(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024093377
(43)【公開日】2024-07-09
(54)【発明の名称】メカニカルスイッチ及びそれを備えた巻線切替装置
(51)【国際特許分類】
H01H 31/28 20060101AFI20240702BHJP
H02K 19/36 20060101ALN20240702BHJP
【FI】
H01H31/28 A
H02K19/36 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022209712
(22)【出願日】2022-12-27
(71)【出願人】
【識別番号】000005108
【氏名又は名称】株式会社日立製作所
(71)【出願人】
【識別番号】319007240
【氏名又は名称】株式会社日立インダストリアルプロダクツ
(74)【代理人】
【識別番号】110000350
【氏名又は名称】ポレール弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】須藤 哲也
(72)【発明者】
【氏名】高橋 暁史
(72)【発明者】
【氏名】櫛田 昂歳
(72)【発明者】
【氏名】市村 智
【テーマコード(参考)】
5H619
【Fターム(参考)】
5H619BB01
5H619BB06
5H619PP31
(57)【要約】 (修正有)
【課題】コスト高になることはなく、小型で、かつ、多点接触の接点の接触抵抗にバラつきが生じることのないメカニカルスイッチ及びそれを備えた巻線切替装置を提供する。
【解決手段】相対向して配置されている第1及び第2の固定接触子と、該第1及び第2の固定接触子間に配置され、接触部を両面に備えている可動接触子と、該可動接触子を駆動して前記第1の固定接触子又は前記第2の固定接触子に押し付けて接続を行うアクチュエータと、該アクチュエータの所定位置に、前記可動接触子の可動方向から前記可動接触子を保持する第1及び第2の保持部材とを備え、前記可動接触子の両面に備えている前記接触部のそれぞれから前記アクチュエータまでの距離が異なり、前記第1の保持部材及び第2の保持部材のそれぞれの前記接触部側の端部から前記アクチュエータまでの距離が異なることを特徴とする。
【選択図】
図8(a)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
相対向して配置されている第1及び第2の固定接触子と、該第1及び第2の固定接触子間に配置され、接触部を両面に備えている可動接触子と、該可動接触子を駆動して前記第1の固定接触子又は前記第2の固定接触子に押し付けて接続を行うアクチュエータと、該アクチュエータの所定位置に、前記可動接触子の可動方向から前記可動接触子を保持する第1及び第2の保持部材とを備え、
前記可動接触子の両面に備えている前記接触部のそれぞれから前記アクチュエータまでの距離が異なり、前記第1の保持部材及び第2の保持部材のそれぞれの前記接触部側の端部から前記アクチュエータまでの距離が異なることを特徴とするメカニカルスイッチ。
【請求項2】
相対向して配置されている第1の固定接触子及び第2の固定接触子と、該第1の固定接触子及び第2の固定接触子間に配置され、一方の面に第1の接触部を、他方の面に第2の接触部を備えている可動接触子と、該可動接触子を駆動して前記第1の固定接触子又は前記第2の固定接触子に前記第1の接触部又は前記第2の接触部を押し付けて接続を行うアクチュエータと、該アクチュエータの所定位置に、前記可動接触子の可動方向から前記可動接触子を保持する第1の保持部材及び第2の保持部材とを備え、
前記可動接触子の前記第1の接触部と前記アクチュエータまでの距離LAと前記可動接触子の前記第2の接触部と前記アクチュエータまでの距離LBが異なると共に、前記第1の保持部材の前記第1の接触部側の端部から前記アクチュエータまでの距離Lbと前記第2の保持部材の前記第2の接触部側の端部から前記アクチュエータまでの距離Laが異なることを特徴とするメカニカルスイッチ。
