(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024093356
(43)【公開日】2024-07-09
(54)【発明の名称】シャッター装置
(51)【国際特許分類】
E06B 9/17 20060101AFI20240702BHJP
E06B 9/58 20060101ALI20240702BHJP
【FI】
E06B9/17 T
E06B9/58 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022209678
(22)【出願日】2022-12-27
(71)【出願人】
【識別番号】000239714
【氏名又は名称】文化シヤッター株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100141243
【弁理士】
【氏名又は名称】宮園 靖夫
(72)【発明者】
【氏名】吉田 展行
【テーマコード(参考)】
2E042
【Fターム(参考)】
2E042AA01
2E042BA01
2E042CA01
2E042DA01
2E042DB01
(57)【要約】
【課題】シャッター装置の製造に係る工数を減らしつつ、シャッターカーテンに過大な力が加わった場合であっても、ガイドレールからのシャッターカーテンの脱落を防止可能なシャッター装置を提供する。
【解決手段】開口部間において互いに対向して設けられた一対のガイドレールと、複数のスラットを連結して構成され、前記ガイドレールに沿って移動可能に設けられた開閉体とを備えたシャッター装置であって、前記スラットは、入り口側が狭く段状に奥拡がりに形成された前記ガイドレールの入り口側に挟まれるように厚み方向に窪み形成された凹部を両端部側に備え、前記凹部を形成し、該スラットの端部側において厚みが厚くなるように形成された立ち上り部から端部側に向けて厚みが薄くなるように傾斜する傾斜部を備えた構成とした。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口部間において互いに対向して設けられた一対のガイドレールと、
複数のスラットを連結して構成され、前記ガイドレールに沿って移動可能に設けられた開閉体とを備えたシャッター装置であって、
前記スラットは、
入り口側が狭く段状に奥拡がりに形成された前記ガイドレールの入り口側に挟まれるように厚み方向に窪み形成された凹部を両端部側に備え、
前記凹部を形成し、該スラットの端部側において厚みが厚くなるように形成された立ち上り部から端部側に向けて厚みが薄くなるように傾斜する傾斜部を備えたことを特徴とするシャッター装置。
【請求項2】
前記立ち上り部は、前記スラットが前記ガイドレールに対して傾斜したときに、前記ガイドレールの前記段状に形成された内壁に接触可能とされたことを特徴とする請求項1に記載のシャッター装置。
【請求項3】
前記立ち上り部は、前記ガイドレールに接触した時の変形を防ぐ補強手段を備えることを特徴とする請求項1に記載のシャッター装置。
【請求項4】
前記立ち上り部は、前記ガイドレールに接触した時のすべりを抑制するすべり止め手段を備えることを特徴とする請求項1に記載のシャッター装置。
【請求項5】
前記傾斜部は、前記立ち上り部が前記ガイドレールに接触した時の変形を防ぐ補強手段を備えることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のシャッター装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シャッター装置に関し、特に、シャッターカーテンのガイドレールからの脱落を防止可能なシャッター装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、シャッター装置には、間口を開閉するシャッターカーテンが風圧等によってガイドレールからの脱落(抜け落ち)することを防止するロック機構が設けられたものが知られている。ロック機構は、シャッターカーテンを構成するスラットの端部に抜け止め部材を取り付け、ガイドレールに係止させることで、シャッターカーテンの脱落を防止している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、スラットに抜け止め部材を別途取り付ける必要があり、製造に係る工数が増加するという課題がある。
