(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024093336
(43)【公開日】2024-07-09
(54)【発明の名称】吐出装置
(51)【国際特許分類】
B65D 47/34 20060101AFI20240702BHJP
G09F 3/03 20060101ALI20240702BHJP
G09F 3/00 20060101ALI20240702BHJP
【FI】
B65D47/34 200
G09F3/03 D
G09F3/00 Q
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022209643
(22)【出願日】2022-12-27
(71)【出願人】
【識別番号】000006769
【氏名又は名称】ライオン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100152272
【弁理士】
【氏名又は名称】川越 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100153763
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 広之
(72)【発明者】
【氏名】安藤 弘晃
【テーマコード(参考)】
3E084
【Fターム(参考)】
3E084AA04
3E084AA12
3E084AA24
3E084AA25
3E084AA26
3E084AB01
3E084BA02
3E084FA09
3E084JA19
3E084KA14
3E084LC01
3E084LD22
(57)【要約】
【課題】ノズル部からの異物混入の抑制および改さん抑制に優れた吐出装置を提供する。
【解決手段】内容物を収容する容器本体と、容器本体の口部に装着される装着キャップと、容器本体に取り付けられ、内容物を吸い上げて吐出させるポンプシステムと、容器本体から突出するポンプシステムを覆う改ざん抑制部と、を備える。ポンプシステムは、装着キャップから上方に延びる筒状部と、筒状部の上部に、上下方向に移動可能に設けられ、押し下げられたときに内容物をノズル部から吐出するヘッド部と、ヘッド部が上死点に位置する際に筒状部に装着可能なストッパーと、を有する。改ざん抑制部は、容器本体から突出するポンプシステムの周囲を全周に亘って囲み、下端が容器本体に上側から接し、上端がポンプシステムにおける最も上側の位置よりも上側に位置するラベルと、ラベルと容器本体の少なくとも一部に跨がって配置されたシール材と、を有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内容物を収容する容器本体と、
前記容器本体の上部に設けられた口部に装着される装着キャップと、
前記装着キャップを介して前記容器本体に取り付けられ、前記内容物を吸い上げて吐出させるポンプシステムと、
前記容器本体に取り付けられ、前記容器本体から突出する前記ポンプシステムを覆う改ざん抑制部と、
を備え、
前記ポンプシステムは、
前記装着キャップから上方に延びる筒状部と、
前記筒状部の上部に、上側に付勢された状態で上下方向に移動可能に設けられ、押し下げられたときに前記内容物をノズル部から吐出するヘッド部と、
前記筒状部に着脱可能に設けられ、前記筒状部に取り付けられたときに、上死点に位置する前記ヘッド部の押し下げを防止するストッパーと、
を有し、
前記改ざん抑制部は、
前記容器本体から突出する前記ポンプシステムの周囲を全周に亘って囲み、下端が前記容器本体に上側から接し、上端が前記ポンプシステムにおける最も上側の位置よりも上側に位置するラベルと、
前記ラベルと前記容器本体の少なくとも一部に跨がって配置されたシール材と、
を有する、吐出装置。
【請求項2】
前記ラベルは、正面視で前記口部の中心に対して前記ノズル部が位置する第1径方向の最大寸法が、前記第1径方向と直交する第2径方向の最大寸法よりも長い、
請求項1に記載の吐出装置。
【請求項3】
前記ラベルにおける前記第1径方向の最大寸法は、前記容器本体における前記第1径方向の最大寸法と略同一であり、
前記ラベルにおける前記第2径方向の最大寸法は、前記装着キャップにおける前記第2径方向の最大寸法と略同一である、
請求項2に記載の吐出装置。
【請求項4】
前記シール材は、前記第1径方向で前記ノズル部が左側に位置する正面側から見たときに、背面側に配置される、
請求項3に記載の吐出装置。
【請求項5】
前記ラベルは、紙材で形成されている、
請求項1から4のいずれか一項に記載の吐出装置。
【請求項6】
前記ポンプシステムは、前記内容物を泡状に吐出させる、
