(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024093253
(43)【公開日】2024-07-09
(54)【発明の名称】ボールねじ軸サポート構造とアクチュエーター
(51)【国際特許分類】
F16H 25/24 20060101AFI20240702BHJP
F16H 25/22 20060101ALI20240702BHJP
F16H 25/20 20060101ALI20240702BHJP
F16F 7/00 20060101ALI20240702BHJP
【FI】
F16H25/24 H
F16H25/22 A
F16H25/20 F
F16F7/00 F
F16F7/00 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022209505
(22)【出願日】2022-12-27
(71)【出願人】
【識別番号】391008515
【氏名又は名称】株式会社アイエイアイ
(74)【代理人】
【識別番号】100092842
【弁理士】
【氏名又は名称】島野 美伊智
(74)【代理人】
【識別番号】100166578
【弁理士】
【氏名又は名称】鳥居 芳光
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 亜紀
(72)【発明者】
【氏名】勝見 涼太
【テーマコード(参考)】
3J062
3J066
【Fターム(参考)】
3J062AB22
3J062AC07
3J062BA25
3J062BA26
3J062CD04
3J062CD22
3J062CD36
3J066AA22
3J066BA01
3J066BB01
3J066BD01
3J066BD05
(57)【要約】
【課題】 ボールねじ軸を支持するサポート部材の強度や剛性を確保しつつアクチュエーターを小型化できるボールねじ軸サポート構造とアクチュエーターを提供すること。
【解決手段】 ベースと、ベースに対して回転可能に支持されたボールねじ軸と、上記ボールねじ軸に移動可能に螺合されたボールねじナットと、上記ボールねじ軸に離接可能に設置され弾性手段により上記ボールねじ軸にベース側から圧接されているとともに上記ボールねじナットの接近により上記弾性手段の付勢力に抗して上記ボールねじ軸から離間されるサポート部材と、を具備し、上記サポート部材の反ボールねじ軸側に上記サポート部材に対して離接可能に設置された中間ベース部材が設置されていて、上記中間ベース部材には上記サポート部材を案内するサポート部材用案内部材が立設されているもの。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベースと、
ベースに対して回転可能に支持されたボールねじ軸と、
上記ボールねじ軸に移動可能に螺合されたボールねじナットと、
上記ボールねじ軸に離接可能に設置され弾性手段により上記ボールねじ軸にベース側から圧接されているとともに上記ボールねじナットの接近により上記弾性手段の付勢力に抗して上記ボールねじ軸から離間されるサポート部材と、
を具備し、
上記サポート部材の反ボールねじ軸側に上記サポート部材に対して離接可能に設置された中間ベース部材が設置されていて、
上記中間ベース部材には上記サポート部材を案内するサポート部材用案内部材が立設されていることを特徴とするボールねじ軸サポート構造。
【請求項2】
請求項1記載のボールねじ軸サポート構造において、
上記サポート部材と上記中間ベース部材のうちの何れか一方には、上記サポート部材と上記中間ベース部材の離間を規制する離間規制部材が設置されていることを特徴とするボールねじ軸サポート構造。
【請求項3】
請求項1記載のボールねじ軸サポート構造において、
上記弾性手段はコイルばねであり、上記コイルばねは一端が上記ベース側に当接されているとともに上記中間ベース部材を貫通して他端が上記サポート部材に当接されていることを特徴とするボールねじ軸サポート構造。
【請求項4】
請求項1記載のボールねじ軸サポート構造において、
上記サポート部材は上記ベースと上記サポート部材との間に設置された別の弾性手段によっても支持されていることを特徴とするボールねじ軸サポート構造。
【請求項5】
請求項1記載のボールねじ軸サポート構造において、
上記サポート部材と上記中間ベース部材との間には上記弾性部材とは別の弾性部材が設置されていることを特徴とするボールねじ軸サポート構造。
【請求項6】
請求項5記載のボールねじ軸サポート構造において、
上記弾性部材は上記中間ベース部材と上記ベースの間に設置されていることを特徴とするボールねじ軸サポート構造。
【請求項7】
請求項1記載のボールねじ軸サポート構造において、
上記サポート部材には中間ベース部材収容凹部が設けられていて、上記サポート部材が上記ボールねじ軸から離間される際に上記中間ベース部材の少なくとも一部が上記中間ベース部材収容凹部に収容されることを特徴とするボールねじ軸サポート構造。
【請求項8】
請求項1に記載のボールねじ軸サポート構造において、
上記中間ベース部材の反ボールねじ軸側の面には中間ベース部材用緩衝材が設置されていることを特徴とするボールねじ軸サポート構造。
【請求項9】
請求項1に記載のボールねじ軸サポート構造において、
上記サポート部材の反ボールねじ軸側の面にはサポート部材用緩衝材が設置されていることを特徴とするボールねじ軸サポート構造。
【請求項10】
請求項1記載のボールねじ軸サポート構造において、
上記中間ベース部材を案内する中間ベース部材用案内部材が上記ベースに立設されていることを特徴とするボールねじ軸サポート構造。
【請求項11】
請求項10記載のボールねじ軸サポート構造において、
上記サポート部材によって上記ボールねじ軸が支持されている状態において、上記サポート部材用案内部材と上記中間ベース部材用案内部材が上記サポート部材及び上記中間ベース部材の移動方向に重なるように配置されることを特徴とするボールねじ軸サポート構造。
【請求項12】
請求項11記載のボールねじ軸サポート構造において、
少なくとも上記サポート部材が上記ボールねじ軸から離間される際に上記サポート部材用案内部材が上記サポート部材を貫通した状態になることを特徴とするボールねじ軸サポート構造。
