(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024093353
(43)【公開日】2024-07-09
(54)【発明の名称】液状化粧料用塗布具
(51)【国際特許分類】
A45D 34/04 20060101AFI20240702BHJP
【FI】
A45D34/04 525A
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022209668
(22)【出願日】2022-12-27
(71)【出願人】
【識別番号】000142920
【氏名又は名称】株式会社呉竹
(74)【代理人】
【識別番号】110002734
【氏名又は名称】弁理士法人藤本パートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】斎藤 夏海
(72)【発明者】
【氏名】高濱 明日香
(57)【要約】
【課題】本発明は、使用者の意図しない箇所に対する液状化粧料の付着を抑制できる液状化粧料用塗布具を提供することを課題とする。
【解決手段】液状化粧料を塗布するペン先部材と、前記ペン先部材を保持する筒状部材とを備え、前記ペン先部材の先端が目の周りに接触したときに、前記ペン先部材の側面の睫毛への接触を抑制するように、前記ペン先部材は前記筒状部材から僅かに突出している、液状化粧料用塗布具。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液状化粧料を塗布するペン先部材と、前記ペン先部材を保持する筒状部材とを備え、
前記ペン先部材の先端が使用者の狙った箇所に接触したときに、前記ペン先部材の側面が前記狙った箇所の隣接箇所に接触することを抑制するように、前記ペン先部材は前記筒状部材から僅かに突出している、液状化粧料用塗布具。
【請求項2】
前記ペン先部材の側面は、前記筒状部材によって該ペン先部材の先端近傍まで覆われている、請求項1に記載の液状化粧料用塗布具。
【請求項3】
前記ペン先部材における前記筒状部材から突出した突出部の長さが2mm以下である、請求項1に記載の液状化粧料用塗布具。
【請求項4】
前記筒状部材は、前記ペン先部材の先端近傍から延び且つ外周面が露出した露出部を有し、
前記露出部は、長さが10mm以上であり且つ外径が5mm以下である、請求項1又は2に記載の液状化粧料用塗布具。
【請求項5】
前記ペン先部材は、前記筒状部材との嵌合部と、前記嵌合部及び前記突出部の間の中間部とを有し、
前記中間部における側面は、前記液状化粧料による前記ペン先部材の膨潤により前記筒状部材の内面に接触しているか又は前記筒状部材の内面との間に満たされた前記液状化粧料が接触している高気密領域と、前記筒状部材の内面との間に隙間を形成している低気密領域とを有し、
前記高気密領域の面積が前記低気密領域の面積よりも大きくなるように構成されている、請求項3に記載の液状化粧料用塗布具。
【請求項6】
前記筒状部材は、前記ペン先部材が挿通された先端開口と、前記ペン先部材への前記液状化粧料の供給を促進するための空気流通口とを有し、
前記先端開口の開口面積に対する前記空気流通口の開口面積が、40%以下である、請求項1又は5に記載の液状化粧料用塗布具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液状化粧料用塗布具に関し、より具体的には、リキッドアイライナー、アイブロウ、マスカラ、睫毛用コーティング剤、睫毛用美容液、フェイスペイント、ボディペイント等の液状化粧料を塗布するための塗布具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、液状化粧料を塗布するための種々の塗布具が提案されている。例えば、アイライナーは、使用者の目の印象を変えるために使用されている。また、アイライナーとしては、粉体が棒状に成形された化粧料を塗布するためのペンシルアイライナーと、繊維芯などに保持させた液状化粧料を塗布するためのリキッドアイライナーとが知られている。