請求項1から4のいずれか一項に記載の吐出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吐出装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、ポディソープや、ハンドソープ、洗顔料、シャンプー、整髪剤などを内容液として容器本体に収容し、この容器本体に装着された泡ポンプディスペンサーのヘッド部を押圧出操作することによって内容液を、例えば、泡状にしてノズル部から吐出させる吐出装置がある。
【0003】
この種の吐出装置においては、未使用状態時におけるポンプヘッドの固定方法として、ポンプヘッドを上死点まで伸長させた状態で着脱式のストッパーをヘッドとポンプ取り付け用蓋部に取り付けることにより固定する方法等が採用されている。
【0004】
上記の吐出装置に用いる改ざん防止方法の一つとして、シュリンクフィルムが挙げられる。シュリンクフィルムは、シュリンカーの設備が必要であり、尚且つボトル側に引っ掛かる部分が必要となりボトル口元付近の形状に制約が生じる。そのため、ボトル口元の形状に制約を設けない場合は、吐出装置全体をフィルムで覆うフルシュリンクとなり、プラスチックスの使用量が大幅に増加する。また、近年では、製品アピールのために一般的となっているアテンションシールを付加して使用する際は、更にプラスチックスの使用量が増加する。
【0005】
特許文献1には、容器本体の上端開口部に螺着するポンプ取り付け用蓋部に、押圧式ポンプを定位置に取り付け、ヘッド部とポンプ取り付け用蓋部との間にストッパーを取り付けた押圧式の吐出装置に対して、アテンション記載部およびストッパーシール部を有するラベルを取り付ける技術が開示されている。
特許文献1に記載された押圧式の吐出装置においては、アテンション記載部をポンプ取り付け用蓋部に貼り付け、ストッパーシール部を押圧式ポンプとストッパーに跨がって貼り付けることで、商品訴求性と改ざん防止を実現している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところが、特許文献1の吐出装置では、ラベルを特定の箇所に貼り付けているため、ラベルから外れた位置では、露出するノズル部からの異物混入を抑制できないとともに、いたずら等の改さん防止が十分とはいえない。
【0008】
本発明は、以上のような点を考慮してなされたもので、ノズル部からの異物混入の抑制および改さん抑制に優れた吐出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は下記の態様を有する。
[1]内容物を収容する容器本体と、前記容器本体の上部に設けられた口部に装着される装着キャップと、前記装着キャップを介して前記容器本体に取り付けられ、前記内容物を吸い上げて吐出させるポンプシステムと、前記容器本体に取り付けられ、前記容器本体から突出する前記ポンプシステムを覆う改ざん抑制部と、を備え、前記ポンプシステムは、前記装着キャップから上方に延びる筒状部と、前記筒状部の上部に、上側に付勢された状態で上下方向に移動可能に設けられ、押し下げられたときに前記内容物をノズル部から吐出するヘッド部と、前記筒状部に着脱可能に設けられ、前記筒状部に取り付けられたときに、上死点に位置する前記ヘッド部の押し下げを防止するストッパーと、を有し、前記改ざん抑制部は、前記容器本体から突出する前記ポンプシステムの周囲を全周に亘って囲み、下端が前記容器本体に上側から接し、上端が前記ポンプシステムにおける最も上側の位置よりも上側に位置するラベルと、前記ラベルと前記容器本体の少なくとも一部に跨がって配置されたシール材と、を有する、吐出装置。
[2]前記ラベルは、正面視で前記口部の中心に対して前記ノズル部が位置する第1径方向の最大寸法が、前記第1径方向と直交する第2径方向の最大寸法よりも長い、前記[1]に記載の吐出装置。
[3]前記ラベルにおける前記第1径方向の最大寸法は、前記容器本体における前記第1径方向の最大寸法と略同一であり、前記ラベルにおける前記第2径方向の最大寸法は、前記装着キャップにおける前記第2径方向の最大寸法と略同一である、前記[2]に記載の吐出装置。
[4]前記シール材は、前記第1径方向で前記ノズル部が左側に位置する正面側から見たときに、背面側に配置される、前記[3]に記載の吐出装置。
[5]前記ラベルは、紙材で形成されている、前記[1]から前記[4]のいずれか一項に記載の吐出装置。
[6]前記ポンプシステムは、前記内容物を泡状に吐出させる、前記[1]から前記[5]のいずれか一項に記載の吐出装置。
【発明の効果】
【0010】
本発明では、ノズル部からの異物混入の抑制および改さん抑制に優れた吐出装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の実施の形態を示す図であって、吐出装置1の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の吐出装置の実施の形態を、