【請求項13】
請求項1~請求項12の何れかに記載のボールねじ軸サポート構造のサポート部材が1個設置されていることを特徴とするアクチュエーター。
【請求項14】
請求項1~請求項12の何れかに記載のボールねじ軸サポート構造のサポート部材が複数個設置されていることを特徴とするアクチュエーター。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ボールねじ軸サポート構造とアクチュエーターに係り、特に、ボールねじ軸を支持するサポート部材の強度や剛性を確保しつつアクチュエーターを小型化できるように工夫したものに関する。
【背景技術】
【0002】
ボールねじ軸サポート構造とアクチュエーターの構成を開示するものとして、例えば、特許文献1がある。
特許文献1に記載されたアクチュエーターはベースに対して移動可能にスライダーが設置されている。上記スライダーにはボールねじナットが内装されていて、上記ベースには上記ボールねじナットに螺合されたボールねじ軸が回転可能に支持されている。上記ボールねじ軸がモーターによって回転されると上記ボールねじナット、ひいては、上記スライダーが移動される。
【0003】
上記アクチュエーターにはボールねじ軸サポート構造が設けられている。上記ボールねじ軸サポート構造は、上記ベースに設けられたサポート部材収容凹部内に設置されたサポート部材用ベースと、上記サポート部材用ベースの上側に設置されたサポート部材から構成される。上記サポート部材とサポート部材用ベースとの間にはコイルバネが張設されていて、常時は上記コイルバネによって上記サポート部材が上記ボールねじ軸側に押圧されて上記サポート部材によって上記ボールねじ軸を支持している。
【0004】
上記スライダーが上記サポート部材の設けられている位置に移動すると、上記スライダーによって上記サポート部材がサポート部材用ベース側に押し下げられ、上記スライダーの移動が上記サポート部材によって妨げられないようになっている。また、上記サポート部材がサポート部材用ベース側に押し下げられた際、上記サポート部材は、上記サポート部材収容凹部内に収容されるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記従来の構成では次のような問題があった。
すなわち、上記アクチュエーターを小型化しようとした場合、上記サポート部材の強度や剛性を確保しようとすると、上記サポート部材は十分に小型化できなくなってしまう。そのため、上記サポート部材が上記スライダーによって押し下げられた際に。上記スライダーの移動を妨げないように上記サポート部材を退避させることができるだけの空間を確保できなくなってしまうことが懸念される。
【0007】
本発明はこのような点に基づいてなされたものでその目的とするところは、ボールねじ軸を支持するサポート部材の強度や剛性を確保しつつアクチュエーターを小型化できるボールねじ軸サポート構造とアクチュエーターを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するべく本願発明の請求項1によるボールねじ軸サポート構造は、ベースと、ベースに対して回転可能に支持されたボールねじ軸と、上記ボールねじ軸に移動可能に螺合されたボールねじナットと、上記ボールねじ軸に離接可能に設置され弾性手段により上記ボールねじ軸にベース側から圧接されているとともに上記ボールねじナットの接近により上記弾性手段の付勢力に抗して上記ボールねじ軸から離間されるサポート部材と、を具備し、上記サポート部材の反ボールねじ軸側に上記サポート部材に対して離接可能に設置された中間ベース部材が設置されていて、上記中間ベース部材には上記サポート部材を案内するサポート部材用案内部材が立設されていることを特徴とするものである。
又、請求項2によるボールねじ軸サポート構造は、請求項1記載のボールねじ軸サポート構造において、上記サポート部材と上記中間ベース部材のうちの何れか一方には、上記サポート部材と上記中間ベース部材の離間を規制する離間規制部材が設置されていることを特徴とするものである。
又、請求項3によるボールねじ軸サポート構造は、請求項1記載のボールねじ軸サポート構造において、上記弾性手段はコイルばねであり、上記コイルばねは一端が上記ベース側に当接されているとともに上記中間ベース部材を貫通して他端が上記サポート部材に当接されていることを特徴とするものである。
又、請求項4によるボールねじ軸サポート構造は、請求項1記載のボールねじ軸サポート構造において、上記サポート部材は上記ベースと上記サポート部材との間に設置された別の弾性手段によっても支持されていることを特徴とするものである。
又、請求項5によるボールねじ軸サポート構造は、請求項1記載のボールねじ軸サポート構造において、上記サポート部材と上記中間ベース部材との間には上記弾性部材とは別の弾性部材が設置されていることを特徴とするものである。
又、請求項6によるボールねじ軸サポート構造は、請求項5記載のボールねじ軸サポート構造において、上記弾性部材は上記中間ベース部材と上記ベースの間に設置されていることを特徴とするものである。
又、請求項7によるボールねじ軸サポート構造は、請求項1記載のボールねじ軸サポート構造において、上記サポート部材には中間ベース部材収容凹部が設けられていて、上記サポート部材が上記ボールねじ軸から離間される際に上記中間ベース部材の少なくとも一部が上記中間ベース部材収容凹部に収容されることを特徴とするものである。
又、請求項8によるボールねじ軸サポート構造は、請求項1に記載のボールねじ軸サポート構造において、上記中間ベース部材の反ボールねじ軸側の面には中間ベース部材用緩衝材が設置されていることを特徴とするものである。
又、請求項9によるボールねじ軸サポート構造は、請求項1に記載のボールねじ軸サポート構造において、上記サポート部材の反ボールねじ軸側の面にはサポート部材用緩衝材が設置されていることを特徴とするものである。
又、請求項10によるボールねじ軸サポート構造は、請求項1記載のボールねじ軸サポート構造において、上記中間ベース部材を案内する中間ベース部材用案内部材が上記ベースに立設されていることを特徴とするものである。