【請求項3】
請求項2に記載のメカニカルスイッチであって、
前記第1の接触部から前記第2の保持部材の前記第2の接触部側の端部までの距離L1と、前記第2の接触部から前記第1の保持部材の前記第1の接触部側の端部までの距離L2と、が略等しく構成されていることを特徴とするメカニカルスイッチ。
【請求項4】
請求項3に記載のメカニカルスイッチであって、
前記第2の保持部材の前記第2の接触部側の端部から前記アクチュエータまでの距離Laと前記第1の保持部材の前記第1の接触部側の端部から前記アクチュエータまでの距離Lbは、前記第1の接触部から前記第2の保持部材の前記第2の接触部側の端部までの距離L1と前記第2の接触部から前記第1の保持部材の前記第1の接触部側の端部までの距離L2と、が略等しくなるように設定されていることを特徴とするメカニカルスイッチ。
【請求項5】
請求項4に記載のメカニカルスイッチであって、
前記第1の保持部材の前記第1の接触部側の端部及び前記第2の保持部材の前記第2の接触部側の端部には、フィレット又は面取りが施されていることを特徴とするメカニカルスイッチ。
【請求項6】
請求項2に記載のメカニカルスイッチであって、
前記第2の固定接触子と相対向して前記アクチュエータの可動方向に第3の固定接触子が、前記第1の固定接触子と前記第2の固定接触子の間隔と等間隔で配置され、かつ、前記第2の固定接触子及び第3の固定接触子間に配置され、一方の面に第3の接触部を、他方の面に第4の接触部を備えている第2の可動接触子を備え、
接続切替時に、前記第2の固定接触子の一方の面を前記可動接触子との接続部、前記第2の固定接触子の他方の面を前記第2の可動接触子との接続部とすることを特徴とするメカニカルスイッチ。
【請求項7】
請求項6に記載のメカニカルスイッチであって、
接続切替時に、前記第1の固定接触子と前記可動接触子の前記第1の接触部が接続され、前記第2の固定接触子の他方の面と前記第2の可動接触子の前記第3の接触部が接続されている状態から、前記第2の固定接触子の一方の面に前記可動接触子の前記第2の接触部が接続され、前記第3の固定接触子の面に前記第2の可動接触子の前記第4の接触部と接続されるように、接続を切替えることを特徴とするメカニカルスイッチ。
【請求項8】
請求項7に記載のメカニカルスイッチであって、
前記可動接触子と前記第2の可動接触子との間に接続導体が配置されていると共に、前記接続導体を介して前記可動接触子と前記第2の可動接触子が電気的に接続され、かつ、前記可動接触子と前記第2の可動接触子は、前記接続導体を挟んで対称の向きに配置されていることを特徴とするメカニカルスイッチ。
【請求項9】
請求項8に記載のメカニカルスイッチであって、
前記第3の固定接触子と相対向して前記アクチュエータの可動方向に第4の固定接触子が、前記第1の固定接触子と前記第2の固定接触子の間隔と等間隔で配置され、前記第3の固定接触子と前記第4の固定接触子の間に、前記第3の固定接触子の他方の面と前記第4の固定接触子の一方の面と接触する第3の可動接触子が配置され、かつ、前記第4の固定接触子の他方の面と接触する第4の可動接触子を備え、
前記第3の可動接触子と前記第4の可動接触子との間に第2の接続導体が配置されていると共に、前記第2の接続導体を介して前記第3の可動接触子と前記第4の可動接触子が電気的に接続され、かつ、前記第3の可動接触子と前記第4の可動接触子は、前記第2の接続導体を挟んで対称の向きに配置され、更に、前記第2の可動接触子と前記第3の可動接触子の間には絶縁部材が配置されており、
前記第1の固定接触子と前記第2の固定接触子の前記可動接触子と前記接続導体及び前記第2の可動接触子を介しての電気的な接続、及び前記第3の固定接触子と前記第4の固定接触子の前記第3の可動接触子と前記第2の接続導体及び前記第4の可動接触子を介しての電気的な接続を、前記第2の固定接触子と前記第3の固定接触子の前記第2の可動接触子と前記接続導体及び前記可動接触子を介しての電気的な接続に切替え可能な構成となっていることを特徴とするメカニカルスイッチ。
【請求項10】