図1から
図3を参照して説明する。
なお、以下の実施形態は、本発明の一態様を示すものであり、この発明を限定するものではなく、本発明の技術的思想の範囲内で任意に変更可能である。また、以下の図面においては、各構成をわかりやすくするために、実際の構造と各構造における縮尺や数等を異ならせている。
【0013】
図1は、吐出装置1の正面図である。
図2は、吐出装置1の右側面図である。
図3は、吐出装置1の分解正面図である。
図1から
図3に示すように、吐出装置1は、容器本体10と、装着キャップ20と、ポンプシステム30と、改ざん抑制部40と、を有する。
【0014】
容器本体10は、内容物を収容する。
内容物としては、特に限定されず、例えば、ハンドソープ、ポディソープ、洗顔料、シャンプー、整髪剤、台所洗剤等の液体が挙げられ、泡状に吐出させる上記商品であることが好ましい。
容器本体10の材質としては、公知の材質を使用でき、ポリエチレン樹脂(PE)、ポリプロピレン樹脂(PP)、ポリエステル樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂(PET)等の合成樹脂材料が挙げられる。
【0015】
容器本体10は、底面部12と、胴部14と、口部16と、を備えている。
胴部14は、底面部12の周縁から上側に延びる円筒状である。
口部16は、胴部14の上部に設けられている。つまり、口部16は、容器本体10の上部に設けられている。胴部14の上側は、口部16に向かうにつれて直径が小さくなる。胴部14の上側は、半球状に形成されている。
装着キャップ20は、口部16に螺着することによって、容器本体10に装着されている。
【0016】
ポンプシステム30は、容器本体10に収容された内容物を吸い上げて泡状に吐出させる。ポンプシステム30は、装着キャップ20を介して容器本体10に取り付けられている。ポンプシステム30は、筒状部32と、ヘッド部34と、ストッパー36と、を有する。筒状部32は、装着キャップ20から上方に延びる。
【0017】
ヘッド部34は、筒状部32の上部に設けられている。ヘッド部34は、図示しないスプリングにより上側に付勢された状態で、筒状部32とともに上死点と下死点との間で上下方向に移動可能に設けられている。
ヘッド部34は、正面視で左側にノズル部35を有する。ヘッド部34において左側にノズル部35が位置して見る側を正面側とし、逆側を背面側とする。ヘッド部34は、下側に押し下げられたときに、容器本体10に収容された内容物をノズル部35から泡状に吐出する。
【0018】
ストッパー36は、筒状部32に着脱可能に設けられる。ストッパー36は、ヘッド部34が上死点に位置する際に、通常筒状部32に装着(または係合)されるものである。
ストッパー36は、筒状部32に取り付けられたときに、上死点に位置するヘッド部34の下側への押し下げを防止する。
すなわち、ストッパー36は、ヘッド部34の下側への押し下げを防止するために取り付けられているものであって、消費者が使用を開始した際には廃棄されるものである。
ストッパー36の材質としては、特に限定されないが、例えば、ポリプロピレン樹脂(PP)が好ましい。
【0019】
改ざん抑制部40は、容器本体10に取り付けられる。改ざん抑制部40は、容器本体10から突出する装着キャップ20およびポンプシステム30を覆う。
改ざん抑制部40は、ラベル42と、シール材44と、を有する。
【0020】
ラベル42は、容器本体10から突出する装着キャップ20およびポンプシステム30の周囲を全周に亘って囲んで覆う。ラベル42は、上下方向に延びる略楕円環状である。ラベル42の下端は、全周に亘って容器本体10に上側から接する。ラベル42の下端は、正面視で上側に凸となる略円弧形状の曲線の輪郭で形成されている。
【0021】
ラベル42の上端は、ポンプシステム30における最も上側の位置となる、上死点位置のヘッド部34よりも上側に位置する。
従って、ラベル42は、容器本体10から突出する装着キャップ20およびポンプシステム30を上下方向の全体、且つ、周囲を全周に亘って囲んで覆うことになり、ノズル部35からの異物混入を抑制できるとともに、改さんを抑制することが可能になる。
【0022】
口部16の中心に対してノズル部35が位置する方向を第1径方向(
図1および
図3における横方向)とし、第1径方向と直交する方向を第2径方向(
図2における横方向、
図1および
図3における奥行方向)すると、ラベル42は、第1径方向の最大寸法L1が第2径方向の最大寸法L2よりも長い。