又、請求項11によるボールねじ軸サポート構造は、請求項10記載のボールねじ軸サポート構造において、上記サポート部材によって上記ボールねじ軸が支持されている状態において、上記サポート部材用案内部材と上記中間ベース部材用案内部材が上記サポート部材及び上記中間ベース部材の移動方向に重なるように配置されることを特徴とするものである。
又、請求項12によるボールねじ軸サポート構造は、請求項11記載のボールねじ軸サポート構造において、少なくとも上記サポート部材が上記ボールねじ軸から離間される際に上記サポート部材用案内部材が上記サポート部材を貫通した状態になることを特徴とするものである。
又、請求項13によるアクチュエーターは、請求項1~請求項12の何れかに記載のボールねじ軸サポート構造のサポート部材が1個設置されていることを特徴とするものである。
又、請求項14によるアクチュエーターは、請求項1~請求項12の何れかに記載のボールねじ軸サポート構造のサポート部材が複数個設置されていることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0009】
以上述べたように、本願発明の請求項1記載のボールねじ軸サポート構造によると、ベースと、ベースに対して回転可能に支持されたボールねじ軸と、上記ボールねじ軸に移動可能に螺合されたボールねじナットと、上記ボールねじ軸に離接可能に設置され弾性手段により上記ボールねじ軸にベース側から圧接されているとともに上記ボールねじナットの接近により上記弾性手段の付勢力に抗して上記ボールねじ軸から離間されるサポート部材と、を具備し、上記サポート部材の反ボールねじ軸側に上記サポート部材に対して離接可能に設置された中間ベース部材が設置されていて、上記中間ベース部材には上記サポート部材を案内するサポート部材用案内部材が立設されているので、ボールねじ軸を支持するサポート部材の強度や剛性を確保しつつアクチュエーターを小型化できる。
又、請求項2記載のボールねじ軸サポート構造によると、請求項1記載のボールねじ軸サポート構造において、上記サポート部材と上記中間ベース部材のうちの何れか一方には、上記サポート部材と上記中間ベース部材の離間を規制する離間規制部材が設置されているので、簡易な構成により上記中間ベースを支持することができる。
又、請求項3記載のボールねじ軸サポート構造によると、請求項1記載のボールねじ軸サポート構造において、上記弾性手段はコイルばねであり、上記コイルばねは一端が上記ベース側に当接されているとともに上記中間ベース部材を貫通して他端が上記サポート部材に当接されているので、簡易な構成にできる。
又、請求項4記載のボールねじ軸サポート構造によると、請求項1記載のボールねじ軸サポート構造において、上記サポート部材は上記ベースと上記サポート部材との間に設置された別の弾性手段によっても支持されているので、上記サポート部材を確実に復帰させることができる。
又、請求項5記載のボールねじ軸サポート構造によると、請求項1記載のボールねじ軸サポート構造において、上記サポート部材と上記中間ベース部材との間には上記弾性部材とは別の弾性部材が設置されているので、上記サポート部材と上記中間ベース部材を確実に復帰させることができる。
又、請求項6記載のボールねじ軸サポート構造によると、請求項5記載のボールねじ軸サポート構造において、上記弾性部材は上記中間ベース部材と上記ベースの間に設置されているので、上記中間ベース部材を確実に復帰させることができる。
又、請求項7記載のボールねじ軸サポート構造によると、請求項1記載のボールねじ軸サポート構造において、上記サポート部材には中間ベース部材収容凹部が設けられていて、上記サポート部材が上記ボールねじ軸から離間される際に上記中間ベース部材の少なくとも一部が上記中間ベース部材収容凹部に収容されるので、上記サポート部材の移動距離を確保でき、更に上記アクチュエーターを小型化できる。
又、請求項8記載のボールねじ軸サポート構造によると、請求項1に記載のボールねじ軸サポート構造において、上記中間ベース部材の反ボールねじ軸側の面には中間ベース部材用緩衝材が設置されているので、振動や騒音を抑制できる。
又、請求項9記載のボールねじ軸サポート構造によると、請求項1に記載のボールねじ軸サポート構造において、上記サポート部材の反ボールねじ軸側の面にはサポート部材用緩衝材が設置されているので、振動や騒音を抑制できる。
又、請求項10記載のボールねじ軸サポート構造によると、請求項1記載のボールねじ軸サポート構造において、上記中間ベース部材を案内する中間ベース部材用案内部材が上記ベースに立設されているので、上記中間ベース部材を円滑に移動できる。
又、請求項11記載のボールねじ軸サポート構造によると、請求項10記載のボールねじ軸サポート構造において、上記サポート部材によって上記ボールねじ軸が支持されている状態において、上記サポート部材用案内部材と上記中間ベース部材用案内部材が上記サポート部材及び上記中間ベース部材の移動方向に重なるように配置されるので、上記サポート部材の移動距離を確保でき、更に上記アクチュエーターを小型化できる。
又、請求項12記載のボールねじ軸サポート構造によると、請求項11記載のボールねじ軸サポート構造において、少なくとも上記サポート部材が上記ボールねじ軸から離間される際に上記サポート部材用案内部材が上記サポート部材を貫通した状態になるので、上記サポート部材の移動距離を確保でき、更に上記アクチュエーターを小型化できる。
又、請求項13記載のアクチュエーターによると、請求項1~請求項12の何れかに記載のボールねじ軸サポート構造のサポート部材が1個設置されているので、ボールねじ軸を支持するサポート部材の強度や剛性を確保しつつアクチュエーターを小型化できる。
又、請求項14記載のアクチュエーターによると、請求項1~請求項12の何れかに記載のボールねじ軸サポート構造のサポート部材が複数個設置されているので、上記ボールねじ軸が長い場合であってもボールねじ軸を支持するサポート部材の強度や剛性を確保しつつアクチュエーターを小型化できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の第1の実施の形態を示す図で、アクチュエーターの斜視図である。
