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特開2024-93410コネクタ付きフレキシブルプリント配線板
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024093410
(43)【公開日】2024-07-09
(54)【発明の名称】コネクタ付きフレキシブルプリント配線板
(51)【国際特許分類】
   H05K 1/18 20060101AFI20240702BHJP
   H05K 1/02 20060101ALI20240702BHJP
【FI】
H05K1/18 D
H05K1/02 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022209776
(22)【出願日】2022-12-27
(71)【出願人】
【識別番号】000230249
【氏名又は名称】日本メクトロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山田 周三
(72)【発明者】
【氏名】金山 知樹
(72)【発明者】
【氏名】小野 翼
【テーマコード(参考)】
5E336
5E338
【Fターム(参考)】
5E336AA04
5E336BB01
5E336BB12
5E336BB15
5E336CC01
5E336CC60
5E336DD12
5E336DD22
5E336DD32
5E336EE01
5E336GG06
5E336GG16
5E338AA01
5E338AA12
5E338AA16
5E338BB72
5E338BB75
5E338EE28
(57)【要約】
【課題】コネクタとの接合部分付近のフレキシブルプリント配線板の破損を抑制することのできるコネクタ付きフレキシブルプリント配線板を提供する。
【解決手段】FPC110と、FPC110に備えられる配線111と接続される端子122を有し、FPC110に接合されるコネクタ120と、FPC110におけるコネクタ120との接合部分の反対側の面において、FPC110に固定される補強板130と、を備えるコネクタ付きFPC100であって、コネクタ120に固定される第1の被固定板部141と、FPC110に固定される第2の被固定板部142と、を有する接合部材140を備え、第2の被固定板部142は、FPC110に備えられる金属箔と半田150により固定されることを特徴とする。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フレキシブルプリント配線板と、
前記フレキシブルプリント配線板に備えられる配線と接続される端子を有し、前記フレキシブルプリント配線板に接合されるコネクタと、
前記フレキシブルプリント配線板における前記コネクタとの接合部分の反対側の面において、前記フレキシブルプリント配線板に固定される補強板と、
を備えるコネクタ付きフレキシブルプリント配線板であって、
前記コネクタに固定される第1の被固定板部と、前記フレキシブルプリント配線板に固定される第2の被固定板部と、を有する接合部材を備え、
第2の被固定板部は、前記フレキシブルプリント配線板に備えられる金属箔と半田により固定されることを特徴とするコネクタ付きフレキシブルプリント配線板。
【請求項2】
フレキシブルプリント配線板と、
前記フレキシブルプリント配線板に備えられる配線と接続される端子を有し、前記フレキシブルプリント配線板に接合されるコネクタと、
前記フレキシブルプリント配線板における前記コネクタとの接合部分の反対側の面において、前記フレキシブルプリント配線板に固定される補強板と、
を備えるコネクタ付きフレキシブルプリント配線板であって、
前記コネクタは、前記フレキシブルプリント配線板を貫通する接合用突起を有すると共に、
前記補強板は、前記接合用突起の周囲において前記フレキシブルプリント配線板の撓み変形を許容するための開口部を有することを特徴とするコネクタ付きフレキシブルプリント配線板。
【請求項3】
前記接合用突起は複数設けられ、前記開口部は複数の接合用突起をまとめて取り囲むように設けられていることを特徴とする請求項2に記載のコネクタ付きフレキシブルプリント配線板。
【請求項4】
フレキシブルプリント配線板と、
前記フレキシブルプリント配線板に備えられる配線と接続される端子を有し、前記フレキシブルプリント配線板に接合されるコネクタと、
前記フレキシブルプリント配線板における前記コネクタとの接合部分の反対側の面において、前記フレキシブルプリント配線板に固定される補強板と、
を備えるコネクタ付きフレキシブルプリント配線板であって、
前記コネクタに固定される第1の被固定板部と、前記フレキシブルプリント配線板に固定される第2の被固定板部と、を有する接合部材を備え、
第2の被固定板部は、前記フレキシブルプリント配線板に備えられる金属箔と半田により固定されると共に、