第1径方向の最大寸法L1が第2径方向の最大寸法L2よりも長いことで、ラベル42は、正面側および背面側に臨む領域を商品説明やキャッチコピー等を広い面積で効果的に表示して訴求力を高めることができる。
【0023】
ラベル42における第1径方向の最大寸法L1は、容器本体10における第1径方向の最大寸法と略同一であり、ラベル42における第2径方向の最大寸法L2は、装着キャップ20における第2径方向の最大寸法と略同一である。
【0024】
ラベル42は、紙材で形成されている。紙材は、復元性が悪いため、改ざんを容易に判別することができる。ラベル42が紙材で形成されていることによって、プラスチックの使用量を低減でき、地球環境保護に寄与できる。
【0025】
シール材44は、ラベル42と容器本体10の少なくとも一部に跨がって配置される。シール材44は、ラベル42と容器本体10の接触箇所に沿って全周に設けられてもよいが、本実施形態では上下方向に沿った直線状でラベル42と容器本体10に局所的に跨がって配置される。シール材44は、正面側における第1径方向の中央の1箇所に配置される。
【0026】
シール材44の粘着面は、強粘着または改ざん抑制仕様であることが好ましい。
シール材44の改ざん抑制仕様としては、一度剥がしてしまうと貼り直しができないという特性、特定の文字、画像等が印刷されており剥がすと文字、画像等がラベル42および容器本体10に転写される特性等を有することが好ましい。
【0027】
以上説明したように、本実施形態の吐出装置1においては、容器本体10から上側に突出する装着キャップ20およびポンプシステム30の周囲を、ポンプシステム30における最も上側の位置となる、上死点位置のヘッド部34よりも上側までラベル42が覆うため、効果的にノズル部35からの異物混入を抑制できるとともに、改さんを抑制することができる。
本実施形態の吐出装置1においては、内容物を泡状に吐出させるポンプシステム30を有する構成において好適に適用できる。
【0028】
また、本実施形態の吐出装置1においては、ラベル42における第1径方向の最大寸法L1が容器本体10における第1径方向の最大寸法と略同一であるため、ラベル42における正面側および背面側に臨む領域を商品説明やキャッチコピー等を広い面積で効果的に表示して訴求力を高めることが可能になる。
【0029】
また、本実施形態の吐出装置1においては、ラベル42における第2径方向の最大寸法L2は、装着キャップ20における第2径方向の最大寸法と略同一であり、第1径方向の最大寸法L1よりも小さくすることで、商品の訴求力を高めつつ、効果的に異物混入の抑制および改さんの抑制を実現できる。
【0030】
また、本実施形態の吐出装置1においては、ラベル42が紙材で形成されているため、改ざんを容易に判別することができるとともに、プラスチックの使用量を低減でき、地球環境保護に寄与できる。
【0031】
以上、添付図面を参照しながら本発明に係る好適な実施形態について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。上述した例において示した各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発明の主旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。
【0032】
例えば、上記実施形態では、シール材44がラベル42および容器本体10に1枚配置される構成を例示したが、この構成に限定されない。
シール材44は、横方向に間隔をあけて複数枚配置される構成であってもよい。
【0033】
また、上記実施形態では、シール材44がラベル42および容器本体10の正面側に配置される構成を例示したが、この構成に限定されない。
シール材44は、背面側においてラベル42と容器本体10に跨がって配置される構成であってもよい。
商品に関する印刷内容の観点から容器本体10における正面側が主面である場合、商品の訴求力を阻害しないように、シール材44は、背面側に配置されることが好ましい。
【0034】
また、上記実施形態では、容器本体10が略円筒状である構成を例示したが、この構成に限定されない。
容器本体10としては、四角筒状等の角筒状である構成や、楕円筒状である構成であってもよい。
【0035】
また、上記実施形態では、ポンプシステム30が内容物を泡状に吐出する構成を例示したが、この構成に限定されない。
ポンプシステム30は、例えば、内容物を泡化することなく液体として吐出する構成であってもよい。
【符号の説明】
【0036】
1…吐出装置、 10…容器本体、 16…口部、 20…装着キャップ、 30…ポンプシステム、 32…筒状部、 34…ヘッド部、 35…ノズル部、 36…ストッパー、 40…改ざん抑制部、 42…ラベル、 44…シール材、 L1…第1径方向の最大寸法、 L2…第2径方向の最大寸法