(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024093254
(43)【公開日】2024-07-09
(54)【発明の名称】可撓管の梱包体及び梱包体からの可撓管の引き出し方法
(51)【国際特許分類】
B65D 85/671 20060101AFI20240702BHJP
B65D 33/00 20060101ALI20240702BHJP
【FI】
B65D85/671
B65D33/00 A
B65D33/00 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022209506
(22)【出願日】2022-12-27
(71)【出願人】
【識別番号】000002174
【氏名又は名称】積水化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003340
【氏名又は名称】弁理士法人湧泉特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】金平 豊
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼橋 孝輔
(72)【発明者】
【氏名】湯川 雅己
【テーマコード(参考)】
3E037
3E064
【Fターム(参考)】
3E037AA01
3E037BA09
3E037BB14
3E037BC01
3E037CA06
3E064AA01
3E064BA22
3E064BC18
3E064EA12
3E064EA30
3E064FA01
3E064GA04
3E064HA06
3E064HB03
3E064HM03
3E064HP02
(57)【要約】
【課題】 梱包体から可撓管を引き出す際に可撓管を傷つけないようにする。
【解決手段】
梱包体1は、可撓管11を巻回してなる巻回体10と、巻回体10を拘束する樹脂製の拘束バンド20と、巻回体10を収容する袋30と、を備えている。拘束バンド20は、その両端部21,22が融着されており、これら両端部のうち巻回体10に面する端部22は、融着部25から延出され把持可能な掴み代22aを有している。袋30は表示部37を有している。この表示部37には、拘束バンド20の融着部25を含む部位を裏返し掴み代22aを引っ張ることにより融着部25を剥がして巻回体10の拘束を解除する方法が表示されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
可撓管を巻回してなる巻回体と、前記巻回体を巻いて拘束する樹脂製の拘束バンドと、前記巻回体を収容する袋と、を備えた可撓管の梱包体において、
前記拘束バンドは、その両端部が融着されており、前記両端部のうち少なくとも一方の端部は、融着部から延出され把持可能な掴み代を有することを特徴とする可撓管の梱包体。
【請求項2】
前記掴み代が、前記拘束バンドの両端部のうち前記巻回体に面する端部に形成されており、前記袋は表示部を有し、この表示部には、前記拘束バンドの前記融着部を含む部位を裏返し前記掴み代を反る方向に引っ張ることにより前記融着部を剥がして前記巻回体の拘束を解除する方法またはこの方法へのアクセス手段が表示されていることを特徴とする請求項1に記載の可撓管の梱包体。
【請求項3】
前記袋には、前記巻回体の径方向内側において前記巻回体に沿って半周以上にわたり脆弱部が形成され、この脆弱部の破断により、前記袋が前記巻回体の径方向内側において開封されるようになっていることを特徴とする請求項1または2に記載の可撓管の梱包体。
【請求項4】
前記袋は中央部に穴を有する2枚のシート部を有し、前記2枚のシート部の穴の周縁を融着することにより、前記袋は周囲部が閉じられた開口を有し、前記開口の前記周囲部の径方向外側に前記巻回体が配置されており、
前記脆弱部が、前記開口の融着部の近傍において、前記2枚のシート部のうちの少なくとも一方に形成されていることを特徴とする請求項3に記載の可撓管の梱包体。
【請求項5】
前記脆弱部が、ミシン目により形成されるか、または前記2枚のシートを小穴の周囲で融着してなる穴状融着部を、間隔をおいて線状に多数連ねることにより形成されていることを特徴とする請求項4に記載の可撓管の梱包体。
【請求項6】
前記袋は2枚のシート部を有し、前記2枚のシート部のうち少なくとも一方は、前記拘束バンドの前記融着部を外部から視認できるような可視光線透過率を有していることを特徴とする請求項1または2に記載の可撓管の梱包体。
【請求項7】
請求項1に記載の梱包体から可撓管を引き出す方法であって、
前記袋の前記巻回体の径方向内側を開封する工程と、
前記拘束バンドの前記掴み代を掴んで反る方向に引っ張り前記融着部を剥がすことにより、前記巻回体の拘束を解除する工程と、
