(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024093392
(43)【公開日】2024-07-09
(54)【発明の名称】ロボットシステム
(51)【国際特許分類】
B25J 3/00 20060101AFI20240702BHJP
B25J 13/08 20060101ALI20240702BHJP
【FI】
B25J3/00 Z
B25J13/08 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022209750
(22)【出願日】2022-12-27
(71)【出願人】
【識別番号】000000974
【氏名又は名称】川崎重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104433
【弁理士】
【氏名又は名称】宮園 博一
(74)【代理人】
【識別番号】100172362
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 達哉
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 雅之
(72)【発明者】
【氏名】佐久間 智輝
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼橋 大樹
(72)【発明者】
【氏名】木下 博貴
(72)【発明者】
【氏名】渡壁 慶三
(72)【発明者】
【氏名】田中 宏樹
(72)【発明者】
【氏名】清水 開
【テーマコード(参考)】
3C707
【Fターム(参考)】
3C707BS12
3C707DS01
3C707HS27
3C707JT05
3C707JT07
3C707JT10
3C707JU03
3C707KS11
3C707KS34
3C707KS35
3C707KW03
3C707KW05
3C707LS20
3C707LU01
3C707LU08
3C707LV02
3C707LV10
(57)【要約】
【課題】操作者が操作部を用いて任意の操作により複数のロボットを連携して動作させて作業を行うことが可能なロボットシステムを提供する。
【解決手段】このロボットシステム100は、ロボット1と、ロボット1と共同で作業を行うロボット2と、ロボット1および2を操作するための操作者による操作を受け付ける単一の操作部3と、単一の操作部3により受け付けた操作に基づいて、ロボット1および2を動作させる制御を行う制御部4と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1ロボットと、
前記第1ロボットと共同で作業を行う第2ロボットと、
前記第1ロボットおよび前記第2ロボットを操作するための操作者による操作を受け付ける単一の操作部と、
単一の前記操作部により受け付けた操作に基づいて、前記第1ロボットおよび前記第2ロボットを動作させる制御を行う制御部と、を備える、ロボットシステム。
【請求項2】
前記制御部は、単一の前記操作部による操作に基づいて、前記第1ロボットを動作させ、前記第1ロボットの動作に追従するように前記第2ロボットを動作させる制御を行う、請求項1に記載のロボットシステム。
【請求項3】
前記制御部は、単一の前記操作部による操作に基づいて、前記第1ロボットを動作させ、前記第1ロボットの移動速度に基づいて前記第2ロボットを動作させる制御を行う、請求項2に記載のロボットシステム。
【請求項4】
前記制御部は、前記第1ロボットおよび前記第2ロボットにより作業対象の作業物を挟み込んで保持している場合に、所定の保持力が前記作業物に作用するように、単一の前記操作部による操作に基づいて、前記第1ロボットおよび前記第2ロボットを動作させる制御を行う、請求項1に記載のロボットシステム。
【請求項5】
前記制御部は、前記操作部により受け付ける操作者による操作の操作力と、前記第1ロボットおよび前記第2ロボットに加わる接触力と、前記第1ロボットおよび前記第2ロボットにより前記作業物を保持する保持力と、に基づいて、前記第1ロボットおよび前記第2ロボットを動作させる制御を行う、請求項4に記載のロボットシステム。
【請求項6】
前記制御部は、前記操作部により受け付ける操作者による操作の操作力と、前記第1ロボットに加わる接触力と、前記作業物を保持する保持力と、に基づいて、前記第1ロボットの移動速度を決定するとともに、前記第1ロボットの移動速度と、前記第2ロボットに加わる接触力と、前記作業物を保持する保持力と、に基づいて、前記第2ロボットの移動速度を決定する、請求項5に記載のロボットシステム。
【請求項7】
前記制御部は、前記接触力に基づいて、前記保持力の大きさを変化させて、単一の前記操作部による操作に基づいて前記第1ロボットおよび前記第2ロボットを動作させる制御を行う、請求項4に記載のロボットシステム。
【請求項8】
前記制御部は、前記第1ロボットおよび前記第2ロボットにより前記作業物を保持している場合に、前記第1ロボットの位置および前記第2ロボットの位置に基づいて、前記第1ロボットおよび前記第2ロボットを動作させる制御点を決定する、請求項4に記載のロボットシステム。
【請求項9】
前記制御部は、前記第1ロボットおよび前記第2ロボットにより前記作業物を保持している場合に、前記制御点を前記作業物の内部または表面の位置に決定する、請求項8に記載のロボットシステム。
【請求項10】
前記制御部は、前記第1ロボットおよび前記第2ロボットにより前記作業物を挟み込んで把持して前記作業物を保持するように、単一の前記操作部による操作に基づいて、前記第1ロボットおよび前記第2ロボットを動作させる制御を行う、請求項4に記載のロボットシステム。
