(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024093302
(43)【公開日】2024-07-09
(54)【発明の名称】ボールねじ
(51)【国際特許分類】
F16H 25/24 20060101AFI20240702BHJP
F16H 25/22 20060101ALI20240702BHJP
【FI】
F16H25/24 J
F16H25/22 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022209594
(22)【出願日】2022-12-27
(71)【出願人】
【識別番号】000004204
【氏名又は名称】日本精工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100140442
【弁理士】
【氏名又は名称】柴山 健一
(72)【発明者】
【氏名】瀬川 諒
(72)【発明者】
【氏名】三宮 仁志
【テーマコード(参考)】
3J062
【Fターム(参考)】
3J062AB22
3J062AC07
3J062BA27
3J062CD07
3J062CD22
3J062CD54
3J062CD75
(57)【要約】
【課題】グリース又は潤滑油を供給する上で十分なサイズの貫通孔を確保することができるボールねじを提供する。
【解決手段】ボールねじは、ねじ溝が外周面に形成されたねじ軸と、複数のねじ溝32及び複数の循環溝33が内周面31に形成されたナット3と、ねじ軸のねじ溝及びナット3の複数のねじ溝32によって構成された複数の転動路のそれぞれに配置されており、複数の循環溝33のそれぞれを介して複数の転動路のそれぞれにおいて転動する複数のボールと、を備える。複数のねじ溝32は、軸方向において隣り合う一対のねじ溝32aを含む。複数の循環溝33は、一対のねじ溝32aに対応しており且つ周方向において互いに異なる位置に配置された一対の循環溝33aを含む。ナット3は、内周面31のうち一対のねじ溝32a及び一対の循環溝33aによって囲まれた領域31aに開口している貫通孔34を有する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1ねじ溝が外周面に形成されたねじ軸と、
複数の第2ねじ溝及び複数の循環溝が内周面に形成されたナットと、
前記第1ねじ溝及び前記複数の第2ねじ溝によって構成された複数の転動路のそれぞれに配置されており、前記複数の循環溝のそれぞれを介して前記複数の転動路のそれぞれにおいて転動する複数のボールと、を備え、
前記複数の第2ねじ溝は、軸方向において隣り合う一対の第2ねじ溝を含み、
前記複数の循環溝は、前記一対の第2ねじ溝に対応しており且つ周方向において互いに異なる位置に配置された一対の循環溝を含み、
前記ナットは、前記内周面のうち前記一対の第2ねじ溝及び前記一対の循環溝によって囲まれた領域に開口している貫通孔を有する、ボールねじ。
【請求項2】
前記貫通孔は、径方向に延在している、請求項1に記載のボールねじ。
【請求項3】
前記ナットの前記内周面のうち前記複数の第2ねじ溝が形成された領域をねじ溝形成領域とすると、前記一対の第2ねじ溝は、前記複数の第2ねじ溝のうち軸方向における前記ねじ溝形成領域の中心位置に最も近い2つの第2ねじ溝である、請求項1又は2に記載のボールねじ。
【請求項4】
前記ナットに設けられており、前記領域に対して所定の位置に配置された基準部を更に備える、請求項1に記載のボールねじ。
【請求項5】
前記貫通孔を塞いでいるピンを更に備える、請求項1に記載のボールねじ。
【請求項6】
前記ピンは、前記貫通孔に埋設されている、請求項5に記載のボールねじ。
【請求項7】
前記ピンは、前記ナットの外周面から突出している、請求項5に記載のボールねじ。
【請求項8】
前記ピンは、前記貫通孔に圧入されている、請求項5に記載のボールねじ。
【請求項9】
前記ピンは、前記貫通孔に螺合されている、請求項5に記載のボールねじ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ボールねじに関する。
