(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024093369
(43)【公開日】2024-07-09
(54)【発明の名称】ステータ、モータ、およびポンプ装置
(51)【国際特許分類】
H02K 5/08 20060101AFI20240702BHJP
H02K 21/12 20060101ALI20240702BHJP
F04D 13/06 20060101ALI20240702BHJP
F04D 29/42 20060101ALI20240702BHJP
【FI】
H02K5/08 A
H02K21/12 M
F04D13/06 E
F04D13/06 H
F04D29/42 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022209698
(22)【出願日】2022-12-27
(71)【出願人】
【識別番号】000002233
【氏名又は名称】ニデックインスツルメンツ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100142619
【弁理士】
【氏名又は名称】河合 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100153316
【弁理士】
【氏名又は名称】河口 伸子
(74)【代理人】
【識別番号】100196140
【弁理士】
【氏名又は名称】岩垂 裕司
(72)【発明者】
【氏名】山本 和磨
【テーマコード(参考)】
3H130
5H605
5H621
【Fターム(参考)】
3H130AA02
3H130AB07
3H130AB13
3H130AB22
3H130AB57
3H130AC13
3H130BA88A
3H130BA88G
3H130BA88H
3H130CA23
3H130DA02Z
3H130DD04X
3H130DF00Z
3H130EA07A
3H130EA07G
3H130EA07H
3H130EB01G
3H130EB01H
3H130EC07A
3H130EC07G
3H130EC07H
5H605AA08
5H605BB07
5H605BB17
5H605CC01
5H605CC02
5H605CC10
5H605FF06
5H605GG18
5H605GG20
5H621BB07
5H621GA04
5H621GB10
5H621HH01
(57)【要約】
【課題】樹脂封止部材に対してステータコアが適正な位置で覆われたステータ、モータおよび装置を提供することにある。
【解決手段】ステータ3は、複数の分割コア310が環状に配置されたステータコア31と、ステータコア31を覆う樹脂封止部材60と、を有する。樹脂封止部材60は、ステータコア31の中心軸線に沿ったモータ軸線L方向の一方側L1からステータコア31を覆うとともにゲート痕Gが形成された第1隔壁部61を備える。ゲート痕Gは、中心軸線の軸線方向から見た場合に、隣接する分割コア310のそれぞれの間の全てに形成される。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の分割コアが環状に配置されたステータコアと、
前記ステータコアを覆う樹脂封止部材と、
を有し、
前記樹脂封止部材は、前記ステータコアの中心軸線に沿った軸線方向の一方側から前記ステータコアを覆うとともにゲート痕が形成された第1隔壁部を備え、
前記ゲート痕は、前記軸線方向の前記一方側から見た場合に、隣接する前記分割コアのそれぞれの間の全てに形成されることを特徴とするステータ。
【請求項2】
前記分割コアに巻回されたコイルを有し、
前記分割コアは、環状に形成された外環部と、前記外環部から前記ステータコアの径方向の内側に向かって突出する突極部と、を備え、
前記コイルは、前記突極部に巻回され、
前記ゲート痕は、前記軸線方向の前記一方側から見た場合に、前記径方向において、前記コイルが巻回された第1領域に形成されることを特徴とする請求項1に記載のステータ。
【請求項3】
前記ゲート痕は、前記軸線方向の前記一方側から見た場合に、前記第1領域において、前記第1領域の中央部より前記径方向の内側の第2領域に形成されることを特徴とする請求項2に記載のステータ。
【請求項4】
請求項1から3のうち何れか一項に記載されたステータと、
前記ステータコアの内側に配置され、前記中心軸線回りに回転するロータと、
を有するモータ。
【請求項5】
請求項4に記載されたモータと、
前記樹脂封止部材の前記一方側から被せられて前記樹脂封止部材との間にポンプ室を形成するケースと、
前記ポンプ室に配置されて前記ロータと一体に回転するインペラと、
