(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024093263
(43)【公開日】2024-07-09
(54)【発明の名称】荷受台昇降装置
(51)【国際特許分類】
B60P 1/44 20060101AFI20240702BHJP
【FI】
B60P1/44 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022209523
(22)【出願日】2022-12-27
(71)【出願人】
【識別番号】000002358
【氏名又は名称】新明和工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003801
【氏名又は名称】KEY弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】辻濱 康雄
(57)【要約】
【課題】荷受台の最上昇位置を作業者が調整するにあたって調整作業を容易に行うことができる荷受台昇降装置を提供する。
【解決手段】荷受台昇降装置10は、トラック車両の荷台1の後端両側部に立設される左右一対の支柱20と、左右一対の第1アーム40と、左右一対の第2アーム50と、第1アームの先端部側に回動可能に連結され、第1アームとの連結位置より低位置において第2アームの先端部側に回動可能に連結されたアーム間連結部材60と、アーム間連結部材に回動可能に連結された荷受台70と、荷受台70を昇降させるシリンダ80と、アーム間連結部材60と支柱20との間に介在することで、アーム間連結部材と支柱との間隔の最小値を規定する介在部26を形成するとともに、前記最小値を調整できるように、介在部26の介在寸法が調整可能に構成された荷受台最上昇位置調整手段25と、を備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両側に固定される支持部材と、
前記支持部材に対して基端部側が回動可能に連結された左右一対の第1アームと、
前記第1アームより低位置に配され、前記支持部材に対して基端部側が回動可能に連結された左右一対の第2アームと、
前記第1アームの先端部側に回動可能に連結され、前記第1アームとの連結位置より低位置において前記第2アームの先端部側に回動可能に連結された左右一対のアーム間連結部材と、
前記アーム間連結部材に回動可能に連結された荷受台と、
前記荷受台を昇降させるシリンダと、
を備え、
前記支持部材、前記第1アーム、前記第2アームおよび前記アーム間連結部材が平行リンク機構を構成し、前記シリンダが前記第1アームまたは前記第2アームを駆動することにより、前記荷受台の姿勢を保ったまま前記荷受台を昇降させることが可能な荷受台昇降装置において、
前記支持部材は、前記車両の荷台の後端両側部に立設される左右一対の支柱であり、
前記平行リンク機構は、前記荷受台が高い位置にあるほど、前記アーム間連結部材が前記支柱に接近するように構成されており、
前記アーム間連結部材と前記支柱との間に介在することで、前記アーム間連結部材と前記支柱との間隔の最小値を規定する介在部を形成するとともに、前記最小値を調整できるように、前記介在部の介在寸法が調整可能に構成された荷受台最上昇位置調整手段を更に備える、
ことを特徴とする荷受台昇降装置。
【請求項2】
請求項1に記載の荷受台昇降装置であって、
前記シリンダは、前記支柱に一端側が回動可能に連結され、前記第1アームに他端側が回動可能に連結されており、
前記荷受台最上昇位置調整手段は、前記介在部が前記アーム間連結部材の上端部近傍と前記支柱との間に形成されるように構成された、
ことを特徴とする荷受台昇降装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の荷受台昇降装置であって、
前記荷受台最上昇位置調整手段は、前記支柱および前記アーム間連結部材の一方に向かって移動可能に、前記支柱および前記アーム間連結部材の他方に螺着された雄ねじ部と、前記支柱および前記アーム間連結部材の一方と当接する当接部と、を有する当接部材を含む、ことを特徴とする荷受台昇降装置。
