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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024093397
(43)【公開日】2024-07-09
(54)【発明の名称】コイル部品の製造方法及びコイル部品
(51)【国際特許分類】
   H01F 41/12 20060101AFI20240702BHJP
   H01F 41/04 20060101ALI20240702BHJP
   H01F 17/04 20060101ALI20240702BHJP
   H01F 27/29 20060101ALI20240702BHJP
   H01F 27/28 20060101ALI20240702BHJP
   H01F 27/32 20060101ALI20240702BHJP
   H01F 37/00 20060101ALI20240702BHJP
【FI】
H01F41/12 C
H01F41/04 B
H01F17/04 A
H01F27/29 H
H01F27/29 Q
H01F27/28 147
H01F27/32 170
H01F37/00 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022209758
(22)【出願日】2022-12-27
(71)【出願人】
【識別番号】000134257
【氏名又は名称】株式会社トーキン
(74)【代理人】
【識別番号】100117341
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 拓哉
(74)【代理人】
【識別番号】100148840
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 健志
(74)【代理人】
【識別番号】100191673
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邉 久典
(72)【発明者】
【氏名】斎藤 嘉宏
(72)【発明者】
【氏名】関口 竣也
(72)【発明者】
【氏名】安倍 知宏
(72)【発明者】
【氏名】香坂 次郎
(72)【発明者】
【氏名】二階堂 好伸
【テーマコード(参考)】
5E043
5E044
5E062
5E070
【Fターム(参考)】
5E043AA02
5E043AB02
5E043EA01
5E044AB01
5E044AC01
5E044AC05
5E044AD02
5E062FF01
5E062FF02
5E070AA01
5E070AB02
5E070BB03
5E070CA15
5E070DA13
5E070EA06
(57)【要約】
【課題】予備成型体及び追加材料を用いても、予備成型体と、追加材料が硬化して形成された部分との界面において剥離が生じない、コイル部品の製造方法を提供する。
【解決手段】コイル部材200と、磁性コアとを備えるコイル部品の製造方法であって、磁性粉末と、未硬化又は半硬化の熱硬化性樹脂とを含む所定材料からなる予備成型体500を用意する用意工程と、予備成型体500とコイル部材200とを組み合わせた中間組立体600を金型内に配置する配置工程と、所定材料と同じ材料である追加材料400を、中間組立体600が見えなくなるように金型700内に投入する、投入工程と、予備成型体500及び追加材料400を、所定材料及び追加材料400に含まれる熱硬化性樹脂が溶融する所定温度で加熱しながら加圧して、予備成型体500と追加材料400とを一体化しつつ硬化する、硬化工程とを備えるコイル部品の製造方法である。
【選択図】図16
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コイル部材と、磁性コアとを備えるコイル部品の製造方法であって、
予備成型体を用意する用意工程であって、前記予備成型体は、磁性粉末と、未硬化又は半硬化の熱硬化性樹脂とを含む所定材料からなり、且つ、平板部を有する、用意工程と、
前記予備成型体と前記コイル部材とを組み合わせた中間組立体を金型内に配置する配置工程であって、前記コイル部材は、主部と、第1延部と、第2延部とを有しており、前記主部は、導線を巻回して構成されており、前記第1延部及び前記第2延部は、前記主部の両端から夫々延びており、前記第1延部は、第1端子部を有しており、前記第2延部は、第2端子部を有しており、前記平板部は、前記第1端子部及び前記第2端子部の夫々と平行になっている、配置工程と、
前記所定材料と同じ材料である追加材料を、前記中間組立体が見えなくなるように前記金型内に投入する、投入工程と、
前記予備成型体及び前記追加材料を、前記所定材料及び前記追加材料に含まれる前記熱硬化性樹脂が溶融する所定温度で加熱しながら加圧して、前記予備成型体と前記追加材料とを一体化しつつ硬化する、硬化工程とを備えており、
前記硬化工程が終了したとき、前記予備成型体及び前記追加材料は、前記磁性コアを構成し、前記主部は、前記磁性コアに埋設されており、前記第1端子部及び前記第2端子部の夫々は、前記磁性コアの底面と平行に延びている
コイル部品の製造方法。
【請求項2】
請求項1記載のコイル部品の製造方法であって、
前記予備成型体は、柱状部を更に有しており、
前記配置工程において、前記柱状部は、前記主部内に挿入されており、
前記第1延部は、前記第1端子部に加えて、第1水平部と、第1垂直部とを有しており、
前記第1水平部は、前記主部から所定方向に延びており、
前記第1垂直部は、前記第1水平部から前記所定方向と直交する上下方向において下方に延びており、
前記第1端子部は、前記第1垂直部から前記所定方向に延びており、
前記所定方向において、前記第1垂直部は、前記第1水平部と前記第1端子部との間に位置しており、
前記第2延部は、前記第2端子部に加えて、第2水平部と、第2垂直部とを有しており、
前記第2水平部は、前記主部から前記所定方向に延びており、
前記第2垂直部は、前記第2水平部から前記上下方向において下方に延びており、
前記第2端子部は、前記第2垂直部から前記所定方向に延びており、