を有するポンプ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ステータ、モータ、およびポンプ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
複数のステータコアが樹脂封止部材に覆われたステータは、特許文献1に記載されている。同文献のステータは、複数の突極が環状に配置されたステータコアと、ステータコアを覆う樹脂封止部材と、を有する。樹脂封止部材は、ゲート痕が形成された円錐状の端面を軸線方向の一方側に備える。ゲート痕は、一箇所に設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の技術において、ステータコアを樹脂封止部材で覆う際には、樹脂成型用の金型の内部にステータコアが配置され、ステータコアに対して一方側に配置された一箇所のゲートから樹脂が金型内に流入する。これにより、ステータコアは樹脂封止部材で覆われ、ステータが形成される。この際、樹脂封止部材の端面にゲート痕が1つ形成される。
【0005】
ここで、金型内に流入する樹脂は、1箇所のゲートから金型内に流入するので、金型内に均一に充填されない。このため、金型内に流入する樹脂により、金型内でステータコアが所定の位置から動いてしまう場合がある。また、ステータコアに対して配置されるゲートの位置によっても、金型内に流入する樹脂により、金型内でステータコアが所定の位置から動いてしまう場合がある。この場合、形成されたステータは、樹脂封止部材に対してステータコアが適正な位置からずれているので、このステータをモータに使用すると所望の性能が発揮できないという問題がある。
【0006】
以上の問題点に鑑みて、本発明の課題は、樹脂封止部材に対してステータコアが適正な位置で覆われたステータを提供することにある。また、このステータを用いたモータおよび装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明のステータは、複数の分割コアが環状に配置されたステータコアと、前記ステータコアを覆う樹脂封止部材と、を有し、前記樹脂封止部材は、前記ステータコアの中心軸線に沿った軸線方向の一方側から前記ステータコアを覆うとともにゲート痕が形成された第1隔壁部を備え、前記ゲート痕は、前記軸線方向の前記一方側から見た場合に、隣接する前記分割コアのそれぞれの間の全てに形成されることを特徴とする。
【0008】
本発明では、ゲート痕は、中心軸線の軸線方向から見た場合に、隣接する分割コアのそれぞれの間の全てに形成される。よって、ステータコアを金型内に配置して、ステータコアを樹脂封止部材で覆う際に、隣接する分割コアの間から、樹脂が均等に金型内に流入する。このとき、流入する樹脂は、分割コアの間から金型の底部に向かって流れて底部から溜まる。これにより、ステータコアを樹脂封止部材で覆う際に、ステータコアが金型内で所定の位置から動くことを抑制することができる。この結果、樹脂封止部材に対してステ
ータコアが適正な位置で覆われたステータを得ることができる。
【0009】
本発明において、前記分割コアに巻回されたコイルを有し、前記分割コアは、環状に形成された外環部と、前記外環部から前記ステータコアの径方向の内側に向かって突出する突極部と、を備え、前記コイルは、前記突極部に巻回され、前記ゲート痕は、前記軸線方向の前記一方側から見た場合に、前記径方向において、前記コイルが巻回された第1領域に形成されることが好ましい。この場合、本発明において、前記ゲート痕は、前記軸線方向の前記一方側から見た場合に、前記第1領域において、前記第1領域の中央部より前記径方向の内側の第2領域に形成されることが好ましい。このようにすれば、ステータコアを樹脂封止部材で覆う際に、ステータコアが金型内で所定の位置から動くことを、より抑制することができる。
【0010】
本発明に係るステータは、モータに用いることができる。この場合、モータは、前記ステータと、前記ステータコアの内側に配置され、前記中心軸線回りに回転するロータと、を有する。
【0011】
本発明に係るモータはポンプ装置に用いることができる。この場合、ポンプ装置は、前記モータと、前記樹脂封止部材の前記一方側から被せられて前記樹脂封止部材との間にポンプ室を形成するケースと、前記ポンプ室に配置されて前記ロータと一体に回転するインペラと、を有する。
【発明の効果】
【0012】
本発明では、ゲート痕は、中心軸線の軸線方向の一方側から見た場合に、隣接する分割コアのそれぞれの間の全てに形成される。よって、ステータコアを金型内に配置して、ステータコアを樹脂封止部材で覆う際に、隣接する分割コアの間から、樹脂が均等に金型内に流入することができるので、ステータコアが金型内で所定の位置から動くことを抑制することができる。この結果、樹脂封止部材に対してステータコアが適正な位置で覆われたステータを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明を適用したポンプ装置およびモータの一態様を示す斜視図である。
