(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024093386
(43)【公開日】2024-07-09
(54)【発明の名称】表示装置
(51)【国際特許分類】
G09F 9/00 20060101AFI20240702BHJP
G09F 9/30 20060101ALI20240702BHJP
【FI】
G09F9/00 348Z
G09F9/30 308Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022209740
(22)【出願日】2022-12-27
(71)【出願人】
【識別番号】518078142
【氏名又は名称】上海天馬微電子有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110001678
【氏名又は名称】藤央弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 紀之
【テーマコード(参考)】
5C094
5G435
【Fターム(参考)】
5C094AA36
5C094BA27
5C094BA43
5C094DA04
5G435AA07
5G435EE13
(57)【要約】
【課題】複数の表示パネルが支持基板に接着された表示装置の不具合の発生の可能性を低減する。
【解決手段】表示装置は、支持基板と、支持基板の第1面に第1接着領域で接着された第1表示パネルと、支持基板の第1面に第2接着領域で接着された第2表示パネルとを含む。第1表示パネルは第1ガラス基板を含み、第2表示パネルは第2ガラス基板を含む。第1ガラス基板の第1端面と第2ガラス基板の第2端面が対向している。第1端面及び第2端面の表面粗さRaは、0.5μm以下である。
【選択図】
図13
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示装置であって、
支持基板と、
前記支持基板の第1面に、第1接着領域で接着された第1表示パネルと、
前記支持基板の前記第1面に、第2接着領域で接着された第2表示パネルと、
を含み、
前記第1表示パネルは第1ガラス基板を含み、
前記第2表示パネルは第2ガラス基板を含み、
前記第1ガラス基板の第1端面と前記第2ガラス基板の第2端面が対向しており、
前記第1端面及び前記第2端面の表面粗さRaは、0.5μm以下である、
表示装置。
【請求項2】
請求項1に記載の表示装置であって、
前記第1端面及び前記第2端面の表面粗さRaは、0.2μm以下である、
表示装置。
【請求項3】
請求項1に記載の表示装置であって、
前記第1端面は凸状曲面である、
表示装置。
【請求項4】
請求項3に記載の表示装置であって、
前記第2端面は凸状曲面である、
表示装置。
【請求項5】
請求項4に記載の表示装置であって、
前記第1端面の先端位置の前記第1面からの距離と、前記第2端面の前記第1面からの距離とは、異なる、
表示装置。
【請求項6】
請求項5に記載の表示装置であって、
前記第1接着領域の厚みは、前記第2接着領域の厚みより大きい、
表示装置。
【請求項7】
請求項5に記載の表示装置であって、
前記第1接着領域の厚みは、前記第2接着領域の厚みと同一である、
表示装置。
【請求項8】
請求項1に記載の表示装置であって、
前記第1端面及び前記第2端面は、互いに平行な傾斜面である、
表示装置。
【請求項9】
請求項1に記載の表示装置であって、
前記第1接着領域の弾性率は、前記第2接着領域の弾性率と異なる、
表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、車載表示器用途としてCID(Center Information Display)やインストルメント・クラスタとして複数の表示パネルをダッシュボードに組込むデザインが採用されている。近年では、より多くのサービスを表示するため、表示装置の大型化やダッシュボードの形状デザインとの一体感が望まれる。特に表示パネルを並列に並べたデザインでは、表示パネルの間に生ずる額縁(非表示部分)を狭くさせた表示装置の開発が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許出願公開第2020/0163233号
【特許文献2】米国特許第6177912号
【特許文献3】特開2016-142808号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
複数の表示パネルを1枚のカバーパネル上に並べて接着するタイリング表示装置では、目地と呼ばれる表示パネルの継ぎ目を目立たないようにするため、可能な限り表示パネル間の隙間を狭くすることが求められる。
【0005】
しかし、表示パネル間の隙間を狭くしすぎると、カバーパネルの熱収縮や振動により、隣接する表示パネルの端面が接触し、ガラスカレットが発生する又は表示パネルのそのものが破損することで、表示不具合が発生する場合がある。したがって、タイリング表示装置において、隣接表示パネル間の接触による不具合の発生を効果的に抑制することができる技術が望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様の表示装置は、支持基板と、前記支持基板の第1面に、第1接着領域で接着された第1表示パネルと、前記支持基板の前記第1面に、第2接着領域で接着された第2表示パネルと、を含む。前記第1表示パネルは第1ガラス基板を含む。前記第2表示パネルは第2ガラス基板を含む。前記第1ガラス基板の第1端面と前記第2ガラス基板の第2端面が対向している。前記第1端面及び前記第2端面の表面粗さRaは、0.5μm以下である。
【発明の効果】
【0007】
本開示の一態様によれば、複数の表示パネルが支持基板に接着された表示装置の不具合の発生の可能性を低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本明細書の一実施形態に係る液晶表示装置の一部の構成例を模式的に示す分解斜視図である。
【
図2】関連技術に係る液晶表示装置の一部の構成を模式的に示す。
【
図3】本明細書の一実施形態に係る液晶表示装置の一部の構成を模式的に示す、断面図である。
【
図4】液晶パネルの積層基板の端部の構成を模式的に示す。
【
図6】本明細書の一実施形態に係る液晶表示装置の一部の構成を模式的に示す、断面図である。
【
図7】液晶パネルの積層基板の端部の構成を模式的に示す。
【
図8】積層基板の一部構成を模式的に示す斜視図である。
【
図9】前面パネルが収縮したときの、液晶パネルの動きを模式的に示す断面図である。
【
図10】本明細書の一実施形態に係る液晶表示装置の一部の構成を模式的に示す、断面図である。
【
図11】液晶パネルの積層基板の端部の構成を模式的に示す。
【
図12】積層基板の一部構成を模式的に示す斜視図である。
【