また、アイブロウは、顔の印象を大きく左右する眉メイクに欠かせない塗布具であり、成形された化粧料を塗布するためのペンシルタイプと共に、液状化粧料を塗布するためのリキッドタイプも知られている。
また、マスカラは、睫毛を整えて美しく見せるために使用されている。また、睫毛用コーティング剤や睫毛用美容液も、睫毛に張りやコシを与える化粧料として睫毛に塗布されることが知られている。
【0003】
目元の化粧以外にも、フェイスペイントやボディペイントは、顔や体にペイントするアートやファッションの文化において、スポーツ観戦やハロウィンなどのイベント等で昂揚感を高める効果が有ることが知られている。
【0004】
上記で例示した塗布具による化粧では、細かな作業が必要になる場合がある。そして、細かな作業では、液状化粧料は、こすらずに塗布できるため、粉体が成形された化粧料よりも好ましいと考えられる。例えば、アイライナーでアイラインを描く方法としては、睫毛と睫毛との間を埋めるようにしてアイラインを描く方法が挙げられる。そして、ペン先の細いリキッドアイライナーによれば、睫毛と睫毛との間の狭い箇所にこすらずに液状化粧料を塗布できるため、上記のような化粧において比較的使い易いと考えられる。
【0005】
一般的に使用されているこの種の塗布具は、特許文献1にも記載されているように、液状化粧料を塗布するペン先部材と、前記ペン先部材を保持する筒状部材とを備え、前記ペン先部材が前記筒状部材から5mm以上突き出した状態となっている。このように、ペン先部材がある程度の突き出し長さを有することによって、使用者が狙った箇所にペン先部材の先端を接触させ易くなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、ペン先部材が上記のように突き出した塗布具の場合、筒状部材から露出したペン先部材の側面が、使用者の意図しない箇所(例えば睫毛)に接触し、当該箇所が液状化粧料で汚れるおそれがある。また、かかる汚れは、使用者の動き(例えば瞬き)によってさらに広がるおそれがある。このため、使用者は当該箇所の汚れに気をつけながら作業する必要がある。よって、取扱性により優れる塗布具の提供が望まれる。
【0008】
上記事情に鑑み、本発明は、使用者の意図しない箇所に対する液状化粧料の付着を抑制できる液状化粧料用塗布具を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様に係る液状化粧料用塗布具は、
液状化粧料を塗布するペン先部材と、前記ペン先部材を保持する筒状部材とを備え、
前記ペン先部材の先端が使用者の狙った箇所に接触したときに、前記ペン先部材の側面が前記狙った箇所の隣接箇所に接触することを抑制するように、前記ペン先部材は前記筒状部材から僅かに突出している。
好ましくは、本発明の一態様に係る液状化粧料用塗布具は、前記ペン先部材の側面が、前記筒状部材によって該ペン先部材の先端近傍まで覆われている。
【0010】
かかる液状化粧料用塗布具によれば、ペン先部材の突き出し長さが比較的短く、すなわち、使用者の意図しない箇所に接触し得るペン先部材の側面の露出部分が小さいため、当該箇所に対する液状化粧料の付着を抑制することができる。
【0011】
また、本発明の一態様に係る液状化粧料用塗布具は、
前記ペン先部材における前記筒状部材から突出した突出部の長さが2mm以下である。
【0012】
かかる液状化粧料用塗布具によれば、突出部の長さが2mm以下であるため、使用者の意図しない箇所に対する液状化粧料の付着をさらに抑制することができる。
【0013】
また、本発明の一態様に係る液状化粧料用塗布具は、
前記筒状部材は、前記ペン先部材の先端近傍から延び且つ外周面が露出した露出部を有し、
前記露出部は、長さが10mm以上であり且つ外径が5mm以下である。
【0014】
かかる液状化粧料用塗布具によれば、ペン先部材の突き出し長さが小さくされる代わりに、露出部が比較的細長くされているため、ペン先部材の先端を使用者の意図した箇所に接触させ易くなる。
【0015】
また、本発明の一態様に係る液状化粧料用塗布具は、