【
図2】
図1に示すポンプ装置およびモータの縦断面図である。
【
図3】ステータコア、インシュレータおよびスコイルの斜視図である。
【
図6】ゲート痕とステータコアとの関係を示す図である。
【
図8】樹脂封止部材をインサート成形するための金型の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態に係るモータおよびポンプ装置を説明する。以下の説明において、モータ軸線L方向とは、モータ軸線Lに沿った軸線方向を意味し、径方向の内側および径方向の外側における径方向とは、モータ軸線Lを中心とする半径方向を意味し、周方向とは、モータ軸線Lを中心とする回転方向を意味する。
【0015】
(全体構成)
図1は、本発明のステータを適用したモータ10およびポンプ装置1の一態様を示す斜視図である。
図2は、
図1に示すポンプ装置1およびモータ10の断面図である。
図1および
図2において、ポンプ装置1は、ケース2と、ケース2に対してモータ軸線L方向の他方側L2に配置されたモータ10と、ケース2の内部のポンプ室20に配置されたイン
ペラ25と、を有する。インペラ25は、モータ10によってモータ軸線L周りに回転駆動される。モータ10は、円筒状のステータ3と、ステータ3の内側に配置されたロータ4と、ロータ4を回転可能に支持する丸棒状の支軸5とを備える。支軸5は、金属製またはセラミック製である。本形態のポンプ装置1において、流体は液体であり、ポンプ装置1は、環境温度や流体温度が変化しやすい車載用ポンプとして使用される。
【0016】
ケース2は、ポンプ装置1のモータ軸線L方向の一方側L1の側壁23、および周方向に延在する側壁29を構成している。ケース2は、モータ軸線Lに沿って延在する吸入管21と、モータ軸線Lに対して直交する方向に延在する吐出管22とを備える。吸入管21は、吸入口21aを備える。吐出管22は、吐出口22aを備える。吸入管21は、モータ軸線Lに対して同心上に設けられている。
【0017】
ステータ3は、ステータコア31と、ステータコア31に保持されたインシュレータ32、33と、ステータコア31にインシュレータ32、33を介して巻回されたコイル35とを備える。また、ステータ3は、ステータコア31、インシュレータ32、33およびコイル35を覆う樹脂製のハウジング6を備える。
【0018】
ロータ4は、ステータ3に径方向の内側で対向する位置からポンプ室20までモータ軸線L方向に延在する円筒部40を備える。円筒部40は、ポンプ室20で開口する。円筒部40の外周面には、ステータ3の径方向の内側で対向する円筒状の磁石47が保持される。磁石47は、例えば、ネオジウムボンド磁石である。
【0019】
円筒部40のモータ軸線L方向の一方側L1の端部には、円板状のフランジ部45が形成されている。フランジ部45には、モータ軸線L方向の一方側L1から円板26が連結される。円板26の中央には、中央穴260が形成されている。円板26のフランジ部45と対向する面には、中央穴260の周囲から円弧状に湾曲しながら径方向の外側に延在する複数の羽根部261が等角度間隔に形成されている。円板26は、羽根部261を介してフランジ部45に固定される。よって、フランジ部45と円板26とによって、ロータ4の円筒部40に接続されたインペラ25が構成される。本形態において、円板26は、径方向の内側より径方向の外側がフランジ部45の側に傾いている。
【0020】
円筒部40の径方向の内側には、円筒状のラジアル軸受11が保持されている。ロータ4は、ラジアル軸受11を介して支軸5に回転可能に支持される。支軸5のモータ軸線L方向の他方側L2の第1端部51は、ハウジング6の底壁63に形成された軸穴65に保持される。ケース2には、支軸5のポンプ室20の側の第2端部52にポンプ室20の側で対向して支軸5のポンプ室20の側への可動範囲を制限する受け部280が形成されている。ケース2は、吸入管21の内周面からモータ10の側に延在する支持部27を備える。支持部27の端部には、支軸5が内側に位置する筒部28が形成されている。筒部28のモータ軸線L方向の一方側L1の底部によって受け部280が構成されている。支軸5の第2端部52には、円環状のスラスト軸受12が装着されている。スラスト軸受12は、ラジアル軸受11と筒部28との間に配置される。ここで、第1端部51および軸穴65は、少なくとも一部が断面D形状に形成され、支軸5の第2端部52およびスラスト軸受12の穴は、断面D形状の形成されている。よって、支軸5およびスラスト軸受12の回転が阻止されている。
