(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024093363
(43)【公開日】2024-07-09
(54)【発明の名称】自動取引装置
(51)【国際特許分類】
G07F 19/00 20060101AFI20240702BHJP
G07D 11/60 20190101ALI20240702BHJP
H04M 1/00 20060101ALN20240702BHJP
【FI】
G07F19/00
G07D11/60
H04M1/00 R
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022209690
(22)【出願日】2022-12-27
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.WINDOWS
(71)【出願人】
【識別番号】000000295
【氏名又は名称】沖電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100180275
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 倫太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100161861
【弁理士】
【氏名又は名称】若林 裕介
(72)【発明者】
【氏名】津野 祐丞
【テーマコード(参考)】
3E141
5K127
【Fターム(参考)】
3E141AA01
3E141AA08
3E141BA07
3E141CB04
3E141CB06
3E141DA10
3E141EA10
3E141FJ07
5K127AA07
5K127AA31
5K127BA16
5K127CA08
5K127CA38
5K127CB02
5K127CB16
5K127CB22
5K127DA15
5K127FA04
5K127GA29
5K127GB74
5K127GD21
5K127HA08
(57)【要約】
【課題】 低コストかつ導入容易な手段でコミュニケーション端末(装置)を実現できる自動取引装置を提供する。
【解決手段】 本発明は、操作表示部を介して利用者が操作することにより金融取引に係る処理を行う自動取引装置において、取引に係るデータ通信を行う第1ネットワークに接続する第1通信手段と、取引以外のデータ通信を行う第2ネットワークに接続する第2通信手段と、当該装置の通信部としての機能を第1通信手段又は第2通信手段に切り替える通信切替手段と、操作表示部を介して利用者から電話リレーサービス又はSNSの利用が受け付けられた場合、通信切替手段を用いて当該装置の通信部としての機能を第1通信手段から第2通信手段に切り替え、さらに取引に関する当該装置の機能を休止させた上で、電話リレーサービス又はSNSのアプリケーションを動作させる制御手段とを有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
操作表示部を介して利用者が操作することにより所定の金融取引に係る処理を行う自動取引装置において、
前記金融取引に係るデータ通信を行う第1のネットワークに接続する第1の通信手段と、
前記金融取引以外のデータ通信を行う第2のネットワークに接続する第2の通信手段と、
当該自動取引装置の通信部としての機能を前記第1の通信手段又は前記第2の通信手段のいずれかに切り替える通信切替手段と、
前記操作表示部を介して利用者から電話リレーサービス又はSNSの利用が受け付けられた場合、前記通信切替手段を用いて当該自動取引装置の通信部としての機能を前記第1の通信手段から前記第2の通信手段に切り替え、さらに前記金融取引に関する当該自動取引装置の機能を休止させた上で、電話リレーサービス又はSNSのアプリケーションを動作させる制御手段と
を有することを特徴とする自動取引装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記操作表示部を介して利用者から電話リレーサービス又はSNSの利用の取消が受け付けられた場合、前記通信切替手段を用いて当該自動取引装置の通信部としての機能を前記第2の通信手段から前記第1の通信手段に切り替え、さらに休止した当該自動取引装置の機能を復旧させることを特徴とする請求項1に記載の自動取引装置。
【請求項3】
前記自動取引装置に挿入されたカード媒体から前記利用者に係る情報を読み出すカード処理手段を更に備え、
前記制御手段は、前記カード処理手段が読みだした前記利用者に係る情報を用いて、前記利用者が電話リレーサービス又はSNSを利用するにあたり必要なログイン処理を行うことを特徴とする請求項1に記載の自動取引装置。
【請求項4】
前記自動取引装置は前記第1の通信手段により前記第1のネットワークを介して上位装置に接続され、
前記制御手段は、前記上位装置からの指示に従い、電話リレーサービス又はSNSのアプリケーションが動作可能な状態に前記自動取引装置を遷移させることを特徴とする請求項1に記載の自動取引装置。
【請求項5】
前記自動取引装置は、ATM又は券売機であることを特徴とする請求項1~4のいずれかに記載の自動取引装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動取引装置に関する。
【背景技術】
【0002】
大画面のディスプレイやカメラ等を備え、文字など音声以外の方法でもコミュニケーションを図ることができる携帯端末(スマートフォン等)は、様々な場面でコミュニケーションツールとして重要となっている。
【0003】
例えば、災害時には、スマートフォンを用いて、SNS(Social Networking Service)でつながっている友人や家族に自分の安否を伝えたり、逆に友人や家族の安否を確認したり、報告することができる。
【0004】
また、近年、聴覚障碍者(ろう者等)がスマートフォンを利用することにより、聴覚障碍者と聴覚障害者等以外の者との会話を、通訳オペレータが手話・文字と音声を通訳することにより電話で双方向につなぐ電話リレーサービスが開始されている(特許文献1等)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003-92628号公報
【特許文献2】特開2022-126304号公報
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】電話リレーサービス 利用者マニュアル [2022年12月13日検索]、[Online]、INTERNET、<https://nftrs.or.jp/wp-content/uploads/2022/06/20220609_usermanual_pc-1.pdf>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、スマートフォンは、災害や障害などで公衆通信網がダウンすると通信ができなくなる弱点があり、電話リレーサービスも現状では個人所有のPCや携帯端末向けのアプリケーションとして提供されるため、やはり災害や障害などで公衆通信網がダウンすると利用できなくなる可能性がある。