図13】前面パネルが収縮したときの、液晶パネルの動きを模式的に示す断面図である。
【
図14】本明細書の一実施形態に係る液晶表示装置の一部の構成を模式的に示す、断面図である。
【
図15】液晶パネルの積層基板の端部の構成を模式的に示す。
【
図16】前面パネルが収縮したときの、液晶パネルの動きを模式的に示す断面図である。
【
図17】本明細書の一実施形態に係る液晶表示装置の一部の構成を模式的に示す、断面図である。
【
図18】前面パネルが収縮したときの、液晶パネルの動きを模式的に示す断面図である。
【
図19】本明細書の一実施形態に係る液晶表示装置の一部の構成を模式的に示す、断面図である。
【
図20】液晶パネルの積層基板の端部の構成を模式的に示す。
【
図21】前面パネルが収縮したときの、液晶パネルの動きを模式的に示す断面図である。
【
図22】本明細書の一実施形態に係る液晶表示装置の一部の構成を模式的に示す、断面図である。
【
図23】本明細書の一実施形態に係る液晶表示装置の一部の構成を模式的に示す、断面図である。
【
図24】本明細書の一実施形態に係る液晶表示装置の一部の構成を模式的に示す、断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照して本開示の実施形態を説明する。本実施形態は本開示を実現するための一例に過ぎず、本開示の技術的範囲を限定するものではないことに注意すべきである。
【0010】
本明細書の一実施形態は、支持基板上に複数の表示パネルが並んで接着されたタイリング表示装置を開示する。表示パネルは、例えば、液晶表示パネル、OLED(Organic Light Emitting Diode)表パネル、又は、マイクロLED表示パネルであってもよい。複数の表示パネルは、支持基板の同一の主面(第1面)上に接着される。OLED表示パネルやマイクロLED表示パネルのような自発光表示パネルの接着面は、表示パネルの前面又は背面であってよい。液晶表示パネルのようにバックライトを必要とする表示パネルの接着面は、その前面である。
【0011】
複数の表示パネルを1枚の支持基板上に並べて接着する構成において、目地と呼ばれる表示パネルの継ぎ目を目立たないようにするため、可能な限り表示パネル間の隙間を狭くすることが求められる。一方、表示パネル間の隙間を狭くしすぎると、カバーパネルの熱収縮や振動により、隣接する表示パネルの端面が接触し、ガラスカレットが発生する又は表示パネルのそのものが破損することで、表示不具合が発生する場合がある。ガラスカレットは、表示パネルの前側又は背面側に入り込むことで、表示不具合を発生させ得る。
【0012】
本明細書の一実施形態は、隣接する表示パネル(第1表示パネル及び第2表示パネル)の対向する端面を、準鏡面又はそれより滑らかな鏡面に加工する。これにより、隣接表示パネルの接触によるガラスカレットの発生や表示パネルの破損の可能性を低減することができる。本明細書の一実施形態において、対向する二つの端面の表面粗さRaは0.5μm以下である。さらに、端面の表面粗さRaは0.2μm以下であってもよい。これにより、効果的に隣接表示パネルの接触によるガラスカレットの発生や表示パネルの破損の可能性を低減することができる。
【0013】
図1は、本明細書の一実施形態に係る液晶表示装置の一部の構成例を模式的に示す分解斜視図である。以下において、ユーザが視認する表示画像が表示される側を前側又は視認側、その反対側を後側、背面側又は裏側と呼ぶことがある。
【0014】
液晶表示装置1は、支持基板である可視光透過性を有する前面パネル11と、前面パネル11の背面側に並んで配置された複数の液晶表示パネルを含む。液晶表示パネルは、以下において、単に液晶パネルとも呼ばれる。
図1は、三つの液晶パネル31、32、33を例として示す。液晶表示装置1は、さらに、液晶パネル31、32、33の背面側に配置される、不図示の1又は複数のバックライトユニットを含む。
【0015】
以下においては、表示パネルの例として液晶表示パネルを説明する。本開示の特徴は、他の種類の表示パネル、例えば、OLED表示パネルやマイクロLED表示パネルを使用する表示装置に対しても適用することが可能である。OLED表示パネルやマイクロLEDのタイプは特に限定されない。
【0016】
前面パネル11の主面はフラットであり、平面視において(主面の法線方向において見て)矩形である。前面パネル11の主面は平面ではなく、曲面であってもよい。前面パネル11の外形は矩形に限定されず、前面パネル11は設計に応じて実装に適した任意の形状を有することができる。前面パネル11は無色透明又は有色透明であり、例えば、ガラス又は樹脂で形成することができる。前面パネル11は、例えば、タッチパネルの機能を有してもよい。また、利用環境や用途に対応して、フィルムやコーティングにより反射防止膜が設けられ、さらにガラス飛散防止フィルムなどが設けられる場合がある。
【0017】
本構成例において、三つの液晶パネル31、32及び33が、前面パネル11の背面側主面上に配置されている。前面パネル11は、前側から見て、液晶パネル31、32及び33の全体を覆っている。液晶パネル31、32及び33それぞれの外形は、前面パネル11の外形内側にある。前面パネル11上に配置される液晶表示パネルの数及びそれらのレイアウトはこれに限定されず、表示装置が搭載される機器のデザインや、そのデザインに対応する設計に応じて実装に適した任意のレイアウトを採用可能である。
【0018】
液晶パネル31、32及び33の主面はフラットである。表示画像は、前側主面に表示される。他の構成例において、液晶パネル31、32及び33の主面は曲面であってもよい。
図1に示す構成例において、液晶パネル31、32及び33の外形は矩形であるが、それらの外形は矩形に限定されず、多角形状や曲線を含んでもよい。
【0019】
液晶パネル31、32及び33は、対向するガラス基板並びにそれらの間の液晶材料を含む。液晶パネル31、32及び33は、垂直電界型、水平電界型、カラー型、モノクロ型等、任意の構成を有することができる。
【0020】
液晶パネル31、32及び33の前側主面は、それぞれ、接着領域21、22及び23によって、前面パネル11の裏側主面に接着されている。接着領域21、22及び23は、例えば透明な樹脂で形成され、前面パネル11及び液晶パネル31、32及び33それぞれと直接接触している。接着領域21、22及び23は、例えば、両面接着テープ、又は、UV光、熱、湿気等で硬化するシリコーン系樹脂又はアクリル系樹脂によって形成できる。
【0021】
図1に示す構成例において、接着領域21、22及び23の外形は、液晶パネル31、32及び33の前側主面の外形内に収まっている。一例において、接着領域21、22及び23は、液晶パネル31、32及び33の表示領域全域を覆う。隣接する接着領域21、22間に隙間が存在し、隣接する接着領域21、23接着層の間に隙間が存在する。なお、接着領域21、22及び23は、一つの接着領域の一部であってもよい。
