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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024093313
(43)【公開日】2024-07-09
(54)【発明の名称】遠心圧縮機
(51)【国際特許分類】
   F04D 29/58 20060101AFI20240702BHJP
【FI】
F04D29/58 S
F04D29/58 P
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022209612
(22)【出願日】2022-12-27
(71)【出願人】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】下瀬 智也
(72)【発明者】
【氏名】森 英文
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 潤也
(72)【発明者】
【氏名】平野 貴之
(72)【発明者】
【氏名】加藤 弘晃
【テーマコード(参考)】
3H130
【Fターム(参考)】
3H130AA13
3H130AB12
3H130AB27
3H130AB47
3H130AB65
3H130AB68
3H130BA33A
3H130BA33G
3H130CA07
3H130CA21
3H130DA02X
3H130DB01Z
3H130DB02Z
3H130DD01X
3H130DJ01X
(57)【要約】
【課題】遠心圧縮機の耐久性の向上を図ること。
【解決手段】モータハウジング12の端壁12aには、流体通路75とモータ室18とを連通するとともに第2孔62よりも回転軸41の径方向外側に設けられる複数の連通孔68が形成されている。第2インペラ43の背面43aに洩れる空気は、第1孔61を通って流体通路75に流れ、連通孔68及び第2孔62を通ってモータ室18に流れるようになっている。モータハウジング12の端壁12aは、流体通路75に設けられるとともに回転軸41の回転軸線に対して放射状に延びることで回転軸41の周りに配置される複数の冷却フィン70を備えている。複数の冷却フィン70は、回転軸41の周方向で隣り合う複数の連通孔68の間に配置されている。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転軸と、
前記回転軸と一体的に回転することで流体を圧縮するインペラと、
前記回転軸を回転させるモータと、
前記インペラを収容するインペラ室、前記モータを収容するモータ室、及び前記インペラ室と前記モータ室とを仕切るとともに前記回転軸が挿通される挿通孔が形成されている仕切壁を有するハウジングと、を備えている遠心圧縮機であって、
前記仕切壁は、
前記インペラ室を区画するとともに前記挿通孔の一部を形成する第1孔を有する第1壁構成体と、
前記モータ室を区画するとともに前記挿通孔の一部を形成し、且つ、前記回転軸との間に軸受が配置される第2孔を有する第2壁構成体と、
前記回転軸の外周域であって前記第1壁構成体と前記第2壁構成体とに囲まれた流体通路と、を有し、
前記第2壁構成体には、前記流体通路と前記モータ室とを連通するとともに前記第2孔よりも前記回転軸の径方向外側に設けられる複数の連通孔が形成され、
前記インペラの背面に洩れる流体は、前記第1孔を通って前記流体通路に流れ、前記連通孔及び前記第2孔を通って前記モータ室に流れるようになっており、
前記仕切壁は、前記流体通路に設けられるとともに前記回転軸の回転軸線に対して放射状に延びることで前記回転軸の周りに配置される複数の冷却フィンを備えており、
前記複数の冷却フィンは、前記回転軸の周方向で隣り合う前記複数の連通孔の間に配置されていることを特徴とする遠心圧縮機。
【請求項2】
前記流体通路には、前記第1孔を通って前記流体通路に流れ込む流体を前記複数の冷却フィンに向けて案内する案内壁が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の遠心圧縮機。
【請求項3】
前記案内壁は、前記回転軸に設けられるとともに前記回転軸の外周面から環状に突出していることを特徴とする請求項2に記載の遠心圧縮機。
【請求項4】
前記案内壁は、前記複数の冷却フィンにおける前記回転軸側の端縁に固定される筒状の固定部を有していることを特徴とする請求項2に記載の遠心圧縮機。
【請求項5】
前記案内壁は、前記第1壁構成体における前記第1孔の周囲に設けられるとともに前記第1孔を通過した空気を前記複数の冷却フィンに向けて案内することを特徴とする請求項2に記載の遠心圧縮機。
【請求項6】
前記案内壁は、前記回転軸の外周面に形成されていることを特徴とする請求項2に記載の遠心圧縮機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遠心圧縮機に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1に開示されているように、遠心圧縮機は、回転軸と、インペラと、を備えている。インペラは、回転軸と一体的に回転することで流体を圧縮する。遠心圧縮機は、モータと、ハウジングと、を備えている。モータは、回転軸を回転させる。ハウジングは、インペラ室、モータ室、及び仕切壁を有している。インペラ室は、インペラを収容する。モータ室は、モータを収容する。仕切壁は、インペラ室とモータ室とを仕切る。仕切壁には、回転軸が挿通される挿通孔が形成されている。
【0003】
ところで、このような遠心圧縮機においては、遠心圧縮機の耐久性の向上を図るために、モータを冷却することが望まれている。そこで、インペラによって圧縮された流体の一部を、インペラによって圧縮された後の流体の温度よりも低い温度の状態でモータ室内へ導入することが考えられている。このように、インペラによって圧縮された流体の一部が、インペラによって圧縮された後の流体の温度よりも低い温度の状態でモータ室内へ導入されることにより、モータが流体によって冷却される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2015-187444号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このような遠心圧縮機においては、インペラの背面に洩れた流体が、挿通孔を介してモータ室内に侵入してしまう虞がある。インペラの背面に洩れた流体が、挿通孔を介してモータ室内に侵入してしまうと、モータ室内に侵入した流体によってモータが暖められてしまう。その結果、モータを冷却することが困難となる虞がある。すると、遠心圧縮機の耐久性が低下する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決する遠心圧縮機は、回転軸と、前記回転軸と一体的に回転することで流体を圧縮するインペラと、前記回転軸を回転させるモータと、前記インペラを収容するインペラ室、前記モータを収容するモータ室、及び前記インペラ室と前記モータ室とを仕切るとともに前記回転軸が挿通される挿通孔が形成されている仕切壁を有するハウジングと、を備えている遠心圧縮機であって、前記仕切壁は、前記インペラ室を区画するとともに前記挿通孔の一部を形成する第1孔を有する第1壁構成体と、前記モータ室を区画するとともに前記挿通孔の一部を形成し、且つ、前記回転軸との間に軸受が配置される第2孔を有する第2壁構成体と、前記回転軸の外周域であって前記第1壁構成体と前記第2壁構成体とに囲まれた流体通路と、を有し、前記第2壁構成体には、前記流体通路と前記モータ室とを連通するとともに前記第2孔よりも前記回転軸の径方向外側に設けられる複数の連通孔が形成され、前記インペラの背面に洩れる流体は、前記第1孔を通って前記流体通路に流れ、前記連通孔及び前記第2孔を通って前記モータ室に流れるようになっており、前記仕切壁は、前記流体通路に設けられるとともに前記回転軸の回転軸線に対して放射状に延びることで前記回転軸の周りに配置される複数の冷却フィンを備えており、前記複数の冷却フィンは、前記回転軸の周方向で隣り合う前記複数の連通孔の間に配置されている。