【
図2】本発明の第1の実施の形態を示す図で、アクチュエーターの一部縦断面図であり、サポート部材付近を拡大した図である。
【
図3】本発明の第1の実施の形態を示す図で、
図2のIII-III断面図である。
【
図4】本発明の第1の実施の形態を示す図で、ボールねじ軸サポート構造の斜視図である。
【
図5】本発明の第1の実施の形態を示す図で、ボールねじ軸サポート構造の分解斜視図である。
【
図6】本発明の第1の実施の形態を示す図で、アクチュエーターの一部縦断面図であり、スライダーがサポート部材に乗り上げ、上記サポート部材のみがベース側に押し下げられた状態のサポート部材付近の拡大図である。
【
図7】本発明の第1の実施の形態を示す図で、アクチュエーターの一部を除去した斜視図であり、スライダーがサポート部材に乗り上げ、上記サポート部材のみがベース側に押し下げられた状態のサポート部材付近の拡大図である。
【
図8】本発明の第1の実施の形態を示す図で、アクチュエーターの一部縦断面図であり、サポート部材がベース側に押し下げられ中間ベース部材に当接した状態のサポート部材付近の拡大図である。
【
図9】本発明の第1の実施の形態を示す図で、アクチュエーターの一部縦断面図であり、上記サポート部材がボールねじ軸から離れ、受け部材とスライダーの下面側が摺接している状態のサポート部材付近の拡大図である。
【
図10】本発明の第1の実施の形態を示す図で、アクチュエーターの一部縦断面図であり、スライダーがサポート部材を通過した直後の状態のサポート部材付近の拡大図である。
【
図11】本発明の第2の実施の形態を示す図で、アクチュエーターの一部縦断面図であり、サポート部材付近を拡大した図である。
【
図12】本発明の第3の実施の形態を示す図で、アクチュエーターの一部縦断面図であり、サポート部材付近を拡大した図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、
図1乃至
図10を参照しながら、本発明の第1の実施の形態について説明する。
図1はこの第1の実施の形態によるアクチュエーター1の全体構成を示す斜視図であり、
図2は要部縦断面図、
図3は
図2のIII-III断面図である。
図1~
図3に示すように、略U字型の断面形状を成すベース3がある。上記ベース3の左右両内側面にはガイドレール5、5が設置されている。上記ガイドレール5、5にはガイド溝7、7がそれぞれ形成されている。
【0012】
また、上記ベース3内にはボールねじ軸9が内装されている。また、
図1に示すように、上記ベース3の前端側(
図1中左下側)には軸受部11があり、上記ベース3の後端側(
図2中右上側)には軸受部13がある。上記ボールねじ軸9はこれら軸受部11、13によって軸支されている。上記ボールねじ軸9には螺旋溝15が形成されている。
【0013】
図1、
図2に示すように、上記ベース3にはスライダー17が左右方向に移動可能に設置されている。上記スライダー17の幅方向の一方側(
図1中左上側)であって前後方向(
図1中左下から右上に向かう方向)両端にはそれぞれエンドキャップ19、19が設置されている。また、上記スライダー17の幅方向の他方側(
図1中右下側)であって前後方向(
図1中左下から右上に向かう方向)両端にはそれぞれエンドキャップ21、21が設置されている(後端側のエンドキャップは図示せず。)。上記エンドキャップ19、21内には図示しないリターン路が形成されている。上記スライダー17内の幅方向(
図1中左上から右下に向かう方向)両側にはそれぞれ図示しない無負荷循環路が形成されている。また、上記スライダー17の幅方向(
図1中左上から右下に向かう方向)両側面には図示しないガイド溝が形成されている。
【0014】
上記スライダー17内の図示しない一方の無負荷循環路と、上記一方のエンドキャップ19のリターン路、上記他方のエンドキャップ19のリターン路、及び、上記一方のガイドレール5のガイド溝7と上記スライダー17の図示しない一方のガイド溝の間の空間には、図示しない鋼球が転動・循環されている。また、上記スライダー17内の図示しない他方の無負荷循環路と、上記一方のエンドキャップ21のリターン路、上記他方のエンドキャップ21のリターン路、及び、上記他方のガイドレール5のガイド溝7と上記スライダー17の図示しない他方のガイド溝の間の空間にも、図示しない鋼球が転動・循環されている。このような構成により、上記スライダー17は上記ベース3に対して移動可能となっている。
【0015】
また、
図2に示すように、上記スライダー17には、ボールねじナット収容凹部23が形成されていて、このボールねじナット収容凹部23内にはボールねじナット25が固着されている。上記ボールねじナット25にはボールねじナット本体27と、前端側(
図2中左側)のエンドキャップ29と、後端側(
図2中右側)のエンドキャップ31がある。上記ボールねじ軸9は上記ボールねじナット25を貫通している。上記ボールねじナット本体27の内周面には螺旋溝33が形成されている。また、上記ボールねじナット本体27内には図示しない無負荷循環路が形成されていて、上記エンドキャップ29、31内には図示しないリターン路が形成されている。
【0016】
上記ボールねじナット本体27の図示しない無負荷循環路内、上記エンドキャップ29、31の図示しないリターン路、及び、上記ボールねじナット本体27の螺旋溝33と上記ボールねじ軸9の螺旋溝15の間の空間には鋼球35が転動・循環されている。また、
図1に示すように、上記ベース3の後端側(
図1中右上側)にはモーターケース37が設置されている。このモーターケース37内の図示しないモーターによって、上記ボールねじ軸9が回転・駆動される。上記ボールねじ軸9が回転・駆動されると、上記スライダー17が前後方向(
図2中左右方向)に移動される。
【0017】
また、
図2に示すように、上記スライダー17の下側の前端側(
図2中左側)の幅方向両側(
図2中紙面方向両側)には金属製の前方ローラー41、41が回転可能に設置されている(
図2中手前側の前方ローラー41は図示せず。)。また、上記スライダー17の下側の後端側(
図2中右側)の幅方向両側(
図2中紙面方向両側)にも金属製の後方ローラー43、43が回転可能に設置されている(
