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  • 特開-浮体の漏れ検出装置 図1
  • 特開-浮体の漏れ検出装置 図2
  • 特開-浮体の漏れ検出装置 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024093259
(43)【公開日】2024-07-09
(54)【発明の名称】浮体の漏れ検出装置
(51)【国際特許分類】
   G01M 3/20 20060101AFI20240702BHJP
【FI】
G01M3/20 R
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022209517
(22)【出願日】2022-12-27
(71)【出願人】
【識別番号】000116574
【氏名又は名称】愛三工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000394
【氏名又は名称】弁理士法人岡田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】宮部 善和
(72)【発明者】
【氏名】小野林 稔
(72)【発明者】
【氏名】堤 英紀
【テーマコード(参考)】
2G067
【Fターム(参考)】
2G067AA48
2G067BB11
2G067BB15
2G067BB22
2G067CC01
2G067CC11
2G067CC16
2G067DD10
2G067DD26
(57)【要約】
【課題】水域に浮上される浮体槽と、浮体槽内に収容された内容物と、を備える浮体における浮体槽からの内容物の漏れを検出する。
【解決手段】水上干潟10は、海域30に浮上される干潟槽12と、干潟槽12内に収容された湿泥14と、を備える。漏れ検出装置40は、湿泥14に混合された磁性粉42と、干潟槽12の周辺の海域30において磁性粉42を検出可能なホールセンサ44と、ホールセンサ44による検出結果に基づいて磁性粉42の漏れ判定を行う制御装置46と、を備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水域に浮上される浮体槽と、該浮体槽内に収容された内容物と、を備える浮体の漏れ検出装置であって、
前記内容物に混合されたトレーサ物質と、
前記浮体槽の周辺の水域において前記トレーサ物質を検出可能な検出手段と、
前記検出手段による検出結果に基づいて前記トレーサ物質の漏れ判定を行う制御装置と、
を備えた浮体の漏れ検出装置。
【請求項2】
請求項1に記載の浮体の漏れ検出装置であって、
前記内容物は湿泥であり、
前記トレーサ物質は磁性粉であり、
前記検出手段は、前記磁性粉を検出するホールセンサである、浮体の漏れ検出装置。
【請求項3】
請求項1に記載の浮体の漏れ検出装置であって、
前記内容物は湿泥であり、
前記トレーサ物質は蛍光剤であり、
前記検出手段は、紫外線を照射する紫外線照射装置と、前記紫外線を受けた前記蛍光剤から発光される蛍光を受光する受光装置と、
を備える、浮体の漏れ検出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に開示の技術は浮体の漏れ検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、浮遊油検出装置を備えた船(浮体)が記載されている。この浮遊油検出装置は、船(浮体)に備えた水銀灯と、水銀灯から投射された紫外線により油から発光する蛍光の輝度を測定する輝度測定器と、を備える。夜間において、水銀灯から海面に紫外線を投射し、海面に浮遊する浮遊油から発光する蛍光の輝度を輝度測定器により測定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開昭56-30194号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の浮遊油検出装置は、海面の浮遊油を検出するものである。このため、船(浮体)の内容物が油の場合、油の漏れを検出することができる。しかし、油以外の内容物の場合、内容物の漏れを検出することができない。また、内容物にトレーサ物質として油を混合することも考えられるが、内容物の汚染、漏れた油による海域の汚染等が懸念されるため好ましくない。
【0005】