【0007】
これによれば、インペラの背面に洩れた流体が、第1孔を通って流体通路を流れる際に、複数の冷却フィンを介してハウジングに放熱される。したがって、インペラの背面に洩れた流体を冷却することができる。そして、冷却された空気が、流体通路から連通孔及び第2孔を通ってモータ室に流れる。よって、インペラの背面に洩れた流体を利用して、モータを冷却することができる。その結果、遠心圧縮機の耐久性の向上を図ることができる。
【0008】
上記遠心圧縮機において、前記流体通路には、前記第1孔を通って前記流体通路に流れ込む流体を前記複数の冷却フィンに向けて案内する案内壁が設けられているとよい。
これによれば、案内壁によって、第1孔を通って流体通路に流れ込む流体が複数の冷却フィンに向けて案内されるため、流体が複数の冷却フィンを介してハウジングに放熱され易くなる。したがって、インペラの背面に洩れた流体を効率良く冷却することができる。その結果、インペラの背面に洩れた流体を利用して、モータを効率良く冷却することができる。
【0009】
上記遠心圧縮機において、前記案内壁は、前記回転軸に設けられるとともに前記回転軸の外周面から環状に突出しているとよい。
これによれば、案内壁が回転軸に設けられているため、案内壁が回転軸と一体的に回転する。そして、案内壁は、回転軸の外周面から環状に突出しているため、案内壁によって案内される流体は、回転軸の回転に伴う遠心力により回転軸の径方向外側へ広がり易い。したがって、案内壁によって、第1孔を通って流体通路に流れ込む流体が複数の冷却フィンに向けて案内され易くなるため、流体が複数の冷却フィンを介してハウジングに放熱され易くなる。よって、インペラの背面に洩れた流体を効率良く冷却することができる。その結果、インペラの背面に洩れた流体を利用して、モータを効率良く冷却することができる。
【0010】
上記遠心圧縮機において、前記案内壁は、前記複数の冷却フィンにおける前記回転軸側の端縁に固定される筒状の固定部を有しているとよい。
これによれば、案内壁が固定部を介して複数の冷却フィンと熱的に結合される。したがって、第1孔を通って流体通路に流れ込む空気は、案内壁によって複数の冷却フィンに向けて案内されると同時に固定部及び各冷却フィンを介してハウジングに放熱される。よって、インペラの背面に洩れた流体を効率良く冷却することができる。その結果、インペラの背面に洩れた流体を利用して、モータを効率良く冷却することができる。
【0011】
上記遠心圧縮機において、前記案内壁は、前記第1壁構成体における前記第1孔の周囲に設けられるとともに前記第1孔を通過した空気を前記複数の冷却フィンに向けて案内するとよい。
【0012】
これによれば、案内壁が第1壁構成体における第1孔の周囲に設けられている。したがって、案内壁をハウジングと一体的に設けることができる。よって、遠心圧縮機の構成を簡素化することができる。
【0013】
上記遠心圧縮機において、前記案内壁は、前記回転軸の外周面に形成されているとよい。
これによれば、回転軸の外周面が、第1孔を通って流体通路に流れ込む流体を複数の冷却フィンに向けて案内する案内壁として機能するため、回転軸とは別の部材を流体通路に案内壁として配置する必要が無い。したがって、遠心圧縮機の構成を簡素化することができる。
【発明の効果】
【0014】
この発明によれば、遠心圧縮機の耐久性の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】第1実施形態における遠心圧縮機の断面図である。
図2】遠心圧縮機の一部分を拡大して示す断面図である。
図3図2における3-3線断面図である。
図4】第2実施形態における遠心圧縮機の一部分を拡大して示す断面図である。
図5図4における5-5線断面図である。
図6】第3実施形態における遠心圧縮機の一部分を拡大して示す断面図である。
図7】第4実施形態における遠心圧縮機の一部分を拡大して示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
[第1実施形態]
以下、遠心圧縮機を具体化した第1実施形態を図1図3にしたがって説明する。なお、以下に説明する実施形態の遠心圧縮機は、燃料電池車に搭載されている。遠心圧縮機は、燃料電池スタックに供給される流体としての空気を圧縮する。
【0017】
<遠心圧縮機10の基本構成>
図1に示すように、遠心圧縮機10は、ハウジング11を備えている。ハウジング11は、金属材料製である。ハウジング11は、例えば、アルミニウム製である。ハウジング11は、モータハウジング12、第1コンプレッサハウジング13、第2コンプレッサハウジング14、第1プレート15、第2プレート16、及び第3プレート17を有している。
【0018】
モータハウジング12は、端壁12aと、周壁12bと、を有している。端壁12aは、板状である。周壁12bは、端壁12aの外周部から筒状に延びている。周壁12bには、冷却水通路12cが形成されている。冷却水通路12cには、冷却水が流れている。モータハウジング12は、冷却水通路12cを流れる冷却水によって冷却されている。
【0019】
第1プレート15は、モータハウジング12の周壁12bの開口側の端部に連結されている。第1プレート15は、モータハウジング12の周壁12bの開口を閉塞している。そして、モータハウジング12及び第1プレート15によってモータ室18が区画されている。したがって、ハウジング11は、モータ室18を有している。
【0020】
第2プレート16は、モータハウジング12の端壁12aの外面に連結されている。第2プレート16は、第2プレート16の厚み方向がモータハウジング12の端壁12aの厚み方向に一致した状態で、モータハウジング12の端壁12aに取り付けられている。
【0021】
遠心圧縮機10は、モータ20を備えている。モータ20は、モータ室18に収容されている。したがって、モータ室18は、モータ20を収容する。モータハウジング12は、モータ20を取り囲んでいる。
【0022】