【0022】
図2は、関連技術に係る液晶表示装置2の一部の構成を模式的に示す。液晶表示装置2は、前面パネル51と、前面パネル51の背面側に隣接して配置された液晶パネル71、72を含む。
図2において、上側が前側である。液晶パネル71、72はカラー液晶パネルである。
【0023】
液晶パネル71は、ガラス基板上に薄膜トランジスタ(TFT)アレイが形成されているTFT基板111、及び、ガラス基板上にカラーフィルタ(CF)が形成されているCF基板112を含む。TFT基板111とCF基板112の対向面は封止材(不図示)で接着され、封止材内の空間に液晶材料(不図示)が封入されている。TFT基板111の背面側とCF基板112の前面側に偏光板113、114が配置されている。前面パネル51の背面と偏光板114の前面とが、OCA(Optical Clear Adhesive)フィルム61により接着されている。
【0024】
液晶パネル72は、TFT基板121及びCF基板122を含む。TFT基板121とCF基板122の対向面は封止材で接着され、封止材内の空間に液晶材料が封入されている。TFT基板121の背面側とCF基板122の前面側に偏光板123、124が配置されている。前面パネル51の背面と偏光板124の前面とが、OCAフィルム62により接着されている。
【0025】
液晶パネル71の端面(側面)116と液晶パネル72の端面(側面)126とが対向している。端面116と端面126とは接触することなく離間しており、これらの間には空隙G0が存在する。この空隙G0により非表示領域が広くなるため、表示品質が低下する。端面116、126は粗面であって、マイクロクラック及び凹凸が存在する。液晶パネル71、72は、スクライブアンドブレイク方によってマザー基板から切り出される。端面116、126は、研磨されることなく破断面のままである。
【0026】
関連技術の液晶表示装置2において、前面パネル51の収縮や変形によって、液晶パネル71の端面116と液晶パネル72の端面126とが接触し得る。端面116、117は粗面であるため、それらの接触によってガラスフリットの発生や液晶パネル71、72自体の破損が起こり得る。
【0027】
図3は、本明細書の一実施形態に係る液晶表示装置1の一部の構成を模式的に示す、断面図である。
図3は、前面パネル11と、前面パネル11の背面側に隣接して配置された液晶パネル31、32を示す。
図3において、上側が前側である。前面パネル11の厚みは一定であって、その前面と背面は平行である。以下において説明する複数の構成例において、特に言及がない場合、液晶パネルが接着されている領域において、前面パネル11の厚みは一定であるとする。
【0028】
液晶パネル31、32はカラー液晶パネルである。なお、液晶パネルはモノクロ液晶パネルでもよい。液晶パネルの様々なタイプ及びそれらの構成が知られており、いずれのタイプの液晶パネルを利用することも可能である。様々なタイプの液晶パネルの構成は広く知られており、本明細書では詳細な説明は省略される。
【0029】
液晶パネル31は、ガラス基板上にTFTアレイが形成されているTFT基板211、及び、ガラス基板上にカラーフィルタが形成されているCF基板212を含む。CF基板212は、TFT基板211に対向する対向基板である。TFT基板211とCF基板212の対向面は封止材(不図示)で接着され、封止材内の空間に液晶材料(不図示)が封入されている。
【0030】
TFT基板211の背面側とCF基板212の前面側に偏光板213、214が配置されている。前面パネル11の背面と偏光板214の前面とが、接着領域21の例であるOCAフィルム241により接着されている。
【0031】
液晶パネル32は、ガラス基板上にTFTアレイが形成されているTFT基板221、及び、ガラス基板上にカラーフィルタが形成されているCF基板222を含む。CF基板222は、TFT基板221に対向する対向基板である。TFT基板221とCF基板222の対向面は封止材(不図示)で接着され、封止材内の空間に液晶材料(不図示)が封入されている。
【0032】
TFT基板221の背面側とCF基板222の前面側に偏光板223、224が配置されている。前面パネル11の背面と偏光板224の前面とが、接着領域22の例であるOCAフィルム242により接着されている。
【0033】
なお、液晶パネルと異なる種類の表示パネルは、積層基板構造を有さず、1枚のガラス基板で構成され得る。例えば、OLED表示パネルは、1枚のガラス基板上に形成されたTFTアレイ及び発光素子を含み、それらが、封止構造部である樹脂層で覆われていてもよい。
【0034】
図3に示す例において、OCAフィルム241、242の厚みは同一である。そのため、液晶パネル31の前面(偏光板214の前面)と前面パネル11の背面との間の距離は、液晶パネル32の前面(偏光板224の前面)と前面パネル11の背面との間の距離と同一である。OCAフィルム241、242は同一の材料で形成されており、それらの弾性率は同一である。弾性率は、例えば、30kPa以上、140kPa以下であってもよい。この弾性率の値は他の構成例にも適用される。なお、以下に説明する複数の構成例において、特に言及ない場合、各部材の厚みは実質的に一定であるとする。
【0035】
液晶パネル31、32は、同一の厚みを有する。より具体的には、偏光板214、224は同一の厚みを有し、CF基板212、222は同一の厚みを有し、TFT基板211、221は同一の厚みを有し、偏光板213、223は同一の厚みを有する。
【0036】
破線楕円201は、液晶パネル31、32の互いに対向する端部を含む境界領域を示す。液晶パネル31、32の端部は、主面に平行な方向において対向し、接触している。液晶パネル31、32の前面及び背面は、それぞれ幅広の主面である。
【0037】
図4は、液晶パネル31、32の積層基板231、232の端部の構成を模式的に示す。積層基板231は積層されたTFT基板211及びCF基板212からなり、積層基板232は積層されたTFT基板221及びCF基板222からなる。上述のように、積層基板231、232の厚みは同一である。
【0038】
積層基板231は、端面216を含み、積層基板232は、端面226を含む。端面216は、面一のTFT基板211の端面とCF基板212の端面とで構成されている。これらの端面の間にはわずかな空隙が存在する。端面226は、面一のTFT基板221の端面とCF基板222の端面とで構成されている。これらの端面の間にはわずかな空隙が存在する。
【0039】
端面216、226は互いに対向しており、接触している。これにより、液晶表示装置1の表示品質を高めることができる。接触面は平坦面であり、端面216、226は面接触している。端面216、226は、通常状態で離れており、前面パネル11の変形(収縮を含む)により接触してもよい。端面216は積層基板231の前面にたいして垂直であり、端面226は積層基板232の前面にたいして垂直である。