【背景技術】
【0002】
ボールねじの潤滑には、グリース又は潤滑油が用いられることが一般的である。特許文献1に記載のボールねじでは、転動路にグリースを供給するためにナットに形成された貫通孔が、ねじ溝間のランド部に開口している。また、特許文献2に記載のボールねじでは、転動路にグリースを供給するためにナットに形成された貫通孔が、ねじ溝の底面に開口している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001-050366号公報
【特許文献2】特開2012-037063号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
転動路にグリース又は潤滑油を適切に供給するためには、十分なサイズの貫通孔をナットに形成する必要がある。しかし、特許文献1,2に記載のボールねじにおいて貫通孔のサイズを大きくすると、貫通孔の開口のエッジ部分にボールが接触し、それに起因して各部に損傷が生じるおそれがある。したがって、特許文献1,2に記載のボールねじでは、グリース又は潤滑油を供給する上で十分なサイズの貫通孔をナットに形成することが困難である。
【0005】
そこで、本発明は、グリース又は潤滑油を供給する上で十分なサイズの貫通孔を確保することができるボールねじを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のボールねじは、[1]「第1ねじ溝が外周面に形成されたねじ軸と、複数の第2ねじ溝及び複数の循環溝が内周面に形成されたナットと、前記第1ねじ溝及び前記複数の第2ねじ溝によって構成された複数の転動路のそれぞれに配置されており、前記複数の循環溝のそれぞれを介して前記複数の転動路のそれぞれにおいて転動する複数のボールと、を備え、前記複数の第2ねじ溝は、軸方向において隣り合う一対の第2ねじ溝を含み、前記複数の循環溝は、前記一対の第2ねじ溝に対応しており且つ周方向において互いに異なる位置に配置された一対の循環溝を含み、前記ナットは、前記内周面のうち前記一対の第2ねじ溝及び前記一対の循環溝によって囲まれた領域に開口している貫通孔を有する、ボールねじ」である。
【0007】
上記[1]に記載のボールねじでは、軸方向において隣り合う一対の第2ねじ溝に対応している一対の循環溝が、周方向において互いに異なる位置に配置されており、ナットに形成された貫通孔が、内周面のうち一対の第2ねじ溝及び一対の循環溝によって囲まれた領域に開口している。これにより、貫通孔の開口のエッジ部分が一対の第2ねじ溝及び一対の循環溝に掛かること(すなわち、貫通孔の開口のエッジ部分にボールが接触すること)を防止しつつ、貫通孔のサイズを大きくすることができる。よって、上記[1]に記載のボールねじによれば、グリース又は潤滑油を供給する上で十分なサイズの貫通孔を確保することができる。
【0008】
本発明のボールねじは、[2]「前記貫通孔は、径方向に延在している、上記[1]に記載のボールねじ」であってもよい。当該[2]に記載のボールねじによれば、貫通孔の構成を単純化することができる。
【0009】
本発明のボールねじは、[3]「前記ナットの前記内周面のうち前記複数の第2ねじ溝が形成された領域をねじ溝形成領域とすると、前記一対の第2ねじ溝は、前記複数の第2ねじ溝のうち軸方向における前記ねじ溝形成領域の中心位置に最も近い2つの第2ねじ溝である、上記[1]又は[2]に記載のボールねじ」であってもよい。当該[3]に記載のボールねじによれば、貫通孔から供給されたグリース又は潤滑油を複数の転動路の全域に効率良く行き渡らせることができる。
【0010】
本発明のボールねじは、[4]「前記ナットに設けられており、前記領域に対して所定の位置に配置された基準部を更に備える、上記[1]~[3]のいずれか一つに記載のボールねじ」であってもよい。当該[4]に記載のボールねじによれば、ナットに貫通孔を形成する際に、一対の第2ねじ溝及び一対の循環溝によって囲まれた領域に貫通孔を確実に開口させることができる。
【0011】
