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特開2024-93412膜電極接合体、及び膜電極接合体の製造方法
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  • 特開-膜電極接合体、及び膜電極接合体の製造方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024093412
(43)【公開日】2024-07-09
(54)【発明の名称】膜電極接合体、及び膜電極接合体の製造方法
(51)【国際特許分類】
   C25B 11/053 20210101AFI20240702BHJP
   C25B 9/00 20210101ALN20240702BHJP
【FI】
C25B11/053
C25B9/00 A
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022209779
(22)【出願日】2022-12-27
(71)【出願人】
【識別番号】000006208
【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100162868
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 英輔
(74)【代理人】
【識別番号】100161702
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 宏之
(74)【代理人】
【識別番号】100189348
【弁理士】
【氏名又は名称】古都 智
(74)【代理人】
【識別番号】100196689
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 康一郎
(72)【発明者】
【氏名】向井 大輔
(72)【発明者】
【氏名】三好 崇仁
(72)【発明者】
【氏名】祐延 貴洋
(72)【発明者】
【氏名】田上 直人
(72)【発明者】
【氏名】稲葉 康介
(72)【発明者】
【氏名】古川 翔一
(72)【発明者】
【氏名】弦巻 茂
【テーマコード(参考)】
4K011
4K021
【Fターム(参考)】
4K011BA04
4K011BA07
4K011BA08
4K011BA12
4K011DA01
4K021BA02
4K021DB43
(57)【要約】
【課題】接触抵抗の不均一性(面内でのばらつき)と局所的な電流集中を抑制可能な膜電極接合体、及び膜電極接合体の製造方法を提供する。
【解決手段】膜電極接合体は、第一面、及び該第一面とは反対側に位置した第二面を有するイオン交換膜と、イオン交換膜よりも第一面の側に配置された陰極触媒層と、イオン交換膜よりも第二面の側に配置された陽極触媒層と、イオン交換膜と陰極触媒層との間、及びイオン交換膜と陽極触媒層との間に陰極触媒層及び陽極触媒層と別体として設けられて、陰極触媒層及び記陽極触媒層と共に層構造を成すイオノマー層と、を備える。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一面、及び該第一面とは反対側に位置した第二面を有するイオン交換膜と、
前記イオン交換膜よりも前記第一面の側に配置された陰極触媒層と、
前記イオン交換膜よりも前記第二面の側に配置された陽極触媒層と、
前記イオン交換膜と前記陰極触媒層との間、及び前記イオン交換膜と前記陽極触媒層との間に、前記陰極触媒層及び前記陽極触媒層と別体として設けられて、前記陰極触媒層及び前記陽極触媒層と共に層構造を成すイオノマー層と、
を備える膜電極接合体。
【請求項2】
前記イオノマー層は、
イオノマー樹脂成分と、
該イオノマー樹脂成分とは異なる非イオノマー樹脂成分と、
によって構成されており、
前記イオノマー樹脂成分は、80質量%以上、100質量%未満の割合で前記イオノマー層中に含まれている請求項1に記載の膜電極接合体。
【請求項3】
前記イオノマー樹脂成分は、前記イオン交換膜、前記陰極触媒層、及び前記陽極触媒層のそれぞれに共通して含まれる添加物と同一組成の組成物を含む請求項2に記載の膜電極接合体。
【請求項4】
前記非イオノマー樹脂成分は、電解触媒粒子及びバインダーを含む請求項2又は3に記載の膜電極接合体。
【請求項5】
前記イオノマー層の厚さは、前記陰極触媒層の厚さ及び前記陽極触媒層の厚さの10%以上、50%以下である請求項1から3の何れか一項に記載の膜電極接合体。
【請求項6】
前記イオノマー層の厚さは、1nm以上、10μm以下である請求項1から3の何れか一項に記載の膜電極接合体。
【請求項7】
陰極給電体の片面に形成された陰極触媒層、及び陽極給電体の片面に形成された陽極触媒層に、前記陰極触媒層及び前記陽極触媒層と別体のイオノマー層を設けるステップと、
前記陰極触媒層に設けられた前記イオノマー層をイオン交換膜の第一面に重ね、前記陽極触媒層に設けられた前記イオノマー層を前記第一面とは反対側に位置する前記イオン交換膜の第二面に重ねて、ホット或いはコールドプレスし、層構造を形成するステップと、
を実行する膜電極接合体の製造方法。
【請求項8】
イオン交換膜の第一面、及び該第一面とは反対側に位置した第二面のそれぞれに、イオノマー層を設けるステップと、
陰極給電体の片面に設けられた陰極触媒層を、前記イオン交換膜の前記第一面に設けられた前記イオノマー層に該イオノマー層とは別体となるように重ね、陽極給電体の片面に設けられた陽極触媒層を、前記イオン交換膜の前記第二面に設けられた前記イオノマー層に該イオノマー層とは別体となるように重ねて、ホット或いはコールドプレスし、層構造を形成するステップと、
を実行する膜電極接合体の製造方法。
【請求項9】
前記イオノマー層を設けるステップの実行前に、前記イオノマー層を単独で成形するステップを実行し、ホット或いはコールドプレスし、前記膜電極接合体を形成する請求項7又は8に記載の膜電極接合体の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、膜電極接合体、及び膜電極接合体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、電極基材と電極触媒層とから構成される電極を2枚作成し、これら2枚の電極の間にプロトン交換膜(イオン交換膜)を配置した膜-電極複合体(MEA:Membrane Electrode Assembly)が開示されている。当該膜-電極複合体では、各電極の電極触媒層側がプロトン交換膜に対向するように配置されており、前記2枚の電極で該プロトン交換膜を挟持させた状態で接合されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4734688号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、電極触媒層が塗工などによって形成された場合、プロトン交換膜に接合される電極触媒層の表面は粗く形成されることがある。この場合、膜-電極複合体中では、電極触媒層の表面粗さに起因して、電極触媒層がプロトン交換膜に密着している部分と密着していない部分とがまばらに存在することがある。その結果、当該密着している部分に接触抵抗が集中してしまい、局所的に電流密度が高い部分が生じて水電解装置として耐久性に課題がある。
