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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024093362
(43)【公開日】2024-07-09
(54)【発明の名称】ドリッパー
(51)【国際特許分類】
   A47J 31/44 20060101AFI20240702BHJP
   A47J 31/06 20060101ALI20240702BHJP
   A47J 31/48 20060101ALI20240702BHJP
【FI】
A47J31/44 180
A47J31/06 310
A47J31/48
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022209689
(22)【出願日】2022-12-27
(71)【出願人】
【識別番号】394016874
【氏名又は名称】河淳株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002538
【氏名又は名称】弁理士法人あしたば国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】塚田 悠太
【テーマコード(参考)】
4B104
【Fターム(参考)】
4B104AA02
(57)【要約】
【解決課題】体裁が良好で形状の安定性が高く、安定性および清掃性も良好なドリッパーを提供する。
【解決手段】ドリッパーは、円形の第1リング部と、前記第1リング部よりも下側に設けられた円形の第2リング部と、前記第1リング部と前記第2リング部とを連結する複数の連結ロッドであって、前記第1リング部から前記第2リング部の略中央部に向けて延び且つ前記第1リング部を底面とし前記第2リング部の中心を頂点とする仮想円錐の母線に対して、当該母線の法線方向外側に向けて凸になった第1ロッド部と、前記略中央部に設けられた折り返し部と、前記折り返し部から前記第2リング部に向けて延びる第2ロッド部と、を有する複数の連結ロッドと、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
円形の第1リング部と、
前記第1リング部よりも下側に設けられた第2リング部と、
前記第1リング部と前記第2リング部とを連結する複数の連結ロッドであって、前記第1リング部から前記第2リング部の略中央部に向けて延び且つ前記第1リング部を底面とし前記第2リング部の中心を頂点とする仮想円錐の母線に対して、当該母線の法線方向外側に向けて凸になった第1ロッド部と、前記略中央部に設けられた折り返し部と、前記折り返し部から前記第2リング部に向けて延びる第2ロッド部と、を有する複数の連結ロッドと、
を備えるドリッパー。
【請求項2】
複数の前記折り返し部のそれぞれは、四角以上の多角形の頂点の位置に配置され、
複数の前記第1ロッド部の前記折り返し部の近傍の部分のそれぞれは、当該多角形の辺をなした請求項1に記載のドリッパー。
【請求項3】
前記複数の第2ロッド部のそれぞれは、前記第2リング部よりも上側に設けられる請求項1に記載のドリッパー。
【請求項4】
前記複数の第1ロッド部のそれぞれは、上方から見て直線的に延びる請求項1に記載のドリッパー。
【請求項5】
前記第2リング部から突出するように設けられユーザによって把持される把持部を有する請求項1に記載のドリッパー。
【請求項6】
前記複数の連結ロッド同士の間には、空間が設けられる請求項1に記載のドリッパー。
【請求項7】
前記第1リング部、前記第2リング部、および前記連結ロッドは、金属製の線材によって形成され、前記連結ロッドは、一方の端部で前記第1リング部に溶接されるとともに他方の端部で前記第2リング部に溶接される請求項1に記載のドリッパー。
【請求項8】
前記線材は、金属で構成される請求項7に記載のドリッパー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ドリッパーに関する。
【背景技術】
【0002】
側壁が省略されたドリッパー(コーヒードリッパー)が開示されている(例えば、特許文献1参照)。このコーヒードリッパーは、金属ワイヤによって上側に行くにつれて拡開する螺旋状に形成されている。このコーヒードリッパーは、螺旋状に形成することで折り畳み可能とし、携帯性を向上してアウトドアでも利用可能とされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】登録実用新案第3225078号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、このコーヒードリッパーは、螺旋の中心軸方向に折り畳み可能となっているために、繰り返し折り畳みをすることで、金属ワイヤがへたって形状の安定性が悪くなる可能性がある。一方、形状を安定化させるために溶接個所を多くすると、製造コストが上昇したり製品の見栄えが悪くなったりする問題がある。一般的な漏斗状のコーヒードリッパーは、清掃性が悪く、使用後に漏斗の内壁にコーヒーの垢が残ってしまう問題がある。