図2中手前側の後方ローラー43は図示せず。)。
【0018】
また、例えば、
図2、
図3に示すように、上記ベース3にはサポート部材収容凹部45が形成されている。このサポート部材収容凹部45内には、ボールねじ軸サポート構造47が設置されている。上記ボールねじ軸サポート構造47には、まず、サポート部材用ベース49がある。上記サポート部材収容凹部45の底部には、
図2に示すように、サポート部材用ベース収容孔51が形成されていて、上記サポート部材用ベース49は上記サポート部材用ベース収容孔51内に設置されている。
【0019】
上記サポート部材用ベース49の上側にはサポート部材用ベース固定板53が設置されている。上記サポート部材用ベース固定板53は、上記サポート部材用ベース固定板53を貫通し上記サポート部材用ベース49に螺合される固定用ねじ55によって上記サポート部材用ベース49に固定され、上記サポート部材用ベース固定板53を貫通し上記ベース3に螺合される固定用ねじ57によって上記ベース3に固定される。上記サポート部材用ベース固定板53の中央は開口され上記サポート部材用ベース49が露出している。
【0020】
また、上記ボールねじ軸サポート構造47には、中間ベース部材用案内部材59、59がある。上記中間ベース部材用案内部材59、59は、上記サポート部材用ベース49の前後方向(
図2中左右方向)両端に立設されている。上記中間ベース部材用案内部材59、59は固定用ねじ61、61によって上記サポート部材用ベース49に固定されている。
【0021】
また、上記ボールねじ軸サポート構造47には中間ベース部材63がある。上記中間ベース部材63は、
図2から
図5に示すように、上記サポート部材収容凹部45内であって上記ボールねじ軸9と上記サポート部材用ベース49の間に設置されている。上記中間ベース部材63の前後方向(
図2中左右方向)両端側には、中間ベース部材ガイド用貫通孔65、65が形成されている。上記中間ベース部材ガイド用貫通孔65、65には滑り軸受67、67が圧入されていて、上記中間ベース部材用案内部材59、59はこれら滑り軸受67、67を貫通するように配置され、上記滑り軸受67、67と摺接するようになっている。上記中間ベース部材63は上記中間ベース部材用案内部材59、59に沿って上下方向に移動可能になっている。
【0022】
また、上記中間ベース部材63の反ボールねじ軸9側(
図2中下側)の面には、例えば、フェルト製の中間ベース部材用緩衝材69が設置されている。上記中間ベース部材用緩衝材69によって、上記中間ベース部材63が上記サポート部材用ベース49に衝突する際の衝撃を緩和する。また、上記中間ベース部材63の中央には弾性部材用貫通孔70が設けられている。
【0023】
また、上記ボールねじ軸サポート構造47には、サポート部材用案内部材71、71がある。上記サポート部材用案内部材71、71は、上記中間ベース部材63の上記弾性部材用貫通孔70付近の前後方向(
図2中左右方向)両側であって、上記中間ベース部材用案内部材59、59の位置よりも上記弾性部材用貫通孔70側(
図2中左側又は右側)に立設されている。上記サポート部材用案内部材71、71は固定用ねじ73、73によって上記中間ベース部材63に固定されている。
【0024】
図2から
図5に示すように、上記ボールねじ軸サポート構造47にはサポート部材81がある。上記サポート部材81は中間ベース部材63の
図2中上側に設置されている。上記サポート部材81にはサポート部材本体83があり、上記サポート部材本体83の前後方向(
図2中左右方向)両端側には、サポート部材ガイド用貫通孔85、85が形成されている。上記サポート部材ガイド用貫通孔85、85には滑り軸受87、87が圧入されていて、上記サポート部材用案内部材71、71はこれら滑り軸受87、87を貫通するように配置され、上記滑り軸受87、87と摺接するようになっている。上記サポート部材81は上記サポート部材用案内部材71、71に沿って上下方向に移動可能になっている。また、
図2に示すように、上記サポート部材用案内部材71、71は、上記中間ベース部材用案内部材59、59と
図2中上下方向に重なるように配置されている。
【0025】
また、上記ボールねじ軸サポート構造47には弾性手段としてのコイルバネ89がある。
図2に示すように、上記コイルバネ89は、上記中間ベース部材63の上記弾性部材用貫通孔70を貫通して、上記サポート部材81と上記サポート部材用ベース49との間に張置されている。上記コイルバネ89により上記サポート部材81は上記ボールねじ軸9側(
図2中上側)に常時押圧・付勢されている。
【0026】
また、
図4と
図5に示すように、上記サポート部材本体83の上面側の前方(
図4中左下)の幅方向(
図4中左上から右下に向かう方向)両側には前方側傾斜面91、91が形成されていて、上記前方側傾斜面91、91には前方側緩衝材93、93が設置されている。上記サポート部材本体83の上面側の後方(
図4中右上)の幅方向(
図4中左上から右下に向かう方向)両側には後方側傾斜面95、95が形成されていて、上記後方側傾斜面95、95には後方側緩衝材97、97が設置されている。上記前方側緩衝材93、93と後方側緩衝材97、97は、例えば、低反発のゴム製である。
【0027】
また、上記サポート部材81にはサポート部99がある。上記サポート部材本体83の上面側の中央にはサポート部用凹部101が形成されていて、上記サポート部99はこのサポート部用凹部101に設置されている。上記サポート部99には、例えば、POM(ポリオキシメチレン)製の受け部材103と、例えば、フェルト製の受け部材用緩衝材105がある。上記受け部材103は上面側に配置されていて上記ボールねじ軸9を受けるようになっている。上記受け部材103は上記受け部材用緩衝材105を介して上記サポート部用凹部101内に着脱可能に設置されている。
【0028】
上記受け部材103には座グリ付きの貫通孔107が形成されていて、上記受け部材103はボルト109を上記貫通孔107に貫通させて上記サポート部用凹部101に形成された雌ねじ部111に螺合させることで上記サポート部材本体83に固定されている。上記受け部材用緩衝材105は上記ボルト109により、上記受け部材103と共締め固定されている。