【請求項4】
請求項3に記載の荷受台昇降装置であって、
前記荷受台最上昇位置調整手段は、前記雄ねじ部に螺着されたナットを更に含むことを特徴とする荷受台昇降装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、荷受台昇降装置に関する。
【背景技術】
【0002】
トラック車両の後部に取り付けられて地面と荷台との間で荷受台が昇降する荷受台昇降装置として、リンク機構を構成する2本のアームを用いたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に記載の荷受台昇降装置における荷受台の最上昇位置決め調整装置では、荷台(2)の下方に設けられた当接部材(25)が上方リンク(15)の基端部に設けられた当接部(15a)に当接することで荷受台(12)の上昇が規制される。当接部材(25)は、荷台(2)の下方において車体側に固定された取付ブラケット(11)に螺着されており、ブラケット(11)に対して軸方向に位置を変えることができる。当接部材(25)が軸方向に位置を変えることで、当接部材(25)と上方リンク(15)の当接部(15a)との当接位置が移動し、そのことによって、荷受台(12)の最上昇位置が調整可能となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
荷受台(12)の最上昇位置を調整する場合、当接部材(25)が上方リンク(15)の当接部(15a)に当接する当接位置と、荷受台(12)の最上昇位置との両方を確認しながら当接部材(25)の当接位置を移動させる作業を行わなければならない。
【0006】
しかし、当接部材(25)が荷台(2)の下方に設けられていることから、荷受台(25)と当接部材(25)とが視覚的に互いに離れた位置となっており、このため、作業者は、荷受台(25)の最上昇位置と、当接部材(25)の当接位置とを交互に確認しながら、当接部材(25)を軸方向に移動させて、荷受台(25)の最上昇位置を調整する作業を行わなければならない。すなわち、調整作業が煩雑になるという問題がある。
【0007】
本発明は、上記の課題に鑑みて創案されたものであり、荷受台の最上昇位置の調整作業を容易に行うことができる荷受台昇降装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1の態様に係る荷受台昇降装置は、車両側に固定される支持部材と、前記支持部材に対して基端部側が回動可能に連結された左右一対の第1アームと、前記第1アームより低位置に配され、前記支持部材に対して基端部側が回動可能に連結された左右一対の第2アームと、前記第1アームの先端部側に回動可能に連結され、前記第1アームとの連結位置より低位置において前記第2アームの先端部側に回動可能に連結された左右一対のアーム間連結部材と、前記アーム間連結部材に回動可能に連結された荷受台と、前記荷受台を昇降させるシリンダと、を備え、前記支持部材、前記第1アーム、前記第2アームおよび前記アーム間連結部材が平行リンク機構を構成し、前記シリンダが前記第1アームまたは前記第2アームを駆動することにより、前記荷受台の姿勢を保ったまま前記荷受台を昇降させることが可能な荷受台昇降装置において、前記支持部材は、前記車両の荷台の後端両側部に立設される左右一対の支柱であり、前記平行リンク機構は、前記荷受台が高い位置にあるほど、前記アーム間連結部材が前記支柱に接近するように構成されており、前記アーム間連結部材と前記支柱との間に介在することで、前記アーム間連結部材と前記支柱との間隔の最小値を規定する介在部を形成するとともに、前記最小値を調整できるように、前記介在部の介在寸法が調整可能に構成された荷受台最上昇位置調整手段を更に備える。
【0009】
かかる構成を備える荷受台昇降装置によれば、アーム間連結部材と支柱との間に介在する介在部の介在寸法を調整することにより、荷受台の最上昇位置を調整することができる。そして、介在部も荷受台もアーム間連結部材の近傍に存在することから、作業者は、介在部の介在寸法と荷受台の高さ位置とを同時に同じ視界内で確認しながら荷受台の最上昇位置を調整することができる。その結果、当該調整作業を容易に行うことができる。