従って、本発明の目的は、体裁が良好で形状の安定性が高く、安定性および清掃性も良好なドリッパーを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題は、以下の本発明により解決される。すなわち、本発明(1)のドリッパーは、
円形の第1リング部と、
前記第1リング部よりも下側に設けられた第2リング部と、
前記第1リング部と前記第2リング部とを連結する複数の連結ロッドであって、前記第1リング部から前記第2リング部の略中央部に向けて延び且つ前記第1リング部を底面とし前記第2リング部の中心を頂点とする仮想円錐の母線に対して、当該母線の法線方向外側に向けて凸になった第1ロッド部と、前記略中央部に設けられた折り返し部と、前記折り返し部から前記第2リング部に向けて延び且つ上方から見て第1ロッド部と重なる方向に延びた第2ロッド部と、を有する複数の連結ロッドと、
を備える。
【0006】
また、本発明(2)のドリッパーは、(1)記載のドリッパーであって、
複数の前記折り返し部のそれぞれは、四角以上の多角形の頂点の位置に配置され、
複数の前記第1ロッド部の前記折り返し部の近傍の部分のそれぞれは、当該多角形の辺をなした。
【0007】
また、本発明(3)のドリッパーは、(1)記載のドリッパーであって、
前記複数の第2ロッド部のそれぞれは、前記第2リング部よりも上側に設けられる。
【0008】
また、本発明(4)のドリッパーは、(1)記載のドリッパーであって、
前記複数の第1ロッド部のそれぞれは、上方から見て直線的に延びる。
【0009】
また、本発明(5)のドリッパーは、(1)に記載のドリッパーであって、
前記第2リング部から突出するように設けられユーザによって把持される把持部を有する。
【0010】
また、本発明(6)のドリッパーは、(1)に記載のドリッパーであって、
前記複数の連結ロッド同士の間には、空間が設けられる。
【0011】
また、本発明(7)のドリッパーは、(1)に記載のドリッパーであって、
前記第1リング部、前記第2リング部、および前記連結ロッドは、金属製の線材によって形成され、前記連結ロッドは、一方の端部で前記第1リング部に溶接されるとともに他方の端部で前記第2リング部に溶接される。
【0012】
また、本発明(8)のドリッパーは、(1)に記載のドリッパーであって、
前記線材は、金属で構成される。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、体裁が良好で形状の安定性が高く、安定性および清掃性も良好なドリッパーを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】第1実施形態のドリッパーを斜め上方向から示す斜視図である。
図2図1に示すドリッパーを正面方向から示した正面図である。
図3図1に示すドリッパーを上方向から示した平面図である。
図4図1に示すドリッパーを斜め下方向から示す斜視図である。
図5図1に示すドリッパーにコーヒーフィルターを設置した状態を斜め上方向から示した斜視図である。
図6図1に示すドリッパーにコーヒーフィルターを設置した状態を斜め下方向から示した斜視図である。
図7図1に示すドリッパーにコーヒーフィルターを設置しコーヒーを抽出している状態を示し、コーヒーの流れを二点鎖線の矢印で正面方向から示した正面図である。
図8】第2実施形態のドリッパーを斜め上方向から示す斜視図である。
図9図8に示すドリッパーを正面方向から示した正面図である。
図10図8に示すドリッパーを上方向から示した平面図である。
図11図8に示すドリッパーを斜め下方向から示す斜視図である。
図12】第3実施形態のドリッパーを斜め上方向から示す斜視図である。
図13図12に示すドリッパーを正面方向から示した正面図である。
図14図12に示すドリッパーを上方向から示した平面図である。