本発明は、上記問題を解消すべく、シャッター装置の製造に係る工数を減らしつつ、シャッターカーテンに過大な力が加わった場合であっても、シャッターカーテンのガイドレールからの脱落を防止可能なシャッター装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するためのシャッター装置の構成として、開口部間において互いに対向して設けられた一対のガイドレールと、複数のスラットを連結して構成され、前記ガイドレールに沿って移動可能に設けられた開閉体とを備えたシャッター装置であって、前記スラットは、入り口側が狭く段状に奥拡がりに形成された前記ガイドレールの入り口側に挟まれるように厚み方向に窪み形成された凹部を両端部側に備え、前記凹部を形成し、該スラットの端部側において厚みが厚くなるように形成された立ち上り部から端部側に向けて厚みが薄くなるように傾斜する傾斜部を備えた構成とした。
本構成によれば、従来のように別途、脱落防止部材をスラットに取り付けることなく、開閉体がガイドレールから脱落することを防止できる。即ち、シャッター装置の製造に係る工数を減らしつつ、シャッターカーテンに過大な力が加わった場合であっても、シャッターカーテンのガイドレールからの脱落を防止することができる。
また、例えば、前記立ち上り部は、前記スラットが前記ガイドレールに対して傾斜したときに、前記ガイドレールの前記段状に形成された内壁に接触可能とすると良い。
また、前記立ち上り部が、前記ガイドレールに接触した時の変形を防ぐ補強手段を備える構成としたり、前記立ち上り部が、前記ガイドレールに接触した時のすべりを抑制するすべり止め手段を備える構成としたりすると良い。
また、前記傾斜部は、前記立ち上り部が前記ガイドレールに接触した時の変形を防ぐ補強手段を備える構成とすると良い。
上記発明の概要は、本発明の必要な特徴の全てを列挙したものではなく、これらの特徴群のサブコンビネーションもまた、発明となり得る。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図2】シャッターカーテン及び巻取り機構の縦断面図である。
【
図3】ガイドレールと開閉体(スラット)の関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、発明の実施形態を通じて本発明を詳説するが、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではなく、また実施形態の中で説明される特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らず、選択的に採用される構成を含むものである。
【0008】
図1は、本発明に係るシャッター装置10の概略正面図であり、
図2は、シャッターカーテン30及び巻取り機構70の縦方向断面図である。
図1、
図2において開閉装置としてのシャッター装置10は、構造物躯体(以下単に躯体という)12に形成された開口部14に設置される。躯体12は、例えば住宅やビル、倉庫、工場等の構造物の内外を仕切る外壁等である。開口部14は、躯体12に開設され、内外を連通する空間として形成される。
【0009】
シャッター装置10は、開口部14の幅方向の両側に互いに離間して立設されるガイドレール20;20と、ガイドレール20;20の長手方向に沿って移動可能とされ、開口部14を開放又は閉鎖する開閉体としてのシャッターカーテン30と、開口部14及びガイドレール20;20の上方に設けられるシャッターケース13と、シャッターケース13の内部の収容空間に設置される巻取り機構70とを備える。
【0010】
本明細書において「幅方向」とは、シャッターカーテン30の開閉(上,下)方向と直交する方向(左右方向)を示し、「奥行方向」とは、シャッターカーテン30の厚み(前,後)方向を意味する。また、「巻取り方向」とは、シャッターカーテン30がガイドレール20;20に沿って上昇し、開口部14が開放する方向を示し、「繰出し方向」とは、シャッターカーテン30がガイドレール20;20に沿って降下し、開口部14が閉鎖する方向を示すものとする。
【0011】
図1に示すように、ガイドレール20;20は、躯体12に対して長手方向が垂直となるように、一部を躯体12に埋設させた状態や躯体12に沿って設けられる。