図3に示すように、端面216、226は、前面パネル11の背面に垂直である。
図3及び4に示す例において、積層基板231、232の前面及び背面は平行(一定厚み)であり、前面パネル11の前面及び背面は平行(一定厚み)である。また、前面パネル11及び積層基板231、232の主面はフラットである。
【0040】
本明細書の一実施形態は、隣接する液晶パネルの対向する端面を、平滑面で構成する。
図3及び4に示す構成例において、対向する端面216、226は平滑面である。具体的には、端面216、226の表面粗さRaは所定値以下であるように、端面216、226が形成されている。これにより、ガラスカレットの発生を抑制できる。平滑面の形成は、積層基板を個片に切断する際に発生するマイクロクラック及び破断面の凹凸を研磨して除去する。
【0041】
図5は、発明者らによる測定結果を示す。測定結果は、液晶パネルの端面の表面粗さRaと二つの端面の接触により発生するガラスカレットとの関係を示す。測定は、二つの方法で液晶パネルの端面を接触させた。一つに方法は、二つの端面が接触した状態から、一方の液晶パネルを他方の液晶パネルに押し当てた。もう一つの方法は、二つの端面が接触した状態で、一方の液晶パネルをスライドさせた。
【0042】
図5に示す測定結果は、端面の表面粗さRaが0.5μm以下において、ガラスカレットの発生が大きく抑制されたことを示す。測定結果は、さらに、端面の表面粗さRaが0.2μm以下において、ガラスカレットの発生を実質的になくすことができたことを示す。
【0043】
本明細書の一実施形態は、端面216、226の表面粗さRaは、0.5μm以下0μm以上とする。これにより、端面216、226の接触又は接触状態の変化によるガラスカレットの発生を効果的に抑制できる。端面216、226の表面粗さRaが0.2μm以下のとき、さらに効果的にガラスカレットの発生抑制できる。端面216、226の表面粗さRaは、準鏡面相当であるRa0.3μm以下であってもよい。対向する端面において、液晶表示装置1の使用において接触している又は接触し得る領域の表面粗さが上記範囲にあり、例えば、端面全域の表面粗さが上記範囲にあってよい。
【0044】
液晶パネルの端面は、様々な形状を有することができる。以下において、本明細書のいくつかの実施形態の端面を説明する。
【0045】
図6は、本明細書の一実施形態に係る液晶表示装置1の一部の構成を模式的に示す、断面図である。
図6は、前面パネル11と、前面パネル11の背面側に隣接して配置された液晶パネル31、32を示す。
図6において、上側が前側である。液晶パネル31、32はカラー液晶パネルである。液晶パネルの様々なタイプ及びそれらの構成が知られており、いずれのタイプの液晶パネルを利用することも可能である。
【0046】
液晶パネル31は、ガラス基板上にTFTアレイが形成されているTFT基板311、及び、ガラス基板上にカラーフィルタが形成されているCF基板312を含む。CF基板312は、TFT基板311に対向する対向基板である。TFT基板311とCF基板312の対向面は封止材(不図示)で接着され、封止材内の空間に液晶材料(不図示)が封入されている。
【0047】
TFT基板311の背面側とCF基板312の前面側に偏光板313、314が配置されている。前面パネル11の背面と偏光板314の前面とが、接着領域21の例であるOCAフィルム341により接着されている。
【0048】
液晶パネル32は、ガラス基板上にTFTアレイが形成されているTFT基板321、及び、ガラス基板上にカラーフィルタが形成されているCF基板322を含む。CF基板322は、TFT基板321に対向する対向基板である。TFT基板321とCF基板322の対向面は封止材(不図示)で接着され、封止材内の空間に液晶材料(不図示)が封入されている。
【0049】
TFT基板321の背面側とCF基板322の前面側に偏光板323、324が配置されている。前面パネル11の背面と偏光板324の前面とが、接着領域22の例であるOCAフィルム342により接着されている。
【0050】
なお、液晶パネルと異なる種類の表示パネルは、積層基板構造を有さず、1枚のガラス基板で構成され得る。例えば、OLED表示パネルは、1枚のガラス基板上に形成されたTFTアレイ及び発光素子を含み、それらが、封止構造部である樹脂層で覆われていてもよい。
【0051】
図6に示す例において、OCAフィルム341、342の厚みは同一である。そのため、液晶パネル31の前面(偏光板314の前面)と前面パネル11の背面との間の距離は、液晶パネル32の前面(偏光板324の前面)と前面パネル11の背面との間の距離と同一である。OCAフィルム341、342の材料及び弾性率は同一である。
【0052】
液晶パネル31、32は、同一の厚みを有する。より具体的には、偏光板314、324は同一の厚みを有し、CF基板312、322は同一の厚みを有し、TFT基板311、321は同一の厚みを有し、偏光板313、323は同一の厚みを有する。破線楕円301は、液晶パネル31、32の互いに対向する端部を含む境界領域示す。液晶パネル31、32の端部は、主面に平行な方向において対向し、接触している。
【0053】
図7は、液晶パネル31、32の積層基板331、332の端部の構成を模式的に示す。積層基板331は積層されたTFT基板311及びCF基板312からなり、積層基板332は積層されたTFT基板321及びCF基板322からなる。上述のように、積層基板231、232の厚みは同一である。
【0054】
積層基板231は、端面316を含み、積層基板232は、端面326を含む。端面316は、面一のTFT基板311の端面とCF基板312の端面とで構成されている。これらの端面の間にはわずかな空隙が存在する。端面326は、面一のTFT基板321の端面とCF基板322の端面とで構成されている。これらの端面の間にはわずかな空隙が存在する。
【0055】
端面316、326は、
図3から5を参照して説明した端面216、226と同様の表面粗さRaを有してよい。これにより、端面316、326の接触又は接触状態の変化によるガラスカレットの発生を効果的に抑制することができる。端面316、326は互いに対向しており、接触している。これにより、液晶表示装置1の表示品質を高めることができる。接触面は平坦面であり、端面316、326は面接触している。端面316、326は、離れていてもよい。
【0056】
端面316、326は対向しており、互いに平行な傾斜面である。傾斜面である端面316は、積層基板331(CF基板312)の前面(主面)の法線方向(
図6及び7における垂直方向)から傾いている。端面316と積層基板331の前面とがなす角度TA1は、鋭角である。端面316は、前面パネル11の背面の法線方向から傾いている。端面316と前面パネル11の前面とがなす角度は、鋭角である。