前記所定方向において、前記第2垂直部は、前記第2水平部と前記第2端子部との間に位置している
コイル部品の製造方法。
【請求項3】
コイル部材と、磁性コアとを備えるコイル部品であって、
前記コイル部材は、主部と、第1延部と、第2延部とを有しており、
前記主部は、導線を巻回して構成されており
前記第1延部及び前記第2延部は、前記主部の両端から夫々延びており、
前記第1延部は、第1端子部を有しており、
前記第2延部は、第2端子部を有しており、
前記主部は、前記磁性コアに埋設されており、
前記第1端子部及び前記第2端子部の夫々は、前記磁性コアの底面と平行に延びている
コイル部品。
【請求項4】
請求項3記載のコイル部品であって、
前記主部の底面は、前記磁性コアの前記底面と平行であり、
前記第1延部は、前記第1端子部に加えて、第1水平部と、第1垂直部とを有しており、
前記第1水平部は、前記主部から所定方向に延びており、
前記第1垂直部は、前記第1水平部から前記所定方向と直交する上下方向において下方に延びており、
前記第1端子部は、前記第1垂直部から前記所定方向に延びており、
前記所定方向において、前記第1垂直部は、前記第1水平部と前記第1端子部との間に位置しており、
前記第2延部は、前記第2端子部に加えて、第2水平部と、第2垂直部とを有しており、
前記第2水平部は、前記主部から前記所定方向に延びており、
前記第2垂直部は、前記第2水平部から前記上下方向において下方に延びており、
前記第2端子部は、前記第2垂直部から前記所定方向に延びており、
前記所定方向において、前記第2垂直部は、前記第2水平部と前記第2端子部との間に位置している
コイル部品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コイル部品の製造方法及びそれによって製造されるコイル部品に関する。
【背景技術】
【0002】
図21に示されるように、特許文献1には、コイル(コイル部材)910と、磁性体コア(予備成型体)920と、磁性カバー部940とを備えるコイル部品900が開示されている。ここで、磁性カバー部940は、磁性粉末と、熱硬化性樹脂とを含む材料から形成されている。
【0003】
図21及び図22を参照して、特許文献1のコイル部品900は、以下のように製造される:予備成型体920を用意する;予備成型体920にコイル部材910を取り付けてコイル組立体930を形成する;コイル組立体930を内筒部(金型)960内に配置すると共に、磁性粉末と熱硬化性樹脂とを含む混合材(追加材料)950を金型960内に投入する;追加材料950に対して+Z方向から加圧し、コイル組立体930と追加材料950とを一体化させる;追加材料950を、追加材料950に含まれる熱硬化性樹脂の熱硬化温度以上に加熱して硬化させることにより、磁性カバー部940を形成する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第6885092号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
予備成型体及び追加材料を用いてコイル部品を製造する場合、予備成型体と、追加材料が硬化して形成された部分との界面において剥離が生じる場合がある。
【0006】
そこで、本発明は、予備成型体及び追加材料を用いても、予備成型体と、追加材料が硬化して形成された部分との界面において剥離が生じない、コイル部品の製造方法を提供することを目的とする。また、本発明は、その製造方法により製造されたコイル部品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、第1のコイル部品の製造方法として、
コイル部材と、磁性コアとを備えるコイル部品の製造方法であって、
予備成型体を用意する用意工程であって、前記予備成型体は、磁性粉末と、未硬化又は半硬化の熱硬化性樹脂とを含む所定材料からなり、且つ、平板部を有する、用意工程と、
前記予備成型体と前記コイル部材とを組み合わせた中間組立体を金型内に配置する配置工程であって、前記コイル部材は、主部と、第1延部と、第2延部とを有しており、前記主部は、導線を巻回して構成されており、前記第1延部及び前記第2延部は、前記主部の両端から夫々延びており、前記第1延部は、第1端子部を有しており、前記第2延部は、第2端子部を有しており、前記平板部は、前記第1端子部及び前記第2端子部の夫々と平行になっている、配置工程と、
前記所定材料と同じ材料である追加材料を、前記中間組立体が見えなくなるように前記金型内に投入する、投入工程と、
前記予備成型体及び前記追加材料を、前記所定材料及び前記追加材料に含まれる前記熱硬化性樹脂が溶融する所定温度で加熱しながら加圧して、前記予備成型体と前記追加材料とを一体化しつつ硬化する、硬化工程とを備えており、
前記硬化工程が終了したとき、前記予備成型体及び前記追加材料は、前記磁性コアを構成し、前記主部は、前記磁性コアに埋設されており、前記第1端子部及び前記第2端子部の夫々は、前記磁性コアの底面と平行に延びている
コイル部品の製造方法を提供する。
【0008】
また、本発明は、第2のコイル部品の製造方法として、第1のコイル部品の製造方法であって、
前記予備成型体は、柱状部を更に有しており、
前記配置工程において、前記柱状部は、前記主部内に挿入されており、
前記第1延部は、前記第1端子部に加えて、第1水平部と、第1垂直部とを有しており、
前記第1水平部は、前記主部から所定方向に延びており、
前記第1垂直部は、前記第1水平部から前記所定方向と直交する上下方向において下方に延びており、
前記第1端子部は、前記第1垂直部から前記所定方向に延びており、
前記所定方向において、前記第1垂直部は、前記第1水平部と前記第1端子部との間に位置しており、
前記第2延部は、前記第2端子部に加えて、第2水平部と、第2垂直部とを有しており、
前記第2水平部は、前記主部から前記所定方向に延びており、
前記第2垂直部は、前記第2水平部から前記上下方向において下方に延びており、
前記第2端子部は、前記第2垂直部から前記所定方向に延びており、