本明細書に開示の技術が解決しようとする課題は、水域に浮上される浮体槽と、浮体槽内に収容された内容物と、を備える浮体における浮体槽からの内容物の漏れを検出することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本明細書が開示する技術は次の手段をとる。
【0007】
第1の手段は、水域に浮上される浮体槽と、該浮体槽内に収容された内容物と、を備える浮体の漏れ検出装置であって、前記内容物に混合されたトレーサ物質と、前記浮体槽の周辺の水域において前記トレーサ物質を検出可能な検出手段と、前記検出手段による検出結果に基づいて前記トレーサ物質の漏れ判定を行う制御装置と、を備えた浮体の漏れ検出装置である。
【0008】
第1の手段によると、水域に浮上される浮体槽内には、トレーサ物質が混合された内容物が収容される。制御装置は、浮体槽の周辺の水域において検出手段による検出結果に基づいて、制御装置がトレーサ物質の漏れの判定を行う。仮に、浮体槽から内容物が水域に漏れた場合、内容物に混合されたトレーサ物質が検出手段により検出される結果、制御装置が漏れ有りと判定する。これにより、浮体における浮体槽からの内容物の漏れを検出することができる。
【0009】
第2の手段は、第1の手段の浮体の漏れ検出装置であって、前記内容物は湿泥であり、前記トレーサ物質は磁性粉であり、前記検出手段は、前記磁性粉を検出するホールセンサである、浮体の漏れ検出装置である。
【0010】
第2の手段によると、浮体槽内には、磁性粉が混合された湿泥が収容される。仮に、浮体槽から湿泥が水域に漏れた場合、湿泥に混合された磁性粉がホールセンサにより検出される結果、制御装置が漏れ有りと判定する。
【0011】
第3の手段は、第1の手段の浮体の漏れ検出装置であって、前記内容物は湿泥であり、前記トレーサ物質は蛍光剤であり、前記検出手段は、紫外線を照射する紫外線照射装置と、前記紫外線を受けた前記蛍光剤から発光される蛍光を受光する受光装置と、を備える、浮体の漏れ検出装置である。
【0012】
第3の手段によると、浮体槽内には、蛍光剤が混合された湿泥が収容される。仮に、浮体槽から湿泥が水域に漏れた場合、湿泥に混合された蛍光剤が、紫外線照射装置から照射された紫外線を受けて蛍光を発光し、その蛍光が受光装置により受光される結果、制御装置が蛍光剤の漏れの判定を行う。
【発明の効果】
【0013】
本明細書に開示の技術によると、水域に浮上される浮体槽と、浮体槽内に収容された内容物と、を備える浮体における浮体槽からの内容物の漏れを検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】実施形態1にかかる水上干潟を模式的に示す断面図である。
図2】漏れ検出装置を模式的に示す斜視図である。
図3】実施形態2にかかる漏れ検出装置を模式的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本明細書に開示の技術を実施するための実施形態について図面を用いて説明する。
【0016】
(実施形態1)
本実施形態では、浮体として水上干潟を例示し、その水上干潟の漏れ検出装置について説明する。
【0017】
(水上干潟)
図1は水上干潟を模式的に示す断面図である。図1において、右方が護岸方向、左方が沖方向に相当する。図1に示すように、水上干潟10は、護岸20に隣接する海域30に浮上されている。水上干潟10は、護岸20、海底等に対して、水平方向及び鉛直方向の移動を所定範囲内に拘束するチェーン、アンカー等の係留装置により係留されている。水上干潟10は、水棲生物を飼育するための干潟を再現する設備である。海域30は本明細書でいう「水域」に相当する。
【0018】
水上干潟10は、干潟槽12と湿泥14とを備えている。干潟槽12は、上面を開口する四角形箱状に形成されている。湿泥14は干潟槽12内に層状に堆積されている。湿泥14は水を含む泥である。湿泥14の表面(上面)は、干潟槽12の波浪を受ける沖側(図1において左側)から護岸側(同、右側)に向けて徐々に高くなるスロープ状に形成されている。湿泥14の一部は、海水からなる槽内水15で覆われている。槽内水15の水量が給排水装置によって増減されることにより、潮の干満が人工的に形成される。干潟槽12は本明細書でいう「浮体槽」に相当する。湿泥14は本明細書でいう「内容物」に相当する。
【0019】
(水上干潟10の背景)