図6に示す例において、前面パネル11の背面と積層基板331の前面とは平行である。
【0057】
傾斜面である端面316は、積層基板331(TFT基板311)の背面(主面)の法線方向(
図6及び7における垂直方向)から傾いている。端面316と積層基板331の背面とがなす角度BA1は、鈍角である。
図6に示す例において、前面パネル11の背面と積層基板331の背面とは平行である。
【0058】
傾斜面である端面326は、積層基板332(CF基板322)の前面(主面)の法線方向(
図6及び7における垂直方向)から傾いている。端面326と積層基板332の前面とがなす角度TA2は、鈍角である。端面326は、前面パネル11の背面の法線方向から傾いている。端面326と前面パネル11の背面とがなす角度は、鋭角である。
図6に示す例において、前面パネル11の背面と積層基板332の前面とは平行である。
【0059】
傾斜面である端面326は、積層基板332(TFT基板321)の背面(主面)の法線方向(
図6及び7における垂直方向)から傾いている。端面316と積層基板332の背面とがなす角度BA2は、鋭角である。
図6に示す例において、前面パネル11の背面と積層基板332の背面とは平行である。
図6及び7に示す例において、積層基板331、332の前面及び背面は平行(一定厚み)であり、前面パネル11の前面及び背面は平行(一定厚み)である。また、前面パネル11及び積層基板331、332の主面はフラットである。
【0060】
角度TA1と角度BA2の大きさは同一であり、角度BA1と角度TA2の大きさは同一である。なお、角度TA1、BA2が鈍角であり、角度BA1、TA2が鋭角であってもよい。
【0061】
図8は、積層基板331の一部構成を模式的に示す斜視図である。前面パネル11の主面の法線と平行な軸をZ軸、液晶パネル31、32が並んでいる方向の軸をX軸、X軸及びZ軸に垂直な軸をY軸とする。
図6及び7を参照して説明したように、端面316は、X軸に対する傾斜面であり、曲面ではなく平坦面である。端面316は、Y軸に沿って延びている。積層基板331、332の対向する端部の断面は、Y軸に沿って連続する同一形状を特定の長さにおいて示す。前面317と端面316との間のコーナはR面取りされており、背面318と端面316との間のコーナはR面取りされている。面取りの態様は任意である。
【0062】
図9は、前面パネル11が収縮したときの、液晶パネル31、32の動きを模式的に示す断面図である。前面パネル11が、X軸に沿って収縮すると、液晶パネル31、32が、互いに近づく方向に移動する。対向する端面316、326は平行な傾斜面であるので、接触している端面316、326は一定方向に容易にスライドすることができる。これにより、ガラスカレットの発生をより効果的に抑制できる。
【0063】
図9に示すように、液晶パネル31の端面316は前面パネル11に近づくようにスライドし、液晶パネル32の端面326は前面パネル11から遠ざかるようにスライドする。
図9において、液晶パネル31、32は、端面316、326の動きにと共に左回転する。OCAフィルム341の端面316の近い部分の厚みが小さくなり、反対側の部分が大きくなる。OCAフィルム342の端面326の近い部分の厚みが大きくなり、反対側の部分が小さくなる。OCAフィルム341、342の弾性率は、前面パネル11、CF基板312、322及びTFT基板311、321より小さく、容易に変形することができる。弾性率は、例えば、上記の範囲内にあってよい。
【0064】
図10は、本明細書の一実施形態に係る液晶表示装置1の一部の構成を模式的に示す、断面図である。
図10は、前面パネル11と、前面パネル11の背面側に隣接して配置された液晶パネル31、32を示す。
図10において、上側が前側である。液晶パネル31、32はカラー液晶パネルである。液晶パネルの様々なタイプ及びそれらの構成が知られており、いずれのタイプの液晶パネルを利用することも可能である。
【0065】
液晶パネル31は、ガラス基板上にTFTアレイが形成されているTFT基板411、及び、ガラス基板上にカラーフィルタが形成されているCF基板412を含む。CF基板412は、TFT基板411に対向する対向基板である。TFT基板411とCF基板412の対向面は封止材(不図示)で接着され、封止材内の空間に液晶材料(不図示)が封入されている。
【0066】
TFT基板411の背面側とCF基板412の前面側に偏光板413、414が配置されている。前面パネル11の背面と偏光板414の前面とが、接着領域21の例であるOCAフィルム441により接着されている。
【0067】
液晶パネル32は、ガラス基板上にTFTアレイが形成されているTFT基板421、及び、ガラス基板上にカラーフィルタが形成されているCF基板422を含む。CF基板422は、TFT基板421に対向する対向基板である。TFT基板421とCF基板422の対向面は封止材(不図示)で接着され、封止材内の空間に液晶材料(不図示)が封入されている。
【0068】
TFT基板421の背面側とCF基板422の前面側に偏光板423、424が配置されている。前面パネル11の背面と偏光板324の前面とが、接着領域22の例であるOCAフィルム442により接着されている。
【0069】
なお、液晶パネルと異なる種類の表示パネルは、積層基板構造を有さず、1枚のガラス基板で構成され得る。例えば、OLED表示パネルは、1枚のガラス基板上に形成されたTFTアレイ及び発光素子を含み、それらが、封止構造部である樹脂層で覆われていてもよい。
【0070】
図10に示す例において、OCAフィルム441、442の厚みは同一である。そのため、液晶パネル31の前面(偏光板414の前面)と前面パネル11の背面との間の距離は、液晶パネル32の前面(偏光板424の前面)と前面パネル11の背面との間の距離と同一である。OCAフィルム441、442の材料及び弾性率は同一である。
【0071】
液晶パネル31、32は、同一の厚みを有する。より具体的には、偏光板414、424は同一の厚みを有し、CF基板412、422は同一の厚みを有し、TFT基板411、421は同一の厚みを有し、偏光板413、423は同一の厚みを有する。破線楕円401は、液晶パネル31、32の互いに対向する端部を含む境界領域示す。液晶パネル31、32の端部は、主面に平行な方向において対向し、接触している。
【0072】
図11は、液晶パネル31、32の積層基板431、432の端部の構成を模式的に示す。積層基板431は積層されたTFT基板411及びCF基板412からなり、積層基板432は積層されたTFT基板421及びCF基板422からなる。上述のように、積層基板431、432の厚みは同一である。
【0073】