前記補強板は、第2の被固定板部と前記フレキシブルプリント配線板との固定領域を取り囲む領域において前記フレキシブルプリント配線板の撓み変形を許容するための開口部を有することを特徴とするコネクタ付きフレキシブルプリント配線板。
【請求項5】
前記コネクタが前記フレキシブルプリント配線板から離れる方向への移動を規制するストッパ部材を備えることを特徴とする請求項1,2,3または4に記載のコネクタ付きフレキシブルプリント配線板。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コネクタ付きフレキシブルプリント配線板に関する。
【背景技術】
【0002】
各種装置に備えられる電気接続部品においては、ワイヤハーネスを利用したものからフレキシブルプリント配線板(以下、「FPC」と称する)を利用したものへの置き換えが進んでいる。これらには電気接続を行うためのコネクタが設けられているが、前者における配線とコネクタとの接合強度に比べて、後者におけるFPCとコネクタとの接合強度の方が低い傾向がある。特に、車載用途の場合、組み立て時だけでなく、車の利用時における振動や衝撃が作用するため、接合強度を高める要求が高まっており、30極程度のコネクタの場合、50N程度の接合強度が求められている。
【0003】
図8及び図9を参照して、従来技術に係るコネクタ付きフレキシブルプリント配線板(以下、「コネクタ付きFPC500」と称する)について説明する。図8及び図9は従来技術に係るコネクタ付きFPC500の概略構成図である。なお、図8(a)はコネクタ付きFPC500におけるコネクタ付近を示す平面図であり、同図(b)はコネクタ付きFPC500におけるコネクタ付近を示す裏面図である。また、図9(a)はコネクタ付きFPC500におけるコネクタ付近を示す側面図であり、同図(b)は図8(a)中のEE断面図である。
【0004】
コネクタ付きFPC500は、FPC510と、FPC510に接合されるコネクタ520と、FPC510におけるコネクタ520との接合部分の反対側の面において、FPC510に固定される補強板530とを備えている。
【0005】
FPC510は、金属箔(銅箔など)がエッチングされることで得られる複数の配線511と、配線511の両面を覆う樹脂フィルム512とを備えている。なお、図8においては、配線511を透視して点線にて示している。コネクタ520は、ハウジング521と、複数の配線511にそれぞれ接続される複数の端子522とを備えている。複数の配線511と複数の端子522が半田により接合されることで、FPC510にコネクタ520が接合される。しかしながら、複数の配線511と複数の端子522との接合だけでは、FPC510とコネクタ520との接合力は弱いため、補強板530が設けられると共に、コネクタ520に、FPC510を貫通する接合用突起523が複数設けられている。これら複数の接合用突起523は、ハウジング521における突起保持部521aに一体的に設けられている。そして、これら複数の接合用突起523は、FPC510にコネクタ520が配されることで、FPC510を貫通し、補強板530に設けられた複数の貫通孔531に嵌るように構成されている。また、FPC510のうち、接合用突起523が貫通する貫通孔の周囲に噴流半田付けを行うことで、接合力が高められている。以上の構成を採用することで、FPC510とコネクタ520との接合力を高めることができる。
【0006】
しかしながら、コネクタ付きFPC500が振動や衝撃を受けた際に、FPC510の破損をより一層抑制することが求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2006-108387号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、コネクタとの接合部分付近のフレキシブルプリント配線板の破損を抑制することのできるコネクタ付きフレキシブルプリント配線板を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、上記課題を解決するために以下の手段を採用した。
【0010】
すなわち、本発明のコネクタ付きフレキシブルプリント配線板は、
フレキシブルプリント配線板と、
前記フレキシブルプリント配線板に備えられる配線と接続される端子を有し、前記フレキシブルプリント配線板に接合されるコネクタと、
前記フレキシブルプリント配線板における前記コネクタとの接合部分の反対側の面において、前記フレキシブルプリント配線板に固定される補強板と、
を備えるコネクタ付きフレキシブルプリント配線板であって、
前記コネクタに固定される第1の被固定板部と、前記フレキシブルプリント配線板に固定される第2の被固定板部と、を有する接合部材を備え、
第2の被固定板部は、前記フレキシブルプリント配線板に備えられる金属箔と半田により固定されることを特徴とする。
【0011】