【請求項11】
前記制御部は、前記第1ロボットと前記第2ロボットとの間の近づく距離に応じて、前記第1ロボットおよび前記第2ロボットが互いに遠ざかる方向に作用する斥力を決定して、単一の前記操作部による操作に基づいて前記第1ロボットおよび前記第2ロボットを動作させる制御を行う、請求項5に記載のロボットシステム。
【請求項12】
前記操作部に対する操作により前記第1ロボットを単独で動作させる第1モードと、前記操作部に対する操作により前記第2ロボットを単独で動作させる第2モードと、前記操作部に対する操作により前記第1ロボットおよび前記第2ロボットを連携させて動作させる第3モードと、を切り替え可能である、請求項1に記載のロボットシステム。
【請求項13】
単一の前記操作部の操作に基づいて、仮想的に前記第1ロボットおよび前記第2ロボットを動作させるシミュレーションを行うシミュレーション制御部をさらに備える、請求項1に記載のロボットシステム。
【請求項14】
前記操作部の操作を、前記第1ロボットおよび前記第2ロボットをシミュレーションにより動作させるシミュレーション環境と、前記第1ロボットおよび前記第2ロボットを実際に動作させる実環境と、に切り替え可能である、請求項13に記載のロボットシステム。
【請求項15】
前記第1ロボットおよび前記第2ロボットの作業状況を提示する情報提示部をさらに備え、
前記情報提示部は、表示部、前記操作部、および、周辺機器のうち少なくとも1つを含む、請求項1に記載のロボットシステム。
【請求項16】
前記情報提示部は、前記第1ロボットおよび前記第2ロボットの動作範囲、前記第1ロボットおよび前記第2ロボットの動作速度、前記第1ロボットおよび前記第2ロボットに加わる接触力、前記第1ロボットおよび前記第2ロボットの先端の向き、のうち少なくとも1つを含む前記作業状況を、表示して提示する、請求項15に記載のロボットシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ロボットシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ロボットシステムが知られている(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
上記特許文献1には、マスタロボットと、マスタロボットとともに作業を行うスレーブロボットと、マスタロボットおよびスレーブロボットの動作を制御する制御装置と、を備えるロボットシステムが開示されている。このロボットシステムでは、制御装置は、プログラムに基づいてマスタロボットを動作させ、マスタロボットの動作に合わせてスレーブロボットを動作させる制御を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1のロボットシステムでは、制御装置がプログラムに基づいてマスタロボットおよびスレーブロボットを含む複数のロボットを動作させている。このため、操作者が操作部を用いて任意の操作により複数のロボットを動作させる場合には、上記特許文献1のロボットシステムを適用することが困難である。その結果、操作者が操作部を用いて任意の操作により複数のロボットを連携して動作させて作業を行うことが困難であるという問題点がある。
【0006】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、操作者が操作部を用いて任意の操作により複数のロボットを連携して動作させて作業を行うことが可能なロボットシステムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、この発明の一の局面によるロボットシステムは、第1ロボットと、第1ロボットと共同で作業を行う第2ロボットと、第1ロボットおよび第2ロボットを操作するための操作者による操作を受け付ける単一の操作部と、単一の操作部により受け付けた操作に基づいて、第1ロボットおよび第2ロボットを動作させる制御を行う制御部と、を備える。
【0008】
この発明の一の局面によるロボットでは、上記のように、単一の操作部により受け付けた操作に基づいて、第1ロボットおよび第2ロボットを動作させる制御を行う制御部を設ける。これにより、操作者が単一の操作部を操作することにより、第1ロボットおよび第2ロボットを連携して動作させることができる。これにより、操作者が操作部を用いて任意の操作により複数のロボットを連携して動作させて作業を行うことができる。また、単一の操作部により複数のロボットを操作することができるので、複数のロボットを別個の操作部により各々操作する場合と比べて、操作者による操作を容易に行うことができる。その結果、操作者の負担が増大するのを抑制することができるので、容易に複数のロボットにより連携して作業を行うことができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、上記のように、操作者が操作部を用いて任意の操作により複数のロボットを連携して動作させて作業を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】一実施形態によるロボットシステムの概略を示した図である。
【
図2】一実施形態によるロボットシステムの制御的な構成を示したブロック図である。
【
図3】一実施形態によるロボットシステムの複数のロボットの連携制御を説明するための図である。
【
図4】一実施形態によるロボットシステムのロボットの操作の切り替えを説明するための図である。
【