【0010】
本発明の第2の態様に係る荷受台昇降装置は、第1の態様に係る荷受台昇降装置であって、前記シリンダは、前記支柱に一端側が回動可能に連結され、前記第1アームに他端側が回動可能に連結されており、前記荷受台最上昇位置調整手段は、前記介在部が前記アーム間連結部材の上端部近傍と前記支柱との間に形成されるように構成されている。
【0011】
かかる構成を備える荷受台昇降装置によれば、荷受台最上昇位置調整手段の介在部がアーム間連結部材の上端部近傍と支柱との間に形成されるように構成されているので、例えば、介在部がアーム間連結部材の下端部近傍と支柱との間に形成されている場合に比べて、最上昇位置でのアーム間連結部材および荷受台の姿勢が乱れることを、抑制することができる。
【0012】
本発明の第3の態様に係る荷受台昇降装置は、第1の態様または第2の態様に係る荷受台昇降装置であって、前記荷受台最上昇位置調整手段は、前記支柱および前記アーム間連結部材の一方に向かって移動可能に、前記支柱および前記アーム間連結部材の他方に螺着された雄ねじ部と、前記支柱および前記アーム間連結部材の一方と当接する当接部と、を有する当接部材を含む。
【0013】
かかる構成を備える荷受台昇降装置によれば、荷受台最上昇位置調整手段が形成する介在部の介在寸法の調整を、雄ねじ部が螺着する支柱側またはアーム間連結部材側に対して雄ねじ部を回転させることにより行うことができるので、作業者が荷受台の最上昇位置を容易に調整することができる。
【0014】
本発明の第4の態様に係る荷受台昇降装置は、第3の態様に係る荷受台昇降装置であって、前記荷受台最上昇位置調整手段は、前記雄ねじ部に螺着されたナットを更に含む。
【0015】
かかる構成を備える荷受台昇降装置によれば、支柱またはアーム間連結部材に雄ねじ部が螺着している部分に対して近づくように、雄ねじ部に螺着されたナットを締め付けることで、雄ねじ部の回転を防止し、これにより、介在部の介在寸法が意図せずに増減することを防止することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、荷受台の最上昇位置の調整作業を容易に行うことができる荷受台昇降装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の実施形態に係る荷受台昇降装置の斜視図である。
【
図2】本発明の実施形態に係る荷受台昇降装置の側面図である。なお、支柱(支持部材)の内部を見せるために、高さ方向の略中間位置に破断線を入れて図示している。
【
図3】
図2のA部拡大図である。なお、荷受台最上昇位置調整手段を見せるために、アーム間連結部材の上端部近傍に破断線を入れて図示している。
【
図4】本発明の実施形態に係る荷受台昇降装置の側面図であって、荷受台が地面近傍にある状態を示す図である。
【
図5】本発明の実施形態に係る荷受台昇降装置の側面図であって、荷受台が最上昇位置にある状態を示す図である。
【
図6】本発明の実施形態に係る荷受台昇降装置の模式的な側面図であって、(a)は、荷受台最上昇位置調整手段がアーム間連結部材の下端部近傍に設けられている場合を示しており、(b)は、荷受台最上昇位置調整手段がアーム間連結部材の上端部近傍に設けられている場合を示している。
【
図7】
図2のA部拡大図に相当する図であって、本発明の変形例に係る荷受台昇降装置の荷受台最上昇位置調整手段を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態に係る荷受台昇降装置10について、図面を参照しつつ説明する。なお、本明細書において、前後上下左右の方向は、荷受台昇降装置10が取り付けられるトラック車両(不図示)を基準として定義する。
【0019】
図1および
図2に示すように、荷受台昇降装置10は、トラック車両(不図示)の荷台1に取り付けられている。荷受台昇降装置10は、支柱20、荷受台最上昇位置調整手段25、クロスメンバ30、第1アーム40、第2アーム50、アーム間連結部材60、荷受台70、シリンダ80、パワーユニット90等により構成されている。
【0020】