【0008】
また、電話リレーサービスは、スマートフォン等の個人所有の端末が使用できない場合(上述の通信障害や端末が故障した場合等)には、公衆電話のように公共の端末を使用して利用できないという課題がある。
【0009】
上記課題に対し、聴覚障碍者向けのコミュニケーション端末(装置)を別途製造して市中に設置することも課題解決の一案として考えられるが、新たな装置を製造して設置するにはコストが掛かるため導入が容易では無い。
【0010】
そのため、低コストかつ導入容易な手段でコミュニケーション端末(装置)を実現できる自動取引装置が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、操作表示部を介して利用者が操作することにより所定の金融取引に係る処理を行う自動取引装置において、(1)前記金融取引に係るデータ通信を行う第1のネットワークに接続する第1の通信手段と、(2)前記金融取引以外のデータ通信を行う第2のネットワークに接続する第2の通信手段と、(3)当該自動取引装置の通信部としての機能を前記第1の通信手段又は前記第2の通信手段のいずれかに切り替える通信切替手段と、(4)前記操作表示部を介して利用者から電話リレーサービス又はSNSの利用が受け付けられた場合、前記通信切替手段を用いて当該自動取引装置の通信部としての機能を前記第1の通信手段から前記第2の通信手段に切り替え、さらに前記金融取引に関する当該自動取引装置の機能を休止させた上で、電話リレーサービス又はSNSのアプリケーションを動作させる制御手段とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、低コストかつ導入容易な手段でコミュニケーション端末(装置)を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】第1の実施形態のATMの制御系の構成を示すブロック図である。
【
図2】第1の実施形態に係る自動取引システムの全体構成を示す全体構成図である。
【
図3】第1の実施形態に係るATMの外観構成を示す外観斜視図である。
【
図4】第1の実施形態に係るATMの特徴動作(電話リレーサービスに係る処理)を示すフローチャートである。
【
図5】第1の実施形態に係る取引選択画面の構成例について示す説明図である。
【
図6】第1の実施形態に係る電話リレーサービスログイン画面の構成例について示す説明図である。
【
図7】第1の実施形態に係る発信先入力画面の構成例について示す説明図である。
【
図8】第1の実施形態に係る通訳方法選択画面の構成例について示す説明図である。
【
図9】第1の実施形態に係る通訳オペレータ呼出画面の構成例について示す説明図である。
【
図10】第1の実施形態に係る手話通訳画面の構成例について示す説明図である。
【
図11】第1の実施形態に係る文字通話画面の構成例について示す説明図である。
【
図12】第1の実施形態に係る緊急通報先選択画面の構成例について示す説明図である。
【
図13】第1の実施形態に係る緊急通報用通訳画面の構成例について示す説明図である。
【
図14】第2の実施形態に係る自動取引システムの全体構成を示す全体構成図である。
【
図15】第2の実施形態に係るATMの特徴動作(SNSに係る処理)を示すフローチャートである。
【
図16】第2の実施形態に係る取引選択画面の構成例について示す説明図である。
【
図17】第2の実施形態に係るSNS選択画面の構成例について示す説明図である。
【
図18】第2の実施形態に係るSNSログイン画面の構成例について示す説明図である。
【
図19】第2の実施形態に係るSNS利用画面の構成例について示す説明図である。
【
図20】変形実施形態に係るSNS選択画面の構成例について示す説明図である。
【
図21】変形実施形態に係る自動取引システムの全体構成を示す全体構成図(その1)である。
【
図22】変形実施形態に係る自動取引システムの全体構成を示す全体構成図(その2)である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
(A)第1の実施形態
以下では、本発明の自動取引装置の第1の実施形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。第1の実施形態では、本発明の自動取引装置をATMに適用した例について説明する。
【0015】
(A-1)第1の実施形態の構成
【0016】
(A-1-1)全体構成
図2は、第1の実施形態に係る自動取引システムの全体構成を示す全体構成図である。
図2において、自動取引システム5は、第1のネットワークN1と、第2のネットワークN2に接続可能なATM1、及びホストコンピュータ2を有して構成される。
【0017】
第1のネットワークN1は、金融取引(銀行取引)に関するデータを通信することができる通信網であり、例えば、専用網を適用することができる。
【0018】
第2のネットワークN2は、電話リレーサービスやSNSに関するデータを通信することができる通信網であり、例えば、インターネット等の広域通信網(公衆網)を適用することができる。
【0019】
第3のネットワークN3は、電話リレーサービスに関するデータ(音声データ等)を通信することができる通信網であり、例えば、公衆電話網を適用することができる。
【0020】
ATM1は、例えば、金融機関、駅、コンビニエンスストア、ホテル等に設けられている現金自動預け払い装置(ATM)である。なお、変形例として、ATM1の代わりに、KIOSK端末、券売機等の種々様々な装置を適用することができる。
【0021】
ATM1は、第1のネットワークN1を介して、ホストコンピュータ2と通信可能であり、例えば、振り込み取引、預け入れ取引(入金取引)、引き出し取引(出金取引)、等の各種金融取引を行うものである。なお、
図2では、説明を容易にするために、1台のATM1のみ図示している。しかし、実際には、複数台のATM1のそれぞれが、第1のネットワークN1を介して、ホストコンピュータ2と接続する。
【0022】
また、第1の実施形態のATM1は、ATM1の利用者(聴覚障碍者等)と、相手方(通信端末4)との会話を、通訳オペレータ(オペレータ端末3)が仲介することにより電話で双方向につなぐ電話リレーサービスを行うこともできる。
【0023】
ホストコンピュータ2は、金融機関のホストコンピュータであり、ATM1から取引に関する情報を取得すると、取得した取引に関する情報に基づいて、利用者(顧客)が行なった取引の内容を管理するものである
オペレータ端末3は、電話リレーサービスを提供する機関の通訳オペレータが使用する端末である。通訳オペレータは、オペレータ端末3を用いることにより、文字チャットや手話等でATM1を用いてサービスを利用する利用者とコミュニケーションをとり、他方、通信端末4を所有する相手方とは音声で会話する(その会話内容を中継する役割を有する)。