前記袋の開封部から拘束を解除された前記可撓管を必要長さだけ引き出す工程と、
を備えたことを特徴とする梱包体からの可撓管の引き出し方法。
【請求項8】
前記掴み代が前記拘束バンドの両端部のうち、前記巻回体に面する端部に形成されており、
前記巻回体の拘束を解除する工程において、前記拘束バンドの前記融着部を含む部位を裏返して前記掴み代を引っ張ることにより前記融着部を剥がすことを特徴とする請求項7に記載の梱包体からの可撓管の引き出し方法。
【請求項9】
前記袋には、前記巻回体の径方向内側において前記巻回体の周方向に沿って少なくとも半周にわたり、脆弱部が形成されており、
前記袋の開封工程において、前記脆弱部に外力を付与して破断することを特徴とする請求項7または8に記載の梱包体からの可撓管の引き出し方法。
【請求項10】
前記袋は2枚のシート部を有し、前記2枚のシート部のうち少なくとも一方のシート部は、前記拘束バンドの融着部を外部から視認できるような可視光線透過率を有しており、
前記巻回体の拘束を解除する工程において、前記一方のシート部の外側から前記一方のシート部を介して前記拘束バンドの前記融着部を剥がすことを特徴とする請求項7または8に記載の梱包体からの可撓管の引き出し方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、可撓管を収容した梱包体、及びこの梱包体から可撓管を引き出す方法に関する。
【0002】
例えば給水給湯に用いられる長尺の可撓管は、効率良く保管、搬送するために複数の環状の巻き部分を有するように巻回される。この巻回体は、安定して搬送するために樹脂製の拘束バンドにより拘束され、さらに搬送中に埃等の付着を防ぐために袋に梱包される。
【0003】
特許文献1に開示された梱包体の袋には、巻回体の径方向内側に例えば円形のマークが付されている。施工現場では、カッターナイフ等の切断工具により上記マークに沿って袋に半円以上の円弧形状または円形の切込みを入れ、袋を巻回体の径方向内側で開封する。次に、切断工具により拘束バンドを切断して巻回体の拘束を解除する。次に、拘束を解除された巻回体から、可撓管を袋の開封部を介して必要長さ分引き出して切断する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述のように巻回体の拘束を解除する際、可撓管の近傍で切断工具により拘束バンドを切断するため、誤って可撓管を傷つけるおそれがあった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するため、本発明は、可撓管を巻回してなる巻回体と、前記巻回体を巻いて拘束する樹脂製の拘束バンドと、前記巻回体を収容する袋と、を備えた可撓管の梱包体において、前記拘束バンドは、その両端部が融着されており、前記両端部のうち少なくとも一方の端部は、融着部から延出され把持可能な掴み代を有することを特徴とする。
この構成によれば、手指で拘束バンドの掴み代を掴んで引っ張ることにより融着部を剥がすことができる。そのため、切断工具を使わずに済み、切断工具により可撓管を傷つける可能性を排除することができる。
【0007】
特に、前記掴み代が前記拘束バンドの両端部のうち、前記巻回体に面する端部に形成されている場合には、前記袋は表示部を有し、この表示部には、前記拘束バンドの前記融着部を含む部位を裏返し前記掴み代を反る方向に引っ張ることにより前記融着部を剥がして前記巻回体の拘束を解除する方法またはこの方法へのアクセス手段が表示されている。
この構成によれば、梱包体から可撓管を引き出す作業者に、切断工具を用いずに拘束バンドの裏側に隠れて見えない掴み代を掴んで巻回体の拘束を解除することを促すことができる。
【0008】
好ましくは、前記袋には、前記巻回体の径方向内側において前記巻回体に沿って半周以上にわたり脆弱部が形成され、この脆弱部の破断により、前記袋が前記巻回体の径方向内側において開封されるようになっている。
この構成によれば、切断工具を使わずに手で袋を開封することができるので、袋の開封の際にも切断工具による可撓管の損傷の可能性を排除することができる。
【0009】
さらに好ましくは、前記袋は中央部に穴を有する2枚のシート部を有し、前記2枚のシート部の穴の周縁を融着することにより、前記袋は周囲部が閉じられた開口を有し、前記開口の前記周囲部の径方向外側に前記巻回体が配置されており、前記脆弱部が、前記開口の融着部の近傍において、前記2枚のシート部のうちの少なくとも一方に形成されている。
この構成によれば、袋が開口を有しているので、梱包体を肩にかけて持ち運びすることができる。また、脆弱部を手で破断して袋を開封することができる。
好ましくは、前記脆弱部は、ミシン目により形成されるか、または前記2枚のシートを小穴の周囲で融着してなる穴状融着部を、間隔をおいて線状に多数連ねることにより形成されている。