図5】一実施形態によるロボットシステムの連携制御の際の2台のロボットの位置関係を説明するための図である。
【
図6】一実施形態によるロボットシステムの連携制御の際の3台のロボットの位置関係を説明するための図である。
【
図7】一実施形態によるロボットシステムの連携制御の際の4台のロボットの位置関係を説明するための図である。
【
図8】一実施形態によるロボットシステムの連携制御の過負荷の抑制を説明するための図である。
【
図9】一実施形態によるロボットシステムの連携制御時の制御中心を説明するための図である。
【
図10】一実施形態によるロボットシステムの把持時の保持力と解放時の保持力とを説明するための図である。
【
図11】一実施形態によるロボットシステムの把持前の保持力と把持後の保持力とを説明するための図である。
【
図12】一実施形態によるロボットシステムの複数のロボットの干渉の回避を説明するための図である。
【
図13】一実施形態によるロボットシステムのシミュレーション環境による操作と実環境による操作との切り替えを説明するための図である。
【
図14】一実施形態によるロボットシステムの情報提示部の表示の一例を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
一実施形態を図面に基づいて説明する。
【0012】
図1~
図14を参照して、本実施形態によるロボットシステム100の構成について説明する。
【0013】
図1に示すように、ロボットシステム100は、ロボット1と、ロボット2と、操作部3と、制御部4と、を備えている。ロボット1および2は、たとえば、産業用や医療用などのロボットである。また、ロボット1および2は、共同で作業を行う。ロボットシステム100は、ロボット1および2により、作業物5に対する作業を行う。たとえば、ロボット1および2は、作業物5を、挟み込んで保持する。なお、ロボット1は、「第1ロボット」の一例であり、ロボット2は、「第2ロボット」の一例である。
【0014】
ロボット1および2は、同様の構成を有している。ロボット1および2は、6軸の垂直多関節を含んでいる。ロボット1は、一方の先端部に、エンドエフェクタ10が取り付けられている。ロボット2は、一方の先端部に、エンドエフェクタ20が取り付けられている。また、ロボット1および2は、他方の先端部に設けられ、床、壁、柱などに取り付けられる基台を含んでいる。
【0015】
ロボット1および2は、
図2に示すように、各々、力センサ11と、駆動部12と、を含んでいる。力センサ11は、ロボット1(2)に加わる接触力を検知する。力センサ11は、ロボット1(2)に加わる力を直接的に検知するセンサと、駆動部12のトルクを検知するトルク検知部とのうち少なくとも1つを含む。力センサ11により検知したセンサ値は、制御部4に送信される。駆動部12は、ロボット1(2)の関節を回転させて、ロボット1(2)を動作させる。具体的には、駆動部12は、各関節を回転駆動させる複数のモータと、各関節の回転位置を検出する複数の検出部と、を含んでいる。また、駆動部12は、制御部4からの位置指令値に基づいて駆動する。
【0016】
操作部3は、ロボット1および2を操作するための操作者による操作を受け付ける。ロボットシステム100では、複数のロボットに対して、単一の操作部3が設けられている。つまり、単一の操作部3により、ロボット1および2の両方の操作を行うことが可能である。操作部3は、たとえば、操作者が両手により把持して動かす操作を受け付ける。操作部3は、
図2に示すように、力センサ31と、モード切替部32と、駆動部33と、を含んでいる。力センサ31は、操作者の操作により、操作部3に加わる操作力を検知する。力センサ31は、操作部3に加わる力を直接的に検知するセンサと、駆動部33のトルクを検知するトルク検知部とのうち少なくとも1つを含む。力センサ31により検知したセンサ値は、制御部4に送信される。モード切替部32は、操作部3による操作対象のロボットを切り替える操作を受け付ける。駆動部33は、操作部3を駆動させる。具体的には、駆動部33は、複数の軸線周りに操作部3を各々回転駆動させる複数のモータと、複数の軸線周りの回転位置を各々検出する複数の検出部と、を含んでいる。また、駆動部33は、制御部4からの位置指令値に基づいて駆動する。
【0017】
ここで、本実施形態では、制御部4は、単一の操作部3により受け付けた操作に基づいて、ロボット1および2を動作させる制御を行う。具体的には、制御部4は、CPU(中央演算処理装置)と、メモリと、を含んでいる。
【0018】
また、制御部4は、単一の操作部3による操作に基づいて、ロボット1を動作させ、ロボット1の動作に追従するようにロボット2を動作させる制御を行う。これにより、単一の操作部3によりロボット1を操作することにより、ロボット1の動作に追従してロボット2を動作させることができるので、ロボット1およびロボット2が連携するように容易に操作することができる。
【0019】
具体的には、
図2に示すように、制御部4は、操作部3の力センサ31により検知した操作力に基づくセンサ値を、力センサ処理41aにより受け付ける。また、制御部4は、ロボット1の力センサ11により検知した接触力に基づくセンサ値を、力センサ処理41bにより受け付ける。そして、制御部4は、力センサ処理41aにより受け付けた操作力と、力センサ処理41bにより受け付けた接触力と、連携制御ロジック42aに設定された把持力と、を加算した力を、力制御ロジック43aにより、ロボット1の移動速度に変換する。
【0020】
ロボット1の移動速度は、積分44aにより積分処理されて位置の値が算出される。算出された位置の値は、ロボット通信処理45aを介して、操作部3の駆動部33に位置指令値として送信される。これにより、操作部3が駆動する。