【0024】
通信端末4は、オペレータ端末3と通信可能な(オペレータ端末3を介してATM1と電話リレーサービス可能な)通信端末である。通信端末4には電話回線事業者との間で電話回線使用契約を締結しており、通信端末4には予め電話番号が割り当てられていることを前提とする。通信端末4は、オペレータ端末3との間で通信可能であれば様々な端末を適用でき、例えば、携帯電話(スマートフォン等)、固定電話等を適用できる。
【0025】
(A-1-2)ATM1の詳細な構成
図3は、第1の実施形態に係るATMの外観構成を示す外観斜視図である。
【0026】
図3において、第1の実施形態のATM1は、操作表示部12、カード入出口13、紙幣入出口14、硬貨入出口15、レシート排出口16、通帳入出口17、及びカメラ18を有する。
【0027】
操作表示部12は、例えば、取引種類の選択メニュー画面、各取引の操作画面、取引内容の確認画面等を表示したり、利用者が入力した入力情報を取り込んだりするものである。操作表示部12は、例えば、タッチパネル方式の操作表示部を適用することができる。なお、操作表示部12は、操作部と表示部とが一体となったタッチパネル方式のものに限らず、操作部と表示部とがそれぞれ物理的に別の構成のものであってもよい。
【0028】
操作表示部12は、例えば、電話リレーサービスを行う場合、通訳オペレータの手話の表示や、文字チャットを行うために使用される。
【0029】
カード入出口13は、利用者がキャッシュカードを挿入したり又はキャッシュカードを取り出したりするものである。
【0030】
紙幣入出口14は、利用者が紙幣を挿入したり又は紙幣を取り出したりするものである。紙幣入出口14は、例えば、開閉可能な開閉体を有するバケットタイプのものを用いても良いし、若しくは、開閉体を有しないバケットタイプのものを用いることができる。利用者が紙幣を投入するときには、例えば、開閉体を有するバケットタイプの場合、開閉体がバケットの開口部を開けた後、利用者はバケットの開口部に紙幣を投入し、その後ATM1は、開閉体が閉じて投入された紙幣を取り込む。またATM1が紙幣を返却するときには、ATM1はバケットに紙幣を繰り出し、その後、開閉体が開放する。なお、紙幣入出口14は、紙幣を投入する紙幣入口と紙幣を放出する紙幣出口とが一体となったものに限らず、紙幣入口と紙幣出口とがそれぞれ物理的に別の構成のものであってもよい。
【0031】
硬貨入出口15は、利用者が硬貨を投入したり又は硬貨を取り出したりするものである。硬貨入出口15も、例えば、開閉体が開口部を開閉可能なバケットタイプのものを用いても良いし、若しくは、開閉体を有しないバケットタイプのものを用いても良い。この場合も、紙幣入出口14と同様に、利用者が硬貨を投入するときには、例えば、開閉体を有するバケットタイプの場合、開閉体がバケットの開口部を開けた後、利用者はバケットの開口部に硬貨を投入し、その後ATM1は、開閉体を閉じて投入された硬貨を取り込む。またATM1が硬貨を返却するときには、ATM1はバケットに硬貨を繰り出し、その後、開閉体が開放する。なお、硬貨入出口15は、硬貨を投入する硬貨入口と硬貨を放出する硬貨出口とが一体となったものに限らず、硬貨入口と硬貨出口とがそれぞれ物理的に別の構成のものであってもよい。
【0032】
レシート排出口16は、取引内容を印刷したレシートを排出するものである。
【0033】
通帳入出口17は、利用者により挿入される通帳を受け入れたり又は通帳を排出したりするものである。
【0034】
カメラ18は、外部の映像(利用者の顔等)を、レンズを通して例えばCCD(Charge Coupled Device)やCMOS(Complementar Metal OxideSemiconductor)などの撮像素子に結像させ、静止画像及び動画像を撮影する機能を有する。カメラ18は、例えば、電話リレーサービスを行う場合、利用者の手話の動きを撮影する目的で使用される。
【0035】
図1は、第1の実施形態のATMの制御系の構成を示すブロック図である。
図1において、ATM1は、制御部10、記憶部20、第1の通信部30、第2の通信部35、操作表示制御部40、カード処理部50、通帳処理部60、紙幣入出金部70、硬貨入出金部80、及び明細票発行部90を有する。
【0036】
制御部10は、図示しないCPU(Central Processing Unit)を中心に構成されており、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、記憶部20から所定のプログラムを読み出して実行することにより、各部を制御して入金取引、収納処理や出金取引等の種々の処理を行う。
【0037】
制御部10が備える取引処理部11は、ホストコンピュータ2と連携して、各取引に係る処理を行う機能部である。また、制御部10が備える通信制御部100は、第1の通信部30又は第2の通信部35のいずれかをATM1の通信部として切り替える制御を行う機能部である。
【0038】
記憶部20は、制御部10が実行する処理プログラム等を記憶するものあり、例えば、HDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)等により構成される。記憶部20には、利用者が行なった取引の情報である取引情報、発生した障害の内容を示す情報等の障害発生情報等のジャーナルデータ等が記憶される。
【0039】
第1の通信部30は、第1のネットワークN1を介して、ホストコンピュータ2と接続するためのネットワークインタフェースである。
【0040】
第2の通信部35は、第2のネットワークN2を介して、オペレータ端末3と接続するためのネットワークインタフェースである。
【0041】
操作表示制御部40は、制御部10の制御の下、操作表示部12の動作を制御するものである。操作表示制御部40は、制御部10から画面情報に基づいて、操作表示部12に画面を表示させたり、又は操作表示部12から入力された情報を制御部10に与えたりするものである。
【0042】
カード処理部50は、制御部10の制御の下、カード入出口13からキャッシュカードを取り込んだり又は排出したりするものである。また、カード処理部50は、カード入出口13から挿入されたキャッシュカードの格納部(例えば、磁気格納部やICチップ等)に格納されているカード情報を読み取り、そのカード情報を制御部10に与えるものである。
【0043】
通帳処理部60は、制御部10の制御の下、通帳入出口17から通帳を取り込んだり又は排出したりするものである。また、通帳処理部60は、通帳入出口17から挿入された通帳の格納部(例えば、磁気データ格納部)に格納されている通帳情報を読み取り、その通帳情報を制御部10に与えるものである。
【0044】
紙幣入出金部70は、制御部10の制御の下、紙幣を金種別に収納・管理するものである。
【0045】
硬貨入出金部80は、制御部10の制御の下、硬貨を金種別に収納・管理するものである。
【0046】
明細票発行部90は、制御部10の制御の下、取引明細票に取引結果を印刷して、レシート排出口16から発行(排出)を行うものである。
