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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024093354
(43)【公開日】2024-07-09
(54)【発明の名称】移植機
(51)【国際特許分類】
   A01C 11/02 20060101AFI20240702BHJP
【FI】
A01C11/02 303C
A01C11/02 311G
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022209669
(22)【出願日】2022-12-27
(71)【出願人】
【識別番号】000000125
【氏名又は名称】井関農機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092794
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 正道
(72)【発明者】
【氏名】村並 昌実
(72)【発明者】
【氏名】山根 暢宏
(72)【発明者】
【氏名】東 幸太
(72)【発明者】
【氏名】田▲崎▼ 昭雄
(72)【発明者】
【氏名】清家 丈晴
(72)【発明者】
【氏名】中島 弘喜
(72)【発明者】
【氏名】周防 僚太
【テーマコード(参考)】
2B060
【Fターム(参考)】
2B060AA10
2B060AC08
2B060AE01
2B060BA03
2B060CA03
2B060CB05
2B060CC05
(57)【要約】
【課題】従来、走行装置である走行クローラの後部に作業者用の搭乗ステップを設けた苗移植機がある。然しながら、搭乗ステップは走行装置の後部に独立して設けた構成であって、機体片側の搭乗ステップに作業者が搭乗すると大きな加重となり走行装置にスリップが生じやすくなり、苗の植付間隔が不安定になる恐れがあり、機体の左右バランスが左右一方に偏るので、機体の直進性能に支障をきたして適切な移植作業が行なえない恐れがある。そこで、搭乗ステップに作業者が搭乗しても適切な移植作業が行なえる移植機を提供する。
【解決手段】操縦ハンドル2と左右走行装置7L,7Rと植付装置50を備える移植機において、左右走行装置7L,7Rの後部に各々作業者が搭乗する左右搭乗ステップ70L,70Rを設け、機体の上方を跨ぐ門型の連結フレーム77にて左右搭乗ステップ70L,70Rを連結する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
操縦ハンドル(2)と左右走行装置(7L,7R)と植付装置(50)を備える移植機において、左右走行装置(7L,7R)の後部に各々作業者が搭乗する左右搭乗ステップ(70L,70R)を設け、機体の上方を跨ぐ門型の連結フレーム(77)にて左右搭乗ステップ(70L,70R)を連結したことを特徴とする移植機。
【請求項2】
左右走行装置(7L,7R)を左右間隔が調節可能に機体に設け、連結フレーム(77)を左右搭乗ステップ(70L,70R)に各々下部連結された左右フレーム(77L,77R)と左右フレーム(77L,77R)の上部側を連結する連結材(80)で構成し、左右フレーム(77L,77R)の少なくとも一方に作業者用座席(46)を設けたことを特徴とする請求項1に記載の移植機。
【請求項3】