遠心圧縮機10は、第1軸受保持部21を備えている。第1軸受保持部21は、第1プレート15の中央部からモータ室18内に突出している。したがって、第1プレート15は、第1軸受保持部21を有している。第1軸受保持部21は、円筒状である。第1軸受保持部21の内側は、モータ室18に連通している。
【0023】
第1プレート15は、室形成凹部22を有している。室形成凹部22は、第1プレート15におけるモータハウジング12とは反対側の端面に形成されている。室形成凹部22は、円孔状である。第1軸受保持部21の内側は、第1プレート15を貫通して室形成凹部22の底面に開口している。室形成凹部22の軸線と第1軸受保持部21の軸線とは一致している。
【0024】
第3プレート17は、第1プレート15におけるモータハウジング12とは反対側の端面に連結されている。第3プレート17は、第3プレート17の厚み方向が第1プレート15の厚み方向に一致した状態で、第1プレート15に取り付けられている。第3プレート17は、第1挿通孔23を有している。第1挿通孔23は、第3プレート17の中央部に形成されている。第1挿通孔23の軸線は、室形成凹部22の軸線、及び第1軸受保持部21の軸線と一致している。そして、室形成凹部22と第3プレート17とによって、スラスト軸受収容室24が区画されている。スラスト軸受収容室24は、第1軸受保持部21の内側に連通している。また、スラスト軸受収容室24は、第1挿通孔23に連通している。したがって、第1軸受保持部21は、スラスト軸受収容室24を介して第1挿通孔23に連通している。
【0025】
遠心圧縮機10は、第2軸受保持部25を備えている。第2軸受保持部25は、モータハウジング12の端壁12aの中央部からモータ室18内に突出している。したがって、モータハウジング12は、第2軸受保持部25を有している。第2軸受保持部25は、円筒状である。第2軸受保持部25の内側は、モータ室18に連通している。
【0026】
ハウジング11は、第2挿通孔26を有している。第2挿通孔26は、モータハウジング12の端壁12aの中央部、及び第2プレート16の中央部を貫通している。第2軸受保持部25の内側は、第2挿通孔26の一部である。
【0027】
第1コンプレッサハウジング13は、空気が吸入される円孔状の第1吸入口27を有する筒状である。第1コンプレッサハウジング13は、第1吸入口27の軸線が、第1挿通孔23の軸線と一致した状態で第3プレート17における第1プレート15とは反対側の端面に連結されている。第1吸入口27は、第1コンプレッサハウジング13における第3プレート17とは反対側の端面に開口している。第1吸入口27には、図示しないエアクリーナによって清浄化された空気が流れる。
【0028】
遠心圧縮機10は、第1インペラ室28、第1吐出室29、及び第1ディフューザ流路30を備えている。第1インペラ室28、第1吐出室29、及び第1ディフューザ流路30は、第1コンプレッサハウジング13と第3プレート17との間に形成されている。したがって、ハウジング11は、第1インペラ室28を有している。第1プレート15及び第3プレート17は、第1インペラ室28とモータ室18とを仕切る仕切壁を構成している。第1インペラ室28は、第1吸入口27に連通している。第1吐出室29は、第1インペラ室28の周囲で第1吸入口27の軸線周りに延びている。第1ディフューザ流路30は、第1インペラ室28と第1吐出室29とを連通している。第1インペラ室28は、第1挿通孔23に連通している。
【0029】
遠心圧縮機10は、第1吐出通路31を有している。第1吐出通路31の第1端は、第1吐出室29に連通している。第1吐出通路31の第2端は、第1コンプレッサハウジング13の外周面に開口している。
【0030】
第2コンプレッサハウジング14は、空気が吸入される円孔状の第2吸入口32を有する筒状である。第2コンプレッサハウジング14は、第2吸入口32の軸線が、第2挿通孔26の軸線と一致した状態で第2プレート16におけるモータハウジング12とは反対側の端面に連結されている。第2吸入口32は、第2コンプレッサハウジング14における第2プレート16とは反対側の端面に開口している。
【0031】
遠心圧縮機10は、第2インペラ室33、第2吐出室34、及び第2ディフューザ流路35を備えている。第2インペラ室33、第2吐出室34、及び第2ディフューザ流路35は、第2コンプレッサハウジング14と第2プレート16との間に形成されている。したがって、ハウジング11は、第2インペラ室33を有している。モータハウジング12の端壁12a、及び第2プレート16は、第2インペラ室33とモータ室18とを仕切る仕切壁を構成している。第2インペラ室33は、第2吸入口32に連通している。第2吐出室34は、第2インペラ室33の周囲で第2吸入口32の軸線周りに延びている。第2ディフューザ流路35は、第2インペラ室33と第2吐出室34とを連通している。第2インペラ室33は、第2挿通孔26に連通している。
【0032】
遠心圧縮機10は、第2吐出通路36を有している。第2吐出通路36の第1端は、第2吐出室34に連通している。第2吐出通路36の第2端は、第2コンプレッサハウジング14の外周面に開口している。第2吐出通路36には、供給配管37が接続されている。供給配管37は、燃料電池スタック38に接続されている。供給配管37の第1端は、第2吐出通路36に接続されている。供給配管37の第2端は、燃料電池スタック38に接続されている。第2吐出室34は、第2吐出通路36及び供給配管37を介して燃料電池スタック38に接続されている。
【0033】
遠心圧縮機10は、接続配管39を備えている。接続配管39の第1端は、第1吐出通路31に連通している。接続配管39の第2端は、第2吸入口32に連通している。接続配管39内には、第1吐出室29から第1吐出通路31に吐出された空気が流れる。そして、接続配管39内を通過した空気は、第2吸入口32を介して第2インペラ室33に吸入される。
【0034】
遠心圧縮機10は、回転体40を備えている。回転体40は、回転軸41、第1インペラ42、第2インペラ43、及び支持部44を含む。回転軸41は、ハウジング11内に収容されている。
【0035】
回転軸41は、モータハウジング12の軸線に沿って延びた状態で、モータ室18を横切っている。回転軸41の軸方向は、モータハウジング12の軸方向に一致している。回転軸41の第1端部は、モータ室18から第1軸受保持部21の内側、スラスト軸受収容室24、及び第1挿通孔23を通過して、第1インペラ室28内に突出している。したがって、第1挿通孔23は、回転軸41が挿通される挿通孔である。このように、ハウジング11は、第1インペラ室28とモータ室18とを仕切るとともに回転軸41が挿通される第1挿通孔23が形成されている仕切壁を有している。
【0036】
回転軸41の第2端部は、モータ室18から第2挿通孔26を通過して、第2インペラ室33内に突出している。したがって、第2挿通孔26は、回転軸41が挿通される挿通孔である。このように、ハウジング11は、第2インペラ室33とモータ室18とを仕切るとともに回転軸41が挿通される第2挿通孔26が形成されている仕切壁を有している。
【0037】