【0047】
(A-1-3)取引処理部11の詳細な構成
第1の実施形態では、利用者は、ATM1を使用して、電話リレーサービスを利用することができる。取引処理部11は、電話リレーサービスの利用を選択するための選択画面(後述する取引選択画面)を操作表示部12に表示する。利用者は取引選択画面を介して、電話リレーサービスの選択を行うことにより、利用者の保持するスマートフォン等が利用できない場合でもATM1を使用して電話リレーサービスを利用することが可能となる。
【0048】
なお、ATM1の制御部10(取引処理部11)には、電話リレーサービス提供機関のオペレータ端末3と接続して、利用者が通訳オペレータとコミュニケーションを行うための専用アプリケーション(以下、「専用アプリ」とも呼ぶ)101がインストールされているものとする。この専用アプリ101は、例えば、非特許文献1で示されるような電話リレーサービス提供機関が提供するアプリケーションと同様の機能を有するアプリケーションである。即ち、第1の実施形態のATM1は、既存のスマートフォンやPC等を用いて行っていた電話リレーサービスと同様の機能を発揮することができる。これ以上の取引処理部11の詳細は動作の項で述べる。
【0049】
(A-2)第1の実施形態の動作
次に、以上のような構成を有する第1の実施形態の自動取引システム5の動作を説明する。
【0050】
図4は、第1の実施形態に係るATMの特徴動作(電話リレーサービスに係る処理)を示すフローチャートである。なお、ATM1と電話リレーサービス提供機関のオペレータ端末3とが接続する処理、オペレータ端末3と通信端末4とがシグナリングする等の処理については、従来のスマートフォン(専用アプリがインストールされた端末)等が行っている処理と同一のため詳細は省略する。以下では、ATM1において電話リレーサービスを使用する上で特徴的な処理を中心に説明を行う。
【0051】
まず、初期状態(利用者待ち状態)として、取引処理部11の制御に基づいて、操作表示部12に、取引の種類を選択することが可能な操作画面(以下、「取引選択画面」と呼ぶ)が表示されているものとする。例えば、
図5に示すような取引選択画面T1である。そして、ここでは、利用者により、上述の取引選択画面T1で、「電話リレーサービス」が押下(選択)されたものとして説明する(S101)。
【0052】
次に、取引処理部11は、通信制御部100を介して、通信部を第1の通信部30から第2の通信部35に切り替える(第2のネットワークN2(インターネット)へ接続する)(S102)。当該ステップS102の処理(電話リレーサービスの通信に専念)により、ATM1は通信負荷を軽減させることができる(金融取引に係る通信を制限できる)。
【0053】
次に、取引処理部11は、銀行の取引に必要なATM1の機能を休止する(S103)。例えば、取引処理部11は、電話リレーサービスに直接関係のない構成部(紙幣入出金部70、硬貨入出金部80)への電源の供給をシャットダウンする。当該S103の処理により、ATM1の省エネ化を図ることができる。
【0054】
次に、取引処理部11は、操作表示部12に、電話リレーサービスを利用するためにログインする画面(以下、「電話リレーサービスログイン画面」と呼ぶ)を表示させる(S104)。
【0055】
図6は、第1の実施形態に係る電話リレーサービスログイン画面の構成例について示す説明図である。
【0056】
図6に示す電話リレーサービスログイン画面150には、利用者が予め登録している電話リレーサービス用電話番号を入力するための電話番号入力欄151と、パスワードを入力するためのパスワード入力欄152と、上記各入力欄に電話番号及びパスワードを入力するためのソフトウエアキーボード155を表示するためのキーボード切替ボタン154と、ソフトウエアキーボード155と、電話リレーサービスの利用を取り消す(中止する)ための取消ボタン153とが配置されている。なお、
図6の電話リレーサービスログイン画面150は、あくまで一例であって、例えば、上記各入力欄の入力はATM1に備え付けのテンキー(ハードウェア)等で対応可能な場合には、上記キーボード切替ボタン154(ソフトウエアキーボード155)は省略しても良い。
【0057】
また、変形例として、電話番号及びパスワードの入力は、電話リレーサービス利用登録情報と紐づけたキャッシュカード等を読み込むことでログインできるようにしても良い。以下では、ATM1が電話リレーサービス提供機関(図示せず)に対して電話リレーサービス用電話番号及パスワードを送信して、正常にログイン処理が行われた事を前提として説明を継続する。
【0058】
次に、取引処理部11は、操作表示部12に、電話リレーサービスの発信先(相手先)を入力するための操作画面(以下、「発信先入力画面」と呼ぶ)を表示させる(S105)。
【0059】
図7は、第1の実施形態に係る発信先入力画面の構成例について示す説明図である。
【0060】
図7に示す発信先入力画面200には、発信先(相手先の電話番号)を入力するための電話番号入力欄201と、電話番号入力欄201に電話番号を入力するダイヤルキー202と、電話番号入力欄201に入力された電話番号で発信するための発信ボタン203と、後述する緊急通報先選択画面に遷移するための緊急通報ボタン204と、上述の電話リレーサービスログイン画面に戻るための戻るボタン205と、電話リレーサービスの利用を取り消すための取消ボタン206とが配置されている。なお、
図7の発信先入力画面は、あくまで一例であって、種々様々な構成を採用することができる。
【0061】
取引処理部11は、上述の発信先入力画面200を介して、利用者から緊急通報ボタン204が押下されたか否か判定を行う(S106)。取引処理部11は、緊急通報ボタン204の押下を受け付けた場合には、後述するステップS114へ移行し、一方、確認ボタン310の押下がされていない場合には、次のステップS107へ移行する。
【0062】
取引処理部11は、上述の発信先入力画面200を介して、利用者から発信ボタン203が押下されたか否か判定を行う(S107)。取引処理部11は、発信ボタン203の押下を受け付けた場合には、次のステップS108へ移行し、一方、発信ボタン203の押下がされていない場合には、上述のステップS106へ戻る。
【0063】
取引処理部11は、上述のステップS107で発信ボタン203の押下を受け付けた場合(一般通話の場合)には、操作表示部12に、通訳方法を手話にするか又は文字チャットにするかを選択させる操作画面(以下、「通訳方法選択画面」と呼ぶ)を表示させる(S108)。
【0064】
図8は、第1の実施形態に係る通訳方法選択画面の構成例について示す説明図である。
【0065】
図8に示す通訳方法選択画面250には、通訳方法として手話を選択するための手話選択ボタン251と、通訳方法として文字チャットを選択するための文字選択ボタン252と、上述の発信先入力画面200に戻るための戻るボタン253と、電話リレーサービスの利用を取り消すための取消ボタン254とが配置されている。なお、