【0005】
本開示は、上記課題を解決するためになされたものであって、触媒層とアニオン交換膜が密着した構造となり、イオン伝導度のばらつきがなくなり、均一な電解面となることで耐久性のある膜電極接合体を構成することができ、接触抵抗の集中を抑制可能な膜電極接合体、及び膜電極接合体の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本開示に係る膜電極接合体は、第一面、及び該第一面とは反対側に位置した第二面を有するイオン交換膜と、前記イオン交換膜よりも前記第一面の側に配置された陰極触媒層と、前記イオン交換膜よりも前記第二面の側に配置された陽極触媒層と、前記イオン交換膜と前記陰極触媒層との間、及び前記イオン交換膜と前記陽極触媒層との間に前記陰極触媒層及び前記陽極触媒層と別体として設けられて、前記陰極触媒層及び前記陽極触媒層と共に層構造を成すイオノマー層と、を備える。
【0007】
本開示に係る膜電極接合体の製造方法は、陰極給電体の片面に形成された陰極触媒層、及び陽極給電体の片面に形成された陽極触媒層のそれぞれに、前記陰極触媒層及び前記陽極触媒層と別体のイオノマー層を設けるステップと、前記陰極触媒層に設けられた前記イオノマー層をイオン交換膜の第一面に重ね、前記陽極触媒層に設けられた前記イオノマー層を前記第一面とは反対側に位置する前記イオン交換膜の第二面に重ねて、ホット或いはコールドプレスし、層構造を形成するステップと、を実行する。
【0008】
本開示に係る膜電極接合体の製造方法は、イオン交換膜の第一面、及び該第一面とは反対側に位置した第二面のそれぞれに、イオノマー層を設けるステップと、陰極給電体の片面に設けられた陰極触媒層を、前記イオン交換膜の前記第一面に設けられた前記イオノマー層に該イオノマー層とは別体となるように重ね、陽極給電体の片面に設けられた陽極触媒層を、前記イオン交換膜の前記第二面に設けられた前記イオノマー層に該イオノマー層とは別体となるように重ねて、ホット或いはコールドプレスし、層構造を形成するステップと、を実行する。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、接触抵抗の集中を抑制可能な膜電極接合体、及び膜電極接合体の製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本開示の第一実施形態に係る電解装置の全体構成を示す概略構成図である。
図2】本開示の第一実施形態に係る電解セルを模式的に示す図である。
図3】本開示の第一実施形態に係る電解セルを示す分解斜視図である。
図4】本開示の第一実施形態に係る電解セルを示す断面図である。
図5】本開示の第一実施形態に係る膜電極接合体の製造方法を示す断面図である。
図6】本開示の第二実施形態に係る膜電極接合体の製造方法を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本開示の実施形態の電解装置1、及び当該電解装置1の膜電極接合体43の製造方法を、図面を参照して説明する。以下の説明では、同一又は類似の機能を有する構成に同一の符号を付す。本明細書中の「対向する」とは、ある方向で見た場合に二つの部材が重なることを意味し、上記二つの部材の間に別の部材(例えば別の層)が存在する場合も含み得る。
【0012】
先に図4を参照し、Z方向、X方向、及びY方向を定義する。Z方向は、後述する第一セパレータ41から第二セパレータ42に向かう方向(図4中の左右方向)である。また、Z方向は、後述する膜電極接合体43のイオン交換膜50、イオノマー層51、陰極触媒層54、及び陽極触媒層56が層構造を成した時の積層方向でもある。X方向は、Z方向とは交差する(例えば直交する)方向であり、膜電極接合体43の中央部Cから膜電極接合体43の一端部に向かう方向(図4中の上下方向)である。Y方向は、Z方向及びX方向とは交差する(例えば直交する)方向であり、例えば図4における紙面奥行方向である。本明細書中の「面積」とは、Z方向で見た場合における面積(すなわちX方向及びY方向に広がる面積)を意味する。また、本明細書中の「外形サイズ」とは、Z方向で見た場合における外形サイズを意味する。すなわち「外形サイズ」と「面積」は、実質的に同じものを意味する場合があり、適宜互いに読み替えられてもよい。
【0013】
<第一実施形態>
(電解装置の構成)
図1は、第一実施形態の電解装置1の全体構成を示す概略構成図である。電解装置1は、例えば、電解液に含まれる水を電気分解することで水素を生成する装置である。電解装置1は、例えば、アニオン交換膜(AEM:Anion Exchange Membrane)式の電解装置である。ただし、電解装置1は、上記例に限定されず、プロトン交換膜(PEM:Polymer Electrolyte Membrane)式の電解装置、二酸化炭素を電解還元する装置、などの異なるタイプの電解装置でもよい。
【0014】
電解装置1は、例えば、電解セルスタック10と、電解液供給部20と、電源部30とを備える。
【0015】
(電解セルスタック)
電解セルスタック10は、複数の電解セル11の集合体である。例えば、電解セルスタック10は、複数の電解セル11が一方向に並べられることで形成される。各電解セル11は、陰極室Saと、陽極室Sbとを含む。電解セル11については、詳しく後述する。
【0016】
(電解液供給部)
電解液供給部20は、各電解セル11に電解液を供給する供給部である。電解液は、例えば、純水あるいはアルカリ水溶液である。電解液供給部20は、陰極側供給部20aと、陽極側供給部20bとを含む。
【0017】
陰極側供給部20aは、各電解セル11の陰極室Saに電解液を供給する供給部である。陰極側供給部20aは、例えば、水素気液分離装置21、第一ポンプ22、水素回収部23、第一電解液供給部24、及び配管ラインL1,L2を含む。
【0018】
水素気液分離装置21は、電解液を貯留する。水素気液分離装置21の供給口は、配管ラインL1を介して電解セル11の陰極室Saに接続される。第一ポンプ22は、配管ラインL1の途中に設けられ、水素気液分離装置21に貯留された電解液を電解セル11の陰極室Saに向けて送る。
【0019】
水素気液分離装置21の戻り口は、配管ラインL2を介して電解セル11の陰極室Saに接続される。水素気液分離装置21には、電解セル11で生成された水素を含む電解液が電解セル11から流入する。水素気液分離装置21は、電解液に含まれる水素を分離する気液分離部を有する。水素気液分離装置21により電解液から分離された水素は、水素回収部23によって回収される。水素気液分離装置21には、第一電解液供給部24から電解液が補充される。
【0020】
一方で、陽極側供給部20bは、各電解セル11の陽極室Sbに電解液を供給する供給部である。陽極側供給部20bは、例えば、酸素気液分離装置26、第二ポンプ27、酸素回収部28、第二電解液供給部29、及び配管ラインL3,L4を含む。
【0021】
酸素気液分離装置26は、電解液を貯留する。酸素気液分離装置26の供給口は、配管ラインL3を介して電解セル11の陽極室Sbに接続される。第二ポンプ27は、配管ラインL3の途中に設けられ、酸素気液分離装置26に貯留された電解液を電解セル11の陽極室Sbに向けて送る。