【0021】
また、ロボット1の移動速度は、積分44bにより積分処理されて位置の値が算出される。算出された位置の値は、ロボット通信処理45bを介して、ロボット1の駆動部12に位置指令値として送信される。これにより、ロボット1が駆動する。
【0022】
また、制御部4は、ロボット2の力センサ11により検知した接触力に基づくセンサ値を、力センサ処理41cにより受け付ける。そして、制御部4は、力センサ処理41cにより受け付けた接触力と、連携制御ロジック42bに設定された把持力と、を加算した力を、力制御ロジック43aにより、連携制御ロジック42bを介したロボット1の移動速度を加味して、ロボット2の移動速度に変換する。
【0023】
ロボット2の移動速度は、積分44cにより積分処理されて位置の値が算出される。算出された位置の値は、ロボット通信処理45cを介して、ロボット2の駆動部12に位置指令値として送信される。これにより、ロボット2が駆動する。
【0024】
つまり、制御部4は、単一の操作部3による操作に基づいて、ロボット1を動作させ、ロボット1の移動速度に基づいてロボット2を動作させる制御を行う。これにより、ロボット1の移動速度に合わせてロボット2が移動するように制御することができる。
【0025】
また、制御部4は、ロボット1および2により作業対象の作業物5を挟み込んで保持している場合に、所定の保持力が作業物5に作用するように、単一の操作部3による操作に基づいて、ロボット1および2を動作させる制御を行う。これにより、ロボット1および2により作業物5を挟み込んで保持している際に、常に保持力を作用させることができるので、作業物5を確実に保持することができる。
【0026】
また、制御部4は、操作部3により受け付ける操作者による操作の操作力と、ロボット1および2に加わる接触力と、ロボット1および2により作業物5を保持する保持力と、に基づいて、ロボット1および2を動作させる制御を行う。これにより、操作力と接触力と保持力とがバランスするように、ロボット1およびロボット2を連携して移動させることができる。
【0027】
具体的には、制御部4は、ロボット1および2により作業物5を挟み込んで把持して作業物5を保持するように、単一の操作部3による操作に基づいて、ロボット1および2を動作させる制御を行う。これにより、ロボット1および2により作業物5を挟み込んで把持して、作業物5に対して作業を行うことができる。
【0028】
また、制御部4は、操作部3により受け付ける操作者による操作の操作力と、ロボット1に加わる接触力と、作業物5を保持する保持力と、に基づいて、ロボット1の移動速度を決定する。そして、制御部4は、ロボット1の移動速度と、ロボット2に加わる接触力と、作業物5を保持する保持力と、に基づいて、ロボット2の移動速度を決定する。これにより、ロボット1の移動速度と、ロボット2に加わる接触力と、保持力とに基づいて、ロボット1の移動に合わせてロボット2を移動させる制御を容易に行うことができる。
【0029】
図3に示すように、制御部4は、作業物5に対する作業に応じて、ロボット1および2を連携させながら、ロボット1および2を動作させる。
図3(A)に示すように、ロボット1および2により作業物5を保持していない場合は、ロボット1および2を同じ速度により動作させる。たとえば、ロボット1の移動速度がV1であり、ロボット2の移動速度がV2である。そして、V1=V2となるように、ロボット1および2が動作する。
【0030】
図3(B)に示すように、ロボット1および2により、作業物5を保持する場合、制御部4は、所定の保持力Fb1、Fb2が作用するように、ロボット1および2の動作を制御する。また、この際、ロボット1に対する接触力がFa1であり、ロボット2に対する接触力がFa2である。
【0031】
図3(C)に示すように、ロボット1および2により、作業物5を保持しながら搬送する場合、制御部4は、操作部3に対する操作力Fc1に基づいて、作業物5を移動させるように、ロボット1および2の動作を制御する。この際、所定の保持力Fb2が作業物5に作用しているため、操作者は、作業物5の保持を意識することなく、作業物5を移動させることが可能である。また、この場合、ロボット1は、速度V1により移動し、ロボット2は、速度V1より小さい速度V2により移動する。これにより、所定の保持力Fb2が作業物5に作用する。
【0032】
また、ロボットシステム100は、操作部3に対する操作によりロボット1を単独で動作させる第1モードと、操作部3に対する操作によりロボット2を単独で動作させる第2モードと、操作部3に対する操作によりロボット1および2を連携させて動作させる第3モードと、を切り替え可能である。これにより、ロボット1および2を各々単独で動作させて、所望の位置に配置してから、ロボット1および2を連携させて動作させることができる。
【0033】
操作部3のモード切替部32(
図2参照)が操作者により操作されることにより、制御部4は、第1モード、第2モードおよび第3モードの切り替えを受け付ける。
【0034】
図4(A)に示すように、ロボット1を単独で動作させる第1モードでは、操作部3の操作によりロボット1が動作する。この際、ロボット2は、動作しない。たとえば、操作部3の操作によりロボット1を作業物5の近くまで移動させる。
図4(B)に示すように、ロボット2を単独で動作させる第2モードでは、操作部3の操作によりロボット2が動作する。この際、ロボット1は、動作しない。たとえば、操作部3の操作によりロボット2を作業物5の近くまで移動させる。この場合、操作部3によりロボット2を移動させるため、ロボット2の高さ位置が、ロボット1の高さ位置に対してずれる場合もある。