図8の通訳方法選択画面250は、あくまで一例であって、種々様々な画面構成を採用することができる。
【0066】
取引処理部11は、上述の通訳方法選択画面250を介して、手話選択ボタン251又は文字選択ボタン252が押下されたか判定を行う(S109)。取引処理部11は、手話選択ボタン251の押下を受け付けた場合には、次のステップS110へ移行し、一方、文字選択ボタン252の押下を受け付けた場合には、後述するステップS112へ移行する。
【0067】
取引処理部11は、上述のステップS109で手話選択ボタン251の押下を受け付けた場合には、操作表示部12に、通訳オペレータを呼び出し中であることを通知する画面(以下、「通訳オペレータ呼出画面」と呼ぶ)を表示する。そして、取引処理部11は、オペレータ端末3と接続された後、通訳オペレータと手話するための操作画面(以下、「手話通訳画面」と呼ぶ)を表示させる(S110)。
【0068】
図9は、第1の実施形態に係る通訳オペレータ呼出画面の構成例について示す説明図である。
【0069】
図9に示す通訳オペレータ呼出画面300には、通訳オペレータを呼び出し中であることを示すメッセージと共に、上述の通訳方法選択画面250に戻るための戻るボタン301と、電話リレーサービスの利用を取り消すための取消ボタン302とが配置されている。なお、
図9の通訳オペレータ呼出画面300は、あくまで一例であって、種々様々な画面構成を採用することができる。
【0070】
図10は、第1の実施形態に係る手話通訳画面の構成例について示す説明図である。
【0071】
図10に示す手話通訳画面350には、オペレータ端末3の通訳オペレータの映像を表示するための通訳オペレータ表示部351と、オペレータ端末3(通訳オペレータ)を介して通話を行っていた通信端末4との通話を終了する終了ボタン352とを有する。なお、
図10の手話通訳画面350は、あくまで一例であって、種々様々な画面構成を採用することができる。なお、利用者の手話の映像データは、カメラ18を介して取得され、オペレータ端末3に通信される。オペレータは、利用者の手話の内容を通訳して通信端末4の保持者(相手先)に音声通話を行うことになる。
【0072】
取引処理部11は、上述の手話通訳画面350を介して、利用者から終了ボタン352が押下されたか否か判定を行う(S111)。取引処理部11は、終了ボタン352の押下を受け付けた場合には、通訳オペレータを介しての通話処理を終了して、上述のステップS105へ戻る(ステップS105において新たに通話(発信)を行うか又は電話リレーサービスを終了することになる)。
【0073】
一方、取引処理部11は、上述のステップS109で文字選択ボタン252の押下を受け付けた場合には、操作表示部12に上述の通訳オペレータ呼出画面300を表示し、オペレータ端末3と接続された後、通訳オペレータと文字チャットを行うための操作画面(以下、「文字通話画面」と呼ぶ)を表示させる(S112)。
【0074】
図11は、第1の実施形態に係る文字通話画面の構成例について示す説明図である。
【0075】
図11に示す文字通話画面400には、オペレータ端末3の通訳オペレータとの文字チャットを行うための文字チャット欄401と、文字入力用のソフトウエアキーボード403を表示するためのキーボード切替ボタン402と、文字チャット欄401に文字を入力するためのソフトウエアキーボード403と、オペレータ端末3(通訳オペレータ)を介して通話を行っていた通信端末4との通話を終了する終了ボタン404とを有する。なお、
図11の文字通話画面400は、あくまで一例であって、種々様々な画面構成を採用することができる。
【0076】
取引処理部11は、上述の文字通話画面400を介して、利用者から終了ボタン404が押下されたか否か判定を行う(S113)。取引処理部11は、終了ボタン404の押下を受け付けた場合には、通訳オペレータを介しての通話処理を終了して、上述のステップS105へ戻る。
【0077】
また、取引処理部11は、上述のステップS106で緊急通報ボタン204の押下を受け付けた場合には、操作表示部12に、緊急通報先を選択させる選択させる操作画面(以下、「緊急通報先選択画面」と呼ぶ)を表示させる(S114)。
【0078】
図12は、第1の実施形態に係る緊急通報先選択画面の構成例について示す説明図である。
【0079】
図12に示す緊急通報先選択画面450には、警察機関への緊急通報用として定められた電話番号に発信するための第1の緊急通報ボタン451と、消防機関への緊急通報用として定められた電話番号に発信するための第2の緊急通報ボタン452と、海上保安機関への緊急通報用として定められた電話番号に発信するための第3の緊急通報ボタン453と、上述の発信先入力画面200に戻るための戻るボタン454と、電話リレーサービスの利用を取り消すための取消ボタン455とが配置されている。なお、
図12の緊急通報先選択画面450は、あくまで一例であって、種々様々な画面構成を採用することができる。
【0080】
取引処理部11は、上述のステップS114において、上述の第1の緊急通報ボタン451~第3の緊急通報ボタン453のいずれかが押下された場合、オペレータ端末3と接続した後、通訳オペレータと手話するための操作画面(以下、「緊急通報用通訳画面」と呼ぶ)を表示させる(S115)。
【0081】
図13は、第1の実施形態に係る緊急通報用通訳画面の構成例について示す説明図である。
【0082】
図13に示す緊急通報用通訳画面500には、オペレータ端末3の通訳オペレータの映像を表示するための通訳オペレータ表示部501と、オペレータ端末3の通訳オペレータとの文字チャットを行うための文字チャット欄502と、文字入力用のソフトウエアキーボード504を表示するためのキーボード切替ボタン503と、文字チャット欄502に文字を入力するためのソフトウエアキーボード504と、オペレータ端末3(通訳オペレータ)を介して通話を行っていた通信端末4との通話を終了する終了ボタン505とを有する。なお、
図13の緊急通報用通訳画面500は、あくまで一例であって、種々様々な画面構成を採用することができる。
【0083】
利用者は、上述の緊急通報用通訳画面500において、手話又は文字チャットのいずれかを選択して通話オペレータとコミュニケーションを取ることができる(選択手段は特に限定されるものでは無いが、例えば、通訳オペレータ表示部501、文字チャット欄502のいずれかタッチした方を通訳方法として選択としても良い)。
【0084】
取引処理部11は、上述の緊急通報用通訳画面500を介して、利用者から終了ボタン506が押下されたか否か判定を行う(S116)。取引処理部11は、終了ボタン506の押下を受け付けた場合には、通訳オペレータを介しての通話処理を終了して、上述のステップS105へ戻る。
【0085】
なお、取引処理部11は、上述のステップS104~ステップS106、ステップS115において、利用者から電話リレーサービスを終了する意思表示(各取消ボタンの押下)を受け付けたか否か判定する(S117)