【0021】
(ステータの詳細構成)
図3は、
図1に示すステータコア、インシュレータおよびスコイルの斜視図である。
図4は、ステータコアの斜視図である。
図5は、ステータを示す図である。
図6は、ゲート痕とステータコアとの関係を示す図である。
図7は、
図6のAで示す部分を拡大した図である。なお、
図6および
図7では、ゲート痕を除き、樹脂封止部材を省略している。
【0022】
図4に示すように、ステータコア31は、複数の分割コア310が環状に配置されている。ステータコア31の中心軸線は、モータ軸線Lである。すなわち、ステータコア31の中心軸線に沿った方向は、モータ軸線L方向である。本形態では、分割コア310は、9つ配置されている。分割コア310は、環状に形成された外環部311と、外環部311からステータコア31の径方向の内側に向かって突出する突極部312と、を備える。突極部312は、周方向において、一定のピッチで配置される。分割コア310は、磁性材料からなる薄い磁性板が積層されて形成された積層コアである。
【0023】
図3に示すように、インシュレータ32、33は各々、ステータコア31に対してモータ軸線L方向の両側から重なり、複数の突極部312の各々に被さっている。本形態において、インシュレータ32、33は、複数の突極部312の各々に対応して分割された複数の分割インシュレータ320、330からなる。複数の分割インシュレータ320、330は各々、ステータコア31の外環部311にモータ軸線L方向から重なる外周側部分321、331と、突極部312の径方向内側の端部でモータ軸線L方向に突出した内周側部分322、332と、外周側部分321、331と内周側部分322、332とを繋ぐ筒部形成部分(図示せず)とを備える。コイル35は、筒部形成部分を介して突極部312に巻回されている。モータ10は3相モータである。よって、複数のコイル35は、U相コイル、V相コイル、およびW相コイルを備える。
【0024】
図2に示すように、ハウジング6は、ステータコア31、インシュレータ32、33およびコイル35を覆う。ここで、ステータコア31、インシュレータ32、33およびコイル35は、ステータコア31等と称する。
図2および
図5に示すように、ハウジング6は、ステータコア31等を一方側L1から覆う第1隔壁部61と、ステータコア31等と磁石47との間に介在する第2隔壁部62と、ステータコア31等と径方向の外側から覆う円筒状の胴部66とを備える。よって、ハウジング6は、ステータコア31等を径方向の両側およびモータ軸線L方向の両側から覆う樹脂封止部材60である。樹脂封止部材60は、ポリフェニレンサルファイド(PPS:Polyphenylene Sulfide)等によってステータコア31等をインサート成形した際の樹脂部分である。
【0025】
図5に示すように、第1隔壁部61は、外周部分に環状の平面部611と、平面部611の内側に環状の傾斜部612とを備える。傾斜部612は、中心に向かって一方側L1に傾斜する。第1隔壁部61の外周側には、環状溝64が設けられている。
図2に示すように、環状溝64には、ケース2の外周側部分から他方側L2に突出した突起部2aが挿入される。環状溝64と突起部2aとを溶着することにより、ケース2がハウジング6に固定される。
【0026】
第2隔壁部62は、環状の筒部を形成し、内部にロータ4を収容する。胴部66には、筒状のコネクタハウジング69が形成されている。コネクタハウジング69の内側には、コネクタ端子75の端部が位置する。
【0027】
図2に示すように、ハウジング6の他方側L2の端部67には、コイル35に対する給電を制御する回路等が設けられた基板19が配置されている。基板19は、ガラスエポキシ基板等のリジッド基板であり、平面状に形成されている。基板19は、ハウジング6の他方側L2の端部67に配置され、ネジ等によりハウジング6に固定される。基板19は、ハウジング6の他方側L2の端部分に設けられたフランジ部68に固定されたカバー18によって覆われている。基板19は、コイル35の巻線の端部およびコネクタ端子75と電気的に接続されている。コネクタ端子75を介して、外部から基板19に信号が入力されると、ロータ4がモータ軸線L周りに回転する。これにより、ポンプ室20内でインペラ25が回転してポンプ室20の内部が負圧となるため、流体は吸入管21からポンプ
室20に吸い込まれて、吐出管22から吐出される。
【0028】
(ゲート痕)
第1隔壁部61の傾斜部612には、ゲート痕Gが形成される。ゲート痕Gは、ステータコア31等を樹脂封止部材60で覆うインサート成形の際に形成される。本形態では、ゲート痕Gは、周方向に等間隔で9つ形成される。