図15図12に示すドリッパーを斜め下方向から示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照して、本発明のドリッパーの実施形態について説明する。本発明のドリッパーは、側壁を省略したすっきりとしたデザインのドリッパーであり、洗浄性も良好なドリッパーである。ドリッパーは、ろ過対象として、コーヒーフィルターを用いて粉状のコーヒーをろ過できるものであるが、同フィルターを用いてお茶やだしをろ過するものとしても好適に利用できるものである。
[第1実施形態]
【0016】
図1図7を参照して、第1実施形態のドリッパー11について説明する。図1図4に示すように、ドリッパー11は、上側に位置する第1リング部12と、第1リング部12よりも下側に位置する第2リング部13と、第1リング部12と第2リング部13とを接続する複数の連結ロッド14と、第2リング部13から突出するように設けられる把持部15と、連結ロッド14同士の間に設けられた空間16と、を備える。すなわち、本実施形態のドリッパー11および下記第2・第3実施形態のドリッパー11は、漏斗状の側壁が存在せず、連結ロッド14でのみコーヒーフィルター17を支持可能なものである。
【0017】
第1リング部12、第2リング部13、複数の連結ロッド14、および把持部15は、金属製の線材、例えば、スチール、ステンレススチール、アルミニウム合金、真鍮、銅など材料の線材によって一体に形成されている。第1リング部12、第2リング部13、複数の連結ロッド14、および把持部15は、例えば、ステンレススチールで構成されることが低コスト、高い剛性、低い熱伝導率の観点から望ましい。複数の連結ロッド14のそれぞれは、一方の端部で第1リング部12に溶接され、他方の端部で第2リング部13に溶接されている。連結ロッド14は、「く」の字状に折れ曲がっている。複数の連結ロッド14は、均等な間隔を置いて互いに離散的に配置されている。すなわち、連結ロッド14は、中心軸S回りに72度ずつ位置ずれして設けられている。
【0018】
第1リング部12は、円形に形成されている。第2リング部13は、例えば、円形に形成されており、第1リング部12と同等かそれよりも大きい直径を有する。第2リング部13は、第1リング部12よりも小さい直径を有していてもよい。また、第2リング部13の形状は、多角形の形状であってもよいし、不連続な円形であってもよい。図2に示すように、第1リング部12の中心C1を通る中心軸Sは、第2リング部13の中心C2を通っているが、第2リング部13の中心C2から外れていてもよい。
【0019】
図1図4に示すように、複数の連結ロッド14は、例えば、4~10本、好ましくは4~8本、さらに好ましくは4~6本で構成されることが望ましいが、本実施形態では5本で構成されている。複数の連結ロッド14のそれぞれは、第1リング部12から第2リング部13の略中央部CAに向けて延びる第1ロッド部21と、第2リング部13の略中央部CAに設けられた折り返し部22と、折り返し部22から第2リング部13に向けて延びる第2ロッド部23と、を有する。ここで、第2リング部13の略中央部CAとは、第2リング部13の中心のみならず、その周辺領域を含む概念である。
【0020】
ここで、図2に示すように、第1リング部12を底面とし第2リング部13の中心C2を頂点とする仮想円錐24(仮想円錐形)を考えるとする。この仮想円錐24の中心軸は、上記第1リング部12の中心C1と第2リング部13の中心C1とを通る中心軸Sに一致している。第1ロッド部21は、仮想円錐24の母線24Aに対して、当該母線24Aの法線方向外側Oに向けて凸になるように湾曲している。したがって、本実施形態のドリッパー11では、複数の第1リング部12によって形成され且つコーヒーフィルター17を支持可能な椀の部分25が、下に凸の放物線のような形態をなしている。よって、単なる円錐形で形成されたドリッパー11に比して、これに装着されるコーヒーフィルター17の内部において貯留できるお湯の容積が増大している。
【0021】
図3に示すように、第1ロッド部21は、上方から見た場合に、放射状に延びている。すなわち、第1ロッド部21は、上方から見た場合に、例えば、直線的に延びていてもよいし、渦巻き状に延びていてもよい。第1ロッド部21は、上方から見た場合に、直線的に延びていると形状が簡略化されてより好ましい。複数の折り返し部22のそれぞれは、四角以上の多角形の頂点の位置に配置されている。本実施形態では、複数の折り返し部22は、五角形の頂点の位置に配置されている。複数の折り返し部22のそれぞれは、外側が小径の円弧となるように折り曲げ加工で形成されている。
【0022】
また、複数の第1ロッド部21の折り返し部22の近傍の部分21Aのそれぞれは、多角形の辺をなしている。図3に示すように、本実施形態では、第1ロッド部21の折り返し部22の近傍の部分21Aは、五角形の辺をなしている。この多角形(五角形)の辺によって、コーヒーフィルター17の下端を確実に支持することができ、コーヒーフィルター17が下方に抜け落ちてしまうことが有効に防止される。