近年、減少してきた干潟の環境の重要性が見直され、本来の干潟環境を取り戻したい実情がある。そこで、海域の護岸付近に泥を埋め立てることで人工干潟を形成することが考えられる。しかし、海域の護岸付近には泥が堆積しにくく、また、埋め立てた泥が波、風雨等により海域に持ち去られやすいため、人工干潟の環境を長期に亘って維持することが困難である。このため、海域の護岸付近に、水上式の人工干潟いわゆる水上干潟を設置することが得策と考えられる。
【0020】
水上干潟10を実現するには、湿泥14を保持する干潟槽12が必要であるが、干潟槽12に穴やひび割れ等の破損が発生すると、その破損個所から湿泥14が海域30に漏れることにより海域30の汚染を招くことになる。また、水上干潟10の干潟環境を長期に亘って維持することができない。そこで、水上干潟10からの湿泥14の漏れを検出する漏れ検出装置が必要となる。漏れ検出装置により湿泥14の漏れが検出された際には、干潟槽12の破損個所を修理することによって、湿泥14による海域30の汚染を抑制すると共に、水上干潟10の干潟環境を長期に亘って維持することが可能となる。
【0021】
(水上干潟10の漏れ検出装置)
図2は漏れ検出装置を模式的に示す斜視図である。図2に示すように、漏れ検出装置40は、磁性粉42、ホールセンサ44及び制御装置46等を備えている。図2において、制御装置46と電気機器及び電子機器等との電気的な接続は省略されている。
【0022】
磁性粉42は、水上干潟10の湿泥14に混合されている。磁性粉42は、例えばフェライト系磁性粉である。磁性粉42は本明細書でいう「トレーサ物質」に相当する。
【0023】
ホールセンサ44は、スクリュ等を備える水中ドローン50に備えられている。ホールセンサ44は防水ケース等に収容されている。ホールセンサ44は、ホール効果を利用して磁性粉42の磁場により発生する電圧値の変動を検出する。ホールセンサ44の検出信号は、無線通信システムあるいは有線通信システムを介して制御装置46に入力される。ホールセンサ44の電源は、水中ドローン50の電源を用いてもよいし、センサ用の電源を用いてもよい。ホールセンサ44は本明細書でいう「検出手段」に相当する。
【0024】
水中ドローン50が備える複数の電動モータ、各種センサ等は、無線通信システムあるいは有線通信システムを介して制御装置46と連係されている。制御装置46は、水上干潟10の近くの海域30に浮上する浮上構造体54に設けられている。制御装置46による遠隔操作により、水中ドローン50が干潟槽12の周辺(詳しくは、干潟槽12の周囲及び下方)の海域30の水中を自由自在に移動可能である。
【0025】
浮上構造体54には、制御装置46の他、巻取装置56及び発電装置58等が設けられている。巻取装置56は、ワイヤ、チェーン等の索条57を電動モータを介して巻き取り及び巻き戻し可能に構成されている。索条57の先端部は水中ドローン50と接続されている。索条57の長さは、制御装置46による巻取装置56の駆動制御により、水中ドローン50の移動量に応じて増減される。
【0026】
発電装置58は、巻取装置56及び制御装置46の電源である。発電装置58は、例えば、太陽光パネル、風力、波力等による発電設備からなる。また、発電装置58により発電した電力を電池に蓄えておき、その電池から電力を各装置に供給してもよい。なお、制御装置46、巻取装置56及び発電装置58等は陸上に配置してもよい。
【0027】
制御装置46は、プロセッサ、メモリ、入出力インターフェース、およびこれらを接続するバス等を備えたマイクロコンピュータを含む構成のECU(Electronic Control Unit)からなる。制御装置46は、ホールセンサ44による検出信号いわゆる検出結果に基づいて、水上干潟10から湿泥14が海域30に漏れているか否かの漏れ判定を行う。
【0028】
制御装置46は、ホールセンサ44の検出信号(電圧値)を常時あるいは規定時間毎にモニターする。干潟槽12内の湿泥14に含まれる磁性粉42は、干潟槽12により海域30と絶縁されている。このため、通常時は、ホールセンサ44が磁性粉42の磁場を検出することはない。
【0029】
なお、水中ドローン50は複数台用いてもよい。また、水中ドローン50は船や潜水艇に代えてもよい。また、ホールセンサ44には3D(3軸)型のホールセンサを用いるとよい。また、ホールセンサ44は、人が手に持って水中を移動させてもよい。また、磁性粉42を検出可能であればホールセンサ44以外の磁気センサを用いてもよい。