【0029】
上記受け部材103の上面側には上記ボールねじ軸9を受けるための凹部113が形成されている。上記受け部材103の上記凹部113の幅方向両側(
図4中)は平面状の摺動部115、115となっている。
図2に示すように、上記サポート部材81が上記コイルバネ89の弾性力により
図2中上側に押圧・付勢されると、上記サポート部99の受け部材103の凹部113によって上記ボールねじ軸9の中央付近が支持されて、上記ボールねじ軸9の撓みが防止される。また、上記フェルト製の受け部材用緩衝材105は上記受け部材103の上記ボールねじ軸9への衝突時の衝撃を緩和させるためのものである。
【0030】
また、上記受け部材103の前方には上記サポート部材本体83の前方側傾斜面91、91と略連続する前方側傾斜面117が形成されていて、上記受け部材103の後方には上記サポート部材本体83の後方側傾斜面95、95と略連続する後方側傾斜面119が形成されている。
また、上記サポート部材本体83の中央には弾性部材用貫通孔121が設けられている。
図2に示すように、上記コイルバネ89は上記弾性部材用貫通孔121を貫通しており、上記コイルバネ89の
図2中上端側は上記受け部材用緩衝材105に当接されている。
【0031】
また、上記サポート部材本体83の前後方向(
図2中左右方向)両端側には、中間ベース部材用係合部123、123が設けられている。上記サポート部材81には離間規制部材125、125がある。上記離間規制部材125、125は上記中間ベース部材63の前後方向(
図2中左右方向)両端側に固着されており、上記サポート部材本体83の中間ベース部材用係合部123、123に係合されている。これにより、上記中間ベース部材63は上記サポート部材81に対して
図2中上下方向に移動可能であるが、上記サポート部材81から所定の距離以上は
図2中下側に移動できず、上記サポート部材用ベース49に当接していない状態では上記サポート部材81から吊り下げられた状態で支持されている。
【0032】
また、上記サポート部材本体83の
図2中下側には、中間ベース部材収容凹部127が設けられている。上記サポート部材81が
図2中下側に移動されると、上記中間ベース部材63が上記サポート部材用ベース49に当接するまでに上記中間ベース部材63は上記中間ベース部材収容凹部127に収容され、上記サポート部材81が更に
図2中下側に移動されるようになっている。
【0033】
上記のように、上記サポート部材81は上記サポート部材本体83と上記サポート部材本体83に設置される上記サポート部99と上記サポート部材本体83の上記前方側傾斜面91、91および上記後方側傾斜面95、95に設置される上記前方側緩衝材93、93と上記後方側緩衝材97、97により構成されている。
【0034】
図2に示すように、上記スライダー17が上記サポート部材81側へ移動して、上記前方ローラー41、41が上記後方側傾斜面95、95の後方側緩衝材97、97に転動していくと、上記サポート部材81が上記コイルバネ89の弾性力に抗して
図2中下側に押圧・付勢される。
【0035】
上記サポート部材81が
図2中下側に移動されると、先に上記中間ベース部材63が上記サポート部材用ベース49に当接するが、その後も、上記サポート部材81は
図2中下側に移動可能になっている。この場合は、上記中間ベース部材63が上記中間ベース部材収容凹部127に収容されることによって上記サポート部材81は
図2中下側に移動可能になっている。
【0036】
図2に示すように、上記サポート部材用案内部材71、71は、上記中間ベース部材用案内部材59、59と
図2中上下方向に重なるように配置されている。
図6に示すように、上記スライダー17が上記サポート部材81側へ移動して、上記前方ローラー41,41が上記後方側傾斜面95,95の後方側緩衝材97、97に当接したとき、上記サポート部材81の後方側(
図6中右側)に
図6中下方向の力がかかり、上記サポート部材81の前方側(
図6中左側)には
図6中上方向の力がかかり、上記中間ベース部材用案内部材59,59の軸線に対して上記中間ベース部材63の上記中間ベース部材ガイド用貫通孔65に設置された上記滑り軸受67の軸線が傾くような力がかかるが、上記サポート部材用案内部材71、71と上記中間ベース部材用案内部材59、59が
図2中上下方向に重なっている部分で上記中間ベース部材63と上記サポート部材81の傾きが共に防止されるので、上記中間ベース部材63、ひいては、上記サポート部材81の
図2中下側への移動が円滑化される。
【0037】
また、上記スライダー17が
図2に示す方向とは反対側から上記サポート部材81側へ移動して、後方ローラー43、43が上記前方側傾斜面91、91の前方側緩衝材93、93に転動していく場合も、同様に、上記サポート部材81が上記コイルバネ89の弾性力に抗して
図2中下側に押圧され付勢される。
【0038】
次に、この第1の実施の形態による作用について説明する。モーターケース37内の図示しないモーターによってボールねじ軸9が回転・駆動されると、スライダー17が前後方向に進退される。上記スライダー17がサポート部材81と離間している状態では、
図2に示すように、上記サポート部材81はコイルバネ89の弾性力により
図2中上側に押圧・付勢されていて、サポート部99の受け部材103の凹部113によって上記ボールねじ軸9の中央付近が支持されて、上記ボールねじ軸9の撓みが防止されている。
【0039】
図6及び
図7に示すように、上記スライダー17が
図6中右側から上記サポート部材81に接近すると、前方ローラー41、41が上記後方側傾斜面95、95の後方側緩衝材97、97に当接して転動し始める。それによって、上記サポート部材81は上記コイルバネ89の弾性力に抗して反ボールねじ軸9側(
図6中下側)に押圧・付勢され、上記受け部材103の凹部113による上記ボールねじ軸9の支持は解除される。上記前方ローラー41、41が上記後方側緩衝材97、97に衝突する際の衝撃は上記後方側緩衝材97、97によって緩和される。
【0040】