【0023】
図1図4等に示すように、第2ロッド部23は、直線的に設けられている。第2ロッド部23は、内側の折り返し部22から外側の第2リング部13に向けて放射状に延びている。第2ロッド部23は、上方から見て第1ロッド部21と重なる位置に設けられているが、上方から見て重なっていなくてもよい。図2に示すように、第2ロッド部23は、第2リング部13よりも上側に設けられている。
【0024】
把持部15は、第2リング部13の一部から、第2リング部13の半径方向外側で且つ斜め上方に突出するように設けられている。把持部15は、第2リング部13を水平面に設置した場合に、水平面に対して所定の角度θをなすように、配置されている。把持部15の設置角度θは、例えば、30~60度で構成される。このように把持部15が外側に張り出すように設けられることで、ユーザがコーヒーフィルター17に触れることなく、利用後のドリッパー11を把持することができる。また、ユーザは、コーヒーフィルター17内にコーヒーの粉を投入した後で、お湯を投入する前に、把持部15を把持してドリッパー11を揺することで、コーヒーの粉を平らにすることができる。さらに、ユーザは、お湯を投入した後に、把持部15を把持してドリッパー11を揺することで、コーヒーフィルター17内のコーヒー粉およびお湯を攪拌して均等な蒸らしを促進することもできる。
【0025】
続いて、図5図7を参照して、本実施形態のドリッパー11の作用について説明する。
【0026】
カップの上側に本実施形態のドリッパー11を載置する。市販の円錐形コーヒーフィルター17を本実施形態のドリッパー11に設定する。このとき、円錐形のコーヒーフィルター17の先端17Aを、複数の折り返し部22で囲まれる位置(第2リング部13の略中央部CA)に配置する。
【0027】
コーヒーフィルター17の上側に粉のコーヒーを投入し、このコーヒーおよびコーヒーフィルター17に向けてお湯を投入する。お湯を投入すると、円錐形のコーヒーフィルター17がドリッパー11の椀の部分25の「下に凸の放物線のような形態」に倣って変形する。
【0028】
このとき、コーヒーフィルター17を支持可能な椀の部分25が、下に凸の放物線のような形態をなしているので、単なる円錐形のドリッパーに比して、コーヒーフィルター17の内部に貯留できるお湯の容積が増大する。また、椀の部分25の形態を下に凸の放物線のような形態にすることで、当該椀の部分25の底部で、略水平になっている箇所の面積が、単なる円錐のドリッパーに比して増大している。このため、お湯をドリッパー11に投入する際に、お湯をできるだけドリッパー11の椀の部分25の底部で受け止めることができ、軽量のドリッパー11の転倒およびコーヒーフィルター17のドリッパー11からの脱落を防いで、ドリッパー11およびコーヒーフィルター17を安定させることができる。
【0029】
また、本実施形態のドリッパー11の椀の部分25は、お湯を含んで下に凸の放物線形状に変形したコーヒーフィルター17の変形後の形状を考慮した円弧をなしている。言い換えると、本実施形態のドリッパー11の椀の部分25は、お湯を投入した際にコーヒーフィルター17にかかる重力を考慮した自然な形をなしている。このため、お湯を投入したコーヒーフィルター17に対して第1ロッド部21が内側に食い込みにくい。このため、お湯を投入した際にコーヒーフィルター17の形態が安定して、コーヒーフィルター17内からコーヒー粉およびお湯があふれ出てしまうような不具合が極力防止される。
【0030】
また、本実施形態のドリッパー11は、第1ロッド部21同士の間に空間16が形成されているために、通気性が極めてよい。通常、コーヒー粉にお湯を投下すると、コーヒー粉からガスが発生するため、空気の通り道を確保しないとコーヒーの抽出がうまくいかない場合がある。本実施形態では、空間16を介して空気の通り道が確保されているために、コーヒー抽出時に生じるガスによってコーヒーの抽出がうまくいかなくなる不具合を生じることを極力防止できる。
【0031】
図7に示すように、お湯の一部は、コーヒーフィルター17でろ過されてコーヒーフィルター17の下面側に漏出するものの、表面張力によってコーヒーフィルター17(ろ紙)の下面に沿って流れる。その結果、ろ過されたコーヒーは、周囲に散らばるようにランダムに滴下するのではなく、複数の折り返し部22で囲まれる位置(第2リング部13の略中央部CA)に集まって、そこからカップ内に静かに落下する。このため、コーヒーの雫がカップ外に飛び散ってしまうような不具合を生じることがない。