第1インペラ42は、回転軸41の第1端に連結されている。第1インペラ42は、第1インペラ室28に収容されている。したがって、第1インペラ室28は、第1インペラ42を収容する。第1インペラ42は、回転軸41と一体的に回転することで第1インペラ室28に吸入された空気を圧縮する。したがって、第1インペラ42は、空気を圧縮するインペラである。よって、第1インペラ室28は、インペラを収容するインペラ室である。
【0038】
第2インペラ43は、回転軸41の第2端に連結されている。第2インペラ43は、第2インペラ室33に収容されている。したがって、第2インペラ室33は、第2インペラ43を収容する。第2インペラ43は、回転軸41と一体的に回転することで第2インペラ室33に吸入された空気を圧縮する。したがって、第2インペラ43は、空気を圧縮するインペラである。よって、第2インペラ室33は、インペラを収容するインペラ室である。したがって、ハウジング11は、インペラを収容するインペラ室を有している。第2インペラ43は、第1インペラ42によって圧縮された後の空気を圧縮する。
【0039】
支持部44は、回転軸41の外周面から環状に突出している。支持部44は、円板状である。支持部44は、回転軸41の外周面から径方向外側へ環状に突出した状態で、回転軸41の外周面に固定されている。したがって、支持部44は、回転軸41とは別体である。支持部44は、スラスト軸受収容室24内に配置されている。支持部44は、回転軸41と一体的に回転する。
【0040】
遠心圧縮機10は、シール部材45を備えている。シール部材45は、第1挿通孔23と回転軸41との間に設けられている。シール部材45は、第1インペラ室28からモータ室18に向かう空気の洩れを抑制する。シール部材45は、例えば、シールリングである。
【0041】
モータ20は、筒状のロータ47と、筒状のステータ48と、を備えている。ロータ47は、回転軸41に固定されている。ステータ48は、ハウジング11に固定されている。ロータ47は、ステータ48の径方向内側に配置されている。ロータ47は、回転軸41と一体的に回転する。ロータ47は、回転軸41に固定された円筒状のロータコア49と、ロータコア49に設けられた図示しない複数の永久磁石と、を有している。ステータ48は、ロータ47を取り囲んでいる。ステータ48は、円筒状のステータコア50と、コイル51と、を有している。ステータコア50は、モータハウジング12の内周面に固定されている。コイル51は、ステータコア50に巻回されている。
【0042】
回転軸41は、図示しないバッテリからコイル51に電流が流れることによって、ロータ47と一体的に回転する。したがって、モータ20は、回転軸41を回転させる。モータ20は、回転軸41の軸方向において、第1インペラ42と第2インペラ43との間に配置されている。
【0043】
遠心圧縮機10は、第1ラジアル軸受52を備えている。第1ラジアル軸受52は円筒状である。第1ラジアル軸受52は、第1軸受保持部21に保持されている。第1ラジアル軸受52は、回転軸41におけるモータ20よりも回転軸41の第1端部寄りに位置する部位を回転可能に支持する。したがって、第1ラジアル軸受52は、回転軸41を回転可能に支持する軸受である。そして、第1軸受保持部21は、軸受を保持する軸受保持部である。
【0044】
遠心圧縮機10は、第2ラジアル軸受53を備えている。第2ラジアル軸受53は円筒状である。第2ラジアル軸受53は、第2軸受保持部25に保持されている。第2ラジアル軸受53は、回転軸41におけるモータ20よりも回転軸41の第2端部寄りに位置する部位を回転可能に支持する。したがって、第2ラジアル軸受53は、回転軸41を回転可能に支持する軸受である。そして、第2軸受保持部25は、軸受を保持する軸受保持部である。
【0045】
第1ラジアル軸受52及び第2ラジアル軸受53は、モータ20を回転軸41の軸方向で挟んだ両側の位置で回転軸41をラジアル方向で回転可能に支持する。なお、「ラジアル方向」とは、回転軸41の軸方向に対して直交する方向である。
【0046】
遠心圧縮機10は、スラスト軸受54を備えている。スラスト軸受54は、スラスト軸受収容室24に収容されている。したがって、スラスト軸受収容室24は、スラスト軸受54を収容する。スラスト軸受54は、支持部44をスラスト方向で回転可能に支持する。したがって、スラスト軸受54は、支持部44を介して回転軸41を回転可能に支持する。なお、「スラスト方向」とは、回転軸41の回転軸線方向に対して平行な方向である。
【0047】
第1吸入口27を介して第1インペラ室28に吸入された空気は、第1インペラ42の回転によって加速されながら、第1ディフューザ流路30に送り込まれて、第1ディフューザ流路30を通過することにより昇圧される。そして、第1ディフューザ流路30を通過した空気は、第1吐出室29に吐出される。第1吐出室29に吐出された空気は、第1吐出通路31に吐出される。第1吐出通路31に吐出された空気は、接続配管39及び第2吸入口32を介して第2インペラ室33に吸入される。第2インペラ室33に吸入された空気は、第2インペラ43の回転によって加速されながら、第2ディフューザ流路35に送り込まれて、第2ディフューザ流路35を通過することにより昇圧される。そして、第2ディフューザ流路35を通過した空気は、第2吐出室34に吐出される。第2吐出室34に吐出された空気は、第2吐出通路36に吐出される。第2吐出通路36に吐出された空気は、供給配管37を介して燃料電池スタック38に供給される。したがって、遠心圧縮機10は、燃料電池スタック38に対して空気を供給する。燃料電池スタック38に供給された空気に含まれる酸素は、燃料電池スタック38の発電に寄与する。
【0048】
回転体40は、回転軸41、及び回転軸41と一体的に回転することで空気を圧縮する第1インペラ42及び第2インペラ43を含む。したがって、回転体40は、インペラを含む。第1吐出室29は、第1インペラ42によって圧縮された空気が吐出される吐出室である。第2吐出室34は、第2インペラ43によって圧縮された空気が吐出される吐出室である。したがって、ハウジング11は、吐出室を有している。
【0049】
遠心圧縮機10は、導入通路56を備えている。導入通路56は、第1プレート15に形成されている。導入通路56の第1端は、第1プレート15の外周面に開口している。導入通路56の第2端は、スラスト軸受収容室24に連通している。
【0050】
導入通路56の第1端には、分岐配管57が接続されている。分岐配管57は、供給配管37の途中から分岐されている。分岐配管57の第1端は、供給配管37に接続されている。分岐配管57の第2端は、導入通路56の第1端に接続されている。分岐配管57の途中には、インタークーラ58が設けられている。インタークーラ58は、分岐配管57内を流れる空気を冷却する。
【0051】