積層基板431は、端面416を含み、積層基板432は、端面426を含む。端面416は、TFT基板411の端面とCF基板412の端面とで構成されている。これらの端面の間にはわずかな空隙が存在する。端面426は、TFT基板421の端面とCF基板322の端面とで構成されている。これらの端面の間にはわずかな空隙が存在する。
【0074】
端面416、426は、
図3から5を参照して説明した端面216、226と同様の表面粗さRaを有してよい。これにより、端面416、426の接触又は接触状態の変化によるガラスカレットの発生を効果的に抑制することができる。端面416、426は互いに対向しており、接触している。これにより、液晶表示装置1の表示品質を高めることができる。端面416、426は曲面であり、これらは線接触している。端面416、426は、離れていてもよい。
【0075】
端面416、426は対向しており、凸状曲面である。端面416、426の断面は凸状円弧であり、端面416、426の先端が接触している。本例において、端面416、426の形状は同一である。端面416、426の先端位置の前面パネル11の背面からの距離は同一である。円弧の曲率中心418、428の前面パネル11の背面からの距離は同一である。端面416、426の接触は、Y軸に沿って延びる線での接触である。
【0076】
図10に示す例において、前面パネル11の背面と積層基板431の前面とは平行であり、前面パネル11の背面と積層基板432の前面とは平行である。
図10及び11に示す例において、積層基板431、432の前面及び背面は平行(一定厚み)であり、前面パネル11の前面及び背面は平行(一定厚み)である。また、前面パネル11及び積層基板431、432の主面はフラットである。
【0077】
図12は、積層基板431の一部構成を模式的に示す斜視図である。
図10及び11を参照して説明したように、端面416は、凸状曲面である。端面416は、X軸に沿って凸であり、Y軸に沿って延びる筒状の曲面である。前面417及び背面419は平行であって平坦である。X軸及びY軸は、前面417及び背面419の面内軸である。積層基板431、432の対向する端部の断面は、Y軸に沿って連続する同一形状を特定の長さにおいて示す。
【0078】
図13は、前面パネル11が収縮したときの、液晶パネル31、32の動きを模式的に示す断面図である。前面パネル11が収縮すると、液晶パネル31、32が、X軸に沿って互いに近づく方向に移動する。対向する端面416、426は曲面であるので、接触している端面416、426は、容易にスライドすることができる。これにより、ガラスカレットの発生をより効果的に抑制できる。
【0079】
図13に示す例において、液晶パネル31の端面416は、前面パネル11に近づくようにスライドし、液晶パネル32の端面426は前面パネル11から遠ざかるようにスライドする。
図13において、液晶パネル31、32は、端面416、426の動きにと共に左回転する。
【0080】
OCAフィルム441の端面416の近い部分の厚みが小さくなり、反対側の部分が大きくなる。OCAフィルム442の端面426の近い部分の厚みが大きくなり、反対側の部分が小さくなる。OCAフィルム441、442の弾性率は、前面パネル11、CF基板412、422及びTFT基板411、421より小さく、容易に変形することができる。弾性率は、例えば、上記の範囲内にあってよい。なお、端面416、426のスライド方向は、逆である場合もある。
【0081】
端面416、426は線接触であるので、Y軸に沿った動きにおいても、ガラスカレットの発生をより効果的に抑制できる。また、端面416、426は曲面であるので、前面パネル11のZ軸に沿った変形に対しても、容易にスライドすることができ、ガラスカレットの発生をより効果的に抑制できる。
【0082】
図14は、本明細書の一実施形態に係る液晶表示装置1の一部の構成を模式的に示す、断面図である。以下において、
図10から12を参照して説明した構成例との相違を主に説明する。
図14に示す構成例は、
図10に示す構成例のOCAフィルム442に代えて、OCAフィルム452を含む。OCAフィルム452の厚みは、OCAフィルム441の厚みより厚い。このため、液晶パネル32の前面と前面パネル11の背面との間の距離は、液晶パネル31の前面と前面パネル11の背面との間の距離より大きい。破線楕円451は、液晶パネル31、32の互いに対向する端部を含む境界領域示す。
【0083】
図15は、液晶パネル31、32の積層基板431、432の端部の構成を模式的に示す。上述のように、このため、液晶パネル32の前面と前面パネル11の背面との間の距離は、液晶パネル31の前面と前面パネル11の背面との間の距離より大きい。そのため、積層基板431の端面416の先端461と、積層基板432の端面426の先端462とは、Z軸の異なる位置にある。具体的には、積層基板431の端面416の先端461と前面パネル11の背面との間の距離(Z軸での距離)は、積層基板432の端面426の先端462と前面パネル11の背面との間の距離より小さい。
【0084】
図14及び15に示す構成例において、端面416、426は、通常状態において離れており接触していない。一方、端面416の先端461と端面426の先端462との間の、X軸上の位置は同一である。そのため、Z軸に沿って見て、端面416、426は接触して見える。これにより、表示品質を低下することなるガラスカレットの発生を抑制できる。端面416の先端461は、
図15に示す位置より端面426に近くてもよく、端面426の先端462は、
図15に示す位置より端面416に近くてもよい。つまり、先端461は、Z軸に沿ってみて、端面426と重なっていてもよく、先端462は、Z軸に沿ってみて、端面416と重なっていてもよい。
【0085】
図16は、前面パネル11が収縮したときの、液晶パネル31、32の動きを模式的に示す断面図である。前面パネル11が収縮すると、液晶パネル31、32が、X軸に沿って互いに近づく方向に移動する。対向する端面416、426は曲面であるので、接触している端面416、426は、容易にスライドすることができる。これにより、ガラスカレットの発生をより効果的に抑制できる。
【0086】
本例において、液晶パネル31の端面416は、前面パネル11に近づくようにスライドし、液晶パネル32の端面426は前面パネル11から遠ざかるようにスライドする。
図16において、液晶パネル31、32は、端面416、426の動きにと共に左回転する。
【0087】
OCAフィルム441の端面416の近い部分の厚みが小さくなり、反対側の部分が大きくなる。OCAフィルム442の端面426の近い部分の厚みが大きくなり、反対側の部分が小さくなる。OCAフィルム441、442の弾性率は、前面パネル11、CF基板412、422及びTFT基板411、421より小さく、容易に変形することができる。弾性率は、例えば、上記の範囲内にあってよい。
【0088】