取引処理部11は、利用者から電話リレーサービスを終了する意思表示を受け付けた場合、通信制御部100を介して通信部を第2の通信部35から第1の通信部30に切り替える(第1のネットワークN1(金融ネットワーク)へ接続する)(S118)。
【0086】
そして、取引処理部11は、上述のステップS103で休止したATM1の機能を復旧させる(S119)。
【0087】
(A-3)第1の実施形態の効果
第1の実施形態によれば以下の効果を奏する。
【0088】
ATM1では、取引選択画面T1において電話リレーサービスが選択された際に、銀行の回線に影響を与えないように通信先を切り替え、銀行取引に必要な機能を休止させる。そして、利用者は、ATM1のカメラ18、操作表示部12(タッチパネル)等を使用して電話リレーサービスを利用することができる。これにより、利用者(聴覚障碍者等)は、個人保有端末(スマートフォン等)が使用できない状況でも、ATM1を使用して電話リレーサービスを利用することが可能となる。
【0089】
第1の実施形態のATM1は、自動取引装置として機能するための操作表示部12やカメラ18を備えており、電話リレーサービスの機能を実行する際もそれら構成が利用される。従ってATM1は、聴覚障碍者に電話リレーサービスを提供するにあたり必要なハードウェア構成を備える一方、自動取引装置としてのそれら構成を利用できるぶん、聴覚障碍者向けのコミュニケーション端末(装置)を別途製造して市中に設置するよりもコストを低減することができる。これはATM1の設置主体(銀行等)にとって、電話リレーサービスを利用可能な公共財としての端末(装置)をコストを抑えて設置できる利点があり、社会的な観点からも聴覚障碍者向けのコミュニケーション端末(装置)を普及させることができる利点がある。
【0090】
(B)第2の実施形態
以下では、本発明の自動取引装置の第2の実施形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。第2の実施形態では、本発明の自動取引装置をATMに適用した例について説明する。
【0091】
(B-1)第2の実施形態の構成
第2の実施形態の自動取引システムの構成については、
図14を用いて説明することができる。また、第2の実施形態のATMの構成については、第1の実施形態と同様に上述の
図1、
図3を用いて説明することができる。以下では、第2の実施形態について第1の実施形態との差異を中心に説明を行う。
【0092】
図14において、自動取引システム5Aは、ATM1、ホストコンピュータ2、及びSNSサーバ6を有して構成される。なお、ATM1とホストコンピュータ2は上述の第1のネットワークN1を介して接続され、ATM1とSNSサーバ6は上述の第2のネットワークN2を介して接続される。
【0093】
SNSサーバ6は、SNS(例えば、グループチャット等の文字主体のコミュニケーションを行うことができるSNS等)を管理するためのサーバである。例えば、SNSサーバ6は、ATM1や他の通信端末(図示せず)によりSNS上で投稿されたテキストなどの投稿情報を記憶するものである。なお、第2の実施形態のATM1では、ATM1にインストールされたOS(例えば、windows等のOS)で使用可能な既存のSNSは全て利用可能である。そのため、SNSサーバ6は、SNSごとに存在することになる。
【0094】
第2の実施形態では、利用者は、ATM1を使用して、SNSを利用することができる。取引処理部11Aは、SNSの利用を選択するための選択画面(後述する取引選択画面)を操作表示部12に表示する。利用者は取引選択画面を介して、SNSの選択を行うことにより、利用者の保持するスマートフォン等が利用できない場合でもATM1を使用してSNSを利用することが可能となる。
【0095】
なお、ATM1の制御部10(取引処理部11A)には、SNSを提供するSNSサーバ6と接続して、利用者がコミュニケーションを行うための専用アプリケーション101Aが予めインストールされているものとする。この専用アプリケーション101Aは、PCやスマートフォン等で既に提供されたアプリケーションと同様の機能を有するアプリケーションである。即ち、第2の実施形態のATM1は、既存のスマートフォンやPC等を用いて行っていたSNSと同様の機能を発揮することができる。これ以上の取引処理部11Aの詳細は動作の項で述べる。
【0096】
(B-2)第2の実施形態の動作
次に、以上のような構成を有する第2の実施形態の自動取引システム5Aの動作を説明する。
【0097】
(B-2-1)ATM1におけるSNSを利用する際の処理
図15は、第2の実施形態に係るATMの特徴動作(SNSに係る処理)を示すフローチャートである。なお、ATM1とSNSサーバ6とが接続する処理等の処理については、従来のPC、スマートフォン(専用アプリ101Aがインストールされた端末)等が行っている処理と同一のため詳細は省略する。以下では、ATM1においてSNSを使用する上で特徴的な処理を中心に説明を行う。
【0098】
まず、初期状態(利用者待ち状態)として、取引処理部11Aの制御に基づいて、操作表示部12に、取引選択画面が表示されているものとする。例えば、
図16に示すような取引選択画面T2である。そして、ここでは、利用者により、上述の取引選択画面T2で、「SNS利用」が押下(選択)されたものとして説明する(S201)。
【0099】
次に、取引処理部11Aは、上述のステップS102及びステップS103と同様の処理(第2のネットワークN2への接続、銀行の取引に必要なATM1の機能を休止)を行う(S202、S203)。
【0100】
次に、取引処理部11Aは、操作表示部12に、利用したいSNSを選択させる操作画面(以下、「SNS選択画面」と呼ぶ)を表示させる(S204)。
【0101】
図17は、第2の実施形態に係るSNS選択画面の構成例について示す説明図である。
【0102】
SNS選択画面550は、ATM1で利用可能なSNSを選択できるSNS選択欄551と、ATM1で利用可能なSNSを検索して結果を表示可能なSNS検索欄552と、SNSの利用を取り消すための取消ボタン553とが配置されている。なお、
図17のSNS選択画面550は、あくまで一例であって、種々様々な画面構成を採用することができる。また、上記SNS検索欄552に文字などを入力するインターフェースとしては、例えば、図示しないソフトウエアキーボード等を利用できる。
【0103】
取引処理部11Aは、上述のSNS選択画面550を介して、利用者から所望のSNSが選択(一覧から選択又は検索結果から選択)されたか否か判定を行う(S205)。取引処理部11Aは、SNSの選択を受け付けた場合には、次のステップS206へ移行する。
【0104】
次に、取引処理部11は、操作表示部12に、所望のSNSを利用するためにログインする画面(以下、「SNSログイン画面」と呼ぶ)を表示させる(S206)。
【0105】
図18は、第2の実施形態に係るSNSログイン画面の構成例について示す説明図である。
【0106】