【0022】
酸素気液分離装置26の戻り口は、配管ラインL4を介して電解セル11の陽極室Sbに接続される。酸素気液分離装置26には、電解セル11で生成された酸素を含む電解液が電解セル11から流入する。酸素気液分離装置26は、電解液に含まれる酸素を分離する気液分離部を有する。酸素気液分離装置26により電解液から分離された酸素は、酸素回収部28によって回収される。酸素気液分離装置26には、第二電解液供給部29から電解液が補充される。
【0023】
(電源部)
電源部30は、電解セル11に電圧を印加する直流電源装置である。電源部30は、電解セル11の陽極と陰極との間に、電解液の電気分解に必要な直流電圧を印加する。
【0024】
(電解セルの構成)
次に、電解セル11について詳しく説明する。
図2は、電解セル11を模式的に示す断面図である。電解セル11は、例えば、第一セパレータ41、第二セパレータ42、及び膜電極接合体43を含む。
【0025】
(第一セパレータ)
第一セパレータ41は、電解セル11の内部空間Sの一方の面を規定する部材である。内部空間Sは、後述する陰極室Sa及び陽極室Sbを含む空間である。第一セパレータ41は、例えば、矩形の板状であり、ステンレスやチタン、ニッケル等の金属部材又は導電性カーボン板やモールド樹脂で封止された導電性カーボン板等で形成される。第一セパレータ41は、例えば、後述する第一集電体61(図3参照)を介して電源部30からマイナス電圧が印加される。
【0026】
第一セパレータ41は、第一セパレータ端部41e1(例えば下端部)と、第一セパレータ端部41e1とは反対側に位置した第二セパレータ端部41e2(例えば上端部)とを有する。第一セパレータ41の第一セパレータ端部41e1には、上述した配管ラインL1が接続される。第一セパレータ41の第二セパレータ端部41e2には、上述した配管ラインL2が接続される。第一セパレータ41は、後述する陰極室Saに面する第一内面41aを有する。第一内面41aには、配管ラインL1から供給される電解液が流れる第一流路FP1が形成されている。第一流路FP1は、例えば、第一内面41aに設けられた溝である。第一流路FP1を流れた電解液は、配管ラインL2を通じて電解セル11の外部に排出される。なお、図2に示される各構造(例えば流路構造など)は、あくまで例示であり、本実施形態の内容を限定するものではない。例えば、流路構造は、装置の大きさや目的、使用環境などに応じて種々の構造が利用可能である。これは、他の図で示される各構造についても同様である。
【0027】
(第二セパレータ)
第二セパレータ42は、第一セパレータ41の少なくとも一部との間に内部空間Sを空けて配置され、内部空間Sの他方の面を規定する部材である。第二セパレータ42は、例えば、矩形の板状であり、ステンレスやチタン、ニッケル等の金属部材で形成される。第二セパレータ42は、後述する第二集電体62(図3参照)を介して電源部30からプラス電圧が印加される。同じ電解セル11に含まれる第一セパレータ41と第二セパレータ42とは、一対のセパレータとして当該電解セル11の電解槽40を形成する。
【0028】
第二セパレータ42は、第一セパレータ端部42e1(例えば下端部)と、第一セパレータ端部42e1とは反対側に位置した第二セパレータ端部42e2(例えば上端部)とを有する。第二セパレータ42の第一セパレータ端部42e1には、上述した配管ラインL3が接続される。第二セパレータ42の第二セパレータ端部42e2には、上述した配管ラインL4が接続される。第二セパレータ42は、後述する陽極室Sbに面する第二内面42aを有する。第二内面42aには、配管ラインL3から供給される電解液が流れる第二流路FP2が形成されている。第二流路FP2は、例えば、第二内面42aに設けられた溝である。第二流路FP2を流れた電解液は、配管ラインL4を通じて電解セル11の外部に排出される。
【0029】
なお、ここでは説明の便宜上、第一セパレータ41の第一内面41aが流路用の溝(第一流路FP1)を有し、第二セパレータ42の第二内面42aが流路用の溝(第二流路FP2)を有する構成について説明している。しかしながら、例えば電解セルスタック10(図1参照)に含まれる電解セル11の第一セパレータ41は、第一内面41aに加えて第一内面41aとは反対側の面41bにも同様の流路用の溝(第一流路FP1、図2中に二点鎖線で示す)を有したバイポーラプレートでもよい。また、電解セルスタック10に含まれる電解セル11の第二セパレータ42は、第二内面42aに加えて第二内面42aとは反対側の面42bにも同様の流路用の溝(第二流路FP2、図2中に二点鎖線で示す)を有したバイポーラプレートでもよい。なお、第一セパレータ41の両面に設けられる流路用の溝は、互いに形状や配置が異なってもよい。また、第二セパレータ42の両面に設けられる流路用の溝は、互いに形状や配置が異なってもよい。
【0030】
(膜電極接合体の構成)
膜電極接合体(MEA:Membrane Electrode Assembly)43は、イオン交換膜、触媒、及び給電体が組み立てられた構造体である。膜電極接合体43は、第一セパレータ41と第二セパレータ42との間に配置され、内部空間Sに位置する。膜電極接合体43は、例えば、イオン交換膜50、イオノマー層51、陰極触媒層54、陰極給電体55、陽極触媒層56、及び陽極給電体57を含む。
【0031】
(イオン交換膜)
イオン交換膜50は、イオンを選択透過させる膜である。イオン交換膜50は、例えば、固体高分子電解質膜である。イオン交換膜50は、例えば、水酸化物イオン伝導性のあるアニオン交換膜(AEM)である。ただし、イオン交換膜50は、上記例に限定されず、上記例とは異なるタイプの例えばプロトン交換膜(PEM:Polymer Electrolyte Membrane)のイオン交換膜でもよい。イオン交換膜50は、例えば、矩形のシート状である。イオン交換膜50の外形サイズは、第一セパレータ41又は第二セパレータ42の外形サイズよりも小さい。イオン交換膜50は、第一セパレータ41と第二セパレータ42との間に配置され、上述した内部空間Sに位置する。イオン交換膜50は、第一セパレータ41の第一内面41aと対向する第一面50aと、第一面50aとは反対側に位置した第二面50bとを有する。イオン交換膜50の第二面50bは、第二セパレータ42の第二内面42aと対向する。内部空間Sで、イオン交換膜50の第一面50aと第一セパレータ41の第一内面41aとの間には、陰極室Saが規定される。また、内部空間Sで、イオン交換膜50の第二面50bと第二セパレータ42の第二内面42aとの間には、陽極室Sbが規定される。
【0032】
陰極室Saでは、電解セル11に電圧が印加される場合に、下記(化1)に示す化学反応が生じ、電解液から水素が生成される。なお、本明細書中の「XXが生成される」とは、XXの生成に伴って他の物質が同時に生成される場合も含み得る。陰極室Saで生成された水酸化物イオンは、膜電極接合体43を通過して陰極室Saから陽極室Sbに移動する。
2HO+2e→H+2OH …(化1)
【0033】
陽極室Sbでは、電解セル11に電圧が印加される場合に、下記(化2)に示す化学反応が生じ、電解液から酸素が生成される。
2OH→1/2O+HO+2e …(化2)
【0034】