請求項9に記載のメカニカルスイッチであって、
前記可動接触子、前記第2の可動接触子、前記第3の可動接触子及び前記第4の可動接触子は板材で形成され、かつ、前記第1の接触部、前記第2の接触部、前記第3の接触部及び前記第4の接触部は曲げ加工により成型されていることを特徴とするメカニカルスイッチ。
【請求項11】
請求項10に記載のメカニカルスイッチであって、
前記第1の接触部、前記第2の接触部、前記第3の接触部及び前記第4の接触部は、前記第1の接触部と前記第2の接触部及び前記第3の接触部と前記第4の接触部とで、断面がS字状になるように曲げ加工により成型されていることを特徴とするメカニカルスイッチ。
【請求項12】
固定筐体と、該固定筐体に搭載されたメカニカルスイッチとを備え、モータの複数の巻線と接続されている前記メカニカルスイッチの固定接触子と、アクチュエータに固定され、前記アクチュエータの可動方向に移動可能な前記メカニカルスイッチの可動接触子とが、前記アクチュエータが可動することに伴い前記可動接触子が移動して前記固定接触子と接離することで前記巻線の接続切替を行う巻線切替装置であって、
前記メカニカルスイッチは、請求項1乃至11のいずれか1項に記載のメカニカルスイッチであることを特徴とする巻線切替装置。
【請求項13】
請求項12に記載の巻線切替装置であって、
前記可動接触子は、前記アクチュエータの外周に、放射状に複数配置されていることを特徴とする巻線切替装置。
【請求項14】
請求項12に記載の巻線切替装置であって、
前記モータの複数の前記巻線の各端子と、前記固定接触子の引出し端子と、が接続されていることを特徴とする巻線切替装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はメカニカルスイッチ及びそれを備えた巻線切替装置に係り、例えば、電動トラックの駆動用モータのように、低速域と高速域で巻線を切替える(直列接続から並列接続又は並列接続から直列接続に切替える)ものに好適なメカニカルスイッチ及びそれを備えた巻線切替装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、モータの3相Y結線においては、固定子巻線を直列に接続する1Y結線と、固定子巻線を並列に接続する2Y結線がある。固定子巻線を2Y結線から1Y結線に切替えることで抵抗とインダクタンスは2倍になるが、電流を1/2にしても同じトルクを出力することができる。
【0003】
この1Y結線と2Y結線の切替を行うのが、メカニカルスイッチを備えた巻線切替装置である。
【0004】
従来のモータでは、高速道路を走行可能なモータを設計しようとした場合、電費(燃費)に影響が大きい市街地での低速走行において、効率改善が必要となる。
【0005】
上記したメカニカルスイッチを備えた巻線切替装置を用いて、高速走行時には2Y結線、低速走行時には1Y結線に切替えれば、電流を1/2にしても同じトルクを出力することができるため、低速から高速の広い範囲で高効率化することが可能となる。
【0006】
また、2Y結線から1Y結線に接続変更した場合、同じ電流でトルクを2倍にすることができるが、最高回転数は2Y結線より小さくなる。速度やトルクに応じて1Y結線と2Y結線を切替えることができれば、高速道路などの高速走行は2Y結線、低速登坂や発進などの低速走行は1Y結線、高速走行と低速走行の中間の中速度域は効率が良い方の結線と、1つのモータで広い範囲の走行をカバーでき、変速ギヤを設けるのと同じことが実現できる。
【0007】
なお、メカニカルスイッチに関する先行技術文献としては、特許文献1、2及び3を挙げることができる。
【0008】
特許文献1には、単一の圧縮バネにより左右何れの固定コンタクトに対しても同一の接触圧を生じさせることができる電源切替開閉器が記載され、また、特許文献2には、切替動作のエネルギを蓄積するためのトグル機構を用いたコンパクトな電源切替開閉器が記載され、更に、特許文献3には、小型分電盤あるいは計器ボックスなどに内蔵して、特別な状態のときにのみ負荷回路を開離するために、簡単な構成で複数回路の開閉ができる電磁リレーが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特許第5459885号公報