図4(C)に示すように、ロボット1および2を連携させて動作させる第3モードでは、操作部3の操作によりロボット1および2が動作する。第3モードの移行した際に、ロボット1および2は、連携するように動作されるため、ロボット2の位置および姿勢が、ロボット1の位置および姿勢を基準とした位置および姿勢にされる。たとえば、ロボット2の高さ位置がロボット1の高さ位置と一致するように、ロボット2が移動する。
【0035】
ロボット1に連携させるロボット2の位置は、ロボット1を基準として設定される。具体的には、ロボット1に連携させるロボット2の平面視における位置は、
図5に示すように、ロボット1の位置PAを基準として、作業物5の寸法に基づく位置PBに設定される。また、ロボット2の高さ位置は、ロボット1の高さ位置と同じ位置に設定される。なお、ロボットの位置とは、ロボットの先端に設定されたTCPの位置である。
【0036】
また、
図6に示すように、ロボットが3台の場合、ロボット1に連携させるロボット2および2aの位置は、各々、ロボット1を基準として設定される。具体的には、ロボット1に連携させるロボット2の平面視における位置は、ロボット1の位置PAを基準として、作業物5の寸法に基づく位置PBに設定される。また、ロボット2の高さ位置は、ロボット1の高さ位置と同じ位置に設定される。ロボット1に連携させるロボット2aの平面視における位置は、ロボット1の位置PAを基準として、作業物5の寸法に基づく位置PCに設定される。また、ロボット2aの高さ位置は、ロボット1の高さ位置と同じ位置に設定される。
【0037】
また、
図7に示すように、ロボットが4台の場合、ロボット1に連携させるロボット2、2aおよび2bの位置は、各々、ロボット1を基準として設定される。具体的には、ロボット1に連携させるロボット2の平面視における位置は、ロボット1の位置PAを基準として、作業物5の寸法に基づく位置PBに設定される。また、ロボット2の高さ位置は、ロボット1の高さ位置と同じ位置に設定される。ロボット1に連携させるロボット2aの平面視における位置は、ロボット1の位置PAを基準として、作業物5の寸法に基づく位置PCに設定される。また、ロボット2aの高さ位置は、ロボット1の高さ位置と同じ位置に設定される。ロボット1に連携させるロボット2bの平面視における位置は、ロボット1の位置PAを基準として、作業物5の寸法に基づく位置PDに設定される。また、ロボット2bの高さ位置は、ロボット1の高さ位置と同じ位置に設定される。
【0038】
また、ロボット1の位置を基準として、ロボット2の位置を移動させる場合、
図8に示すように、作業物5に接触する場合がある。ロボット2は、ロボット1と同様に、ロボット2に対する接触力を加算して移動動作が制御されているため、接触力が増大するようには、ロボット2が動作されない。これにより、ロボット2に過負荷が作用するのを抑制することが可能である。
【0039】
制御部4は、ロボット1および2により作業物5を保持している場合に、ロボット1の位置および2の位置に基づいて、ロボット1および2を動作させる制御点を決定する。これにより、ロボット1の位置およびロボット2の位置から、保持している作業物5を移動させやすい制御点を設定することができるので、操作者がロボット1および2により作業物5を移動させる操作を直感的に行うことができる。
【0040】
たとえば、制御部4は、ロボット1の位置P1と、ロボット2の位置P2との中点の位置P3を、回転中心となる制御点に設定する。つまり、ロボット1および2の位置は、各ロボットの動作により移動するため、回転中心となる制御点も適宜算出される。また、ロボット1および2により作業物5を保持している場合は、ロボット1の制御点(TCP)およびロボット2の制御点(TCP)が、共通の位置P3に設定されることになる。なお、ロボットが3台以上の場合は、複数のロボットの各々の位置の中心の位置を、回転中心となる制御点に設定する。複数のロボットの各々の位置の中心は、たとえば、重心の位置である。
【0041】
制御部4は、回転中心をロボット1および2に基づいて設定した場合、各ロボットの位置と設定した回転中心とから、操作部3の操作に基づいて、回転する速度を算出して、ロボット1および2を動作させる。
【0042】
また、制御部4は、ロボット1および2により作業物5を保持している場合に、制御点を作業物5の内部または表面の位置に決定する。これにより、ロボット1および2を動作させる制御点を作業物5の位置に設定することができるので、操作者がロボット1および2により作業物5を移動させる操作をより直感的に行うことができる。
【0043】
また、制御部4は、接触力に基づいて、保持力の大きさを変化させて、単一の操作部3による操作に基づいてロボット1および2を動作させる制御を行う。これにより、状況に応じて保持力を変更させることができるので、作業物5の保持および開放を容易に切り替えることができる。また、接触力を検知したタイミングで把持力を発生させることができる。
【0044】
具体的には、
図10に示すように、制御部4は、作業物5を把持している場合と、作業物5の把持を開放する場合とで、保持力を変化させる。作業物5の把持、開放は、操作者が操作部3の操作により入力してもよい。作業物5を把持している場合、制御部4は、ロボット1に保持力Fb3を作用させ、ロボット2に保持力Fb4(保持力)を作用させる。作業物5の把持を開放する場合、制御部4は、ロボット1に保持力を作用させず、ロボット2に負(マイナス)の保持力Fb5(保持力)を作用させる。つまり、制御部4は、把持する方向とは反対方向の力がロボット2に作用するように演算を行う。
