(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024093287
(43)【公開日】2024-07-09
(54)【発明の名称】カートン容器
(51)【国際特許分類】
B65D 5/66 20060101AFI20240702BHJP
B65D 5/54 20060101ALI20240702BHJP
【FI】
B65D5/66 301G
B65D5/66 301C
B65D5/54 301M
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022209569
(22)【出願日】2022-12-27
(71)【出願人】
【識別番号】000006769
【氏名又は名称】ライオン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100152272
【弁理士】
【氏名又は名称】川越 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100153763
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 広之
(72)【発明者】
【氏名】山内 陽介
(72)【発明者】
【氏名】永島 慶士
【テーマコード(参考)】
3E060
【Fターム(参考)】
3E060AA03
3E060AB05
3E060BA03
3E060BB01
3E060BC02
3E060CE05
3E060CE07
3E060CE14
3E060CE18
3E060CE19
3E060CE22
3E060CE24
3E060CF05
3E060CG12
3E060DA13
3E060DA14
3E060DA18
3E060EA04
3E060EA14
(57)【要約】
【課題】内容物の漏れを抑制しつつ開封および再封緘が容易なカートン容器を提供する。
【解決手段】外箱と内筒を有する。外箱は、正面側に位置する正面壁と、背面側に位置する背面壁と、正面壁と背面壁とを繋ぐ側面壁と、側面壁および正面壁に亘って設けられた切断帯部と、背面壁に形成され、切断帯部と連なる罫線と、切断帯部の剥離により、罫線をヒンジ部として開閉可能な蓋部と、正面壁、背面壁および側面壁により形成される本体胴部とを有する。内筒は、蓋部が閉じたときに周囲を覆われる突出壁を有し、本体胴部に少なくとも一部が接着され内周に沿って接して二重壁を形成するとともに、係合孔が形成される係合孔形成部を有し、蓋部は、正面側に位置する壁部から下側に突出し係合孔形成部の正面側に対向する係合片を有し、係合片は、係合孔に差し込まれ内筒と係合する差込部を有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外箱と、
前記外箱の内部に設けられる内筒と、
を有し、
前記外箱は、
正面側に位置する正面壁と、
背面側に位置する背面壁と、
前記正面壁と前記背面壁とを両側で繋ぐ側面壁と、
両側の前記側面壁および前記正面壁に亘って設けられた切断帯部と、
前記背面壁に形成され、前記切断帯部と連なる罫線と、
前記切断帯部より上側に位置し、前記切断帯部の剥離により、前記罫線をヒンジ部として開閉可能な蓋部と、
前記切断帯部より下側に位置する前記正面壁、前記背面壁および前記側面壁により形成される本体胴部と、
を有し、
前記内筒は、前記本体胴部の上端よりも上側に突出して設けられ、前記蓋部が閉じたときに周囲を覆われる突出壁を有し、前記本体胴部に少なくとも一部が接着され内周に沿って接して二重壁を形成するとともに、係合孔が形成される係合孔形成部を有し、
前記蓋部は、前記正面側に位置する壁部から下側に突出し前記係合孔形成部の前記正面側に対向する係合片を有し、
前記係合片は、前記係合孔に差し込まれ前記内筒と係合する差込部を有する、カートン容器。
【請求項2】
前記差込部は、前記係合片から上側に延びる凸形状である、
請求項1に記載のカートン容器。
【請求項3】
前記切断帯部は、両側の前記側面壁におけるそれぞれの前記背面側の端部から、前記係合片に亘る長さで前記係合片の両側にそれぞれ設けられている、