図18に示すSNSログイン画面600には、利用者が予め登録しているSNSを利用するめの利用者ID入力欄601と、パスワードを入力するためのパスワード入力欄602と、上記各入力欄に利用者ID及びパスワードを入力するためのソフトウエアキーボード604を表示するためのキーボード切替ボタン603と、ソフトウエアキーボード604と、SNSの利用を取り消す(中止する)ための取消ボタン605とが配置されている。なお、
図18のSNSログイン画面600は、あくまで一例であって、種々様々な構成を採用することができる。以下では、ATM1がSNSサーバ6に対して利用者ID及パスワードを送信して、正常にログイン処理が行われた事を前提として説明を継続する。
【0107】
取引処理部11Aは、操作表示部12に、利用者がSNSを行うための操作操作画面(以下、「SNS利用画面」と呼ぶ)を表示させる(S207)。
【0108】
図19は、第2の実施形態に係るSNS利用画面の構成例について示す説明図である。
【0109】
図19に示すSNS利用画面には、他のユーザと文字チャットを行うための文字チャット欄651と、文字入力用のソフトウエアキーボード653を表示するためのキーボード切替ボタン652と、文字チャット欄651に文字を入力するためのソフトウエアキーボード653と、SNSの利用を取り消す(中止する)ための取消ボタン654とが配置されている。なお、
図19のSNS利用画面650は、あくまで一例であって、種々様々な構成を採用することができる。
【0110】
取引処理部11Aは、上述のSNS利用画面650を介して、利用者から取消ボタン654が押下されたか否か判定を行う(S208)。取引処理部11Aは、取消ボタン654の押下を受け付けた場合には、次のステップS209以下の処理を行う。
【0111】
取引処理部11Aは、上述のステップS118及びステップS119と同様の処理(第1のネットワークN1への接続、銀行の取引に必要なATM1の機能の復旧)を行う(S209、S210)。なお、上述のステップS205、ステップS207において、各取消ボタンの押下を受け付けた場合(S212)にも、取引処理部11Aは上述のステップS209及びステップS210の処理を行う。
【0112】
(B-2-2)変形例
【0113】
(B-2-2-1)ログインカード
上記例では、ステップS204において利用するSNSの選択と、ステップS206において利用者IDとパスワードの入力が必要であったが、変形例として、ATM1は、SNSの選択とログインをスムーズに進めるためにログインカードを使用することもできる。
【0114】
ログインカードは、SNSごとに発行されるカード(物理媒体、電子媒体は問わない)であり、利用するSNSを特定する情報と、利用者IDとパスワードの情報を含むものである。ログインカードが物理媒体の場合には、キャッシュカードと同様に磁気ストライプやICチップなどの記憶部を備えるものである。所定のタイミング(例えば、上述のステップS204)でATM1のカード入出口13にログインカードが挿入されると、カード処理部50がログインカードの情報を読み取って、読み取った情報を取引処理部11Aに与える。取引処理部11Aは、読み取った情報からSNSを特定して、読み取ったログイン情報をSNSサーバ6に送信することによりログインを行うことになる。なお、ログイン処理を行う前に、利用者の生体認証(顔認証、指紋認証等)を行っても良い。
【0115】
一方、ログインカードが電子媒体(例えば、二次元バコード)の場合には、ATM1のコードリーダ(図示せず)で電子媒体の情報を読み取って同様の処理を行うことになる。
【0116】
図20は、変形実施形態に係るSNS選択画面の構成例について示す説明図である。
【0117】
SNS選択画面700には、上述のSNS選択欄551と、上述のSNS検索欄552と、上述の取消ボタン553と、ログインカードを作成するためのログインカード作成ボタン701と、ログインカードを利用するためのログインカード利用ボタン702とが配置されている。なお、
図20のSNS選択画面700は、あくまで一例であって、種々様々な画面構成を採用することができる。
【0118】
取引処理部11Aは、上述のSNS選択画面700を介して、利用者からログインカード作成ボタン701の押下を受け付けると、利用者の生体認証登録(生体認証を行わない場合には省略しても良い)と、利用するSNSとログイン情報を受け付けることで、ログインカードを発行することができる。なお、生体認証の登録とATM1が物理的なログインカードを発行する具体的な手順については既存の処理を適用することができる。また、ATM1が電子媒体のログインカードを発行する場合には、例えば、ログイン情報を二次元バーコード化した画像を利用者の指定のメールアドレスに送信する等である。
【0119】
ログインカードを発行した利用者は、次回利用時には、ログインカード利用ボタン702を押下し、ログインカードを読み込ませて(必要に応じて生体認証を行うことで)、自身のアカウントにログインできる。
【0120】
(B-2-2-2)利用料金の請求方法
上記例では、ATM1において、SNSを利用した場合の利用者の利用料金については特に述べなかったが、例えば、利用料金の請求方法は、利用の都度ATM1で使用できる決済手段で利用者が利用料金(固定料金、又は使用時間等に変動する変動料金でも良い)支払うこと、モバイル端末キャリアの料金プランのオプションに組み込み、ATM1の設置者がキャリアに請求すること、通信障害発生時に、該当キャリア利用者が利用した分(該当キャリア利用者の判別は、例えばログインカード等に予め利用者のキャリア情報を登録するようにすればログインカード利用によるログイン時に判別できる)は、通信障害を起こしたキャリアが支払うこと等が挙げられる。
【0121】
(B-3)第2の実施形態の効果
第2の実施形態によれば以下の効果を奏する。
【0122】
ATM1では、取引選択画面T2においてSNS利用が選択された際に、銀行の回線に影響を与えないように通信先を切り替え、銀行取引に必要な機能を休止させる。そして、利用者は、ATM1の操作表示部12(タッチパネル)等を使用してSNSを利用することができる。これにより、利用者は、個人保有端末(スマートフォン等)が使用できない状況でも、ATM1を使用してSNSを利用することが可能となる。
【0123】
第2の実施形態のATM1は、自動取引装置として機能するための操作表示部12を備えており、SNSの機能を実行する際も当該構成が利用される。従ってATM1は、利用者に対し緊急的にSNSのサービスを提供するにあたり必要なハードウェア構成を備える一方、自動取引装置としてのそれら構成を利用できるぶん、個人保有端末に代替可能なSNSが利用可能な端末(装置)を別途製造して市中に設置するよりもコストを低減することができる。これはATM1の設置主体(銀行等)にとって、緊急時の連絡手段として利用できる公共財としての端末(装置)をコストを抑えて設置できる利点があり、社会的な観点からもそのような端末(装置)を普及させることができる利点がある。
【0124】
(C)他の実施形態