図6に示すように、ゲート痕Gは、モータ軸線L方向の一方側L1から見た場合に、隣接する分割コア310のそれぞれの間の全てに形成されている。また、
図7に示すように、ゲート痕Gはモータ軸線L方向の一方側L1から見た場合に、コイル35が巻回された第1領域Hに形成される。本形態では、ゲート痕Gは、第1領域Hにおいて、第1領域Hの中央部Cより径方向の内側の第2領域H1に形成される。
【0029】
(樹脂封止部材の成形)
図8は、樹脂封止部材をインサート成形するための金型の概略図である。
図8では、コネクタ端子75等は省略している。
【0030】
図8に示すように、樹脂封止部材60をインサート成形する際には、金型100A内にステータコア31等が配置される。金型100A内に樹脂を注入するためにゲートGTは、金型100Bに9つ設けられている。ゲートGTは、モータ軸線L方向の一方側L1から見た場合に、隣接する分割コア310のそれぞれの間の全てに配置されている。ゲートGTより樹脂が金型100A内に流入すると、樹脂は、分割コア310の間から金型100Aの他方側L2に向かって流れ、金型100Aの底部101から溜まる。この構成により、樹脂は隣接する分割コア310のそれぞれの間の全てから底部101にスムーズに均等に流れるので、ステータコア31等が金型100内で所定の位置から動くことを抑制することができる。この結果、樹脂封止部材60に対してステータコア31等が適正な位置で覆われたステータ3を得ることができる。なお、金型100からステータ3が取り出される際に、樹脂封止部材60の第1隔壁部61には、ゲート痕Gが形成される。
【0031】
(作用効果)
本形態のステータ3は、複数の分割コア310が環状に配置されたステータコア31と、ステータコア31を覆う樹脂封止部材60と、を有する。樹脂封止部材60は、ステータコア31の中心軸線の一方側L1からステータコア31を覆うとともにゲート痕Gが形成された第1隔壁部61を備える。ゲート痕Gは、中心軸線の軸線方向から見た場合に、隣接する分割コア310のそれぞれの間の全てに形成される。よって、ステータコア31を金型100内に配置して、ステータコア31を樹脂封止部材60で覆う際に、隣接する分割コア310の間から、樹脂が均等に金型100内に流入する。このとき、流入する樹脂は、分割コア310の間から金型100Aの他方側L2に向かって流れ、金型100Aの底部101から溜まる。これにより、樹脂は隣接する分割コア310のそれぞれの間の全てから底部101にスムーズに均等に流れるので、ステータコア31が金型100内で所定の位置から動くことを抑制することができる。この結果、樹脂封止部材60に対してステータコア31が適正な位置で覆われたステータ3を得ることができる。
【0032】
本形態では、ステータ3は、分割コア310に巻回されたコイル35を有する。分割コア310は、環状に形成された外環部311と、外環部311からステータコア31の径方向の内側に向かって突出する突極部312と、を備える。コイル35は、突極部312に巻回される。ゲート痕Gは、軸線方向から見た場合に、径方向において、コイル35が巻回された第1領域Hに形成される。さらに、ゲート痕Gは、軸線方向から見た場合に、第1領域Hにおいて、第1領域Hの中央部Cより径方向の内側の第2領域H1に形成される。よって、ステータコア31を樹脂封止部材60で覆う際に、ステータコア31が金型100内で所定の位置から動くことを、より抑制することができる。この結果、樹脂封止
部材60に対してステータコア31が、より適正な位置で覆われたステータ3を得ることができる。
【符号の説明】
【0033】
1…ポンプ装置、2…ケース、2a…突起部、3…ステータ、4…ロータ、5…支軸、6…ハウジング、10…モータ、11…ラジアル軸受、12…スラスト軸受、18…カバー、19…基板、20…ポンプ室、21…吸入管、21a…吸入口、22…吐出管、22a…吐出口、23…側壁、25…インペラ、26…円板、27…支持部、28…筒部、29…側壁、31…ステータコア、32・34…インシュレータ、35…コイル、40…円筒部、45…フランジ部、47…磁石、51…第1端部、52…第2端部、60…樹脂封止部材、61…第1隔壁部、62…第2隔壁部、63…底壁、64…環状溝、65…軸穴、66…胴部、67…端部、68…フランジ部、69…コネクタハウジング、75…コネクタ端子、100・100A・100B…金型、101…底部、260…中央穴、261…羽根部、280…受け部、310…分割コア、311…外環部、312…突極部、320…分割インシュレータ、321・331…外周側部分、322・332…内周側部分、611…平面部、612…傾斜部、C…中央部、G…ゲート痕、GT…ゲート、H…第1領域、H1…第2領域、L…モータ軸線、L1…一方側、L2…他方側