請求項1または2に記載のカートン容器。
【請求項4】
前記外箱は、樹脂層を有する板紙で形成され、
前記内筒は、段ボールで形成されている、
請求項1または2に記載のカートン容器。
【請求項5】
内容物として粉体が充填されている、
請求項1または2に記載のカートン容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カートン容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
カートン容器の本体胴部に内筒を装着し、カートンの胴部上部に設けたミシン目、ジッパー等を破断することで開封し、使用開始後はヒンジで結合された蓋部を内筒に単に被せて嵌合させることによって再封緘する印籠型カートンが知られている(例えば、特許文献1)。
【0003】
このようなカートンでは蓋部は内筒に嵌合しているとはいえ容易に開閉できるように作られているために、容器が転倒するなどでも容易に開いてしまい内容物が飛び出してしまうことがある。そこで、特許文献2には、胴部に穴や切込みを入れ、この切込みに蓋の差し込み舌片を差し込んで再封緘することによって、上記のようなトラブルを防止した容器が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平9-86536号公報
【特許文献2】特開2002-160729号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、このような容器に粉末洗剤等の粉体を入れた場合、この再封緘部から内容物が漏れてしまうことがあるという問題があった。
【0006】
本発明は、以上のような点を考慮してなされたもので、内容物の漏れを抑制しつつ、開封および再封緘が容易なカートン容器を提供することを目的とする。
【0007】
本発明の別の目的は、転倒等の衝撃によって蓋部が容易に開かないカートン容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は下記の態様を有する。
[1]外箱と、前記外箱の内部に設けられる内筒と、を有し、前記外箱は、正面側に位置する正面壁と、背面側に位置する背面壁と、前記正面壁と前記背面壁とを両側で繋ぐ側面壁と、両側の前記側面壁および前記正面壁に亘って設けられた切断帯部と、前記背面壁に形成され、前記切断帯部と連なる罫線と、前記切断帯部より上側に位置し、前記切断帯部の剥離により、前記罫線をヒンジ部として開閉可能な蓋部と、前記切断帯部より下側に位置する前記正面壁、前記背面壁および前記側面壁により形成される本体胴部と、を有し、前記内筒は、前記本体胴部の上端よりも上側に突出して設けられ、前記蓋部が閉じたときに周囲を覆われる突出壁を有し、前記本体胴部に少なくとも一部が接着され内周に沿って接して二重壁を形成するとともに、係合孔が形成される係合孔形成部を有し、前記蓋部は、前記正面側に位置する壁部から下側に突出し前記係合孔形成部の前記正面側に対向する係合片を有し、前記係合片は、前記係合孔に差し込まれ前記内筒と係合する差込部を有する、カートン容器。
[2]前記差込部は、前記係合片から上側に延びる凸形状である、前記[1]に記載のカートン容器。
[3]前記切断帯部は、両側の前記側面壁におけるそれぞれの前記背面側の端部から、前記係合片に亘る長さで前記係合片の両側にそれぞれ設けられている、前記[1]または前記[2]に記載のカートン容器。
[4]前記外箱は、樹脂層を有する板紙で形成され、前記内筒は、段ボールで形成されている、前記[1]から前記[3]のいずれか一項に記載のカートン容器。
[5]内容物として粉体が充填されている、前記[1]から前記[4]のいずれか一項に記載のカートン容器。
【発明の効果】
【0009】
本発明では、内容物の漏れを抑制しつつ、開封および再封緘が容易なカートン容器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の実施の形態を示す図であって、カートン容器1の外観斜視図である。