前記所定方向において、前記第2垂直部は、前記第2水平部と前記第2端子部との間に位置している
コイル部品の製造方法を提供する。
【0009】
また、本発明は、第1のコイル部品として、
コイル部材と、磁性コアとを備えるコイル部品であって、
前記コイル部材は、主部と、第1延部と、第2延部とを有しており、
前記主部は、導線を巻回して構成されており
前記第1延部及び前記第2延部は、前記主部の両端から夫々延びており、
前記第1延部は、第1端子部を有しており、
前記第2延部は、第2端子部を有しており、
前記主部は、前記磁性コアに埋設されており、
前記第1端子部及び前記第2端子部の夫々は、前記磁性コアの底面と平行に延びている
コイル部品を提供する。
【0010】
また、本発明は、第2コイル部品として、第1のコイル部品であって、
前記主部の底面は、前記磁性コアの前記底面と平行であり、
前記第1延部は、前記第1端子部に加えて、第1水平部と、第1垂直部とを有しており、
前記第1水平部は、前記主部から所定方向に延びており、
前記第1垂直部は、前記第1水平部から前記所定方向と直交する上下方向において下方に延びており、
前記第1端子部は、前記第1垂直部から前記所定方向に延びており、
前記所定方向において、前記第1垂直部は、前記第1水平部と前記第1端子部との間に位置しており、
前記第2延部は、前記第2端子部に加えて、第2水平部と、第2垂直部とを有しており、
前記第2水平部は、前記主部から前記所定方向に延びており、
前記第2垂直部は、前記第2水平部から前記上下方向において下方に延びており、
前記第2端子部は、前記第2垂直部から前記所定方向に延びており、
前記所定方向において、前記第2垂直部は、前記第2水平部と前記第2端子部との間に位置している
コイル部品を提供する。
【発明の効果】
【0011】
本発明のコイル部品の製造方法は、予備成型体及び追加材料を、所定材料及び追加材料に含まれる熱硬化性樹脂が溶融する所定温度で加熱しながら加圧して、予備成型体と追加材料とを一体化しつつ硬化する、硬化工程を備えている。これにより、本発明のコイル部品の製造方法の硬化工程においては、溶融した熱硬化性樹脂が交じり合うと共に磁性粉末が溶融した熱硬化性樹脂内を流動し、所定材料と追加材料とが一体となった後に硬化されることとなる。即ち、本発明のコイル部品の製造方法によれば、予備成型体及び追加材料を用いても、予備成型体と、追加材料が硬化して形成された部分との界面において剥離が生じることがない。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の実施の形態によるコイル部品を示す上側斜視図である。
図2図1のコイル部品を示す別の上側斜視図である。図において、コイル部材を点線で示している。
図3図1のコイル部品を示す下側斜視図である。
図4図3のコイル部品を示す別の下側斜視図である。図において、コイル部材を点線で示している。
図5図3のコイル部品を示す別の下側斜視図である。図において、コイル部品のメッキ層は省略されている。
図6図2のコイル部品に含まれるコイル部材を示す上側斜視図である。
図7図6のコイル部材を示す上面図である。
図8図6のコイル部材を示す正面図である。
図9図6のコイル部材を示す側面図である。
図10図2のコイル部品の製造に用いられる予備成型体を示す上側斜視図である。
図11図10の予備成型体を示す上面図である。
図12図10の予備成型体を示す正面図である。
図13図2のコイル部品の製造方法を示すフローチャートである。
図14図13の製造方法に使用される製造装置を概略的に示す断面図である。
図15図14の製造装置を概略的に示す別の断面図である。
図16図14の製造装置を概略的に示す別の断面図である。
図17図14の製造装置を概略的に示す別の断面図である。
図18図14の製造装置を概略的に示す別の断面図である。
図19図13の製造方法の変形例を示すフローチャートである。
図20図19の製造方法に使用される製造装置を概略的に示す断面図である。
図21】特許文献1のコイル部品を示す斜視図である。
図22図21のコイル部品の製造装置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図2に示されるように、本発明の実施の形態によるコイル部品100は、コイル部材200と、磁性コア300とを備えている。
【0014】
(コイル部材)
図6に示されるように、本実施の形態のコイル部材200は、主部210と、第1延部230と、第2延部240とを有している。
【0015】
(主部)
図2に示されるように、本実施の形態の主部210は、磁性コア300に埋設されている。図6に示されるように、主部210は、導線(平角導線)212を巻回して構成されている。より具体的には、主部210は、絶縁コートされた平角導線212をエッジワイズ巻きして構成されている。即ち、主部210は、平角導線212のみから構成されており、主部210には平角導線212以外のリードフレームなどの他の導体は接続されていない。図9に示されるように、主部210は、上下方向において上面213と、底面214を有している。上面213は、上下方向において上方を向いている。底面214は、上下方向において下方を向いている。上面213は、上下方向において底面214の上方に位置している。図6に示されるように、主部210は、孔215を有している。孔215は、主部210を上下方向に貫通している。本実施の形態において、上下方向はZ方向である。ここで、上方は+Z方向であり、下方は-Z方向である。
【0016】
(第1延部,第2延部)
図7に示されるように、本実施の形態の第1延部230及び第2延部240は、主部210の両端から夫々延びている。第1延部230及び第2延部240の夫々は、平角導線212の一部である。第1延部230及び第2延部240は、主部210の幅方向両端に夫々位置している。本実施の形態において、幅方向はY方向である。
【0017】
(第1延部)
図6に示されるように、第1延部230は、第1端子部232を有している。
【0018】
(第1端子部)