連結フレーム(77)の上部を左右方向に延びる左右軸部(79)とし、該左右軸部(79)を植付装置(50)に移植物を供給する供給装置(60)よりも機体後側に設けた案内体(82)に案内されて上下移動自在且つ下降位置を規制した状態で設け、左右搭乗ステップ(70L,70R)に圃場面に接地する左右支持輪(74L,74R)を設け、連結フレーム(77)の下部を左右搭乗ステップ(70L,70R)に回動可能に連結したことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の移植機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ジャガイモ等の球根類や玉葱やレタス等の野菜苗を圃場に移植する移植機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、走行装置である走行クローラの後部に作業者用の搭乗ステップを設けた苗移植機がある(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-004776号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
然しながら、従来の搭乗ステップは走行装置の後部に独立して設けた構成であって、機体片側の搭乗ステップに作業者が搭乗すると大きな加重となり走行装置にスリップが生じやすくなり、苗の植付間隔(株間)が不安定になる恐れがあり、機体の左右バランスが左右一方に偏るので、機体の直進性能に支障をきたして適切な移植作業が行なえない恐れがある。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、搭乗ステップに作業者が搭乗しても適切な移植作業が行なえる移植機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1記載の発明は、操縦ハンドル2と左右走行装置7L,7Rと植付装置50を備える移植機において、左右走行装置7L,7Rの後部に各々作業者が搭乗する左右搭乗ステップ70L,70Rを設け、機体の上方を跨ぐ門型の連結フレーム77にて左右搭乗ステップ70L,70Rを連結した移植機である。
【0007】
請求項1記載の発明によれば、左右走行装置7L,7Rの後部に各々作業者が搭乗する左右搭乗ステップ70L,70Rを設け、機体の上方を跨ぐ門型の連結フレーム77にて左右搭乗ステップ70L,70Rを連結したので、圃場の凹凸や高低差等により左右搭乗ステップ70L,70Rがガタつくことを防止し、左右搭乗ステップ70L,70Rに作業者が搭乗しても適切な移植作業が行なえる。
【0008】
請求項2記載の発明は、左右走行装置7L,7Rを左右間隔が調節可能に機体に設け、連結フレーム77を左右搭乗ステップ70L,70Rに各々下部連結された左右フレーム77L,77Rと左右フレーム77L,77Rの上部側を連結する連結材80で構成し、左右フレーム77L,77Rの少なくとも一方に作業者用座席46を設けた請求項1に記載の移植機である。
【0009】
請求項2記載の発明によれば、請求項1に記載の発明の作用効果に加えて、左右走行装置7L,7Rを左右間隔が調節可能に機体に設け、連結フレーム77を左右搭乗ステップ70L,70Rに各々下部連結された左右フレーム77L,77Rと左右フレーム77L,77Rの上部側を連結する連結材80で構成したので、左右走行装置7L,7Rの左右間隔を変更する際に左右搭乗ステップ70L,70Rの間隔を容易に変更することができる。
【0010】
また、左右フレーム77L,77Rの少なくとも一方に作業者用座席46を設けたので、左右搭乗ステップ70L,70R上に立つよりも作業者の疲労を抑えられる。
【0011】
請求項3記載の発明は、連結フレーム77の上部を左右方向に延びる左右軸部79とし、該左右軸部79を植付装置50に移植物を供給する供給装置60よりも機体後側に設けた案内体82に案内されて上下移動自在且つ下降位置を規制した状態で設け、左右搭乗ステップ70L,70Rに圃場面に接地する左右支持輪74L,74Rを設け、連結フレーム77の下部を左右搭乗ステップ70L,70Rに回動可能に連結した請求項1または請求項2に記載の移植機である。
【0012】
請求項3記載の発明によれば、請求項1または請求項2に記載の発明の作用効果に加えて、左右搭乗ステップ70L,70Rに圃場面に接地する左右支持輪74L,74Rを設けたので、左右支持輪74L,74Rの回転により、機体の姿勢の乱れや、走行速度が低下することが防止される。
【0013】