本発明のボールねじは、[5]「前記貫通孔を塞いでいるピンを更に備える、上記[1]~[4]のいずれか一つに記載のボールねじ」であってもよい。当該[5]に記載のボールねじによれば、例えば、貫通孔からグリースを供給した後に貫通孔をピンで塞ぐことで、転動路内のグリースが貫通孔から外部に漏れたり、外部のパーティクルが貫通孔から転動路内に侵入したりするのを防止することができる。
【0012】
本発明のボールねじは、[6]「前記ピンは、前記貫通孔に埋設されている、上記[5]に記載のボールねじ」であってもよい。当該[6]に記載のボールねじによれば、径方向におけるナットの外側に何らかの部材が配置された場合に、当該部材とピンとの物理的干渉を防止することができる。
【0013】
本発明のボールねじは、[7]「前記ピンは、前記ナットの外周面から突出している、上記[5]に記載のボールねじ」であってもよい。当該[7]に記載のボールねじによれば、ピンのうちナットの外周面から突出した部分を回り止めとして用いることができる。
【0014】
本発明のボールねじは、[8]「前記ピンは、前記貫通孔に圧入されている、上記[5]~[7]のいずれか一つに記載のボールねじ」であってもよい。当該[8]に記載のボールねじによれば、貫通孔及びピンの構成を単純化することができる。
【0015】
本発明のボールねじは、[9]「前記ピンは、前記貫通孔に螺合されている、上記[5]~[7]のいずれか一つに記載のボールねじ」であってもよい。当該[9]に記載のボールねじによれば、貫通孔に対してピンを着脱することができるため、必要に応じて貫通孔からグリースを供給することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、グリース又は潤滑油を供給する上で十分なサイズの貫通孔を確保することができるボールねじを提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図4】
図3に示されるナットの内周面の展開図である。
【
図6】
図5に示されるナットの内周面の展開図である。
【
図7】変形例のボールねじの一部分の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、各図において同一又は相当部分には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0019】
図1に示されるように、ボールねじ1は、ねじ軸2と、ナット3と、複数のボール4と、を備えている。以下、ねじ軸2の中心線に平行な方向を軸方向といい、ねじ軸2の中心線に垂直な方向を径方向といい、ねじ軸2の中心線に平行な方向から見た場合にねじ軸2の中心線を中心とする円周に沿った方向を周方向という。
【0020】
ねじ軸2の外周面21には、ねじ溝(第1ねじ溝)22が形成されている。ねじ溝22は、螺旋状に延在している。ナット3の内周面31には、複数のねじ溝(第2ねじ溝)32が形成されている。複数のねじ溝32は、ねじ軸2のねじ溝22と同一のピッチで螺旋状に延在している。各ねじ溝32は、例えば、1リード分の長さを有している。ねじ軸2のねじ溝22及びナット3の複数のねじ溝32は、複数の転動路10を構成している。なお、ねじ軸2の一端部23の外周面には、例えば、スプライン又はセレーションが形成されている。
【0021】
図2及び
図3に示されるように、ナット3の内周面31には、複数の循環溝33が形成されている。複数の循環溝33は、複数のねじ溝32に対応している。対応しているねじ溝32及び循環溝33において、循環溝33は、ねじ溝32の一端と他端とを繋いでいる。複数の循環溝33は、軸方向から見た場合に、周方向において互いに異なる位置に(例えば、等角度間隔で)配置されている。
【0022】
図1に示されるように、複数のボール4は、各転動路10に配置されている。複数のボール4は、循環溝33を通る際にねじ軸2の外周面21のねじ山(ランド部)を超えることで、各転動路10において無限循環する。つまり、複数のボール4は、各循環溝33を介して各転動路10において転動する。なお、
図1では、一部のボール4のみが図示されているが、実際には、二点鎖線で示される転動路10に沿って複数のボール4が並んでいる。