ガイドレール20;20は、横断面略コ字状の内部構造を有する中空状の部材である。ガイドレール20;20同士は、コ字状の開口が互いに向き合うように配設され、シャッターカーテン30の幅方向両端部が挿入される。これにより、シャッターカーテン30の幅方向端部は、ガイドレール20;20によって開閉方向(上下方向)に案内される。
【0012】
図2に示すように、シャッターカーテン30は、複数のスラット32により構成される。各スラット32は、例えば、スチール、ステンレス、アルミニウム等の金属からなり、開口部14の幅方向に沿って延在する板状の部材である。各スラット32における巻取り方向の端部(上端部)と繰出し方向の端部(下端部)には、それぞれ湾曲形状のカール部32b;32cを有するように形成される。
【0013】
カール部32bは、巻取り機構70を構成する円筒状の巻取りシャフト71の径方向内側に向けて湾曲し、巻取り方向に隣接するスラット32に形成されたカール部32cと係合する。カール部32cは、巻取りシャフト71の径方向内側に湾曲し、繰出し方向に隣接するスラット32に形成されたカール部32bと係合する。これにより、互いに隣接するスラット32同士は、それぞれのカール部32b;32c同士が係合することにより回転自在に連結される。
【0014】
シャッターカーテン30の繰出し方向の端部には、座板33が係合される。座板33は、シャッターカーテン30の幅方向に沿って延在する断面視矩形状の板体であって、開口部14が全閉された状態において、床面や地面と接地する部分である。座板33は、例えば、
図1に示すように、スラット32の幅方向寸法よりも短く、ガイドレール20;20間の寸法よりも僅かに短く設定され、その両端部がガイドレール20;20の内に飲み込まれることのない寸法として示してあるがこれに限定されない。
【0015】
シャッターカーテン30を巻取り方向又は繰り出し方向に動作させる巻取り機構70について概説する。
図1、
図2に示すように、巻取り機構70は、シャッターケース13内に設置され、シャッターカーテン30を巻き取り、又は繰り出すための機構である。巻取り機構70は、例えば、シャッターケース13の一部を構成する左右のブラケット15;15と、左右のブラケット15;15間に架設される巻取りシャフト71と、巻取りシャフト71を巻取り方向又は繰出し方向に回転させるための図外のモーターとを備える。
【0016】
なお、巻取り機構70は、モーターを有する電動式の巻取り機構70を例示したが、例えば巻取りシャフト71の軸周りに介挿されるコイルばね等の付勢手段を用いた手動式の巻取り機構としても良い。
【0017】
巻取りシャフト71は、ガイドレール20;20の幅方向に延在する軸体であって、両端部にブラケット15;15に設けられた軸受け16によって回転可能に支持される軸首71Aと、軸首71Aと同軸に設けられ、シャッターカーテン30を外周に巻き取る筒状の巻胴71Bとを備える。
【0018】
一端側のブラケット15から突出する軸首71Aには、図外のモーターの回転力が入力される図外の伝達機構が設けられ、モーターの回転力が巻取りシャフト71に伝達可能とされる。
【0019】
図1に示すように、ガイドレール20;20は、長手方向が垂直となるように、開口部14を形成する躯体12の両側に沿って設けられる。ガイドレール20;20には、シャッターカーテン30の各端部が抜脱不能に挿入されてシャッターカーテン30の昇降を案内する。
【0020】
ガイドレール20は、幅方向に延長するガイド板21と、ガイド板21から直角に奥行方向屋内側に折り曲げられた奥板22と、奥板22から直角に幅方向開口部側に向けて折り曲げられ、ガイド板21と平行に延長する壁板23と、壁板23から直角に奥行方向屋外側に折り曲げられ、奥板22と平行に延長する壁板24と、壁板24から幅方向開口部側に直角に向けて折り曲げられ、ガイド板21と平行に延長するガイド板25とを有するように形成される。なお、以下の説明では、ガイド板21;25の間をガイド部35という。
【0021】
即ち、ガイドレール20は、ガイド板21;25により形成される入り口側の奥行方向の長さ寸法よりも、ガイド板21と壁板23とで形成される奥行方向の長さ寸法が長い、奥拡がり状の空間を有するように形成されている。ガイドレール20は、壁板24とガイド板25とが直交し、階段状に連続する内壁面がスラット32と接触することによりスラット32の抜け止めを防止する係止部37として機能する。