また、連結フレーム77の上部を左右方向に延びる左右軸部79とし、該左右軸部79を植付装置50に移植物を供給する供給装置60よりも機体後側に設けた案内体82に案内されて上下移動自在且つ下降位置を規制した状態で設けたので、作業者は連結フレーム77を手摺として利用して左右搭乗ステップ70L,70Rに乗りやすくなる。
【0014】
また、連結フレーム77の下部を左右搭乗ステップ70L,70Rに回動可能に連結したので、走行に伴う振動が左右搭乗ステップ70L,70Rから連結フレーム77に伝わりにくくなる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の実施形態にかかる移植機の側面図である。
図2】同移植機の平面図である。
図3】同移植機の背面図である。
図4】(A)、(B)案内体の他の実施形態を示す作用説明用の側断面図である。
図5】(A)、(B)案内体の他の実施形態を示す作用説明用の側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面に基づき、本発明の好ましい実施の形態について説明する。
【0017】
この発明の実施の一形態のジャガイモの移植機を以下に説明する。尚、以下の説明では、操縦ハンドル2を配置した側を後とし、その反対側、即ちエンジン3を配置した側を前とする。そして、機体前側に向かって右手側を右とし、左手側を左とする。
【0018】
図1図3に示すように、この移植機は、機体を前進走行可能とする走行車体1と、該走行車体1の後部に設けた歩行操縦用の操縦ハンドル2と、圃場にジャガイモを植付ける植付装置50と、該植付装置50にジャガイモを供給する供給装置60を備えている。
【0019】
走行車体1は、エンジン3と、該エンジン3の動力を変速して各部に伝動するミッションケース4と、該ミッションケース4の動力で各々駆動回転する駆動輪である左右後輪7L,7Rと、該左右後輪7L,7Rの前方に転動自在に支持した左右前輪8L,8Rを備えている。
【0020】
ミッションケース4の左右両側には左右車輪駆動軸9L,9Rを突出し、該左右車輪駆動軸9L,9Rに各々左右摺動体5L,5Rを左右方向に移動自在に外嵌し、該左右摺動体5L,5Rに前後に長い走行用の左右ケース体10L,10Rの前部を各々回動自在に取付けている。
【0021】
左右摺動体5L,5Rは、メインフレーム6から左右方向に延設した左右支持杆11L,11Rに各々左右移動及びピン14にて固定自在に設けた左右筒体20L,20Rに左右連結アーム24L,24Rにて連結されている。
【0022】
従って、ピン14を外して左右筒体20L,20Rを左右支持杆11L,11R上を左右移動させることにより、左右ケース体10L,10Rを左右移動させて左右後輪7L,7Rのトレッド幅を変更することができる。
【0023】
なお、左右支持杆11L,11Rには、ピン14を挿通するピン孔14aが左右方向に複数設けられており、トレッド幅の変更後にピン14にて左右ケース体10L,10Rの左右移動を固定できる。
【0024】
左右ケース体10L,10Rの後部側方に突出させた左右車軸12L,12Rに左右後輪7L,7Rを装着している。
【0025】
また、左右ケース体10L,10Rには、該左右ケース体10L,10Rの前部側を回動支点として左右後輪7L,7Rを上下させるよう上下回動する駆動手段が連結している。
【0026】
具体的には、左右ケース体10L,10R前部には、上方に延びる左右アーム13L.13Rを一体的に取り付けていて、これがミッションケース4に固定された昇降用油圧シリンダ(図示せず)のピストンロッド先端に取り付けた連結体の左右両側部と連結している。左右一方側(右側)は、ロッドで連結し、他方側(左側)は、機体の傾斜に応じて伸縮作動可能な左右傾斜制御用油圧シリンダ(図示せず)で連結している。
【0027】