図7に示されるように、本実施の形態の第1端子部232は、幅方向と直交する所定方向に延びている。本実施の形態において、所定方向はX方向である。また、所定方向は、前後方向でもある。ここで、+X方向を前方とし、-X方向を後方とする。第1端子部232は、幅方向及び所定方向の双方と直交する上下方向と交差する平板形状を有している。
【0019】
図6に示されるように、第1延部230は、第1端子部232に加えて、第1水平部234と、第1垂直部236とを有している。
【0020】
(第1水平部)
図7に示されるように、本実施の形態の第1水平部234は、主部210から所定方向に延びている。即ち、第1水平部234は、主部210から前後方向における前方に延びている。
【0021】
(第1垂直部)
図6に示されるように、本実施の形態の第1垂直部236は、第1水平部234から所定方向と直交する上下方向において下方に延びている。第1端子部232は、第1垂直部236から所定方向に延びている。即ち、第1端子部232は、第1垂直部236から前後方向における前方に延びている。所定方向において、第1垂直部236は、第1水平部234と第1端子部232との間に位置している。第1垂直部236は、第1水平部234の前後方向における前方に位置している。第1垂直部236は、第1端子部232の前後方向における後方に位置している。
【0022】
(第2延部)
図6に示されるように、第2延部240は、第2端子部242を有している。
【0023】
(第2端子部)
図7に示されるように、本実施の形態の第2端子部242は、所定方向に延びている。即ち、第2端子部242は、前後方向に延びている。第2端子部242は、所定方向と直交する上下方向と交差する平板形状を有している。
【0024】
図6に示されるように、第2延部240は、第2端子部242に加えて、第2水平部244と、第2垂直部246とを有している。
【0025】
(第2水平部)
図7に示されるように、本実施の形態の第2水平部244は、主部210から所定方向に延びている。即ち、第2水平部244は、主部210から前後方向における前方に延びている。
【0026】
(第2垂直部)
図6に示されるように、本実施の形態の第2垂直部246は、第2水平部244から上下方向において下方に延びている。第2端子部242は、第2垂直部246から所定方向に延びている。即ち、第2端子部242は、第2垂直部246から前後方向における前方に延びている。所定方向において、第2垂直部246は、第2水平部244と第2端子部242との間に位置している。第2垂直部246は、第2水平部244の前後方向における前方に位置している。第2垂直部246は、第2端子部242の前後方向における後方に位置している。
【0027】
(磁性コア)
図1を参照して、本実施の形態の磁性コア300は、磁性粉末402,512と、硬化した熱硬化性樹脂320からなるものである。本実施の形態の磁性粉末402,512の材料には、特に限定はなく、例えば、純鉄、ナノ結晶、センダスト、Fe-Si合金、アモルファス合金などを用いることができる。本実施の形態の熱硬化性樹脂320は、エポキシ樹脂である。磁性コア300は、上下方向において上面302と、底面304と、端面306とを有している。上面302は、コイル部材200の上下方向における上端を規定している。底面304は、磁性コア300の上下方向における下端を規定している。端面306は、上下方向において上面302と底面304との間に位置している。端面306は、上下方向と直交する方向において外側を向いている。図4及び図5を参照して、主部210の底面214は、磁性コア300の底面304と平行である。第1端子部232は、磁性コア300の底面304と平行に延びている。第2端子部242は、磁性コア300の底面304と平行に延びている。
【0028】
図3に示されるように、本実施の形態のコイル部品100は、メッキ層350を更に有している。
【0029】
(メッキ層)
図3及び図5を参照して、本実施の形態のメッキ層350は、第1端子部232及び第2端子部242を覆っている。
【0030】
(コイル部品の製造方法)
図13を参照して、本実施の形態のコイル部品100の製造方法を以下詳述する。
【0031】
本実施の形態のコイル部品100の製造方法は、用意工程(STEP1)と、配置工程(STEP2)と、投入工程(STEP3)と、硬化工程(STEP4)と、メッキ工程(STEP5)とを備えている。用意工程(STEP1)と、配置工程(STEP2)と、投入工程(STEP3)と、硬化工程(STEP4)と、メッキ工程(STEP5)とは、順に実施される。
【0032】
まず初めに、図10から図12までを参照して、予備成型体500を用意する用意工程(STEP1)を遂行する。ここで、この予備成型体500は、磁性粉末512と、未硬化又は半硬化の熱硬化性樹脂514とを含む所定材料510からなるものである。より詳しくは、予備成型体500は、磁性粉末512と、未硬化又は半硬化の熱硬化性樹脂514とを含む所定材料510を、加熱することなく圧縮成形したものである。本実施の形態の磁性粉末512の材料には、特に限定はなく、例えば、純鉄、ナノ結晶、センダスト、Fe-Si合金、アモルファス合金などを用いることができる。本実施の形態の熱硬化性樹脂514は、エポキシ樹脂である。また、予備成型体500は、柱状部520と、平板部530とを有している。なお、本発明はこれに限定されず、予備成型体500は、柱状部520を有さなくてもよい。即ち、予備成型体500は、平板部530のみを有していればよい。柱状部520は、平板部530から上下方向に延びている。柱状部520は、上下方向と直交する面内において円形の断面を有している。平板部530は、上下方向と直交する平板形状を有している。平板部530は、上下方向に均一な厚さを有している。平板部530は、上下方向と直交する面内において円形の断面を有している。柱状部520の円形の断面の直径は、平板部530の円形の断面の直径よりも小さい。平板部530は、上下方向において柱状部520の下方に位置している。柱状部520と平板部530とは上下方向において互いに連結されている。平板部530は、上下方向において上面532及び底面534を有している。上面532は、上下方向において上方を向いている。底面534は、上下方向において下方を向いている。上面532は、上下方向において底面534の上方に位置している。上面532及び底面534の夫々は、上下方向と直交する平面である。平板部530は、上下方向と直交する方向に向いた側面536を有している。側面536は、上下方向において上面532と底面534との間に位置している。