【
図2】外箱10が組み立てられる前のブランクシートBL1を示す平面図である。
【
図3】摘まみ部17Bを摘まんで、切断帯部17を外箱10から切断する様子を示す斜視図である。
【
図4】外箱10から切断帯部17が剥離されたカートン容器1の斜視図である。
【
図5】係合片38の周辺を正面側から見た拡大図である。
【
図6】内筒30が組み立てられる前のブランクシートBL2を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明のカートン容器の実施の形態を、
図1から
図7を参照して説明する。
なお、以下の実施形態は、本発明の一態様を示すものであり、この発明を限定するものではなく、本発明の技術的思想の範囲内で任意に変更可能である。また、以下の図面においては、各構成をわかりやすくするために、実際の構造と各構造における縮尺や数等を異ならせている。
【0012】
図1は、カートン容器1の外観斜視図である。
図1に示すように、カートン容器1は、直方体形状であり、外箱10と内筒30とを備える。内筒30は外箱の内部に設けられ、後述するように、外箱10における本体胴部22と二重壁を形成する。
【0013】
外箱10は、天壁11と、底壁12と、正面壁13と、背面壁14と、一対の側面壁15、16と、一対の切断帯部17と、罫線18(
図2、
図4参照)と、蓋部21と、本体胴部22と、を有する。
【0014】
各図に適宜示すZ軸方向は、正の側を「上側」とし、負の側を「下側」とする上下方向であり、天壁11が配置される側を上側と呼び、底壁12が配置される側を下側と呼ぶ。各図に適宜示すY軸方向は、正の側を「正面側」とし、負の側を「背面側」とする奥行方向であり、正面壁13が配置される側を正面側と呼び、背面壁14が配置される側を背面側と呼ぶ。各図に適宜示すX軸方向は、正の側を「右側」とし、負の側を「左側」とする横方向であり、側面壁15が配置される側を右側と呼び、側面壁16が配置される側を左側と呼ぶ。
【0015】
天壁11は、上側に配置される。底壁12は、下側に配置される。正面壁13は、正面側に配置される。背面壁14は、背面側に配置される。側面壁15は、右側に配置され、正面壁13と背面壁14とを繋ぐ。側面壁16は、左側に配置され、正面壁13と背面壁14とを繋ぐ。
【0016】
図2は、外箱10が組み立てられる前のブランクシートBL1を示す平面図である。
ブランクシートBL1は、例えば、紙を主体とし、積層した層構成の一部に樹脂を用いた板紙からなる。すなわち、ブランクシートBL1(外箱10)は、樹脂層を有する板紙で形成されている。樹脂としては、例えば、ナイロン、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)が挙げられるが、ポリプロピレンまたはポリエチレンが好ましい。また、ブランクシートBL1の表面には印刷などが施されている。
【0017】
図2に示すように、ブランクシートBL1は、右側から順次、側面壁15、正面壁13、側面壁16、背面壁14および継ぎしろ19が配置され、これらの間には罫線51、52、53、54が形成されている。側面壁15、正面壁13、側面壁16、背面壁14および継ぎしろ19は、罫線51、52、53、54においてそれぞれ折り曲げられ、継ぎしろ19が側面壁15の内面に、例えば、ホットメルト接着剤で接合されることで上下方向に延びる四角筒状に形成される。
【0018】
背面壁14は、上下方向となる長手方向の両端に、それぞれ折り線3A、3Bを介して内フラップ14A、14Bを有する。側面壁15は、上下方向となる長手方向の両端に、それぞれ折り線4A、4Bを介して内フラップ15A、15Bを有する。側面壁16は、上下方向となる長手方向の両端に、それぞれ折り線5A、5Bを介して内フラップ16A、16Bを有する。
【0019】
内フラップ15Aおよび内フラップ16Aは、側面壁15および側面壁16に対して、それぞれ折り線4A、5Aで折り曲げられた後に、背面壁14に対して折り線3Aで折り曲げられた内フラップ14Aの内面に、例えば、酢酸ビニル接着剤で接合される。内フラップ15Aおよび内フラップ16Aに接合された内フラップ14Aは、正面壁13に対して折り線6Aで折り曲げられた天壁11の内面に、例えば、酢酸ビニル接着剤で接合される。