液晶パネル31、32の端面の先端位置の違いにより、液晶パネル31、32が回転する方向は、一方向に規制される。つまり、先端位置が前面パネル11からより遠い液晶パネルは、当該先端位置が前面パネル11から遠ざかる方向に回転する。一方、先端位置が前面パネル11により近い液晶パネルは、当該先端位置が前面パネル11に近づく方向に回転する。このように、前面パネル11からの先端位置を二つの液晶パネルの間で異なるものとすることで、液晶パネルの動きを規制することができ、液晶表示装置1の設計をより容易なものとすることができる。なお、異なる厚みの接着領域は、他の構成例、例えば、
図3から
図9に示す構成例に適用可能である。
【0089】
図17は、本明細書の一実施形態に係る液晶表示装置1の一部の構成を模式的に示す、断面図である。以下において、
図10から12を参照して説明した構成例との相違を主に説明する。
図17に示す構成例は、
図10に示す構成例のOCAフィルム442に代えて、OCAフィルム472を含む。OCAフィルム472の弾性率は、OCAフィルム441の弾性率より小さい。他の点は、
図10から12を参照して説明した構成例と同様であり、例えば、OCAフィルム472の厚みは、OCAフィルム441と同一である。
【0090】
図18は、前面パネル11が収縮したときの、液晶パネル31、32の動きを模式的に示す断面図である。前面パネル11が収縮すると、液晶パネル31、32が、X軸に沿って互いに近づく方向に移動する。対向する端面416、426は曲面であるので、接触している端面416、426は、容易に相対的にスライドすることができる。これにより、ガラスカレットの発生をより効果的に抑制できる。
【0091】
本例において、液晶パネル31の端面416は実質的に移動しない。液晶パネル32の端面426は前面パネル11から遠ざかるようにスライドする。
図18において、液晶パネル32は、426の動きにと共に左回転する。OCAフィルム442の端面426の近い部分の厚みが大きくなり、反対側の部分が小さくなる。これは、OCAフィルム、441、472の弾性率の相違に起因する。OCAフィルム441、442の弾性率は、例えば、上記の範囲内にあってよい。なお、液晶パネル32は逆方向に回転し得る。
【0092】
このように、OCAフィルム441、472の弾性率を異なるものとすることで、液晶パネルの動きを規制することができ、液晶表示装置1の設計をより容易なものとすることができる。なお、異なる弾性率の接着領域は、他の構成例、例えば、
図3から
図16に示す構成例に適用可能である。
【0093】
図19は、本明細書の一実施形態に係る液晶表示装置1の一部の構成を模式的に示す、断面図である。
図19は、前面パネル11と、前面パネル11の背面側に隣接して配置された液晶パネル31、32を示す。
図10において、上側が前側である。液晶パネル31、32はカラー液晶パネルである。液晶パネルの様々なタイプ及びそれらの構成が知られており、いずれのタイプの液晶パネルを利用することも可能である。
【0094】
液晶パネル31は、ガラス基板上にTFTアレイが形成されているTFT基板511、及び、ガラス基板上にカラーフィルタが形成されているCF基板512を含む。CF基板512は、TFT基板511に対向する対向基板である。TFT基板511とCF基板512の対向面は封止材(不図示)で接着され、封止材内の空間に液晶材料(不図示)が封入されている。
【0095】
TFT基板511の背面側とCF基板512の前面側に偏光板513、514が配置されている。前面パネル11の背面と偏光板514の前面とが、接着領域21の例であるOCAフィルム541により接着されている。
【0096】
液晶パネル32は、ガラス基板上にTFTアレイが形成されているTFT基板521、及び、ガラス基板上にカラーフィルタが形成されているCF基板522を含む。CF基板522は、TFT基板521に対向する対向基板である。TFT基板521とCF基板522の対向面は封止材(不図示)で接着され、封止材内の空間に液晶材料(不図示)が封入されている。
【0097】
TFT基板521の背面側とCF基板522の前面側に偏光板523、524が配置されている。前面パネル11の背面と偏光板524の前面とが、接着領域22の例であるOCAフィルム542により接着されている。
【0098】
なお、液晶パネルと異なる種類の表示パネルは、積層基板構造を有さず、1枚のガラス基板で構成され得る。例えば、OLED表示パネルは、1枚のガラス基板上に形成されたTFTアレイ及び発光素子を含み、それらが、封止構造部である樹脂層で覆われていてもよい。
【0099】
図19に示す例において、OCAフィルム541、542の厚みは同一である。そのため、液晶パネル31の前面(偏光板514の前面)と前面パネル11の背面との間の距離は、液晶パネル32の前面(偏光板524の前面)と前面パネル11の背面との間の距離と同一である。OCAフィルム541、542の材料及び弾性率は同一である。
【0100】
液晶パネル31、32は、同一の厚みを有する。より具体的には、偏光板514、524は同一の厚みを有し、CF基板512、522は同一の厚みを有し、TFT基板511、521は同一の厚みを有し、偏光板513、523は同一の厚みを有する。破線楕円501は、液晶パネル31、32の互いに対向する端部を含む境界領域示す。液晶パネル31、32の端部は、主面に平行な方向において対向し、離間している。
【0101】
図20は、液晶パネル31、32の積層基板531、532の端部の構成を模式的に示す。積層基板531、532の対向する端部の断面は、Y軸に沿って連続する同一形状を特定の長さにおいて示す。積層基板531は積層されたTFT基板511及びCF基板512からなり、積層基板532は積層されたTFT基板521及びCF基板522からなる。上述のように、積層基板531、532の厚みは同一である。
【0102】
積層基板531は、端面516を含み、積層基板532は、端面526を含む。端面516は、TFT基板511の端面とCF基板512の端面とで構成されている。これらの端面の間にはわずかな空隙が存在する。端面526は、TFT基板521の端面とCF基板522の端面とで構成されている。これらの端面の間にはわずかな空隙が存在する。
【0103】
端面516、526は、
図3から5を参照して説明した端面216、226と同様の表面粗さRaを有してよい。これにより、端面516、526の接触又は接触状態の変化によるガラスカレットの発生を効果的に抑制することができる。端面516、526は互いに対向しており、接触している。これにより、液晶表示装置1の表示品質を高めることができる。端面516、526は曲面であり、これらは離間している。端面516、526は、通常状態において接触していてもよい。端面516、526の接触は線接触である。
【0104】
端面516、526は対向しており、凸状曲面である。端面516、526の断面は凸状円弧であり、端面516の先端561と端面526の先端562とは、Z軸において異なる位置にある。つまり、前面パネル11の背面からの距離が異なる。