【0033】
なお、本実施の形態における半硬化とは、予備成型体500が完全に硬化する前の状態を意味し、半硬化であるか否かは、例えば、DSC(Differential Scanning Calorimetry:示差走査熱量測定)で測定された予備成型体500の発熱量に基づいて判断することができる。詳しくは、未硬化の予備成型体500の発熱量がC0、検査対象の予備成型体500の発熱量がC1であるとき、以下の式で算出される検査対象の予備成型体500の硬化度(%)が、0%を超え、且つ、100%未満である場合、検査対象の予備成型体500が「半硬化」であると判断できる。
【0034】
硬化度(%)=[1-(C1/C0)]×100
【0035】
次に、図14及び図15を参照して、配置工程(STEP2)を遂行する。この配置工程(STEP2)においては、予備成型体500とコイル部材200とを組み合わせた中間組立体600を金型700内に配置する。ここで、金型700は、平板状の第1金型710と、角筒状の第2金型720と、平板状の第3金型730とで構成されており、第1金型710と第2金型720とを組み合わせることにより凹部740が形成されるようになっている。第2金型720は、上下方向において第1金型710の上方に位置している。第3金型730は、上下方向において第2金型720の上方に位置している。また、コイル部材200は、主部210と、第1延部230と、第2延部240とを有している。主部210は、導線212を巻回して構成されている。第1延部230及び第2延部240は、主部210の両端から夫々延びている。第1延部230は、第1端子部232と、第1水平部234と、第1垂直部236とを有している。第1水平部234は、主部210から所定方向に延びている。第1垂直部236は、第1水平部234から所定方向と直交する上下方向において下方に延びている。第1端子部232は、第1垂直部236から所定方向に延びている。所定方向において、第1垂直部236は、第1水平部234と第1端子部232との間に位置している。第2延部240は、第2端子部242と、第2水平部244と、第2垂直部246とを有している。第2水平部244は、主部210から所定方向に延びている。第2垂直部246は、第2水平部244から上下方向において下方に延びている。第2端子部242は、第2垂直部246から所定方向に延びている。所定方向において、第2垂直部246は、第2水平部244と第2端子部242との間に位置している。第1端子部232及び第2端子部242は、粘着シート650に貼り付けられている。予備成型体500の柱状部520は、主部210内に挿入されている。より詳しくは、柱状部520は、主部210の孔215内に挿入されている。平板部530は、第1端子部232及び第2端子部242の夫々と平行になっている。平板部530の底面534は、粘着シート650に貼り付けられている。なお、導線212は、予備成型体500の平板部530の底面534までは引き回されていない。
【0036】
具体的には、この配置工程(STEP2)においては、まず、粘着シート650に、予備成型体500の平板部530の底面534を貼り付ける。次に、予備成型体500の柱状部520が、コイル部材200の主部210の孔215を通るように、コイル部材200の主部210を、予備成型体500の平板部530の上面532上に配置すると共に、コイル部材200の主部210の第1端子部232及び第2端子部242を、粘着シート650に貼り付ける。このように、粘着シート650に貼り付けられた予備成型体500と、コイル部材200とを組み合わせて、中間組立体600を形成する。その後、粘着シート650に貼り付けられた中間組立体600を、予め組み合わせられた第1金型710と第2金型720とによって形成された凹部740内に配置する。
【0037】
また、第1金型710と第2金型720との組み合わせを、中間組立体600の形成後に行ってもよい。即ち、以下の方法により、粘着シート650に貼り付けられた中間組立体600を金型700の凹部740内に配置してもよい。まず、第1金型710上に配置された粘着シート650に、予備成型体500の平板部530の底面534を貼り付ける。次に、予備成型体500の柱状部520が、コイル部材200の主部210の孔215を通るように、コイル部材200の主部210を、予備成型体500の平板部530の上面532上に配置すると共に、コイル部材200の主部210の第1端子部232及び第2端子部242を、粘着シート650に貼り付ける。このように、第1金型710上に配置された粘着シート650に貼り付けられた予備成型体500と、コイル部材200とを組み合わせて、中間組立体600を形成する。その後、第2金型720を、第1金型710に対して上方から組み合わせて、第2金型720の角筒内に中間組立体600を収容しつつ、凹部740を形成して、粘着シート650に貼り付けられた中間組立体600を金型700の凹部740内に配置する。
【0038】