これにより、電解セル11全体で見た場合は、下記(化3)に示す化学反応が生じる。
O→H+1/2O …(化3)
【0035】
イオン交換膜50は、イオン伝導率が高い膜の一例として、主鎖にポリスチレン系又はテトラフェニル系の組成を含み、側鎖にイミダゾリウム基又は4級アンモニウム基を含んでよい。一方、これに代えて、イオン交換膜50は、耐酸化性が高い膜の一例として、ポリスルフォン系又はブロモブチルスチレン系の組成を含んでもよい。
【0036】
(イオノマー層)
イオノマー層(ionomer、アイオノマー)51は、イオン交換膜50に設けられた層である。イオノマー層51は、水酸化物イオンが通過可能な層である。イオノマー層51は、例えば、矩形のシート状である。本実施形態では、イオノマー層51の外径サイズは、イオン交換膜50の外径サイズよりも小さい。イオノマー層51の厚さは、例えば、1nm以上、10μm以下である。
【0037】
本実施形態では、イオノマー層51は、イオノマー樹脂成分と、当該イオノマー樹脂成分とは異なる非イオノマー樹脂成分とによって構成されている。イオノマー樹脂成分は、例えば、Diaza (bicyclo-octane) polyethersulfone、又はpoly[(p-terphenyl-4,4'-diyl)(N,N-dimethyl-piperidinium-bicarbonate-4,4-diyl)-co-(p-terphenyl-4,4'-diyl)(2,2,2-trifluoro-1-phenylethylidene-diyl)]、又はpoly[(p-terphenyl-4,4'-diyl)(N,N-dimethyl-piperidinium-bicarbonate-4,4-diyl)]などを含む。また、本実施形態では、イオノマー樹脂成分は、例えば製造の際に所定の高分子化合物が添加されているため、添加物を含んでもよい。当該イオノマー樹脂成分は、80質量%以上、100質量%未満の割合でイオノマー層51中に含まれている。非イオノマー樹脂成分は、電解触媒粒子及びバインダーを含む。陰極触媒粒子には、例えば、ニッケル、ニッケル合金、セリウム酸化物、ランタン酸化物、または白金のうち1つ以上を含む。なお本開示において「〇〇酸化物」は、〇〇および酸素以外の別材料を含み得るが採用される。また、陽極触媒は、ニッケル、ニッケル合金、ニッケル酸化物、銅酸化物、イリジウム酸化物、ニオブ酸化物、鉛酸化物、またはビスマス酸化物のうち1つ以上を含む。上述したように、本開示において「XX酸化物」は、XXおよび酸素以外の別材料を含み得る。
陽極触媒粒子には、「ニッケル酸化物」は、ニッケルおよび酸素の他に、鉄やコバルトなどの別材料を含み得る。また、「銅酸化物」は、銅および酸素の他に、コバルトなど別材料を含み得る。「イリジウム酸化物」は、イリジウムおよび酸素の他に、ルテニウムなど別材料を含み得る。「鉛酸化物」は、鉛および酸素の他に、ルテニウムなど別材料を含み得る。「ビスマス酸化物」は、ビスマスおよび酸素の他に、ルテニウムなど別材料を含み得る。バインダーには、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリビニリデンフルオライド(PVDF)、テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、テトラフルオロエチレン・エチレン共重合体(ETFE)などのフッ素系バインダーが採用される。
【0038】
イオノマー層51は、例えば、イオン交換膜50の第一面50aの全域及びイオン交換膜50の第二面50bの全域に設けられる。以下、説明の便宜上、イオン交換膜50の第一面50aに設けられたイオノマー層51を「第一イオノマー層52」と称し、イオン交換膜50の第二面50bに設けられたイオノマー層51を「第二イオノマー層53」と称する。本実施形態では、第一イオノマー層52の外径サイズと第二イオノマー層53の外径サイズとは、同じである。また、第一イオノマー層52の厚さと第二イオノマー層53の厚さとは、同じである。第一イオノマー層52は、陰極室Saに配置され、イオン交換膜50の第一面50aに接合されている。第二イオノマー層53は、陽極室Sbに配置され、イオン交換膜50の第二面50bに接合されている。
【0039】
(陰極触媒層)
陰極触媒層54は、上述した陰極室Saでの化学反応を促進する層である。陰極触媒層54は、例えば、矩形のシート状である。本実施形態では、陰極触媒層54の外形サイズは、例えば、第一イオノマー層52と同じ大きさに形成されている。陰極触媒層54は、陰極室Saに配置され、第一イオノマー層52の全域に設けられている。陰極触媒層54は、第一セパレータ41及び陰極給電体55を介して電源部30からマイナス電圧が印加され、電解セル11の陰極47の一部として機能する。
【0040】
陰極触媒層54の材質としては、上述した陰極室Saでの化学反応を促進する材質であればよく、種々の材質が利用可能である。例えば、陰極触媒層54は、ニッケル、ニッケル合金、セリウム酸化物、ランタン酸化物、又は白金のうち一つ以上を含む。なお、本明細書中の「〇〇酸化物」は、〇〇及び酸素以外の別材料を含み得る。また、陰極触媒層54は、製造の際に上記添加物が添加されて形成されている。すなわち、陰極触媒層54は、上記添加物を含んでいる。なお、陰極触媒層54は、上述した材料に加え、カーボンなど別材料を含んでもよい。
【0041】
(陰極給電体)
陰極給電体55は、第一セパレータ41に印加された電圧を陰極触媒層54に伝える電気接続部である。陰極給電体55は、陰極室Saに配置される。陰極給電体55は、第一セパレータ41の第一内面41aと陰極触媒層54との間に位置し、第一セパレータ41の第一内面41a及び陰極触媒層54のそれぞれに接合している。陰極触媒層54は、陰極給電体55におけるイオン交換膜50側を向く面に形成されている。以下、陰極給電体55における陰極触媒層54が形成される面を「陰極面55a」と称する。陰極面55aは、陰極給電体55の片面の一例である。なお、陰極給電体55の少なくとも一部は、第一セパレータ41又は陰極触媒層54の少なくとも一方の少なくとも一部と重なり合ってもよい。陰極給電体55は、内部を電解液とガスが通過可能な構造を有する。陰極給電体55は、例えば、金属製のメッシュ構造体、焼結体、又はファイバー又は導電性カーボン繊維のメッシュ構造体、不織布などにより形成される。本実施形態では、陰極給電体55の外形サイズは、陰極触媒層54の外形サイズと同じである。本実施形態では、陰極触媒層54と陰極給電体55とにより、電解セル11の陰極47が形成されている。
【0042】
(陽極触媒層)
陽極触媒層56は、上述した陽極室Sbでの化学反応を促進する層である。陽極触媒層56は、例えば、矩形のシート状である。本実施形態では、陽極触媒層56の外形サイズは、第二イオノマー層53と同じ大きさに形成されている。陽極触媒層56は、陽極室Sbに配置され、第二イオノマー層53の全域に設けられている。陽極触媒層56は、第二セパレータ42及び陽極給電体57を介して電源部30からプラス電圧が印加され、電解セル11の陽極48の一部として機能する。本実施形態では、陽極触媒層56は、陰極触媒層54と同じ厚さに形成されている。
【0043】