供給配管37を流れる空気の一部は、分岐配管57に流れ込む。分岐配管57を流れる空気は、インタークーラ58によって冷却される。これにより、インタークーラ58を通過した空気は、第2吐出室34に吐出された空気の温度よりも低い温度となる。そして、インタークーラ58によって冷却された空気は、導入通路56、スラスト軸受収容室24、及び第1軸受保持部21の内側を通過してモータ室18内へ導入される。したがって、導入通路56は、第2インペラ43によって圧縮された空気の一部を、第2吐出室34に吐出された空気の温度よりも低い温度の状態でモータ室18内へ導入する。
【0052】
遠心圧縮機10は、排出路59を備えている。排出路59は、モータハウジング12の周壁12bに形成されている。排出路59の第1端は、モータ室18内に連通している。排出路59の第2端は、モータハウジング12の周壁12bの外周面に開口している。したがって、排出路59は、ハウジング11の外部に連通している。そして、モータ室18内の空気は、排出路59を介してハウジング11の外部へ排出される。
【0053】
図2に示すように、第2インペラ43は、背面43aから先端に向かうに従って徐々に縮径した筒状である。第2インペラ43の背面43aは、第2プレート16に対向している。よって、第2プレート16は、第2インペラ43の背面43aに対向する対向面16aを有している。第2インペラ43は、貫通孔43hを有している。貫通孔43hの軸線は、第2インペラ43の回転軸線に一致している。なお、第2インペラ43の回転軸線は、回転軸41の回転軸線でもある。回転軸41の回転軸線は、回転体40の回転軸線L1である。
【0054】
第2インペラ43は、円筒状のボス部43bを有している。ボス部43bは、第2インペラ43の背面43aの中央部から突出している。ボス部43bの内側は、貫通孔43hに連通している。回転軸41は、ボス部43bの内側及び貫通孔43hを通過している。ボス部43bは、第2挿通孔26に入り込んでいる。したがって、ボス部43bは、第2挿通孔26の内側に配置されている。ボス部43bは、回転体40における第2挿通孔26の内側に位置する部分である。
【0055】
第2インペラ43において、ボス部43b、及び第2インペラ43におけるボス部43bに対して回転軸41の軸方向で重なる部位は、回転軸41の一部を構成しているとも言える。そして、第2インペラ43において、ボス部43b、及び第2インペラ43におけるボス部43bに対して回転軸41の軸方向で重なる部位を除く部位は、回転軸41と一体的に回転することで空気を圧縮するインペラとして機能する部分と言える。
【0056】
<第1孔61及び第2孔62>
第2プレート16は、第2挿通孔26の一部を形成する第1孔61を有している。第1孔61は、第2プレート16の中央部を貫通している。第1孔61は、対向面16aに連続している。第2プレート16は、第2インペラ室33を区画する第1壁構成体である。
【0057】
モータハウジング12の端壁12aは、第2挿通孔26の一部を形成する第2孔62を有している。第2孔62は、第2軸受保持部25の内側である。第2孔62には、回転軸41との間に第2ラジアル軸受53が配置されている。モータハウジング12の端壁12aは、モータ室18を区画するとともに第2挿通孔26の一部を形成し、且つ、回転軸41との間に第2ラジアル軸受53が配置される第2孔62を有する第2壁構成体である。したがって、仕切壁は、第1壁構成体と、第2壁構成体と、を有している。
【0058】
<流体通路75>
モータハウジング12の端壁12aの外面には、通路形成凹部12dが形成されている。通路形成凹部は、大径孔62aと、小径孔62bと、を有している。小径孔62bの孔径は、大径孔62aの孔径よりも小さい。小径孔62bは、第2孔62に連通している。第2孔62の内周面と小径孔62bの内周面とは、環状の第1段差面62dによって接続されている。小径孔62bにおける第2孔62とは反対側の端部は、大径孔62aに連通している。小径孔62bの内周面と大径孔62aの内周面とは、環状の第2段差面62eによって接続されている。大径孔62aにおける小径孔62bとは反対側の端部は、モータハウジング12の端壁12aの外面に開口している。第2プレート16は、大径孔62aの開口を閉塞している。そして、大径孔62aにおける小径孔62bとは反対側の端部は、第1孔61に連通している。したがって、通路形成凹部12dの内側の空間は、第1孔61と第2孔62とを連通している。通路形成凹部12dの内側の空間には、回転軸41が通過している。
【0059】
通路形成凹部12dの内側の空間は、流体通路75になっている。流体通路75は、回転軸41の外周域であって第2プレート16とモータハウジング12の端壁12aとに囲まれている。したがって、仕切壁は、回転軸41の外周域であって第2プレート16とモータハウジング12の端壁12aとに囲まれた流体通路75を有している。
【0060】
<軸部63>
回転軸41は、軸部63を有している。軸部63は、第1軸部64、第2軸部65、第3軸部66、及び第4軸部67を有している。第1軸部64の外径は、第2軸部65の外径、第3軸部66の外径、及び第4軸部67の外径よりも大きい。第2軸部65の外径は、第3軸部66の外径及び第4軸部67の外径よりも大きい。第3軸部66の外径は、第4軸部67の外径よりも大きい。
【0061】
第2軸部65は、第1軸部64の端面から突出している。第3軸部66は、第2軸部65の端面から突出している。第4軸部67は、第3軸部66の端面から突出している。第1軸部64の軸線、第2軸部65の軸線、第3軸部66の軸線、及び第4軸部67の軸線それぞれは一致している。したがって、第1軸部64の軸線、第2軸部65の軸線、第3軸部66の軸線、及び第4軸部67の軸線それぞれは同一直線上に延びている。
【0062】
第1軸部64は、モータ室18内から第2孔62を通過して小径孔62b内に至るまで延びている。第2軸部65は、小径孔62b内から大径孔62a内に至るまで延びている。第3軸部66は、大径孔62a内に配置されている。第4軸部67は、第1孔61内に挿入されるとともにボス部43bの内側及び貫通孔43h内を貫通している。
【0063】
<連通孔68>
図2及び図3に示すように、モータハウジング12の端壁12aには、複数の連通孔68が形成されている。各連通孔68は、モータハウジング12の端壁12aを貫通している。各連通孔68の第1端は、第1段差面62dに開口している。各連通孔68の第2端は、モータハウジング12の端壁12aにおけるモータ室18側の面に開口している。そして、各連通孔68は、流体通路75とモータ室18とを連通している。したがって、複数の連通孔68は、流体通路75とモータ室18とを連通するとともに第2孔62よりも回転軸41の径方向外側に設けられている。第2挿通孔26の内側とモータ室18とを連通している。複数の連通孔68は、回転軸41の周方向で所定の間隔を置いてそれぞれ配置されている。
【0064】
<冷却フィン70>
モータハウジング12の端壁12aは、複数の冷却フィン70を備えている。複数の冷却フィン70は、流体通路75に設けられている。各冷却フィン70は、平板状の薄板である。各冷却フィン70は、小径孔62bの内周面から回転軸41の回転軸線に向けて突出している。複数の冷却フィン70は、回転軸41の回転軸線に対して放射状に延びている。複数の冷却フィン70は、回転軸41の周りに配置されている。各冷却フィン70における小径孔62bの内周面からの長さはそれぞれ同じである。各冷却フィン70における回転軸41側の端縁それぞれは、回転軸41の回転軸線を中心とした同一円上に位置している。