【0022】
なお、ガイドレール20;20の構成は、上述したものに限定されないが、好ましくは、後述のスラット32に形成されるロック構造に対応するように形成されていると良い。具体的には、スラット32がガイドレール20に対して傾斜し、ガイドレール20から抜け出そうとする力が作用したときに、スラット32に設けられたロック構造の一部を構成する立ち上り部46がガイドレール20に接触し、係止されるように構成されていると良い。
【0023】
図1に示すように、シャッターカーテン30は、複数のスラット32がシャッターカーテン30の移動方向に沿って連結して構成される。各スラット32は、例えば、スチール、ステンレス、アルミニウム等を素材とする板体として形成される。シャッターカーテン30は、巻胴71Bの円周面上に設けられた吊元部材78により巻取りシャフト71と連結される。
【0024】
吊元部材78は、本体部78Aと、連結部78Bとを備えた構成とされる。本体部78A及び連結部78Bは、例えば、金属製の一枚の板材を素材とし、板金加工などによりそれぞれ所定形状に吊元部材78として一体的に形成される。
【0025】
本体部78Aは、例えば、巻胴71Bの外周面に密着するように湾曲して形成され、巻胴71Bの円周面に開設された締結孔(図示なし)を利用してボルトナット等の締結手段により巻胴71Bに締結される。これにより吊元部材78が巻取りシャフト71に固定される。
【0026】
連結部78Bは、巻取りシャフト71に固定された本体部78Aの繰り出し方向側の端部に設けられ、シャッターカーテン30を構成する複数のスラット32のうち、最も巻取り方向側に位置するスラット32の第1カール部32bと係合可能に形成される。
【0027】
スラット32は、奥行方向の後方に向けて中央部分が凹状に緩やかに窪む本体部32aと、本体部32aの上端部において、上端部と連続して前方に向けて湾曲しつつ延長する第1カール部32bと、本体部32aの下端部において、下端部と連続して前方に向けて湾曲しつつ延長する第2カール部32cとを有する。
【0028】
図2に示すように、スラット32の第1カール部32bは、巻取り方向に隣接する他のスラット32の第2カール部32cと回転自在に係合し、スラット32の第2カール部32cは、繰り出し方向に隣接する他のスラット32の第1カール部32bと回転自在に係合する。つまり、複数のスラット32同士は、それぞれ第1カール部32b及び第2カール部32cを介して互いに回転自在に連結され、一つのシャッターカーテン30を構成する。
【0029】
本実施形態に係るスラット32は、両端部側にロック構造(脱落防止手段)40を備えた構成とされる。ロック構造40は、スラット32を構成する素材に直接板金加工を施すことで構成される。例えば、ロック構造40は、スラット32における本体部32aを所定の形状に成形するときに成形することができる。即ち、従来のように、抜け止め部材をスラット32に別途設ける工程が不要とされる。
【0030】
図3は、ガイドレール20とスラット32との関係を示す平面図である。また、
図4は、ロック構造の作用を示す図である。
図3に示すように、ロック構造40は、スラット32を平面視したときに、スラット32の本体部32aに凹凸を設けることで構成される。なお、以下の説明では、スラット32の端部側において凹凸(ロック構造40)が形成される部分よりも内側を非加工部という。
【0031】
ロック構造40を構成する凹凸は、スラット32の延長方向最も内側に非加工部から連続して形成される傾斜部42と、傾斜部42の外側に連続して形成される平坦部44と、平坦部44の外側に連続して形成される立ち上り部46と、立ち上り部46の外側に連続して形成される傾斜部48と、傾斜部48の外側に連続して形成される平坦部50とにより形成されている。
なお、以下の説明では、傾斜部42を内側傾斜部42、平坦部44を内側平坦部44、傾斜部48を外側傾斜部48、平坦部50を外側平坦部50という。
【0032】
内側傾斜部42は、非加工部から端部側に向けてスラット32の厚みが漸次薄くなるように形成される。内側傾斜部42は、例えば、平面状に傾斜する傾斜面として形成されている。傾斜部42が傾斜する角度は、適宜設定すれば良いが、好ましくは、シャッターカーテン30に風圧などが作用したときに、非加工部から内側傾斜部42が始まる接続点42Aや、内側傾斜部42が終わる内側平坦部44との接続点42Bが、座屈の起点とならないような勾配とすると良い。