【0023】
図4は、ナット3の内周面31の展開図である。
図4に示されるように、複数のねじ溝32は、軸方向において隣り合う一対のねじ溝(第2ねじ溝)32aを含んでいる。複数の循環溝33は、一対のねじ溝32aに対応しており且つ周方向において互いに異なる位置に配置された一対の循環溝33aを含んでいる。対応しているねじ溝32a及び循環溝33aにおいて、循環溝33aは、ねじ溝32aの一端と他端とを繋いでいる。上述したように、周方向において互いに異なる位置に一対の循環溝33aが配置されているため、内周面31には、一対のねじ溝32a間のねじ山の幅よりも広い幅を有する領域31aが存在することになる。領域31aは、内周面31のうち一対のねじ溝32a及び一対の循環溝33aによって囲まれた領域である。
【0024】
ナット3の内周面31のうち複数のねじ溝32が形成された領域をねじ溝形成領域310とすると、一対のねじ溝32aは、複数のねじ溝32のうち軸方向におけるねじ溝形成領域310の中心位置に最も近い2つのねじ溝32である。ナット3の内周面31に二本のねじ溝32が形成されている場合には、当該二本のねじ溝32が一対のねじ溝32aである。ナット3の内周面31に三本のねじ溝32が形成されている場合には、いずれか一方の端のねじ溝32を除く二本のねじ溝32が一対のねじ溝32aである。ナット3の内周面31に2n(nは2以上の整数)以上のねじ溝32が形成されている場合、及びナット3の内周面31に2n+1以上のねじ溝32が形成されている場合には、いずれか一方の端からn番目、n+1番目のねじ溝32aが一対のねじ溝32aである。なお、ねじ溝形成領域310は、ナット3の内周面31のうち、全てのねじ溝32を含む円柱状の領域である。軸方向におけるねじ溝形成領域310の中心位置は、軸方向におけるナット3の中心位置と一致している場合もあるし、軸方向におけるナット3の中心位置と一致していない場合もある。
【0025】
ナット3は、領域31aに開口している貫通孔34を有している。
図1に示されるように、ナット3は、領域31aから径方向に延在しており、ナット3の外周面35に開口している。本実施形態では、貫通孔34は、一定の内径を有するストレート孔である。貫通孔34は、ピン5によって塞がれている。ピン5は、貫通孔34に圧入されている。ピン5は、貫通孔34に埋設されている。つまり、ピン5は、ナット3の内周面31から径方向における内側に突出しておらず、ナット3の外周面35から径方向における外側に突出していない。本実施形態では、ピン5は、一定の外径を有するストレートピンである。ボールねじ1では、例えば、貫通孔34からグリースが供給された後に、ピン5によって貫通孔34が塞がれる。
【0026】
図2及び
図3に示されるように、ナット3には、領域31aに対して所定の位置に配置された基準部6が設けられている。本実施形態では、基準部6は、軸方向におけるナット3の端面(
図1に示される一端部23とは反対側のナット3の端面)に設けられたストッパである。当該ストッパは、一端部23とは反対側のねじ軸2の端部に設けられた部材と係合することで、軸方向における一端部23とは反対側へのナット3の移動が停止させられる。
【0027】
以上説明したように、ボールねじ1では、軸方向において隣り合う一対のねじ溝32aに対応している一対の循環溝33aが、周方向において互いに異なる位置に配置されており、ナット3に形成された貫通孔34が、内周面31のうち一対のねじ溝32a及び一対の循環溝33aによって囲まれた領域31aに開口している。これにより、貫通孔34の開口のエッジ部分が一対のねじ溝32a及び一対の循環溝33aに掛かること(すなわち、貫通孔34の開口のエッジ部分にボール4が接触すること)を防止しつつ、貫通孔34のサイズを大きくすることができる。よって、ボールねじ1によれば、グリース又は潤滑油を供給する上で十分なサイズの貫通孔34を確保することができる。
【0028】
ボールねじ1では、貫通孔34が径方向に延在している。これにより、貫通孔34の構成を単純化することができる。
【0029】
