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  • 特開-警報器 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024093364
(43)【公開日】2024-07-09
(54)【発明の名称】警報器
(51)【国際特許分類】
   G08B 17/00 20060101AFI20240702BHJP
   G08B 17/10 20060101ALI20240702BHJP
   G08B 17/12 20060101ALI20240702BHJP
   G08B 23/00 20060101ALI20240702BHJP
【FI】
G08B17/00 C
G08B17/10
G08B17/12
G08B23/00 520B
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022209691
(22)【出願日】2022-12-27
(71)【出願人】
【識別番号】000233826
【氏名又は名称】能美防災株式会社
(72)【発明者】
【氏名】井関 晃広
【テーマコード(参考)】
5C085
5C087
5G405
【Fターム(参考)】
5C085AA01
5C085AA03
5C085AA11
5C085AC18
5C085CA16
5C085DA16
5C087AA02
5C087AA31
5C087AA33
5C087AA42
5C087AA44
5C087DD04
5C087DD49
5C087EE05
5C087EE14
5C087GG08
5C087GG66
5C087GG70
5C087GG84
5G405AD09
5G405CA23
5G405DA21
(57)【要約】
【課題】
従来のスイープ音は、周波数を直線的に変化させていた。直線的な周波数の変化によるスイープ音でも音程の変化を感じるが、より認知されやすい音程の変化によって警報を行い、より早く異常を認知させることが望ましい。
【解決手段】
火災検出部10と、制御部11と、警報部12とを備えた警報器1において、火災検出部10が火災を検出すると、制御部11が警報部12を制御して、時間とともに周波数が高くなる警報音を出力させ、警報音は、低周波では周波数の変化が小さく、高周波では周波数の変化が大きい。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
火災検出部と、制御部と、警報部とを備えた警報器において、
前記火災検出部が火災を検出すると、前記制御部が警報部を制御して、時間とともに周波数が高くなる警報音を出力させ、
前記警報音は、低周波では周波数の変化が小さく、高周波では周波数の変化が大きい
ことを特徴とする警報器。
【請求項2】
前記警報音は、周波数が、時間とともに指数的に変化する
ことを特徴とする請求項1に記載の警報器
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、経時的に周波数が変化するスイープ音を有する警報音の発信する警報器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
火災などを検知して、警報を発信する警報器では、警報音として人に認知されやすいように経時的に周波数が変わるスイープ音を含む音を出力している。(特許文献1参照)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013-257847号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のスイープ音は、周波数を直線的に変化させていた。直線的な周波数の変化によるスイープ音でも音程の変化を感じるが、より認知されやすい音程の変化によって警報を行い、より早く異常を認知させることが望ましい。
【0005】
本発明は、より認知されやすい警報を伝達できる警報音を出力する警報器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の警報器は、火災検出部と、制御部と、警報部とを備えた警報器において、火災検出部が火災を検出すると、制御部が警報部を制御して、時間とともに周波数が高くなる警報音を出力させ、警報音は、低周波では周波数の変化が小さく、高周波では周波数の変化が大きいことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明の警報器によれば、より認知されやすい警報を伝達できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施の形態に係る警報器の構成図である。
図2】実施の形態に係る警報器が出力する警報音の周波数変化の例を示した図である。
図3】実施に形態に係る警報音の周波数変化と従来の警報音の周波数変化の比較を説明するための図である。
図4】実施の形態に係る警報器の動作の例を示したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照して説明する。本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。
【0010】
実施の形態
図1は、本発明の実施の形態に係る警報器1の構成を説明する図である。なお、本実施の形態に係る警報器1は、住宅内の天井面や壁面に取り付けられて使用される火災警報器として説明する。
【0011】
警報器1は、火災検出部10と、制御部11と、警報部12とを備える。
【0012】
火災検出部10は、例えば、熱検出、煙検出、又は炎検出を行う。火災検出部10は、火災により発生する物理現象の変化を検出すると、火災発生を制御部11に通知する。
【0013】
制御部11は、専用の制御回路、又はメモリに格納されるプログラムを実行するCPU(Central Processing Unit)若しくはこれらの組み合わせにより構成される。制御部11がCPUである場合、制御部11が実行する各機能は、ソフトウェア、ファームウェア、またはソフトウェアとファームウェアとの組み合わせにより実現される。