前記ペン先部材は、前記筒状部材との嵌合部と、前記嵌合部及び前記突出部の間の中間部とを有し、
前記中間部における側面は、前記液状化粧料による前記ペン先部材の膨潤により前記筒状部材の内面に接触しているか又は前記筒状部材の内面との間に満たされた前記液状化粧料が接触している高気密領域と、前記筒状部材の内面との間に隙間を形成している低気密領域とを有し、
前記高気密領域の面積が前記低気密領域の面積よりも大きくなるように構成されている。
【0016】
ペン先部材と筒状部材との間に空気が存在すると、使用者の体温などにより該空気が膨張し、筒状部材の先端側の開口から液状化粧料が漏れるおそれがある。これに対して、上記構成の液状化粧料用塗布具によれば、中間部の側面における高気密領域の面積が低気密領域の面積よりも大きくされており、すなわち、空気が流入し得る領域が小さくされているため、筒状部材の先端からの液状化粧料の漏れを抑制することができる。このことによって、睫毛の間等の狭小部に適切な量の液状化粧料の塗布が可能になるとともに、使用者が意図しない箇所に対する液状化粧料の付着が抑制される。
【0017】
また、本発明の一態様に係る液状化粧料用塗布具は、
前記筒状部材は、前記ペン先部材が挿通された先端開口と、前記ペン先部材への前記液状化粧料の供給を促進するための空気流通口とを有し、
前記先端開口の開口面積に対する前記空気流通口の開口面積が、40%以下である。
【0018】
かかる液状化粧料用塗布具によれば、空気流通口の開口面積が先端開口の開口面積の40%以下であることによって、筒状部材の先端からの液状化粧料の漏れをさらに抑制することができる。
【発明の効果】
【0019】
以上のように、本発明によれば、使用者の意図しない箇所に対する液状化粧料の付着を抑制できる液状化粧料用塗布具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】
図1は、一実施形態に係る液状化粧料用塗布具の側面図である。
【
図3】
図3は、
図2のIII-III線で切断したときの横断面図である。
【
図4】
図4は、
図2のIV-IV線で切断したときの横断面図である。
【
図5】
図5は、
図2のV-V線で切断したときの横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の一実施形態に係る液状化粧料用塗布具について、添付図面を参照しつつ説明する。なお、以下では、アイライナーを例示するが、本発明はこれに限定されない。
【0022】
本実施形態の液状化粧料用塗布具は、使用者の目元に液状化粧料を塗布するために用いられるアイライナーである。すなわち、本実施形態の液状化粧料用塗布具は、リキッドアイライナーである。
【0023】
図1~
図2に示すように、本実施形態の液状化粧料用塗布具1は、使用者に把持される胴軸10と、液状化粧料を目元等の狭小部に塗布するためのペン先部材20と、胴軸10にペン先部材20を接続する筒状部材30とを備えている。
【0024】
図2に示すように、本実施形態の胴軸10は、開口した先端部11と、閉塞された後端部12と、先端部11の前記開口から挿入された筒状部材30(具体的には後記の第1筒状部材30a)を収容する中空部13とを有する。中空部13は、筒状部材30の先端側の一部を露出させた状態で筒状部材30の後端側の一部を収容している。
【0025】
本実施形態のペン先部材20は、繊維芯で構成されている。本実施形態の繊維芯は、集束された繊維がバインダー樹脂で接着されたものである。前記繊維芯を構成する繊維の繊度は、2デニール以下が好ましく、1デニール以下がより好ましい。これによって、繊維どうしがより複雑に交絡し、液状化粧料の保持能を高めることができる。前記繊維の繊度は、通常0.1デニール以上である。前記繊維芯の気孔率は、30~75%であることが好ましく、60~70%であることがより好ましい。これによって、前記繊維芯が液状化粧料の塗布能及び保持能を十分に発揮し得る。なお、前記気孔率は、次のようにして測定することができる。まず、液状化粧料などの液体を含浸していない状態のペン先部材20の体積V1及び質量M1を測定する。次に、ペン先部材を水中に浸し、十分に水を含浸させた後の質量M2を測定する。そして、ペン先部材20の吸水量(M2-M1)をペン先部材20の気孔の体積V2とし、気孔率(%)=V2/V1×100により気孔率を算出する。