なお、予備成型体500が平板部530のみを有している場合、配置工程(STEP2)において、コイル部材200は平板部530上に単に載置されることとなる。即ち、この場合、配置工程(STEP2)において、粘着シート650に予備成型体500の平板部530の底面534を貼り付けた後、コイル部材200の主部210を、予備成型体500の平板部530の上面532上に配置すると共に、コイル部材200の主部210の第1端子部232及び第2端子部242を、粘着シート650に貼り付けて、粘着シート650に貼り付けられた予備成型体500と、コイル部材200とを組み合わせた中間組立体600を形成したうえで、粘着シート650に貼り付けられた中間組立体600を、金型700の凹部740内に配置することとなる。また、この場合においても、第1金型710と第2金型720との組み合わせを、中間組立体600の形成後に行ってもよい。即ち、第1金型710上に配置された粘着シート650に、予備成型体500の平板部530の底面534を貼り付けた後、コイル部材200の主部210を、予備成型体500の平板部530の上面532上に配置すると共に、コイル部材200の主部210の第1端子部232及び第2端子部242を、粘着シート650に貼り付けて、粘着シート650に貼り付けられた予備成型体500と、コイル部材200とを組み合わせた中間組立体600を形成したうえで、第2金型720を、第1金型710に対して上方から組み合わせて、第2金型720の角筒内に中間組立体600を収容しつつ、凹部740を形成して、粘着シート650に貼り付けられた中間組立体600を金型700の凹部740内に配置してもよい。
【0039】
上述のように、この配置工程(STEP2)では、第1端子部232、第2端子部242及び平板部530の底面534は、粘着シート650に貼り付けられており、粘着シート650に貼り付けられた中間組立体600が金型700内に配置されている。これにより、予備成型体500の平板部530の底面534、第1端子部232及び第2端子部242は、面一となっている。即ち、予備成型体500の平板部530の底面534、第1端子部232及び第2端子部242は、上下方向において同じ位置に位置している。
【0040】
また上述のように、この配置工程(STEP2)では、コイル部材200の主部210は、金型700の凹部740内において予備成型体500の平板部530の上面532上に配置される。即ち、金型700の凹部740内におけるコイル部材200の主部210の上下方向の位置は、予備成型体500の平板部530によって固定されることになる。なお、平板部530は、金型700の凹部740内におけるコイル部材200の主部210の上下方向の位置を固定できる限り、どのような形状及びサイズを有していてもよい。
【0041】
図15を参照して、配置工程(STEP2)の遂行後、投入工程(STEP3)を遂行する。この投入工程(STEP3)においては、所定材料510と同じ材料である追加材料400を、中間組立体600が見えなくなるように金型700内に投入する、即ち、この投入工程(STEP3)においては、所定材料510と同じ材料である追加材料400を、中間組立体600及び粘着シート650が上方から見えなくなるように凹部740内に投入する。なお、追加材料400は、磁性粉末402と、未硬化又は半硬化の熱硬化性樹脂404とを含んでおり、磁性粉末402は、磁性粉末512と同じであり、熱硬化性樹脂404は、熱硬化性樹脂514と同じである。また、投入工程(STEP3)の遂行後においては、中間組立体600及び粘着シート650の上方には、追加材料400が堆積していることとなる。
【0042】
図16及び図17を参照して、投入工程(STEP3)の遂行後、硬化工程(STEP4)を遂行する。この硬化工程(STEP4)においては、予備成型体500及び追加材料400を、所定材料510及び追加材料400に含まれる熱硬化性樹脂514,404が溶融する所定温度で加熱しながら加圧して、予備成型体500と追加材料400とを一体化しつつ硬化する。
【0043】
より詳しくは、この硬化工程(STEP4)においては、金型700を加熱しつつ、凹部740内に充填された追加材料400を第3金型730によって上方から所定の成型圧力で加圧することにより、予備成型体500及び追加材料400を、所定材料510及び追加材料400に含まれる熱硬化性樹脂514,404が溶融する所定温度で加熱しながら加圧して、予備成型体500と追加材料400とを一体化しつつ硬化し、粗製品を得る。ここで、所定の成型圧力は、2~10MPaの範囲内である。また、溶融した熱硬化性樹脂514,404が流動することにより成型圧力が低圧でも粗製品の成型密度が頭打ちとなることや、成型圧力が高すぎると製造された磁性コア300において熱硬化性樹脂514,404が抜けてしまう虞があることから、所定の成型圧力は、5~10MPaの範囲内にあることがより好ましい。加えて、所定温度は、120~200℃の範囲内である。また、金型700内で熱硬化性樹脂514,404の硬化を可能としつつ、製造された磁性コア300が磁気特性や強度を満足する成型密度となるための所定材料510及び追加材料400の流動性を確保するため、所定温度は、160~180℃の範囲内にあることがより好ましい。
【0044】
硬化工程(STEP4)が終了したとき、予備成型体500及び追加材料400は、磁性コア300を構成し、主部210は、磁性コア300に埋設されており、第1端子部232及び第2端子部242の夫々は、磁性コア300の底面304と平行に延びている。また、硬化工程(STEP4)の遂行により、所定材料510及び追加材料400に含まれていた熱硬化性樹脂514,404は、硬化した熱硬化性樹脂320となる。更に、硬化工程(STEP4)の遂行により、予備成型体500の平板部530の底面534は、磁性コア300の底面304の一部となる。加えて、硬化工程(STEP4)の遂行により得られた粗製品の底面には、粘着シート650が露出した状態となっている。
【0045】
最後に、硬化工程(STEP4)の遂行後、メッキ工程(STEP5)を遂行する。このメッキ工程(STEP5)においては、硬化工程(STEP4)の遂行により得られた粗製品の底面を研磨し、研磨された底面上に露出した第1端子部232及び第2端子部242及びその周辺に対してメッキ処理を施す。これにより、本実施の形態のコイル部品100が得られる。なお、この研磨の際に、上述の粘着シート650は削り取られる。
【0046】
本実施の形態のコイル部品100の製造方法においては、上述のように、配置工程(STEP2)において、予備成型体500の平板部530の底面534、第1端子部232及び第2端子部242が面一となっている。これにより、製造されたコイル部品100の底面まで磁性粉末512が詰まっており、限られたサイズにおいて優れた磁気特性を有することができるようになっている。
【0047】