支柱20は、左右一対に互いに平行に配され、トラック車両の荷台1の後端両側部に立設されている。すなわち、支柱20は、トラック車両側に固定されている。支柱20は、第1アーム40および第2アーム50をそれぞれ回動可能に支持する支持部材である。支柱20は、中空になっており、上側が略四角筒状に形成され、下側が後方に開口した断面略コ字状に形成されている。
【0021】
クロスメンバ30は、左右一対の支柱20の間に架設されている。クロスメンバ30の上面は、荷台1の床面1aと、同一の平面を形成している。クロスメンバ30の前面は、支柱20の前面と、同一の平面を形成している。なお、クロスメンバ30の前面および支柱20の前面に突起物が存在しない。
【0022】
第1アーム40は、左右一対に設けられている。第1アーム40の基端部41は、支柱20の内部に配置され、左右一対の支柱20に対してそれぞれ回動可能に連結されている。具体的には、第1アーム40の基端部41と支柱20とを車幅方向に貫通する軸部材42を介して、第1アーム40の基端部41と支柱20とが互いに回動可能に連結されている。
【0023】
第2アーム50は、第1アーム40より低位置に配されている。第2アーム50は、左右一対に設けられている。第2アーム50の基端部51は、支柱20の内部に配置され、左右一対の支柱20に対してそれぞれ回動可能に連結されている。具体的には、第2アーム50の基端部51と支柱20とを車幅方向に貫通する軸部材52を介して、第2アーム50の基端部51と支柱20とが互いに回動可能に連結されている。
【0024】
左右一対の第2アーム50の間には、
図2に示すように、コネクティングパイプ55が架設されている。コネクティングパイプ55は、第2アーム50の支柱20に対する回動中心とアーム間連結部材60に対する回動中心との間の所定の位置に設けられている。
【0025】
アーム間連結部材60は、左右一対に設けられ、
図2に示すように、その上端部62側が第1アーム40の先端部43側に軸部材44を介して回動可能に連結され、第1アーム40との連結位置より低位置においてその下端部61側が第2アーム50の先端部53側に軸部材54を介して回動可能に連結されている。
【0026】
上記説明から明らかなように、支柱20、第1アーム40、第2アーム50およびアーム間連結部材60は、平行リンク機構を構成している。平行リンク機構は、
図4および
図5に示すように、荷受台70が高い位置にあるほど、アーム間連結部材60が支柱20に接近するように構成されている。
【0027】
荷受台最上昇位置調整手段25は、アーム間連結部材60と支柱20との間隔の最小値を調整することで、アーム間連結部材60および荷受台70の最上昇位置を調整する。
【0028】
荷受台最上昇位置調整手段25は、
図3に示すように、アーム間連結部材60に設けられた雌ねじ部と、雌ねじ部に螺着されたボルト27と、ボルト27に螺着された固定用ナット29とを有する。
【0029】
上記雌ねじ部は、アーム間連結部材60の前側壁60fの後面に固設された雌ねじ用ナット28によって形成されている。また、前側壁60fの雌ねじ部と同心をなす位置にボルト27を挿通するための貫通孔60fhが形成されている。
【0030】
ボルト27は、ねじ軸である雄ねじ部27aと、雄ねじ部27aの端部に設けられた頭部27bとを有する。ボルト27は、その頭部27bが支柱20の後面側に当接する当接部27bとなる当接部材27を構成している。支柱20における当接部27bが当接する部分には、支柱本体20aに固定された補強板20bが設けられている。補強板20bは、支柱20の後側壁が当接部材27の当接部27bとの衝突により損傷することを防止するために設けられている。
【0031】
当接部材27は、雄ねじ部27aが螺着する雌ねじ用ナット28に対して回転することで、支柱20に向かって軸方向に移動する。
【0032】
当接部材27は、支柱20とアーム間連結部材60との間に介在する介在部26を形成する。当接部材27は介在部26を形成することで、アーム間連結部材60と支柱20との間隔の最小値を規定する。本実施形態では、介在部26はアーム間連結部材60の上端部62近傍と支柱20との間に形成される。