【0032】
本実施形態によれば、以下のことがいえる。ドリッパー11は、円形の第1リング部12と、第1リング部12よりも下側に設けられた円形の第2リング部13と、第1リング部12と第2リング部13とを連結する複数の連結ロッド14であって、第1リング部12から第2リング部13の略中央部CAに向けて延び且つ第1リング部12を底面とし第2リング部13の中心を頂点とする仮想円錐24の母線24Aに対して、当該母線24Aの法線方向外側Oに向けて凸になった第1ロッド部21と、略中央部CAに設けられた折り返し部22と、折り返し部22から第2リング部13に向けて延び且つ上方から見て第1ロッド部21と重なる方向に延びた第2ロッド部23と、を有する複数の連結ロッド14と、を備える。
【0033】
この構成によれば、2つのリング部12、13と、これらを連結する複数の連結ロッド14という極めてシンプルな構造によってドリッパー11を実現することができる。これによって、側壁を省略してすっきりとした体裁のドリッパー11を実現できる。また、側壁を省略することで、側壁にコーヒー等の垢がたまり難く、清掃性を向上することができる。また、汚れがたまりにくいので、コーヒーだけでなく、ドリッパー11をお茶、又は、だしのろ過にも使いまわすことができる。さらに、2つのリング部12、13を複数の連結ロッド14で連結しているため、形状の安定性を向上することができる。さらに、第1ロッド部21が仮想円錐24の母線24Aに対して、当該母線24Aの法線方向外側Oに向けて凸になっているため、コーヒーフィルター17の内側の容積を大きく確保して、一度で大容量のコーヒーをろ過することができる。また、ドリッパー11の椀の部分25の形態を「下に凸の放物線のような形態」にできるため、当該椀の部分25の底部で、略水平になっている箇所の面積が、単なる円錐のドリッパーに比して増大している。このため、お湯をドリッパー11に投入する際に、お湯をできるだけドリッパー11の椀の部分25の底部で受け止めることができ、軽量のドリッパー11の転倒やコーヒーフィルター17がドリッパー11から脱落するのを防いで、ドリッパー11およびコーヒーフィルター17の姿勢を安定させることができる。また、上方から見たときに第2ロッド部23が第1ロッド部21と重なるため、さらにすっきりとした体裁を実現できる。
【0034】
本実施形態のドリッパー11の椀の部分25は、お湯を投入した際にコーヒーフィルター17にかかるお湯による負荷加重を考慮した自然な形をなしている。このため、お湯を投入したコーヒーフィルター17に対して第1ロッド部21が内側に食い込みにくく、コーヒーフィルター17の形態が安定して、コーヒーフィルター17内からコーヒー粉およびお湯があふれ出てしまうような不具合が極力防止できる。
【0035】
この場合、複数の折り返し部22のそれぞれは、四角以上の多角形の頂点の位置に配置され、複数の第1ロッド部21の折り返し部22の近傍の部分21Aのそれぞれは、当該多角形の辺をなした。
【0036】
この構成によれば、第2リング部13の中心C2を取り囲むように多角形をなした第1ロッド部21の折り返し部22の近傍の部分を配置することができる。この構成によれば、第1ロッド部21の多角形をなした部分によって、コーヒーフィルター17を折り返し部22の「点」だけではなく、第1ロッド部21の折り返し部22の近傍の部分21Aの「線」によって均一に支持することができる。また、四角以上の多角形とすることによって、コーヒーフィルター17内に湯を投入した際に、コーヒーフィルター17の形状を安定させることができ、コーヒーフィルター17が転倒してしまうことを極力防止することができる。
【0037】
この場合、複数の第2ロッド部23のそれぞれは、第2リング部13よりも上側に設けられた。
この構成によれば、コーヒーフィルター17(紙フィルター)の下端がコーヒーカップの液面に接することを極力防止できる。また、上記構成によれば、コーヒーカップの淵に対して第2リング部13が引っかかる構造にすることができる。これによって、コーヒーカップからドリッパー11が滑り落ちてしてしまう不具合を生じることを防止できる。
【0038】
複数の第1ロッド部21のそれぞれは、上方から見て直線的に延びる。
この構成によれば、連結ロッド14の構造を極めて簡単にすることができるとともに、当該形状によってコーヒーフィルター17を安定的に支持することができる。
【0039】
第2リング部13から突出するように設けられユーザによって把持される把持部15を有する。