また、本実施の形態のコイル部品100の製造方法においては、上述のように、用意工程(STEP1)で用意される予備成型体500を構成する所定材料510と、投入工程(STEP3)において金型700内に投入される追加材料400とが同じ材料となっている。これにより、硬化工程(STEP4)において、予備成型体500及び追加材料400を所定温度で加熱しながら加圧した際に、所定材料510からなる予備成型体500に由来する部分の線膨張率と、追加材料400に由来する部分の線膨張率との間に差が生じにくくなっている。
【0048】
更に、本実施の形態のコイル部品100の製造方法においては、上述のように、用意工程(STEP1)で用意される予備成型体500が、磁性粉末512と、未硬化又は半硬化の熱硬化性樹脂514とを含む所定材料510からなるものである。これにより、硬化工程(STEP4)において、所定材料510及び追加材料400に含まれる熱硬化性樹脂514,404が溶融し、所定材料510及び追加材料400に含まれる磁性粉末512,402が溶融した熱硬化性樹脂514,404と共に流動して、予備成型体500と追加材料400とが一体化するため、最終製品としてのコイル部品100の磁性コア300における、所定材料510からなる予備成型体500に由来する部分と、追加材料400に由来する部分との間に界面が生じない。また、硬化工程(STEP4)において、所定材料510及び追加材料400に含まれる熱硬化性樹脂514,404が溶融し、所定材料510及び追加材料400に含まれる磁性粉末512,402が溶融した熱硬化性樹脂514,404と共に流動することにより、成型圧力による主部210の残留応力が極小化されるため、製造されたコイル部品100の磁性コア300に割れが生じにくくなっている。
【0049】
更に加えて、本実施の形態のコイル部品100の製造方法においては、上述のように、用意工程(STEP1)で用意される予備成型体500は、上下方向に均一な厚さを有する平板部530を有している。これにより、本実施の形態のコイル部品100の製造方法で製造されたコイル部品100では、コイル部材200の主部210の底面214が、磁性コア300の底面304と平行になるように、コイル部材200を磁性コア300中に配置できるようになっている。これは、本実施の形態のコイル部品100の製造方法で製造されたコイル部品100では、磁性コア300の一部であってコイル部材200の主部210の底面214の下側に位置する一部の厚さが、均一になっていることを意味する。
【0050】
従来のコイル部品の製造方法として、予備成型体を用いるコイル部品の製造方法であって、予備成型体の平板部の上面から側面を経て底面にまで導線を引き回す工程を含む製造方法がある。このような製造方法の場合、予備成型体の平板部にある程度の強度が要求される。一方、本実施の形態のコイル部品100の製造方法においては、上述のように、配置工程(STEP2)において、導線212が、予備成型体500の平板部530の底面534までは引き回されていない。これにより、上記の従来のコイル部品の製造方法と比較して、本実施の形態のコイル部品100の製造方法における予備成型体500の平板部530は、導線212を引き回すために必要な強度までは要求されない。
【0051】
また、上記の従来のコイル部品の製造方法では、予備成型体の底面に導線を引き回すため、製造されたコイル部品の底部付近に、コイル部品の磁気的特性の向上に関与しない部分が必然的に生じることとなる。一方、本実施の形態のコイル部品100の製造方法によって製造されるコイル部品100の底部付近には、コイル部品100の磁気的特性の向上に関与しない部分が生じないため、コイル部品100の磁気特性を最大化できる。
【0052】
更に、上記の従来のコイル部品の製造方法と比較して、本実施の形態のコイル部品100の製造方法では、製造工程や製造設備の簡略化が図られる。
【0053】
加えて、上記の従来のコイル部品の製造方法と比較して、本実施の形態のコイル部品100の製造方法では、コイル部品100における主部210、第1端子部232及び第2端子部242の配置をより高い精度で実現することができる。
【0054】
本実施の形態の製造方法により製造されたコイル部品100は、成型密度が5.5g/cc以上であり、且つ、透磁率μが20以上となる。特に、より好ましい所定の成型圧力の範囲である5~10MPa、且つ、より好ましい所定温度の範囲である160~180℃で本実施の形態のコイル部品100の製造方法を実行した場合、製造されるコイル部品100は、成型密度の範囲が5.5~6g/ccであり、且つ、透磁率μが25以上となる。
【0055】
本発明のコイル部品100の製造方法は、上述のものに限定されず、図19を参照して以下のように変形してもよい。
【0056】
まず初めに、予備成型体500を用意する用意工程(STEPM1)を遂行する。この用意工程(STEPM1)は、上述の実施の形態の用意工程(STEP1)と同様である。
【0057】
次に、図20を参照して、配置工程(STEPM2)を遂行する。この配置工程(STEPM2)においては、予備成型体500とコイル部材200とを組み合わせた中間組立体600を金型700A内に配置する。具体的には、コイル部材200の第1端子部232及び第2端子部242を金型700Aで挟みつつ、予備成型体500とコイル部材200とを組み合わせた中間組立体600を金型700A内に配置する。ここで、金型700Aは、平板状の第1金型710と、角筒状の第2金型720Aと、平板状の第3金型(図示せず)とで構成されており、第1金型710と第2金型720Aとを組み合わせることにより凹部740Aが形成されるようになっている。第2金型720Aは、上下方向において第1金型710の上方に位置している。第3金型は、上下方向において第2金型720Aの上方に位置している。また、予備成型体500の平板部530の底面534、第1端子部232及び第2端子部242は、面一となっている。即ち、予備成型体500の平板部530の底面534、第1端子部232及び第2端子部242は、上下方向において同じ位置に位置している。なお、本変形例のコイル部品100の製造方法の配置工程(STEPM2)では、上述の実施の形態の配置工程(STEP2)と異なり、中間組立体600に粘着シート650に貼り付けること無く、中間組立体600のみを金型700A内に配置している。