【0033】
介在部26は、当接部材27における、当接部27bと、雄ねじ部27aのアーム間連結部材60から露出した部分とによって形成される。これにより、当接部材27を何れかの方向に軸回転させることで、介在部26の介在寸法Lとなる支柱20とアーム間連結部材60との間隔の最小値を調整することができる。
【0034】
荷受台70は、
図2に示すように、アーム間連結部材60に回動可能に連結されている。具体的には、荷受台70の基端部は、アーム間連結部材60の第2アーム50との連結部より低い位置においてアーム間連結部材60に回動可能に連結されている。荷受台70は、格納状態である垂直姿勢から展開状態である水平姿勢までの範囲内でアーム間連結部材60に対して回動できるように構成されている。
【0035】
このため、荷受台昇降装置10は、
図2に示すように、シリンダ80を収縮させた状態で、左右一対の支柱20に対して、左右一対のアーム間連結部材60および荷受台70を平行に近接させることができるように構成されている。
【0036】
荷受台70の側面には、係止レバー72が取り付けられている。係止レバー72は、
図2に示すように、支柱20に取り付けられた係止レバー受け部22に係合することによって、格納状態にある荷受台70を係止して、格納状態にある荷受台70が誤って展開することを防ぐ。
【0037】
また、荷受台70の側面とアーム間連結部材60の側面との間には、
図4に示すように、荷受台支持部材75が架設されている。荷受台支持部材75の両端部は、荷受台70の側面とアーム間連結部材60の側面とにそれぞれ回動可能に連結されている。荷受台支持部材75の中間部は、折れ曲がり可能となっている。これにより、荷受台支持部材75は、荷受台70が展開して水平状態となったときに、荷受台70がそれ以上回転することを防ぎ、荷受台70を支持する。荷受台70が格納状態にあるときには、荷受台支持部材75は、中間部で折れ曲がって、荷受台70と重なるように配置される。
【0038】
シリンダ80は、
図2に示すように、高さ方向に延在した状態で、支柱20の内部に配置されている。シリンダ80の上端部83は、支柱20の上端部に軸部材84を介して回動可能に連結されている。シリンダ80の下端部81は、第1アーム40の略中間部に軸部材82を介して回動可能に連結されている。シリンダ80は、第1アーム40を駆動することにより、荷受台70の姿勢を保ったまま荷受台70を昇降させる。
【0039】
シリンダ80の上端部83側と支柱20とを回動可能に連結する連結位置である軸部材84の位置は、第1アーム40の基端部41側の回動中心位置である軸部材42の位置より高い位置に設けられている。これにより、シリンダ80は、第1アーム40の上方から第1アーム40に駆動力(シリンダ推力)を付与する。
【0040】
パワーユニット90は、図示しない配管を介してシリンダ80に作動油を給排する。パワーユニット90は、
図2に示すように、クロスメンバ30の内部に設けられている。
【0041】
左右一対の支柱20の下端部の間には、バンパ部材100が架設されている。
【0042】
図2に示すように、支柱20の荷台1より下方に延出している部分と、該部分に直交する荷台1の底面とに沿ってそれぞれ接触するように、逆L字形の補強部材110が接合されている。補強部材110は、支柱20と荷台1の後端部との接合を補強する。
【0043】
支柱20の側面には、荷受台70を上昇又は下降させるために操作する操作ボタン120が設けられている。操作ボタン120が操作されると、パワーユニット90が作動し、パワーユニット90によって荷受台70が上昇又は下降する。
【0044】
次に、荷受台昇降装置10の動作を説明する。トラック車両において、荷上げ作業を行う場合、
図4に示すように、荷受台70は水平状態に展開され、シリンダ80が伸長されることにより接地状態とされる。
【0045】
作業者は、荷上げ作業を行うにあたり、荷物(不図示)を荷受台70に載せた後、操作ボタン120を操作して、シリンダ80を収縮させる。これにより、第1アーム40の先端部43は、第2アーム50の先端部53およびアーム間連結部材60とともに上昇し、アーム間連結部材60に連結された荷受台70も、水平姿勢を保ったまま荷台1の床面1a高さ近傍まで上昇する。この状態が