【特許文献2】特開2003-123597号公報
【特許文献3】特許第5995752号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ところで、電気式と比較して効率の良い機械式の巻線切替装置を構築するためには、長寿命で、かつ、高信頼の大電流接点を備えたメカニカルスイッチの開発が求められている。
【0011】
通常、巻線切替装置に用いられるメカニカルスイッチにおいては、1点で通電すると接触抵抗が大きくなるため、接触抵抗を低減するため押付力を高くする必要があった。
【0012】
しかしながら、従来のメカニカルスイッチの構造において、接点を分割して多点接触にすると、小さい押付力で接触抵抗は低減できるがコスト高になり、しかも、分割した接点の接触抵抗がバラつく、といった課題があった。
【0013】
上述した、特許文献1、2及び3には、上記した課題に対する解決策については、何も記載されていない。
【0014】
本発明は上述の点に鑑みなされたもので、その目的とするところは、接点を多点接触にして小さい押付力で接触抵抗を低減したものであっても、コスト高になることはなく、小型で、かつ、多点接触の接点の接触抵抗にバラつきが生じることのないメカニカルスイッチ及びそれを備えた巻線切替装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明のメカニカルスイッチは、上記目的を達成するために、相対向して配置されている第1及び第2の固定接触子と、該第1及び第2の固定接触子間に配置され、接触部を両面に備えている可動接触子と、該可動接触子を駆動して前記第1の固定接触子又は前記第2の固定接触子に押し付けて接続を行うアクチュエータと、該アクチュエータの所定位置に、前記可動接触子の可動方向から前記可動接触子を保持する第1及び第2の保持部材とを備え、前記可動接触子の両面に備えている前記接触部のそれぞれから前記アクチュエータまでの距離が異なり、前記第1の保持部材及び第2の保持部材のそれぞれの前記接触部側の端部から前記アクチュエータまでの距離が異なることを特徴とする。
【0016】
具体的には、相対向して配置されている第1の固定接触子及び第2の固定接触子と、該第1の固定接触子及び第2の固定接触子間に配置され、一方の面に第1の接触部を、他方の面に第2の接触部を備えている可動接触子と、該可動接触子を駆動して前記第1の固定接触子又は前記第2の固定接触子に前記第1の接触部又は前記第2の接触部を押し付けて接続を行うアクチュエータと、該アクチュエータの所定位置に、前記可動接触子の可動方向から前記可動接触子を保持する第1の保持部材及び第2の保持部材とを備え、前記可動接触子の前記第1の接触部と前記アクチュエータまでの距離LAと前記可動接触子の前記第2の接触部と前記アクチュエータまでの距離LBが異なると共に、前記第1の保持部材の前記第1の接触部側の端部から前記アクチュエータまでの距離Lbと前記第2の保持部材の前記第2の接触部側の端部から前記アクチュエータまでの距離Laが異なるメカニカルスイッチとしたことを特徴とする。
【0017】
また、本発明の巻線切替装置は、上記目的を達成するために、固定筐体と、該固定筐体に搭載されたメカニカルスイッチとを備え、モータの複数の巻線と接続されている前記メカニカルスイッチの固定接触子と、アクチュエータに固定され、前記アクチュエータの可動方向に移動可能な前記メカニカルスイッチの可動接触子とが、前記アクチュエータが稼働することに伴い前記可動接触子が移動して前記固定接触子と接離することで前記巻線の接続の切替を行う巻線切替装置であって、前記メカニカルスイッチは、上記構成のメカニカルスイッチであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、接点を多点接触にして小さい押付力で接触抵抗を低減したものであっても、コスト高になることはなく、小型で、かつ、多点接触の接点の接触抵抗のバラつきを低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の巻線切替装置を備えたモータ駆動システムの概略系統を示す構成図である。