【0020】
内フラップ15Bおよび内フラップ16Bは、側面壁15および側面壁16に対して、それぞれ折り線4B、5Bで折り曲げられた後に、背面壁14に対して折り線3Bで折り曲げられた内フラップ14Bの内面に、例えば、酢酸ビニル接着剤で接合される。内フラップ15Bおよび内フラップ16Bに接合された内フラップ14Bは、正面壁13に対して折り線6Bで折り曲げられた底壁12の内面に、例えば、酢酸ビニル接着剤で接合される。
これにより、外箱10は、六面体形状の箱体に形成される。
【0021】
図1および
図2に示すように、一対の切断帯部17は、横方向の両側の側面壁15、16および正面壁13に亘って設けられている。一対の切断帯部17のうち右側の切断帯部17は、側面壁15の背面側の端部から正面壁13に設けられた後述する係合片38(詳細は後述する)に亘る長さで設けられている。一対の切断帯部17のうち左側の切断帯部17は、側面壁16の背面側の端部から正面壁13に設けられた係合片38に亘る長さで設けられている。つまり、一対の切断帯部17は、横方向の両側の側面壁15、16におけるそれぞれの背面側の端部から、係合片38に亘る長さで係合片38の両側にそれぞれ設けられている。切断帯部17は、横方向に延びている。切断帯部17は、横方向に平行して延びる一対の破断線17Aの間に形成されている。切断帯部17および一対の破断線17Aは、側面壁15、16および正面壁13における上下方向の中央よりも上側に配置されている。背面壁14は、切断帯部17および左側に位置する一対の破断線17Aに連なる摘まみ部17Bと、罫線18と、を有する。側面壁15は、右側に位置する一対の破断線17Aに連なる摘まみ部17Bを有する。
【0022】
摘まみ部17Bは、例えば、破断可能なミシン目で形成されている。摘まみ部17Bは、切断帯部17の端部と繋がっている。摘まみ部17Bを背面壁14および側面壁15からそれぞれ切り離して摘まむことにより、切断帯部17を外箱10から切断する際の起点とすることができる。
罫線18は、左側の摘まみ部17Bと罫線54との間に横方向に延びて形成されている。
【0023】
蓋部21は、切断帯部17よりも上側に位置する。蓋部21は、天壁11と、切断帯部17よりも上側に位置する正面壁13および側面壁15、16と、罫線18よりも上側に位置する背面壁14と、係合片38と、によって形成される。蓋部21は、切断帯部17が外箱10から切断されて剥離したときに、罫線18において本体胴部22と繋がり連結されている。
【0024】
本体胴部22は、切断帯部17よりも下側に位置する。本体胴部22は、底壁12と、切断帯部17よりも下側に位置する正面壁13および側面壁15、16と、罫線18よりも下側に位置する背面壁14とによって形成される四角筒状である。本体胴部22は、
図4に示すように、上側に開口する収容部22Aを内部に有する。収容部22Aには、一例として、粉体が充填される。
【0025】
図3は、摘まみ部17Bを摘まんで、切断帯部17を外箱10から切断する様子を示す斜視図である。
図3に示すように、摘まみ部17Bを摘まんで、破断線17Aに沿って引っ張ることにより、切断帯部17を側面壁15、16、および正面壁13から順次切り離すことができる。
【0026】
図4は、外箱10から切断帯部17が剥離されたカートン容器1の斜視図である。
図4に示すように、切断帯部17が剥離されたカートン容器1において、蓋部21は、罫線18をヒンジ部として開閉可能である。
図4には、蓋部21が開いた状態が示されている。収容部22Aは、蓋部21が開いたときに開口し、蓋部21が閉じたときに閉塞される。
【0027】
係合片38は、蓋部21において正面側に位置する壁部23から下側に突出する。係合片38は、横方向の中央に配置されている。係合片38は、下側に向かうにつれて先細る。係合片38の下端は、