図8は上記スライダー17がさらに上記サポート部材81側に接近した状態を示しており、上記サポート部材81が反ボールねじ軸9側(
図8中下側)にさらに押圧・付勢され、中間ベース部材63に当接した状態になっている。このとき、上記中間ベース部材63は上記サポート部材81の中間ベース部材収容凹部127内に収容されている。また、このとき、上記サポート部材用案内部材71、71はサポート部材ガイド用貫通孔85、85を貫通し、上記サポート部材ガイド用貫通孔85、85の
図8中上端側の開口部から突出される状態になっている。
【0041】
上記スライダー17が更に
図8中左側に移動すると、上記前方ローラー41、41は上記受け部材103の後方側傾斜面119、119に当接して転動し、その後上記受け部材103の摺動部115、115に当接して転動し、更に上記受け部材103の前方側傾斜面117、117に当接して転動する。
【0042】
図9に示すように、上記スライダー17が上記サポート部材81の真上に移動すると、上記前方ローラー41、41は上記受け部材103から離れるが、上記サポート部材81の受け部材103の摺動部115、115が、上記スライダー17の下面側に摺接される。このとき、上記サポート部材81及び中間ベース部材63は最も下側に押圧・付勢されている。上記中間ベース部材63が上記サポート部材用ベース49に衝突する際の衝撃は中間ベース部材用緩衝材69によって緩和される。
【0043】
次に、上記スライダー17が上記サポート部材81の上側を通過していくと、上記スライダー17の後方ローラー43、43が、上記受け部材103の後方側傾斜面119、119、摺動部115、115、及び、前方側傾斜面117、117に当接して転動された後、前方側傾斜面91、91の前方側緩衝材93、93を介して上記サポート部材81を上記コイルバネ89の弾性力に抗して反ボールねじ軸9側(
図9中下側)に押圧・付勢した状態になるが、上記スライダー17の移動によりその押圧・付勢は徐々に解除されていく。そして、
図10に示すように、上記スライダー17が
図10中左側に移動されると、再び上記サポート部材81はコイルバネ89の弾性力により
図10中上側に押圧・付勢され、サポート部99の受け部材103の凹部113によって上記ボールねじ軸9の中央付近が支持されて、上記ボールねじ軸9の撓みが防止される状態となる。上記受け部材103が上記ボールねじ軸9に再び当接される際の衝撃は受け部材用緩衝材105によって緩和される。
【0044】
また、スライダー17が
図2に示す方向とは反対側からサポート部材81に接近して通過していく場合も同様である。この場合には、スライダー17の後方ローラー43、43がサポート部材81の前方側傾斜面91、91の前方側緩衝材93、93に当接して転動していくことによりサポート部材81がコイルバネ89の付勢力に抗して押し下げられることになる。
また、上記ボールねじ軸サポート構造47は1つのユニットとして上記サポート部材収容凹部45に着脱できる構造となっている。
【0045】
次に、この第1の実施の形態による効果について説明する。
まず、ボールねじ軸9を支持するサポート部材81の強度や剛性を確保しつつアクチュエーター1を小型化できる。これは、上記サポート部材81の反ボールねじ軸9側(
図2中下側)に上記サポート部材81に対して離接可能に設置された中間ベース部材63が設置されていて、まずスライダー17によって先に上記サポート部材81が上記中間ベース部材63に当接するまで下降されたあと、上記サポート部材81と上記中間ベース部材63が共に下降されるようになっているため、上記サポート部材81が上記中間ベース部材63に当接するまで下降される分だけ上記サポート部材81の移動距離を多く確保でき、上記サポート部材81を上記アクチュエーター1全体の小型化に比して大きくすることができるためである。
【0046】
上記サポート部材81を案内するサポート部材用案内部材71、71が上記中間ベース部材63に立設されているので、上記サポート部材81を円滑に移動できる。また、上記中間ベース部材63を案内する中間ベース部材用案内部材59、59が上記サポート部材用ベース49に立設されているので、上記中間ベース部材63を円滑に移動できる。
また、上記サポート部材用案内部材71、71と上記中間ベース部材用案内部材59、59が
図2中上下方向に重なって配置されているので、上記サポート部材用案内部材71、71と上記中間ベース部材用案内部材59、59が
図2中上下方向に重なっている分だけ、上記サポート部材81の移動距離を多く確保できる。
【0047】
上記サポート部材81には離間規制部材125、125があり、上記サポート部材本体83の中間ベース部材用係合部123、123に係合されているので、上記サポート部材81から所定の距離以上の離間を規制するとともに、簡易な構成により上記中間ベースを支持することができる。
また、ボールねじ軸サポート構造47には弾性手段としてのコイルバネ89があり、上記コイルバネ89は上記中間ベース部材63の上記弾性部材用貫通孔70を貫通して、上記サポート部材81と上記サポート部材用ベース49との間に張置されているので、上記ボールねじ軸サポート構造47を簡易な構成にできる。
【0048】
上記サポート部材81には中間ベース部材収容凹部127が設けられていて、上記サポート部材81が
図2中下側に移動されると、上記中間ベース部材63が上記サポート部材用ベース49に当接するまでに上記中間ベース部材63は上記中間ベース部材収容凹部127に収容されるので、上記サポート部材の移動距離を確保でき、更に上記アクチュエーターを小型化できる。
【0049】
また、上記中間ベース部材63の反ボールねじ軸9側(
図2中下側)の面には中間ベース部材用緩衝材69が設置されているので、振動や騒音を抑制できる。
上記サポート部材81及び上記中間ベース部材63が下降した状態では、上記サポート部材用案内部材71、71はサポート部材ガイド用貫通孔85、85を貫通し、上記サポート部材ガイド用貫通孔85、85の
図8中上端側の開口部から突出される状態になっているので、上記サポート部材81の移動距離を確保でき、更に上記アクチュエーターを小型化できる。
【0050】