【0014】
警報部12は、スピーカーやブザー等の音響装置21と、発光素子等の表示装置22を備えている。
【0015】
本実施の形態に係る警報器1は、火災検出部10が所定間隔で火災の検出を行っていて、火災検出部10が火災により発生する物理現象の変化を検出すると、火災発生を制御部11に通知する。通知を受けた制御部11は、警報部12を制御して火災発生を警報する。火災の警報は、警報部12の表示装置22の点灯や点滅とともに、音響装置21から警報音を出力して行われる。以下、具体的に警報音について説明する。
【0016】
図2は、本実施の形態に係る警報器1が出力する警報音の周波数変化の例を示した図である。警報器1の音響装置21から出力される警報音は、時間とともに周波数が高くなるスイープ音であり、特に低周波では周波数の変化が小さく、高周波になるほど周波数の変化が大きくなるようにしている。図2においては、周波数が時間とともに指数的に変化する警報音を示している。
【0017】
人間の耳は、蝸牛で周波数分析を行っており、中心周波数が異なるフィルタの集まりとしてモデル化されていて(いわゆる聴覚フィルタ)、それぞれのフィルタは限定された周波数帯域の音を検出している。フィルタの周波数の帯域幅は、臨界帯域幅と呼ばれ、周波数帯域によって異なる。そして、それぞれのフィルタの中心周波数の差は、小さくなるにつれて小さくなり、中心周波数が高くなるにつれて大きくなる。つまり、周波数が低い音は、小さな周波数の変化であっても、別々のフィルタにより音が検出されるため異なる音程として認識され、周波数が高い音は大きな周波数の変化でなければ、別々のフィルタによって音が検出されないため、同じ音程として認識される。
【0018】
本実施の形態に係る警報器1の音響装置21から出力される警報音は、図2に示すように、低周波では周波数の変化が小さく、高周波になるほど周波数の変化が大きくなるようになっているため、所定時間経過毎に別々の聴覚フィルタによって、異なる音程と認識され、所定時間毎に連続して変化する音として聞こえるので、警報音に気がつきやすくなる。また、この警報音は、騒音の中であっても、連続した途切れのない音の変化として認識されるため、人に異常が発生したことを認知させやすいものとなっている。
【0019】
図3は、本実施の形態に係る警報器1の警報音の周波数変化と従来の警報音の周波数変化の比較を説明するための図である。実線で本実施の形態に関わる警報器1の警報音の周波数変化を示し、点線で従来の警報器の警報音の周波数変化を示す。これ以降、本実施の形態に係る警報器1の警報音を指数警報音と呼び、従来の警報器の警報音を直線警報音と呼ぶ。
【0020】
直線警報音は、時間t1まで所定時間毎(例えば、0.2秒毎)において、異なるフィルタによって音が検出されるため、異なる音程の音として認識される。しかし、周波数の変化が一定のため、時間t1を超えると、所定時間経過後であっても、前回と同じフィルタによって音か検出されることがあり、その場合は同じ音程の音として認識される。時間が経過するほど、同じフィルタによって音が検出される回数が多くなり、音程の変化が認識しにくくなる。
【0021】
それに対して、指数警報音は、前述したとおり、低周波では周波数の変化が小さく、高周波になるほど周波数の変化が大きくなるため、どの時間においても、所定時間毎において、異なるフィルタで音が検出され、直線警報音に比べて、長い時間にわたり音程が変化して聞こえるため、警報音に気がつきやすい。
【0022】
また、音は、周波数が低いほど波長が長く、波長が長いと回折現象により、障害物の陰に回り込みやすく、遠くまで聞こえるという特性がある。
【0023】
指数警報音が周波数h1に達するまでの時間t3は、直線警報音が周波数h1に到達するまでの時間t2よりも長くなる。そのため、指数警報音の方が、直線警報音に比べると障害物を回り込みやすい時間が長くなり、音が遠くまで届く時間が長い。そのため、長い時間にわたり、様々な場所で警報音を聞くことができ、多くの人に危険を知らせることができる。
【0024】
次に、図4に基づき、本実施の形態に係る警報器1の動作の例を示したフローチャートである。
【0025】
警報器1は、ステップs41において、火災検出部10により、火災が発生していないか検知を行う。火災が検知されない場合は、定期的にステップs41を繰り返して実施する。
【0026】
ステップs41において、火災検出部10が火災を検知した場合は、ステップs42において、火災検出部10は、制御部11に火災の発生を通知する。
【0027】
火災発生の通知を受けた制御部11は、ステップs43において警報部12を制御して、警報動作を行い、人々に火災の発生を知らせる。警報動作は、具体的には、ステップs431において、制御部11が表示装置22の火災を示す表示灯を点灯させる。また、ステップ432において、制御部11が音響装置21からスイープ警報音を出力させる。ここでスイープ警報音は、前述の指数警報音である。さらに、ステップs433において、制御部11は、スイープ警報音に続き、音響装置21から音声を出力させる。音声は、例えば「火災が発生しました、注意して避難してください。」というメッセージである。
【0028】
火災警報器1は、ステップs41からステップs43を繰り返し実施し、火災を検出している間は、警報動作を行い続ける。
【0029】
なお、本実施の形態において、警報器1を火災警報器として説明したが、人の侵入を検出する防犯用の警報器でもよい。また、製造装置の異常を警報する警報器など、様々な警報器とすることができる。
【0030】
また、警報音は、周波数が時間とともに指数的に変化するものに限定されない。例えば、低周波では周波数が、傾きが小さい直線で変化し、高周波では周波数が、傾きが大きい直線で変化するように、周波数の変化が複数の直線で変化するように組み合わせてもよい。また、周波数の変化は、連続である必要がなく、周波数毎に50msの間、音を鳴動させるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0031】
1…警報器、10…火災検出部、11…制御部、12…警報部、21…音響装置、22…表示装置
図1
図2
図3
図4