本発明によれば、第2の被固定部は、フレキシブルプリント配線板に備えられる金属箔と半田により固定される。そのため、接合用突起をフレキシブルプリント配線板に貫通させる構造に比べて、振動や衝撃を受けた際に、フレキシブルプリント配線板が損傷してしまうことを抑制することができる。
【0012】
また、本発明のコネクタ付きフレキシブルプリント配線板は、
フレキシブルプリント配線板と、
前記フレキシブルプリント配線板に備えられる配線と接続される端子を有し、前記フレキシブルプリント配線板に接合されるコネクタと、
前記フレキシブルプリント配線板における前記コネクタとの接合部分の反対側の面において、前記フレキシブルプリント配線板に固定される補強板と、
を備えるコネクタ付きフレキシブルプリント配線板であって、
前記コネクタは、前記フレキシブルプリント配線板を貫通する接合用突起を有すると共に、
前記補強板は、前記接合用突起の周囲において前記フレキシブルプリント配線板の撓み変形を許容するための開口部を有することを特徴とする。
【0013】
本発明によれば、振動や衝撃を受けた際に、接合用突起の周囲においてフレキシブルプリント配線板は撓むように変形可能なため、無理な力がフレキシブルプリント配線板に作用することを抑制することができる。
【0014】
前記接合用突起は複数設けられ、前記開口部は複数の接合用突起をまとめて取り囲むように設けられているとよい。
【0015】
更に、本発明のコネクタ付きフレキシブルプリント配線板は、
フレキシブルプリント配線板と、
前記フレキシブルプリント配線板に備えられる配線と接続される端子を有し、前記フレキシブルプリント配線板に接合されるコネクタと、
前記フレキシブルプリント配線板における前記コネクタとの接合部分の反対側の面において、前記フレキシブルプリント配線板に固定される補強板と、
を備えるコネクタ付きフレキシブルプリント配線板であって、
前記コネクタに固定される第1の被固定板部と、前記フレキシブルプリント配線板に固定される第2の被固定板部と、を有する接合部材を備え、
第2の被固定板部は、前記フレキシブルプリント配線板に備えられる金属箔と半田により固定されると共に、
前記補強板は、第2の被固定板部と前記フレキシブルプリント配線板との固定領域を取り囲む領域において前記フレキシブルプリント配線板の撓み変形を許容するための開口部を有することを特徴とする。
【0016】
本発明によれば、第2の被固定部は、フレキシブルプリント配線板に備えられる金属箔と半田により固定される。そのため、接合用突起をフレキシブルプリント配線板に貫通させる構造に比べて、振動や衝撃を受けた際に、フレキシブルプリント配線板が損傷してしまうことを抑制することができる。また、振動や衝撃を受けた際に、第2の被固定板部とフレキシブルプリント配線板との固定領域を取り囲む領域においてフレキシブルプリント配線板は撓むように変形可能なため、無理な力がフレキシブルプリント配線板に作用することを抑制することができる。
【0017】
前記コネクタが前記フレキシブルプリント配線板から離れる方向への移動を規制するストッパ部材を備えるとよい。
【0018】
これにより、コネクタがフレキシブルプリント配線板から離れる方向に移動することが規制されるため、コネクタの移動を起因とするフレキシブルプリント配線板への負荷を抑制することができる。
【0019】
なお、上記各構成は、可能な限り組み合わせて採用し得る。
【発明の効果】
【0020】
以上説明したように、本発明によれば、コネクタとの接合部分付近のフレキシブルプリント配線板の破損を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1図1は本発明の実施例1に係るコネクタ付きフレキシブルプリント配線板の概略構成図である。
図2図2は本発明の実施例1に係るコネクタ付きフレキシブルプリント配線板の概略構成図である。
図3図3は本発明の実施例2に係るコネクタ付きフレキシブルプリント配線板の概略構成図である。
図4図4は本発明の実施例2に係るコネクタ付きフレキシブルプリント配線板の概略構成図である。
図5図5は本発明の実施例3に係るコネクタ付きフレキシブルプリント配線板の概略構成図である。
図6図6は本発明の実施例4に係るコネクタ付きフレキシブルプリント配線板の概略構成図である。
図7図7は本発明の実施例4に係るコネクタ付きフレキシブルプリント配線板の概略構成図である。
図8図8は従来技術に係るコネクタ付きフレキシブルプリント配線板の概略構成図である。
図9図9は従来技術に係るコネクタ付きフレキシブルプリント配線板の概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下に図面を参照して、この発明を実施するための形態を、実施例に基づいて例示的に詳しく説明する。ただし、この実施例に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは、特に特定的な記載がない限りは、この発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