【
図2】本発明の巻線切替装置の動作原理を説明するための固定子巻線を並列に接続する2Y結線の場合を示す図である。
【
図3】本発明の巻線切替装置の動作原理を説明するための固定子巻線を直列に接続する1Y結線の場合を示す図である。
【
図4】本発明の巻線切替装置の一実施例であり、筐体の上半分を除いた状態を示す斜視図である。
【
図5】本発明の巻線切替装置の一実施例にも用いられるメカニカルスイッチの可動子を示す斜視図である。
【
図6】1Y結線(直列接続)の場合の巻線切替装置を示す側面図である。
【
図7】1Y結線(並列接続)の場合の巻線切替装置を示す側面図である。
【
図8(a)】本発明のメカニカルスイッチの実施例1であり、可動接触子の接触部が第1の固定接触子に接触している状態を示す図である。
【
図8(b)】本発明のメカニカルスイッチの実施例1であり、可動接触子の接触部が第2の固定接触子に接触している状態を示す図である。
【
図9(a)】本発明のメカニカルスイッチの実施例1の変形例であり、アクチュエータを回転させることで可動接触子の接触部を第1の固定接触子に接触させている状態を示す図である。
【
図9(b)】本発明のメカニカルスイッチの実施例1の変形例であり、アクチュエータを回転させることで可動接触子の接触部を第2の固定接触子に接触させている状態を示す図である。
【
図10(a)】本発明のメカニカルスイッチの実施例1であり、第1の接触部から第2の保持部材の第2の接触部側の端部までの距離L1と、第2の接触部から第1の保持部材の第1の接触部側の端部までの距離L2と、が略等しく構成されている状態で可動接触子の接触部が第1の固定接触子に接触している状態を示す図である。
【
図10(b)】本発明のメカニカルスイッチの実施例1であり、第1の接触部から第2の保持部材の第2の接触部側の端部までの距離L1と、第2の接触部から第1の保持部材の第1の接触部側の端部までの距離L2と、が略等しく構成されている状態で可動接触子の接触部が第2の固定接触子に接触している状態を示す図である。
【
図11】本発明のメカニカルスイッチの実施例2であり、可動接触子の接触部が第1の固定接触子に接触している状態を示す図である。
【
図12(a)】本発明のメカニカルスイッチの実施例3であり、可動接触子の接触部が第1の固定接触子に接触し、第2の可動接触子の接触部が第2の固定接触子に接触している状態を示す図である。
【
図12(b)】本発明のメカニカルスイッチの実施例3であり、可動接触子の接触部が第2の固定接触子に接触し、第2の可動接触子の接触部が第3の固定接触子に接触している状態を示す図である。
【
図13(a)】本発明のメカニカルスイッチの実施例4であり、可動接触子の接触部が第1の固定接触子に接触し、第2の可動接触子の接触部が第2の固定接触子に接触している状態を示す図である。
【
図13(b)】本発明のメカニカルスイッチの実施例4であり、可動接触子の接触部が第2の固定接触子に接触し、第2の可動接触子の接触部が第3の固定接触子に接触している状態を示す図である。
【
図14(a)】本発明のメカニカルスイッチの実施例5であり、可動接触子の接触部が第1の固定接触子に接触し、第2の可動接触子の接触部が第2の固定接触子に接触し、第3の可動接触子の接触部が第3の固定接触子に接触し、第4の可動接触子の接触部が第4の固定接触子に接触し、第2の可動接触子と第3の可動接触子の間に絶縁材が配置されている例を示す図である。
【
図14(b)】本発明のメカニカルスイッチの実施例5であり、可動接触子の接触部が第2の固定接触子に接触し、第2の可動接触子の接触部が第3の固定接触子に接触し、第3の可動接触子の接触部が第4の固定接触子に接触し、第2の可動接触子と第3の可動接触子の間に絶縁材が配置されている例を示す図である。
【