【0030】
(漏れ検出方法)
次に、漏れ検出装置40による漏れ検出方法を説明する。なお、特段の記載が無い場合、制御装置46が各制御を行っているものとする。
【0031】
水上干潟10の周囲及び下方の水中に水中ドローン50を自由自在に移動させつつ、制御装置46がホールセンサ44による検出結果に基づいて、干潟槽12の穴あき、ひび割れ等の破損による湿泥14の漏れ判定を行う。
【0032】
仮に、干潟槽12から湿泥14が海域30に漏れた場合、湿泥14と共に漏れた磁性粉42がホールセンサ44により検出される。この場合、制御装置46は、ホールセンサ44により検出された電圧値が規定範囲内を外れる結果、湿泥14の漏れ有り、すなわち干潟槽12の穴あき、ひび割れ等の破損有りの判定を行う。この場合、制御装置46は、ユーザーへアラートを発する。ユーザーは、アラートの発生を踏まえ、干潟槽12の修理を実施する。また、ホールセンサ44により最も高い起電力を発生する箇所に対応する干潟槽12の部位を破損箇所として特定することができる。
【0033】
また、干潟槽12から湿泥14が海域30に漏れていない場合、磁性粉42がホールセンサ44により検出されない。この場合、制御装置46は、ホールセンサ44により検出された電圧値が規定範囲内に収まる結果、湿泥14の漏れ無し、すなわち干潟槽12の穴あき、ひび割れ等の破損無しの判定を行う。
【0034】
(実施形態1の作用・効果)
漏れ検出装置40によると、仮に、干潟槽12から湿泥14が海域30に漏れた場合、湿泥14に混合された磁性粉42がホールセンサ44により検出される結果、制御装置46が漏れ有りと判定する。これにより、水上干潟10における干潟槽12からの湿泥14の漏れを検出することができる。このことは、湿泥14による海域30の汚染を抑制すると共に、水上干潟10の干潟環境を長期に亘って維持することに有効である。
【0035】
[実施形態2]
実施形態2において、水上干潟10については実施形態1と同一部位に同一符号を付して重複する説明を省略する。図3は漏れ検出装置を模式的に示す断面図である。実施形態2にかかる部位には100番台の符号を付す。図3に示すように、漏れ検出装置140は、蛍光剤142、蛍光検出手段144及び制御装置146等を備えている。
【0036】
蛍光剤142は、水上干潟10の湿泥14に混合されている。蛍光剤142は、紫外線を受けて波長の長い可視光(水中でも鮮やかに光る蛍光F)を発光する。蛍光剤142は本明細書でいう「トレーサ物質」に相当する。
【0037】
蛍光検出手段144は、紫外線照射装置150とカメラ152とを備えている。蛍光検出手段144は本明細書でいう「検出手段」に相当する。
【0038】
紫外線照射装置150は紫外線UVを照射するものである。紫外線照射装置150は、干潟槽12に対して支持装置154を介して360°揺動可能に支持されている。支持装置154に内蔵された複数の電動モータの駆動制御により、紫外線照射装置150の照射方向が調整可能とされている。紫外線照射装置150及び支持装置154(詳しくは各電動モータ)は制御装置146と接続されている。
【0039】
紫外線照射装置150は、干潟槽12に複数(本実施形態では2台)備えられている。一方の紫外線照射装置150は、干潟槽12の沖側(図3において左側)の下端部に設置されている。他方の紫外線照射装置150は、干潟槽12の護岸20側(図3において右側)の側壁の上端部に設置されている。
【0040】
カメラ152は、水上干潟10の周辺の水中を撮影するものである。カメラ152は、紫外線UVを受けた蛍光剤142から発光される蛍光Fを撮影によって受光する。カメラ152が撮影(取得)した画像は、制御装置146へ電子信号として送られる。カメラ152は本明細書でいう「受光装置」に相当する。カメラ152が撮影した画像は本明細書でいう「受光結果」に相当する。
【0041】
カメラ152は、干潟槽12に対して紫外線照射装置150の支持装置154と同様の支持装置156を介して360°揺動可能に支持されている。支持装置156に内蔵された複数の電動モータの駆動制御により、カメラ152の撮影方向が調整可能とされている。カメラ152及び支持装置156(詳しくは各電動モータ)は制御装置146と接続されている。
【0042】