ボールねじ1では、一対のねじ溝32aが、複数のねじ溝32のうち軸方向におけるねじ溝形成領域310の中心位置に最も近い2つのねじ溝32である。これにより、貫通孔34から供給されたグリース又は潤滑油を複数の転動路10の全域に効率良く行き渡らせることができる。
【0030】
ボールねじ1では、領域31aに対して所定の位置に配置された基準部6がナット3に設けられている。これにより、ナット3に貫通孔34を形成する際に、一対のねじ溝32a及び一対の循環溝33aによって囲まれた領域31aに貫通孔34を確実に開口させることができる。
【0031】
ボールねじ1では、貫通孔34がピン5によって塞がれている。これにより、例えば、貫通孔34からグリースを供給した後に貫通孔34をピン5で塞ぐことで、転動路10内のグリースが貫通孔34から外部に漏れたり、外部の異物が貫通孔34から転動路10内に侵入したりするのを防止することができる。
【0032】
ボールねじ1では、ピン5が貫通孔34に埋設されている。これにより、径方向におけるナット3の外側に何らかの部材が配置された場合に、当該部材とピン5との物理的干渉を防止することができる。
【0033】
ボールねじ1では、ピン5が貫通孔34に圧入されている。これにより、貫通孔34及びピン5の構成を単純化することができる。
【0034】
本発明は、上述した実施形態に限定されない。例えば、ナット3においては、
図5及び
図6に示されるように、複数のねじ溝32が形成された本体部36に対して、それぞれに循環溝33が形成された複数の部分37がコマとして別体で設けられていてもよい。
【0035】
また、
図7の(a)に示されるように、貫通孔34は、径方向における外側において拡径された座ぐり孔であってもよい。この例では、ピン5は、貫通孔34のうち径方向における外側の座ぐり部分に圧入されており、当該座ぐり部分に埋設されている。
【0036】
また、
図7の(b)に示されるように、ピン5は、ナット3の外周面35から径方向における外側に突出していてもよい。これによれば、ピン5のうちナット3の外周面35から突出した部分を回り止め(すなわち、ねじ軸2が回転し,ナット3が移動する場合に、ナット3の供回りを起こさせないための回り止め)として用いることができる。なお、
図7の(a)に示される例においても、ピン5は、ナット3の外周面35から径方向における外側に突出していてもよい。
【0037】
また、
図7の(c)に示されるように、ピン5は、貫通孔34に螺合されていてもよい。これによれば、貫通孔34に対してピン5を着脱することができるため、必要に応じて貫通孔34からグリースを供給することができる。ピン5として、頭を有するボルトを用いる場合には、ナット3の外周面35のうち当該頭の座面が接触する領域を平面化することが好ましい。ピン5のうちナット3の外周面35から突出した部分を回り止めとして用いる場合には、ピン5として、六角穴付きのボルトを用い、ピン5のうちナット3の外周面35から突出した部分の表面を滑らかな面にすることが好ましい。
【0038】
また、基準部6は、ナット3の外周面35に形成されたキー溝、切欠き、マーク等であってもよい。マークには、生産履歴管理情報を示すコード等が含まれる。
【0039】
また、貫通孔34は、少なくとも領域31aに開口していれば、径方向に延在していなくてもよい。また、一対のねじ溝32aは、軸方向において隣り合う一対のねじ溝32であれば、複数のねじ溝32のうち軸方向におけるねじ溝形成領域310の中心位置に最も近い2つのねじ溝32でなくてもよい。また、一つのナット3が複数の貫通孔34を有していてもよい。また、貫通孔34の断面形状は、円形以外の形状であってもよい。また、貫通孔34がピン5によって塞がれていなくてもよい。また、ナット3に基準部6が設けられていなくてもよい。
【符号の説明】
【0040】
1…ボールねじ、2…ねじ軸、3…ナット、4…ボール、5…ピン、6…基準部、10…転動路、21…外周面、22…ねじ溝(第1ねじ溝)、31…内周面、31a…領域、32,32a…ねじ溝(第2ねじ溝)、33,33a…循環溝、34…貫通孔、35…外周面、310…ねじ溝形成領域。