昇降用油圧シリンダが作動してそのピストンロッドが機体後方に突出すると、左右アーム13L.13Rは後方に回動し、これに伴い左右ケース体10L,10Rが下方に回動して、機体が上昇する。反対に、昇降用油圧シリンダのピストンロッドが機体前方に移動してシリンダ内に引っ込むと、左右アーム13L.13Rは前方に回動し、これに伴い左右ケース体10L,10Rが上方に回動して、機体が下降する。
【0028】
この昇降用油圧シリンダは、畝面に接地して機体と畝面との上下間隔の変動にともなって動作する対地センサによって作動する。対地センサの動作は機体に対する畝上面高さを検出する動作となり、その対地センサの検出動作に基づいて機体を畝上面高さに対して設定高さになるように昇降用油圧シリンダが作動するよう構成している。
【0029】
また、操縦ハンドル2近傍に配置した植付・昇降操作具15の人為操作によって機体を手動上昇或は下降させるよう昇降用油圧シリンダが作動する構成ともしている。尚、この植付・昇降操作具15は、植付装置50及び供給装置60の駆動の入切も行える構成となっている。
【0030】
また、前記左右傾斜制御用油圧シリンダが伸縮作動すると、その左右傾斜制御用油圧シリンダと連結する左側のアーム13Lが回動して、左側の後輪7のみを上下動させ、機体を左右に傾斜させる。この左右傾斜制御用油圧シリンダは、機体の左右中央部に設けた左右傾斜センサの検出結果に基づいて機体を左右水平になるように作動する。
【0031】
左右前輪8L,8Rは、エンジン3下方の左右中央位置で前後方向の軸心周りに回動自在に取り付けた横フレーム16の左右両側部に、上下に長い縦フレームを取付け、その下端部側方に固着した車軸18L,18Rに回転自在に取り付けている。従って、左右前輪8L,8Rは、機体の左右中央の前後方向の軸心周りにローリング動自在となっている。横フレーム16の左右両側部に対して縦フレームを上下調節可能に設けていて、左右前輪8L,8Rの高さ調節をすることができるようになっている。
【0032】
操縦ハンドル2は、機体後部に設けていて、左右後輪7L,7Rの左右車軸12L,12Rより機体後側に位置している。
【0033】
具体的には、操縦ハンドル2は、エンジン3やミッションケース4を搭載しているメインフレーム6に前端部を固定した機体フレーム19の後端部に取り付けている。
【0034】
機体フレーム19は、機体の左右中央から左に偏倚した位置で後方に延び、また、前後中間部から斜め後上方に延びている。操縦ハンドル2は、機体フレーム19の後端部から左右に後方に延びてその各後端部を操縦ハンドル2の左右グリップ部としている。
【0035】
植付装置50は、先端が下方に向かうくちばし状の植付け体21と、該植付け体21の下端部が圃場面より上方となる位置と圃場面より下方となる位置とに植付け体21を上下動させる上下動機構22と、くちばし状の植付け体21の下端部が閉じて上方からジャガイモを受け入れて内側にジャガイモを収容可能する閉状態と植付け体21の下端部が左右に開いて内側に収容したジャガイモを下方に放出可能する開状態とに植付け体21を開閉する開閉機構とを備えている。
【0036】
供給装置60は、ジャガイモを上方から受け入れて内側にジャガイモを収容する複数の収容体23と、該収容体23を植付け体21の上方を通過するように回動させる移動機構と、植付け体21の上方位置で収容体23の底部を開放して内側に収容したジャガイモを落下させて植付け体21にジャガイモを供給するジャガイモ落下供給機構となる開放機構を備えている。
【0037】
なお、供給装置60の上面中央位置には、収容体23に供給するジャガイモを貯留しておく貯留部60aが設けられている。
【0038】
植付装置50は、1つの植付け体21を機体の左右中央位置に配置した1条植えの構成としている。
【0039】
植付け体21は、ミッションケース4からの動力にて駆動される植付伝動ケース26の右側部に設けた上下動機構22に装着している。尚、前記植付伝動ケース26は、機体フレーム19上に固定されている。
【0040】