【0023】
(実施例1)
図1及び図2を参照して、本発明の実施例1に係るコネクタ付きフレキシブルプリント配線板(以下、コネクタ付きFPC100と称する)について説明する。図1及び図2は本発明の実施例1に係るコネクタ付きFPC100の概略構成図である。なお、図1(a)はコネクタ付きFPC100におけるコネクタ付近を示す平面図であり、同図(b)はコネクタ付きFPC100におけるコネクタ付近を示す裏面図である。また、図2(a)はコネクタ付きFPC100におけるコネクタ付近を示す側面図であり、同図(b)は図1(a)中のAA断面図である。
【0024】
コネクタ付きFPC100は、フレキシブルプリント配線板(以下、FPC110と称する)と、FPC110に接合されるコネクタ120と、FPC110におけるコネクタ120との接合部分の反対側の面において、FPC110に固定される補強板130とを備えている。補強板130は、分厚いポリイミドフィルム、アルミニウムやステンレス等の金属板、又はガラスエポキシ板など、剛性の高い部材により構成される。
【0025】
FPC110は、金属箔(銅箔など)がエッチングされることで得られる複数の配線111と、配線111の両面を覆う樹脂フィルム112とを備えている。なお、図1においては、配線111を透視して点線にて示している。コネクタ120は、ハウジング121と、複数の配線111にそれぞれ接続される複数の端子122とを備えている。例えば、複数の端子122をインサート部品として、インサート成形により樹脂製のハウジング121を成形することによって、コネクタ120を得ることができる。
【0026】
従来技術の中で説明したように、複数の配線111と複数の端子122との接合だけでは、FPC110とコネクタ120との接合力は弱い。そこで、本実施例に係るコネクタ付きFPC100においては、FPC110とコネクタ120とを強固に接合するための接合部材140を備えている。この接合部材140は金属により構成される。そして、接合部材140は、コネクタ120に固定される第1の被固定板部141と、FPC110に固定される第2の被固定板部142と、を有する側方から見てL字形状の部材により構成される。本実施例においては、ハウジング121の両側面にそれぞれ嵌合壁部121aが設けられており、嵌合壁部121aの内側に第1の被固定板部141が嵌合固定されることで、ハウジング121の両側にそれぞれ接合部材140が固定される。ただし、コネクタ120と接合部材140との固定構造は、このような構造に限らず、各種公知の構造を採用し得る。また、接合部材140をインサート部品として、第1の被固定板部141がハウジング121の内部に埋め込まれるようにインサート成形するようにしてもよい。
【0027】
そして、接合部材140における第2の被固定板部142は、FPC110に備えられる金属箔(図2(b)中、接合部111a)と半田150により固定される。
【0028】
ここで、FPC110の製作方法について簡単に説明する。まず、2つの樹脂フィルム112のうちの一方のベースフィルムに設けられた金属箔をエッチングすることで、上記の複数の配線111と接合部111aが形成される。その後、配線111のうち端子122と接続する部分と接合部111aのみを露出させるように、これら配線111及び接合部111aを介してベースフィルムとは反対側にもう一方の樹脂フィルムであるカバーフィルムを接合することで、FPC110を得ることができる。
【0029】
このようにして得られたFPC110の所定位置にコネクタ120を配置させた状態で、リフロー半田付けを行うことで、複数の配線111と複数の端子122との半田付けと、接合部111aと第2の被固定板部142との半田付けを同時に行うことができる。
【0030】
<本実施例に係るコネクタ付きFPC100の優れた点>
本実施例に係るコネクタ付きFPC100によれば、第2の被固定板部142は、FPC110に備えられる金属箔(接合部111a)と半田150により固定される。従って、従来技術のように、接合用突起をFPCに貫通させる構造に比べて、振動や衝撃を受けた際に、FPCが損傷してしまうことを抑制することができる。つまり、第2の被固定板部142とFPC110は接触面積が広いことで接合力が高くなるだけでなく、FPC110に接合用突起が貫通しないため、振動や衝撃を受けてもFPC110の損傷を抑制することができる。なお、従来構造の場合、配線と端子とを接続するためのリフロー半田付け工程とは別に、接合用突起を固定するための噴流半田付け工程が必要であるのに対して、本実施例では、リフロー半田付け工程のみでよいという利点もある。
【0031】
(実施例2)
図3及び図4を参照して、本発明の実施例2に係るコネクタ付きフレキシブルプリント配線板(以下、コネクタ付きFPC100Xと称する)について説明する。図3及び図4は本発明の実施例2に係るコネクタ付きFPC100Xの概略構成図である。なお、図3(a)はコネクタ付きFPC100Xにおけるコネクタ付近を示す平面図であり、同図(b)はコネクタ付きFPC100Xにおけるコネクタ付近を示す裏面図である。また、図4(a)はコネクタ付きFPC100Xにおけるコネクタ付近を示す側面図であり、同図(b)は図3(a)中のBB断面図である。