陽極触媒層56の材質としては、上述した陽極室Sbでの化学反応を促進する材質であればよく、種々の材質が利用可能である。例えば、陽極触媒層56は、ニッケル、ニッケル合金、ニッケル酸化物、銅酸化物、イリジウム酸化物、ニオブ酸化物、鉛酸化物、又はビスマス酸化物のうち一つ以上を含む。上述したように、本明細書中の「XX酸化物」は、XX及び酸素以外の別材料を含み得る。例えば、「ニッケル酸化物」は、ニッケル及び酸素の他に、鉄やコバルトなどの別材料を含み得る。また、「銅酸化物」は、銅及び酸素の他に、コバルトなどの別材料を含み得る。「イリジウム酸化物」は、イリジウム及び酸素の他に、ルテニウムなどの別材料を含み得る。「鉛酸化物」は、鉛及び酸素の他に、ルテニウムなどの別材料を含み得る。「ビスマス酸化物」は、ビスマス及び酸素の他に、ルテニウムなどの別材料を含み得る。また、陽極触媒層56は、製造の際に上記添加物が添加されて形成されている。すなわち、陽極触媒層56は、上記添加物を含んでいる。
【0044】
したがって、上述したイオノマー層51(第一イオノマー層52及び第二イオノマー層53)は、イオン交換膜50と陰極触媒層54との間、及びイオン交換膜50と陽極触媒層56との間に、陰極触媒層54及び陽極触媒層56と別体として設けられて、これらイオン交換膜50、陰極触媒層54、及び陽極触媒層56と共に層構造を成している。すなわち、第一イオノマー層52と陰極触媒層54との間、及び第二イオノマー層53と陽極触媒層56との間には、境界面が存在している。また、第一イオノマー層52とイオン交換膜50との間、及び第二イオノマー層53とイオン交換膜50との間には、境界面が存在している。本実施形態では、イオノマー層51(第一イオノマー層52及び第二イオノマー層53)の厚さは、陰極触媒層54の厚さ及び陽極触媒層56の厚さの10%以上、50%以下である。第一イオノマー層52の厚さは、陰極触媒層54の厚さの10%以上、50%以下であり、第二イオノマー層53の厚さは、陽極触媒層56の厚さの10%以上、50%以下である。
【0045】
(陽極給電体)
陽極給電体57は、第二セパレータ42に印加された電圧を陽極触媒層56に伝える電気接続部である。陽極給電体57は、陽極室Sbに配置される。陽極給電体57は、第二セパレータ42の第二内面42aと陽極触媒層56との間に位置し、第二セパレータ42の第二内面42a及び陽極触媒層56のそれぞれに接合している。陽極触媒層56は、陽極給電体57におけるイオン交換膜50側を向く面に形成されている。以下、陽極給電体57における陽極触媒層56が形成される面を「陽極面57a」と称する。陽極面57aは、陽極給電体57の片面の一例である。なお、陽極給電体57の少なくとも一部は、第二セパレータ42又は陽極触媒層56の少なくとも一方の少なくとも一部と重なり合ってもよい。陽極給電体57は、内部を電解液とガスが通過可能な構造を有する。陽極給電体57は、例えば、金属製のメッシュ構造体、焼結体、又はファイバーなどにより形成される。本実施形態では、陽極給電体57の外形サイズは、陽極触媒層56の外形サイズと同じである。本実施形態では、陽極触媒層56と陽極給電体57とにより、電解セル11の陽極48が形成されている。
【0046】
図3は、電解セル11を示す分解斜視図である。電解セル11は、上述した構成に加え、例えば、第一集電体61、第二集電体62、第一絶縁体63、第二絶縁体64、第一絶縁材65、第二絶縁材66、第一エンドプレート67、及び第二エンドプレート68を含む。なお図3では、説明の便宜上、後述する支持部70及び封止部80の図示は省略している。
【0047】
(第一集電体)
第一集電体61は、電源部30から印加されるマイナス電圧を第一セパレータ41に伝える電気接続部である。第一集電体61は、金属製の板部材(例えば銅板)である。第一集電体61は、例えば、電解セル11の内部空間Sとは反対側から第一セパレータ41に接し、第一セパレータ41に電気的に接続される。第一集電体61には、電解セル11での電気分解に必要なマイナス電圧が電源部30から印加される。なお、第一集電体61は、電解セルスタック10で互いに隣り合う二つの電解セル11によって共有されてもよい。
【0048】
(第二集電体)
第二集電体62は、電源部30から印加されるプラス電圧を第二セパレータ42に伝える電気接続部である。第二集電体62は、金属製の板部材(例えば銅板)である。第二集電体62は、例えば、電解セル11の内部空間Sとは反対側から第二セパレータ42に接し、第二セパレータ42に電気的に接続される。第二集電体62には、電解セル11での電気分解に必要なプラス電圧が電源部30から印加される。なお、第二集電体62は、電解セルスタック10で互いに隣り合う二つの電解セル11によって共有されてもよい。
【0049】
(第一絶縁体)
第一絶縁体63は、第一セパレータ41の外周部と第二セパレータ42の外周部との間を絶縁する部材である。第一絶縁体63は、陰極触媒層54の外形及び陰極給電体55の外形よりもひと回り大きな枠状のシート部材である。第一絶縁体63は、第一セパレータ41の第一内面41aに取り付けられ、第一内面41aの端部を覆う。第一絶縁体63の材質は、絶縁材料であれば特に限定されず、例えばPTFE(polytetrafluoroethylene)などのシート状樹脂である。
【0050】
(第二絶縁体)
第二絶縁体64は、第一絶縁体63と同様に、第一セパレータ41の外周部と第二セパレータ42の外周部との間を絶縁する部材である。第二絶縁体64は、陽極触媒層56の外形及び陽極給電体57の外形よりもひと回り大きな枠状のシート部材である。第二絶縁体64は、第二セパレータ42の第二内面42aに取り付けられ、第二内面42aの端部を覆う。第二絶縁体64の材質は、絶縁材料であれば特に限定されず、例えばPTFEなどのシート状樹脂である。また、第一絶縁体63と第二絶縁体64は、一体化された絶縁体でも利用可能である。
【0051】
(第一絶縁材)
第一絶縁材65は、第一集電体61と第一エンドプレート67との間に位置する。第一絶縁材65の外形サイズは、例えば、第一集電体61の外形サイズと同じ、又は第一集電体61の外形サイズよりも大きい。
【0052】
(第二絶縁材)
第二絶縁材66は、第二集電体62と第二エンドプレート68との間に位置する。第二絶縁材66の外形サイズは、例えば、第二集電体62の外形サイズと同じ、又は第二集電体62の外形サイズよりも大きい。
【0053】
(第一エンドプレート)
第一エンドプレート67は、電解セル11の内部空間Sに対して、第一絶縁材65とは反対側に位置する。第一エンドプレート67の外形サイズは、例えば、第一絶縁材65の外形サイズよりも大きい。
【0054】
(第二エンドプレート)
第二エンドプレート68は、電解セル11の内部空間Sに対して、第二絶縁材66とは反対側に位置する。第二エンドプレート68の外形サイズは、例えば、第二絶縁材66の外形サイズよりも大きい。
【0055】
なお、電解セル11は、上述した構成に限定されない。例えば、電解セルスタック10が複数の電解セル11が並べて配置されることで構成される場合、複数の電解セル11のなかで隣り合う二つの電解セル11は、それぞれバイポーラプレートである第一セパレータ41又は第二セパレータ42を共有してもよい。この場合、隣り合う二つの電解セル11の間には、集電体(第一集電体61又は第二集電体62)、絶縁体(第一絶縁体63又は第二絶縁体64)、絶縁材(第一絶縁材65又は第二絶縁材66)、エンドプレート(第一エンドプレート67又は第二エンドプレート68)は存在しなくてもよい。