図5の状態である。
【0046】
なお、荷物を荷台1から荷卸しする場合には、荷受台昇降装置10は、上記と逆の動きを行う。
【0047】
次に、荷受台70の最上昇位置を調整するための手順を
図5を参照しながら説明する。
【0048】
図5において、実線で示されたアーム間連結部材60および荷受台70の位置は、荷受台最上昇位置調整手段25の介在部26の介在寸法L(
図3参照)が小さい場合のアーム間連結部材60および荷受台70の最上昇位置を示している。
図5において、二点鎖線で示されたアーム間連結部材60および荷受台70の位置は、荷受台最上昇位置調整手段25の介在部26の介在寸法Lが大きい場合のアーム間連結部材60および荷受台70の最上昇位置を示している。
【0049】
平行リンク機構は、荷受台70が高い位置にあるほど、アーム間連結部材60が支柱20に接近するように構成されているため、アーム間連結部材60と支柱20の間に介在する介在部26の介在寸法Lが相対的に小さい場合、荷受台70の最上昇位置は、
図5の実線で示すように、相対的に高い位置になる。一方、介在部26の介在寸法Lが相対的に大きい場合、荷受台70の最上昇位置は、
図5の二点鎖線で示すように、相対的に低い位置になる。
【0050】
このため、アーム間連結部材60と支柱20の間に介在する介在部26の介在寸法Lを調整することにより、荷受台70の最上昇位置を調整することができる。具体的には、当接部材27を何れかの方向に軸回転させることにより、荷受台70の最上昇位置を調整することができる。
【0051】
<作用効果>
以上に説明した本実施形態に係る荷受台昇降装置10によれば、アーム間連結部材60と支柱20との間に介在する介在部26の介在寸法Lを調整することにより、荷受台70の最上昇位置を調整することができる。そして、介在部26も荷受台70もアーム間連結部材60の近傍に存在することから、作業者は、介在部26の介在寸法Lと荷受台70の高さ位置とを同時に同じ視界内で確認しながら荷受台70の最上昇位置を調整することができる。その結果、当該調整作業を容易に行うことができる。
【0052】
また、荷受台昇降装置10によれば、荷受台最上昇位置調整手段25の介在部26がアーム間連結部材60の上端部62近傍と支柱20との間に形成されるように構成されているので、例えば、介在部26がアーム間連結部材60の下端部61近傍と支柱20との間に形成されている場合に比べて、最上昇位置でのアーム間連結部材60および荷受台70の姿勢が乱れることを、抑制することができる。
【0053】
この点について、
図6を用いて詳細に説明する。
図6(a)に示すように、荷受台最上昇位置調整手段25の介在部26がアーム間連結部材60の下端部61近傍と支柱20との間に形成されている場合においても、シリンダ80が第1アーム40に付与するシリンダ推力は、第1アーム40からアーム間連結部材60に伝達される。ここで、第1アーム40とアーム間連結部材60との連結部(
図2の軸部材44)が、介在部26から比較的に離れた位置となっている。シリンダ推力は、シリンダ80と第1アーム40との連結関係から、図の左上方に向いたベクトルであり、介在部26を中心としてアーム間連結部材60を図の反時計回りに回転させようとする力のモーメントがアーム間連結部材60に付与される。また、同時に、シリンダ80が第1アーム40の長手方向の略中間位置において第1アーム40に連結されていることから、シリンダ推力は、第1アーム40に対して図の左上方に湾曲させるように曲げ変形を生じさせる。第1アーム40に曲げ変形が生じると、第1アーム40と支柱20との連結部(
図2の軸部材42)と、第1アーム40とアーム間連結部材60との連結部(
図2の軸部材44)との間の距離が短くなる。当該距離が短くなると、介在部26を中心としてアーム間連結部材60は図の反時計回りに回転することとなる。このように、荷受台最上昇位置調整手段25の介在部26がアーム間連結部材60の下端部61近傍と支柱20との間に形成されている場合には、アーム間連結部材60に生じる力のモーメントによる作用と、第1アーム40に生じる曲げ変形による作用とが相まって、