【0032】
コネクタ付きFPC100Xは、フレキシブルプリント配線板(以下、FPC110と称する)と、FPC110に接合されるコネクタ120Xと、FPC110におけるコネクタ120Xとの接合部分の反対側の面において、FPC110に固定される補強板130Xとを備えている。補強板130Xは、分厚いポリイミドフィルム、アルミニウムやステンレス等の金属板、又はガラスエポキシ板など、剛性の高い部材により構成される。
【0033】
FPC110は、金属箔(銅箔など)がエッチングされることで得られる複数の配線111と、配線111の両面を覆う樹脂フィルム112とを備えている。なお、図3においては、配線111を透視して点線にて示している。コネクタ120Xは、ハウジング121Xと、複数の配線111にそれぞれ接続される複数の端子122とを備えている。
【0034】
従来技術の中で説明したように、複数の配線111と複数の端子122との接合だけでは、FPC110とコネクタ120との接合力は弱い。そこで、本実施例では、補強板130Xが設けられると共に、コネクタ120Xに、FPC110を貫通する金属製の接合用突起123が複数設けられている。これら複数の接合用突起123は、ハウジング121Xにおける突起保持部121Xaに一体的に設けられている。例えば、複数の端子122と複数の接合用突起123をインサート部品として、インサート成形により樹脂製のハウジング121Xを成形することによって、コネクタ120Xを得ることができる。そして、複数の接合用突起123は、FPC110にコネクタ120Xが配されることで、FPC110を貫通するように構成されている。また、FPC110のうち、接合用突起123が貫通する貫通孔の周囲に噴流半田付けを行うことで、接合力が高められている。以上の構成を採用することで、FPC110とコネクタ120との接合力を高めることができる。
【0035】
しかしながら、接合用突起123による接合付近において、FPC110を強固に拘束
させた状態にすると、大きな応力が作用した場合に、FPC110に無理な力が作用して損傷するおそれがある。そこで、本実施例では、補強板130Xに、接合用突起123の周囲においてFPC110の撓み変形を許容するための開口部131Xを設ける構成が採用されている。これにより、図4(b)中、例えば、矢印Vに示す付近においては、FPC110の撓み変形が可能である。なお、本実施例においては、接合用突起123は複数設けられ、開口部131Xは複数の接合用突起123をまとめて取り囲むように設けられている。ただし、隣り合う接合用突起123の間隔が広く、それぞれの接合用突起123の周囲においてFPC110の撓み変形が可能であれば、それぞれの接合用突起123に対して個別に開口部131Xを設ける構成を採用することもできる。
【0036】
<本実施例に係るコネクタ付きFPC100Xの優れた点>
本実施例に係るコネクタ付きFPC100Xによれば、補強板130Xに、上記のように構成される開口部131Xを設けることで、振動や衝撃を受けた際に、接合用突起123の周囲においてFPC110は撓むように変形することができる。これにより、無理な力がFPC110に作用することを抑制することができる。従って、FPC110の損傷を抑制することができる。
【0037】
(実施例3)
図5を参照して、本発明の実施例3に係るコネクタ付きフレキシブルプリント配線板(以下、コネクタ付きFPC100Yと称する)について説明する。図5は本発明の実施例3に係るコネクタ付きFPC100Yの概略構成図である。なお、図5(a)はコネクタ付きFPC100Yにおけるコネクタ付近を示す平面図であり、同図(b)は同図(a)中のCC断面図である。
【0038】
コネクタ付きFPC100Yは、フレキシブルプリント配線板(以下、FPC110と称する)と、FPC110に接合されるコネクタ120と、FPC110におけるコネクタ120との接合部分の反対側の面において、FPC110に固定される補強板130Yとを備えている。補強板130Yは、分厚いポリイミドフィルム、アルミニウムやステンレス等の金属板、又はガラスエポキシ板など、剛性の高い部材により構成される。
【0039】
FPC110及びコネクタ120の構成は、上記実施例1で示したものと同一の構成であるので、その説明は省略する。また、本実施例においては、実施例1と同様に、FPC110とコネクタ120とを強固に接合するための接合部材140を備えている。この接合部材140の構成等についても、実施例1で説明した通りであり、ハウジング121の嵌合壁部121aの内側に第1の被固定板部141が嵌合固定されることで、ハウジング121の両側にそれぞれ接合部材140が固定される。そして、本実施例においても、接合部材140における第2の被固定板部142は、FPC110に備えられる金属箔(図5(b)中、接合部111a)と半田150により固定される。
