘッド
39…帯電量測定器(帯電量測定部)
4…部品供給部
41…フィーダ装着部
5…テープフィーダ
50…部品供給位置
51…フィーダ本体
55…フィーダ本体
513…露出部材装着部
52…テープ剥離部材(露出部材)
54…テープカット部材(露出部材)
6…部品収納テープ
61…キャリアテープ
611…ポケット
62…トップテープ
91…演算部(制御部)
95…UI(ユーザインターフェース)
B…基板
P…部品