上下動機構22は、植付伝動ケース26に対して前部を上下回動自在に装着し後部を植付け体21に連結した上側と下側の昇降リンクを備えている。そして、別途設けた駆動機構により植付伝動ケース26内からの動力で上下の昇降リンクを上下動させ、植付け体21が上下動する構成となっている。そして、上昇位置では植付け体21の下端部が圃場面より上方に位置し、下降位置では植付け体21の下端部が圃場面より下方に位置する。
【0041】
植付け体21の開閉機構は、植付伝動ケース26内からの動力で作動し、上下動機構22の作動に連動して、植付け体21が下降下端位置に達すると該植付け体21の下部側を前後に開いて下方に開放状態とし、植付け体21が上昇上端位置に達すると該植付け体21の下部側を閉じて閉塞状態とする構成である。
【0042】
供給装置60の開放機構は、収容体23の回動軌跡下方で底蓋が下方に回動しないように底蓋を下方から支持する支持体を設け、この支持体を植付け体21の上方位置には設けないようにすることで、植付け体21の上方位置を収容体23が通過するとき、底蓋が支持体による支持状態が解かれて下方回動し収容体23内のジャガイモが下方に落下可能になるように開放する構成としている。収容体23の底蓋が開くタイミングは、植付け体21が収容体23の直下まで上昇したときとなるように調整しておく。
【0043】
この移植機は、植付け体21が植付けたジャガイモに対して覆土鎮圧するための覆土鎮圧輪を植付け体21の植付け個所の後方左右両側近傍位置に設けている。
【0044】
この覆土鎮圧輪は、前部をメインフレーム9に上下回動自在に枢支した覆土鎮圧輪支持フレ-ムに遊転自在に装着されている。
【0045】
覆土鎮圧輪支持フレ-ムは、平面視で後側がU字型であり、パイプフレ-ムを適宜折り曲げて構成されている。
【0046】
覆土鎮圧輪支持フレ-ムの後端部には上下方向に延びるロッドの下端を連結し、該ロッドの上部を機体の左右中央から左に偏倚した位置に設けた機体フレーム19から右方向に延設したパイプ状の左右フレ-ムの先端位置で貫通させ、上下移動自在に支持している。
【0047】
従って、覆土鎮圧輪は、機体の左右中央から左に偏倚した位置に設けた機体フレーム19から右方向に延設した左右フレ-ムに上下移動自在に支持しているので、機体フレーム19の右側方の空きスペースを利用して畝に上下動追従可能に支持することができる。
【0048】
操縦ハンドル2の左右中央位置には、操作部43が設けられている。
【0049】
また、操縦ハンドル2の左グリップ部の近くには、エンジン3のスロットルレバー44が設けられている。
【0050】
また、左右後輪7L,7Rの後側には、左右搭乗ステップ70L,70Rが設けられており、作業者が移植作業時に搭乗できる。
【0051】
左右搭乗ステップ70L,70Rは、ステップフレーム71L,71R上面に溶接固定された鉄製の左右平板パンチングメタル72L,72Rで構成されている。
【0052】
ステップフレーム71L,71Rの前端部は、各々左右ケース体10L,10R後端部の外側面に固定された左右車軸12L,12Rと同軸心の枢支ピン73L,73Rに枢支されて後部側が上下回動自在となっている。
【0053】
ステップフレーム71L,71Rの後部下側には、各々左右支持輪74L,74Rが左右支持輪車軸75L,75Rにて遊転自在に装着されている。
【0054】
ステップフレーム71L,71Rの後部で左右平板パンチングメタル72L,72R上面に設けた左右連結用係合部材76L,76Rには、左右搭乗ステップ70L,70R後部を連結する正面視で門型の連結フレーム77の左右下端部の左右方向の左右軸部78L,78Rが回動自在に係合した構成となっている。
【0055】
連結フレーム77は、左右フレーム77L,77Rを上部の左右方向に延びる左右軸部79を連結材としてのジョイントパイプ80の左右両側に嵌入させて固定ピン81で固定した構成としている。
【0056】
左右軸部79には、固定ピン81を挿し込むピン孔が左右方向に複数個設けてあり、連結フレーム77の左右幅を変更可能な構成となっている。
【0057】