図2に示すように、切断帯部17よりも下側に切れ目38bで囲まれて形成されている。係合片38の下側は、本体胴部22の一部を切れ目38bで切り取って形成されている。係合片38の下側が切り取られた本体胴部22には、上端から下側に切欠部22aが形成されている。切欠部22aには、内筒30が露出している。
【0028】
図5は、係合片38の周辺を正面側から見た拡大図である。
係合片38は、差込部39を有する。差込部39は、係合片38から上側に延びる略矩形の凸形状である。差込部39は、下側が係合片38と一体的に繋がっている。差込部39は、上側および横方向の両側が切れ目38aによって係合片38に対して分離可能である。差込部39は、係合片38と繋がった下側を基点として奥行方向に変形、さらに内筒30の正面当接壁31に横方向に延びる係合孔62に挿入し係合することが可能である。
【0029】
内筒30は、本体胴部22の内周に沿って接する四角筒状に形成されている。本体胴部22の内周に沿って接する内筒30は、本体胴部22と二重壁を形成する。内筒30は、少なくとも一部が本体胴部22に接着される。
【0030】
図1に戻り、内筒30は、正面当接壁31と、背面当接壁33と、側面当接壁35と、第1側面当接壁34Aと、第2側面当接壁34Bと、を有する。
正面当接壁31は、本体胴部22における正面側(正面壁13)に接する。
背面当接壁33は、本体胴部22における背面側(背面壁14)に接する。
側面当接壁35は、本体胴部22における左側(側面壁16)に接する。
第1側面当接壁34Aと、第2側面当接壁34Bとは、本体胴部22における右側(側面壁15)に接する。
【0031】
図6は、内筒30が組み立てられる前のブランクシートBL2を示す平面図である。
ブランクシートBL2は、例えば、段ボールで形成されている。すなわち、内筒30は、例えば、段ボールで形成されている。
【0032】
図6に示すように、ブランクシートBL2は、右側から順次、第1側面当接壁34A、正面当接壁31、側面当接壁35、背面当接壁33および第2側面当接壁34Bが配置され、これらの間には罫線55、56、57、58が形成されている。第1側面当接壁34A、正面当接壁31、側面当接壁35、背面当接壁33および第2側面当接壁34Bは、罫線55、56、57、58においてそれぞれ折り曲げられ、第1側面当接壁34Aの端部が第2側面当接壁34Bに重なって貼り合わされる。すなわち、内筒30は、第1側面当接壁34Aと第2側面当接壁34Bとが右側で重なって貼り合わされた貼り合せ部36を有する。
【0033】
内筒30の上下方向の寸法は、外箱10における底壁12の上面から本体胴部22の上端までの上下方向の寸法よりも大きい。すなわち、本体胴部22の内部に設けられた内筒30は、本体胴部22の上端よりも上側に突出して設けられた突出壁37を有する。突出壁37は、全周に亘って本体胴部22の上端よりも上側に突出している。収容部22Aは、突出壁37の上端において開口する。突出壁37は、蓋部21が閉じたときに周囲を覆われ、収容部22Aは閉塞される。
【0034】
貼り合せ部36は、例えば、ホットメルト接着剤で接合される。つまり、第1側面当接壁34Aと第2側面当接壁34Bの一部とは、例えば、ホットメルト接着剤で接合される。
【0035】
内筒30の正面当接壁31は、蓋部21が閉じたときに係合片38と奥行方向で対向する位置に係合孔形成部61を有する。従って、係合片38は、係合孔形成部61の正面側に対向する。係合孔形成部61は、横方向の中央に設けられている。係合孔形成部61は、例えば、破断可能なミシン目により形成される。ミシン目を破断することによって、
図5および
図7に示す内筒30の正面当接壁31には横方向に延びる係合孔62が形成される。
【0036】
図7は、
図5におけるA-A断面図である。
図5および
図7に示すように、係合片38は、壁部23に対して正面側に変形可能である。係合片38は、蓋部21が閉じたときに、奥行方向の外側である正面側から内筒30の正面当接壁31に係合可能である。
【0037】