また、上記ボールねじ軸サポート構造47によって簡易且つコンパクトな構成によりボールねじ軸9の撓みを防止することができ、振動や騒音を抑制して高速化に対応することができる。すなわち、ボールねじ軸9を支持する受け部材103を備えたサポート部材81をコイルバネ89によって常時ボールねじ軸9側に付勢する構成とし、それをスライダー17の前方ローラー41、41及び後方ローラー43、43、上記サポート部材81の前方側傾斜面91、91と後方側傾斜面95、95の協働によって適宜押し下げるように構成したからである。
【0051】
また、上記受け部材103とサポート部材本体83との間には受け部材用緩衝材105が介挿されているので、上記受け部材103が上記ボールねじ軸9に衝突した際の衝撃を簡易な構成により緩和することができる。
また、上記受け部材103は着脱可能に設置されているので、交換が容易である。
【0052】
また、上記受け部材用緩衝材105はフェルト製であるので構成は簡単でありその緩衝効果及び吸音効果も高い。
また、上記中間ベース部材63の反ボールねじ軸9側(
図2中下側)の面には、例えば、フェルト製の中間ベース部材用緩衝材69が設置されているので、上記中間ベース部材63が上記サポート部材用ベース49に衝突する際の衝撃を緩和することができる。
【0053】
また、前方ローラー41、後方ローラー43、上記前方側傾斜面91、91、後方側傾斜面95、95の協働によって上記サポート部材81を昇降させるようにしているので、サポート部材81の昇降動作を円滑なものとすることができる。
また、上記前方側傾斜面91、91と後方側傾斜面95、95には、前方側緩衝材93、93と後方側緩衝材97、97が設置されているので、前方ローラー41や後方ローラー43が衝突した際の衝撃を緩和することができる。
上記前方側緩衝材93、93、及び、後方側緩衝材97、97は、例えば低反発のゴム製であるので、簡単な構成で高い緩衝効果を得ることができる。
【0054】
また、アクチュエーター1には一つの上記サポート部材81が設置されているので、その構成も簡単である。
【0055】
次に、
図11を参照しながら、本発明の第2の実施の形態について説明する。
図11に示すように、この第2の実施の形態によるアクチュエーター201には、前記した第1の実施の形態によるアクチュエーター1とほぼ同様の構成であるが、サポート部材81とサポート部材用ベース49の間に、別の弾性手段としてコイルバネ203、203が張置されている。
【0056】
この第2の実施の形態の場合も、前記した第1の実施の形態と同様の作用と効果を奏する他、上記コイルバネ203、203によって上記サポート部材81を確実に復帰させることができる。
なお、前記第1の実施の形態の場合と共通する構成には同一符号を付して示しその説明を省略する。
【0057】
次に、
図12を参照しながら、本発明の第3の実施の形態について説明する。
図12に示すように、アクチュエーター301は、前記した第1の実施の形態によるアクチュエーター1とほぼ同様の構成であるが、中間ベース部材63とサポート部材用ベース49の間に、弾性手段としてコイルバネ303が張置されており、上記中間ベース部材63とサポート部材81との間に、別の弾性手段としてコイルバネ305が張置されている。このような構成により、上記中間ベース部材63は上記コイルバネ303によってサポート部材用ベース49に対してボールねじ軸9側(
図12中上側)に押圧され、上記サポート部材81は、上記中間ベース部材63と上記コイルバネ305を介して間接的に上記サポート部材用ベース49に対してボールねじ軸9側(
図12中上側)に押圧されている。
また、上記サポート部材81の反ボールねじ軸9側(
図12中下側)の面にはサポート部材用緩衝材307が設置されている。
【0058】
この第3の実施の形態の場合も、前記した第1の実施の形態と同様の作用と効果を奏する他、上記コイルバネ303、305によって上記サポート部材81と上記中間ベース部材63を確実に復帰させることができる。
また、上記サポート部材用緩衝材307によって、上記サポート部材81が上記中間ベース部材63に衝突する際の衝撃を緩和することができる。
なお、前記第1の実施の形態の場合と共通する構成には同一符号を付して示しその説明を省略する。
【0059】
なお、本発明は前記第1から第3の実施の形態に限定されない。
まず、サポート部材に離間規制部材が設置され、中間ベース部材側に離間規制部材が係合される中間ベース部材用係合凹部が設けられる場合も考えられる。
また、前記第1から第3の実施の形態の場合にはボールねじ軸サポート構造を1個設けた場合を説明したが、それに限定されるものではなく、2個以上設ける場合も考えられる。
また、受け部材の材質は、POMの他に含油焼結材料等摺動性が良好な様々な場合が考えられる。
また、緩衝材の材質は、フェルトの他、低反発のゴム、その他の布、ゴム、樹脂、ゲル状材料、スポンジ等の多孔質材料等様々な場合が考えられる。
また、ローラーの材質は、金属の他、樹脂、ゴム、含油焼結材料等様々な場合が考えられる。
また、スライダーの下面側にサポート部の摺動部と摺動される滑り性の良い部材を設置することも考えられる。
また、サポート部材用ベースをアクチュエーターのベースと一体とし、中間ベース部材用案内部材を直接ベースに固着することもできる。
その他、図示した構成はあくまで一例である。
【産業上の利用可能性】
【0060】
本発明は、ボールねじ軸サポート構造とアクチュエーターに係り、特に、ボールねじ軸を支持するサポート部材の強度や剛性を確保しつつアクチュエーターを小型化できるように工夫したものに関し、例えば、産業用ロボットに好適である。
【符号の説明】
【0061】
1 アクチュエーター
3 ベース
9 ボールねじ軸
25 ボールねじナット
47 ボールねじサポート構造
59 中間ベース部材用案内部材
63 中間ベース部材
69 中間ベース部材用緩衝材
71 サポート部材用案内部材
81 サポート部材
89 コイルバネ(弾性手段)
125 離間規制部材
127 中間ベース部材収容凹部
201 アクチュエーター
203 コイルバネ(別の弾性手段)
301 アクチュエーター
303 コイルバネ(弾性手段)
305 コイルバネ(別の弾性手段)
307 サポート部材用緩衝材