【0065】
図3に示すように、各冷却フィン70は、回転軸41の周方向で隣り合う複数の連通孔68の間に配置されている。したがって、各冷却フィン70は、各連通孔68を閉塞することが無い位置に配置されている。図2に示すように、各冷却フィン70は、第1段差面62dに連続している。各冷却フィン70は、モータハウジング12の端壁12aに一体形成されている。各冷却フィン70は、モータハウジング12の端壁12aに熱的に結合されている。各冷却フィン70は、第1孔61を通って流体通路75に流れ込む空気を回転軸41の回転軸線に対して外周域に向けて案内する。各冷却フィン70は、第1孔61を通って流体通路75に流れ込む空気との熱交換を行う。
【0066】
<案内壁71>
図2及び図3に示すように、流体通路75には、案内壁71が設けられている。案内壁71は、円環状である。案内壁71は、回転軸41に設けられている。案内壁71は、回転軸41の第3軸部66の外周面から環状に突出している。したがって、案内壁71は、回転軸41に設けられるとともに回転軸41の外周面から環状に突出している。案内壁71は、第3軸部66の外周面に圧入されることにより固定されている。案内壁71は、大径孔62a内に配置されている。案内壁71は、回転軸41と一体的に回転する。案内壁71は、複数の冷却フィン70よりも第1孔61寄りに配置されている。案内壁71の外周部は、複数の冷却フィン70と回転軸41の軸方向で重なっている。案内壁71は、第1孔61を通って流体通路75に流れ込む空気を複数の冷却フィン70に向けて案内する。
【0067】
[第1実施形態の作用]
次に、第1実施形態の作用について説明する。
スラスト軸受54は、導入通路56からスラスト軸受収容室24内に導入された空気によって冷却される。スラスト軸受収容室24内の空気は、第1軸受保持部21の内側を通過する。第1ラジアル軸受52は、第1軸受保持部21の内側を通過する空気によって冷却される。第1軸受保持部21の内側を通過した空気は、モータ室18内へ導入される。モータ20は、モータ室18に導入された空気によって冷却される。遠心圧縮機10においては、第2インペラ43によって圧縮された空気の一部を、第2吐出室34に吐出された空気の温度よりも低い温度の状態でモータ室18内へ導入することにより、スラスト軸受54、第1ラジアル軸受52、及びモータ20を冷却する。モータ室18内に導入された空気は、排出路59を介してハウジング11の外部へ排出される。
【0068】
ところで、第2インペラ43によって圧縮されて第2吐出室34に吐出される空気の一部は、第2インペラ43の背面43aに洩れる。具体的には、第2インペラ43によって圧縮されて第2吐出室34に吐出される空気の一部は、第2インペラ43の背面43aと第2プレート16との間の空隙72に流れ込む。そして、第2インペラ43の背面43aに洩れた空気は、第1孔61内に流れ込む。
【0069】
第1孔61を通った空気は、流体通路75に流れ込む。そして、流体通路75に流れ込んだ空気は、案内壁71に衝突する。案内壁71に衝突した空気は、回転軸41の回転に伴う遠心力により回転軸41の径方向外側へ広がるとともに複数の冷却フィン70に向けて案内される。
【0070】
そして、案内壁71によって、複数の冷却フィン70に向けて案内された空気は、複数の冷却フィン70との熱交換が行われることにより、複数の冷却フィン70を介してモータハウジング12に放熱される。このように、複数の冷却フィン70は、第2インペラ43の背面43aに洩れた空気との熱交換を行う。これにより、第2インペラ43の背面43aに洩れた空気が冷却される。
【0071】
複数の冷却フィン70との熱交換が行われた後の空気は、各連通孔68及び第2孔62を通ってモータ室18に流れる。したがって、第2インペラ43の背面43aに洩れた空気は、第1孔61を通って流体通路75に流れ、連通孔68及び第2孔62を通ってモータ室18に流れるようになっている。第2ラジアル軸受53は、第2孔62を通過する空気によって冷却される。
【0072】
[第1実施形態の効果]
第1実施形態では以下の効果を得ることができる。
(1-1)モータハウジング12の端壁12aには、流体通路75とモータ室18とを連通するとともに第2孔62よりも回転軸41の径方向外側に設けられる複数の連通孔68が形成されている。第2インペラ43の背面43aに洩れる空気は、第1孔61を通って流体通路75に流れ、連通孔68及び第2孔62を通ってモータ室18に流れるようになっている。モータハウジング12の端壁12aは、流体通路75に設けられるとともに回転軸41の回転軸線に対して放射状に延びることで回転軸41の周りに配置される複数の冷却フィン70を備えている。複数の冷却フィン70は、回転軸41の周方向で隣り合う複数の連通孔68の間に配置されている。これによれば、第2インペラ43の背面43aに洩れた流体が、第1孔61を通って流体通路75を流れる際に、複数の冷却フィン70を介してモータハウジング12に放熱される。したがって、第2インペラ43の背面43aに洩れた空気を冷却することができる。そして、冷却された空気が、流体通路75から連通孔68及び第2孔62を通ってモータ室18に流れる。よって、第2インペラ43の背面43aに洩れた空気を利用して、モータ20を冷却することができる。その結果、遠心圧縮機10の耐久性の向上を図ることができる。
【0073】
(1-2)流体通路75には、第1孔61を通って流体通路75に流れ込む空気を複数の冷却フィン70に向けて案内する案内壁71が設けられている。これによれば、案内壁71によって、第1孔61を通って流体通路75に流れ込む空気が複数の冷却フィン70に向けて案内されるため、空気が複数の冷却フィン70を介してモータハウジング12に放熱され易くなる。したがって、第2インペラ43の背面43aに洩れた空気を効率良く冷却することができる。その結果、第2インペラ43の背面43aに洩れた空気を利用して、モータ20を効率良く冷却することができる。
【0074】
(1-3)案内壁71が回転軸41に設けられているため、案内壁71が回転軸41と一体的に回転する。そして、案内壁71は、回転軸41の外周面から環状に突出しているため、案内壁71によって案内される空気は、回転軸41の回転に伴う遠心力により回転軸41の径方向外側へ広がり易い。したがって、案内壁71によって、第1孔61を通って流体通路75に流れ込む空気が複数の冷却フィン70に向けて案内され易くなるため、空気が複数の冷却フィン70を介してモータハウジング12に放熱され易くなる。よって、第2インペラ43の背面43aに洩れた空気を効率良く冷却することができる。その結果、第2インペラ43の背面43aに洩れた空気を利用して、モータ20を効率良く冷却することができる。
【0075】