【0026】
本実施形態のペン先部材20は、目元等の皮膚に接触したときの使用者の痛みを軽減するよう先端部が丸みを帯びている。
【0027】
本実施形態の液状化粧料用塗布具1は、筒状部材30として、胴軸10に保持された第1筒状部材30aと、第1筒状部材30aに保持された第2筒状部材30bとを有する。第1筒状部材30aは、ペン先部材20へのインク供給機構(後記のインク貯留部40等)を収容するための部材である。一方、第2筒状部材30bは、ペン先部材20を第1筒状部材30aに保持するための部材である。
【0028】
第1筒状部材30aは、胴軸10の中空部13に収容された非露出部31aと、胴軸10から先端側に向かって延びる露出部32aとを有する。第1筒状部材30aは、胴軸10からの脱落を防止するための係止部33aを有する。具体的には、係止部33aは、露出部32aの後端部に形成され胴軸10の先端縁に当接する拡径部331と、非露出部31aの先端部における側面から径方向外方に突出し胴軸10の内面に当接する突出部332とで構成されている。かかる係止部33aによって、第1筒状部材30aは胴軸10に保持されている。
【0029】
第1筒状部材30aの露出部32aは、露出した側面が先端側に向かうにつれて先細りとなるように形成されている。露出部32aの長さは、15mm以上25mm以下である。
【0030】
第2筒状部材30bは、第1筒状部材30aの内部に収容された非露出部31bと、第1筒状部材30aから先端側に向かって延びる露出部32bとを有する。第2筒状部材30bは、第1筒状部材30aからの脱落を防止するように構成されている。具体的には、第1筒状部材30aの先端部に内径の縮径した縮径部333が形成され、且つ、第2筒状部材30bの後端部に外径の拡径した拡径部334が形成されている。そして、第1筒状部材30aの後端側から挿入された第2筒状部材30bは、拡径部334が第1筒状部材30aの縮径部333に当接するように構成されている。これによって、第2筒状部材30bは、第1筒状部材30aに保持されている。
【0031】
第2筒状部材30bの露出部32bは、第2筒状部材30bの先端をなしており、外周面が露出基端から該先端に向かうにつれて先細りとなるように形成されている。露出部32bの長さは、10mm以上20mm以下である。また、露出部32bは、最大の外径を有する基端と、最小の外径を有する先端とを有し、前記基端から前記先端にかけて先細りとなるように形成されている。前記基端の外径は、5mm以下である。かかる細長の露出部32bは、ペン先部材20の先端を目元へ向かわせる指針として好適であり、アイライナー1の取扱性を向上させ得る。
【0032】
図2に示すように、ペン先部材20は、第2筒状部材30bに覆われるようにして第2筒状部材30bに保持されている。かかるペン先部材20は、第2筒状部材30bの先端から突出した突出部21と、軸方向において突出部21とは反対側の端部である基端部22と、基端部22に隣り合う位置で第2筒状部材30bと嵌合する嵌合部23と、突出部21と嵌合部23との間の中間部たる延在部24とを有する。
【0033】
本実施形態の突出部21は、軸方向における長さ、すなわち第2筒状部材30bからの突出長さが1mm以上4mm以下である。当該突出長さは3mm以下が好ましく、2mm以下がより好ましい。
【0034】
本実施形態の基端部22は、第2筒状部材30bの拡径部334に配されている。基端部22における外側面と拡径部334における内側面との間には、空気が流入し得る隙間が形成されている。これによって、ペン先部材20における液状化粧料の流通がスムーズになる。
【0035】