カメラ152は、干潟槽12に複数(本実施形態では2台)備えられている。一方のカメラ152は、干潟槽12の沖側(図3において左側)の側壁の上端部に設置されている。他方のカメラ152は、干潟槽12の護岸20側(図3において右側)の下端部に設置されている。
【0043】
例えば、沖側(図3において左側)の紫外線照射装置150が紫外線UVを護岸側(図3において右方)に照射する場合は、護岸側(図3において右側)のカメラ152が当該水中を撮影する。また、沖側の紫外線照射装置150が上方に向けられた状態(図3中、二点鎖線150参照)で紫外線UVを照射する場合は、沖側(図3において左側)のカメラ152が当該水中を撮影する。また、護岸側(図3において右側)の紫外線照射装置150が紫外線UVを下方に照射する場合は、護岸側のカメラ152が上方に向けられた状態(図3中、二点鎖線152参照)で当該水中を撮影する。
【0044】
制御装置146は、プロセッサ、メモリ、入出力インターフェース、およびこれらを接続するバス等を備えたマイクロコンピュータを含む構成のECU(Electronic Control Unit)からなる。制御装置146は干潟槽12に設けられている。制御装置146は、カメラ152が撮影した画像を取得し、その画像から水上干潟10から湿泥14が海域30に漏れているか否かの漏れ判定を行う。
【0045】
制御装置146及び電気機器等には、外部電源158から電力が供給される。外部電源158は、水上干潟10、浮上体あるいは陸上等に配置されている。外部電源158は、例えば太陽光パネル、風力、波力等による発電装置である。また、発電装置により発電した電力を電池に蓄えておき、その電池を外部電源として電力を各装置に供給してもよい。
【0046】
(漏れ検出方法)
次に、漏れ検出装置140による漏れ検出方法を説明する。なお、特段の記載が無い場合、制御装置146が各制御を行っているものとする。
【0047】
両紫外線照射装置150は、予め設定の規定時間毎に照射方向を変更しつつ水上干潟10の周辺の水中に向けて紫外線UVを照射する。それに応じて、両カメラ152は、撮影方向を変更しつつ水上干潟10の周辺の水中を撮影する。制御装置146は、カメラ152により撮影した画像に基づいて、干潟槽12の穴あき、ひび割れ等の破損による湿泥14の漏れ判定を行う。
【0048】
仮に、干潟槽12から湿泥14が海域30に漏れた場合(図3中、二点鎖線14参照)、湿泥14と共に漏れた蛍光剤142から発光された蛍光F(図3中、二点鎖線F参照)がカメラ152により撮影される。したがって、制御装置146は、カメラ152により撮影された画像から蛍光Fが検出される結果、湿泥14の漏れ有り、すなわち干潟槽12の穴あき、ひび割れ等の破損有りの判定を行う。この場合、制御装置146は、ユーザーへアラートを発する。ユーザーは、アラートの発生を踏まえ、干潟槽12の修理を実施する。また、最も多い蛍光Fを発生する箇所に対応する干潟槽12の部位を破損箇所として特定することができる。
【0049】
また、干潟槽12から湿泥14が海域30に漏れていない場合、カメラ152により蛍光Fが撮影されない。したがって、制御装置146は、カメラ152により撮影された画像から蛍光Fが検出されない結果、湿泥14の漏れ無し、すなわち干潟槽12の穴あき、ひび割れ等の破損無しの判定を行う。
【0050】
(実施形態2の作用・効果)
漏れ検出装置140によると、仮に、干潟槽12から湿泥14が海域30に漏れた場合、湿泥14に混合された蛍光剤142が、紫外線照射装置150から照射された紫外線UVを受けて蛍光Fを発光し、その蛍光Fがカメラ152により撮影(受光)される結果、制御装置146が漏れ有りと判定する。これにより、水上干潟10における干潟槽12からの湿泥14の漏れを検出することができる。このことは、湿泥14による海域30の汚染を抑制すると共に、水上干潟10の干潟環境を長期に亘って維持することに有効である。
【0051】
[他の実施形態]
本明細書に開示の技術は、前記した実施形態に限定されるものではなく、その他各種の形態で実施可能である。
【符号の説明】
【0052】
10 水上干潟(浮体)
12 干潟槽(浮体槽)
14 湿泥(内容物)
30 海域(水域)
40 漏れ検出装置
42 磁性粉(トレーサ物質)
44 ホールセンサ(検出手段)
46 制御装置
140 漏れ検出装置
142 蛍光剤(トレーサ物質)
144 蛍光検出手段(検出手段)
146 制御装置
150 紫外線照射装置
152 カメラ(受光装置)
図1
図2
図3