係合孔62は、蓋部21が閉じたときに、奥行方向で係合片38の差込部39と対向する。差込部39の横方向の長さ寸法は、係合孔62の横方向の長さ寸法よりも小さい。差込部39における下側の上下方向の位置は、蓋部21が閉じたときに、係合孔62よりも下側である。差込部39における上側の上下方向の位置は、蓋部21が閉じたときに、係合孔62よりも上側である。従って、差込部39は、蓋部21が閉じたときに、係合孔62に下側から差し込まれ内筒30の正面当接壁31と係合可能である。換言すると、内筒30の正面当接壁31は、蓋部21が閉じたときに、係合孔62に下側から差し込まれた差込部39に上側から係合する。
【0038】
上記構成のカートン容器1においては、例えば、収容部22Aに内容物として粉体が充填され、切断帯部17が未切断の
図1に示した状態から、
図3を用いて説明したように、摘まみ部17Bを摘まんで、破断線17Aに沿って引っ張ることにより、一対の切断帯部17を側面壁15、16および正面壁13から順次切り離して、外箱10から剥離させる。また、切断帯部17を外箱10から剥離した後には、正面壁13から係合片38を切れ目38bで切り離す。
【0039】
これにより、カートン容器1は、
図4に示したように、罫線18をヒンジ部として開閉可能な蓋部21と、蓋部21が開いたときに収容部22Aが上側に開口する本体胴部22として用いることができる。蓋部21が開くことによって、収容部22Aに収容された粉体等の内容物を取り出したり、他の容器に詰め替えることができる。
【0040】
開封した蓋部21を再封緘する際には、係合孔形成部61のミシン目を破断して係合孔62を形成した後に、蓋部21を閉じる。
蓋部21が閉じた後には、係合片38に対して差込部39の上側を背面側に押し曲げるとともに、係合孔62に下側から差し込む。
これにより、
図7に示したように、係合片38が外側から内筒30の正面当接壁31に係合するとともに、差込部39が正面当接壁31に下側から係合することによって、蓋部21が本体胴部22に対して再封緘される。
【0041】
このとき、内筒30の突出壁37においては、係合孔62の一部が収容部22Aに開口しているが、係合孔62に差込部39が差し込まれるとともに、係合片38が係合孔62の正面側において正面当接壁31と係合して係合孔62を遮蔽するため、収容部22Aの内容物が係合孔62を介して漏れ出ることを抑制できる。
【0042】
そして、再封緘された蓋部21は、係合片38を正面側に変形させ、差込部39を係合孔62から離脱させることによって、差込部39による係合が解除されることで容易に再開封することが可能である。
【0043】
以上説明したように、本実施形態のカートン容器1においては、蓋部21が本体胴部22に対して再封緘されたときに、一部が収容部22Aに開口する係合孔62に差込部39が差し込まれるとともに、係合片38が正面側から係合孔62を遮蔽するため、収容部22Aに収容された粉体等の内容物が係合孔62から漏れ出すことを抑制できる。
【0044】
また、本実施形態のカートン容器1においては、切断帯部17を外箱10から切断して剥離することによって、容易に開封することができる。
さらに、 本実施形態のカートン容器1においては、蓋部21が閉じた後に差込部39を係合孔62に差し込むことによって、容易に再封緘することができる。
【0045】
加えて、本実施形態のカートン容器1においては、差込部39が係合片38から上側に延びる凸形状であるため、差込部39が内筒30の正面当接壁31に下側から係合することによって、蓋部21が本体胴部22に対して上側に移動することを抑えることができる。
そのため、本実施形態のカートン容器1においては、転倒等の衝撃が加わった場合でも蓋部21が容易に開かなくすることができる。
【0046】
また、本実施形態のカートン容器1においては、係合片38、差込部39および係合孔62が正面側における横方向の中央に配置されているため、蓋部21の再開封および再封緘の操作が容易になるとともに、バランスが取れた状態で蓋部21を再開封および再封緘できる。
【0047】
また、本実施形態のカートン容器1においては、外箱10が形成されるブランクシートBL1が樹脂層を有する板紙で形成されているため、耐水性や強度を持たせることが可能になる。