【0010】
好ましくは、前記袋は2枚のシート部を有し、前記2枚のシート部のうち少なくとも一方は、前記拘束バンドの前記融着部を外部から視認できるような可視光線透過率を有している。
この構成によれば、袋の外側から融着部を視認でき、拘束バンドによる巻回体の拘束を解除する作業を円滑に行うことができる。
【0011】
本発明の他の態様は、前記梱包体から可撓管を引き出す方法であって、前記袋の前記巻回体の径方向内側を開封する工程と、前記拘束バンドの前記掴み代を掴んで反る方向に引っ張り前記融着部を剥がすことにより、前記巻回体の拘束を解除する工程と、前記袋の開封部から拘束を解除された前記可撓管を必要長さだけ引き出す工程と、を備えたことを特徴とする。
特に、前記掴み代が前記拘束バンドの両端部のうち、前記巻回体に面する端部にのみ形成されている場合には、前記巻回体の拘束を解除する工程において、前記拘束バンドの前記融着部を含む部位を裏返して前記掴み代を反る方向に引っ張ることにより前記融着部を剥がす。この時点では、全て剥がれてしまわない場合もあるが大方が剥がれているので、あとは裏返しのままでも、元に戻してもどちらでもよいが、融着部を挟んだ拘束側のバンドの両側をそれぞれ左右の手でつかみ、引っ張ることで容易に融着を引きちぎることができる。
【0012】
好ましくは、前記袋には、前記巻回体の径方向内側において前記巻回体の周方向に沿って少なくとも半周にわたり、脆弱部が形成されており、前記袋の開封工程において、前記脆弱部に外力を付与して破断する。
【0013】
前記袋が2枚のシート部を有し、前記2枚のシート部のうち少なくとも一方のシート部が、前記拘束バンドの融着部を外部から視認できるような可視光線透過率を有している場合には、前記巻回体の拘束を解除する工程において、前記一方のシート部の外側から前記一方のシート部を介して前記拘束バンドの前記融着部を剥がすことができ、作業性をより一層高めることができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、切断工具を用いずに拘束バンドによる可撓管の巻回体の拘束を解除でき、この拘束解除の際に可撓管を傷つける可能性を排除することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の一実施形態に係る梱包体を示す上面図である。
【
図2B】袋を開封するとともに拘束バンドによる巻回体の拘束を解除した状態を示す
図2A相当図である。
【
図2C】開封した袋から可撓管を取り出している状態を示す
図2A相当図である。
【
図3A】巻回体を束ねる拘束バンドの要部拡大断面図である。
【
図3B】同拘束バンドの融着部を剥がして巻回体の拘束を解除する工程を示す
図3A相当図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の一実施形態を、図面を参照しながら説明する。
<可撓管の梱包体の構成>
図1、
図2Aに示すように、梱包体1は、巻回体10と樹脂製の拘束バンド20と樹脂製の袋30とを備えている。
【0017】
巻回体10は、長尺の可撓管11を複数回環状に巻回することにより構成されている。可撓管11は例えば給水、給湯用であり、架橋ポリエチレン(PE-X)、ポリエチレン(PE)、高耐熱ポリエチレン(PE-RT)、ポリブテン、ポリプロピレン(PP)その他の合成樹脂からなる。また、ポリエチレン層を表皮に有した架橋ポリエチレン管(JISK6769のE種)であってもよく、金属強化多層構造などの金属を含む複合樹脂管であってもよい。さらに、上述の材質により形成された本管に、波形管(コルゲート管)やエラストマー被覆、筒状被覆管、発泡ポリエチレン管等を被覆することにより、可撓管11を形成してもよい、
【0018】
拘束バンド20は例えばPP(ポリプロピレン)からなり、巻回体10の周方向にほぼ等間隔で複数個所例えば4箇所に配置されている。拘束バンド20は可撓管11の複数の巻き部分を束ねるようにして囲み、
図3Aに示すようにその両端部21,22を半自動融着機等で融着することにより、巻回体10を拘束する。
図3Aにおいて融着部25の領域を符号Wで示す。本実施形態では、表側(巻回体10の反対側)の端部21は、その先端縁から上記領域Wにわたって融着部25となっている。これに対して裏側(巻回体10に面する側)の端部22は、先端縁から所定長さにわたって融着されず、この部分は融着部25から延出した掴み代22aとして提供される。
【0019】
拘束バンド20の幅は、後述するように確実に手指で掴めるように10mm以上とするのが好ましく、さらに15.5mm以下とするのが好ましい。本実施形態では12mm幅の拘束バンド20が用いられている。
【0020】