図20に示す例において、二つの先端561、562のX軸における位置は一致している。つまり、前面パネル11の背面の法線方向において見た場合、二つの先端561、562は重なっている。これにより、表示品質を改善できる。なお、先端561又は562が端面526又は51の他の位置と、X軸の位置が同一であってもよい。Z軸に沿って見て、対向する端面516、526の距離が0又は重なって見えてもよい。
【0105】
端面516の断面の曲率中心518と、端面526の断面の曲率中心528との、前面パネル11の背面からの距離(Z軸の位置)は異なる。具体的には、端面516の曲率中心518と前面パネル11の背面との距離は、端面526の曲率中心528と前面パネル11の背面との距離より、大きい。
図10、11を参照して説明した構成例において、対向する端面416、426は面対対称である。本例において、端面516、526は、非面対称である。
【0106】
図19に示す例において、前面パネル11の背面と積層基板531の前面とは平行であり、前面パネル11の背面と積層基板532の前面とは平行である。
図19及び20に示す例において、積層基板531、532の前面及び背面は平行(一定厚み)であり、前面パネル11の前面及び背面は平行(一定厚み)である。また、前面パネル11及び積層基板531、532の主面はフラットである。
【0107】
図21は、前面パネル11が収縮したときの、液晶パネル31、32の動きを模式的に示す断面図である。前面パネル11が収縮すると、液晶パネル31、32が、X軸に沿って互いに近づく方向に移動する。対向する端面516、526は曲面であるので、接触している端面516、526は、容易にスライドすることができる。これにより、ガラスカレットの発生をより効果的に抑制できる。
【0108】
液晶パネル31の端面516は、前面パネル11から遠ざかるようにスライドし、液晶パネル32の端面526は前面パネル11に近づくようにスライドする。液晶パネル31、32は、端面516、526の動きにと共に右回転する。端面516、526の形状の違いから、スライドは上記の方向に規制される。そのため、液晶表示装置1の設計を容易にできる。
【0109】
OCAフィルム541の端面516の近い部分の厚みが大きくなり、反対側の部分が小さくなる。OCAフィルム542の端面526の近い部分の厚みが小さくなり、反対側の部分が大きくなる。OCAフィルム541、542の弾性率は、前面パネル11、CF基板512、522及びTFT基板511、521より小さく、容易に変形することができる。弾性率は、例えば、上記の範囲内にあってよい。
【0110】
端面516、526が接触する場合、その状態は線接触である。そのため、Y軸に沿った動きにおいても、ガラスカレットの発生をより効果的に抑制できる。また、端面516、526は曲面であるので、前面パネル11のZ軸に沿った変形に対しても、容易にスライドすることができ、ガラスカレットの発生をより効果的に抑制できる。
【0111】
図22は、本明細書の一実施形態に係る液晶表示装置1の一部の構成を模式的に示す、断面図である。以下において、
図6から9を参照して説明した構成例との相違を主に説明する。
図22に示す構成例において、OCAフィルム641は、積層基板631の液晶パネル31を前面パネル11の背面に接着し、OCAフィルム642は、積層基板632の液晶パネル32を前面パネル11の背面に接着する。
【0112】
OCAフィルム641、642の弾性率が異なる。具体的には、OCAフィルム642の弾性率は、OCAフィルム641の弾性率より小さい。また、積層基板631の厚みは、積層基板632の厚みより厚い。前面パネル11の歪により主に動く液晶パネルが決まるため、設計が容易となる。なお、二つの積層基板の厚みが同一でもよい。
【0113】
図23は、本明細書の一実施形態に係る液晶表示装置1の一部の構成を模式的に示す、断面図である。以下において、これまでに説明した構成例との相違を主に説明する。積層基板731は、
図6から9を参照して説明した構成例における積層基板331と同様の構成を有する。積層基板732は、
図10から13を参照して説明した構成例における積層基板432と同様の構成を有する。積層基板731の厚みは、積層基板732の厚みより大きい。
【0114】
OCAフィルム741、742は、異なる弾性率を有する。OCAフィルム741は、積層基板731の液晶パネル31を前面パネル11の背面に接着し、OCAフィルム742は、積層基板732の液晶パネル32を前面パネル11の背面に接着する。742は、異なる弾性率を有する。OCAフィルム742の弾性率は、OCAフィルム741の弾性率より小さい。また、積層基板731の厚みは、積層基板732の厚みより厚い。前面パネル11の歪により主に動く液晶パネルが決まるため、設計が容易となる。なお、二つの積層基板の厚みが同一でもよい。
【0115】
図24は、本明細書の一実施形態に係る液晶表示装置1の一部の構成を模式的に示す、断面図である。
図10から13を参照して説明した構成例との相違を主に説明する。積層基板832は、
図10から13を参照して説明した構成例における積層基板332と同様の構成を有する。OCAフィルム841は、積層基板831の液晶パネル31を前面パネル11の背面に接着し、OCAフィルム842は、積層基板832の液晶パネル32を前面パネル11の背面に接着する。OCAフィルム841、842の厚み及び弾性率は同一である。
【0116】
積層基板831は、積層基板832の端面826に対向する端面816を含む。端面826は、
図10から13を参照して説明したように、凸状曲面である。端面816は、端面826に対して相補的な形状を有し、凹状曲面である。端面816、826離間又は接触している。端面816の表面粗さRaは、上記範囲内にあってよい。
図24に示す構成例は、前面パネル11のZ軸に沿った変形(曲げ変形)に対して、特に有効である。
【0117】
以上、本開示の実施形態を説明したが、本開示が上記の実施形態に限定されるものではない。当業者であれば、上記の実施形態の各要素を、本開示の範囲において容易に変更、追加、変換することが可能である。ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることが可能であり、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成を加えることも可能である。
【符号の説明】
【0118】
11 前面パネル
21、22、23 接着領域
241、242、341、342、441、442、541、542、641、642、741、742、841、842 OCAフィルム
231、232、331、332、431、432、531、532、631、632、731、732、831、832 積層基板
31、32、33 液晶パネル