【0058】
より具体的には、この配置工程(STEPM2)においては、まず、予備成型体500を第1金型710上に配置する。次に、予備成型体500の柱状部520が、コイル部材200の主部210の孔215を通るように、コイル部材200の主部210を、予備成型体500の平板部530の上面532上に配置すると共に、コイル部材200の主部210の第1端子部232及び第2端子部242を、第1金型710上に配置する。このように、第1金型710上に配置された予備成型体500と、コイル部材200とを組み合わせて、中間組立体600を形成する。その後、第2金型720Aを、第1金型710に対して上方から組み合わせて、コイル部材200の第1端子部232及び第2端子部242を第1金型710と第2金型720Aとで挟みつつ、凹部740Aを形成して、中間組立体600を金型700Aの凹部740A内に配置する。
【0059】
なお、予備成型体500が平板部530のみを有している場合、配置工程(STEPM2)において、コイル部材200は平板部530上に単に載置されることとなる。即ち、この場合、配置工程(STEPM2)において、予備成型体500を第1金型710上に配置した後、コイル部材200の主部210を、予備成型体500の平板部530の上面532上に配置すると共に、コイル部材200の主部210の第1端子部232及び第2端子部242を、第1金型710上に配置して、第1金型710上に配置された予備成型体500と、コイル部材200とを組み合わせた中間組立体600を形成したうえで、第2金型720Aを、第1金型710に対して上方から組み合わせて、コイル部材200の第1端子部232及び第2端子部242を第1金型710と第2金型720Aとで挟みつつ、凹部740Aを形成して、中間組立体600を金型700Aの凹部740A内に配置することとなる。
【0060】
配置工程(STEPM2)の遂行後、投入工程(STEPM3)を遂行する。この投入工程(STEPM3)は、上述の実施の形態の投入工程(STEP3)と同様である。
【0061】
投入工程(STEPM3)の遂行後、硬化工程(STEPM4)を遂行する。この硬化工程(STEPM4)は、上述の実施の形態の硬化工程(STEP4)と同様である。
【0062】
硬化工程(STEPM4)が終了したとき、予備成型体500及び追加材料400は、磁性コア300を構成し、主部210は、磁性コア300に埋設されており、第1端子部232及び第2端子部242の夫々は、磁性コア300の底面304と平行に延びている。また、硬化工程(STEP4)の遂行により、所定材料510及び追加材料400に含まれていた熱硬化性樹脂514,404は、硬化した熱硬化性樹脂320となる。更に、硬化工程(STEPM4)の遂行により、予備成型体500の平板部530の底面534は、磁性コア300の底面304の一部となる。加えて、硬化工程(STEPM4)の遂行により得られた粗製品において、第1金型710と第2金型720Aとで挟まれていた第1端子部232の一部及び第2端子部242の一部は、磁性コア300から所定方向に突出する。
【0063】
硬化工程(STEPM4)の遂行後、切断工程(STEPM5)を遂行する。この切断工程(STEPM5)においては、磁性コア300から突出した第1端子部232の上記一部及び第2端子部242の上記一部を切断し、磁性コア300の所定方向における端面306と、第1端子部232及び第2端子部242の所定方向における端部とを揃える。
【0064】
最後に、切断工程(STEPM5)の遂行後、メッキ工程(STEP6)を遂行する。このメッキ工程(STEPM5)においては、切断工程(STEPM5)の遂行により得られた粗製品の底面を研磨し、研磨された底面上に露出した第1端子部232及び第2端子部242及びその周辺に対してメッキ処理を施す。これにより、本実施の形態のコイル部品100が得られる。
【0065】
本変形例のコイル部品100の製造方法においても、上述のように、配置工程(STEPM2)において、予備成型体500の平板部530の底面534、第1端子部232及び第2端子部242が面一となっている。これにより、製造されたコイル部品100の底面まで磁性粉末512,404に占められているため、製造されたコイル部品100は、限られたサイズの中で優れた磁気特性を有することができるようになっている。
【0066】
以上、本発明について実施の形態を掲げて具体的に説明してきたが、本発明はこれに限定されるものではなく、種々の変形、変更が可能である。
【0067】
上述の実施の形態及び変形例のコイル部品100の製造方法においては、一つの金型700,700Aで、一つのコイル部品100を製造していたが、本発明はこれに限定されない。具体的には、アレイ状に配置された複数の中間組立体600を、一つの金型で成型して、複数の粗製品の集合体を製造したうえで、この粗製品の集合体の底面を研磨し、ダイシングして、複数のコイル部品100を製造してもよい。
【符号の説明】
【0068】
100 コイル部品
200 コイル部材
210 主部
212 導線(平角導線)
213 上面
214 底面
215 孔
230 第1延部
232 第1端子部
234 第1水平部
236 第1垂直部
240 第2延部
242 第2端子部
244 第2水平部
246 第2垂直部
300 磁性コア
302 上面
304 底面
306 端面
320 熱硬化性樹脂
350 メッキ層
400 追加材料
402 磁性粉末
404 熱硬化性樹脂
500 予備成型体
510 所定材料
512 磁性粉末
514 熱硬化性樹脂
520 柱状部
530 平板部
532 上面
534 底面
536 側面
600 中間組立体
650 粘着シート
700,700A 金型
710 第1金型
720,720A 第2金型
730 第3金型
740,740A 凹部
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