従って、左右ケース体10L,10Rを左右移動させて左右後輪7L,7Rのトレッド幅を変更する際に、固定ピン81を抜いて左右フレーム77L,77Rが左右移動可能にして容易に左右後輪7L,7Rのトレッド幅を変更でき、トレッド幅変更後は対応するピン孔に固定ピン81を挿し込んで連結フレーム77の左右幅を固定する。
【0058】
そして、連結フレーム77の左右軸部79が供給装置60の後方位置で機体フレーム19よりも上方に位置し、連結フレーム77は機体フレーム19を跨ぐ門型の構成となっている。
【0059】
また、機体フレーム19には、連結フレーム77の左右軸部79を上下方向に移動することを案内する上方が開放した側面視U字状の案内体82の基部が溶接固定されている。
【0060】
従って、左右支持輪74L,74Rが圃場面の凹凸や高低により上下動する際に、機体フレーム19を跨ぐ門型の連結フレーム77の左右軸部79が供給装置60の後方位置で機体フレーム19よりも上方に位置し、連結フレーム77の左右軸部79が案内体82によって前後移動が規制された状態で上下方向に案内されるので、左右搭乗ステップ70L,70R(左右支持輪74L,74R)が左右でガタつくことなく適切に上下作動する。
【0061】
また、左右搭乗ステップ70L,70Rに作業者が搭乗した際に、左右搭乗ステップ70L,70Rは機体フレーム19を跨ぐ門型の連結フレーム77にて連結されているので、作業者の重量を左右支持輪74L,74Rにて支持できて乗車安定性が向上する。
【0062】
また、連結フレーム77が供給装置60の後方位置にあることにより、作業者が左右搭乗ステップ70L,70Rに乗降する際に、連結フレーム77が手摺の役を兼用して、安全に乗降ができる。
【0063】
また、左右後輪7L,7Rを下降させて機体を上昇させて旋回させる際に、機体の上昇により、案内体82により連結フレーム77の左右軸部79を持ち上げて左右搭乗ステップ70L,70R後部が枢支ピン73L,73Rまわりに回動して圃場面から離れるように上昇し、且つ、左右搭乗ステップ70L,70Rの荷重が機体後部に掛かるので、操縦ハンドル2を押し下げて左右前輪8L,8Rを圃場面から浮かせて行なう機体の旋回が容易に行なえる。
【0064】
また、左右連結用係合部材76L,76Rを左右搭乗ステップ70L,70Rの前後方向に複数設ければ、連結フレーム77の左右下端部の左右軸部78L,78Rを複数の左右連結用係合部材76L,76Rの何れと係合するかを選択することにより、左右搭乗ステップ70L,70R後部(左右支持輪74L,74R)の最下降位置の変更が行える。
【0065】
この移植機は、供給装置60にジャガイモを補給する作業者が乗車してジャガイモ補給作業が行えるように、作業者が座る作業者用座席46を設けている。
【0066】
具体的には、供給装置60の左後方となる左搭乗ステップ70Lの上方位置に前向きまたは前右向き(供給装置60の方を向く)に作業者用座席46を配置している。
【0067】
連結フレーム77の左フレーム77Lの縦方向のフレーム部にパイプ材よりなる座席支持フレーム83を溶接固定し、該座席支持フレーム83に作業者用座席46の底面から下方に延びる座席支柱84を挿入して、作業者用座席46の支持構成としている。
【0068】
そして、座席支持フレーム83の挿通孔内には圧縮バネが設けられており、作業者用座席46は該圧縮バネにて上下作動して作業者は座り心地の良い作業が行える。
【0069】
従って、座席46に座る作業者は、供給装置60の方を向いて着座して、貯留部60aからジャガイモを取り出して供給装置60の左後側部に対してジャガイモ供給作業を楽な姿勢で容易に行なうことができる。
【0070】
また、操縦ハンドル2の左グリップ部の近くにエンジン3のスロットルレバー44が設けられているので、作業者は作業者用座席46に着座したままエンジン3の増減速が行なえて操作性が良い。
【0071】
また、作業者用座席46は連結フレーム77に取付けられているので、作業者用座席46に着座した作業者の重量を左右支持輪74L,74Rにて支持できて乗車安定性が向上する。