図1、
図2Aに示すように、袋30は、本実施形態では2枚の正方形の独立したシート部31,32からなり、その外周部が融着されて閉じられている。この融着部を図において符号33で示す。
【0021】
袋30のシート部31,32は例えばポリエチレン製であり、透明(無色または有色)または半透明であり、収容された拘束バンド20の融着部25を外部から視認できる可視光線透過率を有するのが好ましい。具体的には、視認性を得るためには可視光線透過率13.2%以上必要である。例えば、可視光線透過率32.9%、紫外線遮断率83.8%の青味がかった透明ポリエチレン、可視光線透過率66.7%、紫外線遮断率83.4%のややくすんだ透明ポリエチレン等が用いられる。
なお、融着部25は巻回体10の一方側に偏在しているため、シート部31,32のうち融着部25に面するシート部のみを、融着部25を視認可能なシート材で形成し、他方を不透明なシート材で形成してもよい。
【0022】
さらに、両方のシート部31,32を、拘束バンド20の融着部25を外部から視認しづらいシート材、例えば乳白色のポリエチレン製(可視光線透過率3.8%、紫外線遮断率100%)のシート材で形成してもよい。
【0023】
後述する巻回体10の拘束解除工程において袋30の外部からの作業を伴う場合には、その作業を円滑に行うために、袋30の肉厚を0.07mm~0.2mmとするのが好ましい。本実施形態では袋30の肉厚は0.07mm、または0.10mmである。
【0024】
シート部31,32の中央には円形の穴が形成されており、この穴の周縁が融着されている。この融着部を符号34で示す。袋30は、融着部34により画成された開口35を有している。開口35の周囲部は融着部34により閉じられている。巻回体10は、袋30の外周部(融着部33)と開口部35の周囲部(融着部34)の間の内部空間に収容されている。
【0025】
シート部31,32には、融着部34の近傍において、融着部34に沿って円形のミシン目36(脆弱部)が形成されている。このミシン目36は半周以上の円弧であってもよい。
【0026】
図1に示すように、袋30は表示部37を有している。この表示部37には後述するように少なくとも巻回体10の拘束解除方法が記載(印字)されている。
【0027】
梱包体1は工場で生産され、配管の施工現場に搬送される。この搬送の過程で、可撓管11の巻回体10が袋30内に梱包されているので、埃等の付着を回避することができる。また、巻回体10は拘束バンド20により拘束されているので、可撓管11がバラつかず安定した搬送が可能である。袋30が開口35を有しているので、作業者は片手を開口35に入れ梱包体1を肩にかけて持ち運びすることができる。
【0028】
<梱包体からの可撓管の引き出し方法>
配管施工現場において、下記の工程を実行する。
第1の工程(袋30の開封工程)
袋30の開口35の周囲部の融着部35を内方向に引っ張ることにより、ミシン目36が破断される。これにより
図2Bに示すように、融着部34を含む環状部39がカットゴミとして除去され、開口35の周囲部すなわち巻回体10の径方向内側が開封される。この開封部を符号38で示す。
なお、図では、両シート部31,32のミシン目36でカットし、カットゴミ39が出ているが、片側のシート部にだけミシン目を形成しておき、このミシン目を破断すれば、カットゴミ39を出さないことが可能である。さらに、ミシン目の穴開け針を高温にしておけば、脆弱部として、小穴の周囲においてシート部31,32が融着した穴状融着部を、線状に多数連ねて形成することができ、ミシン目と同時に融着ができるので好適である。
このようにカッターナイフ等の切断工具を用いず、作業者の手で袋30を開封できるので、切断工具による可撓管11の損傷の可能性を排除できる。
【0029】
第2の工程(巻回体10の拘束解除工程)
次に、
図3Aに矢印で示すように拘束バンド20の融着部25を含む部位を裏返し、これにより、
図3Bに示すように掴み代22aを表側(巻回体10の反対側)に露出させる。次に、一方の手で掴み代22aを掴み他方の手で拘束バンド20を掴んだ状態で、掴み代22aを矢印で示すように融着部25に向けて融着部25から反る方向に引くことにより、両端部21,22の融着部25を剥がすことができる。なお、上記掴み代22aを掴んで融着部25を剥がす際に、薄皮が両端部21,22間に残ることもあるが、これは手で簡単にちぎることができる。このようにして拘束バンド20による巻回体10の拘束が解除される。
このように、カッターナイフ等の切断工具を用いず、作業者の手で巻回体10の拘束を解除できるので、切断工具による可撓管11の損傷の可能性を排除できる。
【0030】