【0045】
また、
図11に示すように、制御部4は、作業物5を把持する前と、作業物5を把持した後とで、保持力を変化させる。制御部4は、作業物5を把持する前は、保持力Fb6を大きく設定する。これにより、ロボット2が迅速に移動する。そして、制御部4は、作業物5を把持した後は、保持力Fb6およびFb8を、保持に必要な力を確保したうえで、小さくする。
【0046】
また、制御部4は、各ロボットについて、保持方向と、保持力の大きさを設定する。つまり、作業物5に作用する保持力の合力が0になるように、各ロボットの位置に応じて保持力が設定される。
【0047】
また、制御部4は、ロボット1とロボット2との間の近づく距離に応じて、ロボット1および2が互いに遠ざかる方向に作用する斥力を決定して、単一の操作部3による操作に基づいてロボット1およびロボット2を動作させる制御を行う。これにより、ロボット1および2を連携して動作させる場合に、ロボット1および2が互いに近づき過ぎるのを抑制することができるので、ロボット1および2が互いに干渉するのを抑制することができる。
【0048】
たとえるなら、
図12に示すように、ロボット1および2の間に、仮想的なバネ30が配置され、ロボット1および2が近付いた場合には、バネ30が縮んだ距離に応じて、斥力Fd1およびFd2が発生する。なお、仮想的なバネ30は、縮んだ場合には、斥力を発生させるが、遠ざかった際に引力は発生させない。つまり、仮想的なバネ30の両端は、ロボット1および2には、固定されておらず、挟み込まれているだけの状態である。
【0049】
また、ロボット1および2が互いに遠ざかる方向に作用する斥力は、力制御ロジック43aおよび43b(
図2参照)に入力する前に各力(操作力、接触力、把持力)に加算されて、演算される。
【0050】
また、ロボット毎に仮想的なバネ30の大きさを設定してもよい。つまり、バネ30が大きい場合には、ロボット間の距離が大きい場合でも、近づけば斥力が発生する。一方、バネ30が小さい場合には、ロボット間の距離が小さくならないと、斥力が発生しない。また、仮想的なバネ30のバネ定数を、ロボット毎に設定してもよい。
【0051】
図13に示すように、ロボットシステム100は、単一の操作部3の操作に基づいて、仮想的にロボット1およびロボット2を動作させるシミュレーションを行うシミュレーション制御部7を備える。これにより、ロボット1および2の動作を操作する単一の操作部3を用いて、仮想的にロボット1および2を動作させるシミュレーションを行うことができる。
【0052】
シミュレーション制御部7は、操作部3の操作に基づいて、表示部6にシミュレーション画像を表示する。シミュレーション制御部7は、CPUと、メモリと、を含んでいる。
【0053】
また、ロボットシステム100は、操作部3の操作を、ロボット1および2をシミュレーションにより動作させるシミュレーション環境と、ロボット1および2を実際に動作させる実環境と、に切り替え可能である。これにより、操作部3を用いてシミュレーションによりロボット1および2を動作させる操作を試行してから、実際にロボット1および2を操作部3により動作させて評価することができる。つまり、ロボットシステム100では、シミュレーション環境と実環境とをシームレスで切り替えることが可能である。これにより、シミュレーション環境で試行錯誤した内容を、実環境において評価することが可能である。また、実環境においてトラブルが発生した場合に、シミュレーション環境において検証することが可能である。
【0054】
また、
図14に示すように、ロボットシステム100は、ロボット1および2の作業状況を提示する情報提示部8を備える。情報提示部8は、表示部を含む。これにより、情報提示部8による提示により、ロボット1および2の作業状況を、操作者が容易に確認することができる。
【0055】
情報提示部8は、ロボット1および2の動作範囲、ロボット1およびロボット2の動作速度、ロボット1および2に加わる接触力、ロボット1および2の先端の向きを含む作業状況を、表示して提示する。これにより、操作者が、ロボット1および2の動作範囲、ロボット1および2の動作速度、ロボット1および2に加わる接触力、ロボット1および2の先端の向きを、容易に確認することができる。
【0056】
具体的には、情報提示部8は、ロボット1の動作速度を情報エリア81aに表示し、ロボット2の動作速度を情報エリア81bに表示する。また、情報提示部8は、ロボット1に加わる接触力を情報エリア82aに表示し、ロボット2に加わる接触力を情報エリア82bに表示する。また、情報提示部8は、ロボット1が把持中であることを示す情報を情報エリア83aに表示し、ロボット2が把持中であることを示す情報を情報エリア83bに表示する。
【0057】
また、情報提示部8は、ロボット1および2の動作範囲84を表示する。また、情報提示部8は、ロボット1の先端の向き示す矢印85aを表示する。また、情報提示部8は、ロボット2の先端の向き示す矢印85bを表示する。また、情報提示部8は、アイコンボタンを情報エリア86に表示する。
【0058】
また、情報提示部8は、作業状況を拡張現実により表示する。たとえば、情報提示部8は、ヘッドマウントディスプレイを含み、実施のロボット1および2に対応するようにディスプレイ上に情報を表示する。
【0059】
(本実施形態の効果)
本実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
【0060】