(1-4)第2孔62を通過する空気によって第2ラジアル軸受53を冷却することができる。一方で、第2ラジアル軸受53を冷却した空気は、第2ラジアル軸受53を冷却する前に比べると温度が上昇している。このとき、流体通路75から各連通孔68を介してモータ室18内に流れる空気の温度は、第2孔62を通過してモータ室18内に流れる空気の温度に比べて低い。したがって、第2孔62を通過せずに各連通孔68を介してモータ室18内に流れる空気によって、モータ20を効率良く冷却することができる。
【0076】
(1-5)第2インペラ43によって圧縮された空気は、第1インペラ42によって圧縮された後の空気を再び圧縮しているため、第1インペラ42によって圧縮された後の空気に比べると温度が高い。また、第2インペラ43によって圧縮された空気は、第1インペラ42によって圧縮された後の空気に比べると圧力が高いため、第2挿通孔26を介してモータ室18内に空気が洩れ易い。したがって、第2インペラ43の背面43aに洩れた空気が冷却されずにそのままの状態でモータ室18内に侵入してしまうと、モータ20を暖めてしまうことになる。しかし、本実施形態では、第2インペラ43の背面43aに洩れた空気を冷却することができるため、モータ20が暖められてしまうことを抑制することができる。
【0077】
[第2実施形態]
以下、遠心圧縮機を具体化した第2実施形態を図4及び図5にしたがって説明する。なお、以下に説明する実施形態では、既に説明した第1実施形態と同一構成について同一符号を付すなどして、その重複する説明を省略又は簡略する。第2実施形態では、案内壁が回転軸に設けられているのではなく、複数の冷却フィンに固定されている点が第1実施形態とは異なる。
【0078】
図4及び図5に示すように、案内壁81は、固定部82と、案内部83と、を有している。固定部82は、円筒状である。案内部83は、円環状である。案内部83は、固定部82の軸方向の端部の外周面から固定部82の径方向外側へ突出している。
【0079】
固定部82は、複数の冷却フィン70における回転軸41側の端縁よりも内側に挿入されている。固定部82は、複数の冷却フィン70における回転軸41側の端縁に嵌め込まれている。固定部82は、複数の冷却フィン70における回転軸41側の端縁に固定されている。よって、案内壁81は、固定部82を介して複数の冷却フィン70と熱的に結合されている。
【0080】
案内部83は、複数の冷却フィン70よりも第1孔61寄りに配置されている。案内部83は、大径孔62a内に配置されている。案内部83は、複数の冷却フィン70と回転軸41の軸方向で重なっている。
【0081】
[第2実施形態の作用]
次に、第2実施形態の作用について説明する。
第1孔61を通った空気は、流体通路75に流れ込む。そして、流体通路75に流れ込んだ空気は、案内壁81の案内部83に衝突する。案内部83に衝突した空気は、複数の冷却フィン70に向けて案内される。したがって、案内壁81は、第1孔61を通って流体通路75に流れ込む空気を複数の冷却フィン70に向けて案内する。
【0082】
そして、案内部83によって、複数の冷却フィン70に向けて案内された空気は、複数の冷却フィン70との熱交換が行われることにより、複数の冷却フィン70を介してモータハウジング12に放熱される。また、第1孔61を通って流体通路75に流れ込む空気は、案内壁81によって複数の冷却フィン70に向けて案内されると同時に固定部82及び各冷却フィン70を介してモータハウジング12に放熱される。これにより、第2インペラ43の背面43aに洩れた空気が冷却される。
【0083】
[第2実施形態の効果]
第2実施形態では、第1実施形態の効果(1-3)を除く全ての効果に加えて、以下の効果を得ることができる。
【0084】
(2-1)案内壁81は、複数の冷却フィン70における回転軸41側の端縁に固定される円筒状の固定部82を有している。これによれば、案内壁81が固定部82を介して複数の冷却フィン70と熱的に結合される。したがって、第1孔61を通って流体通路75に流れ込む空気は、案内壁81によって複数の冷却フィン70に向けて案内されると同時に固定部82及び各冷却フィン70を介してモータハウジング12に放熱される。よって、第2インペラ43の背面43aに洩れた空気を効率良く冷却することができる。その結果、第2インペラ43の背面43aに洩れた空気を利用して、モータ20を効率良く冷却することができる。
【0085】
[第3実施形態]
以下、遠心圧縮機を具体化した第3実施形態を図6にしたがって説明する。第3実施形態では、案内壁が回転軸又は複数の冷却フィンに設けられているのではなく、第2プレートに設けられている点が第1実施形態及び第2実施形態とは異なる。
【0086】
図6に示すように、案内壁91は、固定部92と、案内部93と、を有している。固定部92は、円筒状である。案内部93は、円環状である。案内部93は、固定部92の軸方向の端部の内周面から固定部92の径方向内側へ突出している。
【0087】
固定部92は、第2プレート16における第1孔61の周囲に設けられている。したがって、案内壁91は、第2プレート16における第1孔61の周囲に設けられている。固定部92は、固定部92の軸方向が第2プレート16の厚み方向に一致した状態で、第2プレート16における第1孔61の周囲に設けられている。案内壁91は、第2プレート16に一体形成されている。固定部92には、複数のスリット94が形成されている。各スリット94は、固定部92の内側の空間と固定部92の外側の空間とを連通する。
【0088】
案内部93は、固定部92から第3軸部66の外周面に向けて延びている。案内部93の内周面は、第3軸部66の外周面に沿って延びている。案内部93の内周面は、第3軸部66の外周面から離間している。案内部93における固定部92とは反対側の端部は、第1孔61に対して回転軸41の軸方向で対向している。
【0089】
[第3実施形態の作用]
次に、第3実施形態の作用について説明する。
第1孔61を通った空気は、流体通路75に流れ込む。詳細には、第1孔61を通過した空気は、固定部92の内側の空間に流れる。固定部92の内側の空間に流れ込んだ空気は、案内部93に衝突する。案内部93に衝突した空気は、回転軸41の径方向外側へ広がるとともに複数のスリット94を介して固定部92の外側の空間に流れる。そして、固定部92の外側の空間に流れた空気は、複数の冷却フィン70に向けて流れる。したがって、案内壁91は、第1孔61を通過した空気を複数の冷却フィン70に向けて案内する。よって、案内壁91は、第1孔61を通って流体通路75に流れ込む空気を複数の冷却フィン70に向けて案内する。
【0090】
そして、案内壁91によって、複数の冷却フィン70に向けて案内された空気は、複数の冷却フィン70との熱交換が行われることにより、複数の冷却フィン70を介してモータハウジング12に放熱される。これにより、第2インペラ43の背面43aに洩れた空気が冷却される。
【0091】
[第3実施形態の効果]
第3実施形態では、第1実施形態の効果(1-3)を除く全ての効果に加えて、以下の効果を得ることができる。
【0092】