【0048】
[実施例]
本発明によるカートン容器を家庭用の小型粉末洗剤に適用すべく、ブランクシートを用いて、容器サイズが、幅168mm、奥行き90mm、高さ127mmで、内容量が900gである直方体のカートン容器を試作した。
また、開封パネルの高さは30mmとし、水平に引き裂くジッパーとポリプロピレン60μm、4mm幅のカットテープを2カ所に取り付け、天板全体が蓋部として開封する実施例サンプルを試作した。
ブランクシート用の板紙には、本体胴部では、延伸ポリプロピレン20μm/マニラボール400g/m2、内筒では、白―K180g/m2/K180g/m2/白-K180g/m2を使用した。
以上の仕様によって試作した本発明によるカートン容器の開封および再封テストを9人のパネラーによって行ったが、摘まみ部を手前に倒すだけの操作で、弱い力で、容易に開封ができ、また容易に再封できることを確認できた。また、開封時に粉末洗剤の飛散はなく、また再封緘したカートン容器を倒しても天板と胴部の隙間から、粉末のこぼれが無いことを確認した。
【0049】
以上、添付図面を参照しながら本発明に係る好適な実施形態について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。上述した例において示した各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発明の主旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。
【0050】
例えば、上記実施形態では、内筒30における貼り合せ部36が右側に設けられる構成を例示したが、この構成に限定されない。
貼り合せ部を正面当接壁の中央に配置する構成としてもよい。
この構成を採る場合には、貼り合せ部のうち、正面側に位置する貼り合せ部を構成する正面当接壁に係合孔62を設け、係合孔62を設けた正面当接壁の背面側に貼り合せ部を構成する正面当接壁を重ねてもよい。
係合孔62が設けられない正面当接壁を重ねて背面側に配置することで、収容部22Aに収容された粉体等の内容物が背面側の正面当接壁に遮蔽されて係合孔62に到達しづらくなるため、粉体等の内容物が係合孔62から漏れ出すことをさらに抑制することが可能になる。
【0051】
また、上記実施形態では、係合孔形成部61がミシン目で形成される構成を例示したが、この構成に限定されない。
係合孔形成部61は、ミシン目の他に切れ目やハーフカットで形成される構成であってもよい。
【0052】
また、上記実施形態では、切断帯部17が一対の破断線17Aの間に形成されている構成を例示したが、この構成に限定されない。
切断帯部17としては、例えば、ミシン目、ハーフカット、カットテープ、ジッパー等によって形成される構成であってもよい。
【0053】
また、上記実施形態では、係合片38、差込部39および係合孔62が正面側に配置される構成を例示したが、この構成に限定されない。
例えば、係合片38、差込部39および係合孔62が横方向の右側あるいは左側に配置される構成や、正面側、右側および左側から選択される複数箇所に配置される構成であってもよい。
【0054】
また、上記実施形態では、収容部22Aに収容された内容物が粉体である構成を例示したが、この構成に限定されず、例えば、内容物が顆粒や錠剤等の構成であってもよい。
【0055】
また、上記実施形態では、樹脂層を有する板紙のブランクシートBL1で外箱10が形成され、段ボールで形成されたブランクシートBL2で内筒30が形成される構成を例示したが、この構成に限定されず、他の材質の板材で形成される構成であってもよい。
【符号の説明】
【0056】
1…カートン容器、 10…外箱、 11…天壁、 12…底壁、 13…正面壁、 14…背面壁、 15、16…側面壁、 17…切断帯部、 18…罫線、 21…蓋部、 22…本体胴部、 23…壁部、 30…内筒、 36…貼り合せ部、 37…突出壁、 38…係合片、 39…差込部、 61…係合孔形成部、 62…係合孔