この構成によれば、コーヒーを抽出する際に湯が投入される箇所から最も遠い位置に把持部15を配置することができる。これによって、把持部15を把持したユーザがやけどをすることなくドリッパー11を持ち運びすることができる。
【0040】
複数の連結ロッド14同士の間には、空間16が設けられる。
この構成によれば、側壁を省略してすっきりとした見た目を有するドリッパー11を実現できる。また、側壁が設けられないために、軽量なドリッパー11を実現できる。さらに、空間16によって空気の通り道が形成されるために、コーヒー抽出時に生じるガスによってコーヒーの抽出がうまくいかなくなる不具合を極力防止できる。
【0041】
第1リング部12、第2リング部13、および連結ロッド14は、金属製の線材によって形成され、連結ロッド14は、一方の端部で第1リング部12に溶接されるとともに他方の端部で第2リング部13に溶接される。
この構成によれば、溶接個所と線材の折り曲げ箇所を最小限にして、簡単な形状のドリッパー11を実現できる。
【0042】
線材は、金属で構成される。
この構成によれば、線材を特にスチールやステンレススチールで形成することで、アルミニウム合金等に比して剛性を高くすることができる。また、上記の構成によれば、線材を特にスチールやステンレススチールで形成することで、アルミニウム合金等に比して熱伝導率を低くすることができ、使用後に把持部が熱くなり過ぎないようにすることができる。さらに、線材が金属で構成されることで、コーヒー等のにおいがドリッパーに染み込みにくく、ドリッパーをお茶やだしのろ過にも用いることができる。
【0043】
以下の実施形態では、主として第1実施形態と異なる部分について説明し、第1実施形態と共通する部分については、図示又は説明を省略する。
[第2実施形態]
【0044】
図8図11を参照して、第2実施形態のドリッパー11について説明する。第2実施形態のドリッパー11は、連結ロッド14の本数および連結ロッド14の設置角度が第1実施形態とは異なっているが、それ以外の構成は第1実施形態と同一である。
【0045】
本実施形態において、連結ロッド14は、4本で構成されている。すなわち、連結ロッド14は、中心軸S回りに90度ずつ位置ずれして設けられている。
【0046】
複数の連結ロッド14のそれぞれは、第1リング部12から第2リング部13の略中央部CAに向けて延びる第1ロッド部21と、第2リング部13の略中央部CAに設けられた折り返し部22と、折り返し部22から第2リング部13に向けて延びる第2ロッド部23と、を有する。
【0047】
ここで、図9に示すように、第1リング部12を底面とし第2リング部13の中心を頂点とする仮想円錐24(仮想円錐形)を考えるとする。この仮想円錐24の中心軸は、上記第1リング部12の中心C1と第2リング部13の中心C2とを通る中心軸Sに一致している。第1ロッド部21は、仮想円錐24の母線24Aに対して、当該母線24Aの法線方向外側Oに向けて凸になるように湾曲している。したがって、本実施形態のドリッパー11では、複数の第1リング部12によって形成され且つコーヒーフィルター17を支持可能な椀の部分25が、下に凸の放物線のような形態をなしている。よって、単なる円錐形で形成されたドリッパーに比して、これに装着されるコーヒーフィルター17の内部において貯留できるお湯の容積が増大している。また、椀の部分25の形態を下に凸の放物線のような形態にすることで、当該椀の部分25の底部で、略水平になっている箇所の面積が、単なる円錐のドリッパー11に比して増大している。このため、お湯をドリッパー11に投入する際に、お湯をできるだけドリッパー11の椀の部分25の底部で受け止めることができ、軽量のドリッパー11の転倒およびコーヒーフィルター17がドリッパー11から脱落してしまうのを防いで、ドリッパー11およびコーヒーフィルター17の姿勢を安定させることができる。また、ドリッパー11の椀の部分25は、お湯を投入した際にコーヒーフィルター17にかかるお湯による負荷加重を考慮した自然な形をなしている。このため、お湯を投入したコーヒーフィルター17に対して第1ロッド部21が内側に食い込みにくくコーヒーフィルター17の形態が安定して、コーヒーフィルター17内からコーヒー粉およびお湯があふれ出てしまうような不具合を生じない。
【0048】
第1ロッド部21は、上方から見た場合に、放射状に延びている。すなわち、第1ロッド部21は、上方から見た場合に、例えば、直線的に延びていてもよいし、渦巻き状に延びていてもよい。複数の折り返し部22のそれぞれは、四角以上の多角形の頂点の位置に配置されている。図10に示すように、本実施形態では、複数の折り返し部22は、四角形の頂点の位置に配置されている。複数の折り返し部22のそれぞれは、外側が小径の円弧となるように折り曲げ加工で形成されている。