本実施形態の嵌合部23は、第2筒状部材30bの内面に当接するように構成されている。かかる嵌合部23は、ペン先部材20が第2筒状部材30bに収容される前の材料の段階において、外径が第2筒状部材30bの内径よりも大きくされることによって形成されている。これによって、嵌合部23は、第2筒状部材30bによって締め付けられるようにして該第2筒状部材30bに保持される。
【0036】
本実施形態の延在部24(中間部)は、第2筒状部材30bとの間に若干の遊びを持たせた状態となっている。すなわち、延在部24は、嵌合部23のように第2筒状部材30bに締め付けられていない部分である。これによって、液状化粧料用塗布具製造時などにおけるペン先部材20の不用意な変形や損傷が抑制される。一方、遊びを持たせた状態の場合、延在部24と第2筒状部材30bとの間に空気が流入し得る隙間が生じ得る。そして、該空気の膨張は、第2筒状部材30bの先端からの液状化粧料の漏れの原因となり得る。これに対し、本実施形態の液状化粧料用塗布具1は、延在部24の側面が、液状化粧料によるペン先部材20の膨潤により第2筒状部材30bの内面に接触しているか又は第2筒状部材30bの内面との間に満たされた液状化粧料が接触している高気密領域と、第2筒状部材30bの内面との間に隙間を形成している低気密領域とを有する。そして、本実施形態のアイライナー1では、前記高気密領域の面積が前記低気密領域の面積よりも大きくなるように構成されている。これによって、上記のような液状化粧料の漏れが抑制され、延いては、睫毛の間のような狭小部に適切な量の液状化粧料の塗布が可能になるとともに、このような狭小部に対する液状化粧料の付着が抑制される。
【0037】
本実施形態の延在部24の長さは、基端部22長さ又は嵌合部23の長さよりも長く、基端部22と嵌合部23とを合わせた長さよりも長い。また、本実施形態の延在部24の長さは、突出部21の長さよりも長い。
【0038】
図1及び
図3に示すように、第2筒状部材30bは、ペン先部材20を挿通するための先端開口34と、ペン先部材20への液状化粧料の供給を促進するための複数の(具体的には4つの)空気流通口35とを有する。各空気流通口35は、外部環境(大気圧下)に通じるように構成されている。
図3に示すように、先端側から第2筒状部材30bを見たときに、各空気流通口35は、先端開口34を囲むように周方向に等間隔を空けて形成されている。先端開口34の開口面積に対する空気流通口35の総開口面積の割合は、先端開口34の開口面積の40%以下である。当該割合は、10%以上30%以下が好ましく、10%以上20%以下がより好ましい。
【0039】
図2、
図4~5に示すように、本実施形態の液状化粧料用塗布具1は、さらに、液状化粧料を貯蔵するインク貯留部40と、インク貯留部40からペン先部材20に液状化粧料を供給する中継芯50と、中継芯50における液状化粧料の吸蔵バランスを図るコレクタ60とを備えている。インク貯留部40、中継芯50、及びコレクタ60は、第1筒状部材30aに収容されており、ペン先部材20へのインク供給機構をなしている。
【0040】
本実施形態のインク貯留部40は、液状化粧料を収容するとともに該液状化粧料の均一化を促進するための球体41を収容する円柱状の収容空間を有する。本実施形態のインク貯留部40は、筒状であり、後端部が蓋材によって閉塞されている。一方、インク貯留部40の先端部には、液状化粧料を中継芯50に供給するための開口が形成されており、該開口を閉塞するようにコレクタ60が接続されている。
【0041】
本実施形態の中継芯50は、棒状であり、連続気泡が形成された樹脂成形体、フェルト等の繊維材等で構成されている。中継芯50の先端部は、ペン先部材20の基端部22に刺し込まれている。
【0042】
本実施形態のコレクタ60は、中継芯50を収容する筒状の収容部61と、軸方向の所定の位置において収容部61の側面から径方向外方に延出する一対の鍔部62と、一対の鍔部62の間において所定量の隙間を軸方向に空けて配列された円環状の複数の仕切羽63とを有する。
【0043】