本実施形態では拘束バンド20の掴み代22aが裏側に隠れて見えないので、作業者は拘束バンド20の拘束を手で解除できることに気づかず手持ちの切断工具を用いてしまう可能性がある。しかし、袋30の表示部37には、少なくとも第2の工程の手順が表示されている。例えば「拘束バンドの拘束解除の際には切断工具を用いず、拘束バンドの融着部を含む部位を裏返し、融着部近傍の掴み代を手で掴んで引っ張ることにより融着部を剥がす」と表示されている。そのため、作業者は切断工具を用いずに拘束バンド20による巻回体10の拘束を解除できることに気づき、表示通りに作業することができる。その結果、作業者が不用意に切断工具を用いることがなく、可撓管11が傷つけられるのを確実に防止できる。
【0031】
なお、表示部37には上述した文字の代わりにイラストや写真で拘束解除の方法を表示してもよい。また、拘束解除の方法(文字、イラスト、写真等)をインターネットのサイトに公開し、表示部37にはこのサイトへのアクセス手段として例えば二次元バーコードやURLを表示してもよい。表示部37には上述した第1の工程や後述の第3の工程も一緒に表示してもよい。さらに、商品名やサイズ・品番と同じエリアに記載して見逃しを避ける工夫をしても良いし、フォントサイズを上げて強調したり、敢えて紙に記載して貼り付けたり、袋にパターン化して印字し、複数個所で確認できる様にしても良い。
【0032】
上記拘束解除工程において、袋30が透明でない場合には、袋30の開封部38から覗くことにより拘束バンド20の位置および融着部25の位置を確認しながら拘束解除工程を実行することができる。袋30が透明であれば、袋30を介して拘束バンド20の位置および融着部25の位置を確認することができる。
【0033】
上記拘束解除工程において、一方の手を袋30の開放部38から袋30内に挿入し、当該他方の手を袋30の外に出し当該他方の手で袋30を介して拘束バンド20を掴むと、作業を円滑に行える。前述したように袋30の肉厚は0.07~0.20mmと十分に薄いので、袋30を介して拘束バンド20を簡単に掴むことができる。
【0034】
袋30の2枚のシート部31,32のうち、少なくとも融着部25が配置されている側のシート部が透明であれば、両方の手を袋30の外側に配置させた状態で、一方の手で袋30を介して掴み代22aを掴み、他方の手で袋30を介して拘束バンド20を掴んで、融着部25を剥がすこともでき、作業性をより一層向上させることができる。
【0035】
なお、上述したように袋30の外から両手で拘束バンド20による巻回体10の拘束を解除することができる場合には、第1の工程(袋30の開封工程)と第2の工程(巻回体10の拘束解除工程)の順序を逆にすることもできる。
【0036】
第3の工程(可撓管の引き出し工程)
上記のようにして袋30が開封され拘束バンド20による巻回体10の拘束が解除された後、可撓管11の一端部を掴んで、開封部38から必要な長さ分引き出し、切断する。残りの可撓管11は巻回状態のまま袋30内に残される。
【0037】
<他の実施形態>
上記実施形態では2枚のシート部31,32の中央部に穴が形成され、この穴の周縁が融着されているが、これら穴、融着部を形成せずに、巻回体10の径方向内側に巻回体10に沿って半円以上の円弧または円形のミシン目(脆弱部)を形成するだけでもよい。この場合には、ミシン目に力を加えることにより破断して開封部を形成する。
また、上記シート部にミシン目を形成せず、施工現場で切断工具を使って巻回体の径方向内側のシート部に切込みを入れて開封部を形成してもよい。
【0038】
本発明は、前記実施形態に限らず、その趣旨を逸脱しない範囲内において種々の形態を採用できる。例えば、ミシン目等の脆弱部は一方のシート部のみに形成してもよいし、内径の脆弱部は連続シールではなく、針状または細い棒状の高温体で2枚のシートを貫き、針または棒穴の周囲を融着する方法であっても良い。
掴み代は拘束バンドの両端部または表側の端部にのみ形成されていてもよい。この場合には、拘束バンドを裏返さずに掴み代を掴んで融着部を剥がすことができる。なお、この場合には、表示部において、拘束バンドを裏返す旨の記述又は表現を省き、掴み代を掴んで融着部を剥がす旨の記述又は表現だけを表示する。
袋は所定長さに切断された筒体を用いて形成してもよい。この場合、2枚のシート部の一対の縁部が連なっており、他の一対の縁部が融着される。さらに、一対の縁部の一方のみ融着し、もう一方をテープ等で止めて巻回体が袋から出ない様に封をしても良い。
【産業上の利用可能性】
【0039】
本発明は、例えば給水給湯用の可撓管の梱包体に適用できる。
【符号の説明】
【0040】
1 梱包体
10 巻回体
11 可撓管
20 拘束バンド
21,22 拘束バンドの端部
22a 掴み代
25 融着部
30 袋
31,32 シート部
34 融着部
35 開口
36 ミシン目(脆弱部)
37 表示部
38 開封部