【0049】
また、複数の第1ロッド部21の折り返し部22の近傍の部分のそれぞれは、多角形の辺をなしている。図10に示すように、本実施形態では、第1ロッド部21の折り返し部22の近傍の部分21Aは、四角形の辺をなしている。この多角形(四角形)の辺によって、コーヒーフィルター17の下端を確実に支持することができ、コーヒーフィルター17が下方に抜け落ちてしまうことが有効に防止される。
[第3実施形態]
【0050】
図12図15を参照して、第3実施形態のドリッパー11について説明する。第3実施形態のドリッパー11は、連結ロッド14の本数および連結ロッド14の設置角度が第1実施形態とは異なっているが、それ以外の構成は第1実施形態と同一である。
【0051】
本実施形態において、連結ロッド14は、6本で構成されている。すなわち、連結ロッド14は、中心軸S回りに60度ずつ位置ずれして設けられている。
【0052】
複数の連結ロッド14のそれぞれは、第1リング部12から第2リング部13の略中央部CAに向けて延びる第1ロッド部21と、第2リング部13の略中央部CAに設けられた折り返し部22と、折り返し部22から第2リング部13に向けて延びる第2ロッド部23と、を有する。
【0053】
ここで、図13に示すように、第1リング部12を底面とし第2リング部13の中心C2を頂点とする仮想円錐24(仮想円錐形)を考えるとする。この仮想円錐24の中心軸は、上記第1リング部12の中心C1と第2リング部13の中心C2とを通る中心軸Sに一致している。第1ロッド部21は、仮想円錐24の母線24Aに対して、当該母線24Aの法線方向外側Oに向けて凸になるように湾曲している。したがって、本実施形態のドリッパー11では、複数の第1リング部12によって形成され且つコーヒーフィルター17を支持可能な椀の部分25が、下に凸の放物線のような形態をなしている。よって、単なる円錐形で形成されたドリッパーに比して、これに装着されるコーヒーフィルター17の内部において貯留できるお湯の容積が増大している。また、椀の部分25の形態を下に凸の放物線のような形態にすることで、当該椀の部分25の底部で、略水平になっている箇所の面積が、単なる円錐のドリッパーに比して増大している。このため、お湯をドリッパーに投入する際に、お湯をできるだけドリッパー11の椀の部分25の底部で受け止めることができ、軽量のドリッパー11の転倒およびコーヒーフィルター17がドリッパー11から脱落するのを防いで、ドリッパー11およびコーヒーフィルター17を安定させることができる。また、ドリッパー11の椀の部分25は、お湯を投入した際にコーヒーフィルター17にかかるお湯による負荷加重を考慮した自然な形をなしている。このため、お湯を投入したコーヒーフィルター17に対して第1ロッド部21が内側に食い込みにくくコーヒーフィルター17の形態が安定して、コーヒーフィルター17内からコーヒー粉およびお湯があふれ出てしまうような不具合を生じない。
【0054】
第1ロッド部21は、上方から見た場合に、放射状に延びている。すなわち、第1ロッド部21は、上方から見た場合に、例えば、直線的に延びていてもよいし、渦巻き状に延びていてもよい。複数の折り返し部22のそれぞれは、四角以上の多角形の頂点の位置に配置されている。図14に示すように、本実施形態では、複数の折り返し部22は、六角形の頂点の位置に配置されている。複数の折り返し部22のそれぞれは、外側が小径の円弧となるように折り曲げ加工で形成されている。
【0055】
また、複数の第1ロッド部21の折り返し部22の近傍の部分のそれぞれは、多角形の辺をなしている。図14に示すように、本実施形態では、第1ロッド部21の折り返し部22の近傍の部分21Aは、六角形の辺をなしている。この多角形(六角形)の辺によって、コーヒーフィルター17の下端を確実に支持することができ、コーヒーフィルター17が下方に抜け落ちてしまうことが有効に防止される。
【0056】
上記した実施形態は、種々の置き換えや変形を加えて実施できる。また、上記実施形態同士を適宜に組み合わせて発明を実現することも当然にできる。
【符号の説明】
【0057】
11 ドリッパー
12 第1リング部
13 第2リング部
14 連結ロッド
15 把持部
16 空間
CA 略中央部
C1 中心
C2 中心
21 第1ロッド部
21A 近傍の部分
22 折り返し部
23 第2ロッド部
24 仮想円錐
24A 母線
O 法線方向外側
25 椀の部分
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15