本発明は、上記各実施形態に限定されるものではなく、以下に例示するような変形実施形態も挙げることができる。
【0125】
(C-1)上記第1の実施形態では、電話リレーサービスへのログイン方法として、電話リレーサービス利用登録情報と紐づけたキャッシュカード等を読み込むことで電話番号及びパスワードを入力しログインできるようにしても良いとしたが、変形例として上記第2の実施形態で述べたログインカードの態様を上記第1の実施形態に適用してもよい。この場合におけるログインカードとは、電話リレーサービス用電話番号とパスワードとを特定する情報が格納された、キャッシュカードとは異なるカード媒体である。また上記第2の実施形態において、変形例で述べたログインカードの機能をキャッシュカードに持たせるようにしてもよい。この場合、キャッシュカードに利用するSNSを特定する情報と利用者IDとパスワードの情報が予め記憶される。このように、上記第1の実施形態と上記第2の実施形態のいずれも、自動取引装置としてのATMが元来備えるカード処理部を活用し、利用者が電話リレーサービスまたはSNSへログインする操作を簡略化することができる。またキャッシュカードとログインカードを別個に設けるか、キャッシュカードにログインカードの機能を持たせキャッシュカードに一本化するかはATMを設置する設置主体(銀行等)あるいはATMの製造元の都合によるところ、本発明によればキャッシュカードとログインカードが別個であっても一本化されても、いずれでも対応することができる。
【0126】
(C-2)上記各実施形態では、自動取引システム5(5A)上の全てのATM1が、電話リレーサービス又はSNSを利用できるATMであった。変形例として、一部のATMのみ電話リレーサービス又はSNSを利用できるようにしても良い。
【0127】
図21は、変形実施形態に係る自動取引システムの全体構成を示す全体構成図である。
図21の自動取引システム5Bと、上述の自動取引システム5(5A)とは、自動取引システム5Bが上位装置7を備える点で異なる。なお、
図21では、第2のネットワークN2やオペレータ端末3等の図示は省略しているが、実際には存在する。
【0128】
上位装置7は、各ATMを管理する装置であって、各ATMの電話リレーサービス及び又はSNSの利用を制限可能である。例えば、通常時は、各ATM1では電話リレーサービス及び又はSNSの利用が制限されている場合、上位装置7は、通信障害や災害が発生したエリアに設置されるATMへ対して、電話リレーサービス及び又はSNS利用可能モードへの遷移を指示する。例えば、上位装置7は、対象のATM1に対し第1のネットワークN1を介して、「モード切替に関する電文」を送信する。当該電文を受信したATM1は、取引処理部11(11A)による電話リレーサービス及び又はSNSの機能を有効に切り替える。
【0129】
この変形例の具体的な利用方法として、例えば、銀行支店の1台のATMのみ電話リレーサービス及び又はSNSの利用できるようにすることもできる。換言すると、一定エリア内(例えば街)に本発明が適用されるATMが少数あれば良い。全てのATMを電話リレーサービス及び又はSNS対応させると設置主体(銀行等)のコストが高くなる。本発明の機能は非常時用の側面があるのでモード切替とすれば、全台適用よりもコスト低下が可能であり、本発明の機能が必要なエリア(災害エリア、通信障害エリア)に対し柔軟にサービスを提供できる。
【0130】
(C-3)上記各実施形態では、利用者が電話リレーサービス及び又はSNSを利用可能なATM1の場所を事前に把握している事を前提として説明を行った。しかしながら、利用者が、出先で突然に緊急事態になると設置場所がわからない上、公衆通信網がダウンしていると個人所有の端末で設置場所を調べることもできない。そこで以下、変形例として、ATM(又はATM設置場所)から公衆通信網に依存しない通信手段を用いて本発明の機能が利用可能である旨の情報を発信する例を示すものとする。
【0131】
図22は、変形実施形態に係る自動取引システムの全体構成を示す全体構成図である。
図21の自動取引システム5Cと、上述の自動取引システム5(5A)とは、自動取引システム5Cが上述の上位装置7を備える点で異なる。なお、
図22では、第2のネットワークN2やオペレータ端末3等の図示は省略しているが、実際には存在する。
【0132】
上位装置7は、電話リレーサービス及び又はSNSの利用可能なATM1の情報を各ATM1に通知する。各ATM1は、近距離無線通信(wi-fi、Bluetooth(登録商標)等)手段を備え、上位装置から通知されたSNSの利用可能なATM1の情報(案内)を近距離無線通信で周囲に送信する。利用者の保持する通信端末8がこの情報を受け取ることで、利用者は電話リレーサービス及び又はSNSの利用可能なATM1の場所を知ることが可能となる。
【0133】
(C-4)第1の実施形態では、電話リレーサービスを利用する際の料金については特に述べなかった。利用者と電話相手とが(手話・文字翻訳を介して)通話している間は、電話回線(オペレータ端末3と通信端末4の間)の利用料が発生する。現状、この利用料は電話リレーサービスを運営する財団が負担しているが、将来的には利用者へ請求する可能性も存在する。特許文献2では、通信を確立する手順に基づいて利用者と電話相手との通話時間を記録し、通話時間から利用料を算定する技術が開示されている。変形例として、本発明のATM1(自動取引システム5)では、特許文献2に記載の技術を適用して(例えば、特許文献2に記載の通信端末11の機能を、そのままATM1に搭載すれば良い)、利用料金を算出しても良い。
【0134】
(C-5)変形例として、ATM1は、上記各実施形態、(C-1)~(C-4)で述べた変形例の構成及び/又は機能の全部又は一部を組み合わせて使用しても良い。また、ATM1は、上記各実施形態及び(C-1)~(C-4)で述べた変形例の構成及び/又は機能のうち少なくとも一部を省略しても良い。
【符号の説明】
【0135】
1…ATM、2…ホストコンピュータ、3…オペレータ端末、4…通信端末、5、5A~5C…自動取引システム、6…SNSサーバ、7…上位装置、8…通信端末、10…制御部、11、11A…取引処理部、12…操作表示部、13…カード入出口、14…紙幣入出口、15…硬貨入出口、16…レシート排出口、17…通帳入出口、18…カメラ、20…記憶部、30…第1の通信部、35…第2の通信部、40…操作表示制御部、50…カード処理部、60…通帳処理部、70…紙幣入出金部、80…硬貨入出金部、90…明細票発行部、100…通信制御部、101、101A…専用アプリ、150…電話リレーサービスログイン画面、200…発信先入力画面、250…通訳方法選択画面、300…通訳オペレータ呼出画面、350…手話通訳画面、400…文字通話画面、450…緊急通報先選択画面、500…緊急通報用通訳画面、600…SNSログイン画面、650…SNS利用画面、700…SNS選択画面、N1…第1のネットワーク、N2…第2のネットワーク、N3…第3のネットワーク、T1…取引選択画面、T2…取引選択画面。