収容部61は、インク貯留部40の先端からペン先部材20の後端にわたって延在している。収容部61は、中継芯50の先端部を突き出させた状態で中継芯50を収容している。各鍔部62は、円環状であり、周面が第1筒状部材30aの内面に当接するように構成されている。
【0044】
各仕切羽63の周縁は、第1筒状部材30aの内面に接触している。各仕切羽63の間の隙間は、外部環境(大気圧下)に通じている。複数の仕切羽63は、毛細管現象によって液状化粧料を保持し得る隙間を空けて配置されている。
【0045】
図4に示すように、最後尾の仕切羽を含む後端側のいくつかの仕切羽63a(第1仕切羽63a)は、収容部61の内部にまで延びるスリット631aを有する。スリット631aは、中継芯50が保持しきれない液状化粧料を毛細管現象によって流入させるように構成されている。すなわち、スリット631aは、中継芯50とコレクタ60との間の液状化粧料の往来を中継するように機能する。スリット631aが保持しきれない液状化粧料は、各仕切羽63の間の前記隙間に保持されることとなる。
【0046】
一方、
図5に示すように、第1仕切羽63aよりも先端側のいくつかの仕切羽63b(第2仕切羽63b)は、収容部61の手前まで延びるスリット631bを有する。言い換えれば、スリット631bは、収容部61の内部にまでは延びていない。スリット631bは、第1仕切羽63aが保持しきれない液状化粧料を毛細管現象によって流入させるように構成されている。すなわち、スリット631bは、第1仕切羽63aと第2仕切羽63bとの間の液状化粧料の往来を中継するように機能する。
【0047】
さらに、各仕切羽63は、それぞれの間の隙間や各スリットに保持しきれなかった液状化粧料を軸方向に流通させるための切欠部632を有する。各切欠部632は、軸方向の一方側から見たときに、スリット631a及びスリット631bよりも大きい開口面積を有する。各切欠部632は、周方向に位置ずれすることなく軸方向に沿って配列されている。そして、液状化粧料が消耗した際には、切欠部632が形成する流路内の液状化粧料が各仕切羽63の隙間及びスリット631aを介して、中継芯50に供給される(戻る)こととなる。以上のようにして、コレクタ60は、中継芯50における液状化粧料の吸蔵バランスを図るように機能する。
【0048】
尚、本発明に係る液状化粧料用塗布具は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【0049】
例えば、上記実施形態の液状化粧料用塗布具1は、第1筒状部材30aと第2筒状部材30bとを備えているが、これに限らず、前記筒状部材は1つの部材で構成されていてもよい。
【0050】
また、本発明の液状化粧料用塗布具は、上記実施形態で説明したように、目元における細かな化粧に特に好適である。かかる観点から、本発明の液状化粧料用塗布具は、アイブロウのように眉毛における化粧に用いられてもよく、マスカラのように睫毛における化粧に用いられてもよい。
【0051】
また、睫毛美容液などにおいては睫毛自体に塗布するものが主流であるが、本発明の液状化粧料用塗布具によれば、睫毛の根元へ塗布する化粧においてより効果が期待できる。
【0052】
また、本発明の液状化粧料用塗布具は、フェイスペイントやボディペイントに用いられてもよい。この場合、本発明の特徴によって、使用者が狙った狭小部に適切な量の液状化粧料を塗布し易くなる。よって、フェイスペイントやボディペイントにおいて繊細な描写が可能となり得る。
【符号の説明】
【0053】
1:液状化粧料用塗布具、10:胴軸、11:先端部、12:後端部、13:中空部、20:ペン先部材、21:突出部、22:基端部、23:嵌合部、24:延在部(中間部)、30:筒状部材、30a:第1筒状部材、31a:非露出部、32a:露出部、30b:第2筒状部材、31b:非露出部、32b:露出部、33a:係止部、331:拡径部、332:突出部、333:縮径部、334:拡径部、34:先端開口、35:空気流通口、40:インク貯留部、50:中継芯、60:コレクタ、61:収容部、62:鍔部、63:仕切羽、63a:第1仕切羽、631a:スリット、63b:第2仕切羽、631b:スリット、632:切欠部