【0040】
FPC110の製作方法については、実施例1で説明した通りである。また、リフロー半田付けにより、複数の配線111と複数の端子122との半田付けと、接合部111aと第2の被固定板部142との半田付けを同時に行うことができる点についても、実施例1で説明した通りである。
【0041】
そして、本実施例においては、補強板130Yに、第2の被固定板部142とFPC110との固定領域を取り囲む領域においてFPC110の撓み変形を許容するための開口部131Yを設ける構成が採用されている。これにより、図5(b)中、半田150による固定されている領域の下方においては、FPC110の撓み変形が可能である。
【0042】
<本実施例に係るコネクタ付きFPC100Yの優れた点>
本実施例に係るコネクタ付きFPC100Yによれば、第2の被固定板部142は、FPC110に備えられる金属箔(接合部111a)と半田150により固定される。従って、実施例1と同様の作用効果を得ることができる。また、本実施例においては、補強板130Yに、上記のように構成される開口部131Yを設けることで、振動や衝撃を受けた際に、半田150の付近においては、FPC110は撓むように変形することができる。これにより、無理な力がFPC110に作用することを抑制することができる。従って、FPC110の損傷を抑制することができる。
【0043】
(実施例4)
図6及び図7を参照して、本発明の実施例4に係るコネクタ付きフレキシブルプリント配線板(以下、コネクタ付きFPC100Zと称する)について説明する。図6及び図7は本発明の実施例4に係るコネクタ付きFPC100Zの概略構成図である。なお、図6(a)はコネクタ付きFPC100Zにおけるコネクタ付近を示す平面図であり、同図(b)はコネクタ付きFPC100Zにおけるコネクタ付近を示す裏面図である。また、図7(a)はコネクタ付きFPC100Zに備えられるストッパ部材の正面図であり、同図(b)は図6(a)中のDD断面図である。
【0044】
本実施例に係るコネクタ付きFPC100Zは、実施例1で示したコネクタ付きFPC100の構成に対し、更に、樹脂や金属などの材料からなるストッパ部材160を付加した構成である。ストッパ部材160に関する構成以外については、実施例1で説明した通りであるので、その説明は省略する。
【0045】
ストッパ部材160は、コネクタ120がFPC110から離れる方向への移動を規制する役割を担っている。このストッパ部材160は、支持板部161と、支持板部161の両側に設けられる一対の側板部162と、一対の側板部162の先端にそれぞれ設けられる係合部としての係合爪163とを備えている。支持板部161は、コネクタ120(より具体的にはコネクタ120のハウジング121)におけるFPC110との接合面とは反対側の面に接するように構成される。一対の側板部162は、支持板部161の両側から補強板130に向かって伸びるように構成されている。また、一対の係合爪163は、補強板130に係合するように構成されている。
【0046】
<本実施例に係るコネクタ付きFPC100Zの優れた点>
本実施例に係るコネクタ付きFPC100Zにおいては、実施例1における作用効果に加えて、以下の作用効果を奏する。すなわち、上記のように構成されるストッパ部材160を備える構成を採用したことで、コネクタ120がFPC110から離れてしまうことを抑制することができる。このように、コネクタ付きFPC100Zにおいては、ストッパ部材160を備えることで、振動や衝撃が作用しても、コネクタ120がFPC110から離れてしまうことを抑制することができる。従って、より一層、コネクタ120との接合部分付近のFPC110の破損を抑制することができる。
【0047】
なお、本実施例においては、実施例1で示したコネクタ付きFPC100の構成に対し、ストッパ部材160を付加する構成を示したが、実施例2,3で示したコネクタ付きFPC100X,100Yに対し、ストッパ部材160を付加する構成も採用し得る。また、ストッパ部材160に、複数の端子122を覆う部分を設ける構成を採用することで、端子122に水滴等が付着し難いようにすることもできる。
【符号の説明】
【0048】
100,100X,100Y,100Z:コネクタ付きFPC
110:FPC
111:配線
111a:接合部
112:樹脂フィルム
120,120X:コネクタ
121,121X :ハウジング
121Xa:突起保持部
121a :嵌合壁部
122:端子
123:接合用突起
130,130X,130Y:補強板
131X,131Y:開口部
140:接合部材
141:第1の被固定板部
142:第2の被固定板部
150:半田
160:ストッパ部材
161:支持板部
162:側板部
163:係合爪
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9