図15】本発明のメカニカルスイッチに用いられる接触部が少ない第1の例の可動接触子を示す斜視図である。
【
図16】本発明のメカニカルスイッチに用いられる接触部が少ない第2の例の可動接触子を示す斜視図である。
【
図17】本発明のメカニカルスイッチに用いられる接触部が多い第1の例の可動接触子を示す斜視図である。
【
図18】本発明のメカニカルスイッチに用いられる接触部が多い第2の例の可動接触子を示す斜視図である。
【
図19】本発明のメカニカルスイッチに用いられる接触部の曲げ方の変形例の第1の例の可動接触子を示す斜視図である。
【
図20】本発明のメカニカルスイッチに用いられる接触部の曲げ方の変形例の第2の例の可動接触子を示す斜視図である。
【
図21】本発明のメカニカルスイッチに用いられる接触部の分割方向の変形例の第1の例の可動接触子を示す斜視図である。
【
図22】本発明のメカニカルスイッチに用いられる接触部の分割方向の変形例の第2の例の可動接触子を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図示した実施例に基づいて本発明のメカニカルスイッチ及びそれを備えた巻線切替装置を説明する。なお、各図において、同一構成部品には同符号を使用する。
【実施例0021】
先ず、
図1、
図2及び
図3を用いて、本実施例の巻線切替装置を備えたモータ駆動システムと、巻線切替装置の動作原理について説明する。
【0022】
図1は、本発明の巻線切替装置100を備えたモータ駆動システムの概略系統構成図、
図2は、本発明の巻線切替装置100の動作原理を説明するための固定子巻線を並列に接続する2Y結線の場合の図、
図3は、固定子巻線を直列に接続する1Y結線の場合を示す図である。
【0023】
図1に示すように、巻線切替装置100は、インバータ102とモータ101の間に配置され、モータ101のU1、U2、U3、U4の端子と巻線切替装置100のU1、U2、U3、U4の引出し端子が接続されている。そして、巻線切替装置100は、制御装置(図示せず)からの巻線切替指令に応じてモータ101の巻線の結線状態を切り替える。なお、103は、直流電流を供給するバッテリーである。
【0024】
次に、
図2及び
図3を用いて、巻線切替装置100の動作原理につて説明する。
【0025】
該図に示すように、モータ101の第1のコイル(巻線)101aと第2のコイル(巻線)101bの両端から導線を引出し、巻線切替装置100のU1からU4の端子に接続する(第1のコイル101aの両端がU1とU3、第2のコイル101bの両端がU2とU4である)。巻線切替装置100の可動接触子(後述する)を左右方向(横方向)に動かすことで、左端では2Y結線(並列接続)に、右端では1Y結線(直列接続)になる。なお、
図2及び
図3では、U相のみを示しているが、V相とW相もU相と同じ構成となる。
【0026】
このときの2Y結線(並列接続)と1Y結線(直列接続)の接続構成は、以下となる。
【0027】
・2Y結線(並列接続):U1→第1のコイル101a→U3→U4 U1→U2→第2のコイル101b→U4。
【0028】
・1Y結線(直列接続):U1→第1のコイル101a→U3→U2→第2のコイル101b→U4。
【0029】
次に、
図4及び
図5を用いて本実施例の巻線切替装置100について説明する。
【0030】
図4及び
図5に示すように、本実施例の巻線切替装置100は、固定筐体9と、この固定筐体9に搭載された後述するメカニカルスイッチとを備えており、モータ101の複数の巻線(第1のコイル101a、第2のコイル101b)と接続されているメカニカルスイッチの固定接触子1、2と、アクチュエータ6に固定され、このアクチュエータ6の可動方向(
図4に示す矢印の方向)に移動可能なメカニカルスイッチの可動接触子5とが、アクチュエータ6が可動することに伴い可動接触子5が移動して固定接触子1、2と接離することで第1のコイル101aと第2のコイル101bの接続切替を行うものである。
【0031】
図4及び
図5に示すように、本実施例の巻線切替装置100は、円柱状のアクチュエータ6で、円筒状の保持部材7、接続導体10及び可動接触子5を貫通保持して円柱状の可動子13を構成している。