図6(a)に示すように、アーム間連結部材60および荷受台70が図の反時計回りに回転するように姿勢が乱れることとなる。
【0054】
一方、
図6(b)に示すように、荷受台最上昇位置調整手段25の介在部26がアーム間連結部材60の上端部62近傍と支柱20との間に形成されている場合には、第1アーム40とアーム間連結部材60との連結部(
図2の軸部材44)が、介在部26に比較的に近い位置となっている。これにより、アーム間連結部材60に伝達され図の左上方に向いたシリンダ推力が、介在部26を中心としてアーム間連結部材60を時計回りに回転させようとする力のモーメントを生じさせるとしても、当該力のモーメントの大きさは、
図6(a)の場合の力のモーメントの大きさよりも小さく、第2アーム50が受ける力も小さいため、第2アーム50が変形してアーム間連結部材60が時計回りに回転することは殆ど考えられない。また、介在部26がアーム間連結部材60の上端部62近傍と支柱20との間に形成されている場合には、第1アーム40がシリンダ推力によって曲げ変形することも殆どない。したがって、荷受台最上昇位置調整手段25の介在部26がアーム間連結部材60の上端部62近傍と支柱20との間に形成されている場合には、アーム間連結部材60および荷受台70が図の時計回りに回転するように姿勢が乱れることは、抑制される。
【0055】
また、荷受台昇降装置10によれば、当接部材27を何れかの方向に軸回転させるだけで、荷受台70の最上昇位置を調整することができるので、当該調整作業を容易に行うことができる。
【0056】
また、荷受台昇降装置10によれば、固定用ナット29をアーム間連結部材60に向かって締め付けることにより、当接部材27がトラック車両の走行時の振動等により回転することを防止でき、これにより、介在部26の介在寸法Lが意図せずに増減することを防止することができる。
【0057】
(変形例)
上記の荷受台昇降装置10では、当接部材であるボルト27の雄ねじ部27aを螺着する雌ねじ部が、アーム間連結部材60の前側壁60fに固設された雌ねじ用ナット28により形成されていたが、雌ねじ用ナット28を設けることなく、アーム間連結部材60の貫通孔60fhに雌ねじ部60fhAを形成してもよい(
図7参照)。
【0058】
また、上記の荷受台昇降装置10では、当接部材であるボルト27の頭部27b(当接部27b)が、支柱本体20aの後面に固設された補強板20bに当接するものとして説明を行ったが、
図7に示すように、支柱本体20aの後面に補強板20bを設けることなく、ボルト27の頭部27bが支柱本体20aの後面に直に当接するようにしてもよい。
【0059】
また、上記の荷受台昇降装置10では、荷受台最上昇位置調整手段25がアーム間連結部材60側に設けられているものとして説明を行ったが、荷受台最上昇位置調整手段25は、支柱20側に設けられていてもよい。すなわち、当接部材であるボルト27の雄ねじ部27aが支柱20側に螺着しており、頭部27bがアーム間連結部材60の前側壁60fの前面に当接するように、荷受台最上昇位置調整手段25が構成されていてもよい。
【0060】
また、上記の荷受台昇降装置10では、シリンダ80の下端部81は、第1アーム40に回動可能に連結されているものとして説明を行ったが、第2アーム50に回動可能に連結されているものであってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0061】
本発明は、例えば、荷受台昇降装置に適用することができる。
【符号の説明】
【0062】
1 荷台
10 荷受台昇降装置
20 支柱(支持部材)
25 荷受台最上昇位置調整手段
26 介在部
27 当接部材(ボルト)
27a 雄ねじ部
27b 当接部(ボルトの頭部)
29 固定用ナット
40 第1アーム
41 第1アームの基端部
43 第1アームの先端部
50 第2アーム
51 第2アームの基端部
53 第2アームの先端部
60 アーム間連結部材
70 荷受台
80 シリンダ
81 シリンダの下端
83 シリンダの先端