【0072】
なお、連結フレーム77の左フレーム77Lに作業者用座席46を設けた例を示したが、連結フレーム77の右フレーム77Rに作業者用座席46を設けても良く、また、左右フレーム77L,77Rの両方に左右作業者用座席46を設けても良い。即ち、作業者用座席46は、機体の左右何れの側に設けてもよく、また、左右両方に設けても良い。
【0073】
なお、左右搭乗ステップ70L,70Rに作業者が搭乗して貯留部60aからジャガイモを取り出して供給装置60に対してジャガイモ供給作業を行なっても良く、圃場を機体の進行にともなって歩かなくても良いので作業性が良く楽である。
【0074】
また、作業をしない時には、作業者用座席46の座席支柱84を座席支持フレーム83から抜いて作業者用座席46を汚れない場所に保管できる。
【0075】
また、座席支持フレーム83に上下方向にピン孔を複数設けると共に、座席支柱84にピン孔を設けて、座席支持フレーム83に作業者用座席46の座席支柱84を挿入して座席支柱84に設けたピン孔と座席支持フレーム83に設けた複数のピン孔の何れかにピンを挿通して固定する構成にすれば、作業者用座席46を作業者の体格に合わせて上下調節できて作業性が良い。
【0076】
なお、座席支持フレーム83の挿通孔内に圧縮バネを設けて作業者用座席46が該圧縮バネにて上下作動する構成とする場合には、座席支持フレーム83に上下方向に複数設けたピン孔を上下方向の長孔にすれば良い。
【0077】
また、作業者用座席46の底面と座席支柱84上端との連結位置に左右方向の枢支軸を設けて作業者用座席46を前後方向に倒せるようにするか、作業者用座席46の底面と座席支柱84上端との連結位置に前後方向の枢支軸を設けて作業者用座席46を左右方向に倒せるようにすれば、作業者用座席46を機体に装着したままにする場合に、作業者用座席46を前後方向または左右方向に倒して座席に雨水等が溜まらないようにすることができる。
【0078】
なお、図中、88L,88Rは、左右搭乗ステップ70L,70R前端部に各々設けた左右後輪7L,7R後部を覆って土等が左右搭乗ステップ70L,70R上にかかるのを防止する車輪カバーである。
【0079】
機体前部上方には、ジャガイモを入れたコンテナを載置する予備載台85が設けられている。
【0080】
<他の実施形態>
【0081】
(1)図4(A)、(B)は、案内体82の他の実施形態を示す作用説明用の側断面図である。
【0082】
即ち、U字状の案内体82に前後方向に作動する係止ピン86を設け、該係止ピン86が案内体82の内方に突出すると連結フレーム77の左右軸部79の下動を規制する状態となり、係止ピン86が案内体82の内方から退避すると連結フレーム77の左右軸部79が自由に上下作動できる状態となる。
【0083】
そして、係止ピン86は、案内体82の内方に突出する方向にスプリングにて付勢されており、植付・昇降操作具15を植付装置50及び供給装置60の駆動入りに操作した時に操作ワイヤ87により引かれて案内体82の内方から退避し、植付・昇降操作具15を植付装置50及び供給装置60の駆動切りに操作した時に操作ワイヤ87が緩んでスプリングの付勢力で案内体82の内方に突出する。
【0084】
従って、植付・昇降操作具15を植付装置50及び供給装置60の駆動入りに操作した植付作業時には、係止ピン86が案内体82の内方から退避して連結フレーム77の左右軸部79が自由に上下作動できる状態となり、左右支持輪74L,74R(左右搭乗ステップ70L,70R)が圃場面の凹凸や高低に適切に追従して上下動して良好で適切な移植作業が行なえる。
【0085】
また、植付・昇降操作具15を植付装置50及び供給装置60の駆動切りに操作した機体旋回時には、係止ピン86が案内体82の内方に突出して連結フレーム77の左右軸部79の下動を規制した状態となり、左右支持輪74L,74R(左右搭乗ステップ70L,70R)の下降限界が高くなって良好な旋回が行なえる。
【0086】