本実施形態では、上記のように、単一の操作部3により受け付けた操作に基づいて、ロボット1および2を動作させる制御を行う制御部4を設ける。これにより、操作者が単一の操作部3を操作することにより、ロボット1および2を連携して動作させることができる。これにより、操作者が操作部3を用いて任意の操作により複数のロボット1および2を連携して動作させて作業を行うことができる。また、単一の操作部3により複数のロボット1および2を操作することができるので、複数のロボット1および2を別個の操作部により各々操作する場合と比べて、操作者による操作を容易に行うことができる。その結果、操作者の負担が増大するのを抑制することができるので、容易に複数のロボット1および2により連携して作業を行うことができる。
【0061】
また、本実施形態では、上記のように、制御部4は、単一の操作部3による操作に基づいて、ロボット1を動作させ、ロボット1の動作に追従するようにロボット2を動作させる制御を行う。これにより、単一の操作部3によりロボット1を操作することにより、ロボット1の動作に追従してロボット2を動作させることができるので、ロボット1およびロボット2が連携するように容易に操作することができる。
【0062】
また、本実施形態では、上記のように、制御部4は、単一の操作部3による操作に基づいて、ロボット1を動作させ、ロボット1の移動速度に基づいてロボット2を動作させる制御を行う。これにより、ロボット1の移動速度に合わせてロボット2が移動するように制御することができる。
【0063】
また、本実施形態では、上記のように、制御部4は、ロボット1およびロボット2により作業対象の作業物5を挟み込んで保持している場合に、所定の保持力が作業物5に作用するように、単一の操作部3による操作に基づいて、ロボット1およびロボット2を動作させる制御を行う。これにより、ロボット1および2により作業物5を挟み込んで保持している際に、常に保持力を作用させることができるので、作業物5を確実に保持することができる。
【0064】
また、本実施形態では、上記のように、制御部4は、操作部3により受け付ける操作者による操作の操作力と、ロボット1およびロボット2に加わる接触力と、ロボット1およびロボット2により作業物5を保持する保持力と、に基づいて、ロボット1およびロボット2を動作させる制御を行う。これにより、操作力と接触力と保持力とがバランスするように、ロボット1およびロボット2を連携して移動させることができる。
【0065】
また、本実施形態では、上記のように、制御部4は、操作部3により受け付ける操作者による操作の操作力と、ロボット1に加わる接触力と、作業物5を保持する保持力と、に基づいて、ロボット1の移動速度を決定するとともに、ロボット1の移動速度と、ロボット2に加わる接触力と、作業物5を保持する保持力と、に基づいて、ロボット2の移動速度を決定する。これにより、ロボット1の移動速度と、ロボット2に加わる接触力と、保持力とに基づいて、ロボット1の移動に合わせてロボット2を移動させる制御を容易に行うことができる。
【0066】
また、本実施形態では、上記のように、制御部4は、接触力に基づいて、保持力の大きさを変化させて、単一の操作部3による操作に基づいてロボット1およびロボット2を動作させる制御を行う。これにより、状況に応じて保持力を変更させることができるので、作業物5の保持および開放を容易に切り替えることができる。また、接触力を検知したタイミングで把持力を発生させることができる。
【0067】
また、本実施形態では、上記のように、制御部4は、ロボット1およびロボット2により作業物5を保持している場合に、ロボット1の位置およびロボット2の位置に基づいて、ロボット1およびロボット2を動作させる制御点を決定する。これにより、ロボット1の位置およびロボット2の位置から、保持している作業物5を移動させやすい制御点を設定することができるので、操作者がロボット1および2により作業物5を移動させる操作を直感的に行うことができる。
【0068】
また、本実施形態では、上記のように、制御部4は、ロボット1およびロボット2により作業物5を保持している場合に、制御点を作業物5の内部または表面の位置に決定する。これにより、ロボット1および2を動作させる制御点を作業物5の位置に設定することができるので、操作者がロボット1および2により作業物5を移動させる操作をより直感的に行うことができる。
【0069】
また、本実施形態では、上記のように、制御部4は、ロボット1およびロボット2により作業物5を挟み込んで把持して作業物5を保持するように、単一の操作部3による操作に基づいて、ロボット1およびロボット2を動作させる制御を行う。これにより、ロボット1および2により作業物5を挟み込んで把持して、作業物5に対して作業を行うことができる。
【0070】
また、本実施形態では、上記のように、制御部4は、ロボット1とロボット2との間の近づく距離に応じて、ロボット1およびロボット2が互いに遠ざかる方向に作用する斥力を決定して、単一の操作部3による操作に基づいてロボット1およびロボット2を動作させる制御を行う。これにより、ロボット1および2を連携して動作させる場合に、ロボット1および2が互いに近づき過ぎるのを抑制することができるので、ロボット1および2が互いに干渉するのを抑制することができる。
【0071】
また、本実施形態では、上記のように、操作部3に対する操作によりロボット1を単独で動作させる第1モードと、操作部3に対する操作によりロボット2を単独で動作させる第2モードと、操作部3に対する操作によりロボット1およびロボット2を連携させて動作させる第3モードと、を切り替え可能である。これにより、ロボット1および2を各々単独で動作させて、所望の位置に配置してから、ロボット1および2を連携させて動作させることができる。