【0033】
内側平坦部44は、ガイドレール20に設けられたガイド部35に挟まれるように設けられる。即ち、内側平坦部44は、シャッターカーテン30の開閉時にガイドレール20のガイド部35に対向するように形成される。内側平坦部44は、スラット32の長手方向に沿って延長する平面状に形成される。
【0034】
内側平坦部44が形成される長手方向の寸法は、例えば、ガイドレール20におけるガイド部35の幅方向の寸法に応じて設定すると良い。また、スラット32の内側平坦部44における厚みは、例えば、ガイドレール20におけるガイド部35の奥行寸法(ガイド板21;25間の隙間寸法)に応じて設定すると良い。
【0035】
内側平坦部44は、例えば、ガイド板21;25間に挟まれるように、スラット32のガイド部35の幅方向の寸法と同じ、或いは広く、また、厚みがスラット32の非加工部よりも薄くなるように形成すると良い。
【0036】
立ち上り部46は、ガイドレール20に設定された係止部37に接触する接触部として作用し、スラット32がガイドレール20からの脱落を防止する実質的な脱落防止手段、所謂ロック機構として機能する。立ち上り部46は、例えば、平面状に傾斜する傾斜平面として形成されている。傾斜部42が傾斜する角度は、内側平坦部44から急こう配で傾斜するように形成されている。
立ち上り部46の傾斜する勾配や高さは、ガイドレール20におけるガイド部35;35の間隔に応じて設定すると良い。なお、立ち上り部46の傾斜する勾配や高さについては、後述する。
【0037】
外側傾斜部48は、端部側に向けてスラット32の厚みが漸次薄くなるように形成される。外側傾斜部48は、例えば、平面状に傾斜する傾斜面として形成されている。
【0038】
外側平坦部50は、スラット32の長手方向に沿って延長する平面状に形成されてスラット32の端部において終端するように形成される。
【0039】
図4は、本実施形態に係るロック構造40の作用を示した図である。詳細には、
図4は、スラット32がガイドレール20に対して最大傾斜したとき、即ちシャッターカーテン30に風圧による最大の力が作用した状態を示している。
立ち上り部46の高さは、例えば、ガイドレール20における非加工部側の厚みxと同じとすれば良い。即ち、従来のスラットに内側傾斜部42,内側平坦部44、立ち上り部46とで構成された凹部41が形成されているものと見なすことができる。
【0040】
また、立ち上り部46の勾配は、シャッターカーテン30が風圧などを受けてガイドレール20に対して
図4に示すような状態となったときに、立ち上り部46を形成する面がガイドレール20の壁板24の内壁と鋭角に衝突するように構成すると良い。
【0041】
また、シャッターカーテン30が風圧などを受けてガイドレール20に対して
図4に示すような状態となったときには、立ち上り部46に図中矢印で示す向きの力Pが作用する。そこで、外側傾斜部48の勾配の図中矢印に沿う力Pの方向に設定しておくことにより、立ち上り部46よりも端部側の変形を防ぐことができる。即ち、力Pが外側傾斜部48の傾斜と平行に作用することになり、スラット32の厚み方向に加わることを防止できる。
【0042】
また、外側傾斜部48の形成によりスラット32の非加工部の厚みよりも薄くなった状態を維持するように外側平坦部50を形成しておくことにより、加工硬化によりスラット32の端部側の剛性を高めることができる。
【0043】
即ち、スラット32は、ガイドレール20に飲み込まれる端部側のうち、ガイドレール20に設けられたガイド部35に対向する位置に凹部41が設けられるとともに、ガイド部35よりも奥に挿入される端部側の厚みを非加工部よりも薄くなるようにスラット32の端部側を形成しておくことにより、立ち上り部46がガイドレール20の係止部37に接触したときにスラット32の端部側に生じる変形を防止することができる。
【0044】
図5乃至
図7は、スラット32におけるロック構造の他の形態を示す図である。
前述のように、立ち上り部46がガイドレール20の係止部37に接触した場合、立ち上り部46に圧縮方向の力が作用するので、例えば、
図5に示すように、立ち上り部46における強度が向上するように補強手段60を設けると良い。
【0045】
補強手段60は、例えば、