(3-1)案内壁91は、第2プレート16における第1孔61の周囲に設けられるとともに第1孔61を通過した空気を複数の冷却フィン70に向けて案内する。これによれば、案内壁91を第2プレート16と一体的に設けることができる。よって、遠心圧縮機10の構成を簡素化することができる。
【0093】
[第4実施形態]
以下、遠心圧縮機を具体化した第4実施形態を図7にしたがって説明する。第4実施形態では、案内壁が回転軸の外周面に形成されている点が第1実施形態、第2実施形態、及び第3実施形態とは異なる。
【0094】
図7に示すように、回転軸41は、軸部95を有している。軸部95は、第1軸部95a及び第2軸部95bを有している。第1軸部95aの外径は、第2軸部95bの外径よりも大きい。第2軸部95bは、第1軸部95aの端面から突出している。第1軸部95aの軸線と第2軸部95bの軸線とは一致している。
【0095】
第1軸部95aは、モータ室18から第2孔62及び小径孔62bを通過して大径孔62a内に至るまで延びている。第2軸部95bは、第1孔61内に挿入されるとともにボス部43bの内側及び貫通孔43h内を貫通している。
【0096】
第1軸部95aの外周面における大径孔62a内に位置する部分は、傾斜面96になっている。傾斜面96は、第1軸部95aの端面に連続している。傾斜面96は、第1軸部95aの端面から離間するにつれて漸次拡径している。傾斜面96は、第1軸部95aの端面から離間するにつれて第1軸部95aの軸線から離間する方向へ弧状に湾曲する湾曲面である。傾斜面96は、第1孔61を通って流体通路75に流れ込む空気を複数の冷却フィン70に向けて案内する。したがって、第1軸部95aにおける傾斜面96を有する部分は、第1孔61を通って流体通路75に流れ込む空気を複数の冷却フィン70に向けて案内する案内壁97である。案内壁97は、回転軸41の外周面に形成されている。
【0097】
[第4実施形態の作用]
次に、第4実施形態の作用について説明する。
第1孔61を通った空気は、流体通路75に流れ込む。流体通路75に流れ込んだ空気は、案内壁97の傾斜面96に案内されて、複数の冷却フィン70に向けて流れる。よって、案内壁97は、第1孔61を通って流体通路75に流れ込む空気を複数の冷却フィン70に向けて案内する。
【0098】
そして、案内壁97によって、複数の冷却フィン70に向けて案内された空気は、複数の冷却フィン70との熱交換が行われることにより、複数の冷却フィン70を介してモータハウジング12に放熱される。これにより、第2インペラ43の背面43aに洩れた空気が冷却される。
【0099】
[第4実施形態の効果]
第4実施形態では、第1実施形態の効果(1-3)を除く全ての効果に加えて、以下の効果を得ることができる。
【0100】
(4-1)案内壁97は、回転軸41の外周面に形成されている。これによれば、回転軸41の外周面が、第1孔61を通って流体通路75に流れ込む空気を複数の冷却フィン70に向けて案内する案内壁97として機能する。このため、回転軸41とは別の部材を流体通路75に案内壁として配置する必要が無い。したがって、遠心圧縮機の構成を簡素化することができる。
【0101】
[変更例]
なお、上記各実施形態は、以下のように変更して実施することができる。上記各実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0102】
○ 上記各実施形態において、流体通路75に、案内壁71,81,91,97が設けられていなくてもよい。
○ 上記各実施形態において、連通孔68の数は特に限定されるものではない。
【0103】
○ 上記各実施形態において、冷却フィン70の数は特に限定されるものではない。
○ 上記各実施形態において、モータハウジング12の周壁12bに冷却水通路12cが形成されていなくてもよい。
【0104】
○ 第1実施形態において、例えば、ボス部43bが第1孔61を通過して流体通路75まで延びており、ボス部43bの外周面に案内壁71が設けられていてもよい。この場合、案内壁71は、ボス部43bの外周面から環状に突出している。
【0105】
○ 第2実施形態において、固定部82は、複数の冷却フィン70における回転軸41側の端縁に対して、例えば、溶接等によって固定されていてもよい。要は、固定部82は、複数の冷却フィン70における回転軸41側の端縁に固定されていれば、その固定方法は特に限定されるものではない。
【0106】
○ 第3実施形態において、案内壁91は、第2プレート16に一体形成されていたが、これに限らず、案内壁91が第2プレート16とは別部品であってもよい。この場合、案内壁91は、第2プレート16に対して、例えば、溶接等によって固定されていてもよいし、例えば、ボルトなどの固定具によって固定されていてもよい。
【0107】
○ 上記各実施形態において、導入通路56は、第1インペラ42によって圧縮された空気の一部をモータ室18内へ導入してもよい。第1インペラ42によって圧縮された空気の温度は、第2インペラ43によって圧縮されて第2吐出室34に吐出される空気の温度よりも低い。要は、導入通路56は、第2吐出室34に吐出された空気の温度よりも低い温度の状態でモータ室18内へ空気を導入すればよい。
【0108】
○ 上記各実施形態において、遠心圧縮機10は、第2インペラ43を備えていない構成であってもよい。この場合、第1インペラ室28とモータ室18とを仕切る仕切壁が、第1壁構成体と、第2壁構成体と、流体通路と、を有していてもよい。第2壁構成体に複数の連通孔が形成されている。第1インペラ42の背面に洩れる空気は、第1孔を通って流体流路に流れ、連通孔及び第2孔を通ってモータ室18に流れるようになっている。流体通路には複数の冷却フィンが設けられている。そして、複数の冷却フィンは、回転軸41の周方向で隣り合う複数の連通孔の間に配置されている。
【0109】
○ 上記各実施形態において、遠心圧縮機10は、第2インペラ43に代えて、タービンホイールを備えている構成であってもよい。
○ 上記各実施形態において、遠心圧縮機10は、燃料電池車に搭載されていなくてもよい。要は、遠心圧縮機10は、車両に搭載されるものに限定されるものではない。
【0110】
○ 上記各実施形態において、遠心圧縮機10は、燃料電池スタック38に供給される空気を圧縮するために用いられるものに限らない。要は、遠心圧縮機10は、流体を圧縮するものであればよい。
【符号の説明】
【0111】
10…遠心圧縮機、11…ハウジング、12a…第2壁構成体である端壁(仕切壁)、15…第1プレート(仕切壁)、16…第1壁構成体である第2プレート(仕切壁)、17…第3プレート(仕切壁)、18…モータ室、20…モータ、23…第1挿通孔(挿通孔)、26…第2挿通孔(挿通孔)、28…第1インペラ室(インペラ室)、33…第2インペラ室(インペラ室)、41…回転軸、42…第1インペラ(インペラ)、43…第2インペラ(インペラ)、43a…背面、61…第1孔、62…第2孔、68…連通孔、70…冷却フィン、71,81,91,97…案内壁、75…流体通路、82,92…固定部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7