【0032】
複数の固定接触子1、2、3及び4には、結線のための引出し端子U1、U2、U3及びU4が設けられており、この引出し端子U1、U2、U3及びU4は、上側の固定筐体(図示せず)を貫通している。
【0033】
本実施例では、引出し端子U1、U2、U3及びU4を全て上側に引き出しているが、導線締結部の空間距離や沿面距離の確保が困難な場合には、各端子で引出方向を変えても良い(例えば、千鳥配置等)。引出し端子U1、U2、U3及びU4と導線若しくはバスバーの接続は、ボルト締結、差込端子、溶接、ろう付けなどが考えられる。
【0034】
図6に、1Y結線(直列接続)の場合の本実施例の巻線切替装置100の側面図を示し、
図7に、2Y結線(並列接続)の場合の本実施例の巻線切替装置100の側面図を示す。
【0035】
図6に示すように、1Y結線(直列接続)では、引出し端子U2とU3を接続する(VとWも同様)。この時、可動接触子5は左側から右側に固定接触子2、3に押し付けられる。引出し端子U1とU4は、端子間のスイッチとしての接続はないが、モータ101内で第1のコイル101a、第2のコイル101bに繋がっており、回路としては使われている(
図2及び
図3参照)。
【0036】
一方、
図7に示すように、2Y結線(並列接続)では、引出し端子U1とU2、U3とU4が接続されている(回路は
図2及び
図3参照)。可動接触子5は右側から左側の固定接触子に押し付けことで、可動接触子5の両面を接点として使うことができ、小型の切替えメカニカルスイッチの構成が可能となる。
【0037】
次に、本実施例の巻線切替装置100に搭載されるメカニカルスイッチについて説明する。
【0038】
図8(a)及び
図8(b)に、メカニカルスイッチの実施例1の構成を示す。
【0039】
図8(a)及び
図8(b)に示すように、本実施例のメカニカルスイッチは、相対向して配置されている第1及び第2の固定接触子1a及び2aと、この第1及び第2の固定接触子1a及び2a間に配置され、一方の面に接触部5a1を、他方の面に接触部5a2を備えている(両面に接触部を備えている)可動接触子5aと、この可動接触子5aを駆動して第1の固定接触子1a又は第2の固定接触子2aに押し付けて接続を行うアクチュエータ(例えば、ボールねじやカム、リニアモータ、直動アクチュエータ等)6と、このアクチュエータ6の所定位置に、可動接触子5aの可動方向から可動接触子5aを保持する第1及び第2の保持部材7a及び7bと、を備えて概略構成され、可動接触子5aは、アクチュエータ6の外周に、放射状に複数配置されている。
【0040】
なお、
図8(a)及び
図8(b)では、アクチュエータ6が紙面の左右方向(横方向)に移動して可動接触子5aを動かしているが、アクチュエータ6は、
図9(a)及び
図9(b)に示すように、可動接触子5aの根元部を中心として回転させることで可動接触子5aを動かしても良い。この場合には、アクチュエータ6の動力源は、ステッピングモータなどが良い。
【0041】
そして、本実施例では、可動接触子5aの両面に備えている接触部5a1と5a2のそれぞれからアクチュエータ6までの距離(LAとLB)が異なり、第1の保持部材7a及び第2の保持部材7bのそれぞれの接触部5a1と5a2側の端部からアクチュエータ6までの距離(LaとLb)が異なることを特徴とする。
【0042】
具体的には、本実施例のメカニカルスイッチは、相対向して配置されている第1の固定接触子1a及び第2の固定接触子2aと、この第1の固定接触子1a及び第2の固定接触子2a間に配置され、一方の面に第1の接触部5a1を、他方の面に第2の接触部5a2を備えている可動接触子5aと、この可動接触子5aを駆動して第1の固定接触子1a又は第2の固定接触子2aに第1の接触部5a1又は第2の接触部5a2を押し付けて接続を行うアクチュエータ6と、このアクチュエータ6の所定位置に、可動接触子5aの可動方向から可動接触子5aを保持する第1の保持部材7a及び第2の保持部材7bと、を備えて構成され、そして、