図5(a)に示すように、立ち上り部46を、内側平坦部44から外側傾斜部48まで、高さ方向に沿って延長する凸状のリブとして形成しても良い。なお、リブの形状は凹状(溝)として形成されていても良い。
これにより、立ち上り部46における剛性が向上し、立ち上り部46がガイドレール20の係止部37に接触したときの変形を防止することができる。
【0046】
また、補強手段60として設けられるリブは、
図5(b)に示すように、内側平坦部44から立ち上り部46に連続するように設けることで、より立ち上り部46における剛性が向上するとともに、立ち上り部46と連続する内側平坦部44の変形を防止することができる。
【0047】
また、補強手段60は、
図5(c)に示すように、高さ方向に複数設けても良い。
【0048】
また、
図6に示すように、立ち上り部46には、立ち上り部46がガイドレール20の係止部37に接触したときに立ち上り部46がガイドレール20の係止部37に対して滑りが生じることを防止するすべり止め手段64を設けるようにしても良い。
【0049】
すべり止め手段64は、例えば、
図6に示すように、立ち上り部46に、スラット32の高さ方向に延長する凸状溝として形成することができる。
立ち上り部46にすべり止め手段64を形成することにより、すべり止め手段64がガイドレール20の係止部37に爪となって掛かり、ガイドレール20に対するスラット32のすべりを防止することで、立ち上り部46に加わる力の向きを所定の範囲で制御することができ、所望の剛性を維持することができる。
その結果として、スラット32のガイドレール20からの脱落が防止され、シャッターカーテン30全体のガイドレール20からの脱落を防止できる。
【0050】
なお、すべり止め手段64は、前述の凸状溝に限定されず、例えば、点状の突起や凹凸を立ち上り部46に形成するなど、立ち上り部46がガイドレール20の係止部37に接触したときの摩擦を大きくするものであればいずれの形態であっても良い。
【0051】
また、補強手段60やすべり止め手段64は、組み合わせて立ち上り部46に設けるようにしても良い。
【0052】
また、前述したように、外側傾斜部48は、立ち上り部46がガイドレール20に接触したときの力を受けるため、
図7に示すように補強手段66を設けると良い。
図7に示す補強手段66は、立ち上り部46から外側平坦部50に向けて延長する途中で終端する溝として形成したものを示している。なお、補強手段66の形態は、
図7に示すものに限定されず、適宜その数量や形状を変更しても良い。
これにより、スラット32の立ち上り部46よりも外側の変形を防ぐことができる。
【0053】
以上説明したように、本実施形態に係るスラット32によれば、従来のようにガイドレールからスラットの脱落を防止する部材を別途設けることなく、ガイドレールからの脱落を防止する脱落防止手段としての機能を付与することができる。また、本実施形態に係るスラット32は、単に内側傾斜部42,内側平坦部44、立ち上り部46とで構成される凹部41を備えるだけでなく、立ち上り部46よりも端部側に外側傾斜部48を設けたことにより、スラット32の端部側の剛性を高めてスラット32の変形を防ぐことができ、耐久性を向上させることができる。
【0054】
したがって、シャッターカーテン30を構成する各スラット32が脱落防止手段を備えることにより、シャッターカーテン30のガイドレール20;20からの脱落を防止することができる。
【0055】
以上、本発明を実施の形態に基づいて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態に何ら限定されることはなく、実施形態を組み合わせて多様な変更、改良を行い得ることが当業者において明らかである。また、そのような多様な変更、改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが特許請求の範囲の記載から明らかである。
【符号の説明】
【0056】
10 シャッター装置、
12 構造物躯体、
20 ガイドレール
21 ガイド板
22 奥板
23 壁板
24 壁板
25 ガイド板
30 シャッターカーテン
32 スラット
32a 本体部
35 ガイド部
37 係止部
40 ロック構造
41 凹部
42 傾斜部(内側傾斜部)
44 平坦部(内側傾斜部)
46 立ち上り部
48 傾斜部(外側傾斜部)
50 平坦部(外側平坦部)
60 補強手段
64 すべり止め手段
66 補強手段
P 力