【0056】
(電解セルの外周部の構造)
図4は、電解セル11を示す断面図である。本実施形態では、イオン交換膜50の外形サイズは、陰極触媒層54の外形サイズ及び陰極給電体55の外形サイズの各々よりも大きい。言い換えると、イオン交換膜50の面積は、陰極触媒層54の面積及び陰極給電体55の面積の各々よりも大きい。イオン交換膜50は、膜電極接合体43の厚さ方向(Z方向)とは直交する方向(例えばX方向又はY方向)で、陰極触媒層54及び陰極給電体55よりも外側(外周側)に突出している。本明細書中の「外側」又は「外周側」とは、膜電極接合体43の厚さ方向(Z方向)とは直交する方向(例えばX方向又はY方向)で、膜電極接合体43の中央部Cから離れる側を意味する。
【0057】
図4に示すように、電解セル11は、例えば、支持部70と、封止部80とを有する。支持部70は、電解セル11の内部で膜電極接合体43を支持する部材である。封止部80は、第一セパレータ41と第二セパレータ42との間の内部空間Sを閉じる部材である。以下、これらについて説明する。
【0058】
(支持部)
支持部70は、第一セパレータ41と第二セパレータ42との間に配置される。支持部70は、イオン交換膜50の外縁部50eよりも内側(内周側)に位置し、イオン交換膜50を支持する。本明細書中の「外縁部50e」とは、膜電極接合体43の厚さ方向(Z方向)とは直交する方向(例えばX方向又はY方向)で、膜電極接合体43の中央部Cから離れた縁部を意味する。また、本明細書中の「内側」又は「内周側」とは、膜電極接合体43の中央部Cから見て内側(中央部Cに近い側)を意味する。本実施形態では、支持部70は、例えば、第一支持部71と、第二支持部72とを含む。
【0059】
(第一支持部)
第一支持部71は、陰極47側の支持部70である。第一支持部71は、第一セパレータ41の第一内面41aとイオン交換膜50の第一面50aとの間に配置される。第一支持部71は、イオン交換膜50の外縁部50eよりも内側(内周側)に位置する。第一支持部71は、陰極触媒層54及び陰極給電体55よりも外側(外周側)の位置で第一セパレータ41の第一内面41a(又は第一絶縁体63)とイオン交換膜50の第一面50aとの間に挟まれ、第一セパレータ41の第一内面41aに対してイオン交換膜50を支持する。第一支持部71は、イオン交換膜50の外縁部50eに沿う環状(例えば枠状)であって、イオン交換膜50の外縁部50eよりもひと回り小さな環状に形成されている。
【0060】
(第二支持部)
第二支持部72は、陽極48側の支持部70である。第二支持部72は、第二セパレータ42の第二内面42aとイオン交換膜50の第二面50bとの間に配置される。第二支持部72は、イオン交換膜50の外縁部50eよりも内側(内周側)に位置する。第二支持部72は、陽極触媒層56及び陽極給電体57よりも外側(外周側)の位置で第二セパレータ42の第二内面42aとイオン交換膜50の第二面50bとの間に挟まれ、第二セパレータ42の第二内面42aに対してイオン交換膜50を支持する。第二支持部72は、イオン交換膜50の外縁部50eに沿う環状(例えば枠状)であって、イオン交換膜50の外縁部50eよりもひと回り小さな環状に形成されている。
【0061】
(封止部)
封止部80は、第一セパレータ41と第二セパレータ42との間に配置される。封止部80は、イオン交換膜50の外縁部50eよりも外側(外周側)に位置し、電解セル11の内部空間Sを封止する。本実施形態では、封止部80は、第一封止部81と、第二封止部82とを含む。ただし、第一封止部81と第二封止部82とは、一体に形成されてもよい。すなわち、第一封止部81と第二封止部82とは、一つの部材であってもよい。また、封止部80は、上述した第一絶縁体63及び第二絶縁体64のうち少なくとも一方と一体に形成されてもよい。
【0062】
(第一封止部)
第一封止部81は、陰極47側の封止部80である。第一封止部81は、イオン交換膜50の外縁部50eよりも外側(外周側)に位置する。第一封止部81は、第一セパレータ41の第一内面41aと第二封止部82との間に挟まれ、内部空間Sの外周側の一部を封止する。本実施形態では、第一封止部81は、第一内面41aに取り付けられた第一絶縁体63と第二封止部82との間に挟まれている。第一封止部81は、イオン交換膜50の外縁部50eに沿う環状(例えば枠状)であって、イオン交換膜50の外縁部50eよりもひと回り大きな環状に形成される。
【0063】
(第二封止部)
第二封止部82は、陽極48側の封止部80である。第二封止部82は、イオン交換膜50の外縁部50eよりも外側に位置する。第二封止部82は、第二セパレータ42の第二内面42aと第一封止部81との間に挟まれ、内部空間Sの外周側の一部を封止する。本実施形態では、第二封止部82は、第二内面42aに取り付けられた第二絶縁体64と第一封止部81との間に挟まれている。第二封止部82は、イオン交換膜50の外縁部50eに沿う環状(例えば枠状)であって、イオン交換膜50の外縁部50eよりもひと回り大きな環状に形成される。
【0064】
(膜電極接合体の製造方法)
次に、膜電極接合体43の製造方法について説明する。
図5は、膜電極接合体43の製造方法を示す断面図である。
【0065】
まず、図5中の(a)に示すように、陰極給電体55の陰極面55a(陰極給電体55の片面)に陰極触媒層54が設けられる。陰極触媒層54は、例えば、陰極給電体55の陰極面55aに陰極触媒層54の材料が塗布(塗工)され、塗布された陰極触媒層54の材料と陰極給電体55とが所定の温度及び所定の圧力の下でプレスされることで形成される。同様に、陽極給電体57の陽極面57a(陽極給電体57の片面)に陽極触媒層56が設けられる。陽極触媒層56は、例えば、陽極給電体57の陽極面57aに陽極触媒層56の材料が塗布(塗工)され、塗布された陽極触媒層56の材料と陽極給電体57とが所定の温度及び所定の圧力の下でプレスされることで形成される。陰極触媒層54の材料及び陽極触媒層56の材料の塗布は、例えば、塗工法、CVD(Chemical Vapor Deposition)法、無電解メッキ法、触媒インクを用いる方法、又はスプレーにより触媒を塗布する方法などを適宜用いることができる。
【0066】
次に、図5中の(b)に示すように、陰極触媒層54に第一イオノマー層52が設けられる。第一イオノマー層52は、例えば、陰極触媒層54に第一イオノマー層52の材料が塗布(塗工)され、塗布された第一イオノマー層52の材料と陰極触媒層54とが所定の温度及び所定の圧力の下でプレスされることで形成される。これによって、陰極触媒層54に当該陰極触媒層54とは別体の第一イオノマー層52が形成される。同様に、陽極触媒層56に第二イオノマー層53が設けられる。第二イオノマー層53は、例えば、陽極触媒層56に第二イオノマー層53の材料が塗布(塗工)され、塗布された第二イオノマー層53の材料と陽極触媒層56とが所定の温度及び所定の圧力の下でプレスされることで形成される。これによって、陽極触媒層56に当該陽極触媒層56とは別体の第二イオノマー層53が形成される。第一イオノマー層52の材料及び第二イオノマー層53の材料の塗布は、例えば、塗工法、CVD法、無電解メッキ法、触媒インクを用いる方法、又はスプレーにより触媒を塗布する方法などを適宜用いることができる。