図8(a)に示す可動接触子5aの第1の接触部5a1とアクチュエータ6までの距離L
Aと、
図8(b)に示す可動接触子5aの第2の接触部5a2とアクチュエータ6までの距離L
Bが異なると共に、
図8(b)に示す第1の保持部材7aの第1の接触部5a1側の端部からアクチュエータ6までの距離L
bと、
図8(a)に示す第2の保持部材7bの第2の接触部5a2側の端部からアクチュエータ6までの距離L
aが異なるように構成されている。
【0043】
また、本実施例のメカニカルスイッチは、
図10(a)及び
図10(b)に示すように、第1の接触部5a1から第2の保持部材7bの第2の接触部5a2側の端部までの距離L1と、第2の接触部5a2から第1の保持部材7aの第1の接触部5a1側の端部までの距離L2と、が略等しく構成されている(距離L1と距離L2と、が略等しいは、寸法誤差等を含む±1mmを含むものとする)。他の構成は、
図8(a)及び
図8(b)に示す構成と同一である。
【0044】
この際、第2の保持部材7bの第2の接触部5a2側の端部からアクチュエータ6までの距離Laと第1の保持部材7aの第1の接触部5a1側の端部からアクチュエータ6までの距離Lbは、第1の接触部5a1から第2の保持部材7bの第2の接触部5a2側の端部までの距離L1と、第2の接触部5a2から第1の保持部材7aの第1の接触部5a1側の端部までの距離L2と、が略等しくなるように設定されている。
【0045】
このような本実施例の構成とすることにより、従来は、可動接触子5aに設けられていた第1の接触部5a1と第2の接触部5a2が、可動接触子5aの裏表両面の同じ位置にあり、ろう付けなどで接触部を後付けしていたが、本実施例では、可動接触子5aの第1の接触部5a1とアクチュエータ6までの距離LAと可動接触子5aの第2の接触部5a2とアクチュエータ6までの距離LBが異なるので、即ち、可動接触子5aの裏表両面で、第1の接触部5a1と第2の接触部5a2の位置が異なっているので、プレス成型やリベット接点の使用が可能になり、低コスト化に繋がる。
【0046】
また、第1の保持部材7aの第1の接触部5a1側の端部からアクチュエータ6までの距離Lbと第2の保持部材7bの第2の接触部5a2側の端部からアクチュエータ6までの距離Laが異なっているので、可動接触子5aの曲げ位置が変わり、曲げ疲労に対する長寿命化にも繋がっている。
【0047】
更に、第1の接触部5a1から第2の保持部材7bの第2の接触部5a2側の端部までの距離L1と、第2の接触部5a2から第1の保持部材7aの第1の接触部5a1側の端部までの距離L2と、が略等しく構成されているので、上記距離L1と距離L2が等しくなれば、第1の接触部5a1と第2の接触部5a2で押付力が等しくなり、接触抵抗が等しくなる。
【0048】
これにより、曲げ点を変えて長寿命化しつつ、かつ、可動接触子5aの両面で接触抵抗が変わらないメカニカルスイッチを実現することができる。
また、可動接触子5aは板材で形成され、かつ、第1の接触部5a1と第2の接触部5a2は曲げ加工により成型され、第1の接触部5a1と第2の接触部5a2は、第1の接触部5a1と第2の接触部5a2とで、断面がS字状になるように曲げ加工により成型されている。他の構成は、実施例1と同様であり、また、この構成は、以下に説明する各実施例においても同様な構成である。
このような本実施例の構成とすることにより、実施例1と同様な効果が得られることは勿論、第1の保持部材7aの第1の接触部5a1側の端部7a1と第2の保持部材7bの第2の接触部5a2側の端部7b1が可動接触子5aに当たると、その部分に応力が集中し、寿命が短くなる恐れがあるが、第1の保持部材7aの端部7a1と第2の保持部材7bの端部7b1に、フィレット又は面取りが施されていることにより、可動接触子5aの曲げ根元部の応力緩和を図ることができる。
また、可動接触子5aが板材で形成され、かつ、第1の接触部5a1と第2の接触部5a2は曲げ加工により成型されているので、時間を掛けずに簡単に製作できるので、低コスト化が可能となる。