【0072】
また、本実施形態では、上記のように、単一の操作部3の操作に基づいて、仮想的にロボット1およびロボット2を動作させるシミュレーションを行うシミュレーション制御部4をさらに備える。これにより、ロボット1および2の動作を操作する単一の操作部3を用いて、仮想的にロボット1および2を動作させるシミュレーションを行うことができる。
【0073】
また、本実施形態では、上記のように、操作部3の操作を、ロボット1およびロボット2をシミュレーションにより動作させるシミュレーション環境と、ロボット1およびロボット2を実際に動作させる実環境と、に切り替え可能である。これにより、ロボットシステム100において、シミュレーション環境と実環境とをシームレスで切り替えることができる。
【0074】
また、本実施形態では、上記のように、ロボット1およびロボット2の作業状況を提示する情報提示部をさらに備え、情報提示部は、表示部、操作部3、および、周辺機器のうち少なくとも1つを含む。これにより、情報提示部8による提示により、ロボット1および2の作業状況を、操作者が容易に確認することができる。
【0075】
また、本実施形態では、上記のように、情報提示部は、ロボット1およびロボット2の動作範囲、ロボット1およびロボット2の動作速度、ロボット1およびロボット2に加わる接触力、ロボット1およびロボット2の先端の向き、のうち少なくとも1つを含む作業状況を、表示して提示する。これにより、操作者がロボット1および2の作業状況を、容易に認識することができる。
【0076】
(変形例)
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更(変形例)が含まれる。
【0077】
たとえば、上記実施形態では、産業用または医療用のロボットに本発明を適用する例を示したが、これに限られない。たとえば、人型ロボットに本発明を適用してもよい。
【0078】
また、上記実施形態では、ロボットが6軸の垂直関節を含む例を示したが、これに限られない。たとえば、ロボットが5軸以下または7軸以上の関節を含んでいてもよい。また、水平多関節のロボットを用いてもよい。
【0079】
また、上記実施形態では、ロボットシステムに2台のロボットが設けられている例を示したが、これに限られない。たとえば、ロボットシステムに3台以上のロボットが設けられていてもよい。この場合、単一の操作部により3台以上のロボットが操作されるようにしてもよい。この場合、3台目以降のロボットは、第1ロボットに動作に基づいて移動速度が算出されて動作するようにしてもよい。
【0080】
また、上記実施形態では、情報提示部が表示部を含む例を示したが、これに限られない。たとえば、情報提示部が、表示部、操作部、および、周辺機器のうち少なくとも1つを含んでいてもよい。
【0081】
また、上記実施形態では、情報提示部が、第1ロボットおよび第2ロボットの動作範囲、第1ロボットおよび第2ロボットの動作速度、第1ロボットおよび第2ロボットに加わる接触力、および、第1ロボットおよび第2ロボットの先端の向き、を含む作業状況を、表示して提示する例を示したが、これに限られない。情報提示部が、第1ロボットおよび第2ロボットの動作範囲、第1ロボットおよび第2ロボットの動作速度、第1ロボットおよび第2ロボットに加わる接触力、第1ロボットおよび第2ロボットの先端の向き、のうち少なくとも1つを含む作業状況を、表示して提示してもよい。
【0082】
また、上記実施形態では、第1ロボットおよび第2ロボットを、共通の制御部により動作させる例を示したが、これに限られない。たとえば、第1ロボットおよび第2ロボットの各々に、操作部および制御部が設けられ、第1ロボットおよび第2ロボットを互いに独立して動作させることが可能であるとともに、必要に応じて、共通の操作部の操作に基づいて、各々の制御部が協調制御を行い、第1ロボットおよび第2ロボットを連携して動作させてもよい。この場合、第1ロボットの操作部からの信号が第2ロボットの制御部に送られ、第2ロボットの協調制御が実行されてもよい。その際に、第2ロボットの操作部から協調制御に切り替える信号を出してもよいし、第1ロボットの操作部から協調制御に切り替える信号を出してもよいし、より上位のシステムで協調制御のコマンドを実行してもよい。
【0083】
本明細書で開示する要素の機能は、開示された機能を実行するよう構成またはプログラムされた汎用プロセッサ、専用プロセッサ、集積回路、ASIC(Application Specific Integrated Circuits)、従来の回路、および/または、それらの組み合わせ、を含む回路または処理回路を使用して実行できる。プロセッサは、トランジスタやその他の回路を含むため、処理回路または回路と見なされる。本開示において、回路、ユニット、または手段は、列挙された機能を実行するハードウェアであるか、または、列挙された機能を実行するようにプログラムされたハードウェアである。ハードウェアは、本明細書に開示されているハードウェアであってもよいし、あるいは、列挙された機能を実行するようにプログラムまたは構成されているその他の既知のハードウェアであってもよい。ハードウェアが回路の一種と考えられるプロセッサである場合、回路、手段、またはユニットはハードウェアとソフトウェアの組み合わせであり、ソフトウェアはハードウェアおよび/またはプロセッサの構成に使用される。
【符号の説明】
【0084】
1 ロボット(第1ロボット)
2 ロボット(第2ロボット)
3 操作部
4 制御部
5 作業物
6 表示部
7 シミュレーション制御部
8 情報提示部
100 ロボットシステム