【0067】
次に、図5中の(c)に示すように、陰極触媒層54に形成された第一イオノマー層52をイオン交換膜50の第一面50aに重ねた状態で所定の温度及び所定の圧力でプレスされることで、第一イオノマー層52を介して陰極47(陰極触媒層54及び陰極給電体55)とイオン交換膜50とが互いに結合される。同様に、陽極触媒層56に形成された第二イオノマー層53をイオン交換膜50の第二面50bに重ねた状態で所定の温度及び所定の圧力でホット或いはコールドプレスによりプレスされることで、第二イオノマー層53を介して陽極48(陽極触媒層56及び陽極給電体57)とイオン交換膜50とが互いに結合される。これによって、イオノマー層51(第一イオノマー層52及び第二イオノマー層53)は、イオン交換膜50と陰極触媒層54との間、及びイオン交換膜50と陽極触媒層56との間に、陰極触媒層54及び陽極触媒層56と別体として設けられて、陰極触媒層54及び陽極触媒層56と共に層構造を成している。つまり、膜電極接合体43が完成する。
【0068】
(作用・効果)
比較例として、イオン交換膜50の両面(第一面50a及び第二面50b)に陰極触媒層54と陽極触媒層56とが設けられる構造について考える。ここで、電極触媒層が塗工などによって形成された場合、イオン交換膜50に接合される陰極触媒層54の表面及び陽極触媒層56の表面は粗く形成されることがある。そのため、膜電極接合体43中では、陰極触媒層54の表面粗さ及び陽極触媒層56の表面粗さに起因して、これら陰極触媒層54及び陽極触媒層56がイオン交換膜50に密着している部分と密着していない部分とがまばらに存在することがある。その結果、当該密着している部分に接触抵抗が低下し、局所的に電流が集中して、膜の耐久性が低下してしまう場合がある。
【0069】
一方で、本実施形態では、膜電極接合体43は、イオン交換膜50と陰極触媒層54との間、及びイオン交換膜50と陽極触媒層56との間に、陰極触媒層54及び陽極触媒層56とは別体として設けられて、陰極触媒層54及び陽極触媒層56と共に層構造を成すイオノマー層51を備えている。このような構成によれば、陰極触媒層54の表面及び陽極触媒層56の表面に凹部がまばらに生じていた場合、イオノマー層51(第一イオノマー層52及び第二イオノマー層53)がこれら表面の凹部内に埋まる。すなわち、陰極触媒層54の表面及び陽極触媒層56の表面の凹部が埋まった状態で、イオン交換膜50と、陰極触媒層54及び陽極触媒層56とが、イオノマー層51を介して接続される。したがって、陰極触媒層54とイオン交換膜50との間、及び陽極触媒層56とイオン交換膜50との間に接触抵抗が低下し、電流が集中してしまうことが抑制される。その結果、膜電極接合体43の性能向上を図ることができる。
【0070】
また、本実施形態では、陰極触媒層54に設けられたイオノマー層51をイオン交換膜50の第一面50aに設け、及び陽極触媒層56に設けられたイオノマー層51をイオン交換膜50の第二面50bに設けるといったステップを踏むため、二つのイオノマー層51を別々に取り扱うことができる。したがって、製造工程におけるハンドリングなどを行いやすくなり、生産性を向上させることができる。
【0071】
<第二実施形態>
次に、第二実施形態について図6を参照して説明する。図6は、第二実施形態の膜電極接合体43の製造方法を示す断面図である。第二実施形態では、膜電極接合体43の製造方法が第一実施形態で説明した膜電極接合体43の製造方法と異なる。
【0072】
まず、図6中の(a)に示すように、イオン交換膜50の第一面50aに第一イオノマー層52が設けられる。第一イオノマー層52は、例えば、イオン交換膜50の第一面50aに第一イオノマー層52の材料が塗布(塗工)され、塗布された第一イオノマー層52の材料とイオン交換膜50とが所定の温度及び所定の圧力の下でプレスされることで形成される。同様に、イオン交換膜50の第二面50bに第二イオノマー層53が設けられる。第二イオノマー層53は、例えば、イオン交換膜50の第二面50bに第二イオノマー層53の材料が塗布(塗工)され、塗布された第二イオノマー層53の材料とイオン交換膜50とが所定の温度及び所定の圧力の下でプレスされることで形成される。第一イオノマー層52の材料及び第二イオノマー層53の材料の塗布は、例えば、塗工法、CVD法、無電解メッキ法、触媒インクを用いる方法、又はスプレーにより触媒を塗布する方法などを適宜用いることができる。
【0073】
次に、図6中の(b)に示すように、陰極給電体55の陰極面55aに設けられた陰極触媒層54をイオン交換膜50の第一面50aに形成された第一イオノマー層52に重ねる。そして、陰極触媒層54を第一イオノマー層52に重ねた状態で所定の温度及び所定の圧力でホット或いはコールドプレスによりプレスされることで、第一イオノマー層52を介して陰極47(陰極触媒層54及び陰極給電体55)とイオン交換膜50とが互いに結合される。これによって、陰極触媒層54に当該陰極触媒層54とは別体の第一イオノマー層52が形成される。同様に、陽極給電体57の陽極面57aに設けられた陽極触媒層56をイオン交換膜50の第二面50bに形成された第二イオノマー層53に重ねる。そして、陽極触媒層56を第二イオノマー層53に重ねた状態で所定の温度及び所定の圧力でホット或いはコールドプレスによりプレスされることで、第二イオノマー層53を介して陽極48(陽極触媒層56及び陽極給電体57)とイオン交換膜50とが互いに結合される。これによって、陽極触媒層56に当該陽極触媒層56とは別体の第二イオノマー層53が形成される。すなわち、イオノマー層51(第一イオノマー層52及び第二イオノマー層53)は、イオン交換膜50と陰極触媒層54との間、及びイオン交換膜50と陽極触媒層56との間に、陰極触媒層54及び陽極触媒層56とは別体として設けられて、陰極触媒層54及び陽極触媒層56と共に層構造を成している。なお、陰極給電体55の陰極面55aに陰極触媒層54を形成する方法、及び陽極給電体57の陽極面57aに陽極触媒層56を形成する方法は、図5中の(a)を参照しながら説明した上述の方法でよい。
【0074】
本実施形態で説明した製造方法によっても、第一実施形態で説明した膜電極接合体43を完成させることができる。
【0075】
(その他の実施形態)
以上、本開示の実施の形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施の形態に限られるものではなく、本開示の要旨を逸脱しない範囲の設計変更なども含まれる。
【0076】
例えば、第一実施形態及び第二実施形態で説明した膜電極接合体43の製造方法では、イオノマー層51を形成する前に、イオノマー層51を単独で成形する工程を経てもよい。ここでいう「単独で成形」とは、塗布(塗工)などによってイオノマー層51の材料を陰極触媒層54及び陽極触媒層56、またはイオン交換膜50に設けず、独立した工程内でイオノマー層51のみを成形することを意味する。この場合、イオノマー層51を単独で二つ成形した後に、成形したイオノマー層51を陽極触媒層56及び陰極触媒層54のそれぞれに一つずつ設けてもよく、あるいは、成形したイオノマー層51をイオン交換膜50の第一面50a及び第二面50bのそれぞれに設けてもよい。