図5(A)、(B)は、上記係止ピン86に換えて複数段(実施例は2段であるが3段以上でも良い)の係止部86a,86bを有する係止部材86’を用いた変形例を示す。
【0087】
即ち、植付・昇降操作具15を植付装置50及び供給装置60の駆動切りに操作した機体旋回時には、係止部材86’が案内体82の内方に突出して連結フレーム77の左右軸部79を複数段の係止部86a,86bの何れかが係止して上下動を規制した状態となり、左右支持輪74L,74R(左右搭乗ステップ70L,70R)の上下位置が所望の高さに固定でき効率の良い良好な旋回が行なえる。
【0088】
左右軸部79を上段の係止部86aで固定した場合は、左右支持輪74L,74R(左右搭乗ステップ70L,70R)を高い位置で固定し、左右軸部79を下段の係止部86bで固定した場合は、左右支持輪74L,74R(左右搭乗ステップ70L,70R)を少し高い位置で固定する。
【0089】
また、係止ピン86や係止部材86’に換えて案内体82のU字状内方空間部を上下移動するフレーム77の左右軸部79を下方から受け止めるストッパを設け、該ストッパの上下移動を植付・昇降操作具15とリンク機構にて連繋しても良い。
【0090】
即ち、植付・昇降操作具15を植付装置50及び供給装置60の駆動入りに操作するとリンク機構にてストッパを最下動位置にして、連結フレーム77の左右軸部79が自由に上下作動できる状態となり、左右支持輪74L,74R(左右搭乗ステップ70L,70R)が圃場面の凹凸や高低に適切に追従して上下動して良好で適切な移植作業が行なえる。
【0091】
また、植付・昇降操作具15を植付装置50及び供給装置60の駆動切りに操作するとリンク機構にてストッパを最上動位置にして、連結フレーム77の左右軸部79の下動を規制した状態となり、左右支持輪74L,74R(左右搭乗ステップ70L,70R)の下降限界が高くなって良好な旋回が行なえる。
【0092】
なお、上記までの実施形態では、植付・昇降操作具15の操作にて係止ピン86や係止部材86’やストッパを作動させる例を示したが、係止ピン86や係止部材86’やストッパを作動させる専用の操作レバーを設けても良い。
【0093】
(2)左右搭乗ステップ70L,70Rをメインフレーム6に基部が枢支された平行リンクで上下作動する構成とし、左右支持輪74L,74Rが圃場面の凹凸や高低に追従して上下動すると左右搭乗ステップ70L,70Rが平行リンクにて水平状態を維持して上下作動する構成としても良い。
【0094】
左右搭乗ステップ70L,70Rが平行リンクにて地面に対して水平状態を維持して上下作動するので、該左右搭乗ステップ70L,70Rに搭乗している作業者が安全に且つ安定した姿勢で作業を行なえる。
【0095】
また、操縦ハンドル2の左右中央位置の操作部43に設けた上下作動スイッチにて作動するアクチュエータにて平行リンクを上下作動させる構成とする。
【0096】
従って、機体旋回時に、上下作動スイッチにてアクチュエータにて平行リンクを上動させれば、左右搭乗ステップ70L,70Rが水平状態を維持して上昇し、旋回作業が容易に行える。
【0097】
なお、前記実施形態も同様であるが、左右支持輪74L,74Rは、それぞれ左右走行装置7L,7Rの後方位置で上下昇降する。
【0098】
そして、機体の移動時にも操作部43に設けた上下作動スイッチにて作動するアクチュエータにて平行リンクを上動させて左右搭乗ステップ70L,70Rを水平状態を維持して上昇させると、機体の移動が容易に行なえると共に、上昇した水平な左右搭乗ステップ70L,70Rを物置台としても利用できて便利である。
【符号の説明】
【0099】
2 操縦ハンドル
7L 左走行装置
7R 右走行装置
46 作業者用座席
50 植付装置
60 供給装置
70L 左搭乗ステップ
70R 右搭乗ステップ
74L 左支持輪
74R 右支持輪
77 連結フレーム
77L 左フレーム
77R 右フレーム
79 左右軸部
80 連結材(ジョイントパイプ)
82 案内体
図1
図2
図3
図4
図5