【0077】
また、第一実施形態及び第二実施形態で説明した膜電極接合体43の製造方法では、陽極触媒層56の面積が陰極触媒層54の面積よりも大きくなるように陽極触媒層56を陽極給電体57に設けてもよい。この場合、陽極給電体57は、陽極触媒層56と同じ大きさに形成される。つまり、陽極48の面積は、陰極47の面積よりも大きい。具体的には、陰極47に対する陽極48の面積比率(N/P比)は、例えば、1.0よりも大きく、1.3以下である。
【0078】
<付記>
各実施形態に記載の膜電極接合体43、及び膜電極接合体43の製造方法は、例えば以下のように把握される。
【0079】
(1)第1の態様に係る膜電極接合体43は、第一面50a、及び該第一面50aとは反対側に位置した第二面50bを有するイオン交換膜50と、前記イオン交換膜50よりも前記第一面50aの側に配置された陰極触媒層54と、前記イオン交換膜50よりも前記第二面50bの側に配置された陽極触媒層56と、前記イオン交換膜50と前記陰極触媒層54との間、及び前記イオン交換膜50と前記陽極触媒層56との間に、前記陰極触媒層54及び前記陽極触媒層56と別体として設けられて、前記陰極触媒層54及び前記陽極触媒層56と共に層構造を成すイオノマー層51と、を備える。
【0080】
これにより、陰極触媒層54の表面及び陽極触媒層56の表面に凹部がまばらに生じていた場合、イオノマー層51がこれら表面の凹部内に入り込む。すなわち、陰極触媒層54の表面及び陽極触媒層56の表面の凹部が埋まった状態で、イオン交換膜50と、陰極触媒層54及び陽極触媒層56とが、イオノマー層51を介して接続される。
【0081】
(2)第2の態様に係る膜電極接合体43は、(1)の膜電極接合体43であって、前記イオノマー層51は、イオノマー樹脂成分と、該イオノマー樹脂成分とは異なる非イオノマー樹脂成分と、によって構成されており、前記イオノマー樹脂成分は、80質量%以上、100質量%未満の割合で前記イオノマー層51中に含まれていてもよい。
【0082】
これにより、上記作用をより高精度に実現することができる。
【0083】
(3)第3の態様に係る膜電極接合体43は、(2)の膜電極接合体43であって、前記イオノマー樹脂成分は、前記イオン交換膜50、前記陰極触媒層54、及び前記陽極触媒層56のそれぞれに共通して含まれる添加物と同一組成の組成物を含んでもよい。
【0084】
これにより、イオノマー層51とイオン交換膜50との間、イオノマー層51と陰極触媒層54との間、及びイオノマー層51と陽極触媒層56との間の密着性を高めることができる。
【0085】
(4)第4の態様に係る膜電極接合体43は、(2)又は(3)の膜電極接合体43であって、前記非イオノマー樹脂成分は、電解触媒粒子及びバインダーを含んでもよい。
【0086】
これにより、イオノマー層51とイオン交換膜50との間、イオノマー層51と陰極触媒層54との間、及びイオノマー層51と陽極触媒層56との間のイオン伝導性、及び密着性を高めることができる。
【0087】
(5)第5の態様に係る膜電極接合体43は、(1)から(4)の何れかの膜電極接合体43であって、前記イオノマー層51の厚さは、前記陰極触媒層54の厚さ及び前記陽極触媒層56の厚さの10%以上、50%以下であってもよい。
【0088】
これにより、上記作用をより具体的な設定で実現することができる。
【0089】
(6)第6の態様に係る膜電極接合体43は、(1)から(5)の何れかの膜電極接合体43であって、前記イオノマー層51の厚さは、1nm以上、10μm以下であってもよい。
【0090】
これにより、上記作用をより具体的な設定で実現することができる。
【0091】
(7)第7の態様に係る膜電極接合体43の製造方法は、陰極給電体55の片面(陰極面55a)に形成された陰極触媒層54、及び陽極給電体57の片面(陽極面57a)に形成された陽極触媒層56に、前記陰極触媒層54及び前記陽極触媒層56と別体のイオノマー層51を設けるステップと、前記陰極触媒層54に設けられた前記イオノマー層51をイオン交換膜50の第一面50aに重ね、前記陽極触媒層56に設けられた前記イオノマー層51を前記第一面50aとは反対側に位置する前記イオン交換膜50の第二面50bに重ねて、ホット或いはコールドプレスし、層構造を形成するステップと、を実行する。
【0092】
これにより、陰極触媒層54に設けられたイオノマー層51と、陽極触媒層56に設けられたイオノマー層51とを別々に取り扱うことができる。したがって、製造工程におけるハンドリングなどを行いやすくなり、生産性を向上させることができる。
【0093】
(8)第8の態様に係る膜電極接合体43の製造方法は、イオン交換膜50の第一面50a、及び該第一面50aとは反対側に位置した第二面50bのそれぞれに、イオノマー層51を設けるステップと、陰極給電体55の片面(陰極面55a)に設けられた陰極触媒層54を、前記イオン交換膜50の前記第一面50aに設けられた前記イオノマー層51に該イオノマー層51とは別体となるように重ね、陽極給電体57の片面に設けられた陽極触媒層56を、前記イオン交換膜50の前記第二面50bに設けられた前記イオノマー層51に該イオノマー層51とは別体となるように重ねて、ホット或いはコールドプレスし、層構造を形成するステップと、を実行する。
【0094】
これにより、上記の膜電極接合体43を製造することができる。
【0095】
(9)第9の態様に係る膜電極接合体43の製造方法は、(7)又は(8)の膜電極接合体43の製造方法であって、前記イオノマー層51を設けるステップの実行前に、前記イオノマー層51を単独で成形するステップを実行し、ホット或いはコールドプレスし、前記膜電極接合体を形成してもよい。
【符号の説明】
【0096】
1…電解装置 10…電解セルスタック 11…電解セル 20…電解液供給部 20a…陰極側供給部 20b…陽極側供給部 21…水素気液分離装置 22…第一ポンプ 23…水素回収部 24…第一電解液供給部 26…酸素気液分離装置 27…第二ポンプ 28…酸素回収部 29…第二電解液供給部 30…電源部 40…電解槽 41…第一セパレータ 41a…第一内面 41b,42b…第一内面の反対面、第二内面の反対面 41e1,42e1…第一セパレータ端部 41e2,42e2…第二セパレータ端部 42…第二セパレータ 42a…第二内面 43…膜電極接合体 47…陰極 48…陽極 50…イオン交換膜 50a…第一面 50b…第二面 50e…外縁部 51…イオノマー層 52…第一イオノマー層 53…第二イオノマー層 54…陰極触媒層 55…陰極給電体 55a…陰極面 56…陽極触媒層 57…陽極給電体 57a…陽極面 61…第一集電体 62…第二集電体 63…第一絶縁体 64…第二絶縁体 65…第一絶縁材 66…第二絶縁材 67…第一エンドプレート 68…第二エンドプレート 70…支持部 71…第一支持部 72…第二支持部 80…封止部 81…第一封止部 82…第二封止部 C…中央部 FP1…第一流路 FP2…第二流路 L1,L2,L3,L4…配管ライン S…内部空間 Sa…陰極室 Sb…陽